※pixivでも投稿しています。それに伴い、小説のタイトルを変更しました
「ねえ、お姉様。吸血鬼の血って美味しいのかな?」
「え……フラン? そんな事急に聞いてどうした……もしかして、血が足りなくて辛いの?」
「別にどうもしないし、血が足りないから辛いって訳じゃないよ。ただ、どうなのかなって気になっただけだから、心配しないで」
「なるほどね……まあ、結論から先に言うと『美味しいとも不味いとも断言は出来ない』かしら」
とある日、いつも通り一緒に部屋で幸せな時を過ごしていたお姉様に、何故かは分からないけど急に『人間の血は無条件で美味しいけど、吸血鬼の血は美味しいのかな?』と疑問に思った私は、そう聞いてみていた。
まさかそんな質問が飛び出て来るとは思わなかったらしく、私からそう聞かれたお姉様は驚くと同時に、もしかして血が足りなくて辛いのかと心配されてしまった。
実際はそうではなく、ただ単にどうなんだろうと疑問に思って聞いてみただけなので、誤解を解くためにそう説明をしたら、心配そうにしていたお姉様が微笑みながら『美味しいとも不味いとも言えない』と説明してくれた。その時に少しガッカリしたように見えたけど、まあ気のせいだろう。
「へえ……どうして?」
「ええ。昔……と言っても幻想郷に来る直前なのだけど、その時に吸血鬼の襲撃があったのは覚えてる?」
「うーん……そう言えばあったって言ってたっけ?」
「まあ、あの時は狂気に染まってて貴女を地下室から出さなかったし、表立って処理したのは私やパチェ、美鈴や咲夜だったから記憶が朧気なのも仕方ないわね。で、その時に……」
そうして更に、何で美味しいとも不味いとも言えないのかと聞いてみたところ、お姉様はそう言った理由を実体験を交えて説明してくれた。
お姉様曰く私たちが幻想郷に来る直前、襲撃事件があった際にたまたま人間の血が不足していたらしい。だから仕方なく襲撃してきた吸血鬼を殺してその血を飲んだ際に、人間よりも劣るがどちらかと言えば美味しいと感じるものから、不味くてとてもじゃないが飲めたものではないものまで色々だったみたいだ。確かに、それなら美味しいか不味いかは断言出来ないのも頷ける。
「なるほど、そんな事が……」
「ええ。まあ、好き好んで同族の血なんか
「それ以外だと?」
「……やっぱり言うの止めておくわ」
「あ、うん。分かった」
確かにお姉様の言った通り、人間の血が飲めなくて大変な時位しか同族の血なんか飲まないだろうね。そして、もう1つ理由を言おうとした時、お姉様が何故か急に黙った後、やっぱり言うのを止めておくと私に謝りながら言ってきた。
謝ってきたお姉様の顔を見てみると、ほんのり赤く染まっていた。私には話せない、恥ずかしい内容の話をうっかり言ってしまいそうだったんだろうと思ったため、それ以上追及するのを止めた。
その後はお姉様が淹れた紅茶を一緒に飲みながら、他の皆が聞けば下らないと思うであろう話をしたり、お互いに温もりを感じ合ったり……毎日ほぼ同じ事をやっているが、つまらないとか退屈だとか思った事はない。
(お姉様の血って美味しいのかなぁ?)
そうしてお姉様とハグしながら触れ合っている時、吸血鬼の血について話していた内容を思い出し、こんな考えが頭をよぎる。お願いすれば飲ませてくれそうな気がしないでもないけど、後の事を考えると何だか言い出せなかった。
「ねえ、フラン」
「なあに、お姉様……むぐっ!?」
すると、お姉様が何を思ったか自分の腕を私の口に無理矢理押しつけてきた。当然、そんな事をすれば牙に当たって血が出てきてしまうも、そんな事はどうでも良いとお構い無しに食い込ませてくる。心なしか、お姉様も気持ち良さそうにしているし……
(あっ……お姉様の血、凄く美味しい!)
最初は腕を押し付けられて苦しかったけど、お姉様の美味しい血が口から喉を伝っていく過程で、同じくらい気持ち良くなってきた。だから、私はそれを求めて最終的には苦しさを忘れ、こっちから吸い付いて少しずつ、味わうようにして血を飲んだ。
「ぷはぁ……はぁ……お姉様?」
「えっと、何だか貴女が私の血を飲みたがってる気がして……もし思い違いだったらごめんなさい……」
「んぅ……何で分かったの? 確かにそう思ってたけど」
「なら良かったけど……それで、どうだった?」
「えっとね、美味しかったよ」
「そう……」
その後何分経ったかは分からないけど、お姉様が腕を口から離した事で吸血は終わった。今まで気づかなかったけど、ベッドシーツと私たちが飲みきれなかった血で汚れていて、後始末が面倒な状態になっていた。これ以上汚れるとに流石に不味いかなと思ったけど……
「フラン、お願い。今度は貴女の血を飲ませて……」
「……うん、良いよ」
今までの行為で気分が高揚していたお姉様が、今度は私の血を飲ませてと愛おしい仕草を見せながらお願いしてきた。それを見た瞬間、シーツや私たちの汚れが完全に頭から消え、私はお姉様に身を委ねた。
そうして、私の首筋に牙を立てて血を吸い始めると、身体に雷が落ちたような感覚に襲われた。自分が飲んだ時よりも強く襲い来る快楽、お姉様の温もりを感じていられる幸せ、それらによって頭の中が埋め尽くされる。
吸血鬼が吸血する時、されている対象が逃げないように強い快楽を与えると言うのは知ってはいたけど、いざ自分が対象になってみて思った。確かにこれは、逃げようと思ってもそんな気なんか一瞬で失せると。
「あぁぁ……」
「ん……うぁ……フラン……!」
「はぁ……はぁ……お姉様ぁ、疲れてきたよ……眠いよ……」
「うぁ……ん、分かったわ……ふぅ……」
そんな事を頭の隅の隅で考えながらなすがままにされていると、体力が限界に近づいてくるのを感じた。ここまで来ると幸福感や快楽よりも、疲労感や眠気の方が勝ってくる。
お姉様はまだまだ物足りなさそうにしているけど、流石に死にかけるところまで身を削る事は出来ないため、もう限界である事をアピールして何とか吸血を止めてもらった。
「ありがとう、フラン……」
「ふふっ……お姉様、血だらけだね」
「確かにそうね。それよりも、何だか急に眠くなってきたような……」
「お姉様も眠いの?」
「ええ。疲れた上に眠すぎて、まだ着替えてもいないのにもう身体が動かせないわ……」
「ふーん……なら仕方ないし、私も同じだから寝よ!」
そうして落ち着いてきた頃、お姉様も私と同じように強烈な疲れと眠気に襲われてきた事によって、身体が動かせないと言ってきた。
私やお姉様の血で服やベッドシーツが汚れたままではあったけど、着替えてお風呂に入る気力も力もないため、このまま一緒に寝る事に決めた。
「お休みなさい、お姉様」
「ええ、お休み。フラン」
そうしてお休みの挨拶を交わした後、倒れるようにして私は眠りについた。
ここまで読んで頂き感謝です。