この素晴らしい世界にApo組を!(一部のみ)   作:食卓の英雄

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Fate/strange Fakeはイイゾォ〜

成田節の効いたメインストーリーがいいのは勿論、時々会話や地の文で現れる要素がファンを歓喜させる…!

例えば、

 本物と寸分変わらない人形を作り出す人形師。宝具すら創り出す特異な投影魔術使い。幻霊に近い殺人鬼が最もしっくりする姿である薄着白髪の少女。聖杯戦争を経験した遠坂の当主。アトラム・ガリアスタの作り出した結晶装置。『師父殺し』の異名を持つ中東の占星術師。死徒、代行者が堂々と戦闘を行い、母の偽名は『久宇』の魔術使いの少年。ある強大な組織を出し抜いたフリーランスの死霊術師。生前の巌窟王は記憶に見え、かつて聖杯戦争で婚約者とパスを二分した高名なロード。そして魔術工房とした建造物を建物ごと破壊した人物

等など、探せばもっともっとありますよ!これを期に購入してみては如何ですか?


ある堕天使の受難2

「あ!あなたは…!…あの、本当にどうされたのですか……?まるで死人みたいですよ……あ!い、いえ、今の言葉に他意はありません!ただ、本当に顔色が悪くて…」

 

 あたふたと弁明するその人物。そうだ。これはウィズだ。俺が越えようと努力した、魔王軍幹部だ。

 ふと、理解し難い感情が湧き上がり、言葉を零す。

 

「俺は…俺は、長い間、お前の事を探し続けたんだ。この街で魔道具店をやっていると聞いたときには、…耳を、疑った。だが、遥かな遠方の地よりお前に、会いに来た」

 

「はい?……え、えぇっ!?そ、そんなに遠くから…」

 

 突然話し出され、困惑するウィズ。そうだろう。これは俺が言いたいだけだ。

 

「俺は、お前の事だけを考え続け、ただひたすらにこの身を鍛え続けた…」

「い、いきなりそんな事を言われても!そ、それに昼間からあんな行為に及ぼうとするのは良くないと思います!」

 

 デュークは声を絞り出す。それはさながら罪を懺悔する罪人の様で…

 

「人目がどうとかじゃありません!そ、そういうのはお互いをよく知った上で、もっと時間をかけてですね…」

「……そう、だな。俺は、あまりにも知らなすぎた。もっと時間をかけて探るべきだった…」

 

 デュークは思う。はたしてどれだけの時間をかければアレを何とか出来るだろうか。否、所詮下級堕天使。まともにやってあの領域へは踏み出せまい。

 

「俺は、炎系魔法を得意としている。お前とは、正反対、だな」

「わ、私達の相性が悪いことを隠そうともしないんですね。誠実なのは好感が持てますが……でも、そんな事まで調べたんですか…」

 

 デュークは、ただポツポツと壊れた機械の様に語るだけだ。反して、ウィズはその一言ずつに様々な表情を覗かせる。

 

「……当然だ。お前がまだ人間だった頃、氷の魔女と呼ばれていた頃も知っているからな……」

「わ、私が人間じゃないことも知っているんですか!?」

 

 ウィズはギョッとなる。まさか人間じゃないことを知られているとは思わなかったからだ。

 そんなウィズを置いてけぼりにデュークの独白は続く。

 

「お前の事はなんだって知っている。…いわば、俺はこの世でお前のことを最も理解している者だと言ってもいい」

「ままま、待って下さい!そんなグイグイこられても、心の準備が!つ、つまりあなたは、私がアンデッドだと知っても尚、怖がりもせずにこうしてやってきたというんですか?」

 

 どういう意味で捉えているのか、ウィズはタジタジとなり後退る。

 

「ふっ……リッチー、リッチーか。リッチー程度恐るに足らん」

 

 あれはアンデッドなどでは無い。つまりあれはまだ人間の範疇なのだ。それに比べればただのリッチーなど中途半端で、浄化魔法もよく効くのだ。あの人間とリッチー、どちらかと戦えと言われたら、迷いなくリッチーと戦う方を選ぶだろう。

 

「そ、そんな…!そ、そこまで言われると…」

 

「俺は、お前に勝負を仕掛けるつもりだった……」

「ええっ!?何故そんな話しに!?そ、それにつもりだったとは…?」

 

 話が理解できなかったウィズが尋ねる。

 

