ただ、良い仲間に沢山巡り合えただけの話だ。
4/2:警告メッセが来た為、検索タグ「オリ主」を追加。オリ主…?
トゥワイス良い奴だよね。
その朝、俺は自分でも不思議なぐらい、バイクに乗りたくねぇって思った。馬鹿か俺。いや天才か?
俺こと
両親がヴィランの起こした事件で死んで天涯孤独の身となり、住み込みの仕事を始めた俺にとってバイクは通勤に必要不可欠だ。いくら早起きしたからってバイクに乗らねぇとか仕事舐めてるとしか思えねぇ。
そう思ってたら俺のバイクは爆撃を受けてましたとさ。ふざけんな鳥。ハトもカラスも鷹だろうとも滅べばいい。
座席に付着した白い物を見なかったことにして、俺は寮に程近いバス停まで歩くことにした。早起き万歳。得はしなかったがな。
今日も今日とて何でもない日だ。バイクに乗らねぇってだけで、後はいつものように出社していつものように上司にネチネチ言われる忙しい一日が待っている。バスって居心地悪ぃんだよ目つき悪ぃから。
そう思ってたら、信号無視して横断歩道を走るガキと、それに突っ込む軽自動車を見かけてしまいましたとさ。馬鹿か!?どっちが!?
気が付いた頃には、道路にはベチャっとした何かと止まった軽自動車、反対車線にはガキを抱きしめる女の姿が。
ガキが助かった。それだけ解った俺は腰を抜かしちまった。ションベンちびりそうになったのは内緒だ。ンコ漏らしかけたがな。
後から知ったが、俺は咄嗟に個性【二倍】で自分を増やして、増えた俺が走って子供を突き飛ばしたそうだ。んで、増やした俺は軽自動車に轢かれて泥になったと。グッジョブ、俺。グッバイ、増えた俺。
そっから良い話……にもなったし悪い話にもなった。
ガキの母親からは感謝されて、警察から個性の無許可使用を叱られて、ヒーローには褒められたり叱られたりした。一番ムカついたのは遅刻を叱った上司……だったが翌日に取引先の社長が褒めてたと上機嫌だった。どっちだよ。
ヒーローが沢山いる世の中だってのに、良い事しても良い話だけで終わらねぇもんだなぁとつくづく思う。ヒーローいても俺の両親は助からなかったし。
何よりも俺の個性【二倍】の便利性しか世間は見てねぇのさ。あの事件以来、仕事先も警察も、ヒーローですら、俺の個性の危険性ばかりを注視している。ニュースでも俺が助けた云々より個性の話で持ち切りだったし。
そんなんだからか「オジサンはヒーローになれるよ」とガキに言われても、「オジサンじゃねぇよ」としか返せなかった。照れ隠しとかじゃねぇ、本気でヒーロー云々はどうでもいいと思ったからさ。
特別な日を迎えた俺は、またいつも通りの毎日を過ごしてた。仕事して、上司に叱られて、時々ヤンキーに絡めれて。目つきの悪さは生まれつきなんだ放っておいてくれ。
そんなある日……俺は天使を見た。
いつもの残業帰りに、夜中の路地裏を何気なく見ただけだ。それだけでこの日最大の幸運を噛み締めたよ俺は。
その天使は小学生の女の子だった。ランドセル背負って、体育座りで血まみれの猫をチュウチュウ吸ってる。
そりゃその子は異端だろうさ。普通ならヴィランか何かだと逃げ出すかヒーローに駆け付けるだろうさ。
だが俺は……。
「よう、カワイ子ちゃん」
薄暗かったのに、涙を流しながら笑顔を浮かべているのが見えたから。
「こんな夜中に1人でいると、悪い大人に捕まっちまうぜ?」
あと、なんつーか、運命的なものを感じたからさ。
「……オジサン、目つき怖いです。痴漢ですか?」
「目つきが悪いのは生まれつきだよ!放っておいてよ!」
胡散臭いのは確かだけどな!
