もう少し早めに更新できるように頑張ります!
ワールド高校が設立してからというもの、高校野球界に話題が尽きることがなかった。
〝黒船襲来〟と評された創部直後の練習試合五十戦全勝に始まり、創部一年目にして夏の甲子園優勝。
続いて春の選抜高校野球大会でも優勝をする。
もちろん話題になるのは野球の実力だけではない。
彼らの端正な顔立ちにはファンが出来るのはもちろんだが、ワールド高校野球部のメンバーは全員慢心することなく紳士な対応を心掛けていたため、悪評が付くことはなかった。
それも当たり前のことである。彼らはメジャーリーガーとなるべくこの高校に入っているのだ。
ファンを蔑ろにする者が一流になれるわけがないと教えられているのである。
ただ、彼らにとって予想外だったことが起こる。
メリッサが
連日報道されるのは彼女についての話題が大半で、ある番組では〝今日のメリッサ〟という放送枠まで設けられるほどである。
彼女が練習中にあくびをすれば〈可愛い〉と話題になり、野球部の練習前にキャッチボールをしていれば〈可愛い〉と話題になるのだ。
そして彼女は学業においても優秀で、小学生時代にPSAT──Preliminary Scholastic Aptitude Testの略で、大学に入る学生のための模擬テスト──で上位3%に入るほどの頭の良さである。
運動神経もギブソンの娘ということもあり、かなりのものであり、まさに才色兼備なのである。
もちろんそんな彼女を世間が放っておく訳がない。
連日取材などの申込みが殺到することとなるのだが、監督であるケビンが全て断っていた。
これは父であるギブソンの意向であり、それにはメリッサも同意していたためである。
知りたい世間と情報をシャットアウトするギブソン側。そういった経緯もあり、そもそも話題にならないほうがおかしい。
そしてそれはワールド高校が二年目、三年目の夏大会のすべての大会でただの一度も負けることなく優勝してしまうという快挙を成し遂げることで、更に注目を浴びることとなり、試合後のインタビューも選手に関してからメリッサに関しての内容に終始することとなっていた。
三年生にもなれば、彼女は日本でいうところの中学三年生の年である。
女性としての魅力も格段と磨きがかかり、普段一緒に暮らしている翔や寿也ですらもたまにドキッとしてしまうほどであった。
あまりの彼女の人気ぶりに、犯罪に巻き込まれてしまう可能性を考えたジュニアは翔に常に一緒にいることを厳命し、それを律儀に守ってしまったせいで翔は野球部引退後も自身のファンとメリッサのファンから逃げる日々を過ごすこととなる。
────時間は三年目の甲子園優勝を決める少し前に遡る。
「ついに今日だな!」
「ああ、俺らはこの日のためにこの三年間死ぬ気で練習してきたんだ!」
「絶対に
翔達が高校三年生になった六月のある日。
本日は彼らにとってとても重要な日となっていた。
それはメジャーリーグのドラフトの日である。
メジャーリーグのドラフトにはいくつか条件があり、例えばアメリカ合衆国、カナダやプエルトリコに在住していないといけないなどである。
そしてワールド高校に在籍している三年生の半分以上がその条件を満たしていないのである。
つまり、彼らの大半は
この事実はメジャーリーガーを志す者からすれば受け入れがたい事実であり、そしてそれをなんとかするために出来たのが
ワールド高校設立を提唱した段階でギブソンを初めとした理事のメンバーが動き、MLB競技委員会と話し合うこと数年、ワールド高校へ入学した生徒に関してはメジャーリーグへのドラフト対象となるという例外ルールが決まった。
これにより吾郎、翔、寿也に関してはNPB側から抗議が入るなどの問題が起こる。
日本のファンからしても三人は日本のプロ野球へ行くものだと思われていたため、連日ニュースで炎上していた。
この時だけはメリッサの話題よりも吾郎達の方に話題はシフトしていった。
しかしなかなか収まらないこの話題を収束させたのは、身内ではなく
彼らは試合の時は敵ではあったが、同じ白球を追いかける
有志による集められた高校球児達の署名。それは全国から集められ、あの海堂高校も賛成を表明し、その野球部員も署名活動に参加していたのだ。
あとでそのことを聞いた翔達はとても驚いたのだが、何よりも自身のためにここまで周りが動いてくれることに感謝するだけでなく、野球という素晴らしい競技に出会えたことにも感謝する高校生活となった。
結果として抗議は取り下げられ、翔達の進路を阻むものはなくなることとなる。
そしてその報告を聞いたメリッサが喜びのあまり翔に抱きつく場面を報道されてしまい、別の意味で翔は炎上してしまうことになる。
