貴方の後ろ   作:来翔

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息抜きで書いてみました!
森羅万象様の「無意識レクイエム」を聞いて書きたくなったので!
(何でも許せる方オススメです


貴方の後ろ

スマホで時間を確認すると、18時を示していた。

今日は思ったよりも遅くなってしまった。理由としては、部活の片付けが思ったよりも難航したからだ。

まだ夕方……間に合うな。と少年は考えていた。

「全く……アイツが遅いから……」

 

少年は愚痴を言いながらスマホを仕舞おうとしたその時、突然スマホから着信音が響く。

びっくりした少年が急いで、スマホの画面を見ると見たことがない電話番号が表示されていた。

いつもなら、無視をするのだが今日は何故か無駄な好奇心が勝ってしまった。

 

(いたずら電話かな?とりあえず詐欺とかだったら騙された振りしよう)

 

そんな軽い気持ちで彼は電話に出る。

その電話は

 

『……し……し』

「……よく聞こえないですけど」

『……もし……もし』

 

ノイズが入り交じってよく耳を澄まさないと聞こえない。

流石にこれには恐怖を覚え始めてきた。

 

「もしもし?」

『……今……長い物から出たところ』

「は?ちょっ……!?」

 

それだけを告げると、ブチッと音を立てて切られてしまい電話の切れた音が耳に残る。

 

「長い物から?電車ってことか?間違い電話ってことなのかな?詐欺の電話かと思ったけど拍子抜けだな」

 

少年がつまらなそうに呟いた瞬間

 

「うわっ!?」

 

再び着信音が鳴り響いた。

恐る恐るそれに応えてみると

 

『今……大きな建物が……沢山ある場所……を抜けたよ』

 

ノイズを混じえつつ先程の声と同じような声が電話から聞こえた。そして、先程と同じようにそれだけを告げると電話を一方的に切られた。

 

「……なんなんだよ。今の言い方場所駅前のビル群ってことか。……もしかしてメリーさんのイタズラか?ははっ、今どきメリーさんのイタズラするとか古臭いな」

 

こうは言うものの、少年は悪寒がして仕方なかった。無理してでも明るい雰囲気をかもだしておかないと恐怖で押し潰されそうだった。

 

(そうだよ。メリーさんの装った古臭いイタズラだよ。そもそも僕はメリーさんに恨まれるようなことはしてない。未だに買っててもらったぬいぐるみは捨ててないし大切にしてるんだ)

 

少年はそう思って強気でいようと思った瞬間

 

『今、十字路を……右に曲がったよ』

「っー!?」

 

徐々にではあるが、近づいてきた。それに距離が近くになる度に、声が鮮明に聞こえた。

十字路と言えば、今自分がいる校門から2キロ先にある。この場にいると確実に捕まると少年は感じた。

 

(やばい……やばい……やばい!)

 

少年はスマホの電源を切ると、スマホを鞄の奥に押し込むと校門の目の前にあるバス停に急ぎ足で駆け寄る。

幸いなことに、少年の家は校門からバス等の公共機関を乗らないと着かない場所にある。初めて家が遠いことに感謝していた。

 

(とりあえずバスに乗って……だな。あと2分したら来てくれるな)

 

少年がバス停で待っていると他の部活を終えた生徒達が、ちらほらと彼の後ろに並び出す。

普段なら悪態をつく所だが、今は大人数である方が安心出来た。

 

バスが来ると、出来るだけ窓の付近を避けて普段は座ることがない既に座っている人の隣に座る。

 

(ははっ……普段と真逆のことをしたりして安心してるな。たかがイタズラなのに)

 

座っても少年はスマホを出そうとはしなかった。電源を切っていても着信が来ていたら正気を保っていられないと思ったからだ。

しかし、少年は気づいていない。まだ

 

それからバスに揺られること数十分。二手に分かれた道を左に曲がると家の近くのバス停でバスを降りる。

バスの速度には追いつけまいだろうと安堵したのか、無意識にスマホを取り出した瞬間、少年は声にならない悲鳴を上げた

 

着信が来ていた。しかも、メッセージ付きで

 

『なんで無視するの?ひどいなぁ……。今ね、二手に分かれた道を左に曲がったよ』

 

二手に分かれた道。数分前にバスが曲がった場所だ。少年は気づいてなかったが近くになると共に移動速度が早くなっていた。

危険だと判断した少年は、家まで全力疾走した。部活での疲れなど気にせずに全力で走った。

バス停から家までは500mはあるが、少しも速度を落とすことなく走る。胸が苦しい、しかし彼は走ることをやめない。

 

捕まりたくない それだけの事で。

 

