肉集めがてらにでも読んで頂ければ
水着ガレヲンについてはどうだったって?いやあ初めてシェロチケつかっちまいましたよ。
しかしメド子がまさかリミテッド化するとは。
ちなみにこの世界では形式上勇者が最強ということになってるので
基本ハジメらは光輝よりも能力や出力を抑えるアイテムを使用しています。
そしてそんな風に気を遣われて光輝は胃を痛くしています。
「あんた、南雲ハジメっ……どうして」
突然中空から現れ出でし白髪の少年へと酔いも醒め果て向き直る太一であったが。
「そうか、実は勇者よりもって噂は本当だったんだな」
自身を救った鮮やかな手並みには素直に感嘆の念を隠さず、
同時に察する、だからこそあまり表には出ないのだと。
「たく、お前らがついてて情けないぞ」
一方のハジメであったが、ひとまず太一は置いておき、
パシパシパシパシとユエや香織らの頭をはたいていく。
「済まぬの、つい"見"に入ってしまっての」
「ま、助かった……と、言えばこっちもなんだが」
「あっちで何かあったの?」
あとは全員が揃うのと荷物の準備くらいしかもうこちら側でやることはない筈だが。
「ああ、ちょっとイレギュラーなことが起こってな」
ハジメはつい数分前のことを思い出す。
「おい天之河……いい加減にしようぜ」
「そうよ、ここはこうどーんとさ」
そんな言葉を口にするクラスメイトらに囲まれ、
血走った目でメモ用紙を睨みつける光輝。
彼の座る机には、故事成語やらことわざやら古今の名言やらの辞典が山積みにされ
さらに床には丸められた大量のスピーチの草稿の残骸がある。
だが、先程までは月並みだけどこんなのでいいかと、
スピーチの文句はほぼ纏まっていたのである、どうしてまた蒸し返される羽目になったか
それは……。
なんとヘルシャー帝国皇帝ガハルドが御忍びで婚約パーティーに、
強引に参加するとの知らせが入ったのである、しかも……。
"皇帝としてではなく、あくまでも神話大戦を共に戦い生き抜いた戦友としての挨拶だ!
拒んでくれるなよ!ロギンス辺境伯殿、そして光輝よ、
お前のスピーチを楽しみにしているぞ、そろそろ勇者(笑)を俺にも返上させてくれや"
との言葉を添えた上で。
こうなると大変である、ガハルドの戯言を宣戦布告と受け取った光輝、
大分改善してきてるとはいえ、負けず嫌いで融通の利かないクソ真面目な、
自身の本質が途端に頭をもたげさせ、
かくして彼は折角何とか形にしたスピーチの文句を全て白紙に戻し、
再び頭を抱える羽目に陥ってしまったのであった。
「どうせさ、君を笑いに来るに決まってんだから、そこは開き直ろうよ」
「あの男にだけは笑われたくないんです!」
「年寄りのからかい相手を務めるのも若者の役目だよ」
「それはミレディさん一人で間に合ってます」
辛辣な光輝の言葉に、いうようになったねぇこうちゃんと舌を出すミレディ。
すかさずこうちゃん止めて下さい!と光輝の声が飛ぶ、そんな中で。
「南雲、やることがないんだったら、お前も手伝ってくれ」
「え?」
光輝の頼みになんで俺?という表情を見せるハジメ。
「手伝うのが無理ならせめて連名ということにしてくれ
どうせ笑われるならお前も道連れだ」
「だから何でだよ」
「忘れたのか?」
口調こそ冗談めかしてであったが、
視線はハジメを捉えて離さぬままに光輝は言葉を続ける。
「あの時のことを」
到達者の遺産を解き明かしたい、そうハジメが口にした時の周囲の反応は散々であった。
それは禁忌の学問ではないのですか!と真っ先に声を上げたリリアーナを始め
ユエ、シア、ティオら現地人組は言わずもがな。
"私も姫様と同意見です、南雲君にはすでに南雲君自身が培った技術や
知識があるじゃありませんか"(愛子)
"なんかさ、そういうのに手を出してる奴って、ホラ悪役多いだろ?
