Vtuberの中の人!@ゲーム実況編   作:茶鹿秀太

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スタッフロール

ライブ終了後。

 

「お、オタップV大佐! 正気ですか!?」

 

一人の一般オタクが叫ぶ。

 

「正気も正気。いや、むしろ狂喜にござる」

 

「上手いことを言わないでください、そんな……全Vtuber推すとツイッターで公言していたあなたが、単推しするなんて!」

 

オタップV大佐と呼ばれる男は、きらりと瓶底眼鏡を光らせる。

 

「是即ち天命ですぞ。拙者、あの白銀くじら氏に興味津々wktk祭でござる、故に……彼女のTO(トップオタ)になる所存!!」

 

オタップV大佐は、この上なく笑顔でそう語った。

 

 

 

 

 

誰もいない舞台裏で、佐藤が壁を殴った。

 

「本当に、すごいですよ、先輩。でも……」

 

涙を流しながら、男は一人誓う。

 

「僕だって……僕だって出来るんだ……っ!」

 

無力にさいなまれる男は、次の舞台へ。

 

 

 

 

 

ライブ終了から、次の日。

 

 

バイクから降りた不動 瀬都那。

 

目の前の家のチャイムを鳴らすと、少年が現れた。

 

「あ、ねえちゃん!」

 

とことこと少年が不動の前に来る。

 

「よ、ガキンチョ。元気してっか? 頭大丈夫か?」

 

「ぶぇー! 俺が頭悪いみたいじゃんかよー!」

 

「悪いだろ! まだ九九できねぇんだからよぉ。あとそろそろまーくんって呼び方から卒業しねぇとな」

 

「うっぜー! 先生みたいなこと言うなよ!」

 

「はは。……」

 

「? なんかねえちゃん良いことあった? なんか前より元気になった感じ」

 

「そっか? ……、うーん、ま、そうかもな」

 

「?」

 

「なぁ、ガキンチョ。私さ、なんか歌いたい気分なんだ。よくわかんないけど、すごく、今までの分も歌いたい気分」

 

「え、何急に。あ、じゃああれ歌おうぜ、朝の七時にやってるやつのさ!」

 

「あぁん? 知らねぇよそんな曲。ロック聞こうぜロック」

 

「ロックってなんだよ!! あ、分かった、……54だっ!」

 

「!? あっはっはっはっはっは!!!!」

 

「な、なんだよ……まちがってた? 53、いや54だよね……」

 

「いや、そう来るとは思わなくて、は、はははははは!!」

 

不動は、いつになく上機嫌に笑っていた。

 

まだ、歌うときに彼が轢かれた時の光景を思い出すことがあるだろう。

 

それでも。

 

それでも少しだけ、前に進めたことに、何か意味があるとするなら……。

 

「ガキンチョ。お前のお母さん連れてカラオケ行くか?」

 

「マジ!? え、マジで行くの!? いやだよねえちゃん歌上手いから」

 

「いーだろ別によぉ!」

 

きっと、いいことなのかもしれない。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ネットのニュースではこう流れている。

 

「ギリー覚醒 最高のライブ」

 

あのギリーの後の歌は、観客全員の意識に強く焼き付いた。

 

ライブの総評も、かなり高い。

 

そして、ギリー覚醒のほかにも、話題になったことがあった。

 

「でも、白銀くじらさん、いいね」

「みんなを巻き込んで盛り上げる感じサイコーだった」

「ロックだった」

 

 

白銀くじらは、ちょっぴり有名になった。

 

だが……。

 

 

 

「みんなおはよー」

 

「お! 大野君おはよー」

 

「ねぇ昨日の見た? マジイケメンでさ」

 

「歌上手いイケメンってヤバいよね、超ダンス上手いし!」

 

「邪魔」

 

「うおっ。いつになく魚里不機嫌だな」

 

「めっちゃ髪ぼりぼりしてる」

 

 

「……。はぁ」

 

だが、南森は有名人ではない。

 

普通に学校に通って、普通に友達と話して、普通に帰宅するのだ。

 

それがどうしようもなく、憂鬱だったりする。

 

いつもと、違うことがあるとすれば。

 

「あ、ライン……。不動さん?」

 

不動からラインが入った。

 

『今度さ、一緒に遊ぼうぜ』

 

南森は、誰にも気づかれないように、こっそりメッセージを送った。

 

知っている人間が見れば、本当に満面の笑みで。

 

 

 

放課後、繭崎が迎えに来る。 繭崎が笑った。

 

「よっ。次の動画考えようぜ」

 

ここから、また南森の非日常が始まる。

 

「はい!」

南森は笑顔で繭崎の車に駆け込んだ。

 

彼女の戦いは、きっと、始まったばかりだったのだろう。

 

これから、本格的にVtuber活動が始まるのだから――。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

スタッフロール

 

 

 

 

 

 

南森 一凛   /   白銀 くじら

 

 

繭崎 徹

 

 

三浦 サーシャ

 

 

大野 流星

 

 

魚里 隈子

 

 

不動 瀬都那   /   ギリー

 

 

君島 寝     /   ネル

 

 

佐藤

 

 

ドン☆ 先一

 

 

神宮司

 

 

里穂&加奈子

 

 

店長

 

 

オタップV大佐

 

 

...and you

 

(以下省略)

 

 

 

 

 

 

 

 

THANK YOU FOR READING

 

 

 

【音楽編】   完

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「え、と。これでいいのかな?」

 

youtubeの配信画面。

 

男が一人、自室のPCの前に座っていた。

 

彼の名前は、大野流星という。

 

「え、っと。くそー、えーっと、Face rig起動して、えーと、あーもう、絵とか描けないってマジで。なんで作ろうと思ったんだろうなぁ俺! 下手くそだなぁ」

 

自作で作った、ライブ2dのイラストは、小学生の落書きのようだった。

 

男ということはかろうじてわかるが、顎はとがっているし、目はやけにキラキラしてしまっているし、ネタとして受け入れてもらえるか分からないレベルの二頭身だ。

 

「はぁ。ひっどいわマジで」

 

それでもと。

 

彼はとりあえず、配信ボタンを押した。

 

「……う、おっ、すっげ」

 

自分でつくったイラストが、動いている。

 

そして、誰かが入ってきてコメントを残した。

 

「……俺も、あんな風に……」

 

マイクに向かって、大野はとりあえず一言だけ喋ってみた。

 

「……えーっと。ど、どうも」

 

 

 

 

 

 

 

 

次回

【ゲーム実況編】




やったあああああああああああ
終わったああああああああああああああ

いやったああああああああああああああああああ!!!
うわああああああああああああああああああああああああああああ!!!

終わったあああああああああああああああああああああ!!!!!

終わったあああああああああああああああああああああ!!!!!

もうマジで完成できないと思ってたやったああああああああああああ!!!

感想くださいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいい!!!!!

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