ヒーリングっど❤プリキュア リアル・コロナ・オペレーション!   作:天爛 大輪愛

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- Caution -


・相変わらずの突貫小説

・『現在27952文字』 長い。 お気を付けを。

・のどかっち、中の人ネタ炸裂!

・途中 掲示板描写などあり。

・不安しかない広島弁の使い方。 間違ってたら教えてください。

・基本的に、対象の作品が『ニワカ』だとキャラ崩壊が怖いのでしゃべらせない。
 今回の該当者はふたり。 お許しを……。

・「ラテとアナザーさんが空気してる……」
 アナザーさんは、災害で崩壊した『世界』の実例を示してもらう目的だったんで……
 できる限りカバーしたけど、やっぱりよくない……
 ラテ様! ラテ様、本当にごめんなさい!

・敵を『強く』するのがしんどかった。 力量不足

・ついでにプリオルSFの伏線を張ってるので、一部ト書きわかりづらい?

・途中でフォントがガラッと変わるので、読みづらいのにはルビふってます


・疑似現実世界の人たちの絵柄は割とシンプルにして、キラキラ感抑えてます

・Nさん、挿絵ですが、中性的な見た目のあの人が、『あの人』です。






 それでは どうぞ!








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第13話-B PRECURE ❤ CORONA・OPERATION

 

 

「はぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁあっ!!」

 

 

 疾走____ののちに、闇の根源へと、桃色の光は大きく跳躍する。

 

「みのりのエレメントっ!!」

 

 不意打ちのビームぶっぱ……だが、当然敵は倒れない。

 

『____この期に及んで宣戦布告か』

 

「ちょっと違うよ! あなたをお手当しにっ、宣()()布告に来たんだから!」

 

 放った拳は、いなされ……。

 

『素体の女は、我が既に蝕んだ! もう遅いのだ!!』

 

 諦めろ____と、手首を握られ、放られる。

 

「くぅっ……!?」

 

 受け身を取ろうとするも、ここは空中、うまくいかない。

 

「グレース!」

 

 ____急に、足の裏に硬い感触が現れた。

 

 はっとして振り向くと、特徴的なピンクのツインテールの女の子が微笑んでいる。

 女の子は、自分の足場も生成しつつ、グレースのところにも星形のパネルらしきものを設置してくれていた。

 

「ありがとう! でも……あなたは?」

 

 ____名前は、32期さんとこのTVの録画で見たから、知っている。

 グレースの先輩プリキュア、『スター☆トゥインクルプリキュア』の『星奈ひかる/キュアスター』だ。

 

 だけど、なぜここにいるのか、急に現れたのか____理解が追い付かず、つい訪ねてしまった。

 

 スター(?)は優しい笑顔を保ち、こう言った。

 

「ふふっ、ここで先輩らしく()()()()()()名乗りたいところなんだけど____『本人』じゃないからね、種明かしはあとあと!」

 

 ____それより、来てるよっ!

 

 スターの緊張した声に、グレースは向き直って、足場を思いっきり蹴る。

 

「はぁっ!」

 

『! ……』

 

 突き、突き、蹴り、蹴り、蹴り、突き____掠るだけでも、避けられても、彼女は止まらない。

 

「____確かにっ、時間がたてば手遅れになっちゃうし、どのくらい大掛かりになるかわかんないけど! それでも確かに言える……私たち、諦めないよ!」

 

「スタァァァァァァッ パァァァァァァァンチッ!!」

 

 ここで、キュアスターの強烈な追撃が入る。

 

 そのまま、スターが光に包まれ、中から現れたのは____

 

「アデッソ!?」

 

「オリ主・オールスター小説の定番だね……『キュアスター』に、なりきってました!」

 

「ふわぁっ、そんなことできるの!?」

 

 まぁね、と特に照れる風でもなく、返事が来る。

 

「でも、私としては、さっきの言葉を堂々と言い切った、グレースのほうが凄いと思うな」

 

 あんなこと、誰でもできるわけじゃないんだよ____すごく、かっこよかった!

 

「そうかな……?」

 

「自信持ちなよ____おわっ!?」

 

『余所見とは悠長だなぁ!?』

 

 ハイエニアの不意打ちを、腕をクロスさせて受ける。

 

「悠長? 冗談……! いつも、いっぱいいっぱいよ!」

 

 ねぇ、ところで____

 

「私みたいな、一乱入者ごときにかまけててもいいのかな?」

 

「はぁっ!」

 

 ____次の瞬間には、ハイエニアは脳震盪におそわれていた。

 

 見えたのは水色の影____

 

『キュアフォンテーヌ……!』

 

 鋭い蹴りの入って痛む首を、手で思わず押さえかけるも、死角の方に、微かに気配を感じた。

 

「ふっ! ……!?」

 

『何度もやられはせんっ!!』

 

 放たれたこぶしを両手のひらで受け止め、息つく間もなくやってくる回し蹴りを払い____ハイエニアは、先ほどより苦戦する。

 

「はっ、ふっ____てやっ、とりゃあっ!」

 

『ちぃっ、動きの煩い奴だ!! ふん”っ!』

 

「ひゃぁぁあ!?」

 

 衝撃波で、スパークルの体は、宙に真一文字を描く。

 

 

 

トパーズ

Topaz

 

ランドォゥ↓』

 

 

 

 

「よっと……! 大丈夫?」

 

「種たん! ありがとー!」

 

 『ヴァールハイト・プリキュア ver. 魔法つかい クォーツスタイル・トパーズモード*1』になったミラクル・シードが、あの黄色いぽよぽよしたやつをクッションにして、スパークルを受け止めた。

 

 助けた当人のミラクル・シードは、「種たん……?」と、突然つけられたあだ名に、やや反応に困りつつも。

 

「どういたしまして! よかったら、これ1個使ってよ!」

 

「うぇっ、いいの~!? ありがとう……おぉ、ぽよんぽよんだ~!」

 

 ____スパークルは、ぽよぽよを手に、もう一度向かう……。

 

 向かう……つもりだった。

 

 

____ ドッドッドドンッ ドンッドッドッドン

 

 

「おぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉおっ!!!!」

 

 ……ポリバケツを被って我武者羅に走ってくる、シード・マジカルを目にするまでは。

 

 

 

 

 チョーイイネ! キックストライク サイコー!____と、土塊を纏って、少年が飛び上がったところを、ハイエニアは呆然として凝視していた。 なんだこのベルトは。 黙ったら死ぬのかと疑いたくなるレベルでよくしゃべるな。

 ……そう思いはしたが、勿論他人事ではないので、気を取り直して身構える。

 

 ところでシード・マジカル、こちらは本来なら斜め上からの跳び蹴りになるが、今回、水平に蹴りを放っている。

 それは、標的が空にいるからではない。

 

 

「んーっ? ……あぁ、なるほどね、さすが駆くん、賢いなぁ……」

 

 ____そう、真正面からこられると、相手から、どうしても距離感がはかりにくくなってしまうのだ。

 何かしらのエフェクトつきなら、尚更。

 

 

 ……なお、エキサイト中の張本人は、

 

 

「サイコォォォォォォォォォォォォオッ!!!!」

 

 

と、バケツ越しの、くぐもり気味の声で叫びながら、相手には最初受けられつつも、百メートルほど吹っ飛ばしていた。

 

 

 ____吹っ飛ばされた先で。

 

『……くっ! なんだったんだ、あのバケツは____』

「とりゃあっ!」

 

 続けて誰かに不意打たれかける____ハイエニアは、迫ってくる黄色いボールをしっかりと受け止め、回避する。

 

『また不発だなぁ、キュアスパークル……!?』

 

「ふっ!!」

 

 ____次の瞬間、ボールは網に変形し、ハイエニアを捕らえた。

 

「よっしゃ! ……たぶん、あんましもたないけど……」

 

「ダメ押しで私も手伝うよ! ぐるぐる~っと!」

 

「種たんナイス!」

 

 

 

「駆くん、そういえば、あのポリバケツのって、何なの?」

 

 あぁ……、と、シード・マジカルは照れながら、フォンテーヌに顔を向ける。

 

「ウィザードの、ランドスタイルっぽい姿になったので、ついついやってみたくなったんですよね」

 

 ちなみにバケツは、そこの隅っこにバナナの皮と一緒に放置されてたので拝借しました。 と、彼は続けた。

 

 

 …………。

 

「へぇー、これが例のポリバケツですか」

 

 32期さんが、つんつんと突いてみる。 元の場所に返却されたそれは、傷ひとつついていなかった。

 

「でも、本家の方は、アクシデントで*2 ()()()()()になったんですよね……未回収のバナナ要員は誰なんだろう____」

 

「あべしっ!?」

 

 ……悲鳴とともに、すぐ側で、ドテッ! という音がしたため、驚いてそちらを見ると____

 

「稚拙さんでしたか……」

 

「転倒フラグは、何が何でも回収する体質みたいで……いたた……うぅ」

 

 32期さんは しゃがみこみ、稚拙さんの足元のバナナの皮を、危ないから、とポリバケツに入れた。

 

 

 

 

 …………。

 

「それで、種ちゃんったらね~?」

 

「ひどいよアデッソ! 私、大食いじゃないのに!」

 

 うっかり話の弾んでしまうプリキュアたち。

 作戦会議をしていたはずなのに……どうしてこんなことになっちゃったのぉ……!(CV. 引坂理絵)

 

 唐突に浮かんできた『オールスターズメモリーズ』の一場面は頭の隅にでも置いといて____要するに、気づかなかったわけである。

 頭に被さろうとしている暗黄色の網に。

 

 

「……しまった!?」

 

「だ、大丈夫! 私のぽよぽよだし____あれっ!? 操れない!」

 

『無駄だ!』

 

 プリキュアは、網越しに敵の姿を見た。

 

「一体、何をしたの!?」

 

 噛みつくように問うアナザーさんに、相手は勝ち誇ったように笑う。

 

『それは闇に浸しておいた、もはやお前のものではない!』

 

 

 そして、彼女はそのまま、ストンと地に降り立つ。

 

「ん?」

「なんだなんだ」

「待って、嫌な予感しかしない」

 

『さっきから目障りだ、奴らへの見せしめに、消えてもらう』

 

「「「「 /(^o^)\ 」」」」

 

