知ってる人はミーナの過去編。
知らない人はモンハンの二次創作。
ではお楽しみください。
暖かい旅立ちの風は吹き、桜は咲き誇っている。
時期は春といったところか。
人々はこの季節を
”始まりの季節”と云うらしい。
─これは一人のハンターの始まりの物語─
此処はベルナ村の近くに位置する小さな集会所。
此処にはクエストから帰って来たハンターやこれからクエストに行くハンター、集会所の職員や龍歴院の生物学者など小さい割には中々の人数が此処に集まる。
食事に来たり買い物に来たりクエストを受けに来たりと此処は毎日にぎやかだ。
「──だから何度も言ってるでしょ!?私の師匠…じゃなくて、”ロジエ・クリシア”氏の使いってさ!彼が此処にハンターノートを置き忘れてから代わりに取りに行ってくれって頼まれたのよ!此処まで来て手ぶらで帰りたくないし…いい加減渡してくれない!?」
「ですから、ご本人じゃないとハンターノートはお渡しできません。」
今日はクエストから帰って来たハンター達が一杯やっていた。だがその飲み会も一人の黒髪の長髪女ハンターと集会所に勤めている女性職員のやり取りによって騒音被害をくらっていた。
新米ハンターは何事かと聞き耳を立てていたがベテランハンター達は「いつものことだ、気にすんな。」と笑い流していた。
彼らにとってこの光景は生きている実感を感じさせた。さっきクエストから生きて帰って来たからか、この光景のせいか分からないが酒がいつもより美味く感じ、いつの間にかジョッキ一杯分を飲み終えていた。
「だから!私はロジエ氏の身内だって言ってるでしょ!ミーナ!”ミーナ・クリシア”だって!ハンターノートは身内なら受け渡しが出来る筈よ!ほら!さっさと──」
「確かにハンターノートする一般的には身内の方に渡すことが出来ますがロジエ氏はついこの前、ギルドの試験を合格して”二つ名”の称号を得まして…二つ名のハンターノートはご本人にしか渡せない決まりになっておりまして……」
「”二つ名”!?師匠が!?ウッソでしょ…二日間も帰って来なかったのはそういうことだったのか……」
ミーナは”二つ名”という言葉に過剰に反応した。
ハンターの二つ名はギルドから見込みのあるハンターに渡されるクエスト、多くの者はこれを”試験”と呼び、この試験に合格すると晴れてギルドから二つ名の称号が渡される。
二つ名のハンターには数々の特権が渡され、地位、名誉、大金など様々な物が手にはいる。
決して良いことだけじゃないが今は関係無い。
「やぁ少女…じゃなかったな。ミーナ。こんな朝っぱらから大声出して元気そうだな。」
ミーナと職員が話している最中、一人の若い男性がミーナに声を掛けた。
その男はギルドナイトであったが、シャツはシワまみれで長い黒髪はボサボサ、湿気てそうな煙草を口に咥えて女職員をナンパするような男だった。
その態度はギルドに反発するようなものだった。
「あぁ…トリシアさん。お久し振りです。トリシアさんもお元気そうで…」
ミーナは頑張って笑顔を作ってみせた。この男は苦手なのだ。今でも覚えている。食事をしている時にこの男にナンパされた事を。
「ん?あ、俺かい?俺は元気じゃないよ。こんなブラックなギルドに勤めてる限り元気になることは無いよ。」
いいのだろうか?こんな公衆の面前でギルドのことをブラックなんて言ってしまってとミーナは思ったが口には出さなかった。
トリシアは咥えていた煙草を手に取ると、口の中に溜めていた煙を一気に吐き出す。そして地面に捨てると靴底で踏みつける。
「それで?お前さん、何か急いでるように見えたが何か用事でもあるのかい?」
「あっ!!忘れてた!すみません、師匠に伝えておいてもらえませんか?自分のハンターノートが欲しいなら取りに来いって。お願いします!」
ミーナは急に慌て始めた。
「あぁ分かったが何急いでんだ?」
「クエストです。ユクモ村付近での依頼で……」
「…もしかして渓流でナルガクルガが発見されたから討伐してくれっていう?」
「ご存知なんですか?」
ミーナは驚いた。けれど考えてもみれば、トリシアはこれでもギルドナイトの端くれ。知っていてもおかしくはなかった。
