もしもお嬢様を1mmも理解してないゲーマーがセシリアに憑依したら 作:まみま
天災カス兎の日常
「あークソッ! なんだそのコンボ!?」
「はっはっは! そう言うゲームだからしょうがないしょうがない!」
「もう一戦ですわ!」
「他の人が使ってからねー」
横浜ショッピングモールのゲーセン。私は北○ACの実力を上げるために、たびたびそこに来て練習をしていた。対面のにこちんちんと言う男は、名前はふざけてはいるがもうアホみたいに強い。気付いたらコンボ数が27になってて、そこから先はカクカクしたり弾んだりして終わりだ。
「あら? 束さんも来てたんですのね?」
「金ドリルじゃん! ひっさしぶりー!」
こっちの子はセシリア・オルコット。ただここでは金ドリルで通っているのでその名で呼んでいる。ちなみに私はジーニアスラビット……この金ドリルがつけた名だ。格ゲーやISのセンスは最低限はあるが、名付けのセンスはゴミ屑らしい。
「昨日はよくも煽りまくってくれたね?」
「煽りは勝者の義務でしてよ! あの程度の崩しに反応できないのが悪いんですわ!」
最近彼女が勧めてきたフォー○ナーとか言うゲームの話だ。北○では4:6程度に勝てるようにはなってきたが、そっちだとまだ全く勝てない。まだ何種類かのゲームを掛け持ちしているらしくて、まだまだこいつへの興味は尽きそうにないなと思う。
「あら、にこちんちんさんも」
「おう! ジサギの姉ちゃんと対戦しててな! 凄え強くなってるから金ドリちゃんもそろそろキツいんじゃないかな?」
「いえいえ、まだギリギリ勝ち越してますわよ。それに今は他ゲーで泣かせてますわ」
「はっはっは! 程々に抑えてやれな! じゃあ俺は外出て吸ってくるから!」
ジサギというのはこのにこちんちんが勝手に略した私の名前だ。こいつもネーミングセンスは地の底をいっているらしい。無精髭を掻き、スキンヘッドを撫でながら去っていくにこちんちんは……
オ! ニコチンチンジャネーカ! キャウコソハブットバスカラナ!
ウオッ! アルコウル!
スーツを着て酒を片手に持ったあるこうるに絡まれていた。
ここは全員が相手の本名など知らず、それでいて友情が成立している。今までちーちゃん以外に友達というものがなかった私には不思議な空間だ。
「台も空きましたし、わたくし達もやりましょうか?」
「だね」
しかし私はこの金ドリルにも不思議な友情のようなものを感じていた。ちーちゃんに抱くものとは違うよくわからない友情だ。
「全くさぁ! 初心者虐めすぎるのもよくないと思うんだよ!」
「始めて3日でバスケやり出した奴を初心者とは呼びませんわ」
「やっぱりジサギの姉ちゃんはセンスはやべえんだよな!」
「クソ……また負け越しだ……大将! 黒霧島水割り!」
そしてゲーセン帰りにはこのラーメン屋で夕食をとって帰るのが定番になっていた。今日は金ドリルだけでなく、にこちんちんとあるこうるも一緒だ。
にこちんちんは早々に食べ終えて店の面でタバコを吸い、あるこうるはノンストップで酒を飲んでいる。
「束さん、ゲーセンは楽しいでしょう?」
「認めるよ。不服だけどね……」
ラーメンの残った汁をすすり、水を飲む。
「……なんていうか、あそこに来れて良かったって思ってる。もっと早く来れてたらとも……」
違う。天才の束さんはこんなキャラじゃないのに。
金ドリルは一瞬意外そうな顔をして、それから微笑んでみせた。
「遅いも早いもないですわよ。あそこの人たちはみんな、みんなあなたを歓迎してますわ」
「お! なんだいい感じの会話してるじゃねえか!」
「若いなー! おじさんも若い頃はなー!」
「おいやめろよ! 同い年の俺が若くないみたいじゃねえか!」
「30前半は若くないっての! 反射神経も老いぼれてきてるだろ?」
「言ったなお前! 今から戻って第二ラウンドだ!」
「いいぜ、やってやろう」
……なんていうか、いつでも耳が痛くなるくらい煩くて、不潔で、性格が悪い場所だが……私には初めてできた落ち着ける場所だった。
ラーメン屋から自分の
「おかえりなさい束さま!」
「うん! ただいまー!」
「あれ、今日何かいいことでもありましたか?」
目ざとく私の変化に気づくくーちゃん。こういうところがいい助手なのだ。
「束さんね、友達ができたの!」
にこちんちん
スキンヘッドに髭面の大柄な男。ヤーさんとかではなく土建会社の社長さん。フランス人とのクォーターなので顔が良いがヤニカスが過ぎるのでモテない。1日3箱。持ちキャラはジ○ギ。
あるこうる
大企業で働くバリバリのサラリーマン。清潔感がある見た目で稼ぎもあるので結構モテる。ただ酒クズなので結婚はできない。日本酒を1日一升開ける。最近は薄毛が心配になってきたのでスキンヘッドにしたいが、会社的にアウトなのとにこちんちんとキャラが被るのでやらない。持ちキャラはサ○ザー。