絶対悪が赤龍帝の姉になるまでのお話。



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昔のフォルダから掘り出してしまったので供養させてください(-人-)



ハイスクールD×D〜赤龍帝の白い姉〜

(……………)

静寂が訪れた。誰も微動だにせずその光景を見守っている。

 

――――魔王・アジ=ダカーハ

"拝火教"神郡が一柱、箱庭五大魔王の三頭龍。宗主より"悪(Aksara)"の御旗と箱庭第三桁を預かり、今生を魔王として過ごすことを約束された不倶戴天の化身。

 

凡そ3mの体躯にある頭蓋には夜天を照らす凶星のような紅玉の眼、顎から頭蓋を貫通した杭を打たれた異形の三本首の白蛇。蛇としてピット器官を備えている。

 

強力な不死性を持ち、斬撃・打突を幾多数多振りかざしても死ぬことはない。加えて千の魔術による膨大な知識、その体躯に見合わない大陸かと思わせる質量。

 

 

 

故にこの悪神は人類最終試練(ラストエンブリオ)と呼称される最古にして最凶最大の魔王の1体として数えられている。

 

 

 

『………ふむ』

 

だが今悪神の心臓には必勝の槍"擬似神格・梵釈槍"がくい込んでいる。

 

三つ首がそれぞれ違うものを見つめる。心臓を貫いた槍を。この試練に立ち向かった満身創痍の参加者(プレイヤー)を。槍を握る少年――逆廻十六夜を。

 

そして最後に三つ首は総じて自分の背後の1箇所を見た。淡い光を放ちながら今にも消えようとしている赤い鎧が解けかかった少年――兵藤一誠を。

 

紅玉の瞳を細めた三頭龍は、してやられたとばかりに笑って頷いた。

 

『………やられたぞ。まさか………まさか、第六宇宙速度で飛翔する槍を、受け止めようと考える大馬鹿者に加え、確実に貫くためにこの私ごと貫かれよう(・・・・・・・・)とする大馬鹿者が実在しようとは………!!!』

 

それは怪物の物とは思えないほど穏やかで晴れ晴れとした笑顔だった。

 

一体何があったのか。それは、遠目に見ている者にしては一瞬の出来事であるが、当事者にしてみれば悠久とも思える時間であった。

 

――――――

 

ジャックと呼ばれる、"カボチャの化身"であり"切り裂きジャック"でもあった相容れない存在。彼は自分の命、死後、過去と引き換えに三頭龍の前に"魔王"として自ら堕ち、星辰体となりながら魔王と正面から立ち向かった。

 

そしてもう一人。『赤龍帝の篭手』神滅具の所持者、兵藤一誠。彼は禁手化「赤龍帝の鎧」となり己の限界を超える倍加によって、第四桁に並ぶ程の強さになり、ジャックとともに三頭龍に立ち向かった。

 

三頭龍も退かず堕ちた魔王と赤き天龍に真正面からぶつかりあった。堕ちた魔王は光速に近い速度で三頭龍を切りつけ、赤き天龍は自分のパワーを倍加しながら三頭龍を力の限り殴りつけた。

 

しかしこの攻防は長くは続かない。堕ちた魔王は次第にその存在を顕現できなくなり最後の一太刀を胸に与え、消滅した。赤き天龍も限界を超えた倍加の反動で次第に勢いを落としながらも最後の一撃を同じく三頭龍の胸に打ち込んだ。それと同時に三頭龍の凶爪が赤き天龍の身体を縦に薙ぎ、天龍は地に落ちた。

 

三頭龍の心臓を剥き出しにして。

 

戦友が己の全てを掛けて掴んだ好機に参加者(プレイヤー)は一気に畳み掛けた。

 

吸血鬼のレティシアが持つ恩恵である太陽の主権・蛇遣い座(アクレピオス)と一体化し三頭龍の身体を拘束し、"箱庭の貴族"と呼ばれる"月の兎"・黒ウサギが"擬似神格・梵釈槍"を投擲し、誰もが参加者(プレイヤー)の勝ちを確信した。

 

――――が、その程度で勝ちを譲らぬのがこの悪神。この須臾ともとれる攻防の間に彼は二度進化した。

 

一つ、星一つに匹敵する質量と封印を力任せに引きちぎる"膂力"。

これにより彼の身体を縛っていたレティシアは言葉にならない悲鳴を上げ地に落ちた。

一つ、星の光より早く動く術"星辰化"。

ジャックと一誠の攻防の際に得た経験値を元に自力でこの恩恵を組み上げた。

 

こんな事を予想できるものがいるとするなら。

 

「「――――――ああ、お前なら避けれる(・・・・)と思っていたよ」」

 

それは。魔王という存在に羨望し、彼の王威を信じていたものと、赤龍帝という天龍を宿し、直感(・・)が未来予知に等しい力を持つもの以外にはあり得なかった。

 

<一誠 side>

 

今、黒ウサギの"擬似神格・梵釈槍"を十六夜が掴み取りアジ=ダカーハに向いている。十六夜はそのまま奴に投げる気だ!!