しかし、トリシアはギルドナイトだから知っていたのではなく──
「そいつぁ俺の出したクエストだからな。」
~~~~~~~~~~~
クエストの内容は最近、渓流に獰猛なナルガクルガが現れた為、被害が出る前に討伐してくれとのことだった。
ミーナはこのクエストに同行する人がいると聞いていたがまさか──
「あなただったんですか…そうならあの時に言って下さいよ。」
「いやぁ嬢ちゃんの反応が楽しみだったんだがな…ありゃ失敗だな。」
なんとクエスト同行者はトリシアだったのだ。トリシアは先に荷車に乗って驚かせようとしたのだが、ミーナの反応はとてもドッキリ大成功と言えるものじゃなかった。
「…その服で行くんですね…」
トリシアの格好はさっきと一緒で、彼なりの正装だった。
「嬢ちゃんの方こそ見たことのねぇ防具だな。なんだそれ?リオレウスの物か?それに…太刀を二つも持って何がしたいんんだ?」
トリシアはミーナに指差す。
どうやらミーナが着ている装備に違和感があるらしい。
「これは知り合いの加工屋に頼んで作ってもらった特注のレウス装備ですよ。」
特注だとミーナはそう言った。特注なんてハンターにとっては珍しい物で一生縁の無い人もいるくらいだ。
「へぇ…動きやすそうだな。まぁ俺的にはナルガ装備の方が好きだがその装備も中々良いな。」
何故こうも下心をさらけ出せるのだろうかとミーナは思う。
トリシアはミーナの軽蔑の目に気づき、視線を逸らす。
「………まぁ…なんだ?言いたい事は分かった。けどありゃ良いもんだ。そう思わないか?」
「知りませんよ…何であなたとナルガ装備の話をしなきゃいけないんんですか…」
ミーナとトリシアは揺れる荷車の中、こんなつまらない話をしながら目的地へと向かっていた。
しかし空気は急に変わった。
「…嬢ちゃんの過去は知ってるよ…本当にすまないと思ってる。”あれ”の事後処理をしたのは俺だ…」
「……トリシアさんが…ですか…?」
”あれ”。ミーナには思い出したくもない過去があった。
「ロジエの姉。俺と同期のハンターだったミルシナがタマミツネに殺された件だ…悪い、思い出したくなかったよな…」
「トリシアさん。何でこの話を…?」
ミーナは疑問に思う。急に何でこんな重い話なのだろうか。
「すまねぇ…その太刀を見たら思い出してな…」
そう言いながらトリシアはミーナの横に置いてある太刀を指差す。それはタマミツネの素材で作られた太刀、”狐刀カカルクモナキ”だった。
「それはあの時のタマミツネの物か?」
「はい…」
「お前が殺ったのか?」
「いいえ…師匠が…」
トリシアの言葉は重かった。トリシアの表情は真剣だった。さっきまでとはまるで違う雰囲気だ。
「そっか…ロジエがやったのか…」
何故、そんな悲しいそうに言うのだろう?ミーナは疑問に思うばかりだった。
「ミーナ。アイツが道を踏み外した時はお前がしっかりと正してやるんだぞ…なんならおもいっきり殴ってやれ。」
「…?はい。」
何故返事をしたのだろうかミーナはさっきから疑問が絶えない。
「おうテメェラ。目的地に着いたぜ。」
荷車がピタッと止まると兄貴肌の御者はミーナ達にそう告げる。
その御者はハンターなのかと思うぐらい筋肉質で頼りになりそうな人だった。
辺りは太陽に照らされ、水は光を反射し輝き、木々は風に揺らされていた。
時間帯はお昼頃といったいところか。
「ありがとうよ兄弟。仕事頑張れよ。」
「ありがとうございました。どうかお元気で。」
トリシアもミーナもお礼を言う。
「テメェラも無事でな!ハッハッハ!!」
そう言うと、兄貴肌の御者は二つある道の右側に進んでいった。
元気のいい人だ。ミーナはそう思った。
「さてと…腹減ったか?肉焼きセットと生肉があるが…どうする?」
トリシアは携帯式の肉焼きセットと紙で包んだ生肉二個を手に持っていた。
「……頂きましょう。」
「素直でいいじゃねぇか嬢ちゃん。」
そう言うとトリシアは早かった。
さっさと肉焼きセットを準備し、肉を焼き始めた。
小さな火柱が立ち、その上で肉が回る。ジュウジュウと旨そうな音を立てながら肉は焼けていく。トリシアは何か調味料のような物をかける。良い香りもしてきたところで肉は完全に焼けた。
