ゲーム少年はぐんちゃんと遊びたい。   作:あおい安室

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半年以上放置してたことに言い訳はしませぬ、本当に申し訳ない。
ちまちまと、ゆっくりと進めていきますので、お付き合いいただけると幸いです……

ひとまず1月はリハビリしてましたので短めです。
2月はもうちょっと長めにやれたらいいなぁ……


ゲーム少年となつやすみ。+

 郡さん、高嶋さんの協力で筐体の搬出も終わった昼下がり。男子顔負けの腕力を発揮する高嶋さんに若干男のプライドが傷ついたけど、泣きはしない……フィットネス系のゲーム、日課にしよう。

 

 勇者部って女の子ばかりなのに力仕事ができる人が多くてすごい。手伝おうとした高嶋さんが「大丈夫だよ!」って言ってたけど本当に大丈夫だったとは。ゲームでも現実でも勇者はすごいもんだ。

 

 窓から見える駐車場にはうちの温泉名が入ったトラックが停車している。荷台には大量のゲーム筐体を積み込んでおり、夕方にはスタッフの人が工場まで運んでくれる予定だ。

 これで多少は送料が浮くので、新しい筐体の一つくらいは……さすがに無理かな、言うほどの金が浮いたわけじゃないし筐体代も結構高いからレトロゲームも新型ゲームも買えない。

 

 修理用のパーツくらいなら何とかなるし、ストック用にいくらか発注しておきたいな。えーっと、特に消耗が激しいのはボタン類だけど念のためにスティックも何本か……でもツインスティックは専用部品だから値段がえげつないし、保留か。流石にこれを注文する予算的余裕はないか。

 

「高橋くーん。筐体の裏からこんなものが出てきたんだけど。どうするの?」

 

「なに?あっ、懐かしい。ガンバレットのポスターだ」

 

「ガンバレット?なにそれ?」

 

「ガンバリィーナって筐体積み込んだでしょ。ほら、赤と青の拳銃がついてたやつ。あれの2作前のゲームがガンバレットっていうんだ。対戦するとすごい盛り上がるゲームで人気だよー」

 

「なるほどー。そういえば、ぐんちゃんそういうゲーム得意なんだよ。イネスに遊びに行った時にバンバンやってた」

 

「ほほう、修理から帰ってきたら誘ってみるかな。とりあえずポスターは受付台に置いといて。貴重な品だし保管しとく」

 

 オッケー。じゃ、掃除に戻るねー。僕もこれが終わったら合流するよ。

 

 夏場ということもあってそれなりに汗をかいたので、風呂で一度汗を流してから故障が軽度な筐体の修理作業をしている。その間に二人にはゲームセンター内の清掃をお願いしている。時々掃除はしていたけど、さすがに一人で部屋全体を掃除するには無理がありまして。

 ふと。自前で修理できる数台の筐体だけが残されてがらんとしたゲームセンターを見渡す。照明は落としているから少し薄暗くてだだっ広いここが新品のおもちゃ箱のように見えた。

 

 今はまだからっぽで、昔からのおもちゃしか入っていない宝箱。これからどんな宝を詰め込んでいこうかな。筐体はいくつか空きがあるし、基盤さえあれば古き良き名作からレトロゲーム末期の隠れた秀作も入れられる。ちょっと背伸びして最新ゲームを導入してみるのもいいかな。

 

 っと。掃除中の郡さんにサボってるんじゃないわよ、と睨まれたので修理作業に戻る。集中集中。

 

「うーん……これ微妙にサイズが違うけど海外筐体用のボタンかな。どれの修理用に発注したんだっけ?パンチアウト?まあいいか、これはストックに回してこいつに合うボタンは……よしっ」

 

 ぴったりはまった。後は配線を合わせて動作確認といこう。通電すればモニターが点灯して青空の元に校舎が表示される。ゲームを始めれば一人の生徒が不良に殴り倒された。哀れだ。

 

「ちょっと、さっきから人に掃除させといて遊んでるとかいい身分ね」

 

「ど、動作確認だから……ボタンとスティック確認したら終わりにするって」

 

「ならいいけど。掃除終わったらワンプレイやらせてくれる?」

 

 かしこまりまして。レバーは八方向移動。真ん中でジャンプで、左右でパンチにバックキック。

 

「あら?ねえ、今動作おかしくなかった?」

 

「どこが?」

 

「今左のボタン押したらパンチを出してたけど、その前は左でキックが出てたわよ。バグじゃないの?」

 

「バグじゃないよ。これ、向きによって出す技が変わるんだ」

 

「不便な仕様ね」

 

「レトロゲームはそんなんだよ。マリオブラザーズもジャンプ中の空中制御効かなかったりで不便なところあるけど、昔のゲームは不便なところを面白さに変えてるのがたまらない」

 

「……不便を楽しむ、か。悪くはないと思うけど、見方によっては縛りプレイの類かしら。あなた、そういう趣味あるの?」

 

「……いや、多分郡さんの考えている趣味はない」

 

「先輩」

 

「え?」

 

「せーんーぱーい」

 

「あ、はい。郡先輩の考えてる趣味はありません」

 

「よろしい」

 

 ふふん、と小さく微笑む郡さんは先輩呼びを気に入っているようだ。郡さんや高嶋さんが入ってる勇者部は色々と部員が増えたらしいけど、それでも3年生の割合は少ないはずだが。

 もしや部活内で先輩呼びされてないんだろうか、郡さん。一番先輩呼びしてそうな高嶋さんから「ぐんちゃん」ってあだ名呼びされてたりで威厳がないのかもしれない。かと言って威厳がある郡さんというのも……ふむ。個人的にはありな気がする。威厳たっぷり自信たっぷりな郡さんかぁ。

 

「そこまで行くと郡先輩ではなく郡番長か。ないな」

 

「誰が番長よ。コーヒー牛乳買ってきなさい舎弟」

 

 あ、はーい。高嶋さんも何か飲む?フルーツ牛乳ね、了解。割とありかもしれない、郡番長。

 




・ガンバレット
 ナムコの名作ガンシューティング。ミニゲーム集としての側面が強く、ステージ突破型が多いガンシューティング業界では珍しい。
 成績を競う二人プレイが非常に熱い名作でしたが、1990年代に初代発売からの2000年頃にいったん幕を閉じてしまいました。
 が、2016年に最新作ガンバレットXが稼働開始。今でも探せば見つかるはずなので見かけたら一発いかがでしょう。

 余談ですが多分ガンバレットXはこの世界にはないかもしれない。発表時期がのわゆと被ってるので戦乱の中で開発されなかったかも……。
 ……300年後の神世紀に初代のポスターがあるのはおかしい?それはまあ、えーと……

・ゲームを始めれば一人の生徒が不良に殴り倒された。哀れだ。
 熱血硬派はここから始まったのです。変わった操作ですが、慣れると楽しいですヨ。
 古き時代の日本を舞台とした不良格闘ゲーム!難易度高めですが、根性でファイトです。
 最終面の理不尽なあれにはぐんちゃんも泣かされて、事前に教えてくれなかった少年にちょっと抗議したとかしてないとか。

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