超次元ゲイムネプテューヌ Re;Birth3&VⅡ Origins Exceed   作:シモツキ

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第四十八話 知らないあの子の真実は

 わたしとネプギアの実力お披露目を目的としたクエストを完遂して、現れた猛争モンスター相手にピー子とセイツが神次元の女神の実力を見せてくれて、わたし達はお互いどれ程の実力があるか実際に見て確認しつつ、平和維持活動をする事も出来た。

 それは良かった。上々の出来だったし、お互い良い刺激にもなったんじゃないかと思ってる。いやほんと、ネプギアとセイツが「頼りにしてる」と「お互い宜しく」って言葉をかけ合ったところまでは良かったんだけど……

 

「ねぷてぬっ!プリン、おいしーねっ!」

「う、うん…安定と信頼の美味しさだよね、プリンって……」

 

 教会に戻った今、わたし達はプリンを食べていた。わたしはソファに座って、皆も椅子とかソファに座って……そしてピー子は、わたしの膝の上に座って。

 

「……?ねぷてぬ、おなかすいてないの?じゃあ、ぴぃがねぷてぬのぶんもたべてあげる!」

「うぇ!?あ、ちょっ、それは駄目だよ!?」

「ぶー、ねぷてぬのけちー」

「けちって…ピー子もわたしと同じサイズのプリン食べてるじゃん…後、ほっぺにプリン付いてるぞ〜」

「ほぇ?じゃあ、ねぷてぬとってー!」

「はいはい……」

 

 食べるというかかき込む感じでプリンを口に入れていくピーシェは、見た目も中身もちっちゃい子そのもの。無邪気に顔をこっちへ向けてくるピー子の頬からプリンの欠片を取ってあげると、すぐにピー子はわたしが摘まんだままのプリンを食べて……それはもう美味しそうに、幸せそうににっこりと笑う。

 

「ええ、っと…確認なんだけど、君はピー子…なんだよね…?」

「うん、ぴぃはぴぃだよ?」

「うん、キャラ画面開いた時みたいな返しをしてくれてありがとね…(どうしよう、知的な会話が出来そうな感じない…)」

 

 脚をパタパタさせながら答えるピー子は、可愛い。可愛いし、ネプギアがもしもっと小さい姿で生まれてたら、こうしてまったりする事もあったのかなぁと思う位にはほっこりしてるけど、それはそれ、これはこれ。まだわたし、あんまり理解が追い付いてないからね…?

 

「ふふっ、久し振りにねぷねぷの膝に座れて、ピーシェちゃんご機嫌ですね」

「ピーシェらしいというかなんというか…油断してるとほんとに食べられるわよ、ねぷ子」

「だろうね…ねーピー子。わたしゆっくりプリン食べたいから、ちょっと他の人の所に行ってくれない?」

「えー、やだっ!ぴぃはここがいーの!」

「ネプギアのところもやだ?」

「ねぷぎあは……あとでっ!」

「あ、わたしの所にも後で来るんだ…」

 

 そんなピー子の様子を見て、それぞれ穏やかな笑みと苦笑いを浮かべているのはこっちの次元にいるこんぱとあいちゃん。なんでも二人はピー子の幼馴染みらしくて、わたしはピー子の幼馴染みだって事、こんぱとあいちゃんも幼馴染みの関係なんだって事で二重にびっくり。…こんぱとあいちゃんがちっちゃい頃って、どんな子供だったんだろう……。

 

「あぐあぐ…はふぅ、ごちそーさまっ!ねぷてぬ!ねぷぎあ!こんぱ!あいえふ!あそぼっ、あそぼっ!」

「あ、遊ぶ…ですか?」

「うんっ!ぴぃね、かくれんぼしたい!きょーかいでかくれんぼっ!」

「教会でかくれんぼ…あれ?もしやピー子、OR第十五話読んだのかな?」

「…だい、じゅーごわ……?」

「あー、まぁ伝わらないよねぇ……えー、っと…」

 

