超次元ゲイムネプテューヌ Re;Birth3&VⅡ Origins Exceed   作:シモツキ

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第四十七話 二つの次元、それぞれの女神

 教会のベットでぐっすり寝て、気持ち良く目覚めたねぷ子の神次元生活二日目。元々殆どが擦り傷だったから昨日転げ回って出来た怪我は大体治って、気分も調子も絶好調。という訳でわたしは皆と元気良く朝ご飯を食べて…今は皆と会議中。

 

「つまり、黄金の塔というのはあくまで外見から付けた便宜的な名称ですのね?」

「うん。やっぱりピカピカしてるでっかい棒とかよりはいいでしょ?」

「確かにそんな頭の悪い呼び方はしたくないわね…。…で、対処としてはとにかく壊せばいい、と」

「はい。ただ街中には無いとも限りませんし、社会として機能してる街の中で破壊すると大変な事になってしまいますし、その場合は安全に処理する方法を考える必要があるかなと思います」

「皆で引っこ抜いて生活圏外まで持ってっちゃうとか?」

「う、うん…実際問題、この人数なら出来ない事もなさそうだよね……」

 

 ブランの確認にネプギアが頷いて、そこへ続けてわたしが提案。それにもネプギアは頷いてくれたけど、他の皆は「え、何言ってんの…?」って顔。まぁ確かに、わたしもビル投げ飛ばす経験してなきゃ多分これは思い付いてないだろうしね。

 

「…まぁ、それは見つかってから考えればいいんじゃない?場所によっても対処は変わるでしょ?」

「そうね。それより考えるべきはどうやって見つけるかと……」

「ダークメガミ、って奴の事だよね」

 

 腕を組みながらそう話すのは、セイツ、ノワール、ピー子の三人。全員がっつりじゃないけど、組んだ腕に胸が乗っていて…いいなぁ、わたしもおっきいわたし程とは言わずとも、あれ位は……うーんでもやっぱり、なるならおっきいわたし位の方が…。

 

「…ネプテューヌ」

「ん?どしたのブラン」

「貴女とは、仲良くなれそうだわ…」

「あー…うん、だよね…女神って国民に望まれでもしない限りまず変わらないし、わたし達はズッ友だよね……」

 

 とかなんとか思っていたら、その思考はブランには伝わってたみたいで……わたし達は、固い握手を交わした。…む、虚しくなんてないもんっ!

 

「ふふ、仲睦まじいですわねお二人は」

『…………』

「いや…今のはわたくしもやる流れじゃありませんの…無言で槌と太刀を構えるのは止めて下さいまし……」

「悪ノリする貴女がいけないのよ。…話を戻しましょうか」

「こほん。ではまずどのように見つけるかですが…近付くまでは、視認も察知もできないんですよね?(・ω・`)」

「そうです。信次元の時は、次元全体へ広がっていく空間の歪みみたいなものから逆算して大体の位置を割り出したんですが…」

「こっちでそんな現象はなかったわね。仮に私達全員が見逃してたとしても、次元全体で異常な事が起きたなら、それが私達の耳に入ってこないなんて訳ないし」

 

 この会議は、塔とダークメガミに対する具体的な行動を決めるもの。向こうの次元じゃ、マジェコンヌと一緒に見つかったから楽だったけど…今回はそうはいかないよねぇ…。

 

「ならやっぱり、ぴぃ達で地道に探すしかない感じ?」

「いえ、勿論地道に探す必要はあると思いますが…手当たり次第に探すのは軍やわたし達で動かせる組織に任せた方がいいと思いますよ。こういう事は数がものを言いますし、ダークメガミの件を考えると皆さんにはいつでも動ける状態をキープしておいてほしいですからね( ̄^ ̄)」

「なら、ギルドにも協力してもらって、クエストを受ける人に『道中で何かおかしなものを見つけたら、報告するように』って通達してもらうのもいいんじゃないかしら?」

「そうですわね。次元中を探すとなれば、途方もない時間が必要になりますけれど…ピーシェちゃんやイストワールの言う通り、これは地道に進めるしかありませんもの」

「まぁでも、そこは何とかなるんじゃないかな。だっていつまで経っても見つからない、何も起こらないんじゃ物語として問題だしさ!」

「そんなメタ視点を根拠に言うのはどうかと思うよお姉ちゃん…」

 