 

だが、それでも奴に届くにはまだ足りない……。

……どうすれば届く!!!

 

皆も動きたくとも動けないだろう。俺もさっきの倍加と奴の爪で裂かれ失血が激しい。意識を保つので精一杯だ。

 

このままでは絶対によけられる。俺の直感(・・)が告げている。

 

……それなら!!!

 

『相棒やめろ!!!』

 

俺の中の天龍の魂、ドライグが俺に叫ぶ。

 

だがもうこれしか方法がないだろ!!

 

覇龍(ジャガーノート・ドライブ)でしかあいつ抑える方法は無い!!!

 

ジャックだって自分の全てを賭けたんだ!!俺もここで賭けないと一緒に戦ったあいつにあの世で顔向けできねえ!!

 

『だがそうすればお前は…』

 

……ああ、確実に死ぬだろうな。だけどこうするしかないんだ!!だから頼むドライグ、数秒、いや一瞬だけいい。俺の寿命でなんとかコントロールできるようにしてほしい。最期(・・)に俺に力を貸してくれ!!

 

『………わかった、お前の覚悟を、お前の最期(・・)を俺の中で永遠のものとしよう!!行くぞ一誠!!!』

 

おう!!行くぞドライグ!!

 

 

我、目覚めるは

覇の理を神より奪いし二天龍なり

無限を嗤い、夢幻を憂う 

我、赤き龍の覇王と成りて 

汝を紅蓮の煉獄に沈めよう!!!

 

<十六夜side>

 

…こいつは避ける。これは感なんてもんじゃねえ確信だ。一誠の感には今まで何度も驚かされたがな。

 

俺は黒ウサギの槍を受け止めて奴に放とうとしている。だがこいつは避ける。ここまで来て届かねえってのか!!

 

っ!?なんだこの尋常じゃねえ力は!?

 

まさか!?あの馬鹿野郎!!!

 

覇龍(ジャガーノート・ドライブ)!!!」

 

一誠が覇龍を使った。紅蓮に染めたその身体を浮かび上がらせこちらに超スピードで迫る。一体何を?

 

次の瞬間、一誠はアジ=ダカーハの背後に周り腕をやつの両脇から締め上げ拘束した。咄嗟のことに流石のアジ=ダカーハも驚きの表情だ。そんな顔がお前にもできるんだな。

 

だがすぐにアジ=ダカーハは拘束を解こうと身体に力を入れる。まずいこのままでは!!

 

そして俺は一誠の瞳と呼べる場所から一筋の光線が俺の額を捉えた。

 

<一誠&十六夜side>

 

「十六夜!!!」

 

「一誠てめえまさか!?」

 

「……ああ、覇龍を使った。寿命と引き換えに今この瞬間だけコントロールできるようにした。」

 

「…馬鹿野郎が。もう後戻りできねえんだぞ。」

 

「それは俺が一番理解している。ドライグも許してくれた。

それより時間がない、俺のコントロールもアジ=ダカーハが拘束を解くのも時間の問題だ!!

はやく、はやく俺ごと(・・・)槍であいつの心臓を貫け!!皆の行動を!思いを!願いを!無駄にするわけにはいかない!!!十六夜!!!」

 

「……わかった。お前の覚悟を。お前の思いを!!行くぞ一誠!!!」

 

「おう!!!行くぞ十六夜!!!」

 

<一誠side>

 

十六夜は奴の側で何か話しているみたいだな。

 

「がふっ…」

 

あ……これはもう無理そうだな。血が止まんねえや。

 

槍、"擬似神格・梵釈槍"はアジ=ダカーハの心臓を貫き、さらに俺はやつの後ろにいたということもあったので、もちろん俺にも深々と背中を貫通して地面へと刺さっている。下半身に至っては腰とオサラバしてやがる…マジかよ。

 

『一誠!!』

 

はは、さっきから叫んでばっかりだなドライグ…。

 

『一誠俺は、俺は!!』

 

そんな女々しい声出すなよドライグ、俺達は勝った……んだぜドライグ…。

 

腰から消えかかってやがる。ほんとにジャックの二の舞になっちまったな…。

 

『……一誠、俺はお前を…忘れない!!お前は…俺が出会って……きたもののなかで……一番の…一番の……』

 

はは、泣いてて何言ってるかわかんねーよドライグ。

 

なあ、ドライグ……。

 

『なんだ…いっ…一誠』

 

俺が………相棒で良かったか?