トリシアは骨の部分を持つとさっきまで肉を包んでいた紙で持ちやすいように持ち手を作った。
「ほれ食いな。」
トリシアは二つの中で一番美味しそうに焼けた肉をミーナに渡した。
「じゃぁ…いただきます。」
ミーナは受け取ると肉にかじりついた。
パリッと音が鳴る。よく焼けている証拠だ。溢れ出す肉汁。口の中に拡がる旨味。とても美味しい。
よくクエスト中に食べる物なのにこんなにも美味しく感じるなんてミーナは思ってもみなかった。
噛めば噛むほど味が変わってくる。飽きない味だ。晩飯がこれでも文句は無い。
「うめぇか?」
「はい。本当に美味しいです。」
ミーナはその後もひたすら食べ続けた。いつの間にか骨しか残っておらず、きれいさっぱり肉は無くなっていた。
「さてと…飯も食い終わったしな…」
「えぇ…そうですね…」
「「匂いに釣られた間抜けなモンスターを狩りますか。」」
二人は武器を手に取り振り向く。
その先には二人の言う匂いに釣られてノコノコやって来たモンスター、迅竜”ナルガクルガ”の姿があった。
~~~~~~~~~~~
「トリシアさん。さっきの食事はコイツを誘き寄せる為だったとか言えません?」
「そう言えたら格好がつくんだがな…まぁ意図的じゃなかったにしろ結果来たんだからいいじゃねぇか。」
二人は凶暴なモンスターであるナルガクルガを前に呑気に話していた。
『グルルルルルル…❗』
ナルガクルガは威嚇をするが二人は臆す事なく平然と武器を構える。
ミーナは普通、一刀しか持たない太刀を二刀持ち、トリシアは両手で持つ筈の大剣を片手で持っていた。
「なるほどねぇ…その為の物だった訳かぁ…しかしまぁ…よく太刀を片手で持つな。」
「あなたに言われたくありません。どうやったらそんなデカブツを片手で持てるんですか?」
トリシアは重そうな大剣”バスターソード”を片手で持っていた。
「とか言ってても嬢ちゃんも中々重そうな太刀を持ってんじゃねぇか。そりゃ確か…ディノバルドの太刀だよな…名前は”灼炎のルーガー”だったよな?」
ディノバルドの武器は研げば火花が散って危ないことで有名だったからトリシアもその存在は耳にしたことがあった。
「トリシアさん来ます!!」
『グルアァ‼️』
ミーナがトリシアに警告するとナルガクルガはミーナには目もくれず、トリシア目掛けて疾風の如く突っ込んでいった。
「ケッご指名は俺かよ!!」そう言うとトリシアはナルガクルガとのわざわざ積めるまでもない距離を更に近づけた。
ナルガクルガがトリシアに噛み付こうと大きく口を開けるとトリシアは棍棒を振るかのように大剣を扱うとトリシアの身体を噛み付こうとした口の中にはトリシアの血と肉ではなく、錆びた金属の味がする大剣が入っていた。
『ガルルゥ⁉️』
「どうだい?ちと硬く作られた大剣の味はよぉ?もっと味わっていてもいいんだぜ?」
ガリガリとナルガクルガは牙で大剣を壊すことを目論んだが大剣は壊れるどころか目立った傷一つつかなかった。
「どうしたよ?あぁもしかしておかわりが欲しいのか?わりぃな。おかわりはねーよ。」
ナルガクルガは未だに口に大剣を咥えたままの状態だった。けれどそんな状態に終止符を打とうとしたのか腕にある鋭利な迅翼でトリシアに攻撃をしかけた。
しかし
「あら御行儀の悪い手ね。」
『ガアァ⁉️』
ナルガクルガの右腕はミーナの二つの太刀に刺され、地面に打ち付けられる。大量の黒い体毛に覆われた腕から血が溢れ出てくる。まるで革の袋の中に水を入れて袋を破ったみたいに。
「ありがとうよ嬢ちゃん!」
「目の前のことに集中してください!」
この二人の会話は中々絶えなかった。
トリシアは大剣を大きく振る。ナルガクルガの口はおもいっきり傷つき、大きく怯んだ。
大剣もようやくナルガクルガの口から解放され、ナルガクルガの唾液と血でベトベトだった。
「きったねーなぁ…」
『ガァウゥ‼️』
トリシアが汚れた大剣を眺めているとナルガクルガはその隙を逃さず突っ込んで来た。
「てやっ!!」
ミーナは突っ込んで来るナルガクルガの顔面になんと蹴りをいれた。ナルガクルガは思わず怯んでしまった。
「げっ嬢ちゃんモンスターに蹴りいれんのかい!?」
