超次元ゲイムネプテューヌ Re;Birth3&VⅡ Origins Exceed   作:シモツキ

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第四十五話 その名は神次元

 別次元。それは文字通り、全く次元が違う場所。似てる場合もあれば全然違う事もあって、それも含めて全くの未知。

 意図せず飛ばされてしまった場合は勿論の事、最初から行くつもりでもその先で何が起こるかは分からない。実際、うずめ達のいる次元に飛んだ時は、うずめと早期に出会えてなかったらとんでもなく大変な思いをする事になっていたと思う。

 だからその経験があるにしろ、イストワールさんと思われる人物の存在(声)が確認出来たにしろ、ネプテューヌ達はきっとまた苦労すると思った。万が一の事があれば、何とかしてすぐに私も行こうと思っていた。…そういう心持ちで、私達は二人を見送ったんだけど……

 

「えぇぇぇぇぇぇッ!?もう交信確立出来たの!?早ぁッ!?」

 

 二人が別次元へ行ってから数時間後…少なくとも半日すら経っていない時点で通信が来たって連絡を受けた時には……取り敢えず安堵とかより、驚きの声しか出なかった。…いや、だって…そうでしょ…?一日も経たずにって……確かに前も、結構早く帰れた事はあったけど…それにしてもはっや……。

 

「…という事で、まだ各国に戻ってなかったパーティー一同再集合した訳だけど……」

「やっほー!ファーストミッション、早速クリアしたよー!」

「…巻きなの?そっちの次元の話は数話で終わらせようって事なの…?」

 

 嘘じゃなく(いや勿論疑ってはいなかったけど)、本当に交信を確立出来た事を目と耳で確認した私は、思わずメタ発言をしてしまった。…それ位驚いてるんだって事を、これで分かってほしい。

 

「は、はは…まぁ何にせよ、早期に確立出来たのは喜ばしい事ですね。ご協力感謝します、神次元のわたし(*・ω・)ノ」

「いえいえ。複数の次元に跨っての脅威であれば、こちらにとっても他人事ではありません。出来うる限りの事をさせて頂きますよ、信次元のわたしヽ(*´∀`)」

 

 画面越しに言葉を交わす二人のイストワールさん。もう一つの次元…神次元のイストワールさんはこっちのイストワールさんと同じ位の背丈で、手乗りサイズの二人が向かい合って話している姿はとても可愛い。…生まれた経緯次第だけど…神次元のイストワールさんも、私にとっては姉同然の存在…なのかな……?

 

「こうも早く通信に至れたという事は、想定通りそちらのイストワールの近くへと飛べましたの?」

「あ、ううん!それが全然違くて、街からまあまあ離れた所だったんだよ?しかもまた空中に投げ出されたんだよ?いーすん、わたしが女神じゃなかったら多分いーすんは二回わたしを殺してるからね?」

「うっ…す、すみませんネプテューヌさん…もっと安全に飛ばせられるよう、精進します……(>_<)」

「まあまあネプテューヌさん、大目に見てあげて下さい。先程も申しました通り、今は次元間の状態が正常ではありませんので…(~_~;)」

「いや分かってるよ?分かってるけど…深々と跡が残る程地面にめり込んだり、何十回も転がってぼろっぼろになる経験が今後もあり得ると思うと、ね……」

 

 そう言ってネプテューヌが目を逸らし、私とネプギアが内心頷いていると、珍しくこっちのイストワールさんがたじたじの表情に。…次の機会があるなら、その時は最初から女神化しておいた方がいいかもね…。

 

「…こほん。まぁ、いーすんには普段お世話になってるからこれ位にして…そうだ皆!こっちにもノワールとベールとブランがいたよ!」

「…わたし達が?」

「うん!普段着のチョイスは違ったけどね。ベールは大人っぽさそのままにちょっと格好良い感じの服装で、ブランは白のニーハイが可愛い巫女さんっぽい格好で……ノワールは、こっちでも痴女って感じかな」

「ぶ……ッ!?だ、誰が痴女よッ!」

「え、だってお腹丸出しなんだよ?お腹も背中も見えてるんだよ?その服だって背中が大胆に開いてるし、これで痴女じゃないって言い張るのはねぇ……?」

「ファッションよファッション!っていうか、裸パーカーの貴女には言われたくないわよ!」

「ぶふぅっ!?は、裸パーカー!?失礼な、この下にチューブトップ着てるもん!男の子の期待を裏切るチューブトップがあるもん!」

「いや、何を言い争ってるの二人共…後、男の子の期待を裏切るって……」

 