 ____ギャラリーさんたち、絶体絶命!

 

 

 

「……待って」

 

『何だ____キュアフォンテーヌといた奴か』

 

 内心で冷や汗を流しながら、その人は____稚拙さんは相手を見据える。

 

「先ほどグレースが言っていたように、ここは元々、この世界の人の物だ!」

 

「えぇ____」

 

 看護師の制服の襟を正して、32期さんも言う。

 

「私たちも、それなりに抵抗させてもらいますよ」

 

宜しゅう(よろっしゅ)……!」

 

 やや引け腰ながらも、大輪愛も宣戦布告した。

 

 

『ほぅ、面白い____』

 

 邪悪に笑い、彼女は拳を放つ。

 

『だが、お前たちごときが、どうやると言うのだッ!』

 

 放たれた先の稚拙さんは、いきなりよろめいて____ハイエニアは、『当たり』を確信した、が。

 

「コケたと思ったかな?」

 

 グッと足を踏みしめ、体勢を直し____

 

「____残念♪」

 

『!!』

 

 ポケットから何かを取り出し、フリスビーのように、鋭く投げた。

 

 ……鈍い痛みを感じ、ハイエニアは腕を見る。

 腕の皮膚が、真っすぐ、浅く切られていた。

 

 稚拙さんは、もう1枚 同じものを取り出すと、思いっきりドヤ顔で言い放った。

 

「名刺でした♪」

 

 

『ナメた真似を……!』

 

「ちょ、ちょっと待ったっ!」

 

 振り向くと、ビビり顔で仁王立ちするという、多大なる矛盾を体現している大輪愛がいた。

 

「わ、私とも対決してや……!」

 

『どの方法でだ?』

 

お勉強対決(脳内再生CV. 久川綾)(ここだけややドヤ顔)

 

『いいだろう、では、我が問題を出させてもらう!』

 

「! ……ま、任せんしゃいっ! 9歳には負けんよ!」

 

『ほぅ?』

 

   第1問

   付近を流れる寒流が原因で形成された砂漠の例を1つ答えよ。

 

はっ!? あ、アタカマ砂漠*3 っ……?」

 

『正解だ』

「いやいや、おかしいやろ!!」

 

『何もおかしくはないな。 征服しようとする所の地理を把握しておくのは当然だろう』

 

「いや~……(汗) ん? ってことは、それ以外 小3レベル?

 

『お前もなんか出せ。 高校地理B限定で』

 

「えーだって私、まだそんな習っとらん……」

 

『出せ』(禍々しい光弾をチャージしながら)

 

ごめんなさい、 出します

 

   第2問

   乾燥地帯の外から流れてきて、枯れずに海に流れ込む川は、何と言うか。

 

外来河川 例としてはナイル川……どうだ、合っているだろう?』

 

「正解……」

 

 ____いや、征服したいなら地名だけでえぇやろ。 なんで地理用語まで勉強してるん?

 というツッコみをグッと堪えつつ、大輪愛は考えた。

 

 さて、このまま呑気にクイズ合戦を続けていいものなのか。 この先、どうすればいい?

 

 ……その時、女子高校生の目に、何かが映って____彼女は、ほくそ笑んだ。

 ____よっしゃ、続行や!

 

 

『では、第3問だ』

 

 …………。

 

「だ、第18問っ!」

「ぃよっしゃ──!!」

 

 お勉強対決もかなり続いた頃、そんなスパークルの歓喜の声が聞こえた。

 

『っ! まさか____』

 

 慌てたハイエニアは振り向くも……。

 

『!?』

 

 突然起こった出来事に、文字通り目が眩んでしまう。

 背後では、稚拙さんと大輪愛が、その出来事より前に、既に目を固くつむっていた。

 

 ____そう。

 

「胸ポケットに刺さっていた小型ライトを見て、思いついたんですよ!!」

 

 勝ち誇った笑みを浮かべ、ライトを敵に照射する 32期さん をはじめとして、スマホのライトモードをONにして相手の目に向ける 野次馬たち、大型の照明を煌々と照らしている 警察たち

 

____ここに集まった、この世界に生きるもの代表たちが、ハイエニアを取り囲んでいた。

 

 

「たぁぁっ!!」

 

 そして、目くらまししている間に飛んでくる、グレースの渾身の一撃。

 

『ぐっ!?』

 

 解放されたプリキュアたちが、スタッと降り立つ。(Z戦士というよりも、フレプリ変身時の着地のSE)

 

「時間稼ぎ、本当に助かったよ! ありがとう」

 

 アデッソが言うと、(いつの間にか基本スタイルに戻った)ミラクル・シードが、その隣に立って。

 

「そろそろ色んな世界に『応援要請』しなきゃね」

 

「シードたちが動けない間のサポートは、私に任せて!」

 

 アナザーさんが、可愛らしくウインクする。

 

 

 3人が準備にかかろうとした、その時だった。

 

『____お待ちください!』

 

 涼やかな声が聞こえてくる。

 

「その声は!」

 

 フォンテーヌには、思い当たった節があったようで、顔を輝かせ、広場を囲むビルに設置されてある大型モニターに目を移す。

 

『時が来ましたね。 私からも、ぜひ力添えを……!』

 

「「「アマビエ!」」」

 

 アマビエはモニター越しに微笑むと、唖然とする現地のキャスターを傍目に、透明な力を纏った。

 

『母なる水よ____地球の医師たちに、生命の輝きを!!』

 

 ____程なくして、地平線の彼方から、煌めくオーラが運ばれてくる。

 

 

『____僕も、約束通り協力させてもらうよ』

 

 ふわり、と淡い光を放ちながら現れた小物体に、グレースは目を見開いた。

 

「命のエレメントさん……!」

 

『そう、厳密にいうと、個人個人のそれではなくて、この星自体の『命』が具現したものだね』

 

 そして、エレメントさんは腕を天にかざし、群衆の手元にピンク色の物体を出現させた。

 

「こ、これは____ミラクルライト!」

 

 誰ともなく感動して叫ぶ声に、エレメントさんの周りの空気が和らぐ。

 顔がないからわからないが、たぶん笑ったのだろう。

 

『そう、ミラクルドクターズライトだ。 いざとなったら、頼むよ。 君たちの生命力を、彼女らに届けてくれ』

 

 緊張した面持ちで、みんなは頷いた。

 

 

 

「____始めましょう」

 

 シード・マジカルの言葉に、アデッソが無言で頷き、片手で何かを広げるかのように、サッと払う。

 透明なキーボードが出現し、彼女が何かをローマ字で打ち込むと、それを変換した。

 

観永遠

 

 

「ちょっとぉ! ネタバレになるやろがぁぁ!」

 

 それを見て抗議する大輪愛だが、「うるさい!」の一声で、一蹴されてしまう。

 

「言っとくけど、『第1部』のラストの件、絶対許してないからね!」

 

「う”……それを言われると……」

 

 もぅ……と、ため息をつく調律者の前に現れたのは、いわば『ワールドマップ』的なもの。

 

「種ちゃん、何かあったときはよろしくね」

 

「うん!」

 

 笑いかけるアデッソに、ミラクル・シードは力強く頷いた。

 

 

「管轄者の名の元に開け コネクション・スタート____」

 

「接続先・笛吹ノ書庫 現在・エラー無いよ!」

 

 補佐を務めるシードの「問題なし」の声に、アデッソが次々と接続を進めていく。

 

 

 

ヴァールハイト・プリキュア :司「命」「記録」 217036

 

プリキュアオールスターズif :司「可変」「団結」 24832

 

プリキュアオールスターズ ~観永遠~ :司「運命」「中今」 220693

 

花を護る騎士 ブレイドナイト :司「救命」「育愛」 70682

 

ハートキャッチプリキュア!~もう一人の戦士"大樹の騎士"~ :司「追紡」「慈愛」 117088

 

 

 

 

 ____どこかの世界たちにて____

 

 

「あっ! やっと、みなとさんから要請が来ましたわ!」

 

 マゼンタの髪の少女が口角を上げると、金髪の少女も、ポンポンを持つ振りをして、手を突き上げる。

 

「よぉし、張り切って応援だね! フレッフレー!」

 

 その隣で、静かに祈っているのは、アカシア様だった。

 

「みなとさんたち、どうか……!」

 

 

 …………。

 

 また、別の世界。

 とあるキッチンカーの近くで、大学生ほどの女子ふたりが、送られてきたメッセージを見て、頷きあう。

 

 おもむろに立ち上がると、茶色い髪のほうが右に、黒髪のほうが左に並び、ギュッと内側の手をつないで、外側の手を、真っ直ぐ空に伸ばす。

 

 キラキラと、オーロラのような光が、世界を超えていった。

 

 

 …………。

 

 またまた、別の世界。

 花咲き誇る大樹の下。

 高校生ほどの男女ふたりが、仲睦まじげに笑いあっている。

 

 メッセージを受けとると、それぞれ変身し、男性のほうは黒騎士を彷彿とさせる姿に、女性のほうは月下に輝く百合の花の如く可憐な姿になる。

 

 ……突然、色とりどりの花吹雪が舞い上がる。

 その花びらたちは、天高く、遠く、どこまでも……。

 

 

 

 ………………。

 

Error! Error! Error!

