もしもお嬢様を1mmも理解してないゲーマーがセシリアに憑依したら 作:まみま
「オッス織斑先生掃除終わりやした!」
「オッスちーちゃんチェックオナシャス!」
「……まあ、いいだろう」
「「アザース!」」
あの後、何時間かかけて掃除を終えたわたくし達はようやく織斑先生から解放されましたわ。途中で束さんが自分の発明品を使おうとしていましたが、自分の手でやらないと反省にならないだろうと織斑先生にアイアンクローを食らっていましたわね。
織斑先生の部屋の前に報告をしにいったわたくし達を一瞥し、障子を閉めると同時に束さんがわたくしに耳打ちをしてきますわ。
(よし! ちーちゃんも行ったし途中から始めるよ!)
(一時中断されてしまったのは惜しいですがもちろんですわ! 朝までかかっても勝負を決めますわよ!)
「まだ反省が足りないようだな? 次は5kmほど隣にある一般のビーチの掃除でもしてもらうか?」
「「ウス! サーセン!」」
これはダメですわね。勝負は次の自由時間までお預けにしましょう……
「そうそう、束さんはなんでわざわざ臨海学校の時に来たんですの? 筐体が用意できるならメッセージで誘ってくれればいきますのに」
「んー? ああ、今回の100先は2つある目的の内の一つだからね。両方を一気にやるにはこのタイミングがうってつけだったのさ」
「へえ、もう一つとは?」
「それはね……いや! 明日になればわかることだよ! じゃあ早速……」
束さんはそう言いながら、どこからともなくノートを取り出しましたわ。
「コンボ考察に付き合え」
「任せなさい」
どっちみち部屋に帰ったらあのドMクソロリが待っていることですし、わたくしと束さんは廊下でノートを前に一夜を明かしましたわ。なるほど、この執念が彼女を強くするんですわね……
「で、専用機持ちに加えて箒さんが一般生徒とは別の集合場所を指定されたわけですが……あなたの目的はこれ関係ですわね?」
「うん! その通りだよ! まあ大体予想はついてると思うけど、その瞬間までお預けにしようか! じゃあ後でねー!」
と、何処かへ走り去っていく束さん。ステルス強襲みたいな人ですわね。チンパンみたいな行動しといてアホみたいなIQ持ってるから厄介ですわ。むしろIQを突き詰めるとチンパンになるのかしら?
集合場所の岩場にはわたくし以外のみなさんが先についていましたわ。なんかいつもわたくし最後になってる気がしますわね。
「遅いぞ! オルコット!」
「そうだぞご主人様! 部屋にも帰ってこないで……」
「セシリアはなにをしていたのかなぁ?」
頼むから朝一番にドMクソロリとヤンデレメイドの挟み撃ちはやめてくださいませ死人が出ますわ……
「や──っほ──ー!! ちーちゃーん!!」
おっとこの声はステルス強襲機の襲撃ですわね。支援機を守る必要が……あれ? 支援機誰ですの? 誰か来てくれって言ったらすぐに行きますわよ?
岩場を滑り降り、大きな跳躍をしてダイブする束さんを……アイアンクローで受け止める織斑先生。どっちも人間じゃないですわね。
「ちょっと! 昨日に続いてひどくなーい!? いっくんもそう思うよね! 金ドリルも!」
「強襲を止めるのは汎用の務めなのでしょうがないですわ」
「また訳のわからないことを言ってー! それにしても箒ちゃーん! 大きくなったねぇ! 特に……おっぱいが!」
容赦なく木刀下格を頭にキメる箒さん。なるほど、彼女の容赦のなさは束さんによって育てられたものでしたのね。初手リアルファイトは怖すぎですわよ。スラム街のゲーセンでもありませんわよそんなこと。
「ほんっとーに連れないんだからぁ!」
「おい束、自己紹介くらいしろ」
「えー! めんどくさいなあ……私が天才の束さんでーす! はい! 終わりー!」
周りの皆さんは驚いているご様子ですわね。まあこの頭脳以外残念な性格破綻女がISの開発者と知れば驚くのも無理はありませんわね。ていうか昨日生徒も観戦に来てたと思いますが、みなさんは別のことをやってらしたのかしら?
「で、わたくしは答え合わせが気になりますわね」
「ふっふっふー! さあ! 大空をご覧あれ!」
と言って、ラストシューティングのポーズをとる束さん。ゲーマーの本能がカットを入れろと騒ぎますわね。すると空から降ってきたのは……なんですのこれ、ラ○エル?
「じゃじゃーん! これぞ箒ちゃん専用機『紅椿』! 全スペックが現行のISを上回る第四世代機だよ! なんてったってこの天才の束さんが作ったんだから当たり前だね! 紅いけど残念ながらバスケはできないよ! 搭載が間に合わなかったね!」
あら残念。ついに現実世界で世紀末バスケを観れると思いましたのに……でも口ぶりからしていずれやりそうですわね。今後の運営に期待ですわ。
「さあ! この場でフィッティングとパーソナライズをやっちゃおうか! ほらほら箒ちゃん!」
「あ、ああ!」
にしても、凄まじい性能ですわね。化物みたいな速さ、嘘みたいな旋回性能、荒○者のように左右の腰に携えた一対の刀を見ると、接近戦が得意な機体でしょうか? この機動力なら大体のISには近付いて殴りにいけますわね。なにこれチート? ジ○ギじゃなくてト○じゃありませんこと?
……おや、あれは山田先生。慌てている様子ですがなにがあったのでしょうか?