 とんでもない貶し合いをする二人に対し、私が半眼で突っ込み。私が言わずとも誰かしら突っ込んでだとは思うけど…誰も言わなかった場合、かなり不毛な争いになっていたんじゃないかと思う。

 

「あ、あはははは……で、でも他にも出会いはあったんだよね?」

「うぇ?あ…そうそうこっちでも最初に会ったのは女神だったんだよね!しかも二人!可愛いパーカーとしましまニーハイのピー子…じゃなくてピーシェと、ノースリーブのコートにホットパンツで…あれは、ダメージニーハイ…でいいのかな…?…の、セイツって言うんだ!」

『…ダメージニーハイ……?』

「んとね、太腿の左右と脹脛のところが開いてて、足のとこは指先も踵も出てる独特のデザインなんだけど…引っぺがしてこよっか?」

「い、いやいいから…別にわたし達、そこまで気になる訳じゃないし……」

 

 ネプギアの軌道変更で気を取り直したネプテューヌから語られる、二人の名前。その風通しが良さそうでちょっと惹かれるニーハイはともかくとして……ピーシェ、それに…セイツ、かぁ……。

 

(…イストワールさんも言ったけど…うん、やっぱり二人が幸先良く進められてるなら、それは喜ばしいし安心出来る事だよね)

 

 さっきはあんまりにも驚いてそれどころじゃなかったけど、交信が確立出来たって事はつまり、二人が別次元で孤立してしまう可能性がぐっと減少したって事。加えて信頼出来る人とすぐに出会えたのなら、それは好調な出だし以外の何物でもない。勿論、これはスタートダッシュが成功しただけで、これからも好調に進むとは限らないけど…今は上手くいっている。それは、疑いようのない事実。

 それからは、互いに情報交換…となったものの、言うまでもなくこっちは何も変わってないし、二人だってここまでに語った以上の話なんて殆どないとの事。まだ半日も経ってないから、それ以外で話したい事も特になくて……

 

 

……いや、違う。私には一つ、どうしても訊いておきたい事がある。

 

「…あの、イストワールさん」

「なんでしょう?ええと…イリゼ、さん(´・∀・`)」

「…そちらの次元…神次元に、ローズハート…篠宮アイという女神は、いますか…?」

 

 少し緊張しながら、期待もしながら訊く私。神次元なら、もしやと思って私は訊き…だけど、向こうのイストワールさんは首を横に振った。

 

「…すみません。少なくとも、わたしはその方を存じ上げないです…(-_-)」

「そう、ですか…こちらこそすみません、気を遣わせてしまって……」

 

 期待が表情に出てしまったのか、申し訳なさそうに答えるイストワールさんへ、今度は私が頭を下げる。

 イストワールさんは、「わたしは知らない」と言った。でも多分、イストワールさんが知らないなら向こうには本当にいないんだと思う。となれば、彼女がいるのは向こうとは別の神次元か…或いは、別の時代なのか。

 

「そうだ、わたしは?わたしたちはいるの?」

「ううん。こっちにわたし達女神候補生はいないみたいなんだ」

「おねえちゃんたちは、いるのに…?(きょとん)」

「うん、不思議だね」

「アタシ達も急に生まれたようなものだし、アタシ達がいない次元も割とあるんじゃない?…で、ネプギアはこれから何をするの?」

 

 どっちかは分からないけど、いないものはいないんだから仕方ない。でも、だからって落ち込む事でもない。だって、また会うと約束したんだから。

 そう私が思っていると、ネプギア達は自分達に関する会話を交わして、そこから更にこの後の話へ。

 これから何をするのか。それは至って普通の質問。だけどそれを聞いたネプギアとネプテューヌは、何故か何とも言えない表情で顔を見合わせて……

 

「えーっと、それは……」

「……デート、かなぁ…」

『…………はい?』

 

 非常に、非常に理解に苦しむ答えが私達へと返ってくるのだった。

 

 

 

 

 いーすん達が話していた通り、わたし達も自分の目で見た通り、社会は何の問題もなく回っている。まあそれはそうだよね。まだ猛争モンスターは散見されるレベルらしいし、別次元との繋がりなんて殆どの人はそもそも知らない事だろうし。

 という事で、って訳じゃないと思うけど…そんなちゃんと回ってる、機能してて平和と言っても過言じゃない街の中の案内も兼ねて……わたしとネプギアは、今日会ったばかりの女の子と現在絶賛デート中。

 

「どう?ここの屋台のクレープは美味しいでしょ?店主さん、屋台で売るのが好きだからって事で敢えてお店は持たずに営業してるのよ」

「へ、へぇ〜…そうなんだ……」

 

 まぐまぐと苺とカスタードのクレープを食べながら、楽しそうに語るセイツに頷くわたし。うん、確かに苺の甘酸っぱさとカスタードクリームの濃厚な甘さが絶妙に合ってるし、生地もまだほんのり温かくてとっても美味しいクレープだけど…セイツ、わたし達まだこの状況を飲み込んではいないからね…?後から来たクレープの方が、よっぽど早く飲み込めてるからね……?