「そのままの意味だ…。お前に俺の力を示し、今の仕事を辞めてもらうため。……だったのだ」

「わわ、私に家庭に入れと…!い、いえ、だった…とは?」

 

 ウィズはアンデッドだというのに顔を上気させ、まだ冷静な部分で問いをかける。

 デュークは頭を抱え、泣いたような声音で絞り出す。

 

「お前も分かっているだろう…!単純だ。俺には無理だと理解した。してしまったのだ!身の程が違いすぎる。俺ごときでは…到底(あの男達の)足元にも及ばない……!」

「えっ、えぇっ!そ、そんな事無いですよ!そういった事には詳しくないですが、貴方が卑下する事なんてありません!」

 

「だが、現に俺は…見向きもされない…!何も効果が無いのだ…!全身全霊で向かっても響くどころか気を向けやしない!!」

 

「そ、それは…!確かにテレポートで逃げたのはアレですが…!」

「お前も、そう思っているのだろう?……他ならぬ俺の心が折れてしまった。ここまで恐ろしい等と知らなかったのだ…!」

 

「わ、私、そんなに思っているだなんて…、知らなくて」

 

「それだけでなく、(実力が)遥かに近しい者もいた」

「い、いえ!カズマさんやカイリさんとはそんな関係でなくて…!」

 

 勿論、よく聞けば違和感を覚える台詞だが、二人は気付かない、いや、気づけない。

 

「俺では、あの男には勝てない。それをマジマジと見せつけられた。……俺など、眼中に無いのだ」

「そんなこと…これから頑張っていけばいいんですよ!」

 

 ギリッと歯を噛みしめるデュークを必死でフォローするも、今のデュークには届かない。

 

「正直、死のうと思った。こんなことならばもういっそと思った。だが、気付けばここに戻ってきていた。……何故、死を選ばなかったのか」

 

「だ、駄目です!死ぬのは絶対に止めてください!たった一つの大切な命。それを自ら落とすなんて仰らないで下さい!」

 

 ウィズは耐えられないとばかりに否定する。今言った事は本心だし、自分のせいで命を絶たせる等あってはいけない。……そ、それに、自分の事を好いている人なのだから…。

 

「だが……俺が納得いかないのだ。仮に、このままうまく行ったとしても、俺はそれになんの感動も覚えないだろう。常に不安に駆られ、生き恥を晒すだけだ」

 

 苦痛に歪んだ顔で告げるデューク。端正な顔はくしゃくしゃで涙すら浮かんでいる。

 そんなデュークを見て、ウィズはその手を優しく握る。

 

「あ…」

「なら…なら…!せめて自分の中で区切りをつけてください!完全にとはいかないでしょう。ですが、今のままよりは前に進める筈です!そんな簡単に死ぬ等、生きていればそれを忘れるほどの幸福に出会えるかも知れません!…私も、嘗ては仲間の為に死のうと死のうと思っていました。アンデッドが生きているだなんておかしい話ですけど、これでも今の生活が楽しいんですよ?……大丈夫です。ほら、私は知っての通り不死者ですので、いつまでも待ちますから」

 

 そう言い優しく微笑むウィズ。

 その笑みを見たデュークの心には確かな変化が訪れた。

 

(な、何だ…!?この感情は…!…)

「あわわ、す、すみません!」

 

 ウィズは手を握っていることに気づき、慌てて離す。ウィズも意識的に行っていた訳ではないようで、元々赤い顔を更に赤くして俯く。

 

「………」

「………」

 

 お互い無言の気まずい空気が漂う。ウィズはどうするべきかと言葉を探していると、デュークは尋ねる。

 

「……思うのか」

「はい?」

「俺が、相応しくなれるとお前は思うのか」

 

 一瞬、間が空いた。

 デュークは泣く寸前の子供の様な酷い様相で顔を上げた。

 

「…はいっ!他の方に敵わないなんて事は誰もが通る道です。ですが、諦めたらそこで終わってしまいます!今敵わないなら自分を磨く。それでも駄目ならより鍛える。……そうして、皆さんは生きているのです。だから、大丈夫ですよ。私だって、まだまだ未熟ですから!」

 

「………」

 

 ウィズが語ったことはただの理想論だ。努力をしても実らず腐る者、劣等感を抱える者など山程いる。挫折を味わい諦めるものの方が遥かに多い。そんなことが出来ているのなら誰も苦労しない。

