ハヤテのごとく!最終話、ちゃんと見て来ました。ナギが意外とアレだったことに驚きを隠せないと共に、この小説でどうにかできないかと画策中・・・色々気になる事があり過ぎて何か少し物足りない感があったのは気のせいではないと思います。かなり遅れましたが畑健二郎先生、13年間お疲れ様でした!
今回はハヤテVS謎のヒロインYではなく、普通に原作通りの流れとなります。それでもゾンビ、普通に終わるはずがないと言う事で。では、どうぞ。
ユーと再会・・・いや、初めて会った時、少しだけ安心感を感じた。そりゃそうだ、私と、同じようにユークリウッドさんから輸血された彼女達しか「人外」なんて居ないと思っていたから。自らをネクロマンサーだと名乗っていた彼女に再会した時、ゾンビになった彼がいるって聞いて昂ったんだ。
だから、翌日雛鳥を助けに木を登っていたら彼を見付けて、それでちょっと油断して翼を出しっぱなしにしていたから・・・まさか、こんなことになるなんて。てか今私、飛んでなかった?えっ、飛べるのこの翼?飛行機でもないのに?低空飛行なら何回かしたことあるけど・・・滑空とかできるのこれ?
というか彼、首がポッキリ折れて頭が地面に埋まったまま動かないんだけど・・・空飛べるか議論していた思考を元に戻して、慌てて彼に問いかける。
「ん?あ、ごめんなさい!だ、大丈夫?」
「い・・・いえすおふこ~す・・・」
あ、生きてた。よかった・・・さすがゾンビ、頑丈ね。私だったら死んでた。・・・じゃない、早く助けださないと!
話を終えた桂先生と別れてハヤテを捜していると、珍妙な図が視界に入って来て私は目を疑った。
「だ!だ!だ!大丈夫!?もしかして私、殺人者になったりしてないわよね!?大丈夫よね?!人より数倍は治癒力ある私でも死にそうな重傷に見えるんだけど!?セーフ!?アウト!?」
「僕がゾンビじゃなかったら死んでましたね、はい。何とか大丈夫です。敢えて言うならセウトです」
「冗談言ってる場合じゃないでしょ!?」
折れた首を背中側にプランプラン揺らしてる不気味な姿のハヤテと、何故か背中に出している翼をバサバサと羽ばたかせて涙目で慌てるヒナ。何があったし。そしてこれ、一般人に見られたら言い訳のしようがないんだけど。とりあえず気付かせるために近くの木をコンコン叩いて音を出すと、二人はこちらに気付いてハヤテは背中を、ヒナは顔をこちらに向けてきた。夜じゃなくて昼でよかった、普通に怖い。この間哀ちゃんが借りていたDVDを纏めたぐらい怖い。
『何してるの?』
「あ、ユー!ねえどうしよう!執事君は大丈夫って言ってるけど本当に!?どうやったら治るの!?」
「あの先生は撒けたんですね、よかったです」
『落ち着いてヒナ。そして反省しろハヤテ。早く直せ』
「いや、僕もさすがに初めてこうなって混乱していたというか・・・息がしにくいんですね、初めて知りました」
『首が取れて生首になったら直接気道から息継ぎできるから楽なんだろうけど』
「なんで普通に喋れて普通に生きているのか不思議でなりません」
『今更殊更』
気にするな。ハヤテが「よっ」と頭をくっつけている間に歩み寄り、ハンカチでヒナの涙を拭い取る。ふむ、葉っぱの人みたいにドライじゃないようだ。いやこれが普通か。
「あーびっくりした・・・駄目じゃない、ちゃんと受け止めないと危ないわよ」
「人が無事だと分かったらそれですか。危ないと思うなら最初から飛ばないで下さいよ・・・」
「ム・・・ごめんなさい。でもそんな怒鳴らなくても・・・下手な事じゃ怪我しないと分かっていても凄く怖くて、一秒でも早く下に降りたかったのよ・・・貴方達には言うけど、私・・・高所恐怖症だし・・・」
やっぱり治って無かったか。昨日、低空飛行で来ていたから可笑しいとは思ったけど。空飛べる種族なのに実にもったいない。そう言えば原作の桂ヒナギクは、私が見ていない先で高所恐怖症を克服できたのかな?ギリシャ編で飛んでたからワンチャンあるよね。
しかし力加減含めて10年も吸血忍者やってるのに慣れてないのか。・・・いや、教える人がいないからかな?他にはいないのだろうか。
