広瀬康穂が四部で頑張る話   作:ジョジョラー

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仗助とちょっと打ち解けます。そして、今までで1番口数が多い康穂ちゃん。ヒロインなのに空気すぎて心配・・・









東方仗助! アンジェロに会う その③

 

 

 

 

 

 ──葬式も終わって、クローゼットの中には警官の制服が掛かっている。その奥には、初老の男が<これがワシの趣味さッ! 悪いか>というようなくつや靴下やシャツやズボンがキチッと畳まれて収納されている。

 

 ……しかし、いずれどこかへ処分されてしまうだろう。この人の娘が思い出があるから捨てたくないと思いながらも、誰ももうこれらを着ないのだから……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「カンか瓶詰めの飲料水と食べ物以外は、やばいから口にするな。……アンジェロをぶっ倒すまでな」

 

 

 承太郎はペットボトルのミネラルウォーターの蓋を開け、人数分をコップに注ぎ同じテーブルを囲む康穂と仗助に配った。

 仗助の祖父、東方良平がアンジェロに殺されて葬式を済ませ、2日間の間康穂は仗助、承太郎と共に仗助の家に閉じこもっていた。仗助の母朋子はしばらくの間別の場所に避難させられており、スタンド使い3人はこの家に残ってアンジェロを倒すまで籠城することになったのだ。アンジェロは執念深く、康穂たち3人を殺すまで決して諦めないだろう。

 康穂も最初は常にビクビクしていたが、あまりにも何も起きないので学校や家にどう言い訳わしようかと考えていた。承太郎がスピードワゴン財団の力を駆使して何とかしてくれるとのことだったが、康穂本人への追求からは逃れられないだろう。そもそも、なぜ自分が朋子と同じく避難させられるのではなくアンジェロを倒すためのメンバーに選ばれたのか疑問だった。承太郎いわく、ピンチな場面でこそ眠っているスタンド能力が目覚めることが多いのだということらしいが、そもそも生きるか死ぬかと言う場面に晒された場合非力な自分は圧倒的に死ぬ確率のほうが高いので、あまり期待しないでいただきたい。

 康穂がぼーっとそんなことを考えていると、隣に座っていた仗助から髪が逆立つ程の殺気を感じ、ハッとする。まさに、怒髪天を衝くといった様子だ。

 

「……別にキレちゃあいませんよ、チコッと頭に血がのぼっただけです……冷静ですよ、全然ね」

「……冷静、ね。ま、おめーん家の家具だからおめーが何に当たり散らそうがおれの知ったこっちゃあねーがな」

 

 辺りには仗助の抑えきれぬ怒りの生贄になった家具たちが無惨な姿で転がっている。祖父を殺されて辛いだろうに、悲しむ暇もなく未だ姿をみせない仇と戦わなければならない。しかも丸々2日も膠着状態が続き、フラストレーションが溜まるのは当然の事だった。

 

「ところで、お前のその唇の傷は……先日、おれが殴った時のキズだな」

 

 承太郎が仗助の顔を指さしながら言う。承太郎が顔にお見舞したあのパンチはかなり強烈なものだったので仗助の唇はぱっくり割れてしまい、数日たった今でも傷が残っている。

 

「お前のスタンドは、自分のケガは治せないのか?」

 

 確かにその通りだ。仗助の能力は壊れたものを直したり傷ついた生き物を治すことができるのだから、自分の傷がそのままだということは、そういうわけなんだろう。

 

「自分のスタンドで自分のキズは治せない。もしやつがお前の体に侵入しちまって体内から食い破られたらどうする?」

「……死ぬでしょうね。侵入されたらおれの負けです」

 

 部屋に重苦しい沈黙が流れる。もし康穂か承太郎がケガをした時仗助が近くにいたら助かるが、仗助本人は体内に入られた瞬間に終わり。状況は仗助が圧倒的に不利だ。

 

「スタンドを捕まえるしかやつを倒す道はねえようだな。水のような体で殴っても無駄、本体はどこか分からねえやつとなると捕まえるしか方法はない。……1度逃げられたことでかなりやばい状況になっているがな」

 