 話し合い…って程意見が沢山出た訳じゃないけれど、一先ず塔の方をどうするかは決定。となれば次は、ダークメガミの事。

 

「ネプテューヌ、ネプギア。ダークメガミは、具体的にはどの程度強いのかしら?」

「んっと、取り敢えずこれまでの事を考えるなら、同時に相手出来るのは二体…出来ても三体じゃないかな」

「…あ、でもお姉ちゃん。こっちの皆さんは十全の力を振るえる訳だし、わたし達よりも優位に戦えるんじゃないかな?それにわたし達も、複数回戦った事である程度は特徴とか長所短所が分かってきてるし」

「あー、それもそっか。まあ戦ってみれば分かるよ、うん!」

「いや、それを言ったらわたしが質問した意味ないじゃない…」

「どんまい、せーつ。ねぷてぬが適当なのは前からでしょ?」

「あぁ、言われてみればそれもそうね…」

「うっ…実際適当な事言っちゃったから言い返せない……」

 

 因果応報的な形でピー子に言葉の一撃を受けるわたし。こう…あれだよね。あんまりにも日々ボケてるせいか、軽いジャブ程度のボケじゃ余裕でカウンターされるようになっちゃったよね。わたしはこっちに来てまだ二日目だけど、超次元のわたしが過去に来ている次元な訳だし。

 

「…そうだ、実は信次元での戦闘の前、塔の調査の為に観測機材を設置しておいたんです。映像データもあって、そこにはダークメガミの姿も映ってるので、後でいーすんさんにこっちへ送れないか訊いてみますね」

「助かるわ。じゃあ、可能だったら後でそれを確認するとして…」

「予定通り、見せて頂きますわね。ネプテューヌとネプギアちゃん…いえ、信次元の女神の実力を」

 

 話を切り替えるようにしてちらりとノワールがこっちを見て、続いてベールも視線をわたしとネプギアの方へ。ベールは何やら大佐に昇進する前の少佐さんみたいな事を言ってるけど…別にふざけてる訳じゃない。

 これから共闘する上でも、ダークメガミの強さを想像してもらう為にも、必要なのは皆にわたし達がどの位の力があるかを知ってもらう事。つまり…一回討伐クエストに行って、そこでわたし達の実力を見てもらおうって話だねっ!

 

「ふふん、篤と見るがいい!ってね。…どうする?早速行く?」

「先に塔の捜索の話を各国へした方が良いのでは?(・ω・)」

「その通りね。ルウィーに連絡を入れるから、少し待っていて頂戴」

「はいはーい。じゃあわたし達はクエストの確認しておこっか」

「うん、そうだね」

 

 という訳で短めの会議は閉会して、ノワール達三人は各々自分の国へと連絡。ピー子といーすんも職員さんと話してて、だからわたし達もクエストの準備。内容を見るに、結構レベルの高そうな依頼だけど…ある程度高難度じゃなきゃ、わたし達が本気を出すまでもないもんね。

 そうして皆が連絡を済ませたところで、わたし達は教会から出発。よーしっ、それじゃあ頑張っちゃうよーっ!

 

 

 

 

「せぇぇいッ!」

 

 空中からの突進で、迎撃の水流を鋭く避けつつ斬撃。振り切ると同時に飛び退いて、反撃の頭突きを即座に避ける。

 

「ネプギア、そっちは大丈夫!?」

「大丈夫だよ!お姉ちゃんはそのモンスターに専念して!」

 

 連続して放たれる高圧水流を連続したステップで避けながら、少し離れた位置にいるネプギアへ声をかけるわたし。返ってきた声には張りがあって、ちらりと見た動きにも気になるようなところはない。

 今、わたしとネプギアは戦闘中。討伐対象はわたしが正対しているイルカっぽいモンスター…ドルフィン系統の個体だけど、いざ来てみれば近くにはゴースト系統モンスターもわらわらといて、とても討伐対象だけに集中出来るような状況じゃなかった。だから、わたしとネプギアで分担をしていて……戦況は、概ね優勢。

 

(さて、じっくり攻める事も出来るし、ネプギアがこっちに来てから連携して倒すって事も出来るけど……)

 

 偏差射撃の様にわたしのステップ先へ撃ち込まれた水流を身を屈める事で避けたわたしは、ネプギアとは逆サイド…かなり離れた場所でこっちを見ている皆を見やる。

 別にこれは何かの試験って訳じゃないし、慎重且つ堅実な戦い方だって何も恥ずかしい事はない。でも、皆はわたし達を通じて、『信次元の女神』を見ようとしている。だったら……