 そう、ただの理想論だったのだが……。

 

「俺は…結局諦めてしまうかもだぞ」

「別にそれでもいいんです。さっきは偉そうな事を言いましたが、それでも何かしら生きがいを見つけられればいいんですよ」

 

 逃げの言葉を出すが、優しく否定する。

 

「どれだけの努力をしても、足りないかも知れない」

「それは……あるかもしれません。ですが、勝つことが全てではないと思いますよ。何か胸を張って自慢出来る事があれば、それだけで魅力的ですから」

 

「……たとえ、たとえそう思うことが出来たとしてもっ!俺には務まらないに決まっている!」

「一人では出来ないのなら、誰かに助けを求めてもいいんですよ?……私も、昔は一人で思いつめて、ただがむしゃらになっていた時もありました。…その時は、結局一人では何も出来ませんでしたけどね」

 

「何…?」

 

 デュークはその言葉に驚く。デュークにとって、ウィズとはベルディアを追い詰めた凄腕のアークウィザードであり、死の宣告を受け、自らをアンデッドへ化した幹部だった。

 この苦労は、当時その場にいたある魔王軍幹部の大悪魔しか知らず、彼は誰にも話していない。

 つまり、魔王軍にとってのウィズとは、単身魔王城に突撃してきたヤベーヤツでありながら、中立を保つ幹部であり、決してこのような苦悩など無いと思っていた。

 

「リッチーになったのは、死の宣告から逃れる為。けれどこれも私一人ではとても考えつきませんでした。なので、一人でやって根が詰まった時は、誰かに頼ってください。それに、あなたは一人でやるという前提で話していますが、私にだって意地があります。その時がきたら、二人で頑張っていきましょう!」

 

 あまりに眩しい笑顔。デュークはアンデッドを嫌う身でありながら、その笑顔から目を離せない。その感覚はまるで、初めて(まともな)最高神の姿を拝見したときにも近しく、それを超えていた。

 

 その瞬間、今までの修練が蘇る。

 

(そうだ、俺は、あの時とは比べ物にならないほど強くなった…!ならば、あの時の倍…いや、十倍は努力をすれば…或いは……!)

 

「ふふっ……元気は出ましたか?」

 

 目に光が戻り、その身に生気が溢れているのを見たウィズは仄かに笑う。

 

「ああ、答えは得た。大丈夫だ、ウィズ。俺は、これから頑張っていく。……まず手始めに、紅魔の里で鍛えるとしよう」

「まあ!それはいいと思います!あそこは私も唸る程の所ばかりですよ!」

 

 暗い雰囲気とは一転、いいムードが漂う。デュークはこれからに夢想し、ウィズは我が事のように喜ぶ。

 

「ふっ、そうか。俄然楽しみだ。……では、またな。いつかお前の隣に並ぶに相応しくなってみせよう!」

 

 そう言うと、黒い翼を広げ、遥か彼方の大空へと羽ばたいた。

 勿論、堕天使だという事に気づいていなかったウィズはポカンと口を開け、デュークの消えた空を仰ぐ。

 

「え、えええぇぇぇぇぇぇっっ!!?」

 

 目はぐるぐると回り、あまりに驚いて大声をあげる。

 朝っぱらからそんな声をあげたせいで、付近の住民からの奇異の視線と怒りの籠もった視線が刺さる。

 流石にそれは応えたのか、そそくさと店内に戻る。

 

「え、え?…デュークさんが堕天使様…?わ、私はアンデッドで…!デュークさんは堕天使で…?そ、そんな方とわ、私が……?き、禁断の……」

 

 ボンッと湯気を吹き出しながらゴロゴロと転がり続けるリッチー。彼女、戦闘関係以外は基本ポンコツなのだ。

 

 うぃず は しょうきにもどった!

 

 

 一方デュークは、空を飛びながら考える。

 

(ウィズの顔を思い出すたび、胸が熱くなる。……クソッ、俺は一体どうしたんだ…!?)

 

 胸のうちに抱える感情を理解できず、混乱している。それでも、やるべきことは理解している。

 彼の体は真っ直ぐに紅魔の里へと向かっていく。

 

 いずれこの感情と向かい合う時が来るのか?

 それは幸運の女神にすら推し量れないだろう。





尚、デュークは魔王軍幹部的な意味で言ってたけど、ウィズはスイーツ的な意味でしか捉えてません。
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