これは少しだけ時を遡っての現実世界。
ゲームを運営する者達が不具合が出ないようにそれぞれイベントを管理している部屋でのこと。
「ああぁあぁあああ!!【地竜】までやられた!」
一人の男が叫ぶ。
その声に部屋にいた全員が反応する。
「はぁ?またかよ!?あいつは無理だろ!プレイヤーが倒せるような設定じゃない!」
「ああ、とにかく防御力を上げまくった。弱点は設定したけどそこにダメージ入れるのも簡単じゃないし、メイプル対策に攻撃力をガン上げするスキルも付けた…まぁつまり、オレたちの悪意の塊だ」
「誰だ?誰にやられた?」
「今映像を出す……」
男が機械をいじると一つのモニターに映像が流れる。
とにかくデカい、地竜。
相対するは、水色の羽織の少年。
「レイン!?またメイプル一味か!なんなんだよこいつら害悪じゃねぇか!」
「嘘だろ!?攻撃力が足りないはずだ!」
ありえないありえないと、言葉が飛び交う中で戦闘が始まった。
そして5分後…
「え―…はい。まず、【永久氷塊】な。これはチート級」
「誰だ作ったやつ」
「ゴーレム担当したやつだろ」
「…お前ら、そっちもいいけどまずは【黎明】だろ…」
「…まさかこのスキル取れるやつがいたとはな…」
「おいお前、これの取得条件は?」
一瞬空気が静まる。
そして、意を決したように担当した男が…
「…自分の魔法を斬る」
………………。
「…バカじゃね?」
「バカだな」
「これもう取れるやつ居ないだろ」
「…あーもうめんどくせー!とりあえず【永久氷塊】は下方!以上!」
「えぇっ!?【黎明】はいいんすか!?」
「そんなこと言ったらペインの【聖剣】も下方するべきだろ」
たしかに。
と、その言葉に納得する男たち。
「それより、お前らどうするよ」
「何がだ?」
「このままこいつをメイプルたちと合流させていいのかって話」
……………。
「さて、仕事に戻るか」
「そういえば幻獣の卵も持ってかれたな…」
「何持ってかれたんだ?」
「タヌキ」
「あれも十分強いんだよなぁ…」
「おいお前ら!現実逃避すんな!」
「じゃあお前、どうするってんだよ!」
「…洞窟にあるワープポイントの行先をランダムにする」
「…マジかこいつ」
「…アンチみたいなことしてんな」
「なんとでも言え。合流されたら【海皇】までやられるかもしれないんだぞ!?」
「よしやれ」
「【海皇】まで倒されてたまるかよ!」
そしてワープポイントの行先を変えた男たちがモニターからレインを眺めると…
『なんでさァァァァァァッ!?』
と、叫ぶレインが居ましたとさ。
そして時は少し戻り。
イベント終了の時がきた。
フィールド全体にアナウンスが鳴り響き今から五分後に元のフィールドに転移することになる。
そんな中、レインは…
「………」
地面に大の字で転がっているが…
もはや喋る気力すら無くなっていた。
大声を出したため近づいてきたプレイヤー達の相手をずっとしていたからだ。
周りには、氷が呆れる程多くある。
途中から剣で倒すことすら面倒になり、スキル【永久氷塊】で閉じ込めて凍死させるという鬼畜外道戦法に走ったためだ。
「も…うや…だ…」
がくり。
チーン。
ついに力尽きて気絶した瞬間、レインにとってはかなり酷かった第二回イベントはついに幕を閉じた。
ようやく終わったぁぁぁ!