この素晴らしい世界にApo組を!(一部のみ)   作:食卓の英雄

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FGOの復刻apoコラボがいけないんだ。
二部五章後半のcm見て夜しか眠れませんでした。
雷系サーヴァント……イイ
フランちゃんとモードレッドが出るっぽいですね
自分も早くやってみたいです

それでは一話目をどうぞ!


〜変人多発都市アクセル〜
外典:異世界転移


今から言うことを、きっと人は信じてはくれないだろう。

 

俺は転生者というやつらしい。元より体が弱く、生まれてからずっと入院していた俺はある時病であっさりと死んでしまった。

 

ん、何?よくあるテンプレ…だって?

そうか…よくある事なのか……確かに俺以外にもいたな。

 

……すまない、どうやらありふれたことだったらしい。つまらないことかも知れないがどうか俺に起こった事も聞いてくれると助かる。ああ、ちゃんと理由も話す。

 

ある病で死んでしまった俺は目が覚めるとガラス張りの容器の中、培養液の様なものに浸かっていた。不思議と息苦しくは無く、目も開けられた。

どうやら地下らしく、俺と似たような状況が辺りにも広がっていた。

 

今考えてみるとよく驚きもせずに周囲を観察出来たな、と思う。

その時はは死んだと分かっていたため何でもありだとでも思ったのだろう。

 

そこで作業をしているのは皆薄い茶髪と赤い目をした人達で、何というか…皆常に無表情で黙々と働いていて少し怖かったと覚えている。

 

いや、大事なのはそんなところでは無いんだ。時折訪れる青マントに青と黒の縞模様の入ったピッチリとしたスーツの様な物を身に纏い、金色の仮面を被った恐ろしい程の存在感の人物と、その人物を先生と呼ぶ少年。彼らの会話は俺に多大な衝撃を与えた。

 

彼らの会話では『マスター』『サーヴァント』『ホムンクルス』『冬木』『聖杯大戦』これらのキーワードによりここが唯一娯楽としてのめり込んだFateの世界だと分かった。そして俺が使い捨ての魔力供給用ホムンクルスだと言うことも…。

 

そこで俺は死にたく無い。と人がいない時を見計らい容器を拙い魔術で破壊して逃げだした。魔術なんてやったことも無いが、その時は何故だが使えるという確信があった。

 

だが元々供給様に作られたらしい俺はロクに歩く事も出来ず、目の前にいたピンクの髪の少女に一か八か助けを求めた。

 

結果としてそれは正解で、間違いでもあった。この場合、助けを求めた相手が正解で、少女という点が間違いだが。

 

気絶から回復した俺はいくつかの事情を聞いた。

ただ、その人がライダーのサーヴァントだと言うのは驚いた。サーヴァントといえばもっと凄みを持っていると思っていたのだ。

 

もう一人、アーチャーのサーヴァント、ケイローンからは色々な事を教わった。彼のおかげで魔術の使い方やこの体での歩き方を覚えることが出来たんだ。あのとき俺を見つけたのが彼では無かったら俺はとっくに二度目の死を迎えていたことだろう。

 

ここはルーマニアで、第3次聖杯戦争にてユグドミレニアの当主、ダーニック•プレストーン•ユグドミレニアが奪取した冬木の大聖杯を巡って引き起こされた聖杯戦争。

それは魔術協会率いる赤の陣営とユグドミレニア一族率いる黒の陣営。それぞれ七騎ずつのサーヴァントで勝敗を争う聖杯大戦だとも教えてもらった。

一騎でも恐ろしい戦力のサーヴァントが計十四騎もいるだなんて俺ごときでは想像も出来なかった。

 

そして、敵のサーヴァントがこちらに攻めてきている最中に、ライダーに逃がしてもらっていたが、途中でこちらのセイバー達に見つかってしまった。

逃走の為セイバーのマスターに挑むも返り討ちに合い、殺されかけてしまう。

 

しかし、セイバーがマスターを気絶させ、死にかけの俺に自らの心臓を差し出し、救ってくれたらしい。

何故らしいかと言うと、俺はそのとき意識が朦朧としていて、よく覚えていない。だが、彼の言葉だけはしっかりと覚えている。

 

