もしもお嬢様を1mmも理解してないゲーマーがセシリアに憑依したら 作:まみま
感想をくれればくれるほどわたくしのお嬢様力は高まっていきますわ。
感想をくれた方には後一撃の場面でも焦らずに攻められるようになる祝福をかけますのでどうかよろしくお願いしますわね。
お嬢様再会する
さて、あのクラス代表決定戦の次の朝がやってきましたわ。
あの不可解な勝ち方、あれはどうやら一夏さんの自爆だったそうですわ。なんでも、彼の"雪片弐型"はISのシールドを貫通する攻撃力を持つ代わりに、発動中は自らのエネルギーも徐々にすり減らしていくそうで、最後の一撃の寸前にエネルギーが全損してしまったらしいです。内なる大力みたいですわね。あの光りかたはどちらかというと白くベタつくなにかみたいな感じでしたけれども。
まあ、不完全な勝利に納得ができなかったわたくしは、消灯後も夜通し格ゲーだのガ○ダムだのをしまくってフラストレーションを解放させていましたわ。流石に相部屋の方が寝られるように暴言は脳内だけに留めていましたので満足するまでに時間がかかりましたわね。
「この! ブラックプ○オールなんて使いやがってふざけてるんですの!? その盾で担ぐやつやめないと刑法199条に引っかかるようなことやりますわよ!? ガー不が防がれた時以上のイラつきは存在しませんわねほんと! 素直に尋常じゃんけん押しつけさせろってんですわよお排泄物がッ!」
相部屋の彼女も起き出して朝食を摂りに行ったので、わたくしも暴言を我慢せずにゲームに勤しめるというものですわ。てかブラックプ○オール死なないかしら? わたくし○蛇とブラックプ○オールとが最高に嫌いですの。なに使えばこいつらに勝てるんや? (キャラ崩壊)
と、もう時間がおヤバイので教室に向かいましょう。朝食とか食べてる時間ございませんわ。朝活のために筐体でカップ麺食べる方とかもいらっしゃるらしいけれど、ゲーマーたるもの三日三晩飲まず食わずでも戦える精神力を身につけるべきですわね。
思っていたよりも時間はギリギリだったようで、Bダッシュで急ぎ教室で机に着いたらすぐにHRが始まりましたわ。
「クラス代表は織斑くんに決定しました! あっ! 1-1の織斑一夏の一続きで縁起がいいですね!」
「……え? おかしくないですか!? なんで俺が負けたのに代表に!?」
「わたくしが辞退したからですわよ」
そう。わたくしはあの試合の後織斑先生に辞退を申し出ていましたわ。
というのも、あの勝ち方が気持ち悪かったからですわ。例えるなら一ドット削る瞬間に相手の回線トラブルで不戦勝になったようなもの。一番キモい勝ち方ですわね。
……あと、代表になったらゲームの時間もつぶれちゃいそうですし……
「残念ながらわたくし、あんな決着で納得できるほど人間がなっていませんの。再戦を望むのも手間でしょうし、手っ取り早く辞退させていただきましたわ。ま、何はともあれ代表就任おめでとうございます!」
最後に拍手をしてみせると、周りの生徒達も拍手で応えてくれましたわ。ノリが良いのは良いことです。あとは観戦中に腕を組むようになれば文句なしですわね。
その後は特になにもなく、授業で1日が終わりましたわ。
さて、入学から日も経ち、皆がこの学園にも慣れてきたころ。ようやく実技の授業が始まりましたわ。ただ専用機持ちのわたくしは、ちょくちょくアリーナを借りて練習してたのでそんなに特別感はありませんわね。
「では織斑、オルコット、試しに飛んでみろ」
今日はISの中でも基礎かつわかりやすい飛行の訓練ですわ。早速ブルー・ティアーズを展開。瞬きの間も無く全身を蒼の装甲が覆い、視界がいくらか上がりました。
「ふむ、なかなかの展開速度だな」
「伊達にイギリス候補生全1などと呼ばれておりませんから」
隣を見やると、一夏さんは展開に苦労しているようで、待機形態のガントレットを握り、ISの名を呼んでようやく展開できたようですわ。白と青を基調にして作られたIS、『白式』。なかなかに美しい見た目ですわね。織斑先生には厳しめの言葉をかけられていますが、ほんの少し前まで素人だったのだから展開が遅くてもしょうがないことですわね。そう、いきなり格ゲーを始めて勝てる人間が居ないように、最初から上手くできる人なんていませんわ。しかし、過酷な対戦の中で負けて煽られて磨かれていくのも事実、織斑先生の指導方針も間違いではありませんわね。
「よし、飛べ!」
スラスターが唸りを上げ、青空が近づいてきます。これだけはISに乗らないと得られない快感ですわね。
一夏さんの方も、飛行のセンスには光るものがありますわね。わたくしの方がいくらか速いものの、きちんと後ろについてきますわ。
「えっと、前方に角錐を作るようなイメージ……だったよな?」
「イメージはどこまで行ってもイメージですわ。格ゲーでもまずはコマンドを体に染み込ませて、頭ではなく体で戦えるようにするところから始まるのと同じですわね。必要でしたら訓練に付き合いますわよ?」
「え、いいのか? なら頼む!」