 康穂は自分の肩を抱きしめる。初めて人が死ぬのを目の前で見た。この体験はかなりのトラウマになっており、またすぐ近くで人が死ぬかもしれない、又は自分が死ぬかもしれない。あんな経験をするのはもうコリゴリだった。

 

 

 ──そんな康穂を仗助は横目で見ており、巻き込んだことを深く後悔していた。どう考えても戦えるようには見えないし、承太郎が言うようにピンチになったらスタンド能力が覚醒するどころか気絶してしまいそうなくらい弱々しく見える。

 

(どうすっかな……)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ──片桐安十郎ことアンジェロは、双眼鏡で仗助の家の様子を覗きながら食事を取っている真っ最中だった。

 

(空き瓶がいっぱいあるなぁ……俺のスタンドを再びビンの中に閉じ込めようってのかよ……仗助、おめーの能力をよ〜く知ったからにはもうおれを閉じ込めるなんてことは2度とさせねーぜッ! ……必ずてめーの口の中に入ってやる……明日か明後日かあるいは一週間後か……のんびりとチャンスが来るのを待ってやるぜぇ〜〜ッ! 今親戚の家に泊まっている美人の母親を楽しむのはその後だ……ククククク……)

 

 アンジェロはニタニタとゲスな笑みを浮かべ、時が来るのを焦ることなく待っていた。()()が来たら自分の勝ちだ。心の中で勝利を確信し、再びハンバーガーにかじりつくのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

<3日後>

 

 

 

 あれからまた3日も膠着状態が続いている。仗助が当たり散らせるような家具ももう無くなって、不機嫌に頬杖をついて貧乏揺すりをしている仗助になにか話しかけようと努力はした康穂だったが、いざ口を開こうとすると彼の不機嫌な様子に萎縮してしまうのだった。

 

「あのさ……」

「はっ、はい!」

 

 康穂は急に仗助の方から話しかけてきたので驚いて飛び上がった。

 

「お前さ、やっぱり今からでも帰った方がいいんじゃあねーか?」

「えっ?」

 

 意外な発言に目を丸くする康穂に構うことなく、仗助は続ける。

 

「いやよ、元はと言えばお前はただ居合わせちまっただけだし、ヤツの1番の狙いはおれだ。それに承太郎さんはああいってたが、ピンチになったところでおめーがスタンド能力を覚醒させるかどーかなんてわかんねーだろ?」

 

 少し不器用だが仗助の優しさが伝わり、康穂は思わず笑顔になった。今度は仗助の方が驚かされる。

 

「わたし、確かに最初は怖くて仕方なかった……ていうか、今も怖いけど。それでも、ここで過ごすうちに自分もなにか役に立てたらって思ったの。足手まといになっちゃうかもしれないけど、自分の力が役に立つのなら、役に立ちたい。それにあいつを放っておいたら町のみんな、家族や友達が危険に晒されるかもしれない。だから、その、お手伝い出来たらって思ってるん……です、けど……」

 

 康穂は自分がまくし立てている間に仗助が何も喋らないので不安になり、声が尻すぼみに小さくなっていった。

 

(お前なんていない方がいいって思われたかも……)

 

 少し視線を上げて仗助の方をうかがうと、予想に反して彼は少し口元に笑みをうかべていた。

 

「そうかよ……。ま、いざとなったらおめーを差し出して逃げるかな」

「ちょ、ちょっと! 笑えないよッ」

 

 少しだが仗助と打ち解けた気がして、康穂はこんな状況にも関わらず嬉しい気持ちになった。

 ──しかし、楽しい時間はそう長くは続かない。

 

「いたっ」

 

 急に何かに髪の毛を引っ張られ後ろを振り返るが、誰もいない。

 

「大丈夫か?」

「うん、平気」

「…………待て、なにか聞こえねーか……?」

 

 先程までは仗助と会話に華を咲かせていて気が付かなかったが、なにやらキッチンの方から物音がする。承太郎はさっき家の周りを調べに行ったばかりなので、彼の仕業では無い。

 

「……様子を見に行った方が良さそうだな。俺の傍から離れるなよ」

「うん……」

 

 緊張が走る。そろりそろりと仗助の後ろに続いてキッチンの中を覗くと……

 

