宇宙戦艦ヤマト2199 白色彗星帝国の逆襲   作:とも2199

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宇宙戦艦ヤマト2202とは別の世界線を歩んだ宇宙戦艦ヤマト2199の続編二次創作小説「白色彗星帝国の逆襲」です。「白色彗星帝国編」、「大使の憂鬱」、「孤独な戦争」、「妄執の亡霊」、「連邦の危機」、「ギャラクシー」の続編になります。


白色彗星帝国の逆襲6 新たな火星

 火星――。

 

 かつて、テラフォーミングが成功し、地球の移民団が移り住んだ火星は、二度の内惑星戦争で徹底的に破壊され、現在では住む者もおらず、長い間放棄されていた。テラフォーミングを継続する為には、土壌の改良、植物や気候の管理が不可欠で、住民がいなくなった惑星は、緩やかに元の状態へと戻ってしまっていた。しかし、藤堂早紀と真田と新見が関わった実験艦ムサシによるコスモリバースシステム実験を経て、再びテラフォーミング時代の火星が復活していた。

 再び豊かな海を抱えた火星だったが、地球は遊星爆弾による攻撃で、多くの人々が亡くなり、今でも土地が余っている状態だった。その為、わざわざ好き好んで火星へと移民しようとする者たちが現れるには、長い年月が必要だと思われていた。

 そんな時、ガミラス政府と締結した平和条約により、平和的な交流を深める為、双方の政府の合意の上で、移民団を募集することになった。ガミラス政府からは、マゼラン銀河に別れを告げて、新たな開拓地を求めた多くのガミラス人や、マゼラン銀河に住む様々な星系の異星人たちの希望者が現れ、急遽現実的な話として進み始めた。

 まずは、三千人からなる移民希望者を受け入れが実現可能か、地球連邦政府は検討をおこなった。しかし、依然として、ガミラス戦争を経験した人々には、異星人に対する警戒心や憎しみの感情を持つ者も多い。しかし、この交流は、将来人類に大きな恩恵をもたらすに違いないと議論は白熱した。

 悩んだ末、政府が出した結論は、ちょうど人が住めるようになっていた火星での移民団受け入れ案だった。地球にいきなり移民団の人々の居住区を設けるより、軋轢は少ないこと。そして、ガミラス人を排斥しようとする勢力から彼らを守ることも容易だったことがその理由だった。

 こうして、地球連邦政府は、火星での受け入れ体制を作ることが急務となった。それには、彼らが暮らす仮の住まいや、テラフォーミングの管理設備などの再建など、やらなければならないことは山積みだった。この作業には、防衛省の軍の装備も有効と判断され、空間騎兵隊を中心に作業に参加して、建設が急ピッチで行われていた。

 

「オーライ、オーライ。ストップだ」

 巨大なガントリークレーンが、宇宙港の艦船ドックの建設を行っていた。地球連邦政府の国土交通省が公募し、入札した民間企業の人々は、多くの居住施設や、インフラ整備、道路網、宇宙港などの基本的な設備を建設していた。その艦船ドックの脇では、空間騎兵隊の隊員たちが、艦船用の着陸支持台の建設を手伝っていた。彼らは、新たに米国で開発されたパワード・エグゾスケルトンと呼ばれる強化外骨格の装備を着用して、手作業が必要な設備の建設を行っていた。

「その鉄骨をこっちへ持ってきてくれ」

「そっちの溶接が終わったら、この化粧用のでかいパネルを向こうへ運んでくれ」

「おい、ぼやぼやすんな!」

 空間騎兵隊の隊員は、部隊毎に隊長たちが激を飛ばしながら、作業を進めていた。

 ある程度着陸支持台が出来上がり始めたところで、第七連隊隊長の斉藤始は、部下の隊員に休憩を宣言した。

「そろそろ、昼飯にしょうや。休憩一時間!」

 

「働いた後の握り飯は美味えな」

 斉藤も、着陸支持台のすぐ隣に作られた滑走路で、部下たちと車座になってコンクリートの地面に座り、思い思いの昼食をとっていた。

 車座になって座っていた部下の一人の天城敏郎は、弁当を食べながら、皆んなに言った。

「あの、強化外骨格って奴、助かるよな。腰が痛くならないのがいい」

 倉田勝は、同じように弁当を食べていた手を止め、持っていた箸で天城を指した。

「何だよ、年寄りみてぇに。でも、まるでこの格好は、ロボットみてぇだよな。この、箸を持つ繊細な動きも、万力のような力を出すのも自由自在だ」

 休憩の為、今は腕の部分を外した状態だったが、強化外骨格の見た目は、空間騎兵隊の装甲宇宙服とよく似ている。しかし、その内部は大幅に異なっている。身体の各部位が、様々な形態のアクチュエータによって電動モーターで稼働するようになっており、繊細な作業からパワーが必要な動作まで、様々な動きをアシストしてくれる。

