超次元ゲイムネプテューヌ Re;Birth3&VⅡ Origins Exceed   作:シモツキ

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第五十八話 変わる状況

 あれからやっぱり猛争モンスターが潜んでいた…なんて事はなくて、一先ず安心する事は出来た。

 でもそれから、同じような事がプラネテューヌ以外の三ヶ国でも起こった。四つの国で一回ずつ起きるなんて、そんなのまず偶然じゃないし、マジェコンヌが猛争モンスターを使役してるとか、猛争化させてるとか…そういう可能性が高まってきてるって、皆が考えた。

 だけどマジェコンヌの目的が分からない以上、うちのマジェコンヌが探し出してくれるのを待つしかない。それに黄金の塔の件もあるし、信次元でもきな臭いサイトが出てきたみたいだし、スタートダッシュはばっちりだったのに気付けばわたし達はゆっくりとしか進めてない状態……

 

……え?お風呂?入浴シーン?あーごめんね、もうそのパートは終わっちゃってるんだー。っていうかもう違う日だもん、後日だもん。だから入浴シーンを求められてもどうにもならない…って、言ってるのに何さその目はー。そんなに見たい?適度なサービスは必要な事?…んもう、仕方ないなぁ…じゃあ、ちょっとだけ……。

 

 

「ふー…ほんとお風呂って癒しよね。女神すらこれだけほっこりさせるんだから、入浴を思い付いた人は大したものよ……」

「分かるです…温泉なら身体に良い色んな効能もあるですし、きっと思い付いた人もこれは凄いって…わひゃあっ!?」

「ちょっ、何するのよねぷ子!思いっ切りお湯かかったじゃない!」

「ふふーん、これだけの面子がいるのにただお風呂入るだけなんて、そんなのノンノンだよ!さぁネプギア、わたしに続いてさんはいっ!」

「えぇぇ!?や、やらないよ!?っていうか、その水量は海でやる感じのレベルじゃない!?」

「うわっ、こっちまで…いいよ、ねぷてぬが無差別に攻撃するなら……!」

「ま、待って下さいお二人共!こんな近くでお湯の掛け合いをされては……わぁああぁぁぁぁっ!(><)」

「わぁぁ…!?い、いーすんー…!」

「…まるでピクニックだな。まぁ、浴場だが」

 

 

 はいっ、お終い!もっと見たいならお願いするしかないねっ!それとわざわざ見せてあげたんだから、わたしへの感謝を忘れないよーに!

 

「えいやーとー!」

「て、ぇいっ!」

 

 飛びかかってきた猛争モンスターへ、真上から叩き斬るように一撃。続けて襲ってきた個体の攻撃は太刀の腹で受け止めて、受け流すように横へ跳ぶわたし。受け流されてモンスターがバランスを崩す中、後ろから一気に距離を詰めてきたピー子が鋭い飛び蹴り。そこからピー子は後方宙返りの動きで着地し、手甲から伸びる鉤爪の斬撃で素早く追撃。両手合わせて計六つの爪で斬り裂かれたモンスターは、そのままよろよろと倒れ伏す。

 

「やっるぅピー子!よくわたしの動きが分かったね」

「え、だってねぷてぬお馬鹿だから分かり易いし」

「あー、そっか!確かにわたしは馬鹿の一つ覚えみたいな動きしか…って、なにをー!」

「おぉ、がっつりめのノリ突っ込みが返ってきた…。…嘘だよねぷてぬ。知ってるでしょ?超次元のねぷてぬと、ぴぃ…っていうか、ぴぃ達は沢山戦ってきたんだって」

 

 今ピー子が倒したのが、戦っていた最後の猛争モンスター。わたし達が今いるのは近くに森が見える草原で、発見した数体の猛争モンスターを倒していたところ。

 さらりとかなり酷い事を言ったピー子にわたしが怒っていると、ピー子は肩を竦めて今度こそちゃんとした理由を言ってくれる。…超次元のわたしと同じ戦い方をしてるから、って事かぁ…確かに見た目も性格も同じなら、戦い方だってそうなるよね。

