魔剣使いは極度の苦労人   作:詠海だよ

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…目が覚めて小説書こうと思ったらこのすばの小説が消えてました…



弾丸

「ッ……!?」

もしかしたら今までやった中で最速かもしれない程の速度で、獲得したスキルを確認する。

 

俺がたった今獲得した2つのスキル。

その中にこの状況を打破出来るものがあるなら!

 

トリケラ野郎の攻撃を避けながらスキル効果にざっと目を通す。

 

 

 

……いける!

こいつに勝つ道が、ようやく見えた!

 

 

「…いやぁ、ありがとうトリケラ野郎。お前のおかげで良いスキルが手に入ったよ……っていう訳で早速だけど―――」

 

笑みを浮かべ、再び剣を構える。

――さて、と。

 

 

 

 

 

 

「実験台になってもらおうか…!」

 


 

 

 

 

トリケラトプス擬きと相対する。

 

こいつには普通の攻撃が全くと言っていいほど効かない。

 

 

……と、勘違いしていた時期が俺にもありました。

 

普通に考えれば、そんなことはありえない。

いくらあの性悪(頭おかしい)運営連中でも、絶対に倒せない敵は用意しないはず。

そんなことしたらGMコールが殺到し、苦情も来るからな。

まぁつまり何が言いたいかと言うと、どこかに弱点があるということだ。

 

そこで、さっき習得したスキルの1つが役立つ。

 

「【心眼】…!」

 

スキル【心眼】。

相手のレベル、ステータス、武器……まぁこいつにはないけど。

そしてもう1つ―――そいつの弱点を見抜くことが出来る。

 

視界がサーモグラフィーカメラを覗いた時のような色に染まりだし、視界の全てがその色に塗り替えられた瞬間、ヤツのステータスが見えた。

 

 

 

 

地竜

Lv67

HP 998/1000

MP 300/300

 

【STR 350】

【VIT 8500】

【AGI 0】

【DEX 0】

【INT 500】

 

装備

 

なし

 

弱点

 

首・目

 

 

 

……うん。

 

 

こ れ は ひ ど い 。

 

 

なんだこのメイプルさんの上位互換…

 

ふざけるなッ!ふざけるなッ!バカヤロォォォォ!!

(某正義の味方感)

 

あと、これ以上ないほどに申し訳程度に削れてるHPはなんだ!

『2』しか削れてねぇじゃねえか!

あんの性悪(クソ)運営が…!

思わず俺も、中指を立てちゃうね☆

 

 

 

 

…んっんん。

咳払いをし、気分をリセット。

気を取り直していこう。

表示された弱点は首と目…か。

まずは目を潰す。

目を潰したら少しくらい隙が出来るはず。

そして、その隙の間に首を斬る!

 

「ふぅ……行くぞ!」

左右の剣のグリップを握り直し、トリケラ野郎に向けて真っ直ぐ走り出す!

「【永久氷塊】」

スキルで氷を創り、それを足場にして跳ぶ。

「グラァァァァァッ!!」

トリケラ野郎も俺の狙いを察したのか、角を振り上げ攻撃してくる。

それを空中で身をひねって回避。

そして弱点の1つである目を――!

 

「【太古の一撃(エンシェント・ストライク)】ッ!」

 

空中からの勢いを全て乗せて、貫いた!

 

「グガァァァァァァッッ!?」

驚くようなトリケラ野郎の叫びが響く。

だけど…まだまだ!

 

「【跳躍】!」

 

首の上に跳び、そのまま首を斬りつける!

「う…おおッ!」

 

「グギガァァァァァァッ!」

 

さっきの目に対する攻撃と合わせて、4割近く体力が削れた。

いける。

全力で首に攻撃しまくれば倒せる!

そう考え、スキルを首に叩きこもうとしたその瞬間――

 

 

 

 

俺は壁に叩きつけられていた。

 

 

…まぁ、そんなに上手く事は運ばない。

それを俺は、体に赤いオーラを纏わせた(・・・・・・・・・・・・)トリケラ野郎を見て実感した。

 

 

 

 


 

 

「ウオォォォォォガァァァァァッ!」

 

(明らかに知能が無くなったって感じ…狂化系のスキルか?)