 

「! ……あ、アデッソ!」

 

「……その世界かぁ……『完結前の干渉』にロックがかかってるから……」

 

「どうしよう……パワー足りるかな……」

 

 

 トラブルが発生している傍らで、激しい交戦が起きている。

 

 アナザーさんとヒープリ組は、ハイエニア相手に何とか持つか持たないか……という状況だった。

 

「はぁっ!!」

 

 アナザーさんが、ハッピーシャワーに酷似したビームをぶっぱすると、フォンテーヌが、光に紛れて接近、回し蹴りを放つ。

 更に、間髪を入れずにスパークルがパンチラッシュを決め、グレースが駄目押しとばかりに右ストレートを打ち込んだ。

 

 それでも、やはりラスボスというだけはある。

 

 もくもくとあがる砂塵をなぎ払いつつグレースの脇腹に手刀をヒットさせ、スパークルには背後から肘打ち、フォンテーヌとアナザーさんには、闇色の光線がお見舞いされた。

 

 

「うぅ……がんばえーぷいきゅあーっ!!」

 

 ____それを見て、野次馬の親について来たらしい幼女が、早くもミラクルライトを点灯させた。

 

「「「「……!」」」」

 

 人々は一瞬戸惑う、が。

 

「頑張れー!」

「プリキュア負けるなー!」

「勝たんと一発入魂するぞ、うらぁっ!」

「ちょっとあなた! そんな言葉遣いしないの……プリキュア、頼むわよ!」

「がーんばー!」

「プリキュアーっ!!」

 

 次々と、ライトが点灯されていく。

 

 そんな中、稚拙さんが、慌てるシードたちに気づいた。

 

「……どうしたの?」

 

「ひとつだけ、接続できない世界があるんです」

 

 シード・マジカルが、その言葉に続けてアレコレ説明する。

 

「……なるほど」

 

 そう呟いてから、しばし……考えた。

 

 ____その世界は、ほぼ確実に、うちのところだ。

 

 そして、ここが現実ではないなら、『干渉不可』のロックは外せない可能性が高い。

 その制約の中で、どうすべきか……。

 

 稚拙さんは、ライトを胸の前で点灯し、唇を結ぶ。

 

 

「____そうだ、これなら、せめて……」

 

 遥か遠く。

 ある場所が、鮮やかな青色に輝く。

 

 

「せめて!」

 

 

 流れ星の如く。

 青……いや、『蒼』は、引き寄せられていく。

 

 

 

「『あっちの世界』の、あなたたちなら!」

 

 

 

 

 …………。

 

 

 

 

 …………。

 

 

 

 

 

 …………。

 

 

 

 

 

 

インストール@プリキュア! :司「超越」「交錯」 108564

 

 

 

 

 

……………………

 

 

 

 

『____もう、仕方ないわね?』

 

 

 

 

 ビルの屋上、3つの影が映る。

 

 そのうちの、真ん中に、パッ____とスポットライトが当てられ。

 

 

 

【挿絵表示】

 

 

 

 その、『真ん中の影』は、蒼い軌跡を描きながら、サイレントに降り立った。

 

 

 

『銀河に光る 虹色のスペクトル!』

 

 猫のような手つきをして、片足立ちのポーズを決め____

 

『キュアコスモ!!』

 

 

 ……名乗った直後、背後で青い花火が パァンパァン! と打ち上げられる。

 

 

『____こと、『蒼の怪盗団』が一員、ハデに参上ニャン♪』

 

「本当に派手にキメたなぁ……(^∀^;)」

 

 苦笑交じりのツッコみを聞きつつ。

 こんしゅうのニチアサはおやすみです。(こんニチ)の世界から応援に来たコスモは、澄まし顔をする。

 

 

『この疑似現実は、本物より『認識範囲』が狭いみたいで、『範囲外』のヒトが下手に動くと『崩壊』しちゃうのよ』

 

 だから、こうして大っぴらに動けるのは、残念ながら私だけなワケ。

 まっ、でも、夜闇に紛れて躍動するのも、()()()()アリかもニャン____

 

『そうよね?』

 

 彼女の顔は、屋上に残る、ふたつの『ヒーロー』の影へと向けられる。

 

 その内のひとりが、くるりと1回転、銃らしき物を弄び、漆黒の空へと……。

 

 

A T T A C K  R I D E : A N I M A

 

 

 ____ソレが、コタエだった。

 

 

『行くニャン♪』

 

 ひらり____

 コスモがスポットライトからフェードアウトするのと、屋上の影たちがアクロバティックな回転キメながら降りてくるのが____同時。

 

 

 

「よし! 書庫内、ほぼ全て接続完了!」

 

「コネクト先、変えるよ!」

 

「安定してしまわない内に、『配信』日時設定、準備!」

 

 シードたち3人が慌ただしく動き始め。

 

 

『コスモシャイニングっ!』

 

「ふわぁっ! 誰!?」

 

「夜闇に紛れてよく見えないわね……」

 

『宇宙を駆ける、通りすがりの怪盗ニャン♪ ま、別に覚えておかなくてもいいわよ?』

 

「いや~、そんなこと言われたら逆に覚えちゃうし……」

 

 コスモが乱入し。

 

 

「わぁ~、何これ、カードが刺さってるのかな~? あっ、マントだー、マスクが怪盗のハットっぽい! すごぉい!」

 

『『…………』』

 

 アナザーさんがちょくちょく衣装をいじってくるのを、グッと、グッと堪えるふたりがいて。

(特に後者。)

 

 

 

 

 何度目かの仕切り直しで、戦闘が始まった頃、接続先を別の世界へ____『本物の現実』へと変えた3人は、非常に難儀していた。

 

 何せ、普段は難攻不落の現実さんである。 おいそれと干渉できるような物ではない。

 

「……仕方ない、本気出しちゃうかぁ……嫌だったけど……」

 

「OK アデッソ! 私の力で均衡を調節するから、任せて!」

 

「僕の干渉力がオリジナルより弱い分、サポート面で頑張ります!」

 

 アデッソは一度ゆっくりと瞬きをし、唇を微かに開く。

 

 

 

「明堂・花咲式 第五呼吸法____」*4

 

 再び瞼は閉じられ、スカーフがバスタオルレベルまで伸び、彼女はそれで身をくるむ。

 

 ____Let it wake, my eternal ”Zeit“.

 

 そうメロディにのせて口ずさむと、どこかから____多分、スカーフに隠れている『ティックコミューン』から、電子音声が響く。

 

『Okay?』

心醒神臨(しんせいしんりん)!」

 

 呼応して言葉を発すると同時に、彼女は目を開き、右目のみ淡いショッキングピンクに染まった____いわゆるオッドアイがあらわになる。

 

 スカーフをひらりと翻して、電子チックなラインの入ったドレスが披露目られると、髪も全体的に伸び、後ろ髪は三つ編みにされる。

 

 胸の飾りの時計っぽいのが……短針が12・2・4・6・8・10を、長針が6を指したデザインにグレードアップする。

 

 

「ヤァヤァ 遠かれば音にも聞け! 近くば寄って、目にも見よ! 我こそは!」

万世(ばんせい)の管轄者・キュアアデッソ・デスティニー アウェイク!」

 

 

 ってなわけで、『あっち』の本編は1話しか更新されてないのに、ノリで最終フォームがお披露目されてしまったのである。

 重大なネタバレは隠してるし、いいだろ……の境地である。 反論ウェルカム。

 

 

「じゃあ、私も行くよ!」

 

 ふたりのシードが光に包まれ融合し、通常のキュアシードに戻り____彼女は、Qaウォッチを取り出した。

 

 

「「プリキュアプリケーション!アップデート!!」」

 

スーパーQaライト:アクティベーション……

< Ready?>

 

「「インストール!!!」」

 

 ふたりの声が揃った、途端____

 

 

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 シードは、スーパーQaライトの暖かな希望の光に包まれ、空へと打ち上げられ、さなぎの中で蝶が形作られていくように、姿を変えていった。

 

 

【挿絵表示】

 ↑とってもシンフォギア演出です。

 

 鳥の翼を思わせるスカートを纏うと ふわりと羽が舞い、降ってきて衣装の各所に飾られる星は、眩く輝いている。

 左手首にも、右手首にあるような、希望の赤いリボンが巻かれ____

 

 少女は、今、夜空に開花する。

 

 

輝く種から花開け!

未来を照らす星の種!

 

キュア アストラル・シード!

 

 

 

 

 …………。

 

 ____今はまだ潜在する運命に翻弄される、管轄者。

 

 ____星のない夜空を彩り、華やがせ、希望を遍く与える、時空の特異点。

 

 

【挿絵表示】

 

 

 ふたりは……いや、3人は笑い、並んで宙に浮かぶ。

 

 

祝え!!

 

歪められし時空に流れ着いた 真実と希望の双乙女!

 

その名も アデッソ・デスティニーアウェイク そして アストラル・シード!!

 

宇宙の歯車を調律し、輝きを与える 明日への可能星が現前した瞬間である!!

 

 

 Qaウォッチの中の駆くんは、かなりノリノリだ。

 

 

 

「アデッソは、とりあえず『フォースウォール』に穴をあけることだけに集中してください」

 

 種は……と、駆くんは言葉を継ぐ。

 

「種は、現実からの拒絶反応や均衡の崩壊を緩和してくれる?」

 

「力押しね! 嫌いじゃないよ」

「OK、頑張るね!」

 

 アストラル・シードがアデッソの肩に手をのせると、アデッソの両目が鈍く輝き、目線はどこか遠くに行く。

 

「「「…………」」」

 

 次第に、彼女の額に汗がにじんでくる。

 

 ____2次創作の人間が現実に干渉しようなど……さっさと『エネルゲイア』になっておけばよかったものを。

 

 頭にそんな声が響く。

 

「うるさい……私はまだ、私でいたいのよ……! 後悔なんて絶対してない……!」

 

 小さく、声が漏れる。

 

「……アデッソ____みなとちゃん、大丈夫?」

 

「大丈夫だよ種ちゃん、()()行ける……!」

 

 ……周知のとおり、人が『まだ』を使うときは、大抵、無理をしているときである。

 

 実際、彼女は内心穏やかじゃなかった。

 小さい傷が入ったかどうかも、わからない。 このまま、ちゃんと成功するのか?

 

 

 …………。

 

 ____ちょっと協力させてもらうねっ!

 

「「「 !! 」」」

 

 途端、3人の脳内に直接、誰かが語り掛けてきた。 こいつ……ニュータイプか!?(違)

 

「何だろう……すごく、聞き覚えのある声……」

 

 そんな誰かの呟きをわざと無視して、声の主はぼやく。

 

 ____あーあ、これでしばらくは『戻れない』なぁ? ふふ♪

 

 その言葉の後、アストラル・シードとアデッソは、不思議な力が漲ってくるのを感じた。

 

 ____力の調節はそっちでお願い! 私だって、こんなの……厳密にいえば2度目かぁ

 

「わかった! はぁぁぁぁぁぁぁぁあっ!!」

 

「えぇぇぇぇぇぇぇいっ!!」

 

 ____ぴし……

 

 

 …………!