 プリンを完食するや否や、ピー子はぴょこんとわたしの膝の上から床へと降りる。そのピー子からかくれんぼを提案されたわたしは、どうしたものかとセイツ達の方へ視線を送るけど…返ってきたのは、「遊んであげたら?」というなんとも他人事な視線。一方こんぱ達の方に目をやると、二人共肩を竦めていて…もう、仕方ないなぁ……。

 

「…よし、それじゃあ子供にも人気なねぷねぷが遊んであげよう!でもピー子、わたしは遊びでも本気を出すよ?ピー子はついて来られる?」

「なら、ぴぃもほんきだすっ!」

「お、やる気十分だねぇ。…ネプギアも大丈夫?」

「あ、うん。というか、こんなに屈託のない目で求められたら、無理とは言えないよね…」

「あはは、確かに……じゃ、ちょっとかくれんぼしてきますか!」

 

 ぱくんと残っていたプリンを食べて、ピー子と同じように立ち上がったわたしは、ピー子に引っ張られつつネプギア、こんぱ、あいちゃんの三人と共に部屋の外へ。そこからピー子主導のかくれんぼが始まって、途中から何故か鬼ごっこになって、場所も野外へと移動して走り回る事数十分。それはもうパワフルな、子供は元気が有り余っているんだ!…とばかりに駆け回っていたピー子が木陰で眠っちゃったところで、かくれんぼからチェンジを果たした鬼ごっこもお開きとなった。

 

「はー…つっかれたー……」

「す、凄かったねピーシェさん…まさか、毎回タッチじゃなくてタックルしてくるなんて……」

 

 すやすやと気持ち良さそうに眠るピー子をおんぶして、わたし達は教会へ戻る。…って言っても教会の敷地内で鬼ごっこをしてたから、正確には教会の中に戻る、だけどね。

 

「全く、誘っておきながら自分は途中で寝ちゃうなんて、ほんとピーシェは自由奔放よね」

「ですね。でもぴーちゃん、とっても楽しそうだったです」

「…まぁ、ね」

 

 くたくたのわたし達と違ってまだ余裕そうな(ピー子がわたしとネプギアばっかり追い掛けてきたからだけど…)こんぱとあいちゃんは、わたしの背で寝るピー子を見ながらふっと微笑む。その温かな笑みを見られた事は、二人が嬉しそうにしてる事はわたしとしても嬉しいけど…今の疲労は友達の微笑み一つで吹き飛ばし切れる範囲を超えちゃってるよぉ…。

…なんて事を思いながら、教会の正面扉前へと着いたわたし達。当然わたし達はそこから中に入ろうとして……

 

「おっと」

「……?あ…こ、これは失礼しました。お怪我はありませんか?」

「うん、だいじょーぶだよ」

 

 わたしが扉に手をかけようとした瞬間、その扉が開いて危うくぶつかるところだった。

 中から出てきたのは、どこかの会社の社員さんっぽい数人の男の人。わたしが大丈夫だって返すと、男の人達は一礼した後わたし達に道を譲るようにして街の方へ歩いていく。

 

「…ねぇ、あの人達って教会の職員さんじゃないよね。私用じゃなくて仕事で来たっぽい雰囲気だけど…委託を受けた民間業者さんとかかな?」

「あぁ。あの人達はセブンスジーニア社の社員ね」

『セブンスジーニア?』

「はいです。色んな業界に携わる国際企業で、あのおっきいビルがプラネテューヌの支社なんですよ」

「え、あのビルがですか?…もしかして、機械工学にも携わっていたり…?」

「してますよ。ロボットとか、後は造艦とかもしてるです」

「……!ロボットに、造艦まで…!?」

 

 立場柄気になって訊いてみると、返ってきたのは知らない企業の名前。まぁそれは別次元なんだから当然なんだけど、続くこんぱの説明でネプギアが目を輝かせてしまう。おおっと、これは……。

 