 

このレインの予想は当たっている。

トリケラトプス擬きが発動したスキルは、【知能】のステータスを代償に【筋力】、【敏捷】を跳ね上げるというスキルだ。

 

「正直やりたくないけど…【心眼】」

 

 

地竜

Lv67

HP 628/1000

MP 300/300

 

【STR 350〈+700〉】

【VIT 8500】

【AGI 0】

【DEX 0】

【INT 500〈一500〉】

 

装備

 

なし

 

弱点

 

首・目

 

 

 

 

「おっふ」

STRがさっきの3倍になっている。

敏捷は元からゼロだったからか、そのままだ。

代わりにINTが0になっているが…

 

「あいつそもそも魔法使うのか…?」

そう。レインはこのモンスターが魔法を使ったところを見てすらいないのだ。

 

「…まぁいっか…

ってか、危なかった―…」

 

今さっきレインが受けた攻撃は、本来ならレインの体力を余裕で消し飛ばしていた。

では何故レインが生きているのかというと、とあるクエスト中にラッキーで手に入れた超レアアイテムのおかげである。

 

【守護人形】。

本来なら死亡するダメージを一度だけ無効にしてくれる優れものだ。

 

 

病気の子供に薬草を持ってくる簡単なクエストだが、ごく稀に、元気になった子供がお礼にこの人形をくれる。

 

…曰く、これを貰った人たちの心境はたった1つらしい。

 

 

 

 

(なんでそんな物持ってんだ…)

 

………らしい。

 

 

 

 

 

 

 

―――場面は戻り、トリケラトプス擬きと対峙するレイン。

 

狂化したモンスターを目の前に、思考を巡らせる。

 

「STR1000って…馬鹿なの?…で、でもまぁ」

一発くらい耐えられるかな、と言おうと(現実逃避しようと)した瞬間。

トリケラトプス擬きが角を振って攻撃してくる。

「おっ…と」

ステップで余裕を持って躱すが…

 

 

ズドガァァァァン!!

さっきまでレインが立っていた場所が物凄い音を放って陥没した。

 

 

(いや絶対無理だこれ――!?

まともに喰らったら俺の体力の150%ぐらい吹っ飛ばされるわ!)

 

正にその通りだ。

というか、レインのVITでこの攻撃を受けたら、ワンパンどころの話ではない。

体力ゲージが二本あっても耐えきれない。

 

つまり、

 

一撃でも攻撃を受けたら終わり。

 

だがそれでも。そんな状況でも、レインは諦めていなかった。

 

それどころか。

勝ち筋を見極めるように、トリケラトプス擬きを睥睨していた…!

 

 

 


 

 

 

 

「攻撃は受けられない…でも長時間攻撃を避け続けるなんて、俺には…」

不可能だ。

サリーさんじゃあるまいし…

「けど、スキルを使ったら硬直…」

そう。スキルには発動した後の硬直時間が存在する。

その隙に攻撃されたらもう終わり。

 

「…はぁ」

…やっぱり方法は1つしか残されていなかった。

無謀とも言える方法の、内容は―――

 

 

 

 

一撃で倒す(・・・・・)

 

隙が出来た瞬間に、さっき取得した強そうな攻撃スキルをブチ込む。

 

…これは、まぁ…賭けだ。

 

スキルが強くなかったら。

スキルが強かったけど、削りきれなかったら。

そもそもスキルを発動出来なかったら。

 

このパターンの場合、俺は即死ぬだろう。

だが、やるしかない。

 

これしか道は無いのだから―――!

 

 

「…やるぞ」

剣を構え直す。

 

 

そして―――

 

 

「…ゴー!」

自分自身に喝を入れ、走り出す!

 

 

その瞬間、トリケラ野郎が何かを吐き出す。

それを横ステップで回避するが、ドンドン吐き出してくる。

 

「……!」

それを俺が全て回避すると、痺れを切らしたのか。

前足を持ち上げて思い切り地面へと叩きつける!

 

「……!?」

次の瞬間、地面が地震のように揺れた!

 

まずい…足場が不安定になる…

不安定な足場じゃ回避なんて出来ない!

