基本ことりと花陽の掛け合いが多めになります。
本編そっちのけで番外編もそっちのけで思いついた話を書いちゃいましたので投稿します。
※一応私の本編である化け物の方でのストーリー展開のその後という形になっています。言ってしまうとμ’sがメジャーデビューをした後のお話になります。
「みんな~!! 新しいお仕事が来たよ!!」
事務所に興奮気味に入ってきた穂乃果の声が響き渡る。うきうきとした様子で入ってきた穂乃果を見れば、楽しそうな仕事内容なのだと分かる。
ただ、わからない点があるとすればその仕事内容だろう。一体どんな仕事なのか、歌関連なのか、ドラマの収録なのか、それともバラエティー番組のゲストだろうか? 穂乃果の言う新しい仕事というのにはいろいろな可能性が含まれていた。
「新しいお仕事?」
みんなの疑問点を代表してことりが穂乃果に尋ねる。
「うん! なんかデュオユニットを3組、トリオユニットを1組新しく作って曲を出すんだって!! 今までにないことだからきっと楽しいお仕事だと思うの!!」
キラキラとそんな擬音があてはまるような瞳でざっくりとした仕事内容を穂乃果はみんなに報告する。確かにスクールアイドルをやっていた時はもちろん、こうしてメジャーデビューをした後も2人の曲は作ってこなかった。いつもμ’sか元々あるユニットで活動をしてきたからだ。ただ、だからと言えばいいのだろうか、そのせいでデビューをしてもスクールアイドルの時と何かが変わったという実感はそんなにはなかった。
もちろん違った部分はあるし、部活の時のように自由にできない部分も、できるようになったことも穂乃果たちは感じてはいる。ある程度の緊張感をもって活動はしていた。だが、人間というものは慣れていくものでこの環境にもなれが生じてくる。それが悪いというわけではないが、デビューをしたのだからスクールアイドルの時のような活動だけをしてへんな慣れを作ってはいけないというのが事務所側の方針なのだろう。だからこそ、やったことのないことに挑戦をさせていく。
「それはいいけど、ユニットはどうやって決めるのよ?」
真姫が穂乃果にそう尋ねる。
「それはね……」
穂乃果は持っていた鞄をごそごそと漁りだし、何かを取り出した。
「じゃーん!! マネージャーが作ってくれたくじで決めるんだよ!!」
ここにいた誰もが予想していない方法でのユニット選出に一同が驚く。しかし、以前にもこんなことがあったと思い出し、みんなが徐々に納得をし始めた。
「決まっていることなら仕方ありませんね。じゃあみんなで引きましょうか」
そう言って海未はくじボックスから出ている棒を一つ握る。そんな海未を筆頭に次々とくじを持つμ’s。
「じゃあ行くよ!! せーのっ!!」
穂乃果の掛け声を皮切りにみんながくじを引いた。
(お願い……。どうか凛ちゃんと2人で歌えますように)
誰かがそんなことを想いながら引くとその少女は緑の紙があるくじを持っていた。そして凛のほうを見るとそこには赤のくじを引いている凛の姿が。ふと凛と目が合う。
「あ、かよちんは緑なんだね~。じゃあことりちゃんと一緒なんだ~」
「花陽ちゃん、ユニットよろしくね」
「うん……。よろしくね……」
もちろん花陽はことりと一緒に歌うことが嫌な訳ではない。むしろ同じユニットとして活動をしているからどういう風に合わせればいいのかはわかってる。そう考えればきっと何事もなくレコーディングもできるはず。いいことづくめなのだ。しかし、花陽は言葉に詰まった。それはなぜか……。
「花陽ちゃん? どうかした?」
「ことりちゃん……。ううん、何でもないよ?」
弱い微笑で花陽は言った。
「そんな言葉を信じられると思う? ずっと一緒にいたんだよ?」
さっきまでのことりのようなフワフワした空気はそこになく、真っ直ぐ花陽を見つめることりの視線があった。
「そう……だよね」
周りは自分のパートナーとさっそく話し合いを始めている。そんな時だからこそ、こうして花陽達が話していても気にすることはないのだろう。それが今の花陽にとっては嬉しいことだった。
「実はね……今回のユニットで凛ちゃんと歌えたらなって思ってたの。ほら、私ってμ’sとして凛ちゃんと一緒に歌うパートとかはあっても、ユニットだと穂乃果ちゃんとことりちゃんと一緒だったから……」
そう。花陽は幼馴染である凛と一緒に歌う曲が今までなかった。だからこそ少しずつ積もっていた想いが今回のチャンスであふれてしまったのかもしれない。
「あ……確かにずっと一緒にいた人と歌いたいって思うよね」
ことりは知っている。ずっと一緒にいた人たちと歌うことの楽しさを。それは活動を始めた当初に穂乃果と海未と一緒に歌っていたことがあるから分かることだ。
と少し暗い話をしているとまるでことりと一緒になることに不満を持っているのではないかとそう思われてもおかしくない話をしていたことに花陽は気がついた。
「うん……。あ、でもことりちゃんが嫌な訳じゃないからね!!」
あくまでも凛と一緒になれればなと思っていた程度のことでそこにそれ以上の想いはない。