「黙っててください!!」ミーナはモンスターの咆哮に負けないくらい大声で言った。この時のミーナはどこか恥ずかしそうだった。
ミーナはそのままナルガクルガの元へと進んでいった。
二つの太刀はそれぞれ夕日ののような赤と咲き誇る桜の色をしていた。
『ガルアァ‼️』
ナルガクルガはその長い尻尾をブンブンと振り回し始めた。この動作はナルガクルガの特徴的な逆立った鱗を飛ばす事で有名なものだった。ミーナもそれは知っていた。しかしミーナは危険と知りながらも、避けようとせず真っ向面から立ち向かっていった。彼女は怖いもの知らずだった。
『シャルゥ‼️』
ナルガクルガは五つの鉄砲玉のような鱗をミーナに飛ばした。ミーナは止まらない。もしこのまま喰らえば最悪の場合だって予想出来る。なのに止まらなかった。
「はぁあ!!」
ミーナは飛んできた鱗に太刀を振るう。刃は鱗に当たりなんとを全て斬り落としたのだ。荒業もしくは神業といったところだろうか。なんにせよ、彼女の太刀の腕はとんでもないものだった。
そのままナルガクルガの元へ行き斬り刻む。頭部から尻尾まで全身を斬った。
『グルァァ‼️』
やられてばかりじゃないとナルガクルガも攻撃をしたが。
「させねぇよ!」
トリシアがバスターソードを振るいナルガクルガを怯ませた。
二人とも一回ナルガクルガと距離を置く。
順調だった。このまま行けばもう少しで討伐出来る筈。そう思っていた。しかし──
太陽の暖かい光が急に無くなって辺りが暗くなる。ミーナは空を見上げる。
太陽が雲に隠れていた。
だんだんと辺りがもっと暗くなってゆく。この事態は避けたい事だった。これではナルガクルガの姿が捉えにくくなってしまうから。
吹く風も不気味だ。
『グルゥゥ……‼️』
ナルガクルガの目がさっきよりも赤くなり尻尾に棘が生えてきた。
「嘘でしょ…こんな時に”興奮状態”?」
”興奮状態”、ナルガクルガの身体能力が高まっている状態。さっきとは別物と考えていいものだった。
ナルガクルガは赤い残光だけを残しその場から姿を消す。
「しまった!嬢ちゃん気をつけろ!!何処から襲ってくるか分かんねぇぞ!!」
ミーナは混乱していた。さっきは異様な獣の臭いで分かったが今は血の臭いで分からなくなってしまった。
『シアァァ‼️』
突然、赤い光と共にナルガクルガはミーナの目の前に現れ攻撃をしかけた。ミーナはそれを喰らってしまった。咄嗟に防御した為大きい怪我をした訳じゃなかったが身体にとっては大きいダメージとなった。
「ガハッ!?」
「おい嬢ちゃん!?大丈夫か!?っておわ!?」
まだミーナを襲ってから間もないのにもうナルガクルガはトリシアを襲った。トリシアは咄嗟に避けて一発顔面にいれてやったが怯みもしなかった。
「うぅ…トリシアさん、私に任せてもらえませんか…?」
ミーナは痛みをこらえながらトリシアに訊く。
「まさか…ナルガクルガをか…?」
ミーナは頷く。どうやら策があるらしい。
「分かったが俺も援護するからな。」
「ありがとうございます。」
ミーナは何かの液体が入った瓶を取り出しそれを灼炎のルーガーにかける。
『グルァァ‼️』
またナルガクルガは赤い光と共に攻撃をしかけて来た。ミーナはその攻撃をカカルクモナキで受け、ルーガーで攻撃をした。太刀一刀で受ける訳だからさっきよりもダメージは大きいがミーナはこれを繰り返していく他なかった。
ミーナ達は何度も受けては攻撃を繰り返した。もうミーナはボロボロで今にも倒れそうだった。
「おい嬢ちゃん!!もう限界だ!一旦下がるぞ!!」
トリシアはボロボロのミーナを心配して下がろうと言う。しかしミーナは。
「いいえトリシアさん。あと一発!次の一発が決まれば!」
ナルガクルガは木々から地面へと降りた。もう体力の無い獲物を仕留める為に。
ミーナは武器を構える。次の一発を決める為に。
お互い同時に動き出した。ミーナの太刀のルーガーがナルガクルガの迅翼に擦れながら刃を進ませナルガクルガの胸に刺さる。反対のナルガクルガの腕はカカルクモナキで抑えられていた。
いくら胸に刃が刺さってもモンスターはそれくらいじゃ死なない。トリシアは急いでミーナを助ける為に向かう。ミーナの負けだと思って。