『織斑、オルコット。次は急降下と完全停止をやってみろ』
「はい! ……では一夏さん、下でお会いしましょう」
「おう!」
ISのスラスターをふかし、真っ逆さまになり最大速で地面を目指しますわ。瞬く間に近づいてくる大地を見据え、地面にぶつかるその瞬間にピタリと停止しましたわ。
「やはり国家代表クラスの実力だな。皆もオルコットを見習うように!」
頭と地面に1mmあるかないかくらいの状態で停止していると、織斑先生から称賛の言葉が飛んできますわ。織斑先生はそれなりにわたくしを買ってくれているようで、彼女にしては珍しいお褒めの言葉をくださりますわ。
「次は織斑だ。やってみろ」
織斑先生がISの通信越しに指示をすると、上空で一夏さんがくるりと宙返って急降下を始めて……その勢いのまま地面に激突しましたわ。
壁にぶつかるディアブ○スみたいですわね。集中が切れてISが解除されたようで、生身で頭を地面に減り込ませて横たわっていますわね。
「いってぇぇ! 死ぬかと思った!」
「……馬鹿者。グラウンドに大穴を開けてどうする?」
「すみません……」
しかしあれは痛そうですわね。主に心が。人の心ぶっ壊すのは大好きですけど勝手に壊れてる様を見るのはあんま好きじゃありませんわ。
「情けないぞ一夏! 私が教えてやったことをまだ覚えてないのか!?」
箒さんめっちゃ厳しくておハーブですわ。まずは心配してあげて……いやこの状況は露骨に心配された方がキツい感じはありますわ。まあそんな心遣いもなくツンデレのツンの部分ってだけでしょうけれども。
「頭、打ってませんか? 違和感があったらすぐ保健室で診てもらったほうがいいですわよ」
「あ、ああ……いや大丈夫だ。ありがとう!」
「ISの保護があるのだから怪我をするわけがないだろう!」
「わたくしも昔、アリーナの壁にぶつかってISが解除された後に落っこちて左腕折って……あの時は酷かったですわ。ISを装備してるからって油断しちゃダメですわね。死な安で済んだけど下手したら死にますわよアレ」
流石のツンの箒さんにも分かっていただけたようで幸いですわ。命あっての物種ですもの。スパルタで死んでたら世話ァないですわよ。
さて、今日の授業やアリーナでの自主練習も終わり、寮に戻る時間ですわ。
今更ではありますが、このIS学園は日本の海に作られた巨大な人工島の上に建てられており、もう馬鹿みたいに広いんですわ。だって島ですもの。
「しかしクッソ広いですわね」
「ああもう広いわね! どこに行けばいいのよ!」
「「……あれ?」」
「……久しぶりじゃない。セシリア・オルコット」
「あら、そのツインテールは
「なんでツインテールで判断するのよ!? あんたこそ個性の塊みたいな縦ロールじゃないの!」
「格闘戦で引っ掴んで膝蹴り入れたときの印象が深いだけですわよ」
「クッソ! 相変わらず煽りカスねあんた! 今度は私がその縦ロール握って振り回してやるわ!」
そこにいたのは中国代表候補生の凰 鈴音さん。少し前に国家間の合同訓練で何度か試合をしたことがありまして、10:0で負かしてしまったのでだいぶ恨まれてるようですわね。打てば響き煽れば煽り返す最高の煽り相手だったので、ついつい楽しくなっちゃって終始煽ってた記憶がありますわ。
「で、あなたはここの生徒ではなかったと思いますけれど、こんな時期に転入してきたんですの?」
「ええ、そうよ! ……なんだけど、実は職員室の場所が全く分かんなくて……案内してくれない?」
「構いませんわよ。この学園アホみたいに広いから初見でそうなるのはしょうがないですわ。とりあえず校舎にいきましょう」
歩き出すと、鈴さんが礼を言いながら後ろをついてきますわ。
「中国はIS学園で専用機の手の内を晒すよりも自国で育てる方針だと思っていたのですが、一夏さんのデータ取りのためですかね?」
「よく分かってるじゃない。ていうか一夏さんって何よ、あんたらもう友達なわけ?」
「まあ同じクラスですので、もう煽り煽る仲ですわ。しかし、中国も露骨なことをするものですわね」
「どれだけ露骨でも利を取るものよ。てかそれあなたの煽り100割じゃないの。え? あんた一夏にもあんな煽りしてんの?」
「さすがに鈴さんよりは軽めですわよ。呼び捨てとは、鈴さんの方こそお知り合いのようですわね」
「ええそうよ! 私と一夏は幼なじみですもの!」
通りで中国が彼女をよこすわけですわね。まあ仲が良ければ色々とやりやすいでしょうからね。
会話を楽しんでいると気づいたら校舎の前まで来ていましたわ。
「ここが校舎ですわ。職員室は入ってすぐ。じゃあわたくしはいきますので」
「うん! あの……ありがとうね!」
「構いませんわよ。これからは別国家の代表候補生同士ではなく学友ですわ。諍いは水に流して仲良くやりましょう?」
「あんた、思ってたより人間ができたやつね」
「まあ煽りはやめませんけど」
「やっぱクソだわ。その縦ロールもぎ取ってやるから覚悟してなさい」
その後、わたくしはクッソうまいウォー○ンにタックル擦られまくって憤死したのでした。