宇宙戦艦ヤマト2199 白色彗星帝国の逆襲   作:とも2199

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宇宙戦艦ヤマト2202とは別の世界線を歩んだ宇宙戦艦ヤマト2199の続編二次創作小説「白色彗星帝国の逆襲」です。「白色彗星帝国編」、「大使の憂鬱」、「孤独な戦争」、「妄執の亡霊」、「連邦の危機」、「ギャラクシー」の続編になります。


第一章 銀河核の畔にて
白色彗星帝国の逆襲2 サーシャの目覚め


 約三ヶ月前。イスカンダル――。

 

 マゼラン銀河で外交活動に忙殺されていたユリーシャは、久しぶりにイスカンダルに帰っていた。ガミラスが民主化されることが決まってから、マゼラン銀河の各地を巡って、平和を訴えて来た。もうずっとそのような活動を続けている。何度か危険な目にもあったし、大きな失敗も経験した。最近は、そつなく仕事を出来るようになったが、ローレン・バレル大統領が目指すマゼラン銀河の平和は遠い。今も、あちらこちらで、戦争の火種がある。良くも悪くも、デスラー体制下の圧政は、そのような空気を封殺していたが、ガミラスの民主化は、その混迷を深めていた。

 

 イスカンダルの宮殿は、スターシャが去った後は寂しい限りだった。自室から見えるイスカンダルの夜の海は、静かに波をうっている。ユリーシャは、いつものイスカンダルの衣服を床に脱ぎ捨てると、下着姿のまま、隣りの衣装部屋に移動した。そして、少しだけ悩んで、前に地球に行った時に買ったお気に入りの服を取り出した。それは、スエットと呼ばれる衣服で、地球人が自宅でくつろぐ時に着る服なのだそうだ。ユリーシャは、ゆっくりした動作で上着とパンツに身体を通す。確かに、この服は楽だった。

 鼻歌を歌いながら、ユリーシャは、自室を出た。そして、宮殿の中央部にあるエレベーターに乗って、彼女は最上階に移動した。

 エレベーターを降りると、最上階の高い天井を見上げた。そして、周囲に巡らせた大きな窓から見る眺めは、ユリーシャのお気に入りだった。ここに来ると、まるで宙に浮かんでいるような感覚になってしまう。

 ユリーシャは、部屋の中央部にある大きな箱のような装置の前に向かった。それは、生命維持装置だった。火星で姉のサーシャを救い出したが、彼女は危篤状態で、生かし続ける為には、この装置が必要だったのだ。いつの日か、姉を回復させる方法が見つかるまで、ここで見守って行くつもりだった。

「サーシャ姉様、ただいま。ごめんね、一人で寂しかったよね」

 ユリーシャは、いつもそうするように、姉が眠る装置の表面を優しく撫でようとした。そこで、ユリーシャは、装置の異変に初めて気がついた。そこに寝ているはずの姉の姿が消えていたのだ。

 真っ青になったユリーシャは、辺りをきょろきょろと見回した。

 最初に考えたのは、何者かがここに侵入したのではないか、ということだ。だが、この宮殿のセキュリティシステムを突破するのは、容易ではないはずだ。そうで無いとすれば、姉が目覚めて起き上がったということだ。

 ユリーシャは、最上階の部屋を後にすると、走り出した。そして、宮殿の中を捜し回った。

 エレベーターで、階下に数階移動した所で遂に彼女を発見した。

「サーシャ姉様!」

 そこは、宮殿の食卓のある部屋だった。大きな長テーブルの上に、燭台がいくつか並んでいる。その隅の、いつもスターシャがいた席に、彼女は座って何か食べていた。彼女は、ユリーシャの姿を認めると、にっこりと笑顔を向けた。走り出したユリーシャは、サーシャの近くで立ち止まった。そして、サーシャが目を開けて、生き生きと瞬きするのを確認すると、涙を浮かべた。

「お姉様……。よかった」

 ユリーシャは、彼女の身体に抱きつくと、声を出して泣いた。

 

