この素晴らしい世界にApo組を!(一部のみ) 作:食卓の英雄
でもね、課題とかテストとか色々あったのよ…分かる?(見苦しい言い逃れ)
まあ、できれば感想とか評価とか欲しいけど……出来ればでいいんで、なるべく高評価で…!(傲慢)
「オラオラァッ!しゃんとしねぇと飛ぶのはテメェの首だぜ!」
「ゴフッ……!」
「うぅ…」
人気の無い広場、ジークと俺は地に伏し、これを為した一人の人物に目を向けていた。
「いいか!テメェらは剣士じゃねえ!だがな、最低限身を守る術くらい持っときやがれ!」
そう言いながら放たれる剣閃。ギリギリ目に追えるほどの速度で放たれたそれを咄嗟に首を傾け、避ける。
石畳で出来ているはずの地面は容易く破壊され、食らったが最後、俺の体は紙のように千切れるのだろう。
二転三転しながら立ち上がり、剣を構える。
「待て待て待て待てぃっ!ちょっ!タンマッ!マジで!!ひぃっ!?」
またもや襲い来る斬撃を必死の形相で右に避け、左に避け、時には転がり回避する。それが幾ばくか続き、疲れ切った体はフラリと前に倒れかかる。
転んだ事への配慮か、振るわれる速度はかなり落ちた。
(このまま行くぞっ!)
昨日修得しておいた自動回避のスキルが発動する。無茶な姿勢にはなるが、この一振りは頭上を通り過ぎる。前に倒れかかった勢いそのままに懐に潜り込み…持っている剣を振りかぶる。
「隙ありぃぃぃぃぃっっ!!」
決まった。相手の剣はもう振り抜いてる。今から戻すことは出来ない筈。全力で振りかぶった俺の剣は胴へと吸い込まれ――
「甘めぇっ!」
振り抜いた右手とは反対の手は、俺の頭に猛烈な勢いで落ちてきた。
(剣術なのに拳使うってズルくね?)
そう思った所で視界は暗転する。
―――…
「おーい、カズマ。起きてるか?頭は大丈夫か?」
目を開けると俺が気絶した元凶、モードレッドが立っていた。
「あー、はい。カズマです。お陰様でジンジン痛いんだよ!加減を知らねえのかお前!!ほら見ろよ!大分くっきりコブあるじゃん!」
「おう、男前になったんじゃねえか?」
「ふざけんな!名誉の負傷とかなら分からなくも無いが、ただでかいだけのコブだぞ!」
自分をこうした相手に恐れ知らずかとは思うだろうけど、この一週間でそれも不要だと思い知らされた。
「なあジーク。お前もそう思うだろ?」
一緒にいたジークに同意を求めるが返事が無い。
「あ、抜いといてくれ」
「抜いといて…?」
その言葉に違和感を感じ、背後を見ると、地面から給仕服を来た胴体と足が生えていた。
「ジーーーークゥゥゥゥゥゥゥッッ!!」
ジークを引き抜きながら考える。そもそも、何でこうなったのか。それは一週間前に遡る――
―
――それは爆裂散歩初日、モードレッドに殺されかかった時。腰が抜けた俺は魔力切れのめぐみんと一緒に担がれてアクセルまで帰った。
誤解とはいえ攻撃しようとしたからか、剣を見繕った事もあって剣術を鍛えてくれるという。
俺はこれに飛びついた。仲間が駄女神、ノーコンドM騎士、爆裂狂の三人。少しでも俺が戦えたほうが良いからってのと剣術に憧れてたって理由がある。が、正直今は後悔してる。
元々ジークは鍛えるつもりだったらしく、俺はそのついでだとか。そうして爆裂散歩が終わったあとに始まったのは剣術稽古。
だがこれがかなりのスパルタだった。今の自分にギリギリ目に見える程度の速度で振るい、実際に当ててくるのだ。そのせいで常に防戦一方を強いられ、いつも体力が尽きるか、ドジ踏んで倒れるか。とにかく、限界まで鍛錬させられるのだ。サボらないように後に響かないくらいの力で追い込み、簡単に気絶させないように手加減した一撃を与えられる。
……うん、逃げようと思った。つか逃げたけどさ。普通に捕まるんだよ。
何なのコイツ。いくらイギリスが騎士の国だからってこうはならないだろ。チートだチート、それも一番厄介な天然チートだ。
そして絶妙な手加減の半殺し鍛錬は続き、回復ポーションを最大限活用し、鍛錬で傷ついてはまた癒やし、疲れ果ててはまた癒やしと、限界以上の鍛錬を平気でやってくる。
その挙げ句、いつも一方的にボロボロにされる為強くなっている実感がない。
そんな一週間程度で上手くなるはずも無いけど、ファンタジーな異世界なんだからその位期待したっていいだろ!?