俺はお前がもしもそうなったりしたらイヤだな"(遠藤)
などといった具合であり、ここまでは半ば予想してたとはいえ……、
さて、この逆風の中をどう説得するかと思案していたところ、
意外な人物が賛成に回ることになり風向きは変わる。
「俺は賛成だな、やったらいい」
その意外な人物、勇者天之河光輝は即座に賛意を示す。
「天之河君!本気ですか!?」
「ええ、本気も本気、むしろ大賛成です」
どうして?といった態の愛子らへと光輝はその理由を説明していく。
「先生、確かに発端は南雲自身の興味や知識欲あってのことだと思います」
「皆はそのことを心配してるんですよ、興味本位で手を出していい物では……」
けどさ、と光輝は今度はハジメへと向き直り続けて行く。
「南雲が継承しなけりゃエヒトたち到達者が本当にただの敵で失敗者になってしまうだろ」
光輝はトンと拳でハジメの胸を叩く。
「それがお前にとっては納得いかない、だからやるんじゃないのか?
そして俺も納得がいかない、だからやって欲しいんだ、
それは間違いなくお前だけが出来ることなんだから」
「…天之河」
「それに、長い歴史の中での人の英知や努力で造り出された物が、
結果的に世界を壊しただけだなんて悲しすぎる…だから、
彼らにとってはやり直しの機会でもあるんです」
お前だけの為ではない、彼らの為、だから決して裏切るなと、
希望の象徴としての偶像を見事に果し切った勇者はそう言っているのだと。
恐怖で縛るのが魔王と称されるのならば、勇者とはきっと信頼で人を縛る存在なのだろう
全く始末に悪い、お互い様かと二人が視線を交わせあう。
但し光輝とて考えが無かったわけではない、勿論語った言葉は紛れもない本心であるが、
ハジメと渡り合えるか分からない、
もしもあいつと相交えるようなことが、敵に回すようなことがあればと、
ジャンヌへとその不安を素直に吐露した際、
彼女は案ずる必要無しとばかりに笑顔でハジメへの付き合い方をアドバイスしたのである。
『彼のような多少ばかり捻くれた、いえ無頼を気取る振りをする者ほど
自分を信じて貰いたい物、孤独を恐れ、信じられる何かを常に求めて止まぬ物なのです』
そしてそういう者は得てして北風の冷たさには耐えられても、
太陽の温もりには弱いのだと。
「それに……敵だからって倒してそれでお終いなんてことにはしたくない、出来るなら俺も」
その"出来るなら"をもしも叶えることが出来るのならばと、
ハジメのみならずこの場の全員が光輝の厚意をそう受け取った。
しかし、その厚意こそが彼の勇者の道をより険しく困難な物にしてしまうのでは?
という不安も抱きながら。
そのことを思い出しながら、しょうがない、
一緒に笑われる程度で少しでも借りを返せるのならと、
ハジメがペンへと手を伸ばしたところで。
「?」
ジータからのシグナルがハジメへと届き、
申し訳なさと、これ幸いさを覚えつつ彼女の元へと向かったという寸法である。
「で、どういう状況で?ってこの人誰?」
ジータたちから説明を受けると、
やかましい女子共に囲まれてスイマセンとばかりに頭を下げ、
今度はハジメが聞き役へと回る。
やはり男同士の方が話しやすいのだろう、
内容その物は先に語ったのと大差なくとも、太一もより込み入った思いを、
ハジメへと語っていくのが、
隣のテーブルへと移動したジータたちにも伝わって来る。
「どうしてさ、どうして……そこまで出来るならもっと早く…さ」
「君もそう思うかい、やっぱり」
「……」
(けど、あんたの気持ち……わかるよ、俺)
吐露される言葉に耳を傾けながらハジメは思い出す。
生まれて初めて"本物"の輝きを見てしまった幼き時の焦燥と劣等感を、
そしてあのステータスプレートの表示を見た時の落胆を。
それでも自分には共にその落胆を分かち合える者がいた、
そんな中でも道を示して貰える者もいた。
だが……もしもたった一人だけでそれを抱えねばならなかったら?
ハジメは思う、もう一人の自分のことを、もしもあいつも一人で、
ベヒモスの足止めをするなどという無茶をしたのならば……それは結局。
(自信が……これからを支える為の、現実に立ち向かえるだけの何かが欲しかったんだな)
この戦いに、これからの戦いに自分の力も少しは関係していた、と、
思いたい自分、そうだと認めて欲しい自分があったに違いないと。
そんなささやかな自信と成功体験さえ手にすることが出来れば、
超常の力を得ることは叶わずとも、堅実で地道でしかし本来の南雲ハジメにとっては、
相応の平穏を手にすることが出来ていたのかもしれない。
―――今となってはお互いあり得たかもという程度の過ぎた話だが。
「別にピンク髪ヤンキーとかになってたわけじゃないですよね?
