この素晴らしい世界にApo組を!(一部のみ)   作:食卓の英雄

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正直すまんかった。ちょっと口調がおかしいと思うけど許して欲しい。すまない…


初スキル習得〜不死王を添えて〜

冒険者ギルドを出た一同はアクセルの街を進んでいたがその歩みは遅々としたものであった。

それは昨日によく見れなかったことやまだ歩き慣れていないことも理由の一つではある。が、大体の原因はアホの子(アストルフォ)にあったりする。

 

〜それは獅子刧が手に持つメモを見ているとき〜

 

 

「む、ライダーは?」

 

「おにいさーん!このサンマ三つ下さいな!」

 

「あいよ!嬢ちゃんかわいいから一つまけてやるよ」

 

「やったあ!ありがとねオジサン!マスターーッ!これ一緒に食べよー!」

 

「ライダー、勝手に金を使わないでくれ!」

 

勝手に物を買ったり(サンマは黒の陣営で美味しく頂きました)―

 

 

〜畑に生えていたサンマを二度見した時〜

 

 

「お姉さん何食べてるの?」

 

「ムグムグ、コレを食べる姿を見られたからには、責任をとってこの書類にサインを頂かなければ……あら、意外とかわいい……やっぱりお姉さんと一緒に行かない?あとこの書類(入信書)にもサインを……」

 

「う〜〜ん、、、する!」「結構です!!」

 

怪しげな宗教勧誘に乗りかけたり―

 

 

〜街の人に道を訪ねている時〜

 

 

「ちょっと行ってくる!」

 

「待っ、いや何処へだ!」

 

――

―――

 

「捕まえた!」

 

「にゃ〜、にゃあ〜〜」

 

「猫なんか拾ってくんじゃ……いや、何だソレ…?」

 

ジョッキに入った謎生物(ネロイド)を捕まえてきたり―

 

 

〜警察のような人に獅子刧が職質をされているとき〜

 

 

「何このお店!」

 

「きゃあ!?」

 

「す、すまない、直ぐに出ていく」

 

 

とある店に突撃もした。

 

アストルフォを連れて店を出ていこうとしたジークだがふと気づく。

 

(…そこらじゅうの道具から魔力を感じる…)

 

「これ、いや、ここは?」

 

その言葉に困惑していたこの店の店員らしき女性が応える。見かけはおっとりとした美人だが、よく注意していると何か違和感を感じる。

 

「は、はい。ウィズ魔道具店へようこそ」

 

「魔道具…?礼装やポーションでは無いのか?」

 

「えっと、れいそう、というのは分かりませんがポーションなら売っていますよ」

 

ますます気になり問を掛けようとしたその時、獅子刧達が入店してきた。

 

「どうした?アストルフォは捕まえたのか?って、ん?」

 

「あ、き、来てくれたんですねカイリさん!」

 

どうやら獅子刧はこの女性と知り合いらしい。こちらには何も言わずにそのまま談笑を続ける。

 

「なんでまた…いや、ここがウィズの店か。まさか偶々でつくとはな…」

 

「あ、あれ?地図を見て来てくれたんじゃないんですか?」

 

「いや、コッチに来たばっかだから、何処がどうなっているかとかが分かりづらくてな…」

 

「す、すみません。来たばかりだということを配慮していませんでした…」

 

「いや、そういうのはいい、後ろにいるのが仲間?だ」

 

「仲間?」

 

「いや、気にしないでくれ」

 

「はあ…」

 

またもや困惑する女性

すると黙っていたモードレッドが獅子刧の前に出て

 

「で?テメェ人間じゃねえだろ?」

 

クラレントを突きつけ威嚇するモードレッド。アストルフォとジークは気が付かなかったが、他の仲間は薄々と感づいていたのだ。その証拠に、一見何もしていない様に見えるが直ぐに戦闘態勢に移れるようにしてある。驚くのは違和感を感じつつも経験が浅くて見抜く事が出来なかったジーク。

 

(何と――!感じていた違和感はそのせいだったのか!)

