原作から時が流れて、数年。
大ガールズバンド時代が終わりを告げ、各々がそれぞれの道を進み出した。
そんな中、かつての人気バンド、パステルパレットの丸山彩は……

1 / 1
こんにちは。初めましての方は初めまして。佐倉彩羽と言います。
今回は初めてBanG Dream! ガールズバンドパーティーのssを書かせていただきました。3周年ということでBanG Dream!が盛り上がっていますが、ここで一つ、頭の中で受かったネタを文章化してみました。
是非、お楽しみください。
ではどうぞ。


まん丸お山は水の中

気がつくと、私はステージにいた。

 

青髪の天才少女が、ギターソロで圧倒的演奏技術で観衆を圧巻させ、

いつもはメガネなあの子は、自信を持ってそのドラムを叩き、

白髪の美少女は幼げな笑顔を私に向けて、

手元のキーボードを楽しそうに弾き、

金髪美少女は皆を少し遠くで眺めながら、

そのベースと微笑みで観客の心を掴み、

私はピンク色の可愛い衣装に身を包んで私達の歌を届ける。

 

私たちの演奏が終わり、

観客の拍手にて私達は彼らに手を振りながらステージを降りる。

 

「今日の演奏、るんってきた! 」

「フヘヘ……、ジブンも上手く叩けてた気がします! 」

「皆さん、最高でした! これぞブシドーです!」

「そうね、今日は皆良かったと思うわ。」

彼女たちがそういうと、私も頷き返す。

 

SNSにて私の名前を検索。

すると、上位に出てきたのは私が思ってもいなかった事だった。

 

 

 

 

『センターのボーカル、

噛むのも昔は愛嬌があったんだが今は白けるよな』

『他の子の演奏技術が高くなってきて、周りに追いつけてなくない?』

『申し訳ないけどボーカル変わればいいと思う……』

『正直いってボーカル邪魔』

『消えろ』

『死ね』

 

 

 

 

―あぁ、夢か。

久しぶりに長い夢を見た気がする。

私は布団から這い出て、一度周りを見渡す。

破れた障子から差し込む光。汚れたキッチン。

壁は薄汚れていて、ワンルーム。

先程の夢から覚めて、一気に現実に引き戻される。

 

 

―今日から仕事か。

数ヶ月触っていなかったメイク道具を持ってきて、

小さな鏡を手元に立ておく。

いざ始めると、少し時間はかかっているが、

一年前の私の姿へと戻っていく。体重は十キロ近く痩せたけど。

メイクを終わらせると、朝ご飯を準備する。

 

今月から親の仕送りが止まるらしい。

逆にこれまで仕送りしてくれていたのがおかしいくらい、

親はこんな私を見捨てないでくれたのだろう。

 

本日の朝食は食パン一枚。正直いって足りないが、

お金が無いので仕方の無いことだ。

五分ほどで食事を済ませると、

洋服タンスから比較的綺麗な服装を選ぶ。

ピンクのシャツに、大人っぽいスカート。

親元から離れた際に、親が買ってくれたものだ。

私はそれを身につけると、玄関の戸を空ける。

 

しばらく外に出ないでいたので、久しぶりの外だ。

家の中にいるよりも日差しは強く感じ、

東京という地ならではの高層ビル群。

たくさんの人の中で、

私は人から避けるように街の中心部へと向かっていった。

 

渋谷スクランブル交差点。

テレビのニュース番組の際に、

よく天気予報などで使われている地である。

信号を待つ間、周囲を見渡すも、やはり人だらけ。

いつか私が誰か気づかれてしまうかもしれない、

という不安の中、その信号を待った。

 

「渋谷をお通りのみなさん、こんにちは! 」

 

その声を聞いた時、私は耳を疑った。

かつて聞いたことのある、というか、かつて隣にいた声だ。

声の先を見ると、数ヶ月ぶりに見る彼女が、画面の奥にいた。

 

「こんにちは、女優の白鷺千聖です。

今度、私が主演する映画、

『はぐれ剣客人情伝 弐』が公開となります!

あの作品から数年、私演じる―」

 

そうはきはきと話す彼女は、

もう私が知っている白鷺千聖ではなかった。

これが、観客から見る彼女なんだ、と実感させられる。

数十秒の告知ではあったが、彼女は一度たりとも噛まず、

その笑顔をキープし続けたまま、画面から消えていった。

 

もう、私と彼女は関係ない。

 

 

そう自分に言い聞かせて、信号を渡る。少し足早に歩をすすめる。

大きな家電屋さんを横切った際、また聞いたことのある声がした。

 

「ピンポン! はぐれ剣客人情伝」

「正解です!素晴らしい! ここまで全問正解の氷川さん!

氷川さん、今の問題はどこで分かりましたか?」

「えーっとね、千聖ちゃんの名前が出たところかな!るんってきたの!」

「ワハハ!」

「では次の問題に行きましょう―」

 

彼女の天才ぶりは今も変わっていない様子。

今は人気タレントとして活躍している、

とかつての友人から聞いたことがある。

 

もう、彼女とも関係ない。

 

また、私は足早に向かっていった。

原宿。

 

そこは若者の街で、多くの女子高生やお洒落好きの人達が集まっている。

高校生時代、私もよく来たものだ。

ふと、すれ違った女子高生の会話が聞こえる。

 

「イヴちゃん、めっちゃスタイルいいよね〜」

「あーわかる! 超可愛いよね!」

「後はまやちゃんも好き!」

「まやちゃんってドラマーの?」

「そうそう! いつもラジオ聞いてるんだけどさ、

話も面白いしカッコイイの! 」

 

二人とも、恐らくだが私の知った人物だろう。

イヴちゃんに関しては、未だに私のことを気遣ってくれている。

 

本当に、いい子だと思う。

 

私は逃げたのに。

 

皆に迷惑をかけたのに。

 

一番ダメダメだったのに。

 

私のせいで、私達の居場所は無くなったのに。

 

それなのに。

 

それなのに、他のみんなは努力して、

新たな自分の場所を築きあげた。

 

 

―結局、私だけダメなんだ。

 

 

涙がこぼれそうなのを我慢して、走って仕事場へ向かう。

 

原宿から歩いてすぐ、私の仕事場はある。

職場につくと、

私をこの仕事に誘ってくれた人が入口で待っていてくれていた。

 

「……こちらへどうぞ。お客様がお待ちです。」

「……わかりました」

私は荷物を置いて、お客様が待つその部屋へと向かう。

 

 

「ご指名ありがとうございます、丸山彩です」

 

偽りの笑顔で、お客様に対して笑顔をふりまく。

 

「お、俺、パスパレの大ファンだったんです!

パスパレの彩ちゃんがここにいるなんて……」

 

そうお客様は仰る。

 

 

 

 

 

「パスパレはなくなっても、私はあなたの一番になれますか?」

 

 

 

 

 




いかがだったでしょうか。
闇系は初めて書いたのですが、やっぱり難しいですね……
ぜひ、ここがよかったよ!とか感想があればお伝えくださると今後の参考になるので、よろしくお願いします!

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。

評価する
※参考:評価数の上限
評価する前に 評価する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。