超次元ゲイムネプテューヌ Re;Birth3&VⅡ Origins Exceed   作:シモツキ

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第四十三話 もう一つへの旅立ち

 ネプテューヌとネプギアの帰還。それは即ち、一つ目の次元での目的を達成したという事。

 無事にマジェコンヌを撃破し、黄金の塔の撃破も成功したという報告を受けた時、私は複雑な気持ちだった。勿論、それは喜ばしい事だし、安心もしたけど…結局私は、そのどちらも途中でネプギアへ投げ出す形になってしまったから。例えそれが仕方のない、あの時最善の手だったとしても、あのまま力を貸せていたら…と思ってしまう。それに、マジェコンヌは倒せたけれど、向こうの次元は荒廃したままで……出来る事なら、もう一度向こうに行ってもっともっと手伝いたい。

 だけど、私達にはまだやる事がある。うずめも女神の矜持として、私達へおんぶに抱っこにはなりたくないって事を聞いた。だったら…私がやるべき事は決まってる。先を見て、先を見据えて、まずは信次元を回復させて……うずめ達が私達の協力を必要とした時、いつでも駆け付けられるようにしておく事だよね。

 

「よいしょ、っと」

 

 今、私がいるのはプラネテューヌのある地域。目的の地点付近まで来た私は、少しずつ高度を落としていき……どすんっ、という音と共に、人型形態のルエンクアージェを地面に下ろす。…うん、今の私超シュール。

 

「…ちょっとポーズ取らせてみようかな…なんて、ね」

 

 不自然じゃない姿勢になっている事を確認した私は、周囲にモンスターや怪しい存在がいないか見回した後に再び飛翔。加速しつつ、プラネタワーへ向かっていく。

 別に私は、プラネテューヌの全土をジオラマに、MGをフィギュアにした模型遊びに目覚めた訳じゃない。それはあんまりにもぶっ飛び過ぎてる。そうじゃなくて…私がしていたのは、モンスターに対する牽制の策。人型且つ人の何倍ものサイズがあるMGを配置しておく事で、モンスターに警戒させようって事。この状況下において、モンスターが今どんな状態かは分からないけど…こっちの防衛能力が壊滅的な以上、やっておいて損はない。……と、思う。

 

「…………」

 

 眼下に広がる、文明的な街の姿。でも、今も変わらず人影はない。教祖の皆さんやパーティーの皆を始め、一部の人は目を覚まし始めたけど、全体からすればまだ一割にも満たないし…そんな状態で、街に文化的な営みが戻ってくる訳がない。そして、街に活気が復活するのも…いつになるかは、分からない。

 

(…って、悲観的な考えは良くないね。現状はその通りだけど…ちょっとずつでも、人は目を覚まし始めてるんだから)

 

 そう。今も状態は悪いけど、最悪の状況は脱した。いつ活気が戻るかは分からないけど、分からないって事はつまり、思ったよりも早く戻ってくれるかもしれないって事。用心として、悲観的な視点を持つ事は時に有用だけど…心は楽観的でいたいよね。

 

「…あ…ネプテューヌ!」

「あら、イリゼ。そっちも終わった?」

「うん、お互いお疲れ様」

 

 中心街の辺りにまで来たところで、私は同じくMGの配置をしていたネプテューヌと合流。そのまま二人してプラネタワーへと戻り、女神化を解除しつつ着地する。

 

「ふぅ…あっ、そうだイリゼ!ここで一つ、久し振りに視点担当をしてみた感想をどうぞ!」

「え、やっぱり私はこれがしっくりくるかなぁ…って、ほんとネプテューヌは息を吐く様にメタ発言するね……」

「えへへ〜」

「いや褒めてない褒めてない…そこまでスタンスを貫けるのはある意味凄いと思うけど…」

「でしょー?何だって貫き続ければそれは持ち味に……あ、こんぱだ!ただいま〜!」

「あ、お帰りなさいですねぷね…わわぁ!?」

 

 他愛ない会話をしつつ、私達はタワー内へ。すると丁度、今プラネテューヌにいるパーティーメンバーがエレベーターから出てきて…そこでネプテューヌはコンパへとダイビング。

