広瀬康穂が四部で頑張る話 作:ジョジョラー
康穂ちゃん全然喋らん!!
でも、この場面は康一くんも全然喋らないので、これでいい・・・はず
本来ならば、私たちの役目はここまでで終わりだった……この空条承太郎という人に道を聞かれて教えただけなのだから……
しかし、私たちは2人から目が離せなかった。あとあとまでこの2人に関わり合うことになるのだ……
なぜなら──この町の恐怖を背負う2人なのだから……
依然、男と東方仗助の睨み合いは続いている。
いつの間にか4人の周りには人影はなく、巨体の男ふたりが睨み合う中、体も気も弱そうな双子が2人を交互に見比べ冷や汗をかいているという奇妙な状況が出来上がっていた。
── バシャッ
「おおあっ! びっくりしたァ──!」
突然の出来事に、康穂も康一も、目を丸くした。張り詰めた空気はどこかへ消えていき、なんだか気が抜けた。先程まで鋭い視線をこちらに向けていた東方が、後ろの噴水から元気に出てきたカメが立てた水音にびっくりして叫んだのだった。見た目に反して意外とビビリな男である。とても髪型のことを悪く言われてキレて、不良をボコボコにした人物と同一人物だとは思えない。
「なんだ……また池の亀か……」
まだ心臓がドキドキしているようで、胸を押さえてのっそりと動くカメを見て呟いた。
「東方仗助、1983年生まれ。母の名は朋子。母親はその時21さい、東京の大学へ通っていた」
突然、男が東方仗助のプロフィールを喋り始めた。なぜそんなことまで知っているのか……康穂はこの目の前のガタイのいい男が、急に不審者のように思えてきた。
「生まれた時よりこの町に住んでいる……。1987年、つまり4さいの時、原因不明の発熱により50日間生死の境をさまよった経験あり。父親の名前は──……」
男は被っている帽子のつばをもち、深く被り直して重苦しいため息をひとつついた。
「ジョセフ・ジョースター」
男がそう言うと、東方は少し目を見開いた。
先程のように鋭い視線では無くなったが、伺うように男をじっと見ている。
「ジョセフ・ジョースターは79さい、まだ元気だが遺産を分配する時のために調査をしたら、なんと君という息子が日本にいることがわかった。じじい自身も知らなかったことだ……。あのクソジジイ……てめーが65さいの時浮気してできた息子をここに今……見つけたぜ。おっと、口が悪かったな……。俺の名は空条承太郎。奇妙だが、血縁上はお前の甥ってやつになるのかな」
「甥……? はあ……どうも」
(え〜と……、何だか、この話通りすがりの私たちが聞いちゃっても大丈夫なのかな……)
浮気だとか、隠し子だとか、あまり人様の深い事情をきくのははばかられる。気まずくなって康一の方を見ると、彼もこちらを見ており表情から同じことを考えているのだと一目で分かった。
(でも、今このタイミングでこの場を離れるっていうのもおかしいし……。もう〜〜、なんでこんなことに巻き込まれちゃったの……)
「……というわけで、君にはいずれじじいの財産の3分の1が行くことになるな。そのことをおれが代わりに伝えに来た。じじいの浮気ってやつがバレてジョースター家は大騒ぎさ……」
「えっ!」
東方仗助が驚いたように声を上げた。承太郎は少し口角を上げて東方に告げる。
「大騒ぎ……なんですか?」
「ああ……おばあちゃんのスージーQが結婚45年目にして怒りの頂点ってやつだぜ」
「すっ……」
(す……?)
「すみませんです──ッ、おれのせいでお騒がせしてッ!」
いきなり東方が大声で謝り頭を下げたものだから、驚かされた康穂は再び片割れと顔を見合わせることになった。今の会話の中で、東方仗助が謝るべきところはひとつもない。
「おい……、ちょっと待ちな。何をいきなり謝るんだ?」
承太郎も双子と同じく東方の言動に驚かされたようで、初めて彼が困惑している姿を見ることとなった。
「いえ……えと……、やっぱり家族がトラブル起こすのはまずいですよ。俺の母は真剣に恋しておれを産んだと言っています。おれもそれで納得しています。おれたちに気を使わなくていいって父さんですか……えーっと、ジョースターさんにいってください。以上です」
康穂は自分なりの言葉で説明する仗助の姿をじっと見つめた。言葉遣いも礼儀正しいし、何より誠実な態度できちんと頭を下げて謝っている。
(なんだか、見た目は不良っぽいけどなんというか……人間がよくできた人なのかも……)
康穂の中でこの目の前の東方仗助という男の見方が変わった。
「あっ、仗助くんだわ♥」
「仗助くーんっ!」
(な、何……?)