 一頻り泣いたユリーシャに、サーシャは話しかけた。

「お腹が空いてしまって、食べているところだから、離してもらってもいいかしら?」

 ユリーシャは、慌てて離れると、改めて彼女の様子を確認した。

 彼女の前の食卓には、沢山の料理が並べられており、どうやら、かなり食べたらしいことがわかった。

「いつ、意識が戻ったの?」

 サーシャは、もりもりと食べ物を口に入れている。よほどお腹が空いていたのだろう。ユリーシャが見つめる中、しばらくもぐもぐと咀嚼していたが、食べ物を飲み込んで、話しだした。

「どうだったかしら? うーん。数日前ね。私、どうしてイスカンダルに戻っているの? あなたは、事故に遭ったって聞いたけど、無事だったのね? それに、スターシャ姉様は、どこに行ったのかしら?」

 矢継ぎ早の質問の内容に、ユリーシャは時の流れを感じた。そう。あれからもう、何年もの時間が経過したのだ。

 ユリーシャは一つ一つ、丁寧に回答することにした。

「お姉様は、地球に行く途中、火星に墜落して、一度亡くなったの。地球人が、コスモリバースを火星で使ったおかげで奇跡が起きて、お姉様は息を吹き返した。それを、私と地球人の友達の玲とで助け出して、ここに連れて来たの」

 そこで食事の手を止めたサーシャは、ユリーシャの顔をまじまじと見た。

「じゃあ、地球人は、イスカンダルに来たのね?」

「そうだよ、お姉様」

「旅を成功させたのって、何年ぶりのことかしら? 百年ぶり? 二百年ぶり? 成功する見込みがほとんど無いのに、地球人はやり遂げたって言うの?」

「そう。そして、今は私だけじゃなく、地球人はガミラスとも仲良くなったの。凄いでしょ?」

 サーシャは、驚きながら感慨深げに頷いた。

「そうね。私も、命をかけて頑張ったかいがあったみたいね」

 ユリーシャは、笑顔で頷いた。

「私もね。死にかけたけど、お姉様と同じ様に、生命維持装置に入れられて休んだら元気になったの。だから、もう大丈夫。私のせいで、お姉様まで地球に行くことになったのを、ずっと私は後悔していたの。ごめんね、サーシャ姉様。こうして会えて本当に嬉しい」

 サーシャは、ユリーシャの頭を撫でた。

「ううん。もとはと言えば、私が病気になったせいで、あなたが行くことになったのだから、これでおあいこかしら」

 ユリーシャは、再び感極まって泣きそうになっていた。

「あらあら、ごめんなさい。泣かないで、ユリーシャ」

 気を取り直したユリーシャは、最後の質問に答えた。

「スターシャお姉様のことだけど、イスカンダルの救済の終わりを宣言して、ここを出ていったの。デスラー総統と一緒に。ガミラスも、今は独裁国家じゃなくなったんだよ」

 目を丸くして驚いたサーシャは、再び食事の手を止めた。

「救済が終わり? それに、お姉様が昔仲良くしていたアベルト兄さんとよりを戻したっていうことよね?」

 ユリーシャは、大きく頷いた。

「そう。二人とも、とても生き生きしてた。スターシャ姉様も、デスラー総統も、自分で課した制約で苦しんで来た。その呪縛を、自ら終わりにして、仲良く旅に出たんだよ」

 サーシャは、再び食事を食べ始めると、最後に言った。

「ねぇ、ユリーシャ。一緒に、スターシャお姉様に会いに行かない?」

「え?」

「救済が終わりになったなら、私たちの義務も終わりになったと言うことよね。スターシャ姉様ばかりに自由を謳歌させるのは、不公平かなって思うの」

 ユリーシャは、困惑して苦笑いした。

「私たちに、あんな危険な旅をさせたのは、スターシャ姉様でしょう? 一言、文句を言ってもバチは当たらないと思わない?」

 サーシャは、笑顔が固まったユリーシャににっこりと笑いかけた。

「ところで、地球人には、素敵な殿方はいらしたかしら?」

「へ?」

 

続く…




注)pixivとハーメルン、及びブログにて同一作品を公開、または公開を予定しています。
注)ヤマト2202の登場人物は、役割を変更して登場しています。

参照1)サーシャについて
妄執の亡霊11 旅の終わり
https://syosetu.org/novel/213029/11.html
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