 

「はふぅ…やっぱりコンパに抱き着くと落ち着くなぁ…」

「いや突然抱き着くんじゃないわよ…コンパ目を白黒させてるじゃない…」

「あははー、じゃあ次はあいちゃんね!」

「ちょおッ!?だから急に抱き着くなっての!」

「ねぇねぇネプテューヌ!次あたし!あたしにもやって!」

「ふふーん、REDなら言うと思ってたよ!とりゃー!」

 

 次々と飛び付いては抱き締めるネプテューヌ。REDは大いに喜んでるけど、他のメンバーは皆苦笑や困り顔。

 二人が帰ってきてから数日経ったけど、それ以降ネプテューヌは連日は一日一回皆にこうして抱き着いている。当然、やられる側は堪ったものじゃないんだろうけど……ネプテューヌは目覚めた皆と会うのが一番最後になったから、ずっとこっちにはいなかったからこそ、皆が元気である事を確かめているような節があって……だから皆も、毎日困り顔をしつつも拒絶するような事はしていない。

 

「はいはい、その辺にしようねネプテューヌ〜」

「ぐぇぇっ…ちょっ、フード引っ張らないでよ〜…」

「でもほら、こういう使い方でもしないとこのフード完全に飾りになっちゃうでしょ?」

「そんな意味の分からない配慮は要らないよ…皆はどこ行くの?それともエレベーターガールズの結成を?」

「いやいやしてないよネプテューヌさん…ちょっと頼まれた物を取りに、ね」

 

 私に引っ張られて離れていくネプテューヌに苦笑いしつつ、サイバーコネクトツー…サイコネちゃんは質問へ返答。それを受けた私達は、あー…と揃って軽く頷く。

 どんなに社会が効率化、電子化されても最終的には人の手が必要になる訳で、けれどその人の大半がまだ眠っている現状じゃ、何をするにもさっきの私達や、今の皆のようにその場へ足を運ばなきゃいけない。しかも皆が再び昏睡してしまう可能性もゼロじゃないから、安全の為複数人で行動するのが私達との約束。つまり、何が言いたいかって言うと…どんなに環境が整っていても、結局人がいなきゃ……社会は、成り立たないんだよね。

 

「じゃあ、人手がもっと必要なら呼んでね。何を持ってくるのかは知らないけど、大概の物なら運べる筈だしさ」

「うんうん、最近はビルの上半分を投げ飛ばしたりもしたしね」

『び、ビルの上半分…?』

 

 最後にネプテューヌのびっくり発言を聞いて、私達はエレベーターへ。上層階まで上がって、少し休憩して、それからまた次の活動へ移っていく。

 そうして数時間後。昼と夜の境目辺りになったところで、私達…プラネテューヌで活動中のパーティーメンバー全員と、イストワールさんがいつも使ってる会議室へ集合。ここに集まったのは…これから、ある事を行う為。

 

「…時間になりましたね。それでは……」

「テレワークでも、ホシを挙げる!」

『捜査一課長!?』

 

 くわっ!…っと迫真の表情でこれからする事に全く関係のない言葉を言い放つネプテューヌ。それに身を乗り出しながら反射的に突っ込む私達多数。いや…タイムリーなネタではあるけども!今から私達がするのはTV電話で、実際そんな感じにはなってるけども!

 

「このホシを挙げるって台詞、一回言ってみたかったんだよね〜」

「だからって開始と同時にふざけるんじゃないわよ…」

「別次元での活動を経た事で、何か変わるかもしれないと思っていましたけれど……」

「全然変わらないどころか、より精度を上げてきている気すらするわね……」

 

 満足そうに頬を緩ませるネプテューヌに対し、画面越しの守護女神三人が揃って額に掌を当てる。…うん、全く同感だよ皆……。

 

「あはは…ネプテューヌさん、あれから元気?」

「うん、元気元気!毎日お風呂に入れて、ふかふかのベットで寝られて、ご飯も気兼ねなく食べられるから、わたしもネプギアも絶好調だよ!」

「うん、その気持ちは分かるかな。過酷な活動よりも、満足な休息を取れない方が調子は狂うものだからね」

 

 肩を竦めつつ体調を訊いてきた鉄拳ちゃんへネプテューヌが快活に回答すると、新パーティー組のファルコムが大きく一つ頷きを返す。それには旧パーティー組のファルコムや、他の旅をよくしているメンバーも頷いていて…私もまた、強く首肯。ほんと、こっちに戻って最初のベットは格別だったなぁ…。

 

(…うずめ達も、そういうベットを見つけられればいいんだけど…或いはいっそ、こっちから送るとか…?)

