続くかは未定です。
最初は献血。いつもの募金のようにそう言ったものに参加する習慣があった咲太は特に何も考えずそれに応じた。
そこからはなんとも急展開が続いて、何故か自分が世界の存続のための任務に補欠みたいな形で参加することになった。まあ、確かにバイト代は良かったし大学へ進学するつもりの咲太としてもその多額の報酬金は魅力的ではあった。まあ、長期休みの間彼女の桜島麻衣に会えないことを除けばだったが。まあ、そこまでは良かったのだが、そこから組織内の裏切り者により説明の最中居眠りしたことでミッションから外された咲太と死にかけたけどデミサーヴァントになったマシュ・キリエライト以外の《特異点F》へ派遣されるはずだったマスターたちが軒並み全滅し、さらにその《特異点F》をどうにか修正したと思ったら人類が滅んだ上に7つもの特異点が出現し、さらに期限までにそれを修正しないと人類の滅びが確定するという状況となり、一年半かけてそれを全て修正した。そして2017年の初め、人類が復活したと同時に彼は、麻衣に連絡を入れた。
「もしもし、桜島です」
「あ、麻衣さんですか?咲太です」
「どうしたの咲太?こんな時間に」
きっとまだ麻衣は一年半もの間自身の時間が止まっていたことに気がついていない。聞いていてそれがわかった。
「どうしても麻衣さんの声が聞きたくて電話しちゃいました」
「そう…本当に大丈夫?声震えてるわよ」
この一年半、努めて封じてきたものが一気に噴出しようとしてるんだろう。声が震えてるというのは自分でもわかった。
「後、僕まだそっちに帰るのにかなりかかると思うので、引き続き花楓のことよろしくお願いします」
「それはわかったけど、帰るのにどれくらいかかりそう?」
「わからないです。今世界がかなり変なことになってて少ししたら麻衣さんも知ると思うんですけど、とにかくそれでこっちもだいぶゴタゴタしてて」
「わかったわ。とりあえず帰れそうな日がわかったら連絡して」
「電話は毎日したいなぁ」
「私も撮影とかあるし、そもそも海外からだと時間合わないし、お金かかるでしょ」
「はーい。とりあえずまたね麻衣さん」
「またね咲太」
電話を切る。一年半ぶりに聞いた麻衣の声はよく知るものと全く変わらなかった。それもそうだ。向こうからしたらまだ最後に会ってから二週間しか経っていないのだ。そんなことを考えていると見た目モナリザのレオナルド・ダ・ヴィンチが声をかけてきた。
「一年半ぶりのかわいい彼女との連絡はどうだった」
「僕の彼女は声も宇宙一かわいいと思いました」
「そうかい。さあ、咲太君はとにかく今日はもう休みたまえ。色々あったし明日からもかなり大変だからね。マシュもそうしてもらいたいところなんだけどとりあえず検査が先かな後でメディカルルームまで来てくれ」
「「わかりました」」
そう言って管制室を後にする。最早自室までの道のりは慣れたものですれ違うサーヴァントたちにも挨拶を交わしつつ礼を言って回る。この日があるのもここにいる英霊たちと特異点で出会った英霊たちのおかげだから。
そして自室の前に来た。
「あ、では先輩、私は失礼します」
「ああ、マシュも検査が終わったあとゆっくり休んでくれ」
「あ、その…先輩…一人で抱え込まないでください。私では役不足かもしれませんが、なんでもお話しや悩みがあったら聞きますから!」
では失礼します。と言ってマシュはメディカルルームまで走って行った。自分の方も余裕などないはずなのにこちらを気遣ってくれるのはなんともマシュらしい。そして、もう近くには誰もいない。
軽い空気音。そして聞き慣れたドアの開く音。ついで、
“はーい、入ってまー───────ってうぇええええええ!?誰だ君は!?ここは空き部屋だぞ、ボクのサボり場だぞ!?誰の断りがあって入ってくるんだい!?”
いつか見たまだ名前も知らなかった頃の思い出を聞いた。
無論、幻聴であり錯覚である。その声の主はもうこの世にいない。このグランドオーダー最後の戦いである《冠位時間神殿》におけるただ一人の未帰還者。
「ドクター…」
溢れる涙は止まることを知らない。というか止めるつもりもない。これはドクターが残したものだから。ドクターが自分にくれた大切なものだから。
そして、いつか彼のことを笑顔で話せる日が来るようにと願う。
そして、泣き疲れたのか、咲太はそのまま眠った。