全てを失った僕が守るもの   作:かとやん

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この話からオールフォーワンをAFO。
ワンフォーオールをOFAとします。


”僕”とチャンス

燃え盛る商店街。

飛び交うヒーローの怒声と市民の悲鳴。

ヒーロー、市民、僕。すべての視線の中心には”ヘドロに包まれた少年”。

勝気な鋭い目に、尖った髪型。

彼の両手から溢れる爆発は僕の脳裏を狂おしいほどに焦がしていく。

 

「な、んで……」

 

乾いた喉がへばりつき、うまく息ができない。

胸を握りしめれば、煤切れた緑のパーカーがギリギリと引き千切れていく。

 

なぜ彼がいる?

なぜこの街がある?

ここはどこだ?

 

なんであの事件が目の前で起きてるんだよッ!

 

「おいバカ止まれぇッ!!」

 

「ッ!!」

 

彼が飛び出したのは、そんな時だった。

 

「——————ぁぁ」

 

飛び出した青年は、緑の髪にそばかす交じりの頬。地味目の彼は、見間違いようもなく、中学時代の僕だった。

よれた制服に大きすぎるバックを背負った僕は、野次馬と化している市民を押し退け、ヒーローの抑止を掻い潜り、ただ我武者羅にヴィランへと向かっていく。

 

近づく”僕”を追い払おうと腕を大きく振るヴィランに対して、カバンの中身で牽制する”僕”。

偶然怯んだヴィランの懐へ飛びつく”僕”。

目尻に涙を貯め、恐怖に顔が引きつって尚、ヴィランに捕まっているかっちゃんを助けようとする”僕”の姿に、僕はあの時の事を思い出していた。

 

あの日、あの時、僕は——————————

 

「デク⁉ てめぇなんで!?」

 

「なんでって、分からないけど!! けど、」

 

ただ

 

「君が、助けを求める顔してたッ」

 

 

 

 

 

あぁ————————あの日のオールマイトもこんな気持ちだったのかな。

 

 

 

鼻水と涙を垂らしながら、恐怖に足を震わせる青年は、僕の目には眩い程美しく見えた。

 

僕は奥歯を噛み締めるとフードを深くまで被りビルの縁から前へ。脚に力を集約させ人蹴りに彼らの元へと跳躍する。

音を置き去りに砲弾の如く飛ぶ僕は、あえて大げさに着地し粉塵を巻き上げ、身体を反転、

 

「48%、デトロイト・スマッシュ」

 

オールマイトとヴィランとの間に割り込むようにして、かっちゃんを包んでいるヴィランを弾き飛ばした!

 

「ッ⁉ 君は」

 

「オールマイト、彼をよろしくお願いします」

 

驚愕に目を見開くオールマイトに僕は流れるようにかっちゃんを手渡し、砂埃が晴れる前にその場を去った。

 

 

 

 

 

 

数キロ程離れた地点にあった公園へと降り立ち、背後を確認する。

オールマイトの事だから活動限界の事もあるし、すぐには僕を追ってこないはず。

 

僕は近くのベンチに腰掛けると大きく息を吐いて脱力した。

 

「……ほんとうに、ここは何処なんだろ」

 

消滅したはずの街に、僕の記憶と同じ事件。それに僕自身までいるなんて。

夢で片付けるには余りにも生々しすぎる。

 

なら、個性しかない。でも、誰の?

 

「仮に個性だとして、僕の記憶の中にそういった個性はなかった」

 

エリちゃんの『巻き戻す』個性が進化した? それにしてはそんな素振りは見せてなかったし時を戻すなんて……

 

「……でも、もし。もしも本当に過去に飛んだのだとしたら」

 

まだ不確定要素の方が多い。時間制限があって未来に戻されるのかもしれない。

でも、これはチャンスかもしれない。

 

「未来を、変えられるかもしれないっ」

 

皆を、助けられるかもしれない。

悲惨な未来を変えられるかもしれない。

 

確証はない。僕一人でできるとも思えない。

 

「でも、やらない言い訳にはならない」

 

無意識に握っていた拳を見つめていた。

あの時はつかめなかった手も、今なら届くかもしれない。

 

そうと決まればまずやることは一つ。

 

協力者を得ること。

 

とはいっても話せる相手は限られてくる。

まず第一にOFAとAFOのことを知っている人であること。

次にヒーローであること。ヒーローであるのとないのとではできることが違いすぎる。

それを加味した上でだけど、まぁあの人しかいないかな。

 

僕はベンチから立ち上がって空を見る。

時刻は夕方に差し掛かったところで傾いた太陽がビルの向こう側に消えようとしていた。

 

「急げば日没前には着くかな」

 

僕はフルカウルを発動——しようとしたところではたと気がつく。

 

「この時代じゃ僕ヒーロー登録されてない」

 

なんならお金もない。

ヒーローとして稼いできたお金はすべて口座の中。当然その口座なんかあるわけないしクレジットも使えない。

 

「い、一文無し・・・・・・」

 

未来を変えると決意してわずか数分。

僕は絶望的な現実に襲われた。

 

 

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