 

「あ、いや、あの〜」

 

空気は一触即発。何かをきっかけにここが戦場になっても可笑しくない。

 

「待て待て待て!用があるってのはこのコイツに、だ。あと剣も納めてくれ。信用は出来る」

 

なんとか剣呑な空気は抑えられ、落ち着く為に椅子に座る。

最初からあまり警戒していなかった天草四郎はひとしきり眺め、女性の正体にあたりをつける。

 

「ふむ、人外の気配だが、魔獣や悪魔ではなくゾンビ系統が一番近いですかね?」

 

「は、はい。一応その系統です。種族はリッチーで、ノーライフキング、なんて呼ばれています」

 

その大層な呼び方は、目の前のおっとりとして何処か抜けているような人物には酷く似合わないものだなと思った。

 

「それで?ゾンビのとこに来てまで何をするってんだ?」

 

「あの、ゾンビではなくてリッチー…」

 

「ふむ、我の知るゾンビはもっと悍しく醜かったのだが」

 

「一応最上位のアンデッドですので。後、ゾンビではなく…」

 

「ああ、このゾンビの嬢ちゃんにここの事をご教授して貰える事になってんだよ」

 

「カ、カイリさんまで…」

 

ゾンビゾンビと言い続けられ、若干涙目になる。

 

「悪い悪い、反応が面白くてな…。さて、こちらロクにモノを知らない俺達に情報を提供して下さる親切なゾンビ「リッチーです!」リッチーのウィズだ」

 

つまりそういうことである。現地民にこちらの事情を教えて貰おうという、異世界モノならば比較的ありふれた手を使った様だ。

 

「はい。この『ウィズ魔道具店』の店長をしているウィズと言います。カイリさんに頼まれて皆さんに冒険者の事等を教えることになりました。これでも元冒険者だったので、それなりの事までは答えられますよ。よろしくお願いしますね」 

 

それに応じてこちらも簡単に自己紹介をする。一名は真名ではなくクラス名だったが…

さらに地球でポピュラーな地名や国を聞いてみたが、ほぼほぼ分からない様で、再度異世界だと認識させられた。

因みにここに至るまで僅か五分程しか経っていない。

 

「では何か分からない事などはありませんか?」

 

ジークが手を上げ質問する。

 

「では俺から、ギルドでも言っていたがスキルポイントというのは、その、どのように扱えばいいんだ?」

 

その疑問に一部がうんうんと頷き同意する。ギルドで一応の説明を受けたとは言え主な概要だけであり、魔力とも違うためどのようなものかが捉えづらく、使い方などは分からなかったのだ。

 

「すみません、冒険者カードを見せてもらっても良いですか?」

 

「これの事だろう?」

 

「はい、それであってます。あ、大丈夫ですよ。勝手にいじったりはしませんから、では……かなり高いステータスですね。私が勝っているのは…魔力だけ…。…今はリッチーとはいえ元冒険者としては少し複雑ですね…」

 

「ま、俺らはもっと凄いけどな!」

 

自信満々にしたり顔で言い切るモードレッド。隠しきれないというか隠していない完全なドヤ顔である。それに誰も否定しない事に対して、やはりと言うべきか驚愕した顔のウィズ。直ぐに口を開き尋ねる

 

「凄いとしか言いようがありません。一体どれほどの冒険をされたのですか?」

 

その一言に皆考えこむような顔でうつむく。一部からかう方法を考えている者がいるが気にしない。ここは一言で簡潔に言い表した。

 

「まあ、色々だな」

 

当たり障りの無く、無難だがこれでは何も話していないのと同然。しかしウィズは事情があると思い至り言及をやめる。

 

「コホンッ!話が脱線しましたが、この冒険者カードのこの部分にスキルポイントの欄がありますね?」

 

そう言いカードの一部を見せてくる。そこには地球の文字ではない字で『スキルポイント』と書かれ、その下に『49』と数字で表示されている。

 

「こちらに表示されている数字がスキルポイントです。これを消費して新しいスキルや魔法を覚えたり、スキルを強化する事が出来ます。これを上げる方法は、レベルアップ時に貰えるポイントと、スキルアップポーションを飲むことですね」

 

「成るほど…しかしこの49というのは?俺はレベルアップをした覚えは無いのだが」

 

冒険者カードに表示されているジークのレベルは1のままだ。それも直ぐに説明してくれた。

 

「冒険者登録の際に、その方の資質等によりますが、このように初めからスキルポイントがいくつか持っていることもあります。」

 

「これは多いのか?」

 

「はい、とても。こんなにあるのはかなり珍しいのですが、先程のステータスからしたら妥当ですかね」

 

他の者もスキルポイントを確認したが、このメンバーの中ではジークが最も初期ポイントが多かった。それは英霊が既に様々なスキルを有しているからだという事が予想される。何故なら英霊達のカードにはきちんとサーヴァントとしてのスキルが記載されていたからだ。因みに

 

「続けますよ?ここにスキル一覧がありますよね?これに触れて覚えたいと思ったら、スキル習得完了です!後は同じ方法でスキルを強化出来ます。あ、勿論強力なスキル程必要なポイントは増えますからね?」

 

