広瀬康穂が四部で頑張る話 作:ジョジョラー
第11話、ようやく直し終わりました。
このあとも更新ペースは落ちると思いますが、見に来てくださると嬉しいです。
7月にジョジョ関連でなにか発表があるみたいなんですが、6部アニメ化だったら熱いですよね〜
期待しすぎると違った時に受けるショックも大きいので、あまり期待せずに待っておこう・・・とはいいつつも、期待せずにはいられません。
・・・徐倫の声は沢城さんでお願いいたします。
「康一、お前見えてんだな? この戦車やヘリや兵隊どもが!」
「う、うん。なんだか訳が分からないけど、ハッキリ見えてるよ……」
康穂も仗助もこれには驚いた……どうやらら矢に選ばれずスタンドを身につけられずに死んでいくはずだった康一は仗助に治療して貰ったおかげで生き延び、更にはスタンド能力まで身につけたようだ。
それが幸福なのか不幸なのかはさておき、康穂にとって康一が自分と同じスタンド使いになってくれたのは嬉しいことだ。双子の兄と共通したものを持っているというのは安心できる。
「ほう!
「……! てめぇ!」
声のした方を見ると、億泰の兄が壁にもたれ掛かりながら、余裕そうにこちらを伺っている。仗助はすかさず近くの飛び出していた釘を抜いてクレイジーダイヤモンドで飛ばしたが、兵隊たちが射撃で軌道を曲げたので届くことはなかった。兵隊はキチッと隊列を組んでおり、男の周りの守りを完璧に固めている。これでは男に近付けもしないし、先程のように何かを飛ばしても直ぐに撃ち落とされるだろう。
「フフ……お前の攻撃はこのおれの極悪中隊によってこちらに届くことはない……ほ〜〜〜ら、我が軍隊の美しい幾何学模様が出来ているだろう〜〜?」
「キチョーメンな野郎っスねェ〜」
「ふふ、まあ、そんなことはどうでもいい……おれが出てきたのは小僧! お前を見るためだ!」
男は康一を指さして言った。
本人も驚いているようだが、どうやらこの男は予想を超えてスタンドの素質があった康一の能力に興味があるようだ。
「もしかするとおれが探し求めている能力かもしれんからなぁ〜、もしその能力なら生かしておいてやるッ!」
「さ、探している能力って……?」
「お前は黙っていろ、広瀬康穂! お前の能力は使えねえんだから、お前と仗助を殺すことは変わらない……少し長く生き延びていることに感謝しろ!」
「……ご、ごめんなさい」
「おい、謝ることねーぜ……」
康穂が質問したことが癇に障ったらしく、怒鳴られてしまい体を縮こませる。覚悟を決めてこの場に来た訳だが、自分をすぐにでも殺せる相手を怒らせるのは得策ではない。
男は康一に早くスタンドを出せと急かすが、康一はスタンド使いになってからまだ数分しか経っていないのでどうやったらスタンドを出せるのかなど分からない。そして痺れを切らした男は、仗助にスタンドの出し方を教えるように命令した。
「おめーを懲らしめてやれるスタンドだったらいいよなぁ〜……」
仗助は言われたとおり、康一の耳元でスタンドの出し方を説明した。
「いいか、簡単だぜ康一。自分の身を守ろうとするか、あいつに対して懲らしめてやるって気持ちになりゃあいいんだよ。そうすりゃあとは本能だぜ! お前独自のスタンドが出るはずだ」
「そ、そんなぁ〜そんなこと急に言われたって訳がわかんないよ──ッ」
「康ちゃん、落ち着いて……」
仗助は康一にできるだけ分かりやすく説明してくれたが、まだ混乱状態にある康一には難しいことだ。懲らしめてやるという気持ちより、恐怖心の方が勝っている。
「分からんだと……? じゃあ、きっかけを与えてやるよ!」
──男が叫ぶと、急に康一の頬から血が吹き出した。
康一は痛みで悲鳴をあげ、康穂の方に倒れ込んで来た。気づかないうちに兵隊の1人が康一の肩によじ登っていたらしい。
「ひ、ヒィぃぃぃぃぃぃぃぃッ!」
康一が叫ぶと、急に康一の体から大きな卵のような物が飛び出した!