「まあいいですけど…はしたないですよ?女の子がスカートであんな高い所に上って・・・」
「別に平気よ?下、スパッツだし」
「な、何考えてんですか!?」
ぴらりと恥ずかしげもなくスカートをめくり上げたヒナに狼狽えるハヤテ。いや、スパッツでもそれは止そう?私だけならともかくハヤテはちゃんと思春期なんだから。
「お、女の子ならもう少し恥じらいを・・・そもそも!何で翼出すためにめくり上げてるんですか!下着が丸見えですよ!」
「んな!?純情かと思えばちゃっかり見ているなんて・・・何で今更赤面してるのよ!もしかして三千院家の執事さんは情緒が小学生並なのかしら?」
「むっ、人をからかって・・・大体高所恐怖症ならそう言ってください。別にいきなり飛ばなくても言ってくれれば助けに行きますよ。いくら吸血忍者?と言っても女の子なんですから・・・」
「・・・へー、言ってくれれば助けに来てくれたんだ・・・ゾンビとは思えないぐらい紳士的ね」
「はい、当り前です。だけどゾンビですからそう思われるのもしょうがないですね」
・・・人外同士で何か仲良くなっとる!?何か妬けるぞ。ハヤテとナギだったらこうはいかないのに何故だ。
「でもどうして高い所が苦手なのに翼を出してまであんな所に?」
「しょうがないじゃない。あの子、巣から落ちて泣いていたんだもの」
「あ・・・雛鳥ですか」
ハヤテの視線の先に目を向けると、そこには小ぢんまりした巣の中でピーピー泣いている雀がいた。ヒナが蹴ったせいか枝が折れてちょっとずれてるけど気のせいかな?
「今時そんな理由で下りれもしない木に登ったんですか?
『他の人を呼ぶとかなかったの?』
「な、なによ!またバカにする気!?気付いたのが予鈴直後で私しか居なかったのよ、悪い!?」
『ならしょうがない』
「はい、しょうがないですね。それにとても感心しました。すみません、失礼な事言ってしまって」
「へ・・・?あ、いや・・・分かればいいのよ・・・?」
『なぜ疑問形』
この戸惑いはハヤテの優しさに慣れてないからしょうがないか。とか思いながら「これで雛は安心・・・」と言い掛けて見返し固まったハヤテに、私とヒナもそれに続く。そこには、バサッと言う音と共に舞い降りた漆黒の鳥が雛の居る巣をジーッと見つめる光景があった。カラスである。雑食性だが、動物質の餌を好む。つまり、雛=餌なのだろう。それに気付いたハヤテとヒナは慌てだした。
「わー!バカバカ、なんなのよあのカラス!?」
「ピンチですよ!今、小さな命が風前の灯火ですよ!ユー、どうにかならない!?」
『追っ払えばいい』
「そうね!バカカラス!どっか行きなさい!」
「駄目ですよ!?そんなの投げて、もし当たったらまだ幼い雛鳥の前で同じ鳥類のスプラッターを見せる事になりますよ!?」
木の葉の苦無を両手にありったけ握って放とうとするヒナを慌てて止めるハヤテ。いや、そんなの投げたら雛ごと細切れになると思うんですが。かといって燕返しでも真っ二つは避けられないし・・・ヒナじゃ飛ぶぐらいしかどうにかする方法はないね。つまり詰んでる。
ちなみに私も直接喋るぐらいしか役に立たない。そして私は身内以外の命はぶっちゃけどうでもいい。そこまで優しくはなれないし、雛を助けるためにわざわざ喋る気はない。・・・こんなこと言ったらヒナや哀ちゃんとかにボロクソ言われそうだ、表に出さないでおこう。
そんなこんなのうちに親鳥と思われる二鳥が飛んで来たが、美しい親子愛が救うと思いきやカラスの一睨みで逃げてしまい、ヒナはそれにショックを受けたかのように泣き出してしまう。まあ、うん。ハヤテよりも・・・ね。
「だ、駄目よ・・・そんなの駄目よ。お父さんやお母さんが子供を見捨てて逃げる様な事をしちゃ駄目・・・そんなの絶対、だめぇ!」
ついに嘴を開いて雛に襲い掛かろうとするカラスに、そう叫んで翼を出して飛び上がろうとするヒナの手を、握る男が一人。
「どいてください、危ないですよ。・・・81%」
