もしもお嬢様を1mmも理解してないゲーマーがセシリアに憑依したら   作:まみま

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 こんちゃ!ついにアッシマーを引き当てたお嬢様ですわ!いつも感想ありがとうございますわ!そしてネタくれるのめっちゃありがたいですわね!


お嬢様がんばる

 作戦開始時間の少し前、浜辺に集まったわたくし達は既にISを起動し、号令の時を待っていた。

 

「予定通り、箒さんが一夏さんを運搬してわたくしが後ろから随伴しますわ。お二人が目標にコンタクトした30秒後にわたくしも射程圏内に入る計算です。頭に入れておいて欲しいのは、わたくしの高速機動パッケージはBTをスラスターに回すことで機動力を得ている故にオールレンジ攻撃での援護は不可能な点。質問はありまして?」

「大丈夫だ」

「私も問題はない」

 

 返事をする一夏さんと箒さん。一夏さんの手は震えているように見え、対照的に箒さんは自信に溢れている気がしますわね。専用機を持ったことで浮かれているのでしょう。どちらにしても危険ですわね。

 

「大丈夫ですわ。主人公というものは初乗り機体の初戦闘に駆り出されるもの。それに今回は30秒だけ時間を稼げば場慣れしたわたくしからの援護もある。しかしこれが実戦であるものも事実。気を引きしめて戦ってくださいませ」

 

 緊張をほぐし、同時に決意を与えるのも経験者の務めというもの。半端な覚悟でランクマに来られてはこっちが困るんですわ。

 

「それに……いえ、これは必要ないですわね」

 

 チラリと束さんの方を見やる。彼女がこの暴走の黒幕ならば、箒さんや一夏さんが死ぬような状況になれば攻撃はやめるはず。改めて考えるととんでもないマッチポンプですわね。わたくし、談合での戦績稼ぎは嫌いでしてよ? 

 

『織斑! 短時間での決着を心がけろ! 討つべきは銀の福音(シルバリオ・ゴスペル)。今後は福音と呼称する!』

「「「了解」」」

 

『……では、作戦開始時間だ! 行ってこい!』

 

 開始を告げる織斑先生の声。箒さんは一夏さんを背中に乗せ飛び立ち、わたくしもルート通りに飛行しますわ。しかしあの紅椿、恐ろしいスピードですわね。赤ければ三倍なんて使い古された理論ですわ。

 

『暫時衛星リンクを確立。情報照合完了。目標の現在位置を確認……一気にいくぞ!』

 

 通信の向こうから聞こえる箒さんの声。予測通りの位置ですわね。

 

『見えたぞ! 10秒後に接触!』

 

 向こうは目視確認し、攻撃に入るようですわね。こちらからも紅椿と白式のスラスターの軌跡が確認できますわ。しかしどうやら初撃での決着は失敗した様子。白式と福音との格闘戦がこちらからも見えますわね。

 

「こちらも射程圏内! わたくしと箒さんで動きを止めますわ!」

『わかった!』

 

 福音の放つ水色の弾幕の中をすり抜け、レーザーライフルで狙撃を行いますわ。当然躱されますが、これは所詮牽制に過ぎません。紅椿から展開装甲が二つ離脱し、プログラムによって独自に動くそれが福音の背中を打ち据えますわ。シールド○ットみたいですわね。同時に箒さんは一対の刀で接近戦を仕掛け、福音を拘束しますわ。

 

『なっ!?』

 

 同時に、一夏さんが福音とは逆方向へ動きますわ。その先には……一隻の漁船。データを照合すると国籍不明ですわね。教員の皆さんが海域の封鎖を行っていることを考えると、どこぞの密漁船でしょう。

 

『そんな奴らに構っている暇はない! 犯罪者だぞ!?』

『でも見殺しにはできないだろう!?』

 

 漁船への流れ弾を雪片で弾く一夏さん……そうしている間にシールドエネルギーが尽きたようですわ。もう一撃必殺は不可能ですわね。つまり作戦失敗ですわ。

 