 

「そっかぁ…あ、そうだピー子。さっきから気になってたんだけど、それって手甲鉤…ってやつだよね?」

「うん。ぴぃのは手甲鉤っていうか、鉤爪を仕込んだ手甲だけど」

「で、それって手を握る事で鉤爪が飛び出す仕組みなんだよね?」

「よく分かったね…そうだけど、それが何?」

「うん。だけどさっき、鉤爪出さずにパンチしてた事もあったじゃん?あれ、どういう事なのかな〜って思ってさ」

「あぁ、それなら……」

 

 ピー子が両手に付けてるのは前腕から手の甲までをカバーする手甲で、手を握る事で…というか親指に嵌められたワイヤーを引っ張る事で、鉤爪を出し入れしてるってのは見てるだけで分かった。でもそれだと普通のパンチが出来ない(拳を握ると鉤爪が出ちゃう)筈なんだけど、確かにパンチをしてる場面もあった。だから気になったってのが今のわたしで…それを聞いたピー子は、手の内側をわたしに見せながら拳をグーに。

 するとやっぱり飛び出る鉤爪。意味が分からずわたしが見ていると、ピー子は手を開いて、またグーにして…すると今度は、何故か鉤爪が出てこない。

 

「……?」

「分からない?一つ違うところあるでしょ?」

「むむむー…?」

 

 ぐーぱーぐーぱー。開いて閉じてをする度に出たり出なかったりする鉤爪だけど、拳以外に動かしてる様子はないし、拳だってほんとに開閉させてるだけ。でも拳を見せてるって事は、その拳か腕に何かからくりが……

 

「…って、あぁー!もしかして……親指を内側にするか外側にするかで変わってるの!?」

「正解。内側外側っていうか、正確には指先の位置なんだけど…ま、要はそういう事」

 

 親指を外に出すと、鉤爪は出ない。逆に親指も握った場合は、拳が出てくる。それが手甲鉤の仕組みだったんだって漸くわたしは気が付いて、ピー子もこくんと頷いた。…いいよね、こういうギミックがある装備って。

 

「さてと、それじゃあ帰ろっか。もうここでやる事もないし」

「だね。あ、帰りにプリン食べて行こうよ!」

「いや、ぴぃはこの後もやる事あるし」

「えー、ちょっと位いいでしょー?やる事はわたしも手伝うからさ〜」

「あ、言ったね?じゃあ手伝ってもらおうかな」

「うっ…は、嵌めたねピー子!わたしの純粋な思いを食い物にするなんて……!」

「えぇー…嵌めたも何も、ぴぃはねぷてぬが言った事に乗っただけなんだけど……」

 

 巧みにして巧妙なピー子の話術によって、手伝いを強いられてしまったわたし。うぅ、なんてえげつない「だから手伝いはねぷてぬが言ったんでしょ!?」…ちぇー、やっぱり誤魔化せないかぁ…。

 

「…まぁ、わたしが言い出したんだもんね。だったら先にやる事済ませて、プリンはそれからにしようよ。全部終わった後のプリンは格別だよ〜?」

「いやまあ、それはどっちでもいいけど…ちゃんと手伝ってくれるんだね?」

「もっちろん。ふふん、このベテラン女神ネプテューヌにお任せだよっ!」

「はいはい。じゃ、ねぷぎあとの約束もあるし早く行くよ」

「はーい」

 

 一足先に歩き出したピー子を追って、わたしも隣に。今日はまだ、別の場所にも行かなきゃいけないんだよねぇ。

 

「…あ…ねぷてぬ。さっきはねぷてぬが訊いてきたし、今度はぴぃが一つ訊いてもいい?」

「いいよー、なぁに?」

「ねぷてぬはさ、こういう状況で大きいイベント…沢山の人が集まるイベントを予定通り開催する事を、どう思う?」

「それかぁ…んー、そうだねぇ。わたしは悪くないと思うよ?確かに万が一の事を考えて延期する、っていうのもおかしくはない、というか普通の判断だとは思うけど、敢えて予定通り開催して、何が起こっても対応出来る、何があっても大丈夫ってスタンスを見せれば、皆に安心感を与える事も出来るでしょ?」