 

「鮮やかに、華麗に決めてみせようじゃない…ッ!」

 

 何度目かのステップ回避の末、一気にギアをフルスロットルにするが如く着地と同時に地を蹴りモンスターへと突進するわたし。殆ど予備動作無しに回避から攻撃へ移ったわたしに対し、予想通りに面食らうモンスター。分かり易くモンスターがビクリと反応する中、わたしは一直線に距離を詰めていく。

 そこで慌てて放射される口からの水流。狙いは正確で、驚いた状態から即座にわたしへ当たる軌道の攻撃を放てる辺り、中々侮れない。でも、自分で言うのもアレだけど……流石に相手が悪過ぎたわね…ッ!

 

「まずは、一撃…ッ!」

 

 迫り来る水流がわたしの胴を撃ち抜く直前、わたしは肩を軸とするような挙動で前方宙返り。頭のすれすれを水流が駆け抜けていくのを感じながら、わたしはその宙返りの勢いのまま脚を振り出し、モンスターの頭部へ踵落としを叩き込む。

 

「──ッッ!?」

「あぁいや、さっきのがあるから二撃目かしら?まぁ、どっちでもいい事よねッ!」

 

 頭頂部へと走る鋭い打撃に目を見開くモンスターと、小さく笑みを浮かべるわたしの視線が交錯する。けれどそれも一瞬の事。わたしは打ち込んだ足を軸に、脚へと力を込める事で更に回転し、モンスターの真後ろへと背を向けて着地。そこから振り向きざまに大太刀を振り抜き、横薙ぎの一閃で尾びれを斬り裂く。

 

「依頼の内容はこの川辺に居座られて困るってものだから、ここから退いてくれるなら命は取らな……って、やっぱり通じない訳ね…!」

 

 向こうで数多くの話せるモンスターと会った事もあって、今更ながら一応こっちでも訊いてみたわたし。でもその答えとして返ってきたのは、巨体を活かしたショルダータックルの様な反撃。…まぁ、重い攻撃を複数当てておきながら何を、って話でもあるけど……退く気がないなら、このまま仕留めるだけよ…ッ!

 

「はぁああぁぁぁぁッ!」

 

 下がりつつ大太刀だけはその場に残す事で刃を胴へと食い込ませ、引き抜くと同時に連撃開始。常に正面に立たない立ち回りと緩急を付けた不規則な攻撃でモンスターからの反撃を封殺し、幾つもの刀傷を作っていく。そして……

 

(貰った…ッ!)

 

 完全にモンスターがわたしを見失った瞬間、わたしは跳躍。自分の身長の何倍もの高さまで跳び上がったところで身体を捻り、モンスターの背へと右手の大太刀を投げ付ける。

 

「これで、終わりよッ!」

 

 捻りを加えて投げ付けた大太刀は狙い通りに突き刺さり、大きく仰け反るモンスター。それを視認したわたしは翼を広げ、空を蹴るようにして急降下をかけ……刺さったままの大太刀の柄を、蹴り込んだ。

 深々と突き刺さっていた大太刀は、わたしの蹴りを受けて更に貫入。プロセッサ越しに柄尻の硬さを感じながら、わたしが完全に脚を振り抜いたところで突き刺さっていく大太刀も止まり……浮遊していたモンスターは、痙攣の後その場に落下。わたしが着地する中、モンスターは小さな呻き声を上げ……消滅が始まった。

 

「…依頼達成、っと。ネプギアの方は……」

 

 大太刀を抜き取り、血糊を払うようにして軽く払ったわたしは、視界の端でモンスターを捉えながらも再び視線をネプギアの方へ。わたしが見た時、丁度ネプギアはモンスターの一体を踏み込みからの刺突で仕留めていて…それが決め手となったように、残り僅かとなっていたモンスター達はあれよあれよと散っていく。

 

「ふぅ。終わったわよ、皆」

「みたいね、お疲れ様。中々やるじゃない」

 

 こちらは歩いてくる皆へ、振り向きながら声をかける。中々やる、ね…素直じゃないノワールの事だし、実際には「かなり凄かった」ってところかしら。

 