「こ、コンパさん!その企業の事、もう少し教えてもらえませんか!?……はっ、それかセイツさん達に頼めば、見学させてもらう事も……」

「呼んだかしら?」

「はい!…って、え?」

「お帰り、皆。それに…ふふっ、お疲れ様」

 

 キラキラの目でネプギアが深掘りしようとした瞬間、教会の中から聞こえてきたのはセイツの声。噂をすればのタイミングで現れたセイツの方にわたし達が目をやると、セイツはわたし達を…わたしの背で寝るピー子を見て、温かな目をしつつもにやりと笑う。

 

「お疲れ様、じゃないよもー…ピー子を体良くわたし達に任せて、自分達はゆっくりなんて…(でもタイミング的にはナイスだよセイツ!興奮したネプギアにセブンスジーニア社連れて行かれるとか勘弁だったからね!)」

「悪かったわね。でも、皆を指名したのは他ならぬピーシェだし…それに、わたしだって別に何もしてなかった訳じゃないのよ?」

 

 話を逸らせるチャンスだと思ったわたしは、早速セイツの言葉に返答。するとセイツは肩を竦めて、ピー子のおんぶをわたしから代わってくれた。…ふー…これでやっと休めるよ……。

 

「えへへぇ…たー、っち……」

「ふふ、ピーシェさんは夢の中でまだ鬼ごっこしてるのかな?」

「それか、別の遊びをしてるかもしれないわね。ケイドロとか」

 

 むにゃむにゃしながら呟いたピー子の寝言に、また小さな笑みを浮かべながらネプギアとあいちゃんの二人が反応。そこからわたし達は手を洗いに行って、さっき居た部屋に戻るとセイツがソファにピー子を寝かせていて、その様子を見ながらわたしとネプギアはこんぱの入れてくれたお茶を飲んで……

 

「…あのさ、皆。そろそろ…訊いても、いいかな?」

 

 そこで遂に、わたしは切り出す。ずっと気になっていた…でもずっとピー子は、ピー子本人は触れさえしなかった事を。

 

「…ここまで訊かなかったのは、ピーシェに気を遣ってくれたから?」

「気を遣ったっていうか…もしかしたら、訊いちゃ不味い事なのかなって思ったんだ。だってピー子、何事もなかったみたいにはしゃいでたし」

「そう…。…ねぇコンパ、アイエフ。この事は……」

 

 一度ピー子の頭を軽く撫でてから、くるりと振り向いたセイツは静かな声でわたしに訊き返してくる。その質問に答えると、今度はこんぱとあいちゃんの方を向いて、視線と視線で意思疎通。

 それをわたしとネプギアは、何もせず待っていた。何の意思疎通かは分からないけど、多分大事な事なんだと思うから。

 

「……ネプテューヌ、ネプギア」

「うん」

「はい」

「この事は、ちゃんと話すわ。でも…もう少し待ってくれないかしら?二人とはいえ、ピーシェに関する事を、ピーシェが寝ている間に話してしまうのは悪いと思うから」

「そっか、それはそうだよね。じゃあその間に、わたしもちょっとお昼寝しよーっと」

「えぇ…起きるタイミング合わなきゃ二度手間になっちゃうよお姉ちゃん……」

 

 起きるまで待ってほしいと言われたわたし達は頷いて、それからすぐにカーペットへごろん。流石にソファ程には劣るけど、このカーペットも十分ごろごろしたくなる柔らかさだからね。

 

「…ほんと、ピーシェと同じ位能天気よね、ねぷ子も…。…けど、ありがと」

「んー、わたしは何もしてないよ?ねー、ネプギア」

「そうだね。わたし達は普通に接してただけですよ」

「ふふっ、やっぱりねぷねぷとぎあちゃんは優しいですね。二人共、今度はお煎餅どうですか?お茶と合うですよ」

「おー、丁度しょっぱいものが欲しかったんだよね!ありがとこんぱー!」

 