 

 何かな?と思って訊き返してみたら、ピー子が口にしたのは真面目な質問。そんな事を訊かれるとは思ってなかったけど、ベテラン女神のわたしは勿論しっかり質問に回答。

 

「でもさ、それで実際に何かあって、誰かが大怪我したり街が破壊されたりしたら、取り返しが付かないよね?」

「うん。だから絶対に大丈夫、って言い切れるなら予定通りやってもいいし、そうじゃないなら延期した方が無難だよね。でも忘れちゃいけないのは、延期したからって安全が保障される訳じゃない、って事かな」

「…それは、そうだね。どこかから猛争モンスターがいきなり街に現れる可能性もあるのは、この数日ではっきりしたし…。……」

「…ピー子?」

「…ねぷてぬ、普段からそうやって真面目な言動をしていれば、もっと周りから尊敬されるんじゃない…?」

「むー?ピー子、それは普段のわたしが尊敬されてないって言いたいのかなー?」

「さてと、答えてくれてありがとねぷてぬ。まだ距離あるし、女神化していく?」

「驚く程のスルー!?ちょっ、自分から振っといてそれは酷くない!?」

 

 わたしとしては真面目に答えたつもりだし、ピー子もそう受け取ってくれたっぽいのに、ちょっとそれを崩したら途端にスルーを決めてきたピー子。むむむ、なんかピー子わたしに対しては妙に生意気じゃない?節々で素直な部分が見えるから怒ってはいないけどさー。

 まあ、そんなこんなでわたしもピー子も街に戻って、女神としての務めを続行。手伝い、とは言ったけど…別次元とはいえここはわたしを信仰してくれてた人達もいる国なんだから、手を抜くつもりなんて欠片もない。それに…ピー子もほんと、わたしへの心のガードを大分解いてくれたみたいだもん。もっと仲良くなる為にも、頑張らなくっちゃね!

 

 

 

 

 信次元の抱える問題も、神次元の抱える問題もまだ解決していなくて、もしかしたら想像も付かないような何かがこの神次元で進んでいるのかもしれない。それが今の状況だし、呑気になんてしていられない。

 でも、焦っても事態は好転しない。何か問題がある時こそどっしり構えて、動かなくちゃいけない時にしっかり動けるよう、心に余裕を持っておくのが大切だってわたしはお姉ちゃんの背中を見て学んだ。そして、心に余裕を持つには好きな事、楽しいって思える事をするのが一番。だから……

 

「わっ、わわっ、わぁぁぁぁ…!い、一杯…色んな機械が一杯だよぉぉ……!」

 

 今、わたしは…遂に念願の、セブンスジーニア社の工場に来ていますっ!

 

「い、色んな機械が一杯って…ネプギアー、語彙が貧相っていうか、単純になってるよー…?」

「これは運搬用かな?あれはフレームだよね?うわっ、あのアームの関節凄い…♪」

「…ねぷぎあってさ、機械が絡むとねぷてぬ以上に周りの声とか聞こえなくなるよね……」

「うん…何気にこの暴走具合を見てると、あぁ、わたしの妹なんだなぁって思うよ……」

 

 視界一杯に広がる多数の機械とそこで作られていくマシンに、心のドキドキが止まらないわたし。うぅ、もっと近くで見たい…触ったり分解したりしたいよぉ……!

 

『わー…へんたいだー……』

「は……っ!?え、へ、変態って言った!?お姉ちゃんかピーシェさん変態って言いました!?」

「ふふ、この様子だとアタシ、貴女とセイツちゃんに取り合いにでもされちゃいそうねぇ」

『へ?』

 

 背後から耳に入ってきたあんまりな言葉に、はっとわたしは我に返って反転。酷い…わたしは自分の好きに正直なだけなのに…っ!

