広瀬康穂が四部で頑張る話   作:ジョジョラー

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結構間が空いてしまいました・・・
この話で原作第29巻の内容が終わりになります。番外編として出していた話は、なんで番外編にしたのってくらい普通に本編の内容だったので下げました。その時がきたらまた投稿します。



虹村兄弟 その①

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ──私たちの町<杜王町>は、S市のベッドタウンとして1980年前半から急速に発展した町だ。しかし歴史は古く、縄文時代の住居跡があり侍の時代には別荘や武道の訓練場のあった土地だ……

 町の花はフクジュソウ、特産品は牛たんのみそづけ

 1994年の国勢調査によると町の人口は58,713人だが、杜王の町には不気味な数字がある。──1999年、つまり今年に入って行方不明者が81人もいるのだ。うち45人が少年少女だ……家出もいるとしても、日本の同等の町の平均に比べ7〜8倍という数だ。

 

 しかし、私達の町……杜王町のこの異常な数字に今のところ特別な関心をはらう者は誰もいない。──2人の男を除いて。

 

 

 

 

 

 ☆

 

 

 

 

 

 ある日の学校の帰り道、康穂はいつものように康一、そして数日前のアンジェロの一件で仲良くなった仗助と3人で歩いていた。

 康一も最初は急に仲良くなった康穂と仗助のことを不思議がってはいたが、自分も双子の妹をきっかけに同じクラスのかっこいい男の子と仲良くなれたので特に悪いこととは思わず、それからはこの3人で帰路につくことが増えたのだ。はじめは仗助のファンの女子生徒から睨まれるかと心配に思ったが、意外なことに康一の双子の妹だということが知れていたためにただのおまけということで特に何かされることはなかった。双子は珍しいから噂になりやすく、そのおかげで(実際は逆なのだが)康一と家が同じだから着いていっているだけだと勝手に勘違いしてくれたようだ。こういう時には便利である。

 

「よっ、アンジェロ」

「……? よ、アンジェロ」

 

 仗助は先日自分が再起不能にした日本犯罪史上最悪の犯罪者、アンジェロの成れの果ての岩に陽気に挨拶をした。康一には心配をかけたくなかったのでアンジェロとの戦いのことは話しておらず、何となく仗助の真似をしただけのようだが、康穂には到底そんなことは出来ずそそくさと前を通り過ぎた。仗助ほど肝が座っている訳ではないのだ。あの殺人鬼と相対した恐怖は、一生忘れられないだろう。

 

「ところでさあ、あの承太郎さんはどーしたの?」

「ああ、あの人はまだ……杜王グランドホテルに泊まってるぜ。なんでも、まだこの町について調べることがあるそーだぜ。……おれはよく知らねーんだけどよ」

「「ふ〜〜ん」」

 

 聞いたのは康一だが、康穂も一緒に返事をした。あの後承太郎は康穂と仗助に、『また何か妙なことがあれば連絡してくれ 』とだけ伝え、帰ってしまったのだ。その時はどうやって伝えればいいんだと2人で顔を見合わせたものだが、どうやらその後仗助に自分の居場所を教えていたらしい。アンジェロを倒したと言ってもまだ学生服の男の件が解決していないので、近くにあの頼れる男がいると知っただけで少しは安心できるというものだ。……もっとも、もう巻き込まれるのは御免だが。

 

「──ねえ、康穂、仗助くん。確かこの家って3、4年ずーっと空き家だよね……?」

 

 そんなこんなで世間話をしながら歩いていたのだが、突然康一が立ち止まり、仗助の家の近くのボロボロの洋館に差し掛かったところでそう言った。

 康穂と仗助は康一が指さす家の方を見たが、壁にはコケがビッシリ生えているし、立入禁止の看板がそこら中にあり、窓は木の板が釘で打たれている。こんな状態では人が踏み入っただけで腐った木が崩れ、崩壊してしまうだろう。人が住んでいるとは到底思えない。

 

「ああ……こう荒れてちゃあ売れるわけねーぜ。ぶっ壊して建て直さなきゃあな」

「いや、誰か住んでるよ。引っ越してきたんじゃないかなぁ、今、窓のところにローソク持った人がいたんだよ……」

 