 

「開いたっ! 細かい接続先は、僕が選びます!」

 

「よろしくね、お兄ちゃん!」

 

 

 

笛吹ノ書庫 :司「創造」 000000

 

…… …… …… ……

 

 

???????????? ??????????????? :司「??」「??」 221273

 

- SYSTEM ALL GREEN -

- C O N N E C T I O N  C O M P L E T E -

 

 

「来たっ! 配信、行くよっ!」

 

 

 

 

第1話 壁の向こうの物語❤ 世界に落ちた陰は何?

 

第2話 ちゆとペギタンと物書きさん❤ 交わるリアル・バーチャル!

 

第3話 双光と(Darya)❤ミラクルセッションのはじまり!

 

第4話 私たちはお医者さん❤ 新型コロナウイルスの陰

 

第5話 スゴイ・セカイ・トウライ❤時を駆ける友達!

 

第6話 LINK ザ・ネット❤ みんなの影を追いかけて!

 

第7話 ボルテージ上昇❤ おっしゃ作戦会議だ~っ!

 

第8話 押し寄せる清流❤ 交わる9人の想い!

 

第9話 サラウンド・Kodama❤ ラテはどこどこ?

 

第10話 見つめあう目❤ 溢れる気持ち

 

第11話 私の友達❤ 救え ELEMENT of HEART(いのちのエレメント)

 

第12話 始まる答え合わせ❤ ハイエニア降臨!

 

第13話-A PRECURE ❤ CORONA・OPERATION

 

 

第13話-B PRECURE ❤ CORONA・OPERATION

 

 

 

 

________

 

 

 

 

 

 

ライブ配信に切り替えます……

 

 

 

 

 

5

 

 

 

4

 

 

 

3

 

 

 

2

 

 

 

1

 

 

 

 

 

< LET'S GO >

 

 

________________

 

 

 

 

 

「ひ、ひゃぁぁぁ……」

 

 アデッソは通常フォームに戻って、息をつく。

 

「いやぁ、何とかなりましたね」

 

「やっほー! 現実のみんな、みてるー?」

 

 安堵の言葉を述べる 駆くんの(そば)で、同じく通常フォームに戻ったシードが、画面越しのあなたへと、手を振る。

 ……が、すぐに、戦場(せんじょう)に向き直ると、「みなとちゃんは、ちょっと休んでてね!」と、早くも飛び出す。

 

 

「「小さな種から花開け!元気のプリキュア!キュアエール・シード!」」

 

 

 

 よぉし! と、エール・シードは、野乃はな本人がよくするように、ぐるんぐるん腕を回す。

 

「フレッフレー!!」

 

 

【挿絵表示】

 

 

 

 

 

 ____ CAMERA CHANGE(してん へんこー)

 

 

「み・な・ぎっ・て・キ・タぁぁぁぁぁぁぁっ!!」

 

 普段から全身を使って戦うことの多いスパークルが、ハイテンションになりながら 普段はあまりしないような回転やロンダードをキメつつ、相手に向かっていく。

 

「やるぜ相棒!」

 

「おぅけぇっ! はぁぁぁぁぁぁぁぁあっ!!」

 

 跳躍し、ヒーリングステッキと相手の肘とで小競り合う。

 

「っ!」

 

 が、思うように()せない。

 跳ね飛ばされるのも時間の問題なので、反動を使って、自分から(はな)れ____

 

「プニシールド!!」

 

 背後にシールドを出して足場生成(あしばせいせい)。 もう一度飛び出す。

 

 

「もう……負けないんだから……!」

 

 突いた右(うで)を掴まれたので、左腕で殴り掛かる。

 

『言葉だけなら何とでも言える! 所詮お前たちなど我に及びもしないのだっ!!』

 

 ……スパークルは、腕に突然、生理的に気持ち悪い(かん)覚を覚えた。

 

「っ!? 何これ……!」

 

 それは____闇色の絵の具。

 先ほど掴まれたスパークルの右腕に、それは徐々に広がっていく。

 

 

「ヒーリング・ストリ────────ムっ!!」

 

 突然入った誰かの____フォンテーヌの助太刀に、スパークルの顔が思わず輝く。

 

 ストリームはスパークルの右腕ごと巻き込み、流れ去った頃には、絵の具は綺麗に洗い流されていた。

 

「ありがとー、フォンテーヌ!」

 

「えぇ……でも、何だか埒が明かないわね……」

 

 うん……とスパークル。

 

「なかなかキマってくんないよね」

『だったら____』

 

 ふたりが同時に振り向くと、先ほど『コスモシャイニング』で加勢してくれた彼女____キュアコスモが不(てき)な笑みを浮かべて立っていた。

 

 ____シュッ

 

 コスモが自身に香水を振りかけると、姿が光り輝き、変化する。

 そのまま再びスポットライト下に躍り出る。

 

「! ……(うそ)~!?」

 

「私……!?」

 

 そう、コスモは、フォンテーヌそっくりな姿へ、変化していたのである。

 

『そうよ……ま、アデッソ(あの子)と違って、見た目だけだけど……』

 

 優雅に回転し、ウィンクする。

 

『打ち合わせはナシよ____アドリブで一芝居、ヨロしくニャン♪

 

「えぇ!」

 

 

 

 ____その頃グレースは、子供が敵を怖がって泣いているのを、なだめていた。

 

 なんじゃそりゃ! とツッコみが多数(たすう)入ることが予想されるが、子供に無言でスカートを掴まれた、上目遣いで見つめられた上に、グレースの性格も相まって、とにかく仕方なかったのである。

 

 そのため、盛大に出遅れてしまった。

 今までのことで、闇雲に突っ込んでいっても 跳ね返されるのがオチであることは、わかっている。

 

 じゃあどうしようかと、グレースが悩んでいるところ、背後に気配を感じた。

 

「……あなたは……!」

 

 ____32期さんと見たブルーレイで、エアロビクス修行してた人っ!

 とのセリフが喉まで出かかったが、映像中の彼の言動からして、確実に逆鱗に触れて、低い声で何かしら言われてしまうことは目に見えてるのでやめた。 声出したら消えちゃうらしいし。

 

「____すごく料理の上手な怪盗さん!」

 

 仮面に隠れているので、相手がどんな表情かはわからないが、続けてグレースは手を合わせる。

 

「ハイエニアの所に、気づかれないように行きたいの。 協力、お願いできますか?」

 

 ちらっと見上げると、『世話が焼ける……』と、顔に書いてあるかのようにダイレクトに向こうの気持ちが伝わってきた。

 が、彼は前に出ると、ベルトのバックルを取り外し、ワイヤーを射出した。

 

「ふわぁっ!」

 

 驚くグレースをふわりと抱き上げ、米俵のように肩に抱え、向こうの電波塔に取り付けたワイヤーを持って____

 

「ふわわわわわわわわわ!!」

 

 ____滑空。

 

 

「ふわぁーっ! 私、お(ヒメ)様抱っこなんて、初めて!」

 

「だいぶ違うラビ!」

 

 感動していると、ハイエニアの頭上付近で、静かに放られる。

 

「(ありがとう……!)」

 

 自由落下から、縦回転の体勢に変え、そのまま脳天へ足を振り下ろす。

 

「ふっ!」

 

『相変わらず(げい)がないっ!』

 

 直後、右足を受け止められるが____

 

「ぁっ!」

 

 Uターンして戻ってきた彼が、グレースの両腕を掴み、空中ブランコのような姿で横回転。

 勢いで敵の腕を振り切ると、余った勢いで、グレースが上に跳ね上がり、グレースと彼の位置が逆になる。

 

 彼は、そのままグレースを宙に打ち上げる。

 

 一方自身は縦方向に半回転しつつ、ルパンソードを取り出して切り込み、さらに立て直しきれていないハイエニアのお腹に(かかと)落とし。

 長い間叩き込むことで、相手のバランスを崩し墜落させ、背中からもダメージを与える。

 

 突然、彼が飛び退くと、息つく間もなく、グレースが腕を振りかぶって急降下。

 

「届いて────────っ!!!!」

 

 

 ____直後、こぶしに伝わってくる、突き抜けるような感覚。

 

() () っ た

 

 

 

 

 もうもうと立ち込める砂煙を傍目に。

 

「ありがとうございました! ……機会があれば、『ジュレ*5』に、お腹を空かせて遊びに行きますね♪」

 

 茶目っ気たっぷりにグレースは笑う____その時。

 ブワッと砂煙が晴れる。

 

「……来たっ!」

 

 ____これ以上、やらせないわよっ!!

 

 咄嗟に構えたところ、上空からフォンテーヌが突っ込んでくる。

 

『……タフな奴め』

 

 フォンテーヌは目をやや細めて強気に笑い、再び巻き起こった砂塵を、右手でサッと払う。

 社交ダンスと洒落込みましょ____左手の人差し指を唇にそっと当て、立ちポーズをキメると、タッと軽快な音をたて、飛び出す。

 

 

「ち、ちゆちゃん……?」

 

 グレースはキョトン顔 →(・∀`・;) で、そんなフォンテーヌを、棒立ちして見つめる。

 

 ____こぶしの突きあい。

 片方が突いては 片方が避け、足を出して足を引き……地上にて、小回りの効いた応酬が繰り広げられる。

 カッ、カッ……と耳障りのよいステップ音が、広場に響く。

 

『……?』

 

 ふと、ハイエニアは相手の挙動を疑問に思う。

 ……こ奴、こんな猫みたいな 小賢しい立ち回りする奴だったか?