 

「…ふっ!」

そう判断した俺は、思い切り空中に跳んだ。

…しかし、空中で止まった瞬間に自分のミスに気付いた。

 

 

…空中で角避けられるわけねぇじゃん…

 

…トリケラ野郎が…ニヤリ、と笑った。

 

そんな事を考えている俺に向かって、角が向かってくる。

 

 

そして―――

 

 

 

 

 

「【永久氷塊】」

 

ガアァン!』

 

衝突した。

 

「グオォッ!?」

 

俺の創った氷に…ね。

 

まぁ…

油断大敵ってヤツかな?

 

避けられないとは言ったけど、スキルで受けられないとは言ってない…!

 

 

それよりも。

ようやく出来たぞ…!

 

 

隙が!

 

トリケラ野郎の振った角が俺の氷に刺さって抜けないようだ。

 

 

これがラストチャンス。

 

…最後だ!

 

「【跳躍】!」

 

1度着地し、今度は天井まで跳ぶ。

そして、天井を…蹴って!

首に―――!

 

「う…おおぉぉ――――ッ!!」

裂迫の雄叫びを上げ、二刀で突っ込む――――!

 

 

 

「【黎明(れいめい)弾丸(だんがん)】ッ!!」

 

 

 

…俺の剣と、ヤツの体は。

少しだけ、拮抗してから―――

 

 

俺の剣が、ヤツの首を貫いた。

 

 

 

 

 


 

 

 

 

『スキル【血ニ飢エシ竜(ブラッド・バーサーク)を獲得しました】』

 

その声で、目が覚めた。

 

「はっ…!」

…俺はどうやら、立ったまま気絶していたらしい。

 

ゲームかよ!…いや、ゲームだけど。

 

 

あぁ…いやいや、そんなことよりスキル…さっきのアレが使ってたやつかな?

 

 

血ニ飢エシ竜(ブラッド・バーサーク)

 

INTの数値が0になることを代償に、STR、AGIの数値を三倍にする。効果時間は3分。クールタイムは8時間。

尚、INTの数値が0だった場合、デメリット無しで使用出来る。

同様に、STR、AGIの数値が0だった場合、このスキルを使っても数値は0のままである。

 

 

…うわ強。

俺はINT上げてないからデメリット無しで使えるしな。

 

 

…え?

さっきのスキルはなんだって?

 

あぁ、【黎明ノ弾丸】か。

 

あれは俺が取得したスキル、【黎明】の中のスキルだ。

 

…どういうことか分からない人も居るかもしれないから分かりやすく。

 

【黎明】というスキルは、それ自体がステータスツリーみたいになっているんだ。

スキル保持者のステータスが規定値まで上がれば、次のスキルがアンロック!

 

…ってわけだ。

で、【黎明ノ弾丸】は俺がアンロックしたスキルの中で1番強いスキルだったから使ったってこと。

 

さて、説明もしたし…帰るか…ん?

 

野郎が死んだ場所に奇妙な色の卵が置いてある。

モンスターの卵…かな?

あとさっきのアイツの鱗。

まぁ、ありがたく貰うことにしよう。

 

さて、帰るか。

目を閉じ、ワープポイントに乗ると、ワープ特有の浮遊感が押し寄せ…

 

 

次に目を開いた時には元の場所に…ん?

 

「!?!?!?!?!?」

ん―――――?

 

知らない場所だなぁ…

 

う―――――ん。

 

すぅぅぅぅぅ。

はぁぁぁぁぁ。

…すうぅぅぅぅぅぅぅ…

 

 

 

「なんでさァァァァァァッ!?」

 

レイン、オウチ、カエル

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「へっ…くしゅん!」

 

「おいおいどうしたクロム、風邪か?」

 

「ここVR空間だぞ?」

 

「じゃあ誰かが噂してるとか!」

 

「なんでさ」

 

 

 

 

 

 

ちなみにレインはあの後、声を聞いてやって来たプレイヤー達に八つ当たりしたそうな。

 

 

 

 

 

 

 

 

…一方、その頃。

 

 

「う〜ん、レイン君遅いな…メイプル、見てない?」

 

「私は見てないなぁ…サリーも見てないかぁ…」

 

ピロン♪

 

メッセージの通知音だ。

 

「あっ、レイン君からだ」

 

「なになに?」

 

二人がメッセージを覗き込むと…

 

 

 

『迷いました☆』

 

 

 

 

「「……………」」

 

 

to be continued…!

 

 




他作品モリモリですみません。


声優ネタじゃい!

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