この素晴らしい世界にApo組を!(一部のみ) 作:食卓の英雄
読んでください……。
出来れば高評価とか…感想とか下さい。
キャベツの大収穫やら突然のドラゴンやら色々と濃い一日が終わり、新しい朝が始まった。
「ほお〜、ここが武具屋か。ブリテンには無かったが中々いい雰囲気じゃねえか。まあ並んでんのは普通だけどよ」
「おい、頼むからあんまり失礼な事を言うな…ああもう、こっち見てるぞ」
「オイオイ、オレたちは客だぜ?オレは客としての評価をモガモガ」
「ストップ!取り敢えず黙れ!」
獅子刧達、赤セイバー組は武具屋へと来ていた。これはモードレッドがごねた事もあるが、獅子刧がカモフラージュと実用の両方を求めてやってきていたのだ。
「なあ店主さんよ。一番いいのってどれだい」
この店の店主はそう聞かれると先程まで血管が浮き上がっていた顔は元に戻り、裏手からいくつか装備を引っ張り出した。その種類は全身鎧やら革鎧、いかにもといったローブまで様々だ。そしてその中の一つの全身鎧を指した。
「ウチで一番性能がいいのはこれだな。この全身鎧にゃ少量だがアダマンタイトが使用されてる。魔法対策もバッチリだな。作ったのも一流の鍛冶師でデザインにもこだわってる。勿論値は張るけどな」
「いや、俺は全身鎧はいい。もっとこう、革の篭手やら最小限のがいいんだが」
「それならそうと早く言え。出してきた意味が無いだろ」
「悪い」
やれやれとため息を吐きながら出したものをしまっていく。
残っているのは革の篭手やブーツ、鎧の内側に着るであろう鎖帷子などだ。
「ん――、コレとコレとコレに…後はコレだな。他には……色々あるな…まあついでに買っとくか」
獅子刧が選んだのは、黒く塗ってある革のブーツと篭手、各所関節のサポーター、ミスリルとかいう金属で作られた鎖帷子、それとは別に数本の短剣、ロープとワイヤーを2セットずつ。そしてこちらはモードレッドの要望でこの店ではそこそこ良い剣を3本。
結構買ってしまい出費がかさんだが、それでもまだ宝石の分とクエストの分とで生活するのに十分なエリスはある。これに加えてキャベツの収入も得られるというのだからアクセルの他の冒険者が羨むことに違いない。
「おう、羽振りいいねえ。普通この街の冒険者ってのは馬小屋生活が基本で装備の一括買いなんかしないんだが」
「まあいいだろ?金は払うんだし」
「ま、そうだな。これからもうちの店を贔屓してくれるとありがたいがな」
「すいませーん」
「いらっしゃい」
店主と話し込んでいると誰かが来店してきた。この店の店主ということもあって、即座に話を切り上げぶっきらぼうな挨拶を返す。
「あれ、獅子刧さん?」
「何だカズマか」
振り返ると、それは最近よく見る緑ジャージの青年だった。
「アンタも買い物か?」
「そういうお前こそ。何だ、やっぱりジャージじゃクエストもロクに出来ないってか?」
「まあ、そうだな。少しは余裕が出来たんで装備を買いに来たんだ。ジャージじゃ限界があるし……何よりカッコ悪い」
バツの悪そうに呟いたカズマ、その言葉はきっと両方が正解なのだろうが、些か後者の方を強く感じた。
「おぉ、何かこういう雰囲気、いいな」
「お?分かるか?」
「分かる分かる!今すっげえファンタジーしてるよ俺!」
「でかいカエルも大概だがな」
矢鱈と褒めちぎり、モードレッドと共にはしゃぐ光景は年相応に見える。
「うむ、これはいいものだ」
「お、中々目の付け所がいいな。それはウチにある中でもいい鍛冶師が打ったやつでね。ちょっとだけ高いがそれ以上の活躍はするぜ」
「マジか、…予算は……ふむ、じゃあそれにします」
「毎度あり、んじゃ…」
「ちょっと待った」
「…なんだい嬢ちゃん急に」
そのやり取りに、モードレッドは異議ありとばかりに割り込む。そしてカズマの選んだ剣をカズマに投げ渡す。カズマは慌ててそれを受け取るも、急に持った剣の重みに耐えきれずによろけてしまう。
「あ、あぶねえだろ!急に何すんだ!」
「お前、それを構えな。そんでゆっくりと振り下ろすフリをしろ」
「え、こうか?」
少し広いスペースで言われた通りに剣を振り下ろす。すると店主も何かに気がついたようだ。
「あー、坊主。剣はいつくらいか振ってる?」
「……三日前位からだけど、何かまずかったか?」
「そうだな。オイカズマ、お前どんなスタイルを想定してんだ?」
「えっと、こう魔法剣士スタイルで色々出来るようなスタイルなんだが…」
「結構あやふやだな…よし、今度はこれ振って見ろ
そうして投げ渡されたのは先程買ったばかりのショートソード。それを振り下ろしたカズマは先程よりも振りやすい事に気づく。