「たったそれだけの事でいいのか!?」

 

それはあまりにも簡単すぎた。正直もっと色々あるのかと思ったが、本当にそれだけでいいみたいだ。

これでは努力をしてまで修行をする人がいなくなるのではと思ったが、ウィズ曰く、スキルの強化具合にもよるが、一部スキルを除き、あくまで使えるようにするだけらしいので、同じスキルならば努力した者の方が圧倒的に強かったり、スキルポイントを節約する為に自力で何とかしようとする人も結構な数いるらしい。

 

「はい、それだけでいいですが、そのカードは他の人でも決める事が出来るので注意して下さい」

 

「???他の人が覚えたいと思ったのにカードが違えば反映されるのか…何故だ?」

 

「そういうものなんです」

 

「そういうもの」

 

「はい、ところで何か一つスキルを覚えてみては?これほどのポイントですとかなり自由が効きますが……おや?これは、見たことがないスキル…?ですかね?」

 

スキルを見ていたウィズが不思議そうな声を上げる。その冒険者カードには『魔術(C)』『人工英雄(B+)』これらは習得済みとして表示されていた。『魔術(C)』はジークが魔術を得意としていたことからだろう。『人工英雄(B+)』は分からないが、なにより目を惹くものがあった。それは『竜告令呪(デッドカウントシェイプシフター)(EX)』。こちらも習得済みとなっているのだが、文字が灰色に変わっている。思わずというべきか左手の甲を見る。

 

(こ…れは、そうか、何故かは知らないが…アレが、俺のものとして認識されたのか)

 

「あのー、すみませ〜ん」

 

「っすまない、少し予想外でな」

 

「いえ、大丈夫です。どんなスキルかは聞きませんよ。それよりも一つ覚えてみませんか?私のオススメは『上級魔法』です。これならジークさん程の魔力を持っていれば、かなり活躍が出来ますよ?」

 

だがそれよりも気になるスキルがあった。中級魔法、上級魔法とあるが、一つだけ格段に必要なポイントが少ない初級魔法というものがあった

 

「すまない、この初級魔法というのは?これだけいきなりポイントが低いのだが、どのようなものがあるんだ?」

 

純粋に聞くジークに少し困った様な顔で告げるウィズ。

 

「いえ、その、初級魔法と言うのは、基本的に属性に応じた少量の物質を創り出すだけで攻撃等には向かないんです。例えば、綺麗な水を創り出したり着火に使う為の小さな火等しかなく、殆どの方は初級魔法は取らずに中級魔法から覚えるんですよ」

 

「ふむ、では初級魔法というのを覚えてみたいと思う」

 

「はい、では初級魔法を…あの、本当にいいのですか?」

 

「何がだ?」

 

「いえ、初級魔法をお選びになっても。もっと他のスキルが取れるというのに初級魔法だなんて」

 

ああ成る程、戦闘用では無いのに何故貴重なポイントを使ってまで初級魔法にするのかということか

 

「いや、それでいい。戦う手段ならあるが、飲み水の確保や注意を引かない明かりなどには使える。それに使用する魔力は少ないのだろう?ならば非常事態等に備えたものが必要だと思ったんだ」

 

それに関心したようにウィズが頷く。

 

「確かに、言われてみればそうかも知れませんね。飲めるお水が常に確保出来るのは安心に繋がりますね。私も機会があれば覚えて見ても良いかもですね。………その水だけで何とか持ち堪えることも…」

 

ちょっと彼女の私生活のアレな部分が見えてしまった気がしなくなもないが、そこは割とどうでもいいだろう。精々が自分で作った水か店等の水かの違いしかない。

 

これで晴れて初級魔法を覚える事の出来たジーク。早速コップを用意してもらい使う事にした。感覚はいつもと少し違うが何故だが出来るという確信がある。これがスキルを覚えたという感覚だろうか。未知の力に驚きつつも、しっかりと腕をコップに向け唱える。

 

「『クリエイト・ウォーター』!」

 

ジョボボボボボボボボボ

 

んく、んく………うまい」

 

「「「………」」」

 

「それだけか?」

 

「ああ」

 

会話は終了した。あれ、コレ何だかきまずいなあ。あ、セミラミスが勝手に道具弄ってるじゃないか。いけないぞぉ〜う売り物を勝手に弄ったら、何てどやされるか分かったもんじゃないからね。(by.何処かのドクター兼所長代理)

 

「そ、そうだ、俺の奴にはスキルが表示されてないんだが…ん?初級魔法が追加されてるな…」

 

「あ、そ、それはですね。あの、カイリさん。あなたは冒険者を選んでいるんですよね?」

 

