元ホテルマンですが妖精メイドに転生してメイド長に一目置かれてます   作:微 不利袖

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暖かくなってきましたね...花粉とぅらいですけど、寒くないのは良いことです。それでは、ゆっくり読んでいってね...なんてね


季節の変わり目、春の訪れ

 

 

春。芽吹きの季節...人だった頃の感覚で表せば、出逢いと別れの季節。寝ぼけ眼で窓の外を見る。あんなに積もっていた雪も今では溶け、様々な植物に潤いを与えているようだ

 

こたつ云々の騒動も有りつつ、幻想郷での初めての冬を乗り越えた。そんな事実にしみじみしつつ、ベッドから降りて朝の支度を...ふ...ふぇ...

 

 

「へくちっ!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「妖精長が風邪を...?」

 

 

黄色い妖精メイドの子にそう伝えられ、戸惑いが混じったようにおうむ返ししてしまう

 

 

「はい~...朝から少し様子が変だったので~。今は皆にうつさないように、と自室でお休みしてます~」

 

「そう...珍しいこともあるのね。分かったわ、伝言ありがとう」

 

 

そのままその子には仕事に就いてもらうことにし、歩きながら物思いに耽る。体調が悪そうな所なんてあまり見たこともないけれど...もしかして普段から意図的に隠して?気を遣わせないようにして...?それならいつもの作業効率も納得が...

 

 

「いや、考え過ぎね...」

 

 

いや、と首を横に振る。確かに、こうして不調の一つでもないと完全無欠が過ぎるもの...河童も溺れる、だったかしら?そんな言葉もあるものね

 

さて、あの子が動けないとなると...いつもの倍は働かないと。普段はそれくらい助けられているもの。こうやって具合が悪いときくらいは、ゆっくり療養してもらおうかしら

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ふぇ?よーふぁんふぁふぇふぃーふぇふふぉ?」

 

 

運ばれて来た朝ごはんを食べなから、あーちゃんにおうむ返し...できてないや、ごっくん

 

 

「うん、朝見たときから顔真っ赤でねー、熱もあって。それで今は自分のお部屋で寝てるみたい。はい、あーん」

 

「ん、あーむ」

 

 

むぐむぐ...んー、ちょっと心配だなー...よーちゃん、あの怪我の時みたいに大変にならないと良いけど...

 

 

「んっく、ごちそーさま。ありがと、あーちゃん」

 

「お粗末様ですー。それじゃ、フラン様ばんざい!」

 

「ん!」

 

 

お着替えをしながら、今日は何しよっかなー、なんて考える。湖の周りにはチルノちゃんや大ちゃんもいるだろうしー...あ、そう言えば魔理沙、今日来るかもって言ってたっけ......でもやっぱり

 

 

「心配だなー...よーちゃん」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「けほっ、けほっ...季節の変わり目、ですもんね...へくちっ」

 

 

ベッドの上で一人呟く。体調管理は、まぁ人並みにはちゃんとしてたと思ってたんですけどね...なってしまったものはしょうがないですが。というか妖精も風邪、ひくんですね

 

自身の額に手を当てる...うん、なんとなく熱い、気がする。多分38とか9とか、ただの風邪だろう。傍らに置いてあるコップを手に取り、一口。...ふぅ

 

風邪ならしっかり水分補給して、しっかり汗をかけば直ぐに良くなります。今、仕事が出来ないのは少し申し訳ないですけれど、無理して悪化したり、うつしたりするくらいなら早く治すのが吉、ですしね。......それにしても

 

 

「流石に少し暇、ですね...けほっ」

 

 

普段は仕事をこなしている時間。何もしていない、という事実に妙にソワソワしてしまう。んー、なんだかもどかしいですね...

 

とは言え、今の私に与えられた仕事は、一刻も早く風邪を治すこと。布団にくるまってゆっくり寝

 

 

ガッシャーン!!

 

 

「邪魔するぜー!って、あ......よ、よう...」

 

 

飛び散る窓ガラスの破片。急停止する箒乗り。...今月は...これで二枚目、ですね。寝る前にやること、できましたね...はぁ

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「悪かったよ...ん、というかお前、顔赤いぞ?風邪でもひいてんのか?」

 

「けほっ...はい、うつすてしまうといけないので、魔理沙さんは...へくちっ!うー...すみません」

 

「おい、大丈夫か?」

 

 

お説教タイムは控えめに済まし、適当に掃除をしてもらう。不慮の事故で風通しが良くなってしまいましたね...流石に直さないとですし...そうですね

 

 

「...はい、大丈夫ですから...すみません、魔理沙さん。それで、はーちゃん...あ、えっと...灰色メイド服の妖精メイドの子を呼んで来てもらえませんか?」

 

 

はーちゃんはモノの修繕や、簡単な家具なら作ったりも出来る、そんな子ですね。フラン様が弾幕ごっこで誤って壊してしまった塀や門も直したり...後は誰かさんが割った窓なんかもですね

 

 

「灰色?...まぁ、分かった。...窓割った奴が言うのもなんだけど、暖かくして寝てろよな」

 

 

ホントですよ、もう

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ん、終わった...」

 

「ありがとうございます、はーちゃん...けほっ」

 

 

窓を何度か開閉させながら、そう告げられる。うつしたりするといけないので外から直してもらいましたけど...相変わらずの手際、でしたね。ものの10分程度で...

 

 

「...よーちゃん」

 

「?...はい、なんですか?...けほっ」

 

 

手際の良さに感服していると、直りたての窓の外からはーちゃんに声を掛けられる

 

 

「無理、しないでね...」

 

「!...はい...ありがとうございます、はーちゃん」

 

「...ん」

 

 

軽い返答の後にぱたむ、と窓は閉じられる。他の妖精メイドの皆にも、要らぬ心配を掛けてしまっているようですね...