瞬間、何時もより1%だけ上げると言う手加減した状態で放たれた投石が雛とカラスの間を音速で通過。次の瞬間凄まじい衝撃波が吹き荒れて空まで吹き飛ばされたカラスは冷汗を流し、雛鳥は何とか巣にしがみ付いてこちらは目を回しており、そんな二鳥と共にヒナも一筋の汗を流してハヤテを見る。いい笑顔であった。
「カラスさん。その辺で引いてもらわないと今度は当てる事になるんですが・・・木端微塵にはしたくないのでできるだけ手加減はしますが、保証できません。それでもいいならそのまま食事をお続けください。まあ、させませんが?」
その圧力に怖気付き、逃げ出すカラス。ハヤテが駄目押しとばかりに今度は軽くポイッと放り投げると、完全にビビったのかカラスは自分に当たる筈もない石から全力で逃走。その場を去って行った。
えげつないぞハヤテ。この間のギルバートの時から何かデンジャラスになってません?デンジャラスゾンビなの?キ●ガイになられたら困るんだけど。
「よかったですね、僕以外誰も無事で済んで」
「・・・もしかして根に持ってる?ていうか私には投げるなと言って置いて自分は投げちゃうんだ・・・」
「僕はコントロールがいいので。あと、アレはさすがにオーバーキルかと」
「なっ!?私がノーコンだって言うの!?・・・確かに葉っぱ手裏剣なんて初めて使おうとしたけど…」
それなんてグリーンシノビ?フウマシップウジンとかしちゃうの?・・・できそうだな、吸血忍者なら。
「それに、もう気にしていませんよ」
「なんでよ。私、貴方を殺しかけたのよ?しかもうっかりで。少しは根に持ってもしょうがないじゃない・・・大体貴方、さっきから・・・」
「ハヤテです。綾崎ハヤテ、ゾンビで執事やってます。・・・もう気にしていませんから友達になりませんか?貴方の名前は?」
「へ?あ、その・・・桂ヒナギクよ。吸血忍者です・・・、はい」
笑顔で名乗るハヤテに、何故か緊張し顔を真っ赤にして応えるヒナ。うん、可愛い。でも、原作初期よりかなり奥手になっている感じがする。色々あったのかな。
「桂ヒナギクさんですか。いい名前ですね」
「貴方も、ピンチに必ず駆けつけてくれそうな名前ね。・・・じゃあ、受け止めてもらったお礼と殺しかけたお詫びついでに、貴方がさっき興味を持っていた時計塔の上に連れてってあげようか?あ、もちろんユーも一緒に」
『喜んで』
「え?でも時計塔は生徒会の人しか入れないんじゃ・・・僕達、一応部外者ですよ?」
「大丈夫よ。その生徒会の会長は・・・この私、桂ヒナギクですから」
「・・・えええ!?」
その生徒会長様が雛鳥如きの為に授業に出ていない訳だが、いいのだろうか?・・・先生方に信頼があるって大事だよね。
「なるほど。時計塔の中に生徒会の人しか入れないのは生徒会室がこの中にあるからだと」
「そ。まったく、何処のバカがあんな高い所にわざわざ生徒会室を置いたのか・・・」
「高い所が苦手な桂さんには辛いですね・・・僕はいいですよ?別に無理に上らなくても、こうして近くで見れただけでも満足です。ユーは?」
『できれば見てみたい』
というかここの全貌を見たい。本当に広すぎる。ハヤテが時計塔の近くにいるって覚えていた私でも時計塔目指して歩くだけでかなり時間を喰ったし。
「だそうよ。それに、貴方も一度くらい登ってみたいって言っていたじゃない。だったら登った方がもっと満足できるわ。せっかくのチャンスをフイにする物じゃないわよ、それに私からのお礼兼お詫びだって言ってるでしょ?」
『もらえるものはもらうべき』
「でも桂さんに悪いですよ・・・」
「綾崎君。少しぐらい我儘言わないと、幸せを掴み損ねちゃうわよ?・・・にしても、本当にバカじゃないかしら。あんなところに生徒会室作るなんて・・・ノイローゼになった生徒会役員が自殺でもしたらどうする気なのよ」
『縁起でもない』
「あら、演技じゃないわよ?」
・・・あ、後から恥ずかしくなって赤くなった。でもそれ、私が前に言ったネタと駄々被りだよ・・・まあいいか。おや、ハヤテが笑っている。
「・・・じゃあ行くわよ。私は生徒会長なんだから気にしないでいいわ」