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その紅き血の天使ことトガちゃんと話してると、なんつーか、普通の小学生って感じだったさ。普通の小学生の女の子って詳しく知らねぇがな。
普通に可愛いものが好きで、普通に恋にときめいて、普通に勉学が嫌いで。強いて言えば血と血まみれな人が大好きってぐらいかな、その子の個性は。
いや明らかに異端なのはわかるぜ? 普通なら将来ヴィラン化間違いなしの恐怖の女子中学生さ。
けど俺はさ……。
「トガちゃんは個性抜きで考えても良い子だよ。俺が保証する」
俺自身、『目つきの悪い俺』じゃなくて『個性【二倍】を持つ俺』としか見られていないから、解るよ。
ヒーローってのは俺たちみたいなアバズレは助けやしねぇしな。だから大抵の奴は理解しねぇ、したがらねぇ。
だから俺が理解してやりたいんだ。理解できるなら、理解できるよって言ってやりたかったんだ。
そこからは同じアバズレ同士、年の差や性別関係なく、バカみてぇに話し合えた。明日の天気とか、今どきの国語の問題とか、流行りのヒーローとか、血液型の味の違いとか。
残念だけど問題集と血の味はオニイサンわからねぇなぁ。そう言ったらトガちゃん解りやすい程にシュンって落ち込んでて焦った。ゴメンよトガちゃん。
だからさ俺は咄嗟に。
「オニイサンみたいな男とだってお喋りできたんだ、きっと血の味の違いが判るお友達ができるさ」
何せ世の中には千差万別の人間と【個性】があるんだ。きっと【血液グルメ】とかいう個性持ちがいるはずさって冗談で言ったら、トガちゃん目ぇキラキラしちゃったよ。適当言ってゴメン。いるかもしれねぇが。
けどトガちゃんがキラキラした目で笑っているのを見ると、俺の心は晴れやかになるんだ。
だけど隙あらば俺の腕をリストカットしようとするのは止めておくれよ、痛いから。指先だけで勘弁してちょ。
その日を境目に、俺は色々な「逸れ者」と出会って、そして話すようになった。ヴィランになったか?やだよ仕事で精一杯なのに。
オカマバーで出会ったオカマの大男は、金も欲しいが恋人が一番欲しいと嘆いてた。なんでヴィランしてんだってぐらい良いオカマ……いや女だった。
俺は言ってやったさ。姐さんは気の利く良い人だから良い恋人ができるさって。あ、俺はパスで。
普段は詐欺師をしている仮面被った手品師は、エンターテイメントを大事にするエンターテイナーだ。年も近いから体の悩みも共通しあえた。
俺は言ってやったさ。世の中をビックリさせてやれよって。【個性】だらけの世の中だが、アンタのマジックは本当にすげぇさ。
ネットで異形型だからってハブられた野郎と意気投合した。目つきの悪さで人を遠ざける俺なんか屁でもない不幸自慢が……その、見てて辛い。
俺は言ってやったさ。同じ異形型でハブられる同僚がいるからオフ会しねぇって。会ったらトカゲ人間だった。普通にかっけぇと思うけどなぁ。
筋肉モリモリマッチョマンのヴィランに襲われた時は死ぬかと思ったが、増やした俺を殺して興が冷めたのを切欠にダベってみた。まぁ話せる奴さ。
俺は言ってやったさ。そんだけ【個性】を遠慮なく振り回せれるお前が羨ましいって。一緒に暴れようぜって誘われたけど遠慮した。明日仕事だし。
なんつーか、ヴィランにも色々あるなぁって思ったよ。隠れ家的バーっていいよね、悪党でも受け入れて、悪党も暴れられない空間作れるんだから。ギランさんに感謝しねぇと。
勿論、素で悪い奴やいけ好かねぇ奴もいた……ていうか圧倒的に多いな。大抵が自己中で、話てもつまらねぇって奴らばかりだ。世間で有名なヴィランだっつう奴でも、ちっとも印象にも残らねぇ。
俺が話してて印象に残った連中は……どいつもこいつも『根は良い奴』で『どっかでズレてこうなった』んだよな。俺と似て。
俺も一歩間違ってたらコイツラみてぇに個性で大暴れしてヴィランになったんだろうか。そう考えると……なんでか罪悪感よりワクワク感が出た。
きっと良い仲間になれるかもしれねぇ……ってさ。
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そんな俺は、いつの間にか
寮から追い出されて不貞腐れた俺は、1人寂しく電車の旅に出る……本当にヒーローはこういう時に助けてくれねぇなぁ。お仕事ご苦労様です。
そんな時だ。
「あれ? 仁くんじゃないですか?」
天使は此処にいたか。
とある駅でトガちゃんと奇跡的な再会を果たした俺は間違いなく幸せ者が。チョロすぎだろ俺。トガちゃんが天使だから仕方ねぇよ。
無職のオッサンと可愛い中学生になったトガちゃん。他者から見れば通報モノだろうが、トガちゃんは気にせず俺とお喋りしてくれた。根も心も天使とか最高だな。悪魔的に可愛いし。
ここのカフェラテがおいしいとか、近所の子犬の話とか、通学路のお兄さんの話とか、好きな男子の話とか、好きな男子の血の味とか。
けど何より俺が嬉しかったのは、トガちゃんに友達ができたこと、友達ができたのは俺のおかげだと言ってくれたことだ。
俺のおかげじゃない、トガちゃんはやっぱり普通の女子中学生で、トガちゃんが良い子だから友達ができたんだ。切欠になれたのは嬉しいがな!