 斉藤のすぐ隣にいた永倉志織は、弁当のサンドイッチをぱくつきながら、かすかに聞こえる音を聞いて、ふと空を見上げた。

「隊長、あれ。お客さんだよ」

 永倉は、もう片方の手に持った水筒を突き出して空の一点を指した。

 空からやって来たのは、防衛軍の航空隊所属のコスモタイガーと、ガミラス政府の紋章の入ったシャトルだった。十数機のコスモタイガーと、ガミラスのシャトルは、滑走路に着地すると、大きな音を立てて、少しの間滑走した。そして、彼ら空間騎兵隊のいる場所のすぐ近くに静かに駐機した。

 斉藤は、その様子を見て呟いた。

「そういやあ、土方の親父が、手伝いを寄越すと言ってたな」

 コスモタイガーから降りてきた人々は、早足で斉藤たちの元へやって来た。先頭にいた人物は、目当ての斉藤を確認すると、ヘルメットを外して敬礼をした。

「私は、宇宙空母シナノ航空隊第一戦闘機隊隊長の山本だ。土方総司令の命を受け、隊員十二名と空間騎兵隊の支援に来た。よろしくお願いする」

 斉藤は、旧知の山本の姿を見て、立ち上がって同じく敬礼した。

「空間騎兵隊第七連隊隊長の斉藤だ。支援の方、感謝する。久しぶりだな、姉ちゃん!」

「ね、姉……。こほん。ああ、ガミラス艦の乗っ取り事件以来だな」

「あんときゃあ、あんたには世話になった」

 数年前、ガミラス大使が着任して間もない頃、ガミラスを敵視する勢力が起こしたクーデター未遂事件で、二人は協力して乗っ取られたガミラス戦闘空母ダレイラを奪還したのだ。

「私たちがエスコートして来たのは、その事件の時の渦中の人物だ」

 山本ら航空隊の隊員の後方から、ガミラスシャトルから降りてきた一団がやって来ていた。ガミラスの地球駐在大使ランハルト・デスラーと、護衛のガミラス兵が数名、そして一人の地球人女性が山本や斉藤の居場所へと近づいていた。

「新しい宇宙港の建設は、見ての通り順調に進んでいます。現在、防衛軍所属の空間騎兵隊が作っているのは、ガミラスの艦艇と、地球の艦艇両方が着陸し易いような機能を持った新型の着陸支持台です」

「ほう。よく出来ているな」

 ランハルトと地球人女性は、感心しながら建設現場を眺めていた。

 ランハルトは、そこでようやく山本と斉藤へと向き直った。

「地球連邦防衛軍の諸君、お勤めご苦労」

 山本と斉藤は、揃って敬礼で迎えた。

「お気遣い、痛み入ります」

 ランハルトは、山本の方を見て、数年前の出来事の記憶を蘇らせていた。

「ふん。貴様とは、何かと縁があるようだな……」

「そ、そう、だな……」

 山本も、冥王星の事件のことだけでなく、古代と雪の結婚式の後に行った、異星人女子会にやって来たランハルトを、散々おもちゃにしてからかい、酔い潰れるまで飲んだあの夜のことを思い出した。

 二人は、忌まわしい記憶が蘇り、気まずい雰囲気になり、目を合わせられなくなっていた。

「な、なんでぇ、二人とも。随分仲良さそうじゃねぇか」

 そんなことがあったとは知らない斉藤は、空気を読まずににやっと笑って二人を眺めていた。

 ランハルトは、少し咳払いをしてから、真面目な顔に戻って言った。

「別に、そういう訳じゃない。前にいろいろあった、というだけだ」

「まぁ。随分と意味深なお話ですこと。後で詳しく聞かせて貰えるかしら」

 ランハルトと一緒にやって来た地球人の女性が口を開いた。彼は、少しだけ眉をひそめると、彼女に手を差し伸べて言った。

「紹介が遅れた。彼女は、諸君が建設している新たな火星の街、マゼラン市の市長だ」

 彼女は、長い黒髪と切れ長の目が印象的な美しい女性だった。

「桂木透子と申します。縁あって市長を務めさせて頂きます。本日は、デスラー大使と建設現場の視察に参りました」

 

続く…




注)pixivとハーメルン、及びブログにて同一作品を公開、または公開を予定しています。
注)ヤマト2202の登場人物は、役割を変更して登場しています。

参照1 火星について
妄執の亡霊10 青い惑星
https://syosetu.org/novel/213029/10.html
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