「たっ、大変です!! 織斑先生! これを!!」
さあ言って彼女が差し出した端末を見て織斑先生の表情が曇りましたわ。
「はぁ……お前ら、非常事態だ。まだ指令は入っていないが、恐らくはお前達に働いてもらうことになる。一度旅館に戻るぞ」
……わたくし、もう何だかわかってきましたわ。どうせこの天才腹黒カス兎が何かやってるんですわ。ジ○ラル星人か何かですの?
(金ドリル、気がついたようだけど口出しは不要だよ?)
(どうせ口出ししても止まる気はないでしょうし、黙ってますわよ)
「二時間前、ハワイ沖にて試験稼働にあったアメリカ・イスラエル共同開発の第三世代型軍用IS『
……はぁ、こんなことだろうと思ってましたわ。あのウサギは一度鍋で煮込んだ方がいいんじゃないでしょうか? そして皆さんの間に広がる混乱をさらに加速させるのが次の言葉でしたわ。
「教員は学園の訓練機を使用して空域及び海域の封鎖を行う。よって、本作戦の要は専用機持ちに担当してもらう」
まあ、そうなるだろうとは思ってましたわ。
「そのISのデータはありまして?」
「これだ。ただし、これらは二カ国の最重要軍事機密。情報が漏洩した場合には、諸君には査問委員会による裁判と最低でも2年の監視がつけられる」
勝手に暴走させて迷惑かけといて、面の皮がゲーマーくらい厚いですわね。しかしこのスペックは……さすが軍事用と言ったところでしょうか?
「攻撃と機動の両方を特化した機体ね。スペック上では私の甲龍を上回っているのが厄介だわ。IQを高めて行かないと……」
「幸運なのはファンネルはなくてもわたくしと同じオールレンジ攻撃を行う点ですわね。みなさんも慣れていることでしょうし」
「まあ……だいぶ絞られてるからね……ちょうど本国からリヴァイヴ用の防御パッケージが来てるから、今の僕ならなんとか防御だけならできると思うよ」
「しかし格闘戦のデータがないのが不安ですね。偵察はできないんですか?」
ドMクソロリ!? ドMクソロリが軍人の顔に戻っている!? 牙を抜かれたと思っていましたが再びその目を取り戻してくれてわたくしは嬉しいですわよ!
みなさんも伊達に代表候補生ではないようで、覚悟は決めているようですわね!
「無理だな。こいつは今も超音速飛行を続けている。アプローチは一回が限界だろう」
こいつもクソ速いですわね。当然のように音速超えるのやめていただけますこと? いやわたくしも超えますけれども、世界の法則が崩れ去る音が聞こえますわね。
「……しかしご主人様と同じオールレンジ攻撃となると、食らえば気持ちよさそうだな……」
おい何ボソッと言ってるんですの。前言撤回ですわ。お前は誇りもクソもない黒豚のままでしたわ。ゲーマーはクソでもせめてプライドを持っていますが、プライドすら捨てたお前はゲーマー未満ですわ。頼むから死んでくださいませ。
「となると、一撃必殺の攻撃で沈めるのがいいでしょうね……ねっ、一夏さん?」
おい腹黒兎、これで満足でしょう? お前のシナリオ通りの冗長な時間はゴメンですわ。ここは一つ思い通りに動いてやるから早く状況を収束させなさいな。
「え……?」
「一夏、あんたの白式で落とすのよ。覚悟を決めてIQを高める作業に入りなさい」
「だけどそうなると、問題は一夏をどうやって運ぶか……だね。エネルギーは全部攻撃に使うべきだろうから、移動をどうするか」
「しかも、目標に追いつける速度が出せるISでないといけないな。超高感度ハイパーセンサーも必要だろう」
「ちょっ、ちょっと待ってくれ! お、俺がいくのか!?」
「「「「当然」」」」
そりゃもちろんそうですわよ。むしろそうしなければいけないように状況が作られているのですから……
「織斑、これは実戦だ。覚悟がないのなら無理強いはしない」
「いや……やります! 俺が行きます!」
「ふむ。ではこの中で最も機体速が速い者は?」
「一応、わたくしの高速機動パッケージが最速ですわ。ただ……」
「箒ちゃんだね! 紅椿だね!」
声がした方を見てみると、束さんの首が天井から逆さに生えてましたわ。キモッ。
「山田先生。室外への強制退去を」
「えっ! はい! えっと……篠ノ之博士、とにかく一度降りてもらって……」
「とうっ!」
クルクルと回転しながら降りてくる束さん。台風みたいなザ○ギみたいな女ですわね。何はともあれ……黒幕の登場ですわ。
「紅椿の速度はそこの金ドリルの専用機を余裕で上回るよ! ここの展開装甲をこうすれば……ほらっ!」
画面に表示されたスペックは予想通り、わたくしの高速機動パッケージを大きく上回っていましたわ。これに将来的にバスケが積まれると思うと、頭が痛いですわ。しかし全く、妹の晴れ舞台のために面倒なことをやらかす女ですわね。
「束さん、そのセッティングにはどれくらいの時間がかかりまして?」
「7分くらいかな〜?」
「では、一夏さんの運搬は箒さんが行うことにしましょう。ただどちらも場慣れしていない操縦者。箒さんに至っては初乗りの環境機でレートマに出るようなものですわ。もしもの時のために、わたくしが支援としてついて行かせていただきますわよ」
「うん! それが最善だと思うよ〜! ね、それでいいよねちーちゃん!」
「……いいだろう。オルコット、超音速下での戦闘訓練の経験は?」
「50時間ほど。連続しては6時間が限界ですわ」
「それなら十分だ。よし、作戦開始は
癪ではありますが。今回はクソウサギの計画に乗っかってやることにしましょう……