「は、はあ・・・」
「男の子がそんな曖昧な返事しない!」
「はっ!はい!」
『どうしたの?』
「いや、なんか・・・ちょっとお嬢様と似てるかもって」
なるほど・・・確かにヒナ、ナギに似てるかもね。だからこそ仲良くなれてるんだろうけど。
そんな訳で時計塔の上、生徒会室までやって来た私たち。今頃マリアさんがナギに電話して私たちが着いてない事を聞いている頃だろうか?満足したら急いでハヤテの持っている弁当を届けないとね。
「うわー、凄い景色ですねー!」
『高い。校舎の周りがほとんど森って広すぎる』
「ふ・・・どう?素晴しいでしょ?この時計塔からの眺めはまさしく絶景・・・あまりの美しさに瞬きすら忘れてしまいそうになるでしょ?」
「そんな奥からは見えませんよね?」
「私はいいのよ。心の目で見てるから」
心の目って。というか優雅に室内を見て紅茶を飲んでいても締まらないよヒナ。
「でもここからだと校内の様子が一望できますね」
「でしょ?ここに生徒会室があるのは生徒の様子をしっかりと見つめる為なんだから」
「桂さんはここから見たことあるんですか?」
「ある訳ないじゃない。直接地上で見た方が早いわ」
『言い訳乙』
「はは、でも本当に・・・学校、楽しそうですね」
何やら授業中の生徒たちを見て黄昏ているハヤテ。少しは学校に通いたくなったかな?いや、あれは心底羨ましいけど諦めている顔だ。
「・・・あれ?でも今、授業中みたいですけどいいんですか?桂さんは出なくて」
「・・・・・・・・・・・・あ、そう言えば予鈴・・・」
「桂さん!?」
「あーもぉ、うるさいうるさい黙れ――――――!」
うおう。まるでナギみたいな逆ギレである。そして完全に忘れていたなこの生徒会長。自分で予鈴の直前に雛を見付けたとか言っていた癖に。
「仕方ないじゃない!チャー坊助けているうちに授業始まっていたみたいなんだから!途中から何て恥ずかしくて入れないわよ!それに生徒会長の私がそんなことできるとでも!?」
「まあそうかもしれませんけど・・・単位とかは・・・?」
「全然問題ないわよ。生徒会長、なめないでいただけます?」
「あ、はい・・・」
『ところでチャー坊とは?』
「さっき助けた雛鳥よ。茶色の雀だからチャー坊」
「「・・・・・・(うわぁ)」」
今、確実にハヤテとシンクロした。それが確信できる程、残念なネーミングセンスだ。私だったらブラウンさんと名付けるね。何でって?茶色いから。・・・もしかして同レベルか私!?せめてヴィリエなネーミングセンスを・・・!いや、アレはあれで駄目か。ハヤテから突っ込まれること間違いなし。
そう言えば私、大先生みたいに炭酸飲んだら酔ったりするのかな?炭酸の喉に来る感覚が大嫌いだからお茶しか飲んでないから分からん・・・ありえそうで怖いぞ。気を付けよう。
「な、何よ!漫画と名前は分かりやすさが大事なんだから!」
「いやでも単純すぎませんか・・・?」
『これ、小説。無駄に凝ってる方がいい』
「うるさい!あんまり口答えばかりしてると不審者として警備に突き出すわよ!」
「すみませんすみません、それだけは勘弁してください不意打ちで昇竜拳喰らったばかりなんです・・・」
「・・・なんで昇竜拳?」
『何か色々残念な先生にやられた。入るのも一苦労』
「・・・・・・そ、そう。大変だったわね」
あ、ヒナが姉の事を知られる訳には行かないとばかりに冷汗をかいている。・・・一応話はしたけど、私も逃げ出したから今頃私たちを追ってるんだろうなぁ・・・さすがに残念チートとは一戦交えたくない。手加減して勝てる気がしない。
「あ、ユー。そろそろお嬢様にお弁当を届けないと。もう昼ですよ」
『ヒナ、ありがとう』
「はい、ありがとうございます。桂さんのおかげで一生忘れられない景色を見ることができました。感無量です」
エレベーターを待ちながらそうお礼を述べるハヤテ。そうだね、もう見られないかもしれないね。・・・そうはさせないけど。
「あら?もう二度と