卵はそのまま床に落ちてしばらく転がった後、動かなくなった。突然飛び出した卵を包囲するように兵隊が銃を向けて警戒しているが、特になにも起こらない。
「おい、康一……動かしてみろよ! いったいどんな能力なんだ……?」
「能力って……動かないよ! これで終わりだよ……期待してもらって悪いんだけど」
「えぇっ! これで終わり?? 何かないの……?」
康穂も人のことを言える立場ではないが、こんなにハッキリと姿が見えたのに何も無いなんてことは無いはずだ。……たぶん。
「もういいッ知りたいことはこれで十分! 全隊戦闘態勢ッ! 」
男の合図で、兵隊たちは引き金に指をかけ一斉に銃口をこちらに向ける。
「攻撃開始ィ────!!」
銃弾の嵐から康穂と康一を逃がすため、仗助が卵を蹴り飛ばし、康穂の腰を掴んで卵と同じ方へ投げた。
自身はクレイジーダイヤモンドで辛うじて致命傷は免れたようだが、そこら中から出血した痛々しい姿の仗助を見て、康穂は胸が痛んだ。役に立とうと思ったのに、今のところただのお荷物でしかない……
「や、康穂……」
なにかしなければと心の中でぐるぐると考えていると、隣の康一が話しかけてきた。
「あいつ、背中を見せて隙だらけだ……ぼく、もう一度スタンドの卵を出して、体当たりするようにぶつけてみるよ!」
康一は恐怖心からかブルブル震えているが、それでも勇気を出してあの男に立ち向かおうとしているのだ。そんな兄の勇敢な姿を見せられて、康穂の胸にも少しだが闘志の炎が宿る。
「わ、私も行くわ……ッスタンドは出せないから、何とか自分の体で……」
「おい」
男が急に振り返ったので、康穂の覚悟はグラッと大きく傾いてしまった。
自分を簡単に殺せる相手が、こちらに注意を向けたのだ。こちらを意識していないという唯一のアドバンテージは消えた。情けないが、2人して床にへたり込む。
「小僧、お前の能力は使えるからな……今のうちに妹との最後の時間を過ごしておくんだな……」
☆
「お前の負けだァ────! 東方仗助! 全隊射撃用意──! 」
仗助は、自分の周りを取り囲む兵隊、ヘリや戦車を冷静に見つめていた。
そして撃たれて出血している腕と足を引きずり、あぐらを組んで床に座り直した。敵は仗助が諦めて命乞いをしようとしていると勘違いしているようだが、そうでは無い。
「ふん……撃てェぇぇぇぇ──────!! 」
「「仗助くん!」」
数多の銃弾が仗助に向かって迫ってくるが、仗助は微動だにせず静かに告げた。
「おれの作戦はよ〜、
「あっ! あれはッ」
康穂と康一の位置からも、仗助に発射して撃ち落とされたはずのミサイルが数個男に迫っているのが見えた。
「そ、そうかッ、仗助くんの能力で直したからミサイルが元の場所に戻って……」
ドグォォオァオ────ン!!
──ミサイルは、男の顔面に直撃して爆発した。
「フー……かなり、グレートに危ないヤツだったぜ。しかし忘れたのかい? おれのクレイジーダイヤモンドは破壊したものを治せるっつーのを……忘れっぽいならメモっときなよ、几帳面によォ〜〜」
☆
「おあぁぁぁぁァァァあ……」
肉の芽が暴走し、緑色でボコボコとした体になってしまった虹村兄弟の父親が家族の写真を見て涙を流しながら泣き叫ぶ声だけが、このボロボロの屋敷に響いていた。
記憶をなくしずっと意味の無い行為を続けているだけかと思われた男は、ずっと家族の写真を求めていたのだ。今は息子達のことが分からなくても、たしかに彼の心の底には思い出が残っていた。
「……父親を殺すんじゃなくて、
康穂が見る限り、仗助の言葉に形兆は少し動揺したように見えた。彼も億泰と同じように、仗助の器の大きさに心を動かされているのだろう。先程まで自分を殺そうとしていたというのに手伝うとまで言ってのける東方仗助の優しさは、敵であろうと惹き付けられる不思議な力を持っていた。
「だからさ、その弓と矢はブチ折るからよ……こっちに渡せよ」
康穂と康一は、この状況を固唾を飲んで見守っていた。
もしかしたら──このまま平和的に協力関係を結び、事件が解決するかもしれない。形兆は動かないが、表情には確かな迷いを感じ取ることが出来た。さらにその会話にずっと口を閉ざしていた億泰も加わり、形兆を説得にかかる。今までは兄の言うことを守っていた彼だったが、今は自分の意思で兄に異議を申し立てているのだ。
「兄貴、もう辞めようぜ……もしかしたら、親父を治せるかもしれねえしよ……」