 しかも、なんだか、妙な尻尾と耳が____

 

 ____猫?

 

 

「はぁっ!」

 

 背骨が折れるかのような重い衝撃を覚え、ハイエニアは横に飛んで、前と後ろの相手から、間合いを取る。

 

『やはりか……! 我としたことが……』

 

 眼前に毅然と立っているのは____()()()のフォンテーヌだった。

 

『遅かったわね……それじゃ、世界征服なんて考え物ニャン』

 

 軽口をたたきつつ、片方のフォンテーヌが、自身に香水を振り掛ける。

 

『ゲリラショーの お味はいかがかしら?』

 

『クレームレベルだ……!』

「とぁっ!!」

 

 悔し紛れに述べたハイエニアに、無慈悲に追撃がくる。

 

「深夜だけど、元気にトバしてくよーっ! フレッフレッ私ーっ!」

 

「「シード!」」

 

 グレースとフォンテーヌが、エール・シードに歓声を送ると、あの子が乱入してくる。

 

「元気と聞いて、ジャジャジャジャーン! 一緒に行っちゃお、種たん!」

 

「スパークル! ……おーっ!」

 

 

 ____「おー!」と叫んだまま、エール・シードは直線的に、相手の懐に入っていく。

 

「はぁっ!」

 

 斜め上に吹っ飛んだところで、スパークルが追って跳躍。 右、左と こぶしを放ち、しかし両方掴まれ、悶着した状態になる。

 

「ふっ!」

 

 悶着状態から抜け出そうと、スパークルは足を前へ鋭く突き出し、咄嗟にハイエニアは足裏で受け、作用・反作用で、互いに離れる。

 

 シュタッとそれぞれ近くの木に、ビルに、()()すると、それを蹴って飛び出す。

 

「ん”ん”っ!!」

 

『千日手をするつもりか!』

 

 気合いとともに、右ストレートを繰り出し、ハイエニアが先ほどのように捕えようとしたところ。

 

「プニシールド!」

 

 ニャトランが反射。 怯んだ隙にシールド解除で、左こぶしを打つ。

 

「ずっと おんなじこと繰り返して持久戦するの、苦手なんだよね!」

 

「ワンパターンで相手に挑むほど、オレたちはアホじゃねぇ!」

 

 

 左が直撃し、受け身を取ろうとするハイエニア。

 

「たぁっ!」

 

 そこへ、巨大なポンポンを携え仕掛けるのが、エール・シード。

 

「フレッフレッ!」

 

 背後に回り、ゼロ距離まで接近、ハイエニアと並行飛行。

 

「ハ────ト……」

 

 チャージの間に、ポンポンがどんどん膨らんでゆく。

 

 

「フォ────ッ ユ────────ッッ!!!!」

 

 

 ゼロ距離の光量に、ハイエニアは()()()()()()避ける。

 ____それがいけなかった。

 

「「 あ”あ”あ”あ”あ”あ”あ”あ”っ!!」」

 

 アナザーさんが、回復したアデッソとともに追撃。

 

 アデッソは『お(ねえ)さん』直伝の重く鋭い一撃をこぶしに込め。

 アナザーさんは、ハッピーシャワーみたいなのを、これまたゼロ距離ぶっぱで。

 プリキュアって、ゼロ距離好きよね。(個人の感想(かんそう)

 

「高校生は年増(としま)じゃない! いいね!?」

 

 手首を軽くストレッチし、敵の着地点(ちゃくちてん)から目を離さないまま、アデッソは あなたにキメ台詞(?)を吐いた。

 

 

(たわ) け ! 」

 

 ハイエニアが飛び出してきて____最初から注視していたアデッソが即座に反応し、続けてシードとフォンテーヌが1フレームほど遅れて対応する。

 

 だがしかし。

 悠長に会話をしていたグレースとスパークル、そして、気づいていたもののアワアワしていたアナザーさんは出遅れてしまう。

 

「「「きゃあっ!*6」」」

 

 結果、相手を支えるバランスが崩れ、3人は吹き飛ばされ、続けて、残りの3人もやられてしまう。

 

 

 

 ________。

 

 

 突然、風景がピタリと静止画のようになる。

 その中で、ただ一人動いているのが____『(あお)の怪盗団』のひとり、士を10年以上追いかけ続けているらしい、あの人である。

 

 

 そして、ファンの方々の周知の通り、彼にとってのお宝は、何も『見えるもの』だけではない。

 

 ここまで沢山の人たちの思いが踏みにじられているのは、看過できないな____とばかりに、彼は、止まった時間の中で、敵に接近。

 

 プリキュアのソレを見ていたからかどうか知らないが、これまた距離0ミリで、シアンカラーの銃から、小さい爆発音をパンパンと数発響かせた。 無慈悲。

 

 

 

 ____時間停止、解除。

 

 解除直後のハイエニアは、絵面(だけ)がちょっと可哀想なので、あえて皆様のご想像にお任せする。 名目だけは子供向け小説だし……ウゾダドン((

 

 で。

 短い間、撃たれた場所を押さえ、顔をしかめて痛がっていたハイエニアは、すぐに満面の笑みになる。

 

『やはり(あか)い絵の具は良いなァ?』

 

 

 なんだコイツ、バケモンかよ……バケモンだったわ。(納得)

 

 ともかく、これでは取り込まれてる9歳が気の毒なのではないか、そう思ったグレースは跳躍。

 

 

「んーっ?」

 

 ニ○動とプリキュアスレを2窓している稚拙さんは、レスを見て首を傾げた。

 

 ……「なんかイッチのカメラ位置付近に飛んで来てる?」「わざわざギャラリーの近く戦場にするのか……」との困惑の声が上がっている。

 まぁ、ギャラリー付近にいるのは事実だが……稚拙さんは、飛翔中のグレースのドヤ顔を目にして、気づいた。

 

 ____何を()()()()()としているんだ……。

 

 

 

 跳んでいたグレースは、片足をまっすぐ前に出し、縦回転しながらの急降下。

 

 

ダンッッッ!!!!

 

 彼女は、その片足のかかとを、思いっきりたたきつけ____

 

 

 

 

 

781:書き込むふたつの名無し ID:N2CiohWHm

wwwwwwww

 

782:書き込むふたつの名無し ID:XEi+mkk/D

うわーっ! ヒール砕きやがった!

 

783:書き込むふたつの名無し ID:o1PnAhntB

しかも花びら舞う演出付きかよ……

 

784:書き込むふたつの名無し ID:kmG+2pyTc

俺たちは何を見せられているんだw

これもうわかんねぇな

 

785:書き込むふたつの名無し ID:NoB67sqUr

いいかお前ら……言うんじゃねぇぞ……

例えネタがわかっても……言うんじゃねぇぞ……

 

786:書き込むふたつの名無し ID:yDsVzLP7i

>>785

シン……

 

787:書き込むふたつの名無し ID:CImPkOS71

>>786

ゴジラ?

 

788:書き込むふたつの名無し ID:Ihvxs8fv6

>>786

カリオン?

 

789:書き込むふたつの名無し ID:GacK94DV2

>>787 >>788

やめとけお前らw

 

790:書き込むふたつの名無し ID:ZnQuu/xwQ

あぁ^~すごい速度でレスが消費されていくんじゃあ^~

……何スレ目?

 

791:書き込むふたつの名無し ID:nykUIlvjq

おっとグレースさん?

 

792:書き込むふたつの名無し ID:LL7yOvhoB

花びら付きで跳躍とな……

 

793:書き込むふたつの名無し ID:Eif7JkJ4x

ヒント:あの作品の1話

 

794:書き込むふたつの名無し ID:EecCtoqD7

花吹雪綺麗だな……

 

795:書き込むふたつの名無し ID:kYZlyVdph

>>790

0時待機の頃からカウントすれば7スレ目

除外すれば6

 

796:書き込むふたつの名無し ID:sFLhPwlhS

>>793

それヒントちゃう……ヒントやった

え? ヒント?

 

797:解説ニキ ID:zJGoSRAsY

お前らすまん

さっきの紫のアレで罹患したコロナがヤバい離脱する……

俺のことは気にせずに 実況頑張ってクレメンス

 

798:書き込むふたつの名無し ID:8y+iXtb/k

あぁぁぁぁぁあ

解説ニキぃぃぃぃぃ!!

 

799:書き込むふたつの名無し ID:nTXh8O0te

お大事に

死ぬなよ(迫真)

 

800:書き込むふたつの名無し ID:gkCh+HTTu

ひとり またひとりと……

だいぶ減ったよな

俺もしんどい

 

801:書き込むふたつの名無し ID:gkZJP0eZf

じゃあニキの書置き通り……

おっ! クォレハ……

 

802:書き込むふたつの名無し ID:mnjbwM9zK

ライダー(?)キックの体勢やね 間違いない

 

803:書き込むふたつの名無し ID:Dttf/pDhl

>>793は未来が視えていた……?

 

804:書き込むふたつの名無し ID:trT7wxiZ7

空気の輪っかを発生させつつぅ?

 

805:書き込むふたつの名無し ID:KDr35JsQs

イヤホン越しでも風の音が凄い

 

806:書き込むふたつの名無し ID:201p39rR5

直撃ぃ!!

 

807:書き込むふたつの名無し ID:9uUx0k0HH

シュゥゥゥゥッ!

超! エキサイティンッ!

 

808:書き込むふたつの名無し ID:dgO1u/18R

>>805

いいイヤホンを持っているじゃあないか……

 

809:書き込むふたつの名無し ID:S77lfmUOa

花びらブワァッ!

※なお地面はコンクリートの模様

 

810:書き込むふたつの名無し ID:jgXhc8xrb

あぁぁぁあ!!

これは!

これはフローラだぁぁぁぁあ!!

 

811:書き込むふたつの名無し ID:05XqyAfBs

ゴープリ1話のキックのオマージュか

いいな

 

812:書き込むふたつの名無し ID:fnsCKztH1

Go is God!

Go is God!

 

813:書き込むふたつの名無し ID:79nKP4rr/

ゴープリ祭りの場所は ここかァ……?

 

814:書き込むふたつの名無し ID:3t75lSE/v

あっ

グレースまた跳んだ

 

815:書き込むふたつの名無し ID:KLZonolWx

ヒール復活してるじゃねぇかwwwww

 

816:書き込むふたつの名無し ID:2JrNC77x+

のどかっちどこ行ってるんだ

 

817:書き込むふたつの名無し ID:dqJySt33K

>>815

見返した

マジだwww

 

818:>>1 ID:Rw8tTMM+L

>>816

なんかニ○動生配信のカメラの真ん前移動したぞ

 

819:>>816 ID:2JrNC77x+

お イッチありがとナス!

ん?

 

820:書き込むふたつの名無し ID:S0tVzieLQ

 

821:書き込むふたつの名無し ID:1H4XxU1Cy

 

822:書き込むふたつの名無し ID:GTd5fUxdQ

 

823:書き込むふたつの名無し ID:Ydq3Gt1P2

 

824:書き込むふたつの名無し ID:1BSafeNBJ

 

825:書き込むふたつの名無し ID:VYRxA+WP4

お前ら仲いいな……この2秒で……

ん?