「はは・・・そりゃもう来れないでしょう?僕みたいな貧乏人がこんな名門校の敷地に居る事自体がありえない事なんですよ?」
「どうかしらね?そのうちマメに出入りする様になるかもしれないわよ?」
ね、ユー?と口パクでアイコンタクトしてくるヒナに私は頷く。そうだ、まだこれは第一歩。ここから始めないと行けない。
「そんなまたまた・・・桂さんも冗談がきつい・・・」
「ヒナギクと呼びなさい」
「へ?」
「なんならユーみたいにヒナ、でもいいわよ?桂って言うとね、同じ名前で私より目立つ人がいるからみんな下の名前で呼ぶの」
「ヅラの人ですか!?」
「違うわよ。貴方まで言うか、この兄妹は・・・。とにかく、私の事はヒナギクって呼びなさい。いいわね?綾崎・・・ハヤテ君?」
笑顔でヒナにそう言われたハヤテはどぎまぎと顔を赤くする。いいねハヤヒナ。私は好きだ。と、その瞬間だった。
「見付けた!不審者ー!」
「「「!?」」」
到着したエレベーターの中から現れたのは、自称謎のヒロインY。その名は、桂雪路。・・・桂ヒナギクの、信じられない事に姉である。そう、姉妹なのだこの二人。似ているところは目ぐらいしかないけど。
「な!な!謎のヒロインYさん!?」
「お!お姉ちゃん!?」
「え?・・・お姉・・・ちゃん?」
「うん、雪路お姉ちゃん。恥ずかしい事に、私の姉です・・・なんか、ごめんなさい」
「あ、はい」
「くっくっくっ!不審者め!ここで会ったが百年目!まあ実際は百年どころか一時間も経ってないけど人間の寿命から考えて、この台詞を言葉通りの意味で使った奴なんて前世から因縁ある奴ぐらいしかいないから大丈夫!
私から給料を奪う存在なんてええ、皆殺しよ皆殺し!かの数学者ピタゴラスも自著でこう述べてるわ!【
「え?あ、はい・・・そうですね・・・?」
『いやピタゴラスそんな事言わないから。言ってるの自称セイバーなアサシンだから』
仮にも教師が間違った知識を大声で叫ぶとは・・・いいのかそれで、白皇学院。こんなんが教師でいいのか?・・・まあ小学生が生徒会長したことある学校だしオタク教師いるし問題ないのかな。理事長さん仕事しろ。
「待ってよお姉ちゃん!この人たちは不審者なんかじゃないわ!」
「フハハハハ!不審者じゃないかは関係ないのよヒナ・・・!重要なのは、不審者の侵入を許した私の給料が大変な事になっちゃうのよ!これ以上ヒナに迷惑かけたくないからお姉ちゃん、頑張るわ!」
そう叫んで振るわれる竹刀。虎竹刀じゃないことを祈って受けるしか・・・!と、私とハヤテに到達する前にその一撃は、ヒナの振るった木の葉剣(新聞紙の剣みたいに丸められて刃が無い)で受け止められていた。おおう、私でも反応できない様な速度を容易く・・・生徒会長すげえ!
「ぬ・・・ヒナ!」
「まったく・・・また訳の分からない事を言って・・・大体お姉ちゃんねえ、私に迷惑かけたくないとか言って思いっきり迷惑かけてるじゃないのバカー!」
「ぬう!?」
腕力だけで竹刀を叩き割ったヒナからバックステップで離れる謎のヒロインY改め桂先生。しかしすぐさま廊下に飾られている騎士甲冑から奪い取ったサーベル(刃が潰れているから多分レプリカ)を構える辺り、無駄にハイスペックだ。
「腕を上げたわねヒナ!けどその程度じゃお姉ちゃんは止まらないわ!そして給料のプライスダウンも止めさせない!」
「よく言うわ。私、お姉ちゃんに喧嘩で負けた事なんて吸血忍者になる前から一度も無いじゃない。負けた事があるのはお姉ちゃんのその無駄に重ねた
「なっ!?お姉ちゃんのウィークポイントを口撃するなんて・・・いくら妹とはいえ、許さないわよヒナ・・・!」
「別にお姉ちゃんに許されなくてもいいもん。それより先月貸した二万円はいつ返って来るのかしら?」
「ひ・・・卑怯だぞ!諭吉を人質にとるなんて!名前が似ているから大好きなのに!」
「とってないわよ」
「諭吉は私と違って偉いのよ?凄いのよ?「学問のすゝめ」は340万部も売れたのよ!」
「知らないわよなにその豆知識」
そのまま口論を続ける姉妹。それに比べて私たち兄妹は明らかな蚊帳の外である。