それくらいで怖気づいてどうするんですか」
間にじれたか、そこで雫が太一へと声を掛ける。
大体外見の変化といえば髪の色くらいでは片付かない者もいるのだ。
「そうだぞ、そこのジータとセクシャルな関係にあるこの男を見よ」
ぐいぐいとシャレムがハジメの頬を掴んで太一へと見せつけるかのような仕草を見せ、
これ参考ねとばかりに香織が中学時代のハジメの姿をスマホの画面に映して太一に示す。
「ボクトアナタトハ別ノ中学ダッタト記憶シテオリマスガ……白崎香織サン」
「手に入れるのちょっと大変だったんだよ」
出どころはさてはお前かとハジメはジータを睨みつけ、
ジータは私じゃないと慌てて首を振る。
「でも、この人は皆が考えてるような負い目を抱えて怖がってるんじゃ多分無いよ」
「?」
それはどういうといった表情の幾人かの女子共へとハジメは続ける。
「怖いのは先生じゃない、太一さんが本当に怖いのは」
「愛ちゃんを受け入れることが出来ない自分自身、ですよね?」
「そうだよね、先生は自分が偉くなったってことで、友達を忘れたり蔑ろにするような
そんな人じゃないことくらいわかってる筈ですよね」
ジータと香織の言葉にコクリと頷く太一、要は自分自身が勝手に戸惑っているだけだ。
畑山愛子は何も変わっていない、あの時、自分が想いを朧気ながらも自覚した頃の
笑顔のままで、また自分を受け入れてくれるであろうこと位は理解出来ている。
流石に求婚となると行き過ぎだったと今では思うが。
だが、それこそが自分にとって最も恐れていることであることも、
取るに足らぬ平凡な自分を輝きの下に晒すことで、
自分本来の価値を否が応でも思い知ることになること……それを。
「足りないのは自信と」
「それに伴う納得か」
またしても太一を残してテーブルを移動し、作戦会議を始める一同、
今度はハジメも一緒である、全く以って失礼極まりない。
「いずれにせよ、一朝一夕にはいくまいて、のう」
さてどうすると女子一同の眼がハジメへと集中する。
「でもさ、どうして……その先生なんだろうな」
「ちっちゃいのが好きだとか」
「何でお前ら俺の顔見るんだよ」
ユエの言葉にまた違った種類の女子どもの視線を感じ憤慨するハジメ。
「ねぇ?なんかハジメちゃん変なんだけど?」
そこでジータがハジメの顔を訝しげに覗き込む。
例によってこの二人に隠しごとはありえない。
もちろん言えないこと言いたくないことについての詮索はしないのがルールではあるが。
そうだ、愛子絡みでもう一つややこしい、というか切実な話があることを忘れていた。
それについてもおいおい話すとして……。
「そ、それじゃあ次は太一さん本人のことも聞いておかないとな
例えば本当にちっちゃいのが単に好きなだけだと、やっぱり困るし」
色々スミマセンと愛想笑いを浮かべつつ、ハジメはまた太一の対面へと座りなおす。
「あのですね……お好きなアニメ……とかその教えて頂けますと……」
「アニメ?この歳でそんなもん見るはずないだろ?」
度重なる放置に流石にイラついているのかぞんざいな口調で応じる太一、
それとは関係なしに、あ、こいつ敵だとハジメは、いや店の客何人かはそう判断した。
「とりあえず結論としては趣味とか特に異常というか猟奇的な物は見受けられないというか」
「ちっちゃいのが好きとかも無かったよね」
「うむ、実に面白みのない、いや普通の男だ」
普通であることはむしろ喜ばしいことであるのだが、何か物足りなさを覚えつつ、
そこでジータがまたハジメの顔を覗き込むように問いかける。
「ねぇ?やっぱり隠しごとしてるでしょ?…それも」
互いに詮索しないのがルールではあるが、しかしながら、
ハジメの"隠しごと"が明確にこの状況に関連していることもジータは察知していた。
ならば別である。
「いや、実はさ……」
ハジメは思ったより早かった、スマンと心の中で詫びつつも、
清水が愛子へと告白しようとしていることをジータらに打ち明けていく。
「幸利め、ついに決断したか」
うんうんと満足げに頷くティオ。
「報われないメガネがまた一人か」
こちらはやや達観したかのようなシャレム。
「いいの?それ話して、清水君に悪いんじゃ?」
いくら隠しごとを察知してもハジメが拒むのならそれ以上は聞かない、
ジータがそういう少女だということは、付き合いの長い香織や雫は当然理解している。
「いや、向こうもそれは織り込み済みで、ミレディにさえ知られなきゃいいって割り切ってた」
