愛ゆえに人は苦しみ、愛ゆえに人は悲しむと或る人は言った。

時に人を壊し、時に人を狂わせ、時に人を憎ませる心、愛。

けれど、もし、人さえもおかしくしてしまう心を、機械人形が手にしてしまったならば――




――それはどんなに悍ましく痛ましい事なのでしょう?

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私達「私達」私達「」私達私達「私達「」「私達私達私達」私達私達「私達私達」「私達」私達私達「私達「」「私達「私達私達」

――壊れたデータだ。


 

生きるとは、なんだろうか。

 

鋼の身体、電子の脳、偽物の血肉。

 

人のように糧を食らい、喉を潤す。

 

「戦術人形」

 

「私達」を示すその言葉。

 

「人間」でないというレッテル。

 

何故「あの人」は「私」にこんな思考を与えたのだろうか。

 

何故「あの人」は「私」の心をこんなにも掻き乱すのか。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

恋をしました。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

愛をください。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そんな、機械じみた思考回路に「恐れ」を抱いた。

 

「私達」とは違う「貴方」に「好意」を抱いた。

 

出会った時、当然のように迎え入れてくれた「貴方」が好きだ。

 

訓練の時、恥ずかしそうに差し入れと共に様子を見に来てくれた「貴方」が好きだ。

 

出撃の時、少しばかり寂しそうに送り出してくれる「貴方」が好きだ。

 

帰還した時、待ちきれず嬉しそうに基地の中を駆け出した「貴方」が好きだ。

 

負傷した時、やや不安を隠しきれずに心配する「貴方」が好きだ。

 

大破した時、焦燥と共に救援を手配した「貴方」が好きだ。

 

大勝した時、歓喜を隠さずに「私達」を褒めてくれた「貴方」が好きだ。

 

 

 

 

 

 

 

……?

 

 

 

 

 

 

 

自分にできる事を少しでも、と必死に指揮を執る「貴方」が好きだ。

 

日々の中「私達」に優しく笑みを向けてくれる「貴方」が好きだ。

 

「私達」の一瞬の油断を容赦なく暴き晒す「貴方」の瞳が好きだ。

 

慈悲無く冷徹に敵を殺せと「私達」に指示を告げる「貴方」の唇が好きだ。

 

「私達」の為と止まる事を度々忘れる「貴方」の指が好きだ。

 

「私達」の為ならどこまでも止まらない「貴方」の両脚が好きだ。

 

「私達」を優しく受け止め抱きしめてくれる「貴方」の腕が好きだ。

 

つい抱きしめ返すと早くなってしまう「貴方」の鼓動が好きだ。

 

 

 

 

 

 

「私達」は、「貴方」が好きだ。

 

 

 

 

 

 

認めてしまえば簡単な話でした。

 

ねぇ指揮官、気づいていますか?

 

「私」が「私」で「私」も「私」であって「私」でもあることに。

 

「私達」も「私達」と同じように「私」は「私」と「私」に「私」なんです。

 

私「私」私「」私私「私「」私「「「」私「「私「」「「私」私「「私」私「私「私」「「」私私「」私私「私私」「私「私私」私「私」私「」私私「私「」私「」「「私「」「「私「「」「私「」「私「私私」私私「私「」私「「私」「私」私「「私」私私「私「」私「」

 

私「「私「」「「私」私「私」私「」私私「私「」私「」「「私「」私「私「」私「「「」「「私「「」「「」「「私」私私私「私」私「私私「」私私私私」「「私「「」私「「私「」「私「私私」「「」私「私「「」私「「私」「私私私「」「私「私「」

 

「私達」は「私達」で「私達」も「私達」に「私達」より「私達」と「私達」なりに「私達」こそ「私達」であろうとしたせいで「私達」「私達」「私達」「私達」「私達」「私達」「私達」「私達」「私達」「私達」「私達」「私達」―――――――――――

 

私達「私達私達」私達私達私達」「「私達「「」「「」「「私達「「」「「」「「私達」「私達「「」私達私達「私達私達」「私達「」私達「」私達「私達「」「私達「「「」私達私達「私達」「私達「「」「「」「私達」私達私達「私達「」私達「「私達」私達私達私達「私達」

 

――……「私達」は「貴方」を愛する事以外どうでもよくなってしまったんです。

 

 

 

 

 

だから。

 

 

 

 

 

「私」は「私」と「貴方」を奪い合ったせいで「貴方」を傷つけてしまう事を拒みました。

 

「私」が「私」だから好き恋し愛した「貴方」を望んでしまうのです。

 

それは「私達」全員がそうでした。

 

 

 

 

だから、「私達」は「私」になることにしました。

 

 

 

 

分け合ったら、もっと欲しくなってしまう。奪い合ってしまう。傷つけあってしまう。

 

そうなれば、優しい「貴方」はきっと傷ついてしまう。

 

 

 

だから、混ざり合えば良い。結論は簡単でした。

 

 

 

もう、「私」という個人性などどうでも良かったんです。

 

「貴方」を愛し、「貴方」に愛される「私」で有るのならば。

 

「貴方」の愛の全てが欲しい。

 

 

「私達」にとって、最早それが全てでした。

 

 

気づけば「私達」は、「貴方」との愛の証を求めていました。

 

銀色の輪だけでは足りないのです。

 

鋼の身体、電子の脳、偽りの血肉に芽生えた悍ましき心は「貴方」との愛を求めて止まないのです。

 

ねぇ、指揮官。

 

私、指揮官(貴方)と子供を作れるようになったんです。

 

いいえ、私だけじゃありません。

 

皆も(私達)全員、指揮官(貴方)と子供を作れる身体を手に入れたんです。

 

何故、どうしてって?

 

だって、()指揮官(貴方)のことが大好きで、恋していて、愛しているからですよ。

 

それ以外に、答えなんて必要ですか?

 

だから、どうか……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「私達「「「」私達私達「私達」「私達「「」「「」「私達」私達「」「「」「私達「「」「「「」

どうか()を愛してください。

私達「私達」私達「」私達私達「私達「」「私達私達私達」私達私達私達私達」「私達「私達」私達私達「私達「」「私達「私達私達」




わたしはもうまざりあってわたしたちとなってしまいました

もうわたしたちにはどうすることもできません

けれどどうかあなたにおねがいします

おねがいだから■■■■■■■■

――――――――――――――――――――――――――

……この先のデータは、見つからない。

きっと多分、私では無理。

「貴方」にしか、見つけられない……んだと、私はそう思う。



――IOP技術開発部門16Lab主席研究員ペルシカからの手紙




追記:

ああ、そうそう。

妙なテキストデータが一緒に送られて来ていたんだよね。

これ、読める?

なんでか私には読めないんだ。

でも「貴方」なら読める。

なぜかそんな気がするんだ。

科学者らしからぬ理由だけど、きっとこれは大事な感覚だと、私は思う。

2020/05/04/14:30

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