『ハヤテ。ヒナに任せて早く行こう』
「そうですね・・・あのー、僕達このお弁当をお嬢様に届けに・・・」
「獲った――――――――!」
「「「!?」」」
その瞬間、私達が反応する間も無く、ハヤテの手からお弁当が消えた。桂先生がその手に握った剣で引っ掛けたのである。そのまま何故か手摺に飛び乗り、人質の様にこちらに弁当を向けて来た。
「お姉ちゃん!」
「クククッ・・・ヒナ、これを返して欲しい?でも来れるのかしら、高所恐怖症の貴方に?私、お姉ちゃんだからヒナの弱点は熟知しているのよ。来れないなら今すぐその不審者達をこっちに引き渡しなさい。そして二万円をチャラにしなさい。あと、後から怒らないでくださいお願いします」
「「・・・」」
何で最後だけガチ頼みなんだ・・・そんなに怖いのかヒナが。
「馬鹿にしないでよお姉ちゃん。私は白皇学院生徒会長・桂ヒナギク!お客様を、そして何より友人を不審者扱いする事なんて断じてさせないんだから!」
「・・・さすが我が妹・・・って!?」
「お姉ちゃん!?」
何やら決め顔で呟いた桂先生の顔とヒナの顔が同時に青褪める。ふわっと、浮かんでいたのだ。風に流されて。その瞬間、私は考えるより先に口を開いていた。
「ハヤテ!助けろ!」
「はい!」
その言葉を受けたハヤテが、人智を超えた速度で桂先生の腕を掴み、引き上げる。でもその手からお弁当箱が消えていて・・・
「まったく。危ないですよこんな所登っちゃ・・・!」
「ハヤテ!?」
「ハヤテ君!?」
そのまま、ハヤテは躊躇なく
「うおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおっ!」
ハヤテは体勢を変えて弾丸の様に降下、落下していた弁当箱を抱きかかえるとそのまま足を下にし、地面と激突。粉塵が舞ってその姿が見えなくなる。常人ならばぺちゃんこになって染みになる高さだ・・・無事なのか、と心配していると。
「・・・・・・・・・・・・ッッッッ!」
普通に踏ん張ってクレーターの中に着地していた。痛みを堪えているけどよく耐えたな、と思った瞬間。ブシャッと言う音と共に両足が潰れて倒れ込んだ。・・・ありゃ回復に時間がかかるな。助けに行こう。そう思い、振り返る。そこには涙目のヒナと、信じられないとばかりに目をひん剥いた桂先生がいた。
「・・・三千院家の執事、凄いわね・・・まさか生きてるなんて・・・」
『ようやく信じた?』
「ね、ねえユー・・・ハヤテ君は無事なの?お姉ちゃんを助けてそのまま死んでたりしないわよね・・・?お礼、言えるわよね・・・?!」
『大丈夫だ、足が潰れたけど問題ない』
「問題大有りよ!?」
そんな訳で三人で迎えに行くと、ハヤテはあまりの痛みに悶絶して半ば気絶していた。・・・首の骨が折れたり、本当にお疲れ様だ。でも躊躇なく、お弁当のために身投げするのはやめてほしいな。ゾンビだって万能じゃないとちゃんと言って聞かせなきゃ。
「おおー!待っていたぞユー、ハヤテ!さっき地震があったみたいだが大丈夫だったか?」
「ああ、はい、ええ・・・」
「ところでズボンが破けているけど何かあったのか?」
『話すと長い』
テラスで伊澄ちゃんと共に待っていた、結構楽しみにしていたらしいナギに弁当を渡し、何とかミッションクリアした私たちであった。
なお、前回よりも重傷な模様。
ゾンビになったせいか原作よりもデンジャラスになっているハヤテ。明日はどっちだ!
残念ヒロイン化が進行している桂姉妹。このヒナギクは割と簡単に涙目になります。
原作と違ってお弁当は無事に済みました。あそこまで楽しみにしていたナギをがっかりさせるのはどうかと言う事でハヤテに身を削っていただきました。頭から行ったら記憶失っていても可笑しくなかったです。
次回はついにこれゾン的にも欠かせないあの名前の彼女が登場!自称妹のユーがいる事でどうなるのか。最近一番書きたかったために早く更新できると思われる次回もお楽しみに!感想や評価などをいただけると励みになります!特に、感想をいただけると感無量です!