まあ、そんな感じでゴロゴロする暇も無かったとだけ言っておく。地面には散々転がったがな!
ジークを引き抜くと、眺めていた獅子刧がシュワシュワを持ってきた。
「よっ、お疲れさん。今日は中々いいセンいってたじゃねえか?」
クリエイトウォーターで汗や汚れを落とし、タオルでふく。その後は反省会だ。
「まあな。……全然通じなかったけど」
軽く喉を潤すと、モードレッドもいつの間にかこちら側に座っていた。
「おう、そのとおりだな。あれは二刀流だったり軽い武器、そして相手が耐えたらそこで終わり。無理な体制だから決まったとしてもボコられる。精々が一対一でかつ、一発で決めれる自信がある時だな」
自分でもわかってたけど、一週間の集大成をこうも冷静にダメ出しされると胸に来るぜ。
「まあ、最初に比べると心技はかなり上達してると思うぜ?前は情けない声上げて逃げるだけだったのに加えて、思い込みで気絶してたからな。後は体だが……まあ、体はレベルアップで補ってくれや」
今遠回しに貧弱って言われたんだが。そうだよ、所詮魔法職に力で負ける商人向きのステータスだよコンチクショー!
「そんでジークだが、毎度言ってるが、ジークフリートの剣術に引っ張られ過ぎだな。思い描く動きに体が追いつかねぇってのに、しっかり技自体は見えてる。その感覚のズレが違和感に繋がってるんだと思うが、どうだ?そこまで的外れじゃあないだろ」
ジークは心当たりがあるのか、俯くが、またもや立ち上がりモードレッドに挑む。……よくもまあそんな体力あるな…。俺はもう一歩も動けないのに。
獅子刧と共にスキルや魔法の練習をしながら、打ち合う二人を尻目に思う。
(なんだかんだ、この雰囲気が結構いいなっ思うんだよな。痛いからめっちゃ嫌だけど。これぞ異世界ー!って感じの修行でさ。痛いから嫌だけど)
あ、ジークがまた埋められた。
―――…
そこから一時間弱が立った頃、キャベツの時にも聞いたアラームがけたたましく鳴り響いた。
『緊急! 緊急! 全冒険者の皆さんは、直ちに武装し、戦闘態勢で街の正門に集まってくださいっっ!』
そのアナウンスに俺達も汗を拭い、剣を手に取り正門へと向かう。
街の正門前には、俺達と同じアナウンスを聞いたからか、既に多くの冒険者が集まっていた。
キャベツの時のような大群も巨大な影も無い。
そこには、首無しの馬に跨がる大きな威圧感を放つ黒鎧の騎士がいた。
当然、そんな化生を乗りこなす者等余程の手練か、魔に連なる者だと相場は決まっている。
「…デュラハン」
―――誰かが呟いた。
―――それは、人々に死の宣告を行い、生きる者に絶望を与える不死身の首無し騎士。
不死となり、生前を凌駕する力、生命力、剣技の三つを手に入れたその漆黒の騎士は、脇に己の首を抱えていた。
街中の冒険者達が静かに眺める中、デュラハンは左手に抱える首を前に差し出した。
何が起こるのか固唾を飲んで見ていると、差し出した首がプルプルと小刻みに震え出し…………
「ま、ままま、毎日毎日毎日毎日っっ!! おお、俺の城に、毎日欠かさず爆裂魔法撃ち込んでく大馬鹿者は、誰だあああああああーっ!!」
「「「………」」」
それはそれはお怒りの魔王軍幹部の言葉は、もう心当たりしかないものなのであった。