「あれ?こっちのがやりやすい。何でだ?こっちのがでかいのに」
「そうだろうな。あれは幅広の片刃で、お前の用途にはあわんだろ。まあ慣れれば別だが、そのスタイルなら最初はこっちのがいいだろ。どうしてもっていうなら別だが…」
「いや、こっちの方がいい。何と言うか…今持ったばっかなのに変だが手に馴染むっていうか…」
「だろ?だがそれだけじゃあ駄目だからな。もっといいのが見つかるまでのつなぎとして使えばいい」
一目見ただけでそこまで分かるのかよと思いつつも、実際に試してそうだったのだから凄いとしか言いようが無い。さっきは浮かれていたが、今ではもうこれを買うことしか頭に無い。
「……あ、すいません。これと同じの下さい」
「毎度」
いい買い物をしたとホクホク顔で出ていき、店外に待機している仲間と言葉を交わしすぐに戻ってくる。
「あ、危ねえ。これの他にも買うんだった」
剣だけを買いに来たと思ったらどうやら装備品全体を求めているらしかった。それでも剣一本で出ていったのはうっかりさんと言うべきか、それほどまでに気に入ったのか。
「そっちはウチのマスターの方が詳しいぞ」
「お願いします!」
「…まあ、別にいいが」
カズマはその後、充実した異世界ショッピングを堪能したのだった。
「…墓地で何してんだお前ら?」
「おや、昼間の人じゃないですか」
「何故こんなところに…?…はっ!そうか、昼間の恩につけ込んでこのパーティーを喰い物にするつもりだな!それに追い込まれたカズマはこう言うのだ『おい雌豚!お前の唯一の取り柄のそのいやらしい体で何とかしろよ。ほら、お前さえ差し出せば俺達は幸せなんだから』…と。そして売られた私はその逞しい体で組みふせられ…!くっ、例え仲間に売られようと私は騎士だ!不当な暴力には屈さない…!そして言うのだ『威勢はいいな嬢ちゃん…だがこれに耐えられるかな?』最初は抵抗を続けるものの段々と身も心も堕ちていき…くっ…殺せ!」
勝手に妄想してくねくねしているダクネスを目の当たりにし、気の毒そうな視線をパーティー一行に向ける。
視線を向けられたカズマはというとアクアに引っ張られ、こそこそ話で話していた。
「ねえねえカズマさん。あなたいつあんな人と関わったのよ。絶対カタギじゃないわよ。流石に女神の私もそこまでは庇えないと思うの。ほら、何したの。正直に謝ればまだ許してくれるかもしれないわよ」
「ちげーよバカ!いやまあ違わなくもないけど、昼間俺がお世話になった人だよ。お前もいただろ!そんで、日本人だって。何か転生した訳じゃ無いのにここにいるらしいんだが、お前何か知ってるか?」
「は?そんな訳無いじゃない。カズマさんからかわれてるんじゃないのプークスクス、すぐに信じ切っちゃうカズマさんって子供ねえ」
その日の夕方、共同墓地付近でキャンプしていたカズマ達を見かけた獅子刧がその中に加わり、またもや一騒動が起きるのだがそこは割愛する。
◇◆◇◆◇◆◇
そして時を遡り夕方、ジークはギルドの一席にて一人の少女と会話をしていた。
「うーん、魔法がどうかって聞かれてもねー。なんか覚えてるからやってるとしか…。大体ジークくんはアークウィザードでしょ?それならただのウィザードの私なんかよりもアークウィザードの先輩に頼んだほうがいいと思うんだけど…」
そう応えるのはリーンという赤茶髪のポニーテールの少女。大きなモフモフのしっぽが生えている。登録した日にちょっかいをかけてきた男の仲間だという。それでたまたま見かけたため謝罪しに来たのをそのまま聞いた感じだ。
「そうか……。すまない、邪魔をした」
「あ、いやいや全然、全然邪魔じゃないから!」
「えーと、それで…この街にいるアークウィザードなら……あっ、そこにいるよ。あの子いつも一人でクエスト受けててね。なんか独りがいいって感じのオーラ出してるから皆パーティーを組もうとしないんだ。まあ、それでもピンチになった冒険者を助けてるって話だから、話を聞くくらいは出来るかもよ」
件のアークウィザードは黒髪赤目の少女で、めぐみんの様な紅魔族だという。彼女はギルドの一隅で真剣な目で黙々とトランプタワーを作り上げていってる。
「そうか。教えてくれてありがとう、じゃあ行こう」
「え、ちょ、私はいいってば!ちょっと!」
ジークは止めるリーンの腕を引っ張り、そのアークウィザードの少女の方へと向かう。こういう時に話を聞かないのは元来の性質かアホの子が影響しているのか。
ジーク達が隣に来ても彼女は気づいていない様子で、慎重にトランプを積み重ねていく。
「すまない、少しいいだろうか」