「…早速大脱線にゅ。イストワール、これ以上拡大しない内に早く進めるべきだと思うにゅ」

「そ、そうですね…こほん。前日お伝えした通り、本日の議題は次の次元…もう一つの次元に関する情報と、そちらへ向かう人員の選出です」

 

 緩んだ雰囲気を引き締めるように、顔文字無しの真面目な口調でイストワールさんは話を切り出す。勿論、私達だってそれは分かってる事だから、各々軽く頭を振ったり小さく息を吐いたりして意識を切り替える。

 

「ではまず、情報の方ですが…ネプギアさん、再生をお願い出来ますか?(・ω・`)」

「はい、大丈夫ですよ」

 

 視線と言葉を受けたネプギアは、手元の端末を操作しある音声データを再生。

 それは、今話に上がっているもう一つの次元から送られてきたもの。ノイズが激しくて、正確に聞き取るのは難しいけど……それでも分かる事がある。

 

「やっぱり、これ…イストワールさんの声、ですよね…?」

「わたしもそう思います。…恐らくは、あちらの次元のわたしが、こちらへ連絡を取ろうとしたのでしょう( ̄^ ̄)」

 

 私の言葉に皆も頷いて、イストワールさんも私の発した意見を肯定。…他でもないイストワールさんの声だもん、一瞬ならともかく…何度か聞けば、分からない訳がないよね。

 

「でも、どうしてこんなにノイズが酷いんでしょう…ネプギア、うずめさん達のいる次元もこっちとで交信した時は、毎回普通にやり取り出来たのよね?」

「うん。わたしが作った機材を設置した施設でもあれだけ出来たって事は…多分、技術的な問題じゃないんだと思う」

「ふむ…では、原因に目星は付いているのか?」

「向こうのわたしが、目印にしているわたし自身の情報を正確に認識し切れていない為に、わたし同士による交信に不備が起こっているか、交信そのものに妨害をかけられているか…わたしとしては、この二つを可能性として考えています(´・ω・)」

 

 顎に親指と曲げた人差し指を当てて訊くのはMAGES.。その回答に補足をしておくと、送られてきた通信はイストワールさんに向けた、イストワールさん同士で行えるもの。これは一度、私が事故で幻次元へ飛んでしまった時に行った通信と同一のものだとイストワールさん自身が言っているから、まあまず間違いない。

 

「ぼーがい…あっ、前にあのおしろ行った時みたいな?」

「うん…あの時も、おはなしできなくなってたね…」

「その件なんですけど…後者なんじゃないですか?タイミングとしてまず、この通信が入ったのは向こうで塔を破壊した後ですよね?で、塔が異常の発生源だとしたら……」

「塔を破壊した事により、妨害能力が低下し交信が出来るようになった。ただ、もう一つの次元の塔はまだ健在故に、安定した通信は出来ていない…という事か」

「はい。機材を使った通信は…イストワールさん同士の通信と性質が違う為に、その影響を受けていない…とかではないでしょうか」

 

 途中でマジェコンヌさんとやり取りを交わしながら、私は自分の考えを述べる。具体的な証拠はないから、これはあくまで推測だけど…話の筋道は立ってる筈。だから皆からの反応も概ね肯定的で…だけどそこで、ブランが思案顔で口を開く。

 