「ちょっ、勝手に解釈しないでよね!?褒めたんだから言葉通りに受け取りなさいよ!」

「あら、ノワールも地の文読めるのね。…まさか、やっぱり神次元の真実って……」

「…信次元のネプテューヌも女神化しても天然成分は残るのね……」

 

 はっとしてわたしが親指と人差し指を顎に当てると、何やら皆半眼をこちらへ。天然って…セイツも失礼よね。わたしはちょっとした事にも気を配る、抜かりのない女神ってだけなのに。

 

「ネプギアちゃんもお疲れ様ですわ。見事な動きでしたわよ」

「確かにね。けど、貴女にしては…って言っても、超次元の貴女と比較してだけど…近接戦の割合が多かったような気がするわ。何か理由があるの?」

「あ、それはですねブランさん、昨日も話しましたがわたし達はシェアエナジーの供給量が減ってるんです。なので強敵相手ならともかく、今回みたいな余裕のある戦いでは節約しようと思いまして…」

「そういう事。それでもあれだけ戦えるなら……」

「えぇ、十分頼りになるわね。ピーシェも何か言う?」

 

 うんうんと頷くセイツ達に、ネプギアはちょっと照れた顔。妹が褒められた訳だから、わたしとしても鼻が高く……

 

「んー…技術とか判断力は凄いと思うけど…やっぱり、ぴぃ達の方が強いかな」

 

……これは、あれかしら。ピー子はわたしとネプギアに、挑戦状を叩き付けてるのかしら…。

 

「ちょっ、ピーシェ…?なんでそんな事……」

「でも、実際そうでしょ?せーつはそうは思わなかった?」

「…それは……」

 

 ピー子に訊き返されて、反射的に口籠ってしまうセイツ。そのすぐ後に、セイツは何かを言おうとしたけど……こうも軽々しく「自分達の方が強い」と言われてしまったら、朗らかに笑って流せるわたしじゃない。

 

「言ってくれるわね、ピー子。なら…次は貴女達が見せてくれないかしら?昨日もピー子とセイツの戦いは見たけど、あれはすぐに終わっちゃったでしょう?」

「お、お姉ちゃん?気持ちは分かるけど、何もそんな……」

「でも、わたし達だって皆の実力は知っておきたいでしょ?」

「…それは、まぁ…そうだけど……」

「…それに、このままのんびり帰れる…って訳でもなさそうだしね」

 

 そう言ってちらりとわたしが視線を向けた先。流れている川の対岸、小高い丘の様になっている場所の奥に見えるのは、それまで姿を見せていなかった複数体のモンスター。

 

「…皆さん、あのモンスターは……」

「えぇ。あれが猛争モンスターですわ。…で、戦うのはどうします?流石にわたくし達全員では、つまらない程一方的に勝つに決まっていますわよ?」

「…じゃあ、わたしとピーシェで行ってくるわ。いいわよね?」

「うん。ねぷてぬ、ねぷぎあ、助力は必要ないからね?」

 

 言うが早いかピーシェはモンスターの方へと走り出し、セイツも一歩遅れて行動開始。それを見送ったわたしとネプギアは、女神化を解除して二人を見つめる。

 

「あ、そうだ。三人ってやっぱ、片手剣と槍とハンマー使ってるの?」

「そうよ。因みに超次元の貴女はデカいアイスを武器にしてたわね」

「へぇ…えぇぇッ!?超次元のわたし、リアルにアイスソード使ってるの!?」

「えぇ、まあ嘘だけどね」

「あ、な、なんだ嘘か…だとしたら酷いね!こっちのノワール性格わっる!性格のわっる!」

「はぁぁ!?常日頃ふざけまくってる貴女がそれ言える訳!?後何よ性格のわっるって!」

「お、お姉ちゃーん?ノワールさーん?もう戦闘始まりますよー…?」

 

 騙されたわたしがノワールとわーきゃー言い合ってると、隣のネプギアから困ったような声がかかる。それを受けてわたしとノワールが視線を戻すと…丁度その時、二人は跳び上がって女神化していた。川を飛び越え、正に戦闘開始する瞬間だった。

 

「ふっ……さあ、見せて頂戴ッ!貴方達の、感情の昂りをッ!」

『へっ……?』

 

 二人はどんな戦い方をするか。どんな戦いを見せてくれるのか。そう思っていたわたし達の耳へ、まず届いたのは…なんというか、明らかにテンションの上がってる声。え、な、何?貴方達の感情の昂りを…?…セイツって、そういうタイプ…?ノワールと同じで、ハイな部分が引き出されちゃうタイプなの……?