しかし違った。トリシアは驚きの光景を目にする。
なんとナルガクルガの身体が燃えていたのだった。炎は止まることを知らずどんどん燃えてゆく。
一体何があったのだろうかとトリシアは分からないままだった。しかしナルガクルガの身体を見てやれば液体がたっぷりと着いていた。さっきミーナが太刀にかけていた液体にそっくりの。
トリシアは液体の正体に気づく。
「まさか”油”?ナルガクルガの迅翼でルーガーを研いで火花発生させ、燃やしたのか?」
けれど火花と油だけじゃここまで燃えるのか?新たな疑問が出てくる。いや…ディノバルドの武器ならば可能なのかもしれない。あの”斬竜ディノバルド”の武器ならば。
『グルァァァァァ‼️』
いつの間にかナルガクルガを包む炎は消えており、残っていたのは焼死体だけだった。
~~~~~~~~~~~~
「本当にごめんなさい…手に入る筈だったのナルガクルガの素材をあんな風にしてしまって…」
「いやいや命があるだけマシだと思うし嬢ちゃんのお掛けで俺は生きてるんだからな多分。」
ミーナは反省していた。ナルガクルガの素材は売ればそれなりの大金が手に入るほど高価な物だ。それを全て焼いてしまった。普通のハンターならば怒っても当然なのだがトリシアは全く怒らなかった。
トリシアはポッケから煙草を一本出すと焚き火の炎で火を着け口に運ぶ。
「なぁ嬢ちゃん。お前さん新大陸知ってるか?」
ふぅーっと煙を吐きながら突然そんなことをミーナに訊いた。
「えぇ知ってます。確か古龍渡りがどうのこうの──」
「あぁ知ってるならいい。それでよ嬢ちゃん…行きたくねぇか?新大陸によ?」
「えっ私が…ですか?新大陸に…?」
一体何故なのだろう?何で私が新大陸に呼ばれるのだろう?ミーナは疑問ばかりだった。
「実はな新大陸に仲の良い奴がいるんだがな…一人優秀なハンターをスカウトしてきてくれねぇかって言われてよ…それを考えてたんだが嬢ちゃんがいいなと思ってな…勿論嫌なら良いんだぜ?」
ミーナは考えた。言ってしまえばこれは一生に一回のチャンスだろう。これを逃す訳にはいかなかっ
「行かせて下さい!」
「おし!任せな!ちゃんとロジエの野郎には言ってあるからな。安心しろ。」
「師匠は何て…?」
「嬢ちゃんに任すそうだ。」
なんとも師匠らしい。ミーナはそう思う。
「詳しい事は後日話すよ。」
「はい分かりました。」
ミーナは顔を上げる。
今日の夜空は一段と綺麗だった。
~~~~~~~~~四年後~~~~~~~
「いやまぁ嬢ちゃんも随分と大人になったな…」
「そう言うトリシアさんこそ随分年を取って…」
「バカ野郎、俺はまだ二十八だ。」
此処はベルナ村の飛行船場。
今日ミーナは新大陸に向けて旅立つのだった。
「分かってるか嬢ちゃん?タジアンに着いたらそこから船に乗ればいい。新大陸行きのな。」
「えぇ分かってますよー。」
四年も経てばトリシアへの口の利き方も変わっていた。
「たっくロジエの野郎…見送りにくらい来ればいいのにな…」
「ハハッ師匠も忙しいですから…」
「そうだけどよ…嬢ちゃん忘れ物はねぇか?」
「もう!子供扱いしないで下さい!」
「二十八のおじさんからしてみれば十六なんてガキだ馬鹿。」
トリシアはミーナに笑顔を見せた。今までミーナが見てきた中でも見たことの無い笑顔。まるで家族のように暖かみのある笑顔だった。
「じゃぁな嬢ちゃん!元気でやれよ!たまにはこっちに顔でも見せに来てくれよな。」
「はい!分かりましたー!」
ミーナはトリシアに手を振った。トリシアもそれに反応し小さく恥ずかしそうに手を振る。
そしてミーナの乗った飛行船はタジアンに向けて出発した。
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ここから彼女は沢山の出逢いと別れを経験する事になる。少女は一体、新大陸でどのような景色を見るのだろうか。
これは星に駆られた一人のハンターの物語。
──完
読了ありがとうございました‼️
一度削除したものなので再投稿したものになります。
これを読んでみて面白いと思っていただければ嬉しいです。
ではまた‼️
導きの青い星が輝かんこと…