 康一が指さした窓を見るが、人影なんてどこにもなかった。相変わらずボロボロの窓枠に釘で乱雑に板が打ち付けられているのが見えるだけである。

 

「え〜? 見間違いじゃないの? 康ちゃんたまに早とちりするじゃない」

「そうだぜ……それに、おれんちあそこだろ? 引っ越したって言うならすぐ分かるぜ。それに浮浪者対策で不動産屋がしょっちゅう見回ってんのよ」

 

 仗助も康穂に同調して、自分の家を指さしながら言った。アンジェロとの決戦の場でもあった東方家はすぐそこで、この家から見える範囲にある。そこに住んでいる張本人の仗助がそういうのなら間違いないだろう。康穂はシーンと静まり返った家の玄関をもう一度よく見てみた。

 

「ほら、南京錠もかかってるわ。自分の家の玄関に南京錠なんか普通はかけないでしょ?」

「おかしいなぁ……ひょっとしてぼく、幽霊でも見たのかな……」

 

 康一はそう言って錆びた入口の門に頭だけを突っ込んで中を見回した。人が住んでいる訳では無いのだから特に気にすることではないが、もし住人が見たら完全に不審者だ。

 

「お、おい、変なこと言うなよ……幽霊は怖いぜ! おれんちの前だしよォ……」

「へぇ、仗助くん、幽霊怖いんだ」

「なんだよ! 幽霊は怖いんだぜ、お前だって怖いだろ?」

「そりゃあ怖いけど……だって、もっと怖い目にあってるじゃない」

 

 仗助が幽霊を怖いと言ったのはかなり意外だった。康穂は年上の不良にコンビニ強盗、はたまた殺人鬼相手に堂々と立ち向かう仗助の姿を知っているので、幽霊が怖いとは…………でも、よく考えると初めて出会った時は亀を怖がっていたようだし、変なところで度胸のない性格なのかもしれない──そう思うとクスッと笑いが込み上げてきた。

 

「おい、何笑ってんだよ?」

「だって……不良と殺人鬼は怖くないのに亀と幽霊が怖いなんて……」

「笑うなよなァ、お前だって怖がりじゃあねーかよ」

 

 仗助は康穂に笑われてくちびるを尖らせて拗ねたが、面白いものは面白いのだ。ごめんごめんと笑いながら謝ると、しょーがねぇなと言って一緒に笑ってくれる。最初は怖がっていた康穂だったが、気さくな仗助のおかげでこんなに軽口をたたけるまでには仲良くなっていた。まさか自分と不良と仲良くなる日が来るとは思ってもみなかった──

 いまだに家の中を不躾に覗いている康一をよそに2人で談笑していた訳だが、和やかな雰囲気は康一の潰れたような悲鳴で霧散することとなった。

 

 

「ぐぇっ……ウゲ──ッ!」

 

 

 

 重く錆びた金属の板が勢いよくしまり、響くようなけたたましい音をたてた。急な事に驚き、完全に門から目を離していた2人がそちらを見ると──

 

「……ッ!」

「康ちゃん!!?」

 

 なんと、康一が分厚く重い鉄の門に首を挟まれ、こちらから見える首から下の部分が苦しそうにジタバタと暴れているのが見えた。先程幽霊の話をしていたので、まさか──と思ったが、どうやら門がひとりでに閉じた訳ではないらしい。

 

「人の家を……覗いてんじゃあねーぜ、ガキャァ!」

 

 改造された学生服を着た男が、鉄の門を足で押さえつけ、康一の首を圧迫していたのだ。ポケットに手を突っ込んだガラの悪い男で、容赦なく康一を痛めつけている。

 康穂は双子の兄にこのような仕打ちをされて怒りを感じてはいたが、それよりも恐怖心が勝っていてただただ震え、立ちすくむことしか出来ない。

 しかし、亀と幽霊は怖いが不良には少しも臆さない男、東方仗助は友人が目の前で痛めつけられて黙っていられるような性格ではなかった。グリグリと足で門を押す男に、堂々とした態度と低い声で威圧する。

 

「おい、いきなり何してんだてめーッ! イカレてんのか……? 放しなよ」

「……」

 

 男は仗助に答えることなく、依然2人の睨み合いは続く。そしてしばらくすると、男は康一の首への圧迫を少しも弛めることなく喋りだした。

 