 

「あはははははっ!ぴぃも行っくよーっ!」

 

 かと思えば、続いて聞こえてきたのは何とも元気一杯な声。…二人共、テンションたっか……。

 

「とりゃーっ!」

「はっ、甘いわねッ!」

 

 第一声のインパクトの強さで、ぽかーんとしてしまうわたしとネプギア。でも二人はわたし達が飲み込むのを待ってくれる訳がなくて…というかそもそもわたし達の驚きなんて知る由もなくて、早速モンスターの群れへと突入。ピー子は両腕の鉤爪で、セイツは両手の片刃剣で、モンスターを斬り裂いていく。

 

「……っ…昨日も、凄いとは思ったけど……」

「うん…確かに、ピー子があんな事を言うだけはあるよね…」

 

 一気に中心まで切り込んだ二人は、背中合わせになったかと思えばそこから分かれて二ヶ所での戦闘を展開。

 ピー子の戦闘は、一言で言うなら豪快。それもブランみたいなタイプじゃなくて、もっとワイルドというか、荒削りそのものというか、身体能力にものを言わせたような戦い方。でも別にゴリ押しって訳じゃなくて、回避も間合いの確保も機敏且つ迅速。例えるならそれは、狩りに長けた色んな動物の長所を良いとこ取りしたみたいな戦闘スタイルで……遠くから見るだけでも分かった。ピー子の直感は、凄まじいレベルなんだって。

 

(…対照的、だなぁ……)

 

 一方のセイツは、ピー子に比べると結構堅実。安定していて、実直にモンスターを倒してる。……と、思いきや、不意にセイツは飛び上がったかと思えば、両手の剣を縦に並べて…なんと合体。大剣の様になった二振りの剣を両手で持って、力強い攻撃を仕掛けていく。

 更にその十数秒後、セイツは合体させた剣を分離。再び双剣スタイルで戦ったかと思えば、今度は柄尻同士を合体させ、双刃刀の様になった剣で滑らかに連撃を叩き込む。

 変幻自在。ピー子と同じように、セイツの戦い方も一言で表すのならきっとこれ。一つの戦い方を続けたりはせず、即座に、的確に切り替えていくその戦い方は、どこかわたしのよく知る戦い方の一つとよく似ていて……

 

「…おぉっ!?」

 

 そう思っていた次の瞬間、地を蹴ったセイツがそこから爆発的に加速。群れの長と思われる個体を飛び蹴りで吹き飛ばし、そこから回転斬りで周囲のモンスターも斬り付ける。

 

「…お姉ちゃん、今のって……」

「てりゃーっ!パワー、スラーッシュッ!」

『お、おぉー…』

 

 吹っ飛んだモンスターの進路へ回り込んだピー子は、飛んでくるモンスターに向かって強烈な一撃。叩き付けるようにして打ち込まれたそれは、硬そうなモンスターの皮膚を易々と斬り裂き、衝撃で地面も大きく割れる。

 それだけでもわたしとネプギアは揃って驚きの声を上げちゃった訳だけど、そこからピー子は容赦なく連撃。それは群れの他のモンスターを寄せ付けない程で、しかも無理に接近しようとしたモンスターは全てセイツに横から斬り付けられて、群れの長も防戦一方。

 多分、確かに猛争モンスターは普通のモンスターより強い。それが群れを作るんだから、厄介になるに決まってる。でもこれは…わたし達の時以上に、相手が悪過ぎる戦い方となっていた。

 

「恐れを抱いたのなら退くがいいわッ!貴方達も、感情のない亡骸にはなりたくないでしょう?」

「そーそー!にげないなら、もっともっとぼっこぼこにしちゃうもんねーっ!」

 

 開始からたった数分で形勢が固まり、今やワンサイドゲームとなった戦闘。そして群れの長が大きくぐらついた瞬間、ピー子が右から交差するように鉤爪で、セイツも左からX字を描くように二振りの剣で胴体を斬り裂き、続けて左右からほぼ同時の刺突を傷口へと叩き込む事でフィニッシュ。まともな反撃すらもさせない怒涛の勢いで、群れの長を討伐し……後は、語るまでもない勝負だった。

 