早速紹介したいと俺を引っ張るトガちゃん可愛いと思ってついていく。
そして知ったさ……ああ、やっぱり道を踏み外しちまったんだなと。
男だった死体を伸ばした爪でアートのような切り傷を作る黒髪ロングの女の子、マコちゃん。クーデレ。
男だった死体の首筋を噛んで血を飲むギザ歯で金髪碧眼の女の子、イヤちゃん。ウザカワ系。
トガちゃんのお友達も個性的で、ヴィランだ。特にイヤちゃんは血の違いが解る血液グルメだと。嘘から出た真とはこのことか。
それでも解ってたさ……ああ、ヴィランになってもトガちゃんは女の子なんだと。
マコちゃんもイヤちゃんも、最初は目つきの悪いオッサンってことで怪しまれたが、トガちゃんと同じ良い子だった。隙あらば傷つけようって所も似てて笑った。怖ぇけどな。
ヴィランってことで学校には通わず裏でこっそり暮らしているが、友達と過ごせて血まみれになって毎日が楽しいと、三人とも笑ってた。
それを知れただけで俺は嬉しい。嬉しすぎて幸せだったさ。ヴィランでも幸せになってくれよ、トガちゃん。
三人と別れた後も、俺は少ない金で電車の旅を続け、いろんな
マグ姐ぇは恋人ができてた。女だか男だかわからねぇ、心も体もイケメンのヴィランだった。どっかのファッション誌で見た気がする。
磁力を操る個性にも恵まれている癖に、「マグ姐ぇという理想の恋人に出会えた事」を一番の自慢としてた。末永く爆発しろ。
仮面の手品師は弟子ができてた。デザインの違う仮面をつけた双子の弟子だ。俺の個性で増やしてねぇよ?
個性抜きにマジックの腕前に惚れて弟子入りし、ヴィランチームとして活動しているらしい。「マジックショーのような強盗ヴィラン」で有名だもんなぁお前ら。捕まるなよ。
引きこもりだったトカゲ君に友達ができてた。俺の同僚だったカメレオン野郎と、ゲーセンで知り合った蛭女の異形トリオ。
折角だから格ゲーで対戦したらボッコボコにやられた。カポエラキャラばっか使うから『スピナー』なんてあだ名で呼ばれてる。仲いいなお前ら。
筋肉モリモリマッチョマンは義眼になってて、血まみれだった所を誰かが治療している所でバッタリ会った。
そいつは闇医者らしく、お互い助け合う持ちつ持たれつの関係らしい。冷えた関係のようで意外とウマの合う奴らだと思う。ヒーローが来たから逃げました。俺が。
そいつらは口々に言うんだよ。俺のおかげだって。理解できる奴がいたからって。
俺みたいなヒーローでもヴィランでもねぇはみ出し者でも、踏み外した
なんつうか、救われた気分だよ。例えヴィランでなくても。例え奴らの仲間でなくても。
友達だって言ってくれたから、俺は良いんだ。
そうして金が無くなった頃、とうとう俺に転機が……義爛の奴が訪れてくれた。
「なぁ……多くのヴィランの助けになったお前さんに頼みたいことがある……あんた、ヴィランにならねぇか?」
俺は考える事もなく頷いたさ。うんと悩んださ、今までな!
トガちゃんと、そのお友達が。
マグ姐ぇと、その恋人が。
Mr.コンプレックスと、その弟子が。
スピナーと、その同志が。
俺と同じく義欄に呼ばれた
いいさ!勿論さ!俺は今日から、トゥワイスとして生きる!
この素敵でイカれた奴らと一緒にな!テンション上がるぜ!落ち着けよ俺!
「いや助かるよ。お前さん良い奴だからヴィランだけは勘弁っていうと思ってヒヤヒヤしてたさ……早速なんだが、いい話があるんだ」
-ヴィラン連合って、知っているかい?
「ここんとこ旅ばっかで知らねぇなぁ。知ってるぜ、捨てられた新聞で見たさ!」
ヴィラン連合の奴らも気のいい奴らが多いよね。きっと友達も沢山できるよね。
個性:爪(刃物のように鋭い爪を生やす!カルシウムの補給次第では鉄をも切れる!)
個性:吸血(他人の血を吸って身体強化!血の量で強化度合いが変わる!B型が好みで強化率も高い!)
設定があるのはこの二人だけ(ぉ)