用意されたミーティングルームでコーヒーを飲んで待っていたら
船戸がちょっとあいつらが帰ってきたようだから、迎えに行ってやらんとな。ちょっと待っててくれ。
と言ってどこかへ行ってしまった。どうやらスクランブルも終わったようだ。、。
ふむ、事前にちょっと情報は手に入れてあるが心配だ。なにせ俺はそのアニマとやらに本当の意味で一回もあったことがない。本当に人間と一緒の扱いでいいのか?っていうかあたしの記憶を正直に鵜呑みにしていいのか?
そして何よりあたしの立ち位置がものすごく微妙だ。言うまでもないけど。
なんてったってアニマでもない。そして人間でもない。そしてザイと人間を混ぜるという初めての実験でこういう風に姿が変わる事故を起こした以上この実験も取りやめになる可能性が高い。そうなるとまたアニマ頼りの戦場に逆戻りだ。そうなると正直ザイに勝てる気がしない。詰みゲーと化して大混乱したのちアイアムアレジェンド状態になる。そうならないようにそもそもその実験がなかったことにしてしまえばいい。ここで開発された特殊な機体。実際その事実で臨時に結成された南アジア連合は
(ちなみにタイとインドがこの手の組織がありがちな覇権争いを起こさずにとりあえず2権力主体で結成した。いかにザイを脅威と認識しているかがわかる)
また、”初”の実験としてザイと人間を混ぜる実験を行うらしい。
緊張の時間だ。最初は幻聴として聞こえていた足音が徐々に聞こえ、近くなってくる。
扉があき、写真で見た、こわもてのデブと言うにはあまりにも威厳として、ガタイがいいと表現できるおっさんが入ってきた。
「お前が明日架橋か?」
「ええ、そうです。ミスター。俺が実験の被験者であり、ライノに”憑依されている”明日架橋です。」
「ほう、美人だな。ちょっと美人局でもして俺をもうけさせてほしいものだな?」
ニヤニヤと冗談を吐く。ああ、この手の先輩方は見てきたが、どうもうまく良い返しが思いつかない。だから嫌いなんだ。
「御冗談を。それならあなたがさしづめ竿役ですか?確かにぴったりだ。ああ、ぴったりだ。」
「まあ、冗談は良い、レポートを見た。お前はどうも脳に破片が刺さってるようだ。しかも大量に。ふん、これで死なないのが不思議なくらいだ。おそらくザイが混ざったのが原因だろう。よくもまあそんな乱暴なことをするもんだ。」
「そうですね。でもうちの研究者たちは大喜びしてましたよ。これで俺たちの研究が進められるって。みんなこれにかこつけて普段できない実験や予算額を取り付けるために奪い合ってます。」
「俺は国に良いところを見せる奴が大っ嫌いだがここまでくるとさすがに国を憐れむな。ふん。研究者なら予算に文句をつけず努力と工夫でどうにかするのが筋だろうに。」
ああ、そうだってな。と彼は続ける。
「俺の研究品として扱ってほしいとか無理難題をほざいてたそうだな?」
「そうですね。よかったじゃないですか。家族が増えて、マザコンごっこがはかどるようになりますよ」
「チッ。まったく、返しがうまいじゃないか。俺の一番嫌いな奴だな、お前は。」
「話に聞くと鳴谷慧とか言う子をおもちゃにして時々遊んでるそうじゃないですか俺はそうされたくないので。」
「安心しろ、レディファーストしてやる。」
「(戦場にレディファーストじゃないですかとうまい事言いたいのをこらえて)ありがとうございます。」
「それで一つ気になってることがあるが、、、、、ライノの人格はあるのか?」
「ええ、ありますよ、慧って子の前では演じた方がいいならそうします。精神的に慧と言う子にとっては亡くなった奴が帰ってきたようなもんでしょうから。別人が同じ顔してたら部隊に悪影響でしょう。」
「ほう?話が早いじゃないか?話が早いやつはまあ、嫌いじゃない。点数を上げておこう。」
(あたしはなんの点数なのかな........?ちょっと気になるな、と思った。)
「さて、お前の待遇だが当然アニマと同じ、物扱いだ。文句は言うなよ。」
「大事にされてるのはオードリクセン隊長から聞いてます。」
「それと勘違いするなよ。俺は人命と一緒にしていない。容赦なく切り捨てる。」
「武器は大事に、そして時に捨ててでも任務を達成する。俺の隊長もそうしてたんで慣れっこだよ。それが戦場だぜ?アンタこそ切り捨てられないように注意するんだな。俺はどんな手を使ってでも任務を達成する。それが職業軍人としてのルールだ。自分のルールを命程度を惜しんで守れないやつは生きている価値がない。それが俺の生き方だ。」
「ほう、なるほどな。なら明日からこき使わせてもらうからな。」
とりあえず八代通との交渉は成功した。これで南アジア政府が実験を続けられる。まあ、それは大したことじゃないが、義理は立てておかないとな。
こうなったら明日に備えておかねば。必要なのは寝床の準備、あいさつ回り、荷下ろし、、、は荷物がドックタグと写真くらいしかないからいらないとして、とりあえずやるべきなのは鳴谷慧とグリペンと会うことだろう。あれはこの部隊の弱点とも特異点とも呼べる存在だ。彼らには俺と言う存在がいることでミスってもらわれては困る。