「はい、清水さんも実際はハジメさんを通じて、その……、
私たちに聞いてほしかったんだと思います」
「頼られたからには何とかしてやらねばならぬの」
元々太一のことは気に入らなかっただけに、
これで名分が出来たとばかりに、ほくほく顔のティオ。
増してや帰還して以来の清水の愛子たちへの献身っぷりは、
それこそ目を見張るものがあることも当然皆知っている。
何よりいきなり生えて来たような幼馴染と死線を潜り成長を遂げた友、
どちらを選ぶかなど……。
しかし太一の気持ちもわからないわけではない。
「じゃあ……多数決、一応行っとく?」
「今更やるまでも無いと思うが」
「清水君を応援したいって人」
「「「「「「「……」」」」」」」
「で、では満場一致ということで」
こうして太一さんの運命は勝手に決められてしまったのであった。
「すいません散々振り回した挙句、無駄な時間を付き合わさせてしまって」
店を出ると同時に頭を下げるジータへと太一は笑顔で応じる。
多少問題はあるものの、やはり本質はいい人なのだろう。
それを改めて理解してしまうと、また申し訳ない気持ちがジータの胸中に湧き上がって来る。
「でも、正直、彼のどこが皆いいんだい?あれなら…」
「んー」
タクシーを待っているハジメの背中を眺めながら、
勇者の方が絶対、と続けようとした太一の言葉をジータが遮る。
「例えばまっさらな状態で世界中の男の全てを書いたカタログを見せられて
好きなの選んでいいって言われたら」
「……んっ、多分絶対選ばない」
「まだ光輝君の方が可能性あるよね」
「つまりそれが答えなんだな」
恋とは愛とはそういう物なのだろう、正直長所や弁護をつらつらと口にされるより、
ずっと納得がいったと太一は頷く。
「まぁ見ていて飽きぬ男ゆえにの」
ティオの言葉についても頷く太一。
「で、これからどうするんですか?」
「今日の所は帰ろうかと、今からなら終電で間に合いますから」
「もしよければ寝る場所と食事は提供しますから暫く道場に泊まってもらっていいですよ
朝稽古前の掃除さえして貰えればですけど」
「え?あ……いいんですか?」
雫ちゃんとこの朝稽古って……朝4時からだよね、と顔を見合わせるジータと香織。
だから格安でも誰も住み込みたがらないのである。
一方の雫は労働力確保!とばかりに密かに拳を握りしめていたりする。
そんな雫を見やり、彼女もまた自分たちとの交わりで少し変わったのかも、
いや毒されたのかもと思ってしまうジータだった。
タクシーに乗り込み、八重樫道場に向かった太一をひとまず見送り、
校門で待ってますからとようやく愛子に連絡を入れ、一息つくハジメたち。
「さて、ここからは清水のターンだけど、どうするんだ?」
聞いたからにはここから先は任せたぞといったポーズのハジメ。
一応ジータとしては先程思いついたヒントめいた物はある。
魔王ハジメの容貌もそうだが、残クレで買ったという愛子のミニバンは、
フォルムの厳つさが売りであり、その手の人々にとって人気の車種である。
そこから導き出される結論は……。
「愛ちゃんってさ、オラオラ系が好きなんじゃない?」
「オラオラか……」
確かにそれなら太一が男性として興味を持たれないのにも納得は行く、しかし同時に。
「最も幸利には足りぬ要素ではないか、どうするのじゃ?」
心細げなティオの指摘にもまた納得がいく。
しかし味方をするし応援もするが、かといって成就させるまで面倒を見るかといえば、
太一の気持ちも分かるがゆえに、そこまではフェアではない気もする。
「なら大丈夫」
そこでやや唐突にユエが確信めいた声をあげる。
「何か考えがあるのか?ユエ」
「んっ、我に秘策あり」
秘策ねぇ?と訝し気な周囲の反応とは裏腹に、
自信ありげに薄い胸をぱんと叩くユエ、と、そこでようやく会議が終わったとの、
愛子からの連絡が入るのであった。
こうして彼らは久方ぶりにトータスの土を踏むことになり、
パーティについても終始和やかかつ滞りなく終わったことも記しておく。
『やっぱり気が変わったわ、お前らだけで精々楽しめ、またな勇者(笑)』
と、テーブルに置かれたガハルドの書き置きを見るなり、
光輝が鼻血を噴いて卒倒したりはあったが……。
そして月曜、それは一週間の内で最も憂鬱な始まりの日、
大多数の人々が、これからの一週間に溜息を吐き、
前日までの天国を思ってしまう、そんな日の教室にて。
「なぁ、ユエさん……なんで俺こんなの着けなきゃいけないんだ」