 こんぱにお煎餅を持ってきてもらった事でわたしは起き上がって、ネプギアと一緒に消費したカロリーと塩分を補給。ん〜、甘くてとろけるプリンも美味しいけど、しょっぱいお煎餅をばりばりって食べるのも味があるよねっ。

 

「さてと。じゃあ私はちょっと席を外すわ。ピーシェが起きたら呼んで」

「あぁ、それならわたしもいい?あれも取ってきたいし」

「うん、ひひほ〜」

「駄目だよお姉ちゃん、食べながら喋っちゃ」

「そうですよねぷねぷ。お行儀悪いです」

「…久し振りに見ても、やっぱり違和感あるわね…あれでほんとにネプギアを導いたり、私達を育てたりしたのかしら……」

「あはは…ネプテューヌには悪いけど、正直想像付かないのよね…アイエフ達の育ての親の一人が、ネプテューヌってのは……」

 

 という訳で、ピー子が起きるまでわたし達は思い思いに時間を過ごす。立った二人は勿論、こんぱも一度部屋を出ていって、やる事がないわたし達はピー子のほっぺをつんつんしたり、寝言を聞いて「これってどういう意味かな?」とネプギアと話したり、ネプギアのNギア(昨日の段階で、こっちでも問題なくネットを使えるように調整したんだって)でネットニュースを見たりして時間を潰す事数十分。そうしてピー子が起きたところで……わたし達は、皆を呼ぶ。

 

 

 

 

「ふぁぁ…ぴぃ、もっかいねるー……」

「こーら、話があるんだから起きてなさい」

 

 猫の手みたいなグローブで目を擦る(…擦れてるのかな…?)うとうと状態のピー子と、こっちでも変わらずしっかりしているあいちゃん。務めがあるからって事でノワール達は帰っちゃったから、ここにいるのはさっきと同じ六人で…全員が座ったところで、こほんとセイツが咳払い。

 

「じゃ、まずは…ピーシェ、ゼリーあげる。あーん」

「んぇ?あーん……」

『……?』

 

 話を切り出す…と思いきや、何故かセイツはおもむろにゼリーを持ってきて、それをピー子の口に投入。え、何?寝起きの一杯ならぬ寝起きの一ゼリー?まずはゼリー食べないと目が覚めないとかそういう……

 

「……っ…」

 

 あっ、ピー子が元の(?)姿に戻った。なぁんだ、あのゼリーは元に戻すアイテムだったんだ〜。

 

…………。

 

………………。

 

……………………。

 

『えぇぇぇぇええええッ!?ゼリーで元に戻ったぁあぁぁぁぁぁぁッ!?』

 

 座ってた椅子がひっくり返っちゃいそうな程の勢いで立ち上がり、驚きの絶叫を上げるわたし達二人。い、いやそうでしょ!そりゃそうでしょ!だ、だってゼリー食べたら戻ったんだよ!?ゼリーだよ!?……いやまぁミラクルなキャンディーとかあるけどもっ!

 

「うわぁ!?な、何!?二人とも何事!?」

「そ、それはこっちの台詞だよ!?」

「だから何が!?…って、あれ…?……これ、って…」

 

 びくぅ!…とわたし達の絶叫に驚いたピー子は、何が何だか分からないとでも言いたげな顔。でもわたしが言葉を返すと、更に驚いた顔をした後表情が硬くなって…それから、部屋の中を見回した。

 見回した後、最後にピー子が目をやったのは隣のセイツ。視線を受けたセイツは、ゆっくりと頷いて……

 

「…そ、っか…ぴぃ、昔の姿に戻っちゃってたんだ……」

 

 全部を理解した様子のピー子は、ぽつりと静かに呟いた。

 

「…貴女の事、二人に話しても大丈夫?」

「…うん。自分から公表したい事じゃないけど、隠したい事でもないし…言わなきゃ、二人ももやもやしたままになるでしょ?」

「良かったわ。じゃあ…始めに訊きたいんだけど、二人は『女神メモリー』って知ってる?」

『女神メモリー?』

 

 こくん、とピー子は頷いて、それから少し困ったような顔で肩を竦める。…それだけで、ピー子がこの…現象?…について、どう思っているのかが何となく分かった。

 そのピー子から了承を得て、最初にセイツが言ったのは質問。それにわたし達は小首を傾げ、揃って同じ形で返答。女神メモリー…デスティニーアイランドをクリアした後に手に入るやつだっけ…?