 

826:書き込むふたつの名無し ID:wY+pS1R68

何をしようとしているんだ花寺……

 

 

 

 

 

 

 グレースは、目の前のカメラにグルッ! と顔を向ける。

 

 その時の彼女の表情を目にした者は、きっと失笑していたことだろう。

 アニメじゃ滅多にお目にかかれないような、(きわ)め切ったキメ顔をしていたのである。

 

 

 そして、彼女は絶『叫』した。

 

 「これが……」

 

 

これが私の……!

 

g u n g n i r

- ガングニール -

 

 

 

「____だぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁあッ!!!!」

 

 

 

 

…………

 

 

 

 

ニ○ニ○動画

 

 

コメント欄

 

 

・wwwwwwwwwwwwww

 

・wwwwwww

 

・ん?

 

・wwwwwwwwwww

 

・言wいwやwがwっwたwww

 

・wwwwwwwww

 

・クッソwwwww

 

・www

 

・ごめん ガングニールって?

 

・これはニチアサ専ヲタ困惑

 

・ネタ知らんけど本人が楽しそうだからヨシ!

 

・『戦姫絶唱シンフォギア』ってアニメに出てくる単語だな

 ジャンルとしては……魔法少女でいいだろ……

 さぁ こっちの世界においで……

 

・あのアニメに勧誘するのか……いいぞもっとやれ

 

・魔法少女……魔法少女……?

 

・それに関してはプリキュアも大概だしまぁ……

 

・『魔法つかえプリキュア!』……(ボソッ)

 

・いいじゃないか 秋映画素晴らしかったし

 

・全部素晴らしいだろ! いい加減にしろ!

 

・ともかく

 グレースこっちの世界でなんかあったな?

 

・保護者はアニヲタだな間違いない

 彼とは良いビールが飲めそうだ

 

 

 

 

 

 

「「あちゃぁ……(;´∀`)」」

 

 稚拙さんは、32期さんと画面を眺めながら、つい、そうこぼしていた。

 特に、そのアニメを見せていた32期さんは、まさかの事態に驚愕しすぎてお腹いっぱい。

 

 が、気を取り直して、プリキュアたちへと、声を張り上げる。

 先ほどのプリキュアスレで、気になったことがあったのだ。

 

「みなさん! アレがあってから、もう相当数コロナに苦しんでるみたいなんです!」

 

「これ以上は、こっちも消耗しちゃうから、そろそろ……!」

 

 

 スレの方で、「今の声は?」「ダリナンダアンタイッタイ……」などの言葉が散見されたが、見なかったふりをした。

 

 

 ……一方、ハイエニアは、先ほどの『消耗』なる単語を聞いて、考えた。

 ____向こうも限界が近いのか……一気に押せば、いけるか?

 

 ……イケる。(確信)

 

 

 その結論に瞬時に至った彼女は、おもむろに立ち上がり、さっきの絵の具を____

 

 

 …………。

 

 悲鳴が聞こえ、プリキュアたちは、気づいた。

 少し離れて、控えていた怪盗団たちも気づく。 真っ先にコスモが一歩踏み出すも、考え直した。

 

 ____どう転ぶかわからない……いざという時に対応できるよう、様子見ね……。

 

 

「リンクル・アメジスト!」

「えっと……リンクル・ムーンストーン!」

 

 いの1番に、ヴァールハイト組がフォームチェンジ(ちなみにトパーズ)、魔法を使う。

 

「プニシールド!」

「私も行きます! 酷使に定評のある……リンクル・ピンクトルマリン!」

 

「「プニシールド!」」

 

 順に、ペギタン、アデッソが変身したフェリーチェ、ラビリン、ニャトラン。

 

 

 

 が、すごい勢いで、絵の具弾が飛んでくる上に、バリアでおおわれていない範囲は、やっぱり被弾する。

 特に、ピンクトルマリンさんは、実際のサイズより防御の当たり判定が広くなっているものの、元が小さめなので、やっぱりマズい。

 

 その内、絵の具とともにやってくる突風に、吹き飛ばされてしまった。

 

 

「「「きゃあ────っ!」」」

「ラビー!」

「ペェー!」

「うぉわーっ!」

 

「お兄ちゃーん!」

「種! つかまって!」

 

「わ、わ、わ、あ~~~れ~~~!?」

 

「くっ……この絵の具、まさか____は~っ!?」

 

 総員、変な絵の具だらけである。

 しかも、上述の理由でダメージが大きかったフェリーチェは変身解除……えっ?

 

 一部の読者の気持ちを、ミラクル・シードが代弁する。

 

「み……じゃなかった、はーちゃん、変身前の姿もできるの!?」

 

「そうみたい……それはともかく、マズいよ、この絵の具!」

 

 ……聞き返す前に、それぞれ、その言葉の意味を理解した。

 

 

「何これ……!」

 

「力が、抜けて……!?」

 

 

「……そうなの。 早く絵の具を取らないと、この世界が……!」

 

 言い終わる前に、花海ことはの姿も解除され、16歳の藤村みなと(正確には違うが)が現れる。

 

「浴びてる量が多いと、(こと)の外ね……時生兄妹さんはラッキーで良かったよ、ふふ」

 

「もう、すぐ 冗談言うか強がるかして! 悪いクセ抜けてないよ、みなとちゃん!」

 

「最悪、奪われた力がそのまま向こうに行ってる場合があるんですけど……まだどうかわかりませんね」

 

 

 そうこうする内に、ヒープリ組変身解除。

 

 アナザーさんは、『変身後』が普段の姿なので解除に至らないが、意識がもうろうとしていて、動けない。

 唯一の非バリア使いなので、当然っちゃ当然……これ誰よりも危ないんじゃ。

 

怪盗団は、まだ絵の具が出続けているため、下手に動けない。

 

 ヴァールハイト組は、リンクルしなおしたため、辛うじて無事だが、既に付着している絵の具に、力を奪われ続けている。

 

 マ ジ や ば 。

 

 

 

「(ピンクトル)マリンつながりで! マリィィィン・ダァァァァイブッ!!!!」

 

 

 突如、おでこを光らせながら敵に飛び込んでいった影があった。

 

『ぐっ! なんだ、離せ!』

 

「離すかぁぁ! うりゃ────!」

 

 絵の具が止まる。

 

 

「えっ、えっ、私、何もしてない、ありえない……えりかちゃん なんでいるの!?」

 

 ひとり慌てている みなとに____その影、キュアマリンは敵にしがみついたまま叫ぶ。

 

「可愛い『ふっちゃん』の教え子のピンチと聞けば、どこにでも駆け付けるに決まってるでしょーが!」

 

「いやいや、決まってないです、えりかさんっ! (うれ)しいけど!」

 

 ツッコんでから、みなとは、まてよ……と考える。

 

「あの、えりかちゃん、もしかして、勝手に私の体分身して、勝手に変身したの……?」

 

うん。(フリーダム)」

 

 16歳は、ひそかに、来海えりかという人物を畏れた。

 本人の一部分のコピーに過ぎないのに、なんてことだ……なんてことだ……。

 うかうかしてると、乗っ取られちゃうんじゃないかな……。

 

 

「「はぁぁぁぁぁぁぁぁぁあっ!!」」

 

 続けて、高速でふたつの青い流星が飛び込んでくる。

 マリンは咄嗟に避けると、直後に、それらがハイエニアに回し蹴りをし、マリンの付近に着地をした。

 

 

「やっほー!」

 

 その内のひとりが、笑顔で手を振り、もうひとりも、優しい笑顔をたたえて解説を入れた。

 

「『トパーズ』の力で、僕たちも分身したんです もっとも、マリンみたいに勝手にやったんじゃなくて、オリジナルが手配したんだけど……

 

 駆くん! 種ちゃん! と声が上がる。

 

「おっ、ねぇねぇ駆、種! さっきのマリンダイブで絵の具がついて、絶賛 力が抜けちゃってるんだけど……なんとかなんないかなぁ?」

 

 見ると、マリンは軽い調子で話していながらも、額には汗がにじんでおり、既にしゃがみこんでいる。

 とてもじゃないが、自分に浄化技を使える体力が残っているような状況じゃない。

 

「んーっ! サファイアは水だけど……この決め技はオーバーワークだよね……」

 

「普通に水が出る魔法を使ったら、サファイアの力で浄化力が付加されてるなんてことは、ないかな……」

 

 青い駆くんの呟きに、一同は、それだ! と声を合わせる。

 

 

「「キュアップ・ラパパ! 聖流よ、みんなを清めなさい!」」

 

 魔法を使うと、光る水がどこからか流れてきて、みんなの体を包む。

 

「お”ゎぁあぁあぁあぁあぁぁあぁぁあぁっ!!??」

 

 ……その中でただひとり、渦に流され、右へ左へと振り回される少女____マリンがいた。

 こらえきれなかったのかギャラリーから笑いが起こるが、本人は必死に顔芸をキメつつ。

 

「笑うなーっ!」

 

 と大声でツッコみ、マントをまとって飛んで抜け出すと、1枚のカードに戻って、みなとの腰元のポーチに吸い込まれていった。

 

 このタイミングで、怪盗団合流。 重ダメージ者を介抱する。

 

 

 

 …………。

 

「ふわぁぁぁぁっ……」

 

 のどかが、へなへなと座り込む。

 

「うぅぅ、厄介だね、絵の具が消えても、力が戻らないんだ……」

 

 やっと意識を回復させたアナザーさんが、かすれ声で呟く。

 

「唯一、変身が解けていない、駆くんと種ちゃんのふたりも、かなりギリギリみたいだし、ピンチね……」

 

 ちゆが、そう言いながら、ギャラリーを見る。

 何だか、思っていた以上に騒がしくなっている。 しかも、彼らはプリキュアたちを見ていない。

 

 どういうこと……? と、ちゆが、そちらに目を移す。

 

「っ!? み、みんな!」

 

 ちゆの焦った声に、みんなは()()見て____絶句した。

 

 

オオオオオオオオオオオ オ オ オ ! ! ! !