「…はぁ。やっぱり猛争モンスターは心の輝きが霞んでいるわ。残念……」

 

 戦いの終わった、モンスターのいなくなった対岸で、剣を下ろして肩を竦めるセイツ。その表情は、本当に残念そうで……だけどそのセイツとは反対に、ピー子は今も元気一杯。

 

「やたっ、かんぜんしょーりっ!いぇーいっ!」

「…元気だねぇ、ピー子は……」

「うん…それになんだか、ロムちゃんラムちゃんに近い感じかも…」

 

 一飛びで川のこっち側へ二人が戻ってきたところで、わたし達も二人の方へ。小走りで近付きながら、ネプギアと二人話すわたし。…うん、やっぱり女神化したピー子は、ちょっと…いやかなり精神年齢落ちるよね。身体…っていうか胸は対照的に凄いけど……。

 

「ねぷてぬー!ねぷぎあー!ちゃんと見てた?」

「あ、うん見てたよピー子。凄いじゃん!」

「えへへ、でしょー?ピー子もせーつ、ぴぃたちはみーんなつよいっ!」

「みたいだね。わたしもお姉ちゃんと同じ気持ちだよ」

「でしょでしょ?ねぷてぬもねぷぎあも、こっちじゃいつもの力出せないんだよね?だから、むりはしちゃめっ!つよーいぴぃたちがいるんだから、たいへんな時はまかせてねっ!」

「…ピー子……」

 

 そうして合流した時、ピー子は真っ先にわたしとネプギアへ声をかけてきて…わたし達が答えると、ピー子はにぱーっと笑って言う。全力を出せないなら、無理をするなって。自分達がいるから、安心してほしいって。

 そんな事を言われたら、そんな言葉と共に無邪気な笑顔を見せられたら、わたし達だって笑っちゃう。笑顔になっちゃう。全くもー…ピー子ったら、そんな事を思ってたんだね…。

 

「…まぁ、そういう事よ。勿論、わたし達も二人を頼りにするつもりだけど……」

「はい。わたし達も、皆さんを頼りにさせてもらいますね」

「…ふふっ、じゃあ改めて…お互い宜しくね、二人共」

 

 屈託のないピー子とは違う、穏やかな笑みを浮かべたセイツの言葉に、わたし達は首肯。こんなのは、言われるまでもない。だって、わたし達がやろうとしてる事は一人や二人で何とかなる事じゃないし…皆で力を合わせた方が、ずっと早く進むもんね!

 と、そんなこんなで対猛争モンスター戦も終了。ピー子とセイツは女神化を解いて、さぁ帰ろうかという雰囲気に。…あ、でもここって綺麗な川が流れてるし、ここで一休みしてくのも悪くないよね。折角だし、ちょっと水遊びするのも面白そう──

 

「はふぅ、つかれた〜。ねぇねぇ、ねぷてぬねぷてぬ!プリンちょーだいっ!」

「え、プリン?いや確かにプリンと言えばわたしだけど、流石に今は持ってな……」

 

 

『…………え?』

 

 その瞬間、わたしがピー子の発言に言葉を返していたその時、揃って硬直するわたし達。わたし達は固まって、目を見開いて、その目で目の前にいるピー子を見つめる。

 つい今さっき、ピー子は女神化を解除した。という事は、人の姿に、わたしよりも外見年齢が高そうな姿に戻る筈。…その、筈なのに……わたし達の目の前にいたのは、女神化状態と精神年齢があんまり変わらなそうな…ぱっと見ロムちゃんラムちゃんと同じか、それよりも幼そうな……黄色い髪の、ちっちゃな女の子だった。




今回のパロディ解説

・ねぷ子の神次元生活
バラエティ番組、よゐこの無人島0円生活のパロディ。信次元の女神はシェアエナジーさえあれば食事も睡眠も不要なので、無人島に行っても割となんとかなりそうですね。

・大佐に昇進する前の少佐さん
ガンダムシリーズに登場するキャラの一人、シャア・アズナブルの事。発言の方は…分かりますよね。確か過去にもその発言でパロディをした覚えがあります。

・「〜〜つまらない程〜〜いますわよ?」
デュエル・マスターズシリーズのクリーチャーの一つ、暗黒の騎士サガーンのフレーバーテキストのパロディ。えぇ、圧倒的ですよ。圧倒的に勝つに決まっています。
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