 と、思っていた次の瞬間、お姉ちゃん達とは別の方向から聞こえてきた声。聞き覚えのないその声にわたし達が振り向くと、そこにいたのは……ロボット。

 

「な…なんて遊びを作りつつも、細部で機能性と可動性を追求した外装なの……!?」

「いや、ちょっ…そこじゃないでしょ!?好きって気持ちが強くなり過ぎて、普通の反応が欠落しちゃってるよネプギア!?」

「は、はは…確かに今のねぷぎあの変態具合は、せーつと良い勝負かも……」

 

 何とも目を引く赤紫のカラーリングに、頭部へ走る三本のラインアイ。聞こえたのは電子音声というより肉声って感じだったけど…わたしの目の前にいるのが、メカニカル感溢れる存在である事には変わりなくて……お姉ちゃんの全力突っ込みがなかったら、止まらなくなってたかも…あはは……。

 

「い、いきなり変な事を言ってすみません…それで、貴方は……」

「アノネデスよ。ピーシェちゃん、アタシの事は二人に話してないのかしら?」

「いや、だって…あのねですみたいなヤバい人が普通にいる次元だとは思われたくなかったし…」

「まあ、酷い言い草ね。でもまぁ、相変わらず可愛い呼び方してくれる事に免じて許してあげるわ」

「…ほんと、この人だけは呼び方変えようかな……」

 

 女性的な仕草で話す、アノネデス…さん。何だか話易そうな方だけど、ピーシェさんは早々に辟易とした顔になって……って、あれ?

 

「…あの、ピーシェさん。ヤバい人、この人、って……」

「あぁうん、あれパワードスーツ纏ってるだけで、中身はおと「お・と・め、よ♪」……そういう事だから…」

「へー、あのサイズの全身パワードスーツって…結構凄い事だよね?」

「う、うん。性能にもよるけど、見たところ全然ぎこちない感じはないし…そのパワードスーツについて、少しお話聞かせてもらえませんか…!?」

「あ…しまった、またネプギアのスイッチ入れちゃったよ……ネプギアー、地の文担当なんだから最低限の事はしなきゃ駄目だよー…?」

 

 もしやとは思っていたけど、やっぱりアノネデスさんはロボットじゃなくて人間との事。でもパワードスーツって事ならそれはそれで凄いし、わたしも興味を惹かれっ放し。

 だけどわたしも、流石にここまで来たら我を忘れたりはしない。…え?お姉ちゃんに注意される前の台詞ですか?…あ、あれは…ほら、約束を取り付けておこうと思っただけですし……。

 

「こほん。じゃあ二人は知らないようだし、一応自己紹介しておこうかしらね。アタシはアノネデス。アーさんやマジェちゃんと同じ元七賢人の一人で、今はセブンスジーニアの技術開発部部長兼、サイバーセキュリティー室の室長も行っているわ。二人共、宜しくね」

「あ、はい。わたしは信次元プラネテューヌの女神候補生、パープルシスターことネプギアです」

「守護女神のネプテューヌだよ!なんかネプギアにインパクト持ってかれっ放しだけど、本来愉快でカオスな状況を作り出すのはわたしの十八番だから貴女も覚えておくよーに!」

「えぇ、二人の事情は聞いているわ。じゃ、時間も勿体無いし早く本題に入りましょ」

 

 お互い自己紹介をしたところで、アノネデスさんはくるりとわたし達に背を向けて歩き出し、わたし達も後に続く。

 そう。ここに来たのは、何もわたしが見学したいからってだけじゃない。セブンスジーニア社製の安全確保と何かが起こった際の早期発見をする為の機材、その確認が本来の目的で…わたし達が案内されたのは、工場の地下にあるテストルーム。

 

「…これが、例の……」

「そうよ。これなら場所を問わず使えるし、人々の不安を煽る事もないでしょう?」

 