「作戦は失敗! わたくしが撤退を援護しますので、箒さんは一夏さんを陸まで運んでください!」

『だっ! だが! ここを逃せば!』

「白式のエネルギーは底をつきましたわ! 箒さん、あなたとわたくしだけで倒せる相手ではないことは先ほどでの戦闘でも分かっているはず! 今はわたくしに従いなさい!」

『クッ……了解! 行くぞ一夏!』

 

 撤退する2人を尻目に、攻撃を仕掛けようとする福音へ牽制を加えるわたくし。そのタイミングで、織斑先生から通信が来ましたわ。

 

『オルコット、無理はするなよ』

「問題ありませんわ……織斑先生。わたくしは予定通り、一夏さんと箒さんが補給を終えて再出撃するまでここに福音を貼り付けにしますわ」

『損傷があればすぐに引き上げてこい』

「了解ですわ」

 

 これは余計な緊張を与えないために、一夏さんと箒さんには伝えられていない作戦内容。ファーストコンタクトに失敗した場合、両名が他の専用機持ちと共にここに戻ってくるまでわたくしが戦闘を継続するというものですわ。元々ファーストコンタクトの失敗は予定の内。本番はセカンドコンタクトでの全員の攻撃ですわ。そしてわたくしの仕事はセカンドコンタクトまでの時間稼ぎ、そして出来る限り福音の戦闘データをみなさんにお渡しすること。

 ここへの往復と束さんの整備と補給の時間を考えると……30分から40分程度1人で時間を稼げばいいわけですわ。

 

「さて、行きますわ。対NPCのトレモみたいなものですわね」

 

 放たれる弾幕をすり抜け、放つレーザーライフルは避けられましたわね。背を向け飛び去ろうとする福音を急加速と共に踏みつけ、水面へ叩きつけますわ。

 やはりお互いに射撃戦では逃げられるのがオチ、ここは格闘戦に持ち込んで時間を稼ぐ必要がありますわね。

 しかし相手はプログラム。得意の煽りも意味をなさないでしょう。フォー○ナーでレベル3botを相手取るときのような気持ちで挑まねばなりませんわ。

 

『もすもすひねもすー! 束さんだよー!』

「戦闘中に通信とは邪魔くさい天災ですわね!」

『いやー、応援してあげようと思ってね?』

「露骨な嘘を吐きますわね! で、本当の要件は?」

『あー、その子、福音ね。さっきまでは多少戦闘力を落としてたんだけど、金ドリル相手だし問題ないと思って一番強いプログラムに変えたから! 君ならできる! 頑張りたまえー!』

「クソわよ!」

 

 個人回線を打ち切りますわ。陸に戻ったらあのウサギ捌いてやりましょう。もしくは北○以外のゲームでもう一度プライドをボロボロにしてやりますわ。

 先ほどよりも濃密になった弾幕を躱し、銃剣で斬りかかりますが上へ避けられてしまいますわ。

 

「こんな田舎のバスダイヤよりスカスカな弾幕でわたくしを止めれると思わないことですわね!」

 

 ブーストの勢いが乗せられた突きが福音の腹を打ちますが、当然決定打にはなりませんわね。そのまま福音の腕と銃剣とで鍔迫り合いに入りますが、相手の理不尽なカーブをする射撃がわたくしに当たる前に蹴り付けて下がりますわ。

 ほんっとズルいですわねこのカーブ。フ○ビドゥンのフレ○ベルグよりだいぶ曲がりましてよ。

 

「早いとここのクソISナーフして欲しいものですわね!」

 

 理不尽なタイマンを続けていると、そんな言葉も出るものですわ。バ○オペやガ○オンが可愛く見えるくらいのクソ運営ですわね。いややっぱガ○オンはダメですわ。

 

「はい10分! 陸ではブリーフィングに入っている頃でしょうか!」

 

 

《side 一夏》

 