「…待って。それは確かにあり得そうだけど…罠、という事はないかしら?」

「罠…って、どういう事…?」

「それは今から説明するわ、鉄拳ちゃん。…イリゼの考えは素直な…言い換えるなら、順当な推測だと思うわ。だからこそこっちに現れたうずめがこういう判断をする事を見越して…いや、こういう判断をするようにタイミングを調整して、もう一つの次元は誘き出そうとしてるんじゃないかと思ったの。…勿論これも、想像でしかないけどね」

「…確かに、それもあり得るね。ダークメガミを各個撃破された事を踏まえ、逆に戦力を分断して各個撃破し返そう…といったところだろうか」

「けど、その場合でも私達がやる事は変わらないわよ?変わらないって言うか、行くしかないっていうか……」

「…あの、その場合いーすんさんの通信はどうなるんですか?わたしも違う人の声には聞こえませんし、かと言っていーすんさんが共謀してるとも思えません…」

 

 裏なんてないのか、それとも罠か。私の考えもブランの考えも予想でしかないから、判別しようにもその材料が足りていない。現に私も、ブランの言葉には一理あると感じていて……こういう時は、やっぱり彼女に訊くのが一番だよね。

 

「…ネプテューヌは、どう思う?」

「ほぇ?わたし?」

「うん。だってネプテューヌ、この次元にも行く気でしょ?」

「それは勿論。…んー……」

 

 こういう時、何だかんだ決め手となるのはネプテューヌ。それに罠だった場合、一番危険なのは向こうの次元に向かう人。そう思ってネプテューヌに訊くと、ネプテューヌは頬に指を当てつつ数秒考えて……

 

「…まあ、わたしとしては迷わず行こうよ、行けば分かるさスタンスでいきたいかな。流石に見えてる罠に突っ込むのは嫌だけど、かもしれないで足踏みするのは性に合わないもん」

「…性に合う合わないはともかくとして…かもしれないで停滞させるのは良くない。それはわたしも同意するわ」

「へ…?ブラン様は反対派だったんじゃ…?」

「わたしは可能性を挙げただけよ。例え結論は同じでも、少ない意見で出した答えと考慮を重ねた上での答えじゃ、変わってくるものもあるでしょう?」

「じゃあ…先に誰が行くかを決めて、どうするかはその行く人が選ぶ…っていうのはどうかな?」

 

 驚く5pb.にブランは肩を竦めて、そのブランの返答を聞いたマベちゃんが順番を逆にする事を提案。

 さっき挙げた通り、罠だった場合一番危険になるのは行く人。だからその人が決めるっていうのは、実際かなり理に適ってる考え方。それがあるからか、皆もすぐに同意していって…話は行く人の選考へ。

 

「今回も次元の状況、状態は分からない訳ですし、前回同様まずは二人で行くのが無難ではないかしら。交信の確立さえすれば、増援を送るのは出来ない話ではないですし」

「そうですね。今はわたし達もいますし、こちらで何かあってもある程度対応は出来ると思います。…で、その誰が行くは……」

「一人はわたしでしょ!っていうかいっそ、今回もわたしとネプギア、イリゼのネプイリ見聞録スタイルで行ってみる?」

「た、確かにそれは各地を回れそうなスタイルだけど…あ、でも実際の話…機械に精通したネプギアさんは、やっぱり向いてるのかな…こっちはこれから技術者さんが目覚めてくれる事もあるだろうし…」

 

 腕を組み、旧パーティー組のファルコムがそんな思考を口にする。

 周りを巻き込んで前向きな雰囲気を作れるネプテューヌと、技術面で活躍したネプギア。パーティーの中心を担った二人だけあって、皆の反応も大いに良好。そしてそうなれば、次に注目されるのは私な訳で…うーん……。

 

「…二人で行くなら、私は辞退しようかな。…この場合、辞退って言うのかどうかは微妙だけど……」

「…何か理由があるの?私は前回の時、選出に関わっていないけれど…その時と変わらず、女神の中で一番別次元での経験をしているのは貴女でしょう?」

「まあね。でも実際のところ、あんまり役に立たなかったんだよね、私の経験…。考えてみれば、これまで私が経験してきたのって、『自ら飛んだ』じゃなくて『飛ばされた』経験だし……」

 

