この素晴らしい世界にApo組を!(一部のみ) 作:食卓の英雄
これが、第五話ダァ…。
戦闘描写とか一切出来ないんですけどガンバリマス!
日が昇り、街が活気づき始めた頃、ギルドも幾多もの冒険者を迎え入れ、その中には我らがApo組の姿もあった。
「うっし、クエストだクエスト!」
「あまりはしゃぎすぎるなよ、一応依頼という形らしいからな」
弾んだ声のモードレッドを宥める獅子刧だったが堪えた様子はない。
「なあ、依頼はどれにするんだ?」
こちらはこちらでキラキラとした目で問い尋ねるジーク。ルーマニアではこのような事はしなかったので期待で胸いっぱいだ。因みに彼の頭の中でのイメージは完全にド○クエになっている。ドラ○エ8が面白かったらしい。
どのような依頼を受けるか、その問には複数の声が上がる。
「強え奴だな!」
「面白いの!」
「稼ぎが良いやつに決まっているであろう」
「そうだな、人の害になっている緊急のものを…」
その中でも、モードレッドが勝手に依頼用紙を取ろうと手を伸ばすが、獅子刧にその手を掴まれる。
「待て、受けるクエストは決まってる」
「はぁ何だよそれ?」
「何も適当に決めた訳じゃ無いぞ?ここでは俺達は成りたてだ。実力はともかく依頼に関してのイロハが足りない」
「ふむ」
「確かに…」
「そこで、だ。聞いてみた感じだと初心者にもうってつけの依頼があるらしいんでな。ここの職員曰く、これでクエストの何たるかを知る人も多いらしいし、報酬も、まあそこそこはあるらしい。とりあえずコイツを受けて、クエストの進め方を学べばいい、と思う。まあ、ゲームで言うところのチュートリアルだな」
説得力のある言葉に反論する者はいない。
「んじゃ、コイツで決まりだな」
そう言うと、依頼用紙を手に取り、カウンターに届けて受注する。
「嬢ちゃん、コイツを受けてえんだが」
「はい、『ジャイアントトードの討伐』ですね」
「ジャイアントトード?」
「ああ、何でもこの街の周辺の平原に棲んでるらしい。その名の通りバカでかいカエルでな、繁殖期に入ると子ヤギや農家の人を食うこともあるんだと」
等の話をしながら、依頼の受注を待っていたが一向に受理されない。そちらに注意を向けると少し困った様な表情の受付嬢が依頼用紙を持っている。
「何だ、何か不備でもあったか?」
「あの、獅子刧さん。その、通常、パーティーの人数は様々な観点から見て2人から4人。多くても5人でして……その、パーティーを分けて頂けるとありがたいのですが…」
「何!?」
パーティーを分けろと言い渡された彼らは、一旦席まで戻ってパーティーの振り分けを決めていた。
「分かった、んじゃマスターとそのサーヴァントは必ず一緒のパーティーになってくれ」
そう言われると、出来上がる組は三つ。ジークをマスターとした、アストルフォ、ジークフリート組。天草四郎をマスターとするセミラミスのペア。そしてマスター無しのフランである。
「おい、フラン。何でお前マスター無しでも現界してられるんだよ」
「宝具で、…あたり、の……まりょ、く…吸ってる…から…大丈、夫…」
そう、フランがバーサーカーというクラスでマスター無しのまま現界していられたのはある宝具のお陰だった。
その名を『
本来なら戦闘時以外にはあまり使われないが、この街の近くで何やら強力な魔法が放たれているらしく、存在するだけならば余剰魔力としては十分な程にあったようだ。しかしそれではやはり心もとない。誰をマスターにするのか問いかけたが、獅子刧がこれ以上増やしたら万全なパフォーマンスが出来ないらしく、辞退した。つまり残るのはジークか天草四郎。このどちらかである。
「ではフランケンシュタイン、貴女はどちらがいいですか?」
天草四郎はフランに任せる事にした。
「う…じー、く…」
「まあそうでしょうね」
当然の事だがそれはもうあっさり決まった。方や元敵陣営のマスターで黒幕。方や自陣営のマスターで聖杯大戦を終わらせたホムンクルス。どちらをとれと言われたら、誰だって後者を選ぶだろう。
これでジーク側のサーヴァントが三騎。パーティーは自ずと決まった。
「って事は消去法で……」
モードレッドと天草四郎の目が合う。
「げっ、テメェとかよ…」
苦虫を噛み潰した様な顔のモードレッドとは正反対に、天草四郎はニコニコとした表情だった。
・・・
あの後、赤組は獅子刧の反対を押し切り、ギルド内で最も高難易度なクエストに行ってしまった。
一方で、ジーク達はというと、獅子刧に進められた通りにアクセル付近の平原にジャイアントトードを討伐しに来ていた。が何やら困惑しているご様子。
「何もいないぞ……」
目の前に広がる見通しのいい平原では、姿を隠せる様な場所は無い。話に聞いた程の巨大なカエルがいるとは到底思えなかった。
教えて貰った通りの所へ来た筈だが…と首を捻らせる。