 

おもむろに脇に置いてあった懐中時計に手を伸ばす。針が示すのは...10時。それじゃあ、早く治す為にも寝ましょう。今度こそ

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

こんこん

 

 

「......ん...んぅ、ん...」

 

 

扉を叩く音が聞こえ目を覚ます。まだ身体には気だるさがあり、衣服も寝ている間にかいた汗で肌に張り付き、少しの不快感を覚える。正直寝覚めは相当悪い

 

それにしても、ノック?こんな...あ、と懐中時計を見る。午後の2時過ぎ。こんな時間に誰が...?

 

 

「よーちゃん、起きてる?」

 

「あ、え...フラン様...?けほっ」

 

 

寝ぼけた頭に響いたのはフラン様の声だった

 

 

「あ、良かった...入っても大丈夫?」

 

「え、あ...どう、ぞ...?」

 

 

寝起きのままでうまく思考できず、そのまま了承してしまった。うつしてしまっては悪いんですが...というかいったい何を?

 

 

「お邪魔するね、よーちゃん。熱、まだある?」

 

「はい、まだ...フラン様、いったい...って、それは...?」

 

 

そうしてフラン様に目を向けると、フラン様はワゴンを押して自室へと入ってこられた。ワゴンには湯気の立つ器が幾つか載せられて...って、もしかして

 

 

「おかゆ、作ってみたんだ。魔理沙と、あときーちゃんにも手伝ってもらっちゃったけど...お腹、空いてる?」

 

 

きゅるるるる~

 

 

「...ふふっ、食欲はあるみたいだね。良かった!」

 

 

しつけのなっていないこの胃袋を叱りつけてやりたくなる...ともかく、お昼を過ぎて何も口にしていないのは確かですし、フラン様からせっかくのご厚意ですから

 

 

「......すみません、じゃあ「ふーっ、ふーっ...はい、あーん!」...あえっ!?」

 

 

器を受け取ろうとしたとき、突然レンゲを差し出され妙な声を上げてしまう。ちょ、流石にそれは...

 

 

「だ、大丈夫です。自分で食べられま「あーん!」...えと、フラン様「あーんっ!」......あ、あー」

 

 

根負けした私はしぶしぶ口を開く

 

 

「むぐ...!...美味しいです」

 

「ホント!?よかった!それじゃ、はい、あーん」

 

「あ、あー...」

 

 

味は、とても美味しい。それに温かい...おかゆはシンプルに卵が落とされていて、それにキノコなんかの具、塩っけも丁度良かった...むぐむぐ

 

 

「えへへ...いつもと逆だね。あーん」

 

「んっく...はい、あー...」

 

 

館に来たばかりの朝を思い出す。あの時は立場は逆で、寝起きのフラン様に朝食を召し上がって貰いましたものね...あれからはあーちゃんにできるだけ代わってもらってますけど。諸事情で

 

 

「むぐむぐ...んっく。ご馳走さまでした、フラン様」

 

「おそまつさま!それじゃあ...」

 

「...?」

 

 

あっという間に器は空になっていた。風邪とは言え、食欲があまり落ちてなくて良かったですね...と、器をワゴンに戻しナニかごそごそしているフラン様。どうしたんでしょうか...

 

 

「身体、拭いたげるね!」

 

「あ"っ?!」

 

 

もう一つあった器、もとい桶にはぬるま湯とタオル...あ、不味い!!見る程ではないものの、見られるのも十二分に不味い!!これもあの時とは逆!!

 

 

「や、汗なんかはかいてないのでだ、だだだ大丈夫ですよ!?」

 

「じゃ、脱がさないとだから...よーちゃん、ばんざい!」

 

 

聞く耳もなければ...逃げ場もない!...これはあの時と同じ、ですね。落ち着いて...素数を数えましょう。ふー...1、2、3、5、7、11、13、17、19、23......

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「じゃ、お大事にね、よーちゃん」

 

「は、はい...」

 

 

数分間の記憶は無い。見慣れた身体も、見られるとなるとちょっと...いえ、全然違いましたね...熱、上がってる気がしますし...

 

 

「...ちょっと風、あたりたいです...」

 

 

ベッドを降り、直りたての窓を開く。気持ちの良い風が部屋を通り抜け、なんとなく季節が変わっていくんだなぁ、と実感した。ふと、何か声が聞こえた

 

 

「は~るで~すよ~」

 

「あれは...?」

 

 

声は空から。おそらく...妖精。そんな言葉を言いながらとても気持ち良さそうに飛んでいるのが見える。はらりと、一つの花弁が部屋へと入ってきた。ピンクの花弁...空からの声へと呼び掛けるように呟く

 

 

「春、ですね...」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「魔理沙!きーちゃん!よーちゃんね、おかゆおいしかったって!」

 

「お、そりゃ良かったな」

 

「良かったです~」

 

 




はい、妖精長風邪をひく、でした。実際作者もひきましてね...そこから思い付いたのは裏話ですが。皆さんもお身体は大切になさって下さいね。それでは、また次回

追記、素数最初から間違えてるのはそういうネタとなっております。その点に関しての誤字報告が幾つか来ていましたのでここで明言させていただきます。それほど迄に妖精長が焦っている、という描写のために敢えてしています。更に言えば3話でも同じネタを使用しております。そっちには誤字として報告無かったんですけどね。なんで今回いっぱい来たんだろ。分かんないや

シリアスパートですが、読まなくてもある程度お話に支障が出ないように書いているつもりです。因みに、そのシリアスな部分は読まれているでしょうか。

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