 

「お姉ちゃん、それは違うと思うよ…」

「だよねー…女神メモリーって?」

「そう訊き返す、って事は超次元と同じなのね。…結論から言うと、女神メモリーは適合した人間を女神に変える物質よ」

「へ…?ひ、人を女神に…ですか…?」

「そうよ。…一部の例外はあるけど…神次元の女神は先天的な、女神として生まれた存在じゃない。人間から女神メモリーによって変化した、後天的な存在なの」

 

 少しばかりふざけてみたわたしだけど…セイツの口から発されたのは、わたしの想像を遥かに超える言葉。人間から、女神になるって…そんなの、あり得るの…?っていうか、それじゃあ……

 

「なら…ピー子も、ノワールも、ベールも、ブランも…セイツも全員元々は、人間だったって事…?」

「えぇ、だけどわたしは違うわ」

「え、違う…?」

「さっき言ったでしょ、一部の例外はあるって。…自分自身、分からない部分はあるけど…わたしは初めから、女神として生まれたのよ。未来を紡ぐ為に……根絶すべき邪悪を消し去り、世界を在るべき形にする為にね」

 

 目の前にいる二人も、元々は人間。ノワール達も、最初は人間として生まれた。それはわたしにとって…特に後者なんかは「…冗談でしょ?」って返したくなっちゃうような言葉で(セイツは違うらしいけど)…でもセイツが、嘘を言ってる様子はない。皆だって、当然の事のようにセイツの話を聞いている。

 

「…こほん、話が逸れたわね。人間は女神メモリーを体内に取り込む事で、適合する事で不老の女神になるんだけど…ピーシェの食べた女神メモリーは割れかけてたみたいで、ピーシェは一部が欠けた女神メモリーによって女神になったのよ」

「…それはつまり、不完全な状態の…って、え…セイツさん今、食べたって言いました…?」

「言ったわよ。というか、皆基本的には食べる事で取り込んだらしいわ」

「…女神メモリーって、もしかして食べ物……」

「ううん、外見は掌サイズのシェアクリスタルで、そこらの石よりずっと硬いわよ」

『…………』

 

 あっけらかんと言うセイツに、訊いたネプギアも聞いていたわたしも閉口。…いや、いやいやいや…百歩譲ってさっきまでのピー子なら、まだ分かるよ?けど、ノワール達まで、ぱっと見宝石で実際それ位硬い物質を、口の中に入れて食べたって言うの…?

 

「…もしかして、女神メモリーの適合条件は、物凄く食い意地が張ってるとか、知能指数がアレとかだったり……?」

「失礼な…ぴぃは頭がアレだったりしないよ」

「あ、ご、ごめん。流石にこれは失礼だったよね…」

「ほぇ?でもぴーちゃん、確か女神メモリーを食べちゃった理由は……」

「や、止むに止まれぬ事情があったからッ!そうだよねッ、こんぱッ!」

「あ、あー…そうだった、かもしれないですぅ……」

 

 物凄い剣幕でピー子に迫られて、明らかに『折れた』こんぱ。…気になるけど…一先ずは触れないでおこうかな。取り敢えず今はピー子と女神メモリーの話聞きたいし。

 

「まぁ、食べる事に関しては昔から『そういうもの』らしいのよ。実際問題、掌サイズの物を体内に取り込むなんて、食べる以外じゃ重傷の傷口にねじ込む位しかないでしょ?」

「あぁ、言われてみるとそれもそうだね。でもやっぱり、わたしは抵抗あるかなー」

「…ねぷ子もネプギアも、こっちで女神化する為に食べたんだけどね」

「え、そ、そうなんですか?…そっか、普通別次元じゃ女神化出来ないらしいもんね…でも、わたしも食べたんだ……」

 