 

『勿論だ!!!お前は歴代最高の赤龍帝だ!!!他の誰がなんと言おうとお前は最高の相棒だ!!!異を唱える奴は俺がそいつの喉笛を引き裂いてやろう!!!だから一誠………』

 

『死なないで…くれ…!!!』

 

はは…は。そうか、俺は…最高の赤龍帝で…最高の相棒…だったか。良かった。

 

もっとお前…と一緒に…強くなりたかったぜ。

 

十六夜達が来た。

…なんだよお前ら…勝ったんだから…喜べよ…悲し涙なんか…流してんじゃねえ…よ。十六夜…お前にはそんな…顔は似合わ…ねえよ。いつもみたいに…ヤハハ…って笑え…よ。

 

そろそろか…

 

『一誠……!!!』

 

ドライグ…俺から…も言いた…いこと…があるん…だ。

 

『なんだ、なんだ一誠!!!』

 

俺の相棒でいてくれて

 

本当にありがとう…………

 

そして俺の意識は線香花火が落ちるように消えていった…

 

 

 

 

 

――――――

 

 

――――――――――――

 

 

――――――――――――――――――

 

 

 

 

 

ん?ここはどこだ?

 

確か俺はアジ=ダカーハとのゲームで死んだはずじゃ…

 

「気が付きましたか?」

 

うわ!!えーと、誰?

 

「私ですか、そうですね、アジ=ダカーハを倒したものへの恩恵、と言ったところでしょうか」

 

恩恵ですか。

 

ん?でもそれなら俺ではなく十六夜達では?俺死んじゃいましたし。

 

 

「ええ、確かに貴方はアジ=ダカーハとのゲームによりその命を終わらせました。だからこその私です」

 

えーと…すいません、話がよくわからないんですけど…俺頭は回らないもので。

 

「随分腰が低いのですね。アジ=ダカーハを倒したのですから私に対してはもっと不遜な態度でもよろしいのですよ?」

 

いやーですけど今までそんな態度とったことないのでこればっかりは死んでも治りませんよ。

 

てかもう死んでますけど。

 

「ふふふ、すいません話が逸れましたね。ではお答えしましょう。私はアジ=ダカーハとのゲームにおいて最も活躍したプレイヤーに対する恩恵です。でもすぐに消えてしまいますけどね」

 

 

なるほど最も活躍したプレイヤーに対する恩恵ね…

 

っっってえええええええええええええええええええええ!?

 

え!?俺がですか!?十六夜や黒ウサギやジャックや蛟劉さんじゃないんですか!?

 

「はい、貴方でございます」

 

い、いきなりのそんな大きいことを言われても、叫んで驚くことしかできませんよ?

 

 

「驚いていただけたのは何よりです」

 

うーんでもありがとうございます。でも俺死んじゃったから恩恵も何も無いと思うんですけど。それならば今からでも十六夜や黒ウサギ達に上げたいなあとか思ったり。

 

「……貴方は優しいですね。ですがこれは貴方しか受け取ることができません。そういう恩恵なのです」

 

正面からそう言われると照れますね。そうですか、わかりました。では一体どんな恩恵何ですか?死んじゃってるんで上手く扱えるかどうかわかりませんが。

 

「…その前に一つ確認したいのですが」

 

何ですか?

 

「話を聞いてくださって言い難いのですが、この恩恵は受け取らないこともできます。いいえ、最悪受け取らないほうが貴方には良いのかもしれません。それでも貴方は受け取りますか?」

 

うーん、そうですね。あのー俺からも一つ聞いてもいいですか?

 

「何でしょう」

 

その恩恵を俺に渡して貴方は後悔しませんか?