 ケイブの質問はご尤も。だから私は頬を掻きつつ、振り返って思った事を皆へ伝える。…一応、戦力や女神としては問題なく役に立てたと思うけど…「別次元での経験が豊富!」という触れ込みに見合う事が出来たかというと…は、はは……。

 

「そう気落ちする事はありませんよ、イリゼさん。あくまで前回は役立てる機会が無かっただけとも言えますし…人員、環境共に余裕のあるこちらへ残る事で、その経験が必要になった時迅速に活用出来るという事もあると、わたしは思います( ´∀`)」

「イストワールさん……」

「あ、イリゼちゃんうれしそ〜」

「うん、うれしそう…(にこにこ)」

「うぇっ!?ちょっ、そ、それは言わないでよ二人共……」

「ふふっ、愛らしいですわね。…では、どうします?イリゼが残るのであれば、ネプテューヌとネプギアちゃんが再び行くという事になりますけど……」

 

 二人どころか皆から温かい視線を向けられ、恥ずかしさから顔が熱くなるのを感じる私。一方話はベールの言葉で結論を出す流れに向かっていって、再び視線はネプテューヌとネプギアの二人の方へ。

 このまま二人に異論がなければ、向かうメンバーは二人に決定。準備が出来たらすぐに行くかどうかも、二人次第。それが分かっているからか、二人は顔を見合わせ、数秒間無言で見つめ合って……

 

「…はい。わたしとお姉ちゃんで、行ってきます」

「任せたわよ、ネプギア、ネプテューヌさん。じゃあ、次は行くタイミング……」

「それは勿論、準備が出来次第だよ!ここで臆したら、プラネテューヌの女神の名が…ネプの名が廃るからね!」

「女神ならともかく、ネプの名がって…百歩譲って貴女はそれでいいにしても、ネプギアの意見も聞きなさいよ」

「あ、大丈夫ですノワールさん。わたしもそう思ってましたし……わたしも、ネプの名は大事なので」

「あ、そ、そうなの…ならまぁいいけど……」

 

 よくネプという単語を使うネプテューヌは分かるけれど、まさかのネプギアも同意見。その驚きに、私達が全員一瞬ぽかんとする中、当の二人は「当然だよね?」「うん、ネプだもんね」…みたいな顔をしていて……ま、まぁ…名前を大事にするのは、大切だよね…。

 

「…えー…はい。それでは、他に意見がなければ今のお二人の発言を以って、決定としようと思いますが……(・ω・`)」

「いいと思うわ。アタクシ達がどうこう言うより、経験を経てる二人の判断の方が重みもあるでしょうし」

「じゃ、早速準備だね!…あ、でも…またわたし達二人がいなくなっちゃったら、プラネテューヌは大丈夫かな…?」

「それは大丈夫でしょ。実質的な損失は一人だし、イリゼが上手く回してたもの」

「ですわね」

「そうね」

「む……幾らノワール達でも、ネプギアへの侮辱は許さないよ?」

『え、貴女の事(だけど・ですけれど)?』

「あ、そうなの?なーんだ、それなら…いやそれだって許さないよ!?むかーっ!」

 

 ぷんすか怒るネプテューヌと、TV通話故に余裕綽々でそのままにまにましているノワール達三人。その愉快なやり取りを見て、私達もふふっと笑い…それからは、向かう日やそれ以降に向けた計画を立案。話が纏まってからは、二人が万全の状態で出発出来るよう、全員で準備を進めていって……そしてその日が、訪れる。

 

 

 

 

「いやぁ、まさか全員がお見送りに来るなんて…照れちゃうなー、も〜!」

 

 出発の当日。前の時と同じように、次元間転移用の機材が設置された部屋に、私達は集まっていた。その理由は…今、ネプテューヌが言った通り。

 

「はいはい、良かったわねねぷ子。…連続になるけど、頑張りなさいよ」

「勿論!あいちゃん達も、こっちの事は任せたよ?」

「ギアちゃん、わたし達も何かあったらすぐ行くですからね。それと、今日のお弁当です」

「わぁ、ありがとうございますコンパさん。…皆も、行ってくるね」

 