「ああ、それで間違いない」

 

「冒険者という職業は全てのスキルを覚える事が出来ますが、本職よりは効果が落ちますし、必要なポイントも多いんですけどね」

 

「それも聞いた。しかし俺より遥かに強い奴らがいるんでな。わざわざ俺が強くなる必要は無い」

 

「それならいいのですが…。まず、冒険者のスキルの覚え方は他の職業と少し違って、一度自分の目で見なければいけないんです。それで一度見たスキルならば全てが習得可能となるというのが、冒険者の特性です」

 

今さっき目の前でジークは初級魔法であるクリエイト・ウォーターを使った。だから今まで白紙状態だったスキル欄にクリエイト・ウォーターが新たに習得可能となったのだった。

 

「なあ、ウィズ。何かオススメのスキルとかは無いのか?こう、バチバチやり合うようなやつじゃなく、サポートになるようなやつだ。支援や弱体化系があるとありがたい」

 

「それでしたら、『不死王の手』なんてどうでしょう?」

 

「『不死王の手』?」

 

名前からしてリッチー等の種族のスキルだというのは分かる。

 

「これはリッチー専用のスキルで、素手でも武器越しでも、触れた相手に毒、麻痺、昏睡、魔法封じ、弱体化の中からランダムで状態異常を引き起こすものでして、状態異常の効果はスキルレベルを上げることで上昇します。状態異常を引き起こす確率は幸運に依存していて、中でもレベルドレインは相手のレベルを下げる効果を持っているんです。本来なら人間には覚えられないんですが、冒険者なら例外的に習得可能なんです」

 

「おい、じゃあ何で冒険者になる奴は全然いねぇんだ?」

 

モードレッドは、文字通りどんなスキルでも使えるのに、やたらと不遇職の様に扱われるのに疑問を覚えたようだ。

 

「いえ、普通は優れた能力を持っている方はその専門職に就いた方がお強いですし、冒険者に就くしか無いような方は専用スキルを使える様な強力なモンスターとはまず出会いません、出会われたとしてもそのままお亡くなりになってしまうので……」

 

それはまあ、当然の事だった。優れた能力を活かせるのならそういった職を選択したいと思うし、冒険者になるような人物は普通、強力なモンスターには歯が立たない。だからこそ人間に協力的なリッチーはかなり珍しいのだ。

 

「はんっ!根性のねえ奴ばっかだったって事か」

 

つまりはそういうことである。身も蓋も無い言い方だが、どうにかして、スキルだけを盗み見ることも可能だったのだから。

 

そしてスキル実演に入る。

 

「では…あの、一度使用しないといけないのですが、どなたに使えば…」

 

「では俺が。俺ならば『仕切り直し』と『悪竜の血鎧(アーマー・オブ・ファヴニール)』がある為、大事にはならないだろう」

 

「感謝する。ジークフリート」

 

協力してくれるジークフリートに感謝の言葉を掛ける。

 

「ではいきますよ、『不死王の手』!」

 

ジークフリートの手に触れたウィズの手から妖しい光が放たれる。

 

「……?何ともないが…」

 

「いえ、かかっている筈なのですが……あ、きっと魔法封じがかかっているんですよ。魔法使いならまだしも、戦士職の方にはあまり効果が実感出来ないですからね…」

 

「…おう、オーケーだ。後はコイツに触れりゃあいいんだろ?」

 

無事に不死王の手を習得する事の出来た獅子刧。

 

「なんというか、不思議な感覚だな。これがスキルを覚えるっつうことか…」

 

「ええ、最初は私もそんな感じでしたね」

 

談笑に戻りかけた時、天草四郎が声をかける。

 

「すみません、ウィズさん」

 

「はい、何でしょう?」

 

「私の仲間が店の道具を弄っているのですが…」

 

「はい…えっ!?だ、駄目ですよ!どれも繊細なもので……あれ?ちゃんと出来てる…どころか効果が上がって?」

 

「ふん、そのポーションを造った者が未熟なだけだ」

 

セミラミスはいつの間にかポーションを改良していたようである。効果は一流のアークウィザードであるウィズも認める程。

 

「す、凄いです!一つ、効果を確かめてみても!?」

 

「構わぬ、もともと汝の物であろう」

 

「で、では…」

 

改良されたポーションを飲もうとしているウィズを尻目に呑気に話す主従

 

「ところでセミラミス、貴女の道具作成のランクはCでは無かったですか?確か毒物限定の」

 

「ああ、そうだが?」

 

「…成る程、ウィズさん。それは飲ま「ぐふうぅっ!」遅かったか…」

 