「―――ああ、これで良かったのだ―――」

 

「俺は誰かの願いを叶えるのではなく、自分の願いを叶えたかった。欲深で浅ましいと思うが、その想いを捨て切れなかった。

 一度でいい、自分の意志で誰かを助けて、それを誇りにしたかったんだ……。

 乞われることがなくとも、願われることがなくとも、ただそうしたいと、()()()()、ずっと思っていた……」

 

彼も、きっと転生者だったのだろう。だがしかし彼は英雄として生き、英雄として死んだ。

 

俺は彼ほど不器用で優しい戦士を知らない。

 

邪竜の心臓を得た俺は、体が一回り大きく成長し、まともに動くことができるようになった。

 

そこから俺はルーラーであるジャンヌ・ダルクと共に………何、長い?いや、だがこれでもかなり……?これを読め?……えっ、と『後は概ね原作の通りです。』?……まさか俺の体験したことにも原作があったのか?

だが概ね同じと言うことはきっと俺と本来の俺は似ていたのだろうな…。すまない、()()()()()()、俺はどんな立ち位置だったのだろうか?……主人公?それは…少し照れるな。

だが俺なんかが主人公等似合わないだろうに。

『自分に自信を持て?』…いや、そうだな、ありがとう。

 

どうかしたのかセイバー?あ、彼の方だ。

どうかしたのか?……名を?ああ、すまない、伝え忘れていた。

 

俺の名は()()()、ただのホムンクルスであり、ただの人間だ。

 

−−

−−−

−−−−

 

時を少し遡る

 

あの後、天草四郎との戦いに何とか勝利したジークは大聖杯に願い、その身を邪竜と化し大聖杯を持ち、裏の世界へ旅立ち、来たるべき時を待ち続けた。

 

そこまでは良かった。

 

だが何故か彼等は何人かの見知った顔と共に何処かの平原らしき場所にいる。それもみな当時の姿で、だ。

 

これは明らかな異常事態だ。聖杯戦争に呼び出されたかとも思ったがそれはまずありえないし、万が一俺が召喚されることがあったとしても赤のセイバーのマスターがいる理由にはならない。

 

どうなっているのかを知りたいのかジークが声を掛ける。

 

「すまない、とりあえずこちらへ集まってくれないか、この事態について話しがしたい」

 

ジークのそばにいた二人のセイバー以外の人物がやってくる。

 

「貴方も、参加してくれると有り難い」

その声に唯一距離をとっていた赤のセイバーのマスターも近寄る

 

この場に集まっているのは、

 

(ジーク)黒のセイバー(ジークフリート)黒のライダー(アストルフォ)赤のセイバー(モードレッド)そのマスター(獅子刧界離)、それに天草四郎と赤のアサシン(セミラミス)までいる。

全員が集まったところでジークは確認するように言葉を発する。

 

「では現状が一体「あー、その前にいいか?」…なんだ?」

 

が、その言葉は一人の男に遮られる。

その男の姿は顔には疵痕、剃刀のような目つき、筋骨隆々とした肉体とかなりの強面で、つけているサングラスがその厳つさに一層拍車をかけている。

彼の名は獅子刧界離。赤のセイバーのマスターでこの場で唯一の純粋な人間だ。

 

「俺はあの時間違い無く死んだと思ったんだが、どういう事だ?蘇生術式なんか組んでなかった筈だ。なあ、セイバー?」

 

獅子刧の言葉に赤のセイバー、モードレッドが肯定する。

 

「ああ、その認識であってる筈だ。…ついでに言やぁ、俺ら(サーヴァント)だけならまた召喚された線があるが、マスターもいるってのはおかしいだろ?」

 

「そうですね。敗退したはずの我々も無傷ですし、聖杯の気配も感じ無い、龍脈もルーマニアとは違って安定していない。恐らく現代の地球では無いでしょう。どうです?ここはひとまず休戦という形でどうでしょう?」

 

理由を話しながら提案する天草四郎。その時ジークは

(俺はまだ大聖杯と繋がっているが…黙っていよう。)