 

「……え?」

 

いやーここまで貴方と短いですけど話をして思ったんですけど貴方も十分優しいと思うんですよ。なんていうかこう、アジ=ダカーハのゲームによる恩恵(・・・・・・・・・・・・・・・・)とは考えられないくらい。

 

「・・・・・・」

 

確かにアジ=ダカーハは『絶対悪』として箱庭を危機にさらしましたけど、あいつにも自分の矜持があった。揺るぎない確固たる信念がありました。これはマクスウェルの野郎と戦った後に十六夜から聞いたんですけどね。

 

けど、そんなあいつに比べて貴方は優しいというより『愛』のようなものを感じるんですよ。

あいつに愛がないような言い方ですけど……とりあえず、そんな『愛』のある貴方が俺に対してその恩恵を渡すのに後悔があるのなら俺は受け取りません。貴方が俺に対して後悔がないなら俺はその恩恵を受け取ります。

 

口下手ですいません。こういうの苦手でして。

 

「・・・・・・ふふ」

 

ふふ?

 

「いえ、少し嬉しかっただけです」

 

そうですか。何が嬉しかったかは聞きません。質問は一つでしたからね。

 

「律儀ですのね」

 

約束破られたら誰だって嫌になりますからね。

 

「ほんとう、優しい方。では貴方の質問にお答えしましょう。はい、全く貴方に対しては後悔ありません。むしろ今のを聞いてさらに恩恵を渡したくなりました」

 

そ、そうですか。わかりました。ではその恩恵を頂きます。。

 

「ありがとうございます」

 

ちなみにどんな恩恵なんですか?頂くって言ったものの内容聞いてなかったことを今更気づいたんですが…

 

 

「それは今教えることは…いえ、一つだけなら教えることができます」

 

一つ?まさか複数あるんですか!?

 

 

「正確には二つです。ですが私が貴方に伝えられない恩恵は少し複雑なものでありますから今は伝えることができません」

 

うーんでも俺死んじゃったし、今分からなかったらずっとわからないんじゃないんですか?まさか天国でわかるとか!?いや俺の場合地獄かな。覗きとか女の子の裸とかいっぱい見ちゃったし。

 

「そんなことでは地獄には落ちませんよ。まあ天国にも行かないんですけどね」

 

 

…ん?天国にも地獄にも行かないって…俺何処に行っちゃうんです?

 

「貴方が元にいた世界です」

 

…ああ俺が元いた世界ね。

 

ってえええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええ!!!!!!!!!!!!!!!???????????

 

え、俺の元いた世界って箱庭に来る前に来た世界ってことですか!?

 

「はい、それ以外に貴方は何処か他の世界にいたのですか?」

 

いいえそんなことないありませんです箱庭に来る前の世界しかありませんです。

 

「早口で言わなくてもわかっていますよ。はい、貴方を今から元にいた世界へ送ります」

 

ま、まじですか?

 

「まじです」

 

恩恵ってそんなこともできるんですね。

 

「人類最終試練のMVPプレイヤーですからね。生きていらっしゃっていたならば更にすごい恩恵は頂けていたと思いますよ?ですが貴方はあのゲームで命落としてしまいました。それを加味して、元の世界での第二の人生です」

 

流石修羅神仏の箱庭、スケールが違い過ぎる…

 

「ではそろそろ、準備はいいですか?」

 

え?もう!?

 

「実はこの空間と言いますか、私との交信は長時間存在できないんです。早くしないと今の貴方はあの世へと送られてしまいますから」

 

なっ!?じゃあ早くお願いします!

 

「ええ、わかりました。では第二の人生を楽しんでください」

 

そこで兵藤一誠の思念は消失し、恩恵のシステムだけが残った。姿形もなく、ただ恩恵の曖昧な説明をすることだけの存在。それは今己の役目を終わらせ、この世界に二度と現れることはないだろう。しかし、容姿はおろか表情すらわからないというのにその存在は確かに……

優しく微笑んでいた。

 

「貴方が進むべき道、見るべき本来の景色、そして世界は貴方が居なくなったことで崩壊(・・)してしまいました。更にこのイレギュラー(・・・・・・・)により本来の世界には決してならないでしょう。ですが貴方は受け入れました。それが負の方向に進むのか正の方向に進むかのかは誰にもわかりません。願わくば貴方には幸せになってほしいのですが…。

……さて時間ですね、貴方とそれ(・・)の様子を見れないのは少々残念ですけど、仕方がありませんね……」

 

恩恵は名残惜しそうに最後の言葉を呟き消滅した。

 

これから始まるのは正史が崩壊した世界で起こる姉弟(・・)の物語。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




続きっていりますかね( ̄ω ̄;)(残骸と化したプロットを長めつつ)

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