康穂が勝手に仗助のことを見直していると、彼の後ろから4人の女の子が仗助に手を振りながら小走りで近づいてきた。
「仗助くん、一緒に帰ろ〜!」
「元気ぃ〜??」
「今日も髪型カッコイイわよーっ! ♥」
一瞬にして女性の人口が増え、黄色い声が誰も喋らない空間で響き渡る。
(すごく人気者なのね……)
今までは彼に対する恐怖心の方が勝っていて気が付かなかったが、よく見ると整った顔立ちをしている。女の子たちが夢中になるのも分かるというところだ。中学生の頃もさぞ人気があったことだろう。
「おい……仗助。こいつらおっぱらえよ。くだらねー髪の毛の話なんてあとでしな」
承太郎は仗助の周りにいる女の子たちを指さして言い放った。話の腰をおられたので、少しイラついている様だ。
「はっ!」
最初は承太郎に邪険にされたことに不満を言っていた女の子たちが、急に黙った。
「こ、こいつ……。い、今ヤバいことを……」
一人の女の子が呟く。
「てめー……おれの髪がどーしたとコラッ!! 」
仗助の空気がガラッと変わった。先程まで無害で穏やかそうな雰囲気だったのに、今では承太郎を睨みつけ、殺してやると言わんばかりの殺気を放っている。
「ヤバいよ……あいつ……」
「仗助は髪型をバカにされんのが1番嫌いなんだからねーッ!」
「やれーっ!」
「ツッ、ツッパリをやった時と同じだ!」
康一が焦った声を出した。
「こっ、康ちゃん……どうしよう、なんだか大変なことに……」
康穂は康一の腕を引く。
「康穂……、大丈夫だよ。怖かったら、ぼ、ぼくの後ろに隠れてて……」
康一だって怖いハズなのに、康穂を庇おうとしてくれている。やはり気が弱いとは言っても、康穂の兄であり、1人の男なのだ。
「おい、待ちな仗助、何もてめーをけなした訳じゃあ……」
「危ないッ!! 」
康穂は思わず叫んだ。先程の不良の顔を殴った強靭な筋肉を持つピンク色の腕が承太郎に迫るのが見えたのだ。
しかし──バシィッという鋭い音と共に殴られたのは仗助の方だった。
「康穂……? いきなり叫んでどうしたの?? よく今のパンチが見えたね。空条さん、ボクシングでもやってたのかな……? 仗助くんが殴られたようだけど、ぼく、全然見えなかった」
康一に囁かれ、康穂は恐怖心に襲われた。
(やっぱり、私にしか見えてない……!! 私、おかしくなっちゃったの??)
「どららあああ〜〜〜っ!!」
見えてはいけないものが見えてしまったのではないか、と不安になっていた康穂だったが仗助の叫び声が聞こえハッとして2人の方を見ると、ちょうど仗助の背後から飛び出したピンク色の人間のようなものが承太郎にものすごい速さの拳を叩き込もうとしているところだった。すると今度は承太郎の方から青い人間のようなものが現れ、パンチをガードする構えをとった。
しかし、ピンク色の方が腕のガードをはじき飛ばした!!
「なにッ! こ……このパワーは……ッ! スタープラチナのうでのガードを弾き飛ばすほどかッ」
「ケッ! ボディからアゴにかけてががら空きになったぜェ──ッ!」
青の方の無防備になったボディに、ピンク色の拳が迫る──
どららあああ──ッ!!
「きゃあっ!!」
康穂は手で顔を覆ってしゃがみ込んだ。
──「あ……い、いつの間に背後に……。見えなかった……」
待っていた衝撃音は聞こえてこず、康一の呟く声がきこえ、恐る恐る顔を上げる。いつの間にか承太郎は仗助の後ろに立っており、彼の帽子は無残にも切り裂かれたようになっていた。
(えっ……?)
しかし、何故か承太郎の帽子は段々と直っていき元の形とは程遠い、奇妙な形になっていた。訳が分からないうちに訳が分からないことが起きるので、康穂の頭の中はもうパニックだ。
バガァ!!
今度は承太郎が、自身の拳で仗助の顔に強烈な一撃を叩き込む。人間の顔からはしてはいけない音がして、周りの女の子たちは仗助が殴られたことに騒ぎ立てた。
「やかましいッ! おれは女が騒ぐとムカつくんだッ」
自分に言われた訳ではないのに、反射的に体が痙攣した。女の子たちも承太郎の迫力に押されたのか、急に大人しくなる。
「ほれ、仗助。お前に会いに来たのは2つ理由がある……1つはお前がジョースターの人間だということ。そしてもうひとつは……」
承太郎は懐から取り出した1枚の写真を仗助の顔の前に持ってくる。仗助の目の前に差し出された写真にはなにか奇妙な顔のようなものが写っている。
「この写真だ……じじいの
──この町にはなにかがひそんでいる。何か……ヤバい危機がおめーの周りに迫ってるぜ」
番外編ですが、あと2、3話は続きそうです。アンジェロに飽きて書き始めたのですが、原作の中でも最後の方の出来事なのでかなり先の出来事になります。本編(原作沿い)をキチンと進めるのと番外編(オリジナル)を先に終わらせてしまうのどちらがいいと思いますか?ご協力お願いします。
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本編(原作沿い)
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番外編(オリジナル)