と思っている。

そうした方がいい。だって古事記にもそう書いてあrパラッ

(書いて)ないです…

 

「そうだな、コイツ(天草)の言葉に従う訳じゃあ無いが俺もそうした方がいいと思う。何故いるのか分からないうえにここが何処だか分からない。無い無いづくしの現状だ。それに……お前ら英霊の争いに今巻き込まれたらただの人間の俺は溜まったもんじゃないからな。あと、もうバレてる訳だし真名でもいいか?」

 

「ああ、それでいいと思う」

 

「この現状だ、仕方あるまい」

 

ジークフリートとセミラミスも休戦には賛成のようだ。

だがモードレッドは

 

「けっ!俺は反対だぜマスター!こんな奴等と手を組むなんぞありえねぇ、第一手を組んだとしてもすぐ裏切るに決まってる!現状の調査ならこいつ等をぶっ倒してからでも十分だ!」

 

「ふ、弱い犬程よく吠える」

 

「んだとテメェ!!」

 

早速喧嘩腰の二人。

 

「まあ待てセイバー、お前の気持ちも分からんでもないが現状一切のことが不明のまんまだ。お前等を信用してないって訳じゃあ無いがこいつ等にしか出来ないことが有利に働くこともある。それに単純な数の上でも戦力的にもこっちが上なんだ、いざとなったら全員で仕留めちまえばいい」

 

「だけどよぉ……そうだ、お前はどうなんだジーク!あんなにコイツに怒ってたんだ、コイツ等と手を組むなんて嫌だろ!なあ!」

 

それでも負けじとジークを味方に引き入れようと語気を強めて迫る

 

「いや、あの時は理由が重なり目の敵にしていたが別に天草四郎が嫌いな訳じゃ無いんだ。俺は弱き人のために立ち上がった尊敬すべき人物だとすら思っている。彼女(ジャンヌ)とは見ているものこそ違えど人の為に行動していたのだから。…確かに手を組むことは複雑な心境だが、今は過去の事はひとまず置いて協力し合うべきだと思う」

 

その言葉に以外そうな顔をする一同。

 

「おや、存外私もそこまで嫌われている訳ではないようですね。私は嫌いですがね」

 

飄々とした表情のままに天草四郎が言葉を繋げる。というかさらりと毒を吐く。

 

「ところで赤のセイバー、モードレッド。何故あの場にいなかった貴方がそんなことを知っているのですか?」

 

「−−−−!(唖然)」

「−−−−!!(驚愕)」

「−−−−!!!(冷や汗ダラダラ)」

 

「確かにそうだ。赤のセイバー、あなたは何故何故俺が怒っていたことを知っているんだ?」

 

そう問いかけると早口で

 

「い、いや、ただの予想だよ予想!ほらっ突入する前のお前の感じからするとそんな風だったろ!そ、そこから何と」なく予想しただけだって!な!」

 

怪しい、完全に怪しい。いつもの堂々とした態度が嘘のように成りを潜めている。顔面蒼白でどもりまくり、これでは怪しむなと言う方が難しい。

 

「「「「…………」」」」

 

「な、何だよ!」

 

「いえ、まあ良いでしょう。」

 

「あー、取り敢えず協力は成ったって事でいいか?」

 

「ええ、元より私から持ちかけた事です。今のところは破る気はありませんよ」

 

「あー、クソっ!仕方ねえなっ!今回ばかりは見逃してやる!だが少しでもおかしな動きをしてみろ、そん時はすぐに叩き斬ってこの剣の錆にしてやるからな!」

 

「やれるものならばな」

 

「今すぐにでもやってやろうか…!