「何掴んでんだよ億泰! おれはもう後戻りできねぇんだよ……スタンド能力があるやつを見つけるために、もう何人も殺しちまってるんだからなぁ〜ッ」
(やっぱりダメなのかしら……)
このまま形兆を説得出来ればそれが1番いい解決法のだが、彼は既にそう簡単には引き下がれない領域にまで足を突っ込んでしまっていたようだ。諦めて別の方法を探すしかないのか──
「……ッ!!?」
兄弟のやり取りを緊張した面持ちで眺めながらこれからのことに考えを張り巡らせていた矢先のことだった。
視界の端に、何かピンク色のものが映ったのだ──それは人間の腕の形をしており、どういう訳か康穂の腕から分離しているように見える。地図のような模様のピンク色の腕が、確かに康穂の体から出ているのだ。そしてその腕はひとりでに動き、人差し指で真上を指さした。
「ねえ! 上に誰かいるわッ!!」
康穂は異常を知らせるため、声を張り上げた。
人差し指の示す先には光が差し込む天窓があり、逆光で顔はよく見えなかったが、確かにそこから誰かが覗いているのが見えたのだ。
気づいてすぐに声をあげたのだが康穂以外の3人は突然のことに頭が追いつかなかったようで、反応が遅れた。……ほんの1、2秒の遅れだったが、その差は戦いの場では命に関わることになる。
バチバチバチバチバチバチ……ッ
「……!! コンセントから何か出てくるッ」
康穂の両目は、コンセントから溢れた電流が何かの形を作っていく様子をしっかりと映していた。それは仗助と康一、形兆も同じようで、突然の出来事に誰もが地面に足を縫い付けられたかのように動けなかった。
──そして、それに唯一気がついていないのは億泰だけだった。
「億泰くん、危ないッ!! 後ろに何かいるわ! 逃げてッ」
億泰は康穂の声にようやく気づいたようだが、もう遅かった。電流を帯びた何かは、既に億泰を掴む寸前だ。そして億泰の周りに、彼を助けることのできる距離の人間はいなかった。
(間に合わない──)
絶望仕掛けたその時、何か緑色のものが億泰と敵との間に飛び込んだのだ!
「ギャァアアァアァァァッ」
「お、親父──ッ!!」
飛び込んでいった何かは、虹村兄弟の父親だった。鎖で繋がれていたはずなのに、それを引きちぎって息子の為に身を投げ出したのだ。
敵は無慈悲に緑色の身体を拳で貫き、さらに素早い動きで混乱の中地面に落ちていた弓と矢を拾った。
「ちっ、仕留め損なったか……虹村形兆! あんたがスタンド使いにしたこのおれのレッド・ホット・チリ・ペッパー、こんなに成長するとは思わなかっただろう? せいぜい利用させて貰うぜ〜〜〜ッ」
そう言い残すと、スタンドは弓と矢、それから虹村兄弟の父親を掴んだまま、止めるまもなくコンセントの中に引っ込んでいく。コンセント付近は何も無かったかのような状態だが、肉の焼けた匂いだけが確かに残っていた。
「な、なんなんだよ今のはッ!」
「親父が連れていかれちまったッ! 弓と矢もだ! 兄貴、今のやつ心当たりねーのかよ!!?」
「……あいつは確かにおれに矢で射抜かれたと言ったが、おれはあいつを知らん……生き残った中にあんな能力のやつはいなかった! 死んだと思っていたやつが実は生き残っていたのかもしれん……」
「とにかく、後を追っかけねえとマズいっスよ! 康穂、この窓の外にいたんだったな!」
仗助は康穂が指さした天窓に周りの家具を使って上手く飛び移り、窓を割って外に出ていった。億泰と形兆もすぐに後を追っていったが、康穂と康一は背が低いので同じようにはいかない。慌ててその辺の箱を引っ張ってきて、ようやく外に出ることが出来た。
「……!」
「こんな……むごいことを……」
──外に出てから初めて目にしたものは、電線に引っかかった緑色の焦げた肉片だった。
それは、自分の欲望のためにあんなに無惨に人を殺すことができる人物が、新たな敵として立ち塞がったという絶望的な事実を突きつけられたのだということを意味する。そして彼らの父親が、もう二度と……人間の姿には戻れないということも。
「なあ、兄貴……親父はよ、おれ達のこと殴ったりしたけどよ、おれ達のこと忘れちまってたけどよ……でも最後にッ! 最後におれ達の親父はよ〜、おれ達のことかばってくれたよなぁ〜!?」
「…………ああ。おれ達の親父は、確かにおれ達をかばった」
涙を流す億泰に、しばらく間を開けて形兆が答えた。
康穂の位置からは彼の表情を見ることが出来なかったが、その声は確かに震えていた。
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