「……これはお前の幸福のため、黙って従え」
ユエ手製の眼帯を左目に半ば無理やり装着させられる清水の姿があった。
「何が秘策だ、たく安直にも程がある」
あれだけ自信満々な風で出て来たのはこれかと嘆息せずにはいられないハジメとジータ。
「しかもあれボール紙にマジックで塗っただけでしょ?」
「ああ、見ろよ清水の顔、色移りでパンダみたいになってるぞ、雑な仕事しやがって」
仮にも俺の……とハジメが続けようとしたところで、
ジータが何かに気が付いたような呟きを漏らす。
「もしかしてユエちゃんって欠損フェチなんじゃない?」
「お前なぁ、も少し言葉を選べよ」
折角ちゃんと着け替えたのにと、自己の細胞を培養し再生させた己の腕をハジメは示す。
もちろん、これらの技術もまた医学・生物学等の分野にフィードバックされ、
実用の一途を辿っている。
「それは冗談として、ディンリードさん……いろいろ大変だったんだろうね」
遠い目をして窓から空を眺めるジータ、と、そこに愛子が入って来る。
「ユエさん席について、それに清水君朝からふざけた真似は止めてください」
との叱責の声を聞きながら、そういえばあいつの眼帯は左右どっちだっただろうか?と。
そんなことを思ってしまうハジメであった。
というわけで2ndピリオド終了です。
後は異世界でちょっと戦って貰ってからvs魔王戦で今度こそ完結の予定です。
この話を書いていてまず思ったのは、この原作者さんは
もしかすると悪を書くことが苦手なのかもしれないって事だったりします。
作者自身がハジメを悪キャラにしたいが故に、そう設計してしまったが故に
無理やりしなくてもいい悪いことをさせている、そういう状況を作らざるを得なくなっている
その為に悪い奴じゃなく、意味も無く悪いことをする嫌な奴に見えてしまうんですね。
かといって今更路線は変えられないのではとも思えます、もし変えてしまったら
ハジメが悪である為に倒して来たキャラや、まして今まで付いてきた読者に対しての
裏切りになるので。
でもちゃぶ台返しがあってもいいかもしれません。
野獣死すべしのラストみたいに、最初から主人公も誰もいなかった、事件もなかった。
平凡な青年が一瞬垣間見た白昼夢だった、みたいな終わりでもいいのではと。
それから今回久々に序盤の下りを読んでみたのですが、
その序盤の部分、要は奈落落ちまでの箇所って正直評価以前といいますか
やはり論ずるに値しないという感があります。
教室での態度はともかくとして、少なくともあの世界に於ける錬成師を初めとした
生産職の扱いや、戦闘職との社会的な身分の差であったり
何より周囲がハジメに対して何を求めているのか?
その要求に対してハジメが何をしたのか出来るのか?
それらがまるで不明瞭な以上、何をどうすべきだったのかを論ずることは出来ません。
作者はまずそこを書くべきでした。
ですからいかにハジメが虐げられていようとも、それは強さを手に入れるための迫害であり
後の無法を正当化するための物であって、単にコストに過ぎなく思えるんですね。
図書館のシーンにしても、もしかすると現場で匙を投げられて
もうお前本でも読んどきなって言われたからかもしれないわけでして。
但し魔物肉の効果を差し引いても、割と初期から量産能力の高さは発揮出来ていたので
真面目に修行を積んでいれば重用されていた可能性はあります。
(そこで前述の生産職の扱い云々が必要になって来るわけです)
それから檜山の凶行の理由もよく誤解されている様ですが
あれはハジメの(あくまでも檜山に取って)分を越えたスタンドプレイや
香織との一件以前に自分の想定を超えた評価を得るであろう可能性を恐れたからなので
だから派手にモンスターを足止めしようが、地道に武器を製作しようが
檜山の中でのラインを越えた場合は制裁が待っている事でしょう。
あそこまで露骨なチャンスは無いにしても、月の無い夜を一人で出歩いたり
荷物を両手に抱えて階段を下りたりとかはご用心です。
資材を括ってあったロープに切れ目が入ってたりとかもあるかもしれません。
一番危ないのは何らかの形で戦いが終わりさぁ帰れるぞってなった時でしょうか?
もう目障りなキモオタの造る武器や防具は必要なくなりましたから、狩りは解禁です。
(ちなみに帰れない場合は一気に立場が逆転して無産の戦士より
手に職を持ってるハジメが有利になります、帰還出来た場合でも妙な魔法使う危ない奴らより
工場の機械とかを直してくれる錬成師の方が便利ですから)