 

「まあまあ、落ち着けセイバー。陣地を失った魔術師と戦闘用じゃあないサーヴァントなんてお前にかかればチョチョイのチョイだろ?それともお前は同盟も何もかんもすっ飛ばしていつでもとれる首を狙うのかね」

 

取り敢えず納得した一同で話を進めようとする。とそこにジークフリートが言葉を発する。

 

「すまない、今から大事な話をするというのは分かってはいるが聞いてもいいだろうか?」

 

「あ、ああ構わない」

 

「すまない、そこにいる四人は一体?いや、サーヴァントとおそらくマスターだというのは分かるが、どちらも見た事が無いんだ。……それと、黒のライダーは何処にいるんだ?」

 

ジークフリートが四人の事を知らないのも無理はない。

何故なら彼はジークを助ける為に聖杯大戦初期にて既に脱落しているからだ。天草四郎の下から離れていたセイバー組や陣地に引きこもっていたセミラミスは勿論、第3次聖杯戦争より生き残っていた天草四郎については語るべくもない。

 

「あー、そういや黒のセイバーは早めに脱落してたんだったな……俺は獅子刧界離、赤のセイバー……いや、もう真名でいいか。モードレッドのマスターだ。んでそいつ等が赤のアサシンとそのマスター兼監督役兼ルーラーの天草四郎だ。」

 

獅子刧からの返答にジークフリートは驚いたように目を見開く。

 

「?ルーラーはあの女性なのでは無かったのか?」

 

ジークフリートからの純粋な疑問に

 

「話せば長くなるんだがな、こいつは「私は天草四郎時貞。かつて日本の冬木という地で起こった第三次聖杯戦争にてルーラーとして現界し、その戦争で生き残り此度の聖杯大戦に赤の陣営のマスターとして参加した受肉した英霊。そしてそこにいるアサシンが私のサーヴァントです。」…まあ、そういう事だ」

 

説明しようとする獅子刧のセリフに割り込むような形で自分達を紹介する天草四郎。その説明にジークフリートは納得したように頷く。

だがこの説明は一見簡潔にまとめているように見えるが肝心な部分は隠し通している。

自分が何故マスターとして参加しているかや本来私的な願いの無い英霊のみが与えられる筈のルーラーというエクストラクラスでマスターとして参加しているのか、また、第三次聖杯戦争での事も『召喚』ではなく『現界』という言葉であやふやにさせようとしている。当たり前だが赤の陣営のマスター全てに幻覚を見せ、都合の良いように操っていた事など欠片も触れていないのだ。まあ、これも説明したならば多少は印象が悪くなるのでわざわざ言う訳も無いのだが…。

その説明にはジークフリートを除く全員が不服そうな顔をしている。

 

その空気を変えようともう一つの疑問に答えようとしたジーク。

 

「それで、ライダーだったか、ライダーならばすぐそ「あぁぁぁっっ!!」…こに………。」

 

「あの野郎、いなくなってやがる!」

 

先程まで側にいた筈のライダーの姿は無い。

この場所がどんな場所なのか分かっていないのにも関わらず一人で何処かへと行ってしまったのだ。

 

「アイツどこ行きやがった!」

 

ジークは怒るモードレッドを尻目に(ライダー…相変わらずだな…)とか思ってたりする。のんきだなオイ

 

すると離れた所から声が聞こえてくる。

そこにはキャベツらしきものを両手で抱えてかなりの速度でこちらに向かってくるアストルフォの姿があった。

 

「おーい、マスター!見てみてー!キャベツ!キャベツが空飛んでたー!」

 

その言葉に全員が呆れ顔になる。

 

「アホかお前!つくならもうちっとマシな嘘をつきやがれ!」

 

それはそうだ。キャベツが空を飛ぶ等他人に話したら正気を疑われるだろう。

 

「嘘じゃないって!本当に飛んでたし何なら鳴いてたって!」

 

「それこそあり得るか!現代の神秘がねえ植物だぞ!」

 

そこに天草四郎が何かに気付いたかの様に目尻をあげ

 

「ん?それは私の《真名看破》によるとそれはレタスとありますが…」

 

「ああ、葉が厚く球状もキレイじゃあない…こりゃレタスだな。…しかし、それよりも気になる事がある。」

 

「ええ、サーヴァントにしか効果が無いはずの真名看破が何故レタスにも作用されているか……。この地に来てスキルの仕様が変化したというのが一応の推測だが………何故レタス…」

 

「フッ、よいではないかマスター。似ているだけの毒のある植物では無いと分かったのだからな」

 

獅子刧の疑問に自分の見解を交えて答える天草四郎、そしてそれを愉快そうにくつくつと笑うセミラミス。

 