「はっ……はぁっ……はっ。た、ただいま!今日はご飯はいらない!」

 

少年はやっとの思いで家に着くと、勢いよく扉を開けると鍵を閉めるなり一目散に自身の部屋へと駆け出していく。下から母親らしき者からの声が聞こえたが少年はそれを無視した。

今は部屋に籠り、身を隠すことをしたかった。

親に言おうとも考えたが、この歳になってお化けが怖いと言うことが、彼の無駄なプライドが許せなかった。

 

「はっ……はっ……」

 

過呼吸を起こしつつ、部屋の鍵という鍵を閉めカーテンを締め切る。

その時

 

『今ね、貴方が降りた場所に着いたよ。もうすぐ会えるね』

 

電話をつけてもいないのに、ハンズフリーにしてないのに声がスマホから聞こえた。

それが聞こえるなり少年はスマホを枕の下に押し込むと、部屋の角に移動する。ここなら扉も窓も確認出来るしメリーさんのとある台詞も対処出来ると考えたからだ。

 

「……これなら大丈夫だ……大丈夫」

 

呼吸を整えつつ、少年はジッとその2箇所から目を離すことは無かった。

 

それから数分後

 

『もしもーし。今、貴方のお家に着いたよ。お邪魔するね』

 

声の主は話し方が砕けてきた。少年は恐怖と共に怒りが込み上げてきた。何故何もしてない自分が、こんなことをされなければならないのかと

 

『もしもーし。今君のお部屋の前にいるよ。鍵閉めてるねぇ……あはは。警戒心高いねぇ』

 

煽る言葉をかけられるが少年はそれを聞こえてない振りをして、その場を動くことは無かった。

 

それから何時間と待ったが電話の主からの電話は無かった。諦めたのだ、と少年は思い安堵した事で緊張の糸が切れたことで眠りについてしまう。

 

 

『おーきーてー!』

 

どのくらい時間が経ったのかは、分からないが突然聞こえた声で目が覚めた。

寝起きがあまり良くはない少年だが、今回ばかりはすぐに意識が覚醒した。

辺りを見渡すと、消した覚えのない電気が消えていた。これだけで少年の怒りを恐怖で塗り潰すのは簡単だった。

 

『ふふ、ようやく起きた。さーて……今は私は貴方の()()にいるよ』

(後ろ……!?僕は壁を背にしていたのに……)

 

しかし、少年の後ろには壁の固い感触はなく何者かのひんやりとした感触があった。

思わず後ろを少年は振り向いてしまった。

そこには薄く緑がかった癖のある灰色のセミロングに緑の瞳を持つ少女が居た。電気もついてないのに彼女の姿は鮮明に彼の目に写った。

 

 

 

 

 

 

 

 

「やっと見てくれた〜捕まえたよ()()♪」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

少年に向けて手を伸ばしつつ顔を近づけていく少女。少年は間近に迫った緑色の瞳を最後に意識を失った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ん……?」

 

少年は目を覚ました。制服のままだが何故かベットで寝ていた。

恐る恐るカーテンをほんの少し開けると、太陽の光が彼を照らした。

ゆっくりと全身を撫でてみるがどこも怪我はしてない。五体満足。

 

「夢……夢かぁ……」

 

少年はホッとして不意に横を向くと

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「おはよう、秦羅♪」

 

 

例の少女が居た。歪んだ笑顔を浮かべながら少年を見つめていた。

その手には包丁があった。

 

「……な、なんだ……誰なんだよお前!母さん!父さん!」

「私は古明地こいし。よろしくね?」

 

少年は少女の挨拶を無視して両親に叫ぶが駆け足どころか声すら聞こえない。

 

「な、何をした……お前母さんと父さんに何をした!」

 

少年は涙を浮かべながら少女に掴みかかるが、少女は掴まれても笑顔を浮かべたまま。

 

「何もしてないよ。ほんの少しだけ眠ってもらってるだけ。大丈夫、身体に害はないしむしろスッキリとして朝を迎えられるよ」

「なら……なんの用だ!僕がお前に何をした!答えろ……答えろよ!」

「用?決まってるじゃーん」

 

少女は難なく少年は突き放すと包丁を構えながらこう告げる。

 

 

「秦羅にはこっちに来て欲しいから」

 

 

こいし と名乗った少女は 秦羅という少年にナイフを振り下ろす。

彼の脳天目掛けて―




ホラー?のタグ通りあまり怖くないと思います。
もし、リクエストや好評であればこの続編を書くかもです。
初ホラー展開ということで試行錯誤して書きました。「無意識レクイエム」と書きましたが、本作品はこの歌をモデルにはしていないので曲の内容とは一切被りがないのをご了承ください


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