この炎上に関しては
話は戻り、ワールド高校野球部のメンバーは無事全員ドラフトで指名されることとなり、これからは敵として戦うことになるのだが、今このときだけは喜びを分かち合う翔達。
「……私? もちろん翔がアメリカに行くタイミングで一緒に行くつもりよ」
メリッサの進路は未だ決まっていない。
◇
場面は変わり、海堂高校の一室。
そこでは早乙女兄妹が海堂野球部総監督の早乙女義治に報告をしていた。
「──以上です。ここまでで何かご質問はありますか?」
「……いや、ご苦労だった泰造、静香。それで今後についてだが……」
「あらやだパパったら、泰造って呼ばないでよ。江頭は海堂高校から永久追放されるわ。ただし、彼がやったことに関しては理事会の意向により
「あと、今後海堂高校は選手を広告塔として扱わないように細心の注意を払うことになるわね。マニュアル野球に関してはこのまま継続。選手をより大切に……兄さんの二の舞いにしないように育てていくつもりよ」
泰造と静香の兄──長男である早乙女武士は高校生のときにまだ弱小であった海堂高校野球部を率い、地区大会のすべての試合を一人で出場、決勝では高熱があるにも関わらずそれを隠して投げ切ることで初の甲子園出場を決めたが、その直後に死去していた。
今の海堂のマニュアル野球が作られたのは、早乙女武士の死がきっかけであることは選手の誰も知らない。
武士の名前が出たとき、義治も泰造も少しだけ顔を歪ませたが、それ以上表に出すことはなかった。
「そうか。私達も江頭から離れたということを暗にアピールするために、先日高校球児内で行われていた署名活動に関して選手だけでなく、野球部としても賛成することにした」
「ああ、ワールド高校の佐藤君達のことね」
「ああん、佐藤君達みたいなプリティーな子たちがせっかく海堂に来てくれるかもしれなかったのにぃ〜〜! 江頭のせいでワールド高校に行ってしまったじゃないのよ! 絶対に許さないわ、あいつ!!」
「……兄さん、その話何回目?」
「ちょっと、静香! 兄さんじゃなくて
江頭に対しての嫌悪の内容が義治、静香とは異なっている泰造。
真面目な話をしているとちょこちょこふざけるので、静香も苦笑いの回数が増えていた。
◇
ある男の自室にて。
部屋は物が散乱しており、空き巣が全てを引っくり返していったか、誰かが暴れたかのような様子であった。
「く……糞がァァァ!!! こ、この私がク、クビだと……? 事実を公にされないだけ感謝しろだと……?」
散乱した部屋で怒りのあまり叫んでいる男。
もう少しだった。彼の計画が上手くいけば、あの兄弟は二度と彼に逆らおうとなどと思わなくなるであろう。
そのための準備が整う寸前で事もあろうに身内からの邪魔が入ったのだった。
「はぁはぁ……はぁはぁ……許さんぞ、あいつらめ……。そうだ、
彼が暴れたときにたまたまテレビが付き、メジャーリーグのドラフトのニュースが放送されていた。
それを見てさらに怒りが溢れそうであったが、ある程度暴れたためか深呼吸をして落ち着くことが出来た。
「……このままで済むと思うなよ。私は必ず返り咲いてみせる。何十年掛かってもだ! そのときにまた関わることになるといいなぁ? ……
〜高校生編 完〜
【佐藤 翔高校卒業時ステータス】
◇投手基礎能力一覧
球速:155km
コントロール:C+
スタミナ:C+
変化球:
チェンジアップ:5
スラーブ:5
◇野手基礎能力一覧
弾道:3
ミート:C+
パワー:C+
走力:C+
肩力:C+
守備力:C+
捕球:C+
◇特殊能力
【共通】
ケガしにくさC+ 回復C+ ムード◯
【野手】
チャンスC+ 対左投手C+ 盗塁C+
走塁C+ 送球C+
チャンスメーカー パワーヒッター 高速レーザー
外野手○ 固め打ち 粘り打ち 打球ノビ◎
【投手】
対ピンチC+ 対左打者C+ 打たれ強さC+
ノビC+ クイックC+
ジャイロボール 緩急○ 尻上がり
リリース○ 重い球 キレ◎ 威圧感
牽制◯ 根性◯ アウトロー球威◯
追記:
吾郎兄の高校生編の終了に伴い、寿也兄に関して少しの間だけ非ログインの方でも感想を書けるようにいたします。
ぜひ感想を書いていただけたら嬉しいです!
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高校編は事情があり、早めの終了となります。
これは吾郎兄も同じです。
もし要望があれば、番外編で載せるかもしれません。
また、本話で寿也兄の高校編が終了しましたので、吾郎兄が終わってから更新を再会いたします。
今後ともよろしくお願いいたします!