そんな事は知らんとばかりにアストルフォは続けて報告をする。

 

「あ、そうそう、さっきついでに見つけたんだけどさ、バーサーカー、あ、もうみんな知ってるし名前で呼んでいいよね。フランをそこで見つけたんだ!ほーら、こっちおいでフラン!」

 

「…ウウゥ…アァ…」

 

アストルフォが呼びかけると木の影から一人の人物が姿を現した。

それは花嫁衣装に身を包んだか弱い少女の様に見える。だがその正体は世界中で知られる怪異中の怪異フランケンシュタイン博士の手により創り出された悲しき化け物。

フランケンシュタインの怪物その人?である。彼女は天草四郎に対してかなり敵愾心を持っているようで少し離れた位置で鋭く睨みつけている。

 

モードレッドはその姿を目にし目を僅かに伏せる。何か思うところがあるようだ。にもかかわらず

 

「やっぱりボクってばお手柄?いいサーヴァント?」

 

と能天気にはしゃいでいる。

それにはモードレッド、額に血管を浮かべ手を振りかざし……

 

「ああ、そうだな…お手柄だよ………」

 

「ふっふーん、どんなもんだい!「だがな…」ん?」

 

「勝手な行動すんじゃねえ!」

 

その手を思いっきり振り下ろした。

 

「あ痛ぁー!」

 

「…じ、ごう…じと、く…」

 

男衆はレタスに釘付け、何気にジークも初めて見るそのまんまのレタスに興味しんしんだ。

 

そんな和やかな空気を漂わせる中彼等を狙う影があった。

 

その獣は大きく飛び出た二本の牙、虎を思わせる風貌に大きな体。毛は雪の様に真っ白で美しさすら覚える。

 

このモンスターの名は《中級者殺し》。その下位互換の様な立ち位置に《初心者殺し》というモンスターがいるがそれはとても賢く、冒険を始めたばかりの者は勿論ある程度以上の経験を積んだ者すらもその凶牙に陥る。レベルにもよるが序盤の街付近の者では上級職がいても勝ち目が薄いなんて事もよく起こっている。そしてコイツは《中級者殺し》下手をすれば一線級の冒険者ですら倒れかねない程の危険性を持つ。

 

この系統のモンスターはとても賢く狡猾だ。

おいしいモンスターを追い立て冒険者を誘い込んだり、自分よりも強い、または不利だと感じると一旦引いて体勢を整える知性を持つ。当然、狙うべき相手も冷静に判断する。

 

中級者殺しが狙ったのは一党から少し離れた場所にいる少女。

防具らしき防具も纏っておらず、肌も露出している。手に持つ大槌(メイス)が唯一の懸念材料だが気付かれるよりも先に仕留める自信があった。

 

そう決めると少しずつ少女に近寄っていく中級者殺し。

あと20m……15m…まだ気付かれていない…10m………今だ!

 

いざと飛びかかる中級者殺し。恐るべき牙が少女の柔肌に吸い込まれるように向かう――

 

「ウウゥ…?」

 

――されどその牙が少女の肌を貫く事は無かった。勿論、途中で妨害などされていない。では何故か?

簡単だ。中級者殺し程度の力では英霊であるのフランの皮膚を切り裂くことすら出来なかった。ただそれだけの事。

 

その時、中級者殺しは野生の勘の様なもので思い知った。己との間には赤子と大人程も実力に開きがあると。

実際その考えは間違いではない。付け加えるならばサーヴァントには魔力のこもっていない攻撃は効果が無いのだ。…もっとも、たとえ魔力が籠もっていたとしてもと尋常のものではかすり傷程度にしかならないのであろうが……

 

中級者殺しは敵わないと見るや踵を返して一目散に逃げようとする。が

 

「おいバー、フラン。お前からもコイツに言ってやれよ……何だソイツ?サーベルタイガーか?」

 

魔剣を手にする叛逆の騎士が、

 

「まったく、ここには絶滅動物でも住んでるのか?にしては魔力を感じないが」

 

強面の死霊魔術師が、

 

「………」

 