 

「(…まぁ、適当に流せって事なのかなぁ…今のところ、デートっていうかただのお出掛けだし…)…ふぅ、ごちそーさま」

「…ねぷてぬ、鼻にクリーム付いてる」

「へ?ほんと?」

「…ほら」

 

 食べ終わったわたしが包みをくしゃりと潰して丸めると、そこで先に食べ終わっていたピー子が一言。わたしが訊き返すと、ピー子はおもむろにわたしの鼻を触って……指が離れた時、そこに付いていたのはカスタードクリーム。…そっかぁ、かぶり付いた時に付いちゃったのかな…よし。

 

「ありがと、ピー子!あむっ!」

「うわっ!?ちょっ、ねぷてぬ!?」

「んー?あ、ピー子が舐めたかった?」

「ち、違うし…!急に指を咥えるなって事!」

「あーそっかそっか。じゃあ次は一言言ってから咥えるね」

「またやる気なの…!?」

 

 ぱくりっ、とピー子の指を咥えてカスタードクリームを舐め取ると、わたわたと慌てながらピー子は憤慨。ふふーん、甘いねピー子!別次元とはいえわたしと交流があったなら、これ位は予想しておかなきゃ駄目だよっ!そしてカスタードクリームも甘くて美味しいね!

 

「ふふっ。前とは違うけど、こういうやり取りをしてる二人もやっぱり素敵ね…♪」

「は、はぁ…あの、セイツさん…お姉ちゃん、多分今セイツさんの事頭にないと思うんですけど、それは……」

「いいのよ別に。だって二人共楽しそうだもの」

「…ピーシェさんはちょっと困ってる感じもあるんですが……」

「…まぁ、確かにそうね。でも……あぁいや、やっぱり何でもないわ」

「……?」

 

 わたしがピー子と話していると、ネプギアとセイツも二人で会話。振り向いてみると、ネプギアは不思議そうな顔、セイツは何やら嬉しそうな顔をしていて…何の話してたんだろ?

 

「全くもう…せーつ、なんでぴぃまで……」

「セイツに呼ばれた時点じゃなくて、ここまで来てからそれを言うなんて…全ての場面が描写される訳じゃない事を分かってる辺り、流石はピー子も女神だね!」

「要らないよそんな評価…!…もう……」

 

 素早く突っ込みを返した後、むすっと拗ねた顔をするピー子。対するセイツは肩を竦めていて、そのまま街の案内を再開。

 大通りを中心に、あまり教会から離れていない距離をぐるりと一周。その内、今は大体半周をしたかどうかってところで……

 

「うーん……やっぱり同じプラネテューヌなだけあって、作りは違っても雰囲気とか感じるものは似てるよね」

「だね。コンパさんやアイエフさんもいるって話だし、かなり信次元とは近い次元なのかも」

「近いっていうか、実は同じ次元かもよ?ほら、ひょっとしたら終盤で『神次元…現在は『かみじげん』と呼ばれているが、本来の読み方は『しんじげん』……即ち、信次元が長い歴史の中で間違って伝わってしまった世界が、ここなのさ』…的な展開があるかもしれないし!」

「そ、それはどうなんだろう…」

 

 何気なくわたしは、ネプギアとこんな会話をした。イリゼが迷い込んだ幻次元も信次元とよく似てたらしいし、そういう事もあるんだって頭では理解してたけど…やっぱり実際に来てみると、なんだか不思議な気分だよね。別次元っていうか、パラレルワールドに来ちゃった感じ?

 

「二人共、何の話をしてるの?」

「え?んーと…『この世界には、秘密がある』的な会話かな」

「いやここは虚構世界じゃないわよ……多分」

「多分!?え、その可能性あるの!?」

「そりゃ、認識出来てないだけって可能性は否定出来ないし…って、そんな事はいいのよ。それよりほら、ここは超次元のネプテューヌが気に入ってたお店よ」

「わたしが?…って、おぉー!」

 

 立ち止まって、くるりと横を向いたセイツの見る先。そっちにわたしも目を向けると…そこにあったのは、ゲームセンター。

 

「こ、ここは…中々のゲーセンオーラを感じるよ…!」

『ゲーセンオーラ…?』

「今わたしが適当に作った言葉だから気にしないで!それより早速入ってみようよ!」

「あ、ちょっ、お姉ちゃん!?まだ案内してもらってる途中なのに…!」

「大丈夫よネプギア。さっきのクレープもだけど、ただ案内するだけじゃつまらないでしょ?」

 

 活気と楽しそうな雰囲気に溢れる、でもふらっと寄るには抵抗もありそうな、正にゲーマー向けって感じのゲーセン。確かにこれは別次元のわたしも気に入る訳だよ!これは入らない訳にはいかないねっ!