 ネプテューヌとネプギア、二人の言葉に私達はしっかりと首肯。前の時は、行く前に色々話したけど…出発としては二回目、入れ替わりや増援を含めれば更に二回こういう事を経ている訳だから、今回はそこまで多くのやり取りはしない。…と言っても、新旧パーティー組の皆はここに来るまでの廊下で二人と色々話してたけどね。

 

「ネプテューヌさん、ネプギアさん。今回も前回同様、まずは交信の確立をお願いします。そして、窮地に立たされた場合は無理せず……」

「こっちからの連絡や救援を待て、でしょ?分かってるって」

「…では、行く前にこちらを(・ω・)つ」

『……?』

 

 そう言ってイストワールさんは、私の方へと右手を振る。それを受けた私は、持っていた端末を二人の方へ。そこに映し出されている、あるデータへ二人が手をやったところで…私は言う。

 

「毎日集計してる、目を覚ました人の人数だよ。勿論、この集計にまだ気付いてない人の分は漏れてるけど、それでも……」

「…うずめさん達と向こうで塔を壊した日以降、目を覚ます人が増えてる…?」

「そう。…ちょっとはやる気の足しになったかな?」

「うん…うん!ちょっとどころか、凄くやる気の足しになったよ!よーしっ、ネプギア!」

「うんっ!」

 

 ぱぁぁ、と表情を輝かせ、それから瞳に強い光を灯して機材の前へ立つ二人。これを聞いた時、ノワール達は「え?それは毎日目を通しておくものじゃ…?」って顔をしてたけど…それに私はぺろりと小さく舌を出して反応。二人なら…少なくともネプテューヌならまた行くと思って、その時やる気に満ちた状態で行けるように、敢えて私達は隠してたんだよね。丁度この集計をしてるって情報を各個人の端末や電光掲示板に流し始めたのは、二人が向こうに行ってる時だったしさ。

 

「じゃあ、今回も…お願いね、いーすん」

「了解です。皆さんも宜しいですか?」

 

 くるりと振り向いたイストワールさんに、もう一度私達は首肯。長い時間をかけてじゃないけど…ちゃんと出来る準備はしてきた。今からも、二人が行った後も、私達に出来る事はある。そして、その一つが…二人を、力強く送り出す事。

 

「…頼んだよ、二人共」

 

 二人を見つめて、最後に私が声をかける。その言葉の中に、二人への信頼を目一杯込めて。

 

「……それでは、開きます」

 

 その言葉と共に、両手を掲げるイストワールさん。イストワールさんは意識を集中し、全員が静かにそれを見つめ……開く扉。別次元へと繋がる、次元のゲート。そして二人は、私達全員を見回した後、にこりと笑って……

 

『それじゃあ、行ってきますっ!』

 

 二人は、もう一つの次元へと飛んだ。力強く、その足で踏み出して。

 

 

 

 

 行きで二回、帰りで一回…合計で三回目になる次元の移動。次元の移動、って言うとかなり大仰な感じだけど…実際には、移動してる時間なんてあっという間なんだよね。って言っても、具体的な時間は分からない…っていうか、そもそも時間の概念自体がなさそうな感じもするんだけどさ。

 で、わたしとネプギアは別次元に飛んだ訳だけど…さぁ、わたしは今どこにいるでしょう!街中?水上?それとも洞窟の中?ううん、わたし達は……

 

「またもや空だよぉぉぉぉおおおおッ!またわたし達空に投げ出されちゃってるよぉぉぉぉぉぉッ!ねぷうううううう…べふぅうぅぅぅぅぅぅぅぅッ!」

 

 ひゅーん!ずどーん!ごろごろごろごろ!中途半端な高度に転移しちゃったわたし達は、女神化をする間もなく地面に衝突!しかもその地面が逆だったせいで、わたしもネプギアも大ローリング!わああああぁぁ!転がるぅぅぅぅぅぅ!