不死身の竜殺しが、

 

「ほう…、幻想種でも魔力生命体でも無い、か。……面白い。どの程度が効くか、試させてもらおうかな」

 

最古の毒殺者が、

 

「ふむ、中級者殺しですか…やはり仕様が変化している様ですね。」

 

人類を救わんとした日ノ本の聖人()が周囲を取り囲んでいる。

一人一人でさえ勝ち目が無いのにそれに囲まれた。中級者殺しは生存方法を必死に模索している。

さほど時間もかからずその方法は見つかった。

その方法とは――

 

 

――――

 

「はっはっはっ、お前結構イカしてんじゃねえか」ワシャワシャ

 

「にゃ、にゃ〜…」

 

メッッッチャ甘えた!

 

絶対出さない様な甘えた声まで駆使して取り入った。

この作戦は幸いにも成功した。

然程脅威として見られていなかった事とフォルムだけならばカッコイイサーベルタイガーなのも功を制した。

 

絶滅した動物等は往々にして少年達の心を掴む。カッコ良ければ尚更だ。

 

これがガッツリモードレッドの少年心にビビっときたようである。

強さはともかくとして見栄えはいいし、逆らう様子も無いのだから。

 

「なあマスター、コイツ飼ってもいいだろ?飼おうぜ!」

 

「……はぁ、仕方ない。飼ってもいいが世話はきちんとお前がすること、それと何かあったらお前が責任をとる事が条件だ」

 

「分かってるって。サンキューな、マスター!」

 

(捨て犬を拾った子供とその親みたいだ…)

 

ジークがそう思うのも無理はない。というかこの世界では結構強い部類に入るモンスターなのに完全にペット感覚である。

この世界の冒険者が見れば目を疑うだろう。

 

「よし、お前の名前を決めてやる。……う〜ん…サーベルタイガー、虎…虎竹……

 

早速名付けを行うモードレッド。

 

…冬木の虎……ギャグ…ライオン号………いよし!決めた!お前の名前はタイガー号だ!」

 

どこかで聞いたことのある様なことを呟きながらも名前が決まった。

 

「!!……すまない、モードレッド」

 

ジークフリートがモードレッドを連れて少し離れた木陰へと向かう。何かを話している様だ。

他の連中はそちらには目もくれずタイガー丸の様子を伺っている。

……あっ、セミラミス、毒の準備をするのはやめてあげてくれ、何だかすごくかわいそうだ。ほら、あんなに震えて、、、

 

と、そうだった。セイバー達を追わなければ

 

気配を出来うる限り消して近づく。

 

何とか声が拾える位置に着き、耳を澄ます。

 

「−−−!?」

 

モードレッドが何かに驚く様な姿を見せる。

今度ははっきりと聞こえた。

 

「ッテメェ!何で知ってやがる!!」

 

焦燥した様な、怒っているような声音に思わず身を乗り出す。

 

「簡単だ。()()――

――転生者だからだ。」

 

っ!やはり、彼は俺と同じだったか!それに()()という言葉、そしてそれ(転生者であるということ)を話すという事はつまり…モードレッドも――!!

 

確信に至ったその時、俺は注意を欠いてしまっていたのか枝を踏み音が鳴ってしまった。シマッタ!

 

「な〜に〜してんだテメェ!」

 

案の定英霊である彼等が聞き逃す訳も無く、すぐに見つかった俺は捕まってしまった。

 

「で、何を聞いてやがった」

 

言葉の端から逃がさないという気迫を感じる。ここで選択を間違えたら間違いなく叩きのめされる!

と、取り敢えず落ち着いてやり過ごさなければ、、、

 

「お、俺は二人が転生者だなんて全然聞いてないぞ。」

 

・・・・・・

 

「(ニコッ)」

 

「(ニ、ニコッ)」

 

「全部聞いてんじゃねえか!!」

 

ドゴォッッッ!!!パイルドライバー

 

「ご"め"ん"!!」

 

※この後、ジークは無事引き抜かれました。




こんなに長くする予定なんてなかったんだ。
ついつい最後までいくのに付け加えてしまって……
次回からはもっと短い予定です。

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