「少し辺りを散策してみよう。この場にはたまたまいないだけの可能性もある」
マスターだからか元の性格故か、自然とリーダーの様な役割になっていたジーク。まあ、仲間が理性蒸発男の娘と、理性はあるが言葉を発するのに疲れるという狂戦士。そしてどちらかといえば命令待ちの
さてそれでは、と意気込んで出発したが中々見当たらない。ひょっとしたらもういなくなってしまっているのではと考えたが、狩り尽くしたと思っても延々と湧き続けるそうなので、そうではないと否定した。
そして探すこと三十分、ようやくお目当ての相手に出会えた。
(確かに大きい……)
それは高さでも並みの人間を優に超えていて、これ程の巨体ならば丸呑みというのも頷ける。
「すごいや、こんなのフランスでも見かけたことないよ!」
観察をしていると、大きな口を開け、舌を勢いよく伸ばしてくる。
「マスター!」
「はっ!」
迫りくる舌を身を捻り躱し、もう一度口の中へと戻ろうとする瞬間、切り飛ばす。
「気をつけろ!いくらサーヴァントといっても何が効くかが分からない!出来れば回避か防御をしてくれ!」
「「「了解(した)(アァッ)!」」」
いくら巨体を誇るカエルとはいえ、ある程度鍛えた一般人にも倒される程度の脅威なので、人外の領域にある彼らの相手では無かった。
戦闘は最も近くにいたフランが叩きつけた戦槌の一撃で爆発四散。あまりにも早い幕引きだがこれが現実。哀れジャイアントトード、相手が悪かった。
「…う、弱…い」
拍子抜けとばかりに呟くフラン。
「いや、初心者でも出来るという話らしいからこんなものだろう」
さて、次のカエルを探しに行くぞ。と意気込んだものの中々見当たらない。
結局、午前中はあの後現れたジャイアントトードと合わせ、2体討伐出来ただけだった。
・・・
「すまない、平原ではジャイアントトードが多く生息していると聞いたのだが…何かあったのだろうか?」
ところ変わってギルド内。あまりにもジャイアントトードがいない事に疑問を持ったジークは、事情に詳しいと思われる受付嬢のルナに原因を聞いていた。
「ふむ、ジャイアントトードがいない、ですか…。それはおかしいですね、冬眠という時期でもないのに何故…」
ルナにも原因は分からないらしい。どうしたものかと共に首を捻る。そこで「あっ」とルナが顔を上げ話し出す。
「ジャイアントトード等の比較的弱いモンスターは、強力なモンスターや上位の悪魔等が近くにいると怯えて出てこないんですよ!人間には分かりませんが、ひょっとしたら何かを感じ取ったのかも知れません!」
「もし本当にそれならば余計にダメでは?」
明るい顔が暗く沈む。
「そうですよね……ついこの間にも上位悪魔が現れたのに、そんなに直ぐ現れる訳ないですもんね……」
「そうなのか…」
お互いもう手遅れとばかりに顔を見合わせ、ルナがぼそりと呟く
「これはありえないんですけど……ドラゴンでも飛んでたのですかねぇ…」
「そうだな、ドラゴンでもいれば怯えて……ドラゴン?」
「はい、といってもジャイアントトードが認識出来るのは、精々が地面にいるとき位ですけどね…」
「……分かった。ありがとう。解決出来た」
「え、いえでも…」
「いや、本当にいいんだ、貴重な時間を使ってもらいすまないーっ!」
「って、あっ、ジークさーん!?」
このジーク、見た目は人間のホムンクルスでも、聖杯大戦の最終局面、大聖杯を現世から隔離するためにジークフリートの竜の因子を利用し、邪竜ファヴニールへと成り、世界の裏側へと旅立った。つまり現在の本体はあくまで邪竜であり、ホムンクルスではない。もう一度言おう、本体は邪竜である。
察しがいい読者の皆様ならもうお気づきであろう。ジャイアントトードが一向に姿を現さなかったのはジークのせいだった。
「と、言う訳で俺がいたからだろう……邪魔をしてすまない……」
割と落ち込んでいるジーク。彼には強力なモンスターの方が良かったのだ。
「マスターは悪くないよ!」
「…う」
「しかしどうする?このままでは依頼を達成出来ないぞ」
皆が擁護するが依頼の妨げになっているのは事実。このまま行くかどうかと話し合っている。ジークは妙案とばかりに
「ウィズに聞いてみよう。彼女なら何か解決方法があるかも知れない」
ここは同じく恐れられる側の方からのアイデアをと、早速ウィズ魔道具店へと駆け込んだ。
詳しい事情は話さず、何故リッチーなのに大丈夫なのかと問をかける。そこで望んでいる答えを得た。
「そうですね…私の場合はアンデッドとしての魔力…瘴気…?いえ、なんと言えばいいのか分かりませんが、それをこう、胸の内側に抑える様な感じで………あの、何でそんな事を?」
ちょっと曖昧な感じで感覚的だがそれでも、と実践することにした。
「成る程。頼む、ジークフリート。この中でファヴニールの気配が分かるのは貴方だけだ。少し付き合ってくれないか?」