 

 

 ____そこには。

 

 

 先ほどまで戦っていたはずの、ハイエニアが。

 

「まさか『最悪』を引き当てるとは……!」

 

 

 惑星サイズにまで、膨張して、屹立していた。

 

 

 「「「「……!!!!」」」」

 

 

 

 

 

 

 ……………。

 

 

「……一般に、巨大化は退場フラグって言われるけど、コレはなかなか……(・・;)」

 

 はい……と、32期さんが、稚拙さんに相槌を打つ。

 

「絶望的、ですね……」

 

 

 漆黒の空が、奴の活動で、絵の具を無造作に吹き散らしたような毒々しい模様になる。

 

『みんなーっ、みんな、ミラクルドクターズライトを……!』

 

 いのちのエレメントさんが、呼びかけるも、混乱が起きていて、届かない。

 

 

「……やってやろうやないの」

 

 それを見て、女子高校生が、斜め上を向いて、大きく息を吸った。

 

 

「みっんな~! ちょっと、聞いて欲しいんだし~~~!」

 

 

 なんか、マスコット系のアニメ声が聞こえる! と、やや、騒ぎがおさまる。

 

「ボキュはぁ、プリキュアとアニヲタの味方・『大声の妖精』なんだし~!」

 

 そしてぇっ! と、大声の妖精さんこと、声を張り上げる大輪愛。

 

「今ぁっ、すぐぉーく、プリキュアがピンチだからぁっ! エレメントさんから、みんなにお願いがあるんだしぃ!」

 

 

 はい、どうぞっ! と、彼女は、肩で息をしながら、呆気にとられている いのちのエレメントさんに話を振る。

 

 

 

「……みんな、もう一度、ライトを使うときが来たようだね」

 

 正念場だよ、と、彼。

 

「さっき以上の、ありったけの思いを込めてっ、どうか、プリキュアに力を送ってほしい!」

 

 

 

 

 

 …………。

 

 

 ____あなたたちも、頼むわよ?

 

 ふと、蒼の怪盗団の3人が、()()()に近づき、目を合わせる。

 

『現実と創作。 それぞれは、決して、全くの別物ではないの』

 

 このふたつが つながりきれない、最後の砦____

 

『あるとしたら、それは……心の壁』

 

 ふたつの世界を別個に割りきって見ていると、無意識に現れるものだと、コスモは言う。

 

『だから______』

 

 

 ____パァンパァンパリィン!!

 

 突然、低音ボイスの彼が、VSチェ……ゲフンゲフン、じゅ、銃を構え、目の前の何かを破壊した。

 

 もうひとりの彼も、『アタックライド インビジブル』を応用して、『何か』を、駄目押しとばかりに、視覚的に透明化する。

 

 

 ……何かが取っ払われた、その先。

 広場の人々の心が光として、薄ピンクの暖かいウェーブを作り出しているのを、あなたは、はっきりと見た。

 

 

『ミラクルライトは、ないかもしれないけど……それでも、全力で届けてほしいニャン……!』

 

 後輩が頑張っている手前、コスモも、より一生懸命に呼びかける。

 

『さぁ____』

 

 

 あなたは、輝く桃色に吸い込まれて____

 

 

『____一緒に、行きましょ?』

 

 

 

 もうひとつの現実と、心が一緒になった。

 

 

 

 

 

 

 

…………

 

 

 

…………………………

 

 

 

 

 

 

 …………。

 

 

「「「「頑張れーっ、プリキュアーっ!」」」」

「ヒープリ頑張れー!」

「こだまの分まで……! 頑張れぇっ!!」

 

 口々に、応援の声がうねり、響く。

 

「あっ……『声』が、増えた……?」

 

 のどかの呟きに、コスモが近づき、答える。

 

『えぇ、本来とは別ルートで手配したけどね』

 

 あのままエネルギーを通していたら、過労で力尽きちゃう人が出たはずニャン……コスモは、呆れ気味に続けた。

 

 

 

 ……のどかは、ふと、再び空を見上げる。

 

「ふわぁ、キラキラだ……」

 

 ほぅ、と感動の息をつき、視界が『思い』の奔流にのまれていくのを、夢見心地で眺めていた。

 

 

 ____ふわり。

 

 途端、浮遊感に襲われ、のどかは、抵抗無しで、ふよりふよりと漂っていく。

 

 

「のどか、ひなた……」

 

「のどかっち、ちゆちー……」

 

 隣を見れば、ちゆと、ひなた____

 

「ボクたち、どこに行くペェ……?」

 

「なんか、温泉の中っぽくて不思議な感じだな」

 

「(安心するラテ……)」

 

 ペギタン、ニャトラン、ラテ____

 

「のどか……」

 

 そして、ラビリン。

 

 

「うん____行こう……!」

 

 

 そう、のどかが力強く言った瞬間、景色か後ろへ、後ろへと、加速して行く。

 

 そして、ただっぴろい光の空間に放り出されて……。

 

 

 

「____やぁ」

 

 

「あっ、いのちのエレメントさん!」

 

 ひなたが反応すると、エレメントさんは、ふっ、と柔らかな笑い声をあげる。

 

「自分で名乗っておいて、今更なんだけど……僕は、厳密に言えば、『エレメントさん』とはちょっと違うんだ」

 

 ブルーレイで過去作を見たのならわかると思うけど____

 

「僕は、どちらかというと、『ハートキャッチプリキュア!』の『こころの花』に近い立ち位置なんだ」

 

「それってつまり、どういうことペェ?」

 

『地球を構成する要素というよりは……生き物の『生命力』、言い換えれば『命の元気度』を可視化したものってことさ』

 

 あぁ~、と、一同は納得する。

 

「ラテが感知できなかったのも、そこら辺が原因なの?」

 

 そうだね、と、エレメントさん。

 

『僕らは元々、ビョーゲンズ関係無しに、個人個人で、弱ったり元気になったりするから……そもそも僕エレメントさんじゃないし……システム外なんだろうね』

 

 

 彼は、くるっと回って、指を鳴らす。

 

『さぁ、オペを始めよう、みんな待ってる』

 

 

「うん!」

「えぇ!」

「うんっ!」

 

「ラビ!」

「ペェ!」

「おぅ!」

「ワン!」

 

 

 

 

 花の色。

 

 泉の色。

 

 光の色。

 

 

 それぞれ、カラフルな光流にくるまれて、姿を変えていった____

 

 

 

 

 

 

 

 ____ プリキュア・オペレーション

 

 

 

 

 

 

 

 

 医者のズボンっぽい、長いレッグガード。

 

 衣装に、時計の針のデザインが盛り込まれ。

 

 髪飾りには、レッドクロス____赤十字が踊り。

 

 聴診器を首にかけ。

 

 

 最後に纏うは______医者の白衣。

 

 

 

 より実際の医者に近いデザインになりつつも、さっぱりとして可愛いものになっている。

 

 

 

 

 

 

 …………。

 

 

 ____私たちは、お医者さん。

 

 

 地球の。

 

 そして、地球に生きとし生ける全ての生命の____

 

 

 

 

 だから私たちは、今の私たちを自ら、こう名付ける。

 

 

 

 

 

 

____みんなをお手当て____

 

 

 

ヒーリングっど❤プリキュア

オーリヴァーズ(All-Livers') ドクター(Doctor)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ………………。

 

 ヒープリ組は、また光の通路を通り____

 

 

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 ____スタッ……!

 

 

「「「みんな、ありがとう!!」」」

 

 

 人々の前に、降臨した。

 

 

「おぉお……!」

 

 と、喜びと畏敬混じりのどよめきが起こり、ギャラリーは、一層、ライトを強く振る。

 

 

 

「「「ふっ!」」」

 

 天高く跳躍すると、通過するだけで周囲の空を清め、星空が現れる。

 

 

 それを見て、某・平成ライダー10周年2号ライダーの彼が、楽しそうに出てきて、小型のラジオを地面に置く。

 

 

 グレースが口を開くのと、彼がスイッチを押すのが、同時だった。

 

「ハイエニアっ!」テレーン…!

 

 

 ……グレースに申し訳なく思いつつも、ギャラリーが盛大に失笑。

 

 そう、お説教のテーマ(『パラレルワールド』)である。

 

 

 

「私はっ!」

 

 

 

 

 ____私はね、この世界に来て、そして今、みんなの心を受け取って、わかったの!

 

 

 ____命は、生きてるってことは、こんなにもあったかくて、キュンとする気持ちであふれてるんだって!

 

 

 ____ここは、『本物』の世界じゃないかもしれないけど……でも、みんなはここで! 本当に、確かに、生きてる! 変わっていっているんだよ!

 

 

 

 ____大切な誰かのために、一歩踏み出して、勇気を纏って『変身』すること!

 

 32期さんは、いつかの もえはを思い出しながら、その言葉を聞いた。

 

 

 ____過去からの囚われを振り払って、未来へと、心を通わせること!

 

 大輪愛は、ゆっくりと1回瞬きをし、グレースを見上げた。

 

 

 ____そして、変わることは怖いことじゃないっ、今までの自分も自分を支え、愛するものとともに成長し、深く、高く! よりよい自分になる!

 

 稚拙さんは、穏やかに笑って、『お説教』を聞く。

 

 

 ____それが、そういうことが、ハイエニア、あなたの心無い行為で、たくさん失われていったんだよ!

 

 

 ____ハイエニアの中のあなた……あなたは、拒絶されて、苦しくて、絶望して……自分には輝きがないって言ったんだね、それは、本当にそう?

 

 

 ____生きている時、照る太陽の下、(しず)かな月の下、闇の中 煌々と灯る電灯の下でだって……どんな時でも、人は綺麗だよ。 私はそう思う。

 

 

 ____あなたは、芸術活動をしていたんでしょ? その時のあなたの心……気持ちは、どうだったの?

 

 グレースは、深く、深く深呼吸をする。

 

 

「あなたの命は、もう消えてしまっているけど……それでも、本当はあなたの中にあったはずの『キラキラ』を思い出してほしい!」

 

 だから!!

 と、グレースは、『内側』から『外側』に視線を移した。

 

 

「その子を開放して、みんなの未来から、どいてぇぇぇぇぇぇぇえっ!!

 

 

 

 

 その叫びのタイミングで、BGMが切り替わり____

 

「みんなっ! 全力で、届けるよっ!!」

 

 ____『ヒーリングっど❤プリキュア』のOPが流れる。

 

 

 

 

 

オールハートチャージ!

 

 3人がそう唱えると。

 

 

 キュン! キュン! キュン! キュン! キュン! キュン! キュン! キュン!