 

『ぎゃああああああああッ!!』

 

 転がって、転がって、また転がって。体感的に数十回、もしかしたら百回以上わたし達は転がって……漸く止まった時、わたしもネプギアももうボロボロだった。身体中に、草とか砂とかが付いていた。

 

「うぅ…凄く酷い目に遭った……」

「おぇ、目が回った…っていうか、いーすん極力通信のきた場所へ飛ばしてくれるって言ってたよね…?なのにこんな林の中って……え、ここ絶対魔獣戦線か何か…?」

 

 ぐるんぐるんする視界でふらつきながら、わたし達はゆっくりと立って周囲を確認。…うーん…ぱっと見、荒廃してる感じはないけど…どこだろ、ここ…。

 

「…どうする…?」

「どうもこうも、これは歩くしかないかな…何かあった時の事を考えると、女神化はまだ温存したいし…」

「だよね……」

 

 という訳で、わたし達は歩き出す。当てなんてないから、取り敢えず高い所から見回そうと思って、わたし達が今さっき転がり落ちた坂の方へ。

 そっちに街があれば嬉しいし、なくても見渡す事が出来れば取り敢えずOK。そう思って、わたし達は暫く歩き……ある程度進んだところで、気付く。

 

「…ネプギア、気付いてる?」

「…うん。これ、結構な数いるね…もしかしてここ……」

「…おっきい群れの、縄張りの中かもねぇ……」

 

 立ち止まり、背中合わせで立つわたし達。するとわたし達の感覚は正しかったみたいで、周囲から…木々の間から、次々とモンスターが姿を現わす。

 ぱっと見で十数体。だけど気配はこんなものじゃない。多分まだ後続がいて…もう、囲まれちゃってる可能性も高い。

 となればもう、戦うしかない。相手の全容が分からない以上、飛んで逃げるのも得策じゃない。そしてそれはネプギアも分かっていたみたいで、わたし達は臨戦態勢を整え……

 

 

 

 

 

 

『え──?』

 

 その時だった。林の奥から、二つの閃光が飛び出して……モンスターに、飛び込んだのは。

 

「ねぷてぬっ!ねぷぎあっ!」

「ここは任せてッ!」

 

 両手に鉤爪を携えた、背は低いのにある部分が凄く豊かな女の子。両手に女神化したノワールの片手剣を一回り小さくしたような剣を持った、普通にスタイルの良い女の子。飛び出した二つの閃光が…現れた二人の女の子が女神である事は、一目で分かった。

 瞬く間にモンスターを迎撃していく二人。一瞬、わたしも…と思ったけど、そんな必要なんてない位、ほんとに二人は圧倒的。その勢いに追いやられて、モンスターは暫く戦った後、一体、また一体と逃げ去っていく。そして……

 

「…ふぅ。一先ずこれで大丈夫そうね。にしても、驚いたわよ。まさか二人が……」

「ねぷてぬっ!ねぷぎあっ!久し振りだねっ!」

「えっ、ちょっ…ぐほぉおおおおぉッ!?」

「えぇぇぇぇぇッ!?」

 

 戦闘が終了し、林の中が静かになった次の瞬間……わたしは片方の女神、女神化を解きネプギアと同じ位の姿格好になった、黄色い髪の女の子に……思いっ切り、タックルをかまされるのだった。




今回のパロディ解説

・「テレワークでも、ホシを挙げる!」
警視庁・捜査一課長の主人公、大岩純一の代名詞的な台詞のパロディ。ここのところ、テレワーク捜査会議として言っていましたが…本日は、違うパターンでしたね。

・ネプイリ見聞録
バラエティ番組。ゴリパラ見聞録のパロディ。ですがこの場合「ネプ」はネプギアも指しているので、元ネタ的にはイリネプ見聞録の方がいいかもですね。

・「〜〜迷わず行こうよ、行けば分かるさ〜〜」
元プロレスラーである政治家、アントニオ猪木こと猪木寛至さんの名言の一つ(の一部)の事。この名言、実は結構長めの言葉なんですよね。

・絶対魔獣戦線
Fateシリーズの一つ、Fate/Grand Order内における特異点の一つ、絶対魔獣戦線 バビロニアの事。街に飛ぶ筈が…という訳ですね。そして飛んだ二人は女神です。
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