 ぽんぽん出てくる意外な事実に、わたし達は驚きっ放し。…どんな味するんだろうね、女神メモリー……。

 

「ともかく、不完全な女神メモリーだったからでしょうね。ピーシェは不老ではなく、成長の遅い女神になったの。そしてそれから……色々あってずっと残していた欠片の方もピーシェは後に食べて、ピーシェは完全な女神になった…と、思われたのよね」

「え、何その引っ張り。もしや今回はここまで?」

「いや言うわよ普通に…食べた事で、間違いなくピーシェは完全な女神になったわ。でも、二回に分ける形になったからなのか、そもそも割れた時点で女神メモリー側に不備が発生したのかは分からないけど……それ以降ピーシェは時々体内のシェアエナジーが乱れて、始めに女神メモリーを食べた瞬間の姿に戻っちゃう症状が起きるようになってしまったの。…それが、戦闘の後に起こった事の真実よ」

 

 そう言ってセイツは締め括った。続けて今ので大丈夫か、と訊くみたいにセイツはピー子の方を見て、ピー子は何も言わずに一つ首肯。

 理解は出来た。でもわたしの中にあるのは、「あ、そうだったんだ!」って感じの思いよりも、「そうなんだ…」っていう感じの思い。ちょっと分かり辛いと思うけど…こう、そもそも後天的な女神とか女神メモリーとかの時点でわたしとしては理解の外にあった事だから、そこへ更に重なってきてももう実感がないというかなんというか…。

 

「そうだったんですね…えっと、じゃあ…さっきのゼリーは、症状に対する薬か何かなんですか?」

「あぁ、あれはただのゼリーで、対処に使ったのは一緒に載せておいたシェアクリスタルの欠片よ。ゼリーと一緒なら、素直に飲んでくれるでしょ?」

「あー、そういう……シェアクリスタルの欠片で治せるんですね」

「治すというか、不調を起こした体内のシェアエナジーを、外部からのシェアエナジーで正す…という感じね。基本的には戻る前に前兆があるから、ピーシェ自身が持ち歩いてる欠片で対処するんだけど……」

「…女神化してると、気付けないんだよね…身体はどっちにしろ変わってるし、精神年齢もぴぃの場合は下がっちゃうし……」

「…説明は以上よ。分かってもらえたかしら?」

 

 特別なゼリーかと思いきや、なんとゼリーは飲んでもらう為の単なるフェイク。そういえば、前にわたしが凄く苦い薬を飲んだ時も、プリンで同じような事をした…っていうか、してもらったなぁ……。

 っていうのはただの思い出だからいいとして、ともかくピー子の事はよく分かった。だからわたし達は、セイツの言葉に揃って首肯。

 

「だいじょーぶ、びっくりな事も多かったけど分かったよ。それに、安心したよね」

「うん。皆さん落ち着いてるから、問題ないのかなとは思ったけど…やっぱりちゃんと戻れるって分かると、安心するね」

「ねぷてぬ、ねぷぎあ……」

「確認だけど、症状は小さい姿になっちゃうってだけで、苦しかったり辛かったりはしないんだよね?」

「…うん。…二人共、心配かけてごめん…それと、ありがと……」

 

 一番不安だったのは、この事でピー子が苦しい思いをしてないかどうか。でもそれが杞憂だったって事がピー子の表情を見て分かったから、わたしは本当に安心して……それが顔に出てたのかな。ピーシェは恥ずかしそうに目を逸らして、頬を掻いて…ちっちゃな声で、言った。ありがと、って。

 

「おー!照れてるピー子かーわい〜!」

「わっ、ちょっ……!?」

「本日もピー子の照れ隠シーン、頂きましたーっ!」

「て、照れ隠シーン!?へ、変な言葉作らないでよ!?」

「いいじゃんいいじゃん!あ、ネプギアも撫でる?ピー子の髪さらさらだよー?」

「あはは…わたしは遠慮しよっかな」

「いや助けてよ!?苦笑してないでねぷぎあもねぷてぬ引き剥がしてよ!?」

 

 見た目はわたしより年上っぽいけど、何故か可愛がってあげたくなっちゃうのがピー子。だから飛び込んでピー子を撫で回してるとピー子は目を白黒させていて…んー、抱き抱えられるサイズのピー子も可愛いけど、こっちのピー子もやっぱり弄り甲斐があるね!