「総員! 準備を急げ! 終わり次第すぐに全員での攻撃に移る!」

「はっ! はい! ……織斑先生、セシリアは!?」

「オルコットは現在1人で福音をあの場に縫い付けている。お前達の補給が終わる15分後にこちらにいる全員であの海域に向かい、再び攻撃を仕掛ける予定だ」

「え!? それまでセシリアは1人なんですか!?」

「勿論だ。モニターにオルコットから送られてくる戦闘の映像が表示されている。奴の腕ならBTがなくとも時間稼ぎ程度こなしてみせるだろう」

 

 モニターを見ると、セシリアからの視点の映像が映し出されていた。見ているだけでわかる。格闘戦主体の俺よりも遥かに高レベルな操縦だ。速度を落とさずに弾幕の間を抜け、そのまま銃剣を振り、距離を取られてもすぐに接近を開始する。どれだけの訓練を積めばあの動きに辿り着けるのかわからないほどの技量だ。

 

「凄い……」

 

 しかし感心している暇はない。悔しさで握り締めた手は、血が滲みそうなくらいだった。箒とセシリアが援護についていながらも、俺は福音を倒すことはできなかったのだ。

 

「悔しいか、織斑」

「……はい、悔しいです」

「あのオルコットはそれ以上の悔しさを味わって、そしてあの境地へ辿り着いた。出撃の時まで、この戦いをよく見ていろ」

「はいっ!」

 

 

《side セシリア》

 

「はい30分! そろそろ皆さんが来る頃ですわね!」

 

 接近と回避の繰り返しでなんとか30分を防いだわたくしですが……もうボロボロですわよわたくし。100先と違ってちょっと距離を取り過ぎたら逃げようとするんですから、常に張り付いて戦闘を続けたせいで頭がパンクしそうですわ! もう朝6時にゲームを始めて気づいたら夜10時とかのあの頃には戻れないんですわ! 

 

『オルコット、これより他の専用機持ちが出撃する。あと3分ほどいけるか?』

「30分やってるんだから3分くらい端数ですわよ端数! 今まで通り擦りもせずにやって見せますわ! オラ死ねェ!」

『……随分キてるようだな』

「強キャラ使いに対して道徳的有利を持つわたくし達弱キャラ使いは、強キャラ使い(チョッパリ)に何を言っても問題ないんですのよ! あークソッ! 終わったらアンチスレ立ててやりますわ!」

『言っておくが、情報漏洩は禁物だぞ』

「わかってますわ! ジョークですわよジョーク! ああっ! しかし共同の軍用だとやっぱりかけてる金が違いますわね! わたくしも家くらい売ってこようかしら!?」

 

 超ガソを撒いて着火すると同時に、海中へ潜りますわ。レーダーに映る大量の熱源と冷えた海水のギャップがレーダーに混乱を生み、わたくしを見失って飛び去ろうとする福音に真下から強襲を仕掛け、一撃を与えると同時に組みつきますわ。

 

「ほら! 夏なんですから海に入らないと損ですわよ!」

 

 反撃の隙を与えず海中に引き摺り込みますわ。反撃のレーザーを打とうとする相手ですが、熱を与えて攻撃するレーザーはこの海中では威力が下がりますわ。

 

 無理やり拘束を引っ剥がして海中から脱出する福音でしたが……その頭部装甲に何かが直撃したご様子。

 

『ご主人様! 到着しました!』

「わたくしの任務は成功のようですわね! 畳みかけますわよ!」

 

 引き続きレールガンを撃ち込むラウラさん。福音を追って空中へ出たわたくしに弾幕をばら撒きますが……

 

『データ通り! 数ばかり多くて1発1発は大したことないね! セシリア、大丈夫?』

「見ての通り、ピンピンしてますわよ。海水浴もできたことですしね」

 

 全てシャルロットさんのエネルギーシールドが防ぎ切りましたわ。

 同時に福音に斬りかかる二つの影が。

 

『合わせろ! 鈴!』

『任せなさい! 今の私のIQは600よ!』

 

 両方の翼ユニットを捥がれ、墜落する福音。そして───

 

 

『今度は逃さねぇぇぇぇ!!』

 

 

 ───青白く輝く刃が、福音を切り裂きましたわ。

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