声をかけると今度は気がついたのか、その少女は辺りをキョロキョロと見回し、視線が重なる。少しの間何が起こっているのか分からないような顔をしていたが、相手が自分だということに気づくと、建てられていたトランプタワーはその手によって破壊される。
「ひゃ、ひゃい!あっ、パ、パーティーメンバー募集の紙を見てくれたんですか!?えっと私その、ま、まだ上級魔法は覚えたてで、最近13歳になりました。クエストは一生懸命頑張ります!それと…で、できればお休みの日でも一緒に過ごしてくれたら嬉しくて…いや違くて!その…その、不束者ですが、よろしくお願いします!!!」
「「………うわぁ」」
何だろうかこれは。
話しかけた途端ものすごい早口でまくし立てられ、口を挟む暇すらない。見れば隣のリーンも少しだけ顔が引きつっている。それに(相手の勘違いだが)パーティーに対しての言葉ではない。その言葉は嫁入りまで取っておくものだ。
取り敢えずこの少女の誤解を解いておく。
「その、すまないがパーティーになりたい訳ではないんだ」
「…へ?あ…わ、私の勘違い…?」
「まあ、そうなるな…」
「…す、す……」
「す?」
「すいませんでしたぁーっ!」
少女も勘違いだと分かり、その顔を歪ませ羞恥に震える。ぼっちの彼女はこの一幕だけで、勘違いして突っ走った恥ずかしさと、知らない人と話す緊張感、そしてこの空気の気まずさやらと複雑な心で、テーブルの上ではそんな心境を表すかのようにトランプが散乱していた。
「うう…すいません…」
「いや、用件を伝えなかった俺こそ悪かった」
「いえいえそんな!私が早とちりしたのが悪いんです」
「だ、だが俺も…」
「私が勝手に…」
このままではいつかの様に延々と続いてしまうだろう。それを見越したリーンは両者の間に割って入り、お互いが悪かったという事で話をつける。これでようやく本題に入れる。
お互い自己紹介を済ませた後、最近冒険者登録をし、アークウィザードになったが、その魔法があまり分からないため、ウィザードの冒険者に教えて貰いたいということを話した。
因みに、この場合の分からないは効果範囲やその応用であって、魔法そのものの説明は簡単にだがウィズに受けている。
「じゃ、じゃあ!それを教えるついでにいっ、一緒に!クク、クエストに行きませんか!」
彼女にしては勇気を振り絞った一言。これには彼女を心配していた受付嬢もニッコリ、密かにガッツポーズをとっていた。
「いいのか?こちらとしては願ってもない事だが」
「いいんですか!見たかしらめぐみん。わ、私だってやれば出来るんだから!」
「よし、ならば何か丁度よさそうなものを…」
「ジャイアントトードは……なんでか今はいないから、そうですね」
「ねえー、そういうのって普通私にも言わないー?」
自然と三人でやるような雰囲気になっているが、自分を無視して行われる会話に野菜スティックを齧りながら不満の声を上げるリーン。
確かにこの二人が主に話しているだけで、リーンは無理やり連れてこられたのにも拘らず蚊帳の外にされたという非常に気に入らない事になっていた。
「あう…すまない、リーン。君にも相談するべきだった。…やはり俺はどこか抜けているのだろうか……」
「あわわ、すいませんリーンさん!皆で話し合ってるときに色々言いたいのに出来ないって辛いですよね、何で私ってここにいるんだろ、とか気づいてほしくて声をかけたいけど『あれ?いたの?』とか言われるのが怖くて……。ああ、なんてことを」
「いや、別にそこまで気にしてる訳じゃないけどさ…」
過剰に落ち込む二人に毒気を抜かれたのか、頬をかき呆れたようにため息をはく。
「ま、いいよ。珍しい同年代のウィザード職だし、君たち二人だけだと色々ありそうだからね。でも二人には期待してるよ?なんたってアークウィザードなんだからね!」
「!ああ!任せてくれ!…といっても俺は教わる立場だが…」
「はい!ががが…がんばりましゅ!」
「あはは!ちょっと緊張しすぎ!もっと軽くでいいんだって!」
リーンにより、その場の堅苦しい空気は霧散し、少しぎこちないながらも和やかに話す三人の姿がそこにはあった。
がんばりマシュ……マシュ……マッシュ……
マッシュ、マッシュ、マッシュ。何でも潰せば、食べられマッシュ~♪
ウチのモーサンはあのブリテンでちゃんとした栄養満点な野菜を育てきり、畜産などにも手を出していたぞ!流石に領内にしかまわらなかったけど…。
あと料理もうまい。
どれくらいうか上手いかというと何処ぞの紅茶が厨房に置きたいと思う位上手い。
みんな察してると思うけど続くよ