 ピーシェさんの呟きに、アノネデスさんは首肯。テストルームに置いてあったのは、色々な障害物と…看板、ボール、茂み、それに小鳥と種類もサイズも様々な監視カメラ。アノネデスさんが手元の端末を操作するとその全てが動き出して、しかもボールは転がって、小鳥は飛んでとそれぞれ違和感のない形で移動する。…まぁ、流石に看板タイプと茂みタイプは車輪での移動だったけど。

 

「今用意したのはこれだけだけど、他にもあるわよ?確認しておく?」

「それは別にいい。それより稼働時間とか追従性能は?」

「稼働時間はまちまちよ。大きい上に車輪移動な看板タイプと、小さいのに飛行も出来る鳥タイプじゃ詰めるバッテリーもエネルギー消費も段違いだもの。で、追従性能の方は……誰が飛んでくれるのかしら?」

 

 四台のカメラを展開しながらアノネデスさんが口にする質問。一瞬わたしもお姉ちゃんもその意味が分からなかったけど、すぐに気付く。百聞は一見にしかず、って事なんだって。

 それに気付くのとほぼ同時に、ピーシェさんが一歩前へ。一度こっちに振り返ったピーシェさんは、ちょっと待っててと言って…女神化。

 

「よーしっ!じゃあ、いっくよーっ!」

「はいはいいつでもOK…って、もう飛んでるのね…」

「とりゃー!てりゃー!うりゃーっ!」

 

 光に包まれベールさんと同じかもしかするとそれ以上に大きな胸と、天真爛漫な心を持つ女神の姿になったピーシェさんは、床を蹴るや否やテストルームの中を縦横無尽に飛び回る。スーパーボールが弾むように床から天井へ、天井から壁へ、時には障害物を縫うように。

 その動きを、アノネデスさんは四台のカメラで追う。追ってはいるけど、雰囲気からして追い切れてはいない様子。で、数分後……

 

「あー…これは……」

「あははははっ!おにごっこならぴぃのかちだねっ!」

 

 カメラの映像を見せてもらった時、お姉ちゃんは苦笑いで、ピーシェさんは大笑いしながらそれぞれ感想を口にした。理由は…やっぱり、カメラがピーシェさんを捉え切れていなかったから。

 

「もー、仕方ないじゃない。そもそも女神はスペックが高過ぎるんだもの」

「ま、まあでも大丈夫なんじゃないですか?カメラを設置及び展開する理由って、戦闘の撮影じゃなくて怪しい物や人がいるなら、それを素早く発見する事ですし」

「…ふぅ…けど出来る事が多いに越した事はないし、当日までに少しでも性能を上げておいて。あのねですなら出来るでしょ?」

「あらあら?もしかして、アタシに期待してくれちゃってる?」

「…それだけの実力はあると思っただけ」

「んもう、ノワールちゃん程じゃないけど貴女も素直じゃないわねぇ…けどまあ、やるだけやってみるわ。アタシの腕や作ったものを、『まぁ、こんなものか』なんて思われるのは癪だもの」

 

 今のは素直云々とはまた違う気も…と思ったけれど、ともかくアノネデスさんはやる気な様子。わたし達としても反対する理由はないし、個人的にはどこまで向上するのか気にもなるから、わたしとお姉ちゃんもこくりと二人のやり取りに頷く。

 

「あぁそうだ、それと…っと」

 

 それからピーシェさんは何かを言いかけるも、丁度そのタイミングで鳴り出すピーシェさんの携帯端末。どうやらそれは着信らしくて、ピーシェさんは両手でごめんねのポーズを作った後に、部屋の端っこへと小走りで向かう。

 

「…そうだアノネデスさん、もしかしてですけど…これ、カメラとその周辺機器は共通規格になってるんですか?」

「ご明察、流石はネプギアちゃんね。ところでなんだけど…貴女達、うちのマジェちゃんじゃないマジェちゃんを探してるんでしょう?」

「うん、そうだよ。何か知ってる?」

「さぁ?けどその件、一つ条件を飲んでくれるなら、屋外運用の最終テストを兼ねてこれを捜索に使ってくれても構わないわよ?」

「ほ、本当ですか?…でも、条件って……」

「ふふっ、難しい事じゃないわ。今度でいいから、貴女達の次元のノワールちゃんについて教えてほしいの」

 