「それはわかってるよ~。じゃあ今からでもペア変わってって言ってみる?」
企画が動き始めてしまうと時間が経つにつれて難しくはなるが、まだペアが決まったばかりでの現状なら変更は可能と言えば可能であろう。
「ううん。それはいいよ。恥ずかしいし……何より今回は縁がなかったってことだから、きっぱり諦める」
「本当にいいの……?」
ことりは花陽が無理をしているのではないかと少し心配になる。
「うん! デュオユニット頑張ろうね!!」
が、ことりの心配は花陽の未練のない声色から不要になった。これは凛までとはいかないにしても長い時間を一緒に過ごしてきたからできることなのだろう。でも、ただではことりは身を引かなかった。
「じゃあ頑張ろうか! そして、もしかしたら次があるかもしれないし、その時は凛ちゃんから一緒に歌いたいと思ってもらえるようにしよう!!」
「あ! それいいかも!!」
ことりの提案にこの2人に別の目標ができた。
そしていざレコ―ディンクが終わり、完成した見本をみんなで聞いているとことりと花陽の曲に凛と穂乃果が強く反応を示した。
「ことりちゃんと花陽ちゃんの曲、いいね!! 2人の歌の良さが引き立ってるよ!!」
「すごいにゃー!! なんか落ち着くねー」
この感想を聞いた花陽達は内心ガッツポーズを決める。目標にしていたことが可能になるかもしれないという期待が大きく芽を出した。
そしてCDが発売され、数か月が経とうとしていた。それまでの間次のデュエット曲の話はなく、平穏な日々を過ごしていると、マネージャーから1つの仕事が告げられる。その内容が『μ’sのうちの2人がWヒロインのドラマにヒロイン役で出演することになった』というのと同時に『その主題歌も2人が担当する』というものだった。
この話を聞いた瞬間、ことりと花陽は目を合わせる。久々に来たチャンス、もしかしたらモノにできるかもしれない。そんな予感が2人に出てくると穂乃果がドラマの内容をマネージャーに聞いていた。
どうやら内容はW主人公にWヒロインの恋愛ものらしく、かなり甘い展開があるという。具体的なシナリオはまだできていないそうでざっくりとした内容しかわからないが、今の花陽とことりには気にするものではなかった。
「じゃあ……」
ドラマの内容を聞いた凛が一番最初に口を開いた。
今、一番ここにいるなかで心音が高いのは花陽だろう。自分を誘ってくれるのか、それとも別の誰かを指名するのか……今の花陽にはそのどちらかになるのではないかと思っていた。
しかし……
「その内容ならことりちゃんとかよちんがいいんじゃないかにゃ?」
それは花陽の望んだ言葉ではなかった。
「え……?」
「だって前の2人の曲すっごい良かったでしょ? ああいう感じを出せるのはやっぱかよちんとことりちゃんだけだと思うんだよね!」
「うん! 穂乃果もそう思う! ことりちゃんと花陽ちゃんの脳トロボイスがぴったりだよ!!」
凛の言葉に穂乃果が乗っかり、ことりと花陽以外が2人の言葉に納得をした。
マネージャーからも2人でいいのかと確認される。
頑張ったことが裏目に出た。ことりと花陽の中にある言葉はこれに限る。が、今回も縁がなかっただけだと割り切ることができたのもこういうチャンスがこれからあるかもしれないという未来へ希望を見出すことができたからだろう。
「ことりはやります!」
「私も!」
次のチャンスのために凛が花陽と一緒に2人で歌いたいと思うまで2人の挑戦は影ながら続いていく……。
『これから、南ことりさんと小泉花陽さんによる生ライブです。それではお2人お願いします』
「「はい! それでは聴いてください『好きですが好きですか?』」」
『はい、ありがとうございました~。え~この曲が主題歌になってるドラマではWヒロインを演じたそうですが、南ことりさん、小泉花陽さん。このドラマの見どころはどこでしょうか?』
「はい。え~、この作品はですね、私と花陽ちゃんの2人がそれぞれの彼氏さんとどういった風に歩んでいくのか、どういった形でそれぞれを支えていくのかを考えていく作品になっております。2組がどういったことを選択していくのかを楽しんでもらいたいなと思ってます!」
「そして、今回の主題歌は私たちが歌わせてもらっているんですけど、作品の内容に沿って、別の曲がエンディングで流れたりもするので最後の最後まで楽しめると思うので毎週楽しみにしていてください! 私とことりちゃんのソロ曲も流れたりするかもしれませんよ……?」
「「新日曜ドラマ『好きですが好きですか?』明後日の夜10時から放送です」」
「初回は30分拡大なので……花陽ちゃん」
「次の週からは10時30分からの放送になります」
「「次の日も頑張れるように私たちで、甘々な時間を過ごしませんか?」」
今回この話を書くに至った経緯
μ’sの曲をランダム再生にしていたら告白日和が始まる。
↓
終わったら好き好きが始まる。
↓
あれ? この2人だけ既存ユニットだったよな……?
↓
花陽と凛って一緒に歌ったことなくない?
↓
凛って穂乃果とデュオだよな?
↓
きっと花陽とことりなら一緒に歌おうと気を引こうとするんじゃ……
↓
よし書こう