「了解だ」
そこからジークの邪竜の気配隠し訓練が始まった。
一回目
「むぐぐ、こうか?」
「駄目だ」
失敗
四回目
「これならっ……」
「邪竜らしさが抜けていない。やり直しだ」
失敗
十二回目
「はあぁぁぁっ!」
「むしろ邪竜らしさが増しているぞ!?」
大失敗
そしてとうとう…
「これで……どうだ…」
「ああ、完璧だ。概念的な繋がっている俺以外には分からないだろう。三十八回目にして成功だ」
そこからは慣れるだけ、そこまで時間をかけずに抑えきることが出来た。
「ありがとう、ウィズ。貴女のお陰だ」
「あ、はい。ありがとうございます。………何がですか?」
「「何でも無い」」
そう告げ、彼らはリベンジするべくアクセルの街を飛び出した。
店内には空気に追いつけなかった者が一人、ポカンと口を開け取り残されていた…。
「……結局何だったんでしょうか…?」
もう一度、と朝のリベンジに平原に向かった。するとそこには…
「ゲコォッ!」「ゲコっ!」「ゲロッ!」「コウガッ!」
「大量にいるな…」
「うわぁ…、いっぱいいるぅー…」
目の前に広がるのはカエルフィーバー。今までジークの気配によって隠れていたが、気配を抑えた結果、一気に活動してしまい、溜まっていたジャイアントトードが溢れ出したのだ。
「すまない、俺の聞き間違いでなければポケ○ンがいるような気が……」
「○ケモンってなあに?」
「いや、こちらの話だ。気にしないでくれ」
向かってくジャイアントトードの群れから目を離さずに応える。ジャイアントトードの数はおよそ三十程。この巨体がこれ程の数で向かってくる様子には恐怖を覚える。
されど彼らは一騎当千の英霊。この程度、前座にもなりはしない。
「油断はするな、来るぞ!」
「……か、い、し……する」
「はあっ!」
「そりゃ!」
「せいっ!」
「ウゥ……!」
それは、まるで嵐のようだった。
剣が、馬上槍が、戦槌が、そして黄昏の魔剣が、ジャイアントトードの体を豆腐のように切り裂き、貫き、陥没させ、斬り飛ばしていく。
あれだけ多かったジャイアントトードが今や片手で数える程しか残ってはいない。対してジーク達は汗一つかかず、息切れ一つとして起こさない。それ程までに、彼らとジャイアントトードとの間には隔絶した実力差があったのだ。
ジャイアントトードは分が悪いとみるや、踵を返して逃げ出した。その先には新たなジャイアントトード。ジークはさせるかとその背を追い、切り伏せんとし――
――そこで気付く。
離れた場所に何やらこちらに声をかける者がいる事に。
「…い!お……げろ…!…今すぐ逃げろーっ!」
「!待てっ、ジーク!」
(逃げろ?……っ!)
声をかけた者の近くに大きな魔力が渦めいている。魔力の発生源は一人の少女。つまり、
(これは――強力な魔術の兆候――!)
ジークが感じたものは確かにそれである。不運な事に、今まさにジークの立つ場所に、(正確に言えばジャイアントトードを狙ったものであり、ジークが後から来た形になる)放たれようとしていた。
逃れようとするも、切り伏せる為に飛び上がっていた事が災いした。その間にも感じられる魔力は大きくなってきている。やがてそれは収縮し
「マスター!」
(しまっ―――!)
ズドオオォォンッ!
閃光が走った。
目も眩む様な光と轟音と共に爆炎があがる。標的であるジャイアントトードは跡形も無く、それどころかその場には大きなクレーターが出来上がっていた。
これを成したのはこの世界における人類最強の攻撃魔法、爆裂魔法。この魔法は消費魔力と消費ポイントの点からネタ魔法とされているのだが、消費したものにみあう他の追随を許さぬ圧倒的な威力を誇る。さらに、この爆裂魔法の特徴として、実態の無い幽霊や悪魔、果てには神々であれどダメージを与える事の出来る魔法である。人類最強の攻撃魔法とは誇張でも何でもないのだ。
しかしコレは範囲もかなり広く、味方の位置には気をつけなければいけない。何故ならば大物賞金首クラスのモンスターでもなければ耐えることは不可能に近く、巻き込まれた場合はまず命は無く、蘇生も出来ない程凄惨な状態になるからだ。
いくら英霊程の能力を持っているとはいえ、ジークはまだ生きている邪竜、現在の体の強度は丈夫なホムンクルス程度に過ぎない。つまりサーヴァント程のしぶとさは無い。そして防御用の能力は一切持っていない。
未だに土煙と黒煙が立ち込める中、何の動きも無い。
ただ存在が確認出来るのは、青ざめた顔の少年少女のみであった。
直撃する爆裂魔法!どんな存在にもダメージを与えるその魔法はホムンクルスの体には荷が重いか、果たしてジークの運命は!?
いや〜、Requiemコラボいいですねえ〜呼符単発で鬼女紅葉出ました(隙自)。……ボイジャーくんがよかっry