そこには、ポーションの瓶を口に含んだまま白目を向き、崩れ落ちるウィズの姿があった。

 

「あー、すみませんセミラミス、解毒剤を下さい」

 

「ふふっ、よかろう。あの愉快な姿に免じてやる」

 

解毒剤を飲ませ、ウィズが起き上がる。

 

「大丈夫ですか?」

 

「は、はい、なんとか…」

 

「そういやウィズ、魔道具っつってもどんな効果があるんだ?」

 

獅子刧が一つのポーションを手に取り、聞く

 

「あ、それは衝撃を加えれば爆発するポーションです」

 

「危ねえな!」

 

「これは〜?」

 

「あ、そちらは空気に触れると爆発するポーションで…」

 

「開ける?」

 

「出来ればやめて欲しいです…」

 

「これは何だ?」

 

「水に触れると爆発するポーションです」

 

「……爆発物しか売ってねえのか?」

 

「いえ!ちゃんとした道具も売ってますよ!そちらがたまたま爆発系のコーナーなだけでして…」

 

誤解されてはならないとワタワタと弁解するウィズ。それを眺めていた獅子刧が一言。

 

「まあ、こいつは丁度いいな。この量にこの値段はお手頃だからな」

 

「え、本当に…?」

 

「ん?いや、よく使えると思ってだな…」 

 

「そ、そう思いますかカイリさん!」

 

「うおっ」

 

ガバッと身を乗り出すウィズに少し引いた様子。

 

「いえ、この店にやってくる人はみんな買わずに帰ってしまうので…」

 

「それまた何で?」

 

「いえ、それが分からず…いい商品は揃えているつもりなのですが……」

 

「いい商品?」

 

「はい!最近手に入った物ですとこれがイチオシです!」

 

そう言って取り出したのは一組のグローブ

 

「こいつは?」

 

「このグローブは、何と盗賊職についていなくても『窃盗(スティール)』が使える様になるのです!」

 

「そりゃすごい。何で売れないんだ?一人くらいはいても良さそうだが…」

 

「ただ本来よりも消費する魔力は多くなりますし、盗賊職の人しか装備出来ないんですが……それ以外は本当にすごいんですよ!」

 

「あ〜、何となく分かった」

 

「本当ですか!」

 

「ああ、自分で言った言葉を思い出してみな」

 

「………?」

 

「本気でか!?」

 

まったく分からないという顔には流石に驚愕する。

 

 

結局商品を見るだけ見て店を出た一行は次の行動へ移る。

 

「なあマスター、さっさとモンスターってヤツぶっ殺しに行こうぜ」

 

早速血気盛んなモードレッドが言う。

 

「まあ待て、そいつは明日だ」

 

「何でだ?」

 

モードレッドが暇そうだが、それよりもまずするべきことがあると言わんばかりに話し始める。

 

「いいか?俺達はまだこの街の事を全然知らねえんだぞ?現にさっきも道に迷いかけたからな。最初にやるのはこの街を覚える事だ。トゥリファスでもやったろ?あれはまあ、視察込みだったがやっといたほうがいいだろ?」

 

「ええ、その通りです。ここは見知らぬ土地、情報が必要でしょう」

 

「うんうん、僕も初めての街に行ったときはワーッってやって迷った事があるからね。あの時はよくローランと一緒に怒られたなぁ」

 

「ローランが!?」

 

「まあ、いい。少し金はやるからそれでまあ、観光ついでにでも見とけ。本格的な仕事は明日からだ。夕方には戻ってこいよ」

 

「その案を採用しましょうか。…行きますよ、セミラミス」

 

「まあ、こういうのも希にはよいか…シロウ、エスコートは任せたぞ?」

 

「…ええ、セミラミス」

 

 

「行こうマスター!あっちに気になるお店があったんだ!」

 

「あぁっ、待ってくれライダー!また迷子になるぞ!」

 

「こうしてのんびりと人の営みを見るのはいつぶりか…」

 

 

 

「…もう行きやがった」

 

「さて、じゃあ行くぞマスター」

 

「ああ、最低でも主要な道は覚えなきゃな」

 

この日、アクセルの住民は、姿も格好もバラバラだが不思議と違和感の無い人物達を、よく目にしたそうだ




イベント期間中に書くものじゃ無いねコレ。

知ってるかい、二話目の前日に到着してるのにまだ主人公出ないんだぜ……。
次回こそちゃんと依頼受けますよ。相手は勿論このすばお馴染みのアイツ

ついでに言っちゃうと天草四郎も裁定者では無いんです。ほら、もともと資格なかったから…是非もないよネ!

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