 場所を限定されない監視カメラをマジェコンヌさん探しに使えるのなら、わたし達としては凄くありがたい話。でも先に良い話を持ちかけてから条件を提示するのは、相手の力になりたいっていうより、その条件を飲んでもらいたいって意思がある場合に使われる事が多いやり方。勿論必ずしもそうだって訳じゃないけど、わたしは無意識に少し身構えちゃって……だけど、その条件は想像も付かなかった意外な事。

 

「の、ノワールさんについて…ですか?…どうして、そんな事……」

「そんなの、勿論好きだからよ。アタシはノワールちゃんがとっても好みでね。好きな人の事をもっと知りたい、良いところも悪いところも全部理解したいって思うのは、普通の事でしょ?」

「それは、まぁ…でも信次元のノワールの事は、何にも知らないよね?そのノワールの事まで知りたいの?」

「だからこそ知りたいんじゃない。アタシが何も知らないノワールちゃんなんて…あぁ、想像するだけでドキドキするわ……!」

「そ、そうなんだ…うーん…話すだけなら、別に良いよね…?」

「だ、だよね…分かりました、じゃあまた後日……」

「えぇ、いつでも連絡して頂戴!」

 

 ノワールさんの話になってから段々と何かのギアがかかり、遂にはわたしが言い終わるよりも早くくわっと顔を近付けてきながら答えるアノネデスさん。…何というか、この人は察し易くもどこか掴みどころがなくて、確かにただの技術力があるおと…めさんじゃないんだろうって事は、これまでの会話から何となく分かった。…それにしても…このヘルメットも精巧な作りだなぁ…中はどうなってるんだろうなぁ……。

 

「…何やってるの?」

「何って、ガールズトークよガールズトーク。今度は四人でする?」

「ガールズトークって……って、そんな事はどうでもいいから。…ねぷてぬ、ねぷぎあ。今、重要な連絡が入ったの」

 

 そんな事を思っていた数秒後、斜め後ろから聞こえてきた呆れ声。すぐにさっきまでの調査に戻ったアノネデスさんが飄々と答えて、それに声の主であるピーシェさんが呆れ顔を深めて……でもそれを振り払うようにして、真剣な表情をわたし達に向ける。

 

「重要な連絡…?はっ、もしや今どうなっているのか分からない幻影夢e忍者ネプテューヌの最新情報が!?」

「違う!ちょっ、ほんとに重要な事だからふざけないでくれる!?」

「あ、う、うんごめん…それで、その連絡って…?」

 

 いつもの調子でメタ発言をしたお姉ちゃんをぴしゃりと叱り付けたピーシェさんは、改めて訊き直したお姉ちゃんの質問に小さく首肯。そしてわたし達が見つめる中、ピーシェさんはこほんと一つ咳払いをして……言った。

 

「──今、いすとわるから連絡があったよ。ねぷてぬ達の言う、黄金の塔らしきものが……発見、されたって」




今回のパロディ解説

・「…まるでピクニックだな。〜〜」
ゴッドイーター2に登場するキャラの一人、ジュリウス・ヴィスコンティの代名詞的な台詞の一つのパロディ。ネプテューヌ達なら、いつでもピクニックな感じですよね。

・「えいやーとー!」
デュエル・マスターズ プレイスに登場するオリジナルカードの一つ、聖騎士ソックルの台詞の一つの事。緩〜い感じの台詞ですよねぇ、これ。

・『〜〜へんたいだー……』
BanG Dream!シリーズに登場するキャラの一人、青葉モカの台詞の一つのパロディ。より正確に言えば、アニメ(二期)のとあるシーンの台詞ですね。

・幻影夢e忍者ネプテューヌ
原作シリーズの一つの事。知っている方も多いと思いますが、まだ未発売の作品ですね。ふと思い付き、終わりのシーンの前に滑り込んだパロディです。
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