 

「はふぅ、でもほんと良かったよ。わたし、いつの間にかピー子が10年バズーカに入っちゃったのかなとか思ったんだからね?」

「知らないよそんなの…っていうか、皆もなんで助けてくれなかった訳…?」

『いや、(ピーシェ・ぴーちゃん)喜んで(まし)たし……』

「よ、喜んでないからッ!鬱陶しいだけだしッ!」

 

 そんなこんなで楽しい雰囲気が戻ってきて、離れてからもわたしはにっこり。ピー子は不満そうな顔してるけど、長々文句を言わない辺りはほんと良い子。にしても女神化以外で少女と幼女の姿がある女神とか、重傷の傷口に女神メモリーとか、今回も色々と彷彿としちゃう要素多めだったよね!なんでわたしが知ってるんだって話になっちゃうから、これ以上は言わないけどさ!

 って訳で、今回はこの辺で終了だよー!皆、次回もお楽しみに……っと、そうだ。終わる前に、あれだけ訊いておこーっと。

 

「そうそうピー子、さっき寝言で言ってた事なんだけどさー」

「え…ね、寝言…?いや、何の事か知らないけど、寝言について話されても……」

 

 

 

 

「ぷるるとって、ピー子の友達?」

『……──っ!』

「え……?」

 

 その瞬間、時間が止まったかのように凍り付く空気。一瞬で、その一言で四人全員の表情が曇って…わたしは、呆然とする。

 

「…あ、あの…皆、さん……?」

『…………』

「…もしかして、わたし…訊いちゃ不味い事、訊いちゃった…?」

「……ううん、そうじゃ…ないけど…」

「…ぴぃは、その名前…言ってたの……?」

「う、うん…そう、だけど……」

「…そっか……」

 

 凍り付いたままの空気の中、わたし達は訊く。だって分からないから。ぷるるとって人の事も、どうして皆がそんなに暗い…辛そうな、顔をするかも。

 ピー子の質問にわたしが答えると、皆はゆっくりと顔を見合わせる。そして……

 

「…そう、ね…教えるわ、ネプテューヌ、ネプギア。ぷるるとっていうのは、プルルートって人の事よ。彼女は、超次元の二人と共にピーシェ達を育てた一人で……」

 

 

 

 

 

 

「──彼女のもう一つの名前は、アイリスハート。ここ、プラネテューヌを建国した……守護女神よ」

 

 真面目な顔で、真剣そのものの表情で、セイツは言った。ピー子でも、セイツでもない……わたし達の知らない、女神の名を。




今回のパロディ解説

・「〜〜キャラ画面開いた時〜〜」
原作の関連作品の一つ、メガミラクルフォースにおける、ピーシェのキャラクター画面の事。…でもピーシェ、ピーシェって単語を自分の名前だと認識してはいますよね。

・ミラクルなキャンディー
不思議なメルモに登場する特殊な飴の事。今回の場合は若返っているので、具体的には赤いキャンディーですね。勿論赤ちゃんの姿にまでは戻っていませんが…。

・「〜〜デスティニー〜〜手に入るやつ〜〜」
キングダムハーツシリーズに登場するキーブレードの一つ、ロストメモリーの事。そしてデスティニーアイランドもシリーズ中で登場する島(世界)の事ですよ。

・10年バズーカ
家庭教師ヒットマンREBORN!に登場するアイテム(武器)の一つの事。時間が経っても元に戻らない時点で、まぁその可能性は無いのですが…あくまでパロネタですもんね。
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