「こ、これはッ」

 

 キッチンでは大量の鍋やヤカンが火にかけられており、沸騰して大量の湯気が部屋に充満していた。

 

「仗助!」

 

 このタイミングで、外を見に行っていた承太郎が戻ってきた。彼の顔には小さな手形のような形の傷がついており、そこから出血している。

 

「いつの間にか湯を沸かしたやつがいますよ……水道の蛇口も捻られている……」

「アンジェロのスタンドが家の中に入った……外は雨だ。雨の中を自由に動ける。やつはお前が水を飲むのを待っていたのではない……()()()()()()()のだッ!」

 

 窓の外はどしゃ降りで、アンジェロにとっては格好の狩場となっていたのだ。この家のどこかにアンジェロがいる。役に立ちたいとはいえ怖いものは怖いので、康穂の小さな体は震え上がった。

 

 

ガッ

 

「きゃッ、何!?」

 

 恐怖で感覚が敏感になっていた康穂は、突然何かに頭を掴まれて向きを変えられて思わず声を上げた。()()()に首の向きを固定され動かせなくなり、視界には仗助しか写っていない。

 ──しかし、そのおかげで仗助の後ろの蒸気が形を変え、不振な動きをしているのに気づくことが出来た。

 

「仗助くんッうしろ!!」

 

 蒸気の形をしたアンジェロのスタンドが仗助の口の中に入り込む直前、仗助は康穂の声に反応し、自身のスタンドを繰り出す。

 

 

 

「どららららららあぁ────!!」

 

 アンジェロのスタンドにものすごい速さのパンチのラッシュを叩き込み同じ方法でビンの中にとじこようとしたが、スタンドは変幻自在に形を変え空気中に散らばり、仗助の攻撃をいとも容易く回避した。

 

「……グレートですよ、こいつはァ。ビンに捕まえることができねぇ……!」

「2人とも、湯気に近づくなよ。吸い込んだらやばい、この台所から出るんだ」

 

 ──ポタポタ…………

 

「こ、ここから出ても、どうやら無駄みたいですね……」

 

 康穂の声に男ふたりは反応する。

 

「これは……」

「雨漏りだ……アンジェロのやつ、すでに屋根に何ヶ所も穴を開けてるんでしょうよ! ……ということは2階は当然、他の部屋にいってもやばいということ……こいつは追い詰められたようですねぇ。グレートですよこれはぁ……」

 

 アンジェロはこの格好の機会を逃すつもりは毛頭なく、事前に相当策を高じてきたらしい。自身のスタンド能力を存分に発揮出来る狩場をすでに整えていたのだ。

 3人はキッチンの湯気から逃れるために急いで廊下へ脱出したが、アンジェロはどこまでも用意周到な男だった。廊下もどういう訳か、すでに蒸気で視界が曇るような状態にされている。

 

「!! ふろ場だ! すでに風呂をも煮立ててやがる……ッこれでこの廊下も進むことはできない! 侮っていた……結構頭のキレるやつだぜ、あの野郎はッ」

「…………フフッ……フフフフフ……」

 

 まさに八方塞がり、前にも後ろにも進めない絶体絶命のピンチであったが、あろうことか仗助は不敵に笑う。

 

「なにがおかしい? 追い詰められちまったんだぜ!」

「……しかしですね、承太郎さん! じいちゃんの仇がこんな側まで近づいてきてくれてんでスよ。グレートですよ、こいつはァ〜〜〜ッ!」

 

 

 仗助は拳で音を鳴らし、ようやくやってきた仇をぶちのめそうと意気込むのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 







感想、評価つけてくれると嬉しいです!
よろしくお願いしますううぅぅ〜〜‪( ;ᯅ; )‬

番外編ですが、あと2、3話は続きそうです。アンジェロに飽きて書き始めたのですが、原作の中でも最後の方の出来事なのでかなり先の出来事になります。本編(原作沿い)をキチンと進めるのと番外編(オリジナル)を先に終わらせてしまうのどちらがいいと思いますか?ご協力お願いします。

  • 本編(原作沿い)
  • 番外編(オリジナル)
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