 

 各所から、みんなの心がトキメく音が聞こえる。

 

 

「ラビッ!」

 

「ペェッ!」

 

「ニャッ!」

 

 

 アニマルたちはステッキを飛び出し____パートナーの横に並んだ。

 

 3人のプリキュアは、首元の聴診器を耳に装着し、構える。

 

 

 そして、3+3人のみならず、地上で見守る みなと、駆くん、種ちゃん、コスモ、アナザーさん、とにかくみんなが、声を合わせる。

 

 

「「「「届け! 命の! パワーっ!!」」」」

 

 

 

プリキュア! スーパー ヒーリング…………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ____3人の聴診器から、怒涛の勢いでパステルカラーのビームが出る。

 

 

【挿絵表示】

 

 

 すぐに相手を飲み込んで終了してくれるわけもなく、向こうから押し返されて、ヒープリ組は苦悶の表情を浮かべる。

 

『見ろ 命は面白いほど儚い 命の力など束になっても所詮はその程度だ!』

 

 

「生きる力を馬鹿にするあなたには、わからないかもしれないけど……!」

 

 グレースが言い返す。

 

 

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「ことわざに『一寸の虫にも五分の魂』とあるように! どれだけ小さく見えても、その底力は、遥かに強くて、大きいし! そして儚いからこそ、いつかは命絶えてしまうからこそ、私たちは! 宇宙の歴史と比べて 一瞬ともいえるほどの時間に、天遠く飛躍できるんだよ!」

 

 

 

 グレースが、唇をキュッと結び、再び開く。

 

 

「ここで、倒れるわけにはいかないの! 私は____ううん、私たちは、もっと!」

 

 

 

 

____生きたいんだからぁぁぁぁぁぁぁぁあっ!!!!

 

 

 

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 ……………………。

 

 

 

 暗闇の中、幼い少女が泣いている。

 

 

 ____突然、シュ────ッ! と、何かが降ってくるような音がして、顔を上げると、桃色の流星が近づいてきていた。

 

 目の前で、パァンとはじけ、中から、白衣のお姉さんが現れる。

 

「どうしたの?」

 

 お姉さんは腰をかがめ、少女に優しく聞く。

 

「私は____もう、なにもかも真っ暗になって……早く、自由になって、好きなこと、色々したかったんだけど」

 

 だけど……

 

「なんか、騙されるし、脳みそいじくられるし、乗っ取られるしで、チョー最悪……さっさと抜け出したいわけ」

 

「そっかぁ……」

 

 お姉さんは、しっかり頷き____少女に手を差し伸べた。

 

「じゃあ、一緒に出よう? あなたが、もう苦しまないように」

 

 

【挿絵表示】

 

 

 ハッとして、少女はお姉さんを見つめる。

 

「キラキラ……してる……」

 

 思わず、そう、呟いていた。

 

「私も、次は……」

 

「うんっ」

 

 

 微笑むお姉さんの手を、少女は、そっと______

 

 

 

 

 

 

 

 

**********

 

 

 

 …………。

 

 

 

 広場上空から、暖かい光が、流星雨のごとく、降り注いでいた。

 

 

 

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 わぁーっ……と、ギャラリーから歓声があがる中、燬紫もえは は、いつの間にか流れている涙に気が付いた。

 

 力が抜けたかのように、ペタンと膝立ちになり、夜空を見上げる。

 

 ____どうして、どうしてこんなに あったかいのに、涙が出るんだろう……。

 

 そんな彼女に、ギャラリーの中から、金色のミディアムヘアの うら若い女性が近づき、ハンカチを差し出す。

 

「これ、みぃんな命の光なんやなぁ、すごいなぁ……」

 

「命の、光……」

 

「あなた、看護師さんとのやりとりから察するに、入院してはるんやろ? それで余計、こういうのには……なんとちゃう?」

 

 さらに、中学生ほどの女の子も寄ってきて言う。

 

「よぉ頑張りんさったねぇ、あの子たちが勝てたんも、あなたが一役買ったけぇよ。 お友達も もう心配ないはずじゃけぇ、ゆっくり休みんちゃいね?」

 

「! ……はいっ!」

 

 

 

 

 

**********

 

 

 

 …………。

 

 

「寂しく、なりますね」

 

 32期さんの言葉に、のどかは「はい……」と頷く。

 

「全て終わったから、もう、この世界は崩れてしまうのよね……」

 

「ほんと、なんか、残念だよね……」

 

 みんながしょげこんでいると、稚拙さんが励ました。

 

「……記憶からはなくなっても、記録からは、なくならないよ」

 

「えっ、どういう意味ですか?」

 

 大輪愛が聞くと、ぐるっとみんなを見回し、答える。

 

 

「ヒープリのみんなは、蝕まれた世界を確かにお手当てして、時空の均衡を保ったんだ。 個人単位では忘れちゃっていても、それは揺ぎ無く、記録されたことだからね」

 

「あなた本当に何者ラビ……」

 

 ()()()()()()説明に思わずツッコみが入るが、それでも、みんな先ほどより、安らいだ顔をしていた。

 

 

「そうですね、さっき干渉したのもあって、『本物の現実』には、何らかの形で、このことが残ると思いますよ」

 

 駆くんも同意する。

 

「そうなんだぁ、よかった________あっ!?」

 

 突然、ブワッと花びらのつむじ風が巻き起こり、一同を包み込む。

 

 

「……時間みたいね、私たちは『本物』のほうを様子見に行ってから、元の世界に帰るニャン。」

 

 このお手当てで大分減ったけど、まだ『ウイルス』自体は残ってるから、気になるのよ____コスモは言う。

 

「あっ、じゃあ、私も、『プリオルSF』の世界に……」

 

「私とお兄ちゃんも、おウチに帰ろっかな!」

 

「そうだね」

 

 みなと、種ちゃん、駆くんも、そう言うので、計6人は、灰色のオーロラカーテンをくぐって、それぞれの目的地へと、旅立っていった。

 

 

「あれっ、アナザーさんは?」

 

 32期さんが問うと、まだ残っていたアナザーさんは、微笑む。

 

「私は、ここが崩壊するまで、ちょっとお散歩して……崩れたタイミングで、いろんな世界の間を、また漂流しにいこっかな?」

 

 そして、「またね!」と元気に手を振り、どこかへと歩き去った。

 

 

 

 …………。

 

「あの、のどかちゃん……!」

 

 32期さんは、ポケットから、何か小物体を取り出す。

 

「折角だから、これを」

 

「えっ? ____ふわぁ~っ!」

 

 のどかの手のひらに乗せられたのは、ひとつのヘアピン。

 桜の花をかたどった、陶器のようにつるりと滑らかな飾りがついている。

 

「かわい~ぃ! ありがとうございますっ!」

 

 そう言うと、既につけてある髪留めをずらし、それをつけた。

 かわいい、似合ってる、と声があがる。

 

 

 ……心なしか、風が強くなったような気がする。

 

 のどかたちは、慌てて言った。

 

「私、このピン、絶対! 大切にします!」

 

「ブルーレイの中の戦術、参考にして、地球のお手当て頑張ります!」

 

「元に戻ってからも、また神戸行きたいな♪」

 

「また会えたらいいラビねっ!」

 

「お散歩楽しかったペェ!」

 

「とにかく、お互いしっかりやってこーな!」

 

「ワンッ! (ラテも、いつか……!)」

 

 

「これからも、テレビ越しで見守っていきますね!」

 

「ずっと、全身全霊をかけて、応援してるからね!」

 

「えっと、えっと……プリキュア万歳っ!」

 

 

 

 のどかは、みんなの言葉をしっかりと聞きながら、微笑む。

 

 微笑みながらも、何か熱いものを抑えきれずに、双眸から、透き通った涙をこぼした。

 

 

【挿絵表示】

 

 

 

 

 

 

 ____花びらが、視界のほとんどを覆っている。

 

 もう、いよいよ最後なんだな____体が崩れていくような感覚を覚えながら、そう思った。

 

 

 少しずつ遠のいていく意識の中で、誰もが、ある希望を未来に託して。

 

 

 

 

 

 「またね____」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 世界は、ゆっくりと戻っていく________

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

……………………

 

 

 

みんな 待っててくれてありがとう!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ____2020年 6月28日 日曜日 AM8:30

 

 

 

 

 およそ2か月ぶりに 『ヒーリングっど❤プリキュア』 が放送再開した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ミラ~?」

 

 

 そして、秋。

 

 大きな舞台に、桜が咲き誇る。

 

 

 

 

 

 

*1
名前は勝手につけてしまった。

*2
あと、監督の仕業で

*3
チリのアンデス山脈と太平洋の間にある砂漠

*4
『呼吸法』云々は、2話でチラッと触れます。 マジで第2部終盤までの大事な要素になるので、ご着目を。

*5
料理店の名前。 ビストロ・ジュレ。

*6
アデッソの母親は、某映画にて、相方が「あ”ぁ”ぁ”ぁ”ぁ”あ”っ!!」(ガチ)なのに対して、「きゃあっ!」とか「あぁっ!」とか、わりと可愛い声あげてたので、それに準じた。




 

 完結だぁぁぁぁぁあっ!!

 みなさん、本当に、ありがとうございましたっ!!
 細かい解説とか、あとがきとかは、また後日……?

________


 ここで、特に多大なるご協力を頂いた方々へ。
 お礼の代わりと言ってはなんですが、執筆なさっている小説のリンクをば。


 ……あっ、の前に。
 とある作品名を、無許可で書いてしまったので、おわびに。

あくいのオトモダチ
https://syosetu.org/novel/221971/

 まぁみなさんご存じかもしれませんが、神作品です。
 ぜひぜひ、読んでプリーズ! お願いします。


 ……では、URLです!


インストール@プリキュア!
https://syosetu.org/novel/108564/

ヴァールハイト・プリキュア
https://syosetu.org/novel/217036/

花を護る騎士 ブレイドナイト
https://syosetu.org/novel/70682/

ハートキャッチプリキュア!~もう一人の戦士"大樹の騎士"~
https://syosetu.org/novel/117088/

プリキュアオールスターズif
https://syosetu.org/novel/24832/





本当に、本当に! ありがとうございました!

メインで更新している『プリキュアオールスターズ ~観永遠~』のほうで、またお会いできたら嬉しいです!



 ____ 天爛 大輪愛 より ____


 

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