 って訳で、わたしはゲーセンの中へと突入。取り敢えず一周して、それから気になるゲームを片っ端から…って、しまった……わたし、こっちでの通貨持ってないじゃん…。

 

「そんな…こんなに楽しそうなのに、見てるだけなんて……」

「…お姉ちゃん?急に落ち込んでどうしたの?」

「どうしたもこうしたも…って、そうだ…!これをわたしとネプギアが神次元を第二の故郷とする為の企画にして、お金出してもらうってのはどうかな!?」

「女神姉妹のあてみなげ!?…って、あぁ…そっか、わたし達クレープも買ってもらった身だもんね…」

 

 ぴゅー、とわたしの心の中を木枯らしが吹く。うぅ、信次元じゃ自分でも軽く引く位お金あるのに、ここじゃゲームを一回プレイする事も出来ない素寒貧…。

 

「…デートって言ってたし、おねだりすればお金貰えるかな……」

「お姉ちゃん…わたし、お姉ちゃんのそんな姿は見たくないよ……」

「あはは、これは流石に冗談だから…うーん、ここはこの次元のモンスターについて知るのも兼ねてクエストやって、それで稼ぐのが一番……」

「いや二人共、そんな事気にしなくていいわよ…わたしが案内しておいて、プレイは自分で稼いでからしろって言うように見える?」

「え?…いやでも、友達とお金の貸し借りをするのはあんまり……」

「なら、ゲームで勝負しましょ?それなら、プレイ代をわたしが用意するのは普通の事でしょ?」

 

 そう言ってにこりと笑うセイツ。その言葉を受けたわたしとネプギアは顔を見合わせて…それから二人でこくんと頷く。物は言いよう、払ってもらう事には変わりないけど……折角そう言ってくれたんだもん。だったら遠慮するより、素直に楽しむ…じゃなかった、挑戦を受ける方がセイツも喜んでくれるよね!

 

「よーし…じゃあ最初はあのレースゲームで勝負だよ!信次元の女神の実力、見せてあげる!」

「へぇ、だったらまずはお手並み拝見ってところかしらね…!」

 

 という事で、わたしはセイツと勝負開始。勿論アーケードのレースだから、コントローラーはハンドルとペダル。ふっふーん、わたしはこういうゲームにも精通してるんだよねー!それじゃあ早速、カーレースファイト……レディー、ゴー!

 

「…………」

「…あの、ピーシェさん。わたし達も何か、やりますか…?」

「…別にいい」

「あ、そ、そうですか…すみません……」

「あっ…べ、別にねぷぎあとやるのが嫌って訳じゃないから。ただ……」

「ただ…?」

「…なんでもない…」

 

 豪快且つ華麗なハンドル捌きで攻めるわたしに対し、セイツは堅実な…でもここぞという時は急カーブでも全然スピードを落とさないスタイル。最初はコースを知ってるセイツがちょっと先行して、でも何とかわたしが喰らい付いて、今は隙あらば抜く、だけどその隙がないからどうしても後一歩届かないって状況。そしてその状況が、二週目になってもファイナルラップになっても続いて……けれどファイナルラップ最初のカーブに差し掛かった瞬間、そこまでスピードを出しながらもきっちり曲がっていたセイツが、初めてカーブを曲がり損ねた。

 その瞬間を見逃さず、フルスロットルからのドリフトでインコースギリギリを取るわたし。ほんの一瞬のミスだったけど、高機動戦と同じくハイスピードの中じゃ一瞬のミスが命取りで……そのカーブが終わった時、わたし達の順位は変わっていた。

 

「もらったーーっ!」

「く……っ!」

 

 わたしとセイツの差はちょっぴり。だけどそのちょっぴりの差が物凄く大きいのがこの勝負。

 抜けたからって、わたしは安全策を取ったりはしない。あくまで挑戦的、一瞬でも早くゴールに辿り着く事がわたしの目的で……

 

「…やるわね、ネプテューヌ……」

 

 車体一つ分、本当に些細なミスでもまた順位が変わっちゃう程の差で……わたしはセイツとのレースに勝つ。

 