「この家はおれのおやじが買った家だ……妙な詮索はするんじゃあねーぜ、二度とな……」

「ンなことは聞いてねぇっスよ、てめーに放せと言ってるだけだ……早く放さねーと怒るぜ」

 

 男は仗助がそう言ってもなお力をゆるめることは無かった。それどころか足に込める力はだんだん強くなってきている。この体格のいい男なこのようなことをされてどれぐらい息が続くのか、それどころか首の骨が折れてしまうのではないか……最初はもがいていた康一の動きもだんだん弱々しくなっているような気がして、背中を嫌な汗が伝った。康一が死ぬような事になったら──

 

「おいおい……()()()はねーだろう? ひとん家の前で、それも初対面の人間に対してよう! 口の利き方知ってんのか?」

「……てめーの口をきけなくする方法なら知ってんスけどねぇ──ッ」

 

 どれだけ言っても聞かない男ににイラつき、会話がヒートアップしてきてまさに一触即発……という所で、ヒュンッと何かが空を切る音が聞こえた。そして──

 

 

ドスッ

 

「ぐえっ」

 

 門に挟まれたままだった康一の首元に、矢が突き刺さっていた。

 

「なにィ──────ッ! 康一!?」

「きゃあああああああ!」

 

 驚愕と恐怖で叫び声を上げる2人をよそに、男はボロボロの我が家を見上げ呟いた。先程は誰もいなかったはずの窓際に弓を持った男の影が見える。康一が見間違えたわけでも、幽霊でもなく、実体を持った本物の人間の男がそこにはいた。

 

「兄貴……!?」

「なぜ矢で射抜いたのか聞きたいのか? ……そっちのヤツが東方仗助と広瀬康穂だからだ。アンジェロを倒したやつだということは、おれ達にとってもかなり邪魔なスタンド使いだ……」

「ほへ〜〜っ、こいつらが東方仗助に広瀬康穂〜?」

 

 男は『兄貴』の言葉を聞くとニヤニヤしてこちらを見た。

 しかし康穂は構うことなく、男が門から足を離したのを見てすぐさま地面に横たわる康一の元へ駆け寄った。途中男の横を通ることになったが、特に邪魔されることも無くすんなりと近づくことに成功した。どうやら康穂のことはあまり危険視していないようで、少しもこちらに注意を払うことなく仗助の方を向いている。

 

()()()()使()()だと……!? てめーらスタンド使いなのか……?」

「億泰よ! 東方仗助を消せッ!」

 

 康穂が康一の頬に手をやっても、康一はまったく反応を示すことなくぐったりとしており、白目をむいて痙攣している。そして少し身じろいで、勢いよく口から血を吐き出した。

 涙と恐怖からの吐き気で康一の傍にうずくまって嗚咽を漏らすことしか出来ない……

 

「うっ……康ちゃん……ッ」

「血を吐いたか……こりゃあダメだな。死ぬな……ひょっとしたらこいつもスタンド使いになって利用できると思ったが……」

「ど、どけっ! まだ、今なら……おれが傷を治せる!」

 

 仗助がクレイジーダイヤモンドの能力で康一を治そうとこちらに近づいて来ようとするが、兄に命じられた億泰がすんなりとそれを許してくれるハズはない。

 

「ダメだ! 東方仗助、お前はこの虹村億泰のザ・ハンドが消す!」

 

 億泰の背後から人型のスタンドが現れ、仗助に攻撃を加えようとした。

 ──だが、場数を踏んだ数が多いのは、仗助の方だ。

 億泰のスタンドが仗助に襲いかかるよりも早く、仗助のクレイジーダイヤモンドが億泰のスタンドの顔を力強く殴りつけた。

 

「ドラァッ!」

 

 スタンドが受けたダメージは直接本体にも影響する。億泰は口内を切ったのか少し血を吐いたが、直ぐに仗助に向き直ってニヤリと笑った。

 

「どかねぇと、マジに顔を歪めてやるぜ……」

「ほう〜、なかなか素早いじゃん……」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 





読んでいただいてありがとうございました!
感想、評価をよろしくお願いします!!これからも頻度は落ちますが絶対にエタりたくないので間があこうがなんだろうが完結させたいと思っております。
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