「ふぅ…一戦目から熱かったぁ……」

「えぇ、熱くなる勝負だったわね。それに、真剣な…でも心から楽しんでるネプテューヌの姿は、とっても素敵だったわ。ふふふっ♪」

「そ、そっか…そう思ってくれたなら、わたしも嬉しいかな〜…(…やっぱりセイツって、REDと同じそっち系の人…?)」

 

 思った以上に消費の激しかった勝負を終えてわたしがシートに背を預けると、セイツがこっちを向いてにこりと微笑む。それは明るい、良い勝負が出来た事へ対する笑顔だとは思うけど、よくよく見ると瞳にはときめいてる感じの色も浮かんでいて……ま、まぁうん!わたしの考え過ぎかもしれないし、仮にそうだったとしても趣味は各々の自由だもんね!

 

「よっ、っと!ネプギア、信次元組勝利のハイターッチ!」

「えっ?あ、うん!えいっ!」

「ピー子もハイターッチっ!」

「……!はいたーっ……って、ぴ、ぴぃは信次元の女神じゃないし!」

「おわっ…!…ちぇー、つれないな〜ピー子は……」

 

 シートから降りたわたしはぴょこんとネプギアとハイタッチして、その勢いのままピー子ともハイタッチ。…といきたかったところだけど、反射的に手を挙げたっぽいピー子は直前でぷいっと横を向いちゃって、わたしの両手はその場で空振り。むぅ、今ならいけると思ったのに……

 

「じゃあ、今度はピー子やる?ほら、今ならセイツの敵討ちも受けちゃうよ?」

「いや、せーつ死んでないし…」

「なら、セイツの弔い合戦?」

「だからせーつ死んでないし…そもそもぴぃはやりたいとは……」

「うっそだ〜、さっき目をキラキラさせてたのわたしは見逃してないんだからね?ほらほら、やろうよピー子〜!」

「あっ、ちょっ…だからぴぃはいいって……!」

 

 どうもわたしには笑顔を見せてくれないピー子だけど、なんとなく分かる。ピー子は本気で嫌がってる訳じゃないって。

 なら、ちょっと強引でも引っ張ってあげればって思って、ピー子の背中を押したわたしだけど……振り向きざまに、わたしは押してる両手を振り払われる。

 

「…あっ……」

「……っ…!……言ったじゃん、ぴぃはいいって…」

 

 痛くはない、でもそんな事をされるとは思っていなかったわたしは、思わず一歩引いてしまう。するとすぐにピー子もはっとした顔をして、申し訳なさそうな表情になって……またわたしから、目を逸らす。

 明るさに定評のあるわたしだけど、どんな時、どんな状況でも明るくい続けられる訳じゃない。特に振り払われたとなれば、流石にわたしも次の言葉が出てこなくて……わたしもピー子も、ネプギアもセイツも黙ってしまう。

 

「…………」

「…………」

「…あ、そ、そうだ…!それじゃあ次はネプギアが……」

「…ネプテューヌ、ネプギア。二人共、ちょっと待っててもらっていい?…リベンジマッチの為に、ピーシェと作戦会議してきたいの」

 

 気不味さをなんとかしようと思って、ネプギアに話を振りかけたわたし。でもそれより一瞬早く、セイツはピーシェの背中に手を置いてお店の奥へ歩き出す。

 

「わ、ちょっ……!」

「あ…セイツさん……」

「直ぐ済むから、ちょっとだけ待ってて…ね?」

 

 どんどんピー子を連れて行く中、一度振り向いたセイツはわたし達に向けてウインク。そうしてセイツとピー子は行っちゃって、取り残されるわたし達二人。…今の、って……

 

「……ねぇお姉ちゃん。セイツさんって……」

「う、うん…それは言わぬが花だよ、ネプギア……」

 

 歩いていくセイツの後ろ姿を見ながら、わたし達はその疑惑を深めるのだった…。




今回のパロディ解説

・『この世界には、秘密がある』、虚構世界
リトルバスターズにおける、あるシーンでのワンフレーズの事及び、作中のある世界の事。因みにその前の伏線っぽいやり取りは…ふふっ、どうでしょうね。

・女神姉妹のあてみなげ
バラエティ番組、霜降り明星のあてみなげのパロディ。どうでもいい事ですが、このパロを書く時テレビ千鳥の初回もネタの一つとして浮かびました。

・〜〜カーレースファイト……レディー、ゴー!
機動武闘伝Gガンダムにおける、代名詞的なフレーズの一つのパロディ。書いてから思いましたが、このフレーズはかなり色んなシーンでパロディとして使えそうですね。
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