もしもお嬢様を1mmも理解してないゲーマーがセシリアに憑依したら   作:まみま

4 / 20
 ゴロ寝で無様につぶれたアフロを隠すために帽子を被り、感染防止のためにマスクをつけ、目が悪いため眼鏡をつけるので外出時に不審者みたいなことになる投稿者ですわ。夜中に出会しても怖がらないでくださいませ。


お嬢様煽り散らかす

「なっ! てめぇ殺すぞ! (お嬢様放棄) 味方が絡まれててもカットしないくせに味方のコンボにはFF入れるんですの!? アッギャァこれだからゴミ箱担いでるやつはダメなんですわ! え? 申し訳ない!? ……それ言われるとなんだかんだ許しちゃいますわね!」

 

 

 

 いつも通りギリギリの時間までゲームをして教室に着くと、丁度織斑先生がいらしていたようですわ。危なかった……ってあら、なにやら印象的なツインテールが織斑先生からゲンコツもらってますわね。

 

「なにすんのよ!?」

「もうSHRの時間だぞ」

「ちっ、千冬さん!?」

「織斑先生だ。さっさと戻れ邪魔だ」

 

 ああ、一夏さんとは幼なじみとおっしゃっていましたし、待ち切れずに顔を見にきたんでしょうかね。彼女はチラリとこちらを確認すると、教科書通りの嫌そうな顔をしてましたわ。心外ですわね。見るだけでそんな顔になるのはクソ回線の投げキャラだけで十分ですわよ。

 

「ゲェッ! セシリア、あんたもこのクラスなの!?」

「ええ、そうですわ……ていうかなんですの鈴さんその制服? その脇はちょっとハレンチが過ぎるのでは?」

「うっさい! 改造自由なんだから別にどうしても構わないでしょ!」

 

「どちらにしても時間だ。オルコットも早く教室に入れ。凰は帰れ」

 

「イッテェ! (素) はぁ……了解しましたわ」

「はーい」

 

 親友との朝の会話すら許されないとは! 格ゲーだったらわたくし振り下ろされるゲンコツをガーキャンくらいしますのに、やはり現実というものは不便ですわね。教室の中のクラスメイトたちは、今のやり取りでビビってみんな席についてましたわ。

 

「おはようセシリア。朝から災難だったな」

「全く以ってその通りですわ……では、これ以上話してるともう一発飛んできそうなので!」

「お、おう……」

 

 背後からゲージが溜まっている気配がしたわたくしは、一夏さんとの会話も早々に切り上げて自分の席に向かうのでした。

 

 

 

 

 

「ここ、座って構いませんこと?」

 

 そうして時は流れて昼食の時間。デフォルトで朝を抜いているわたくしにとっては待ち焦がれた時間ですわね。食堂でトレーを持って周りを見やると、一夏さんと鈴さんが一緒に食べてるようだったのでお邪魔させていただきたいところですが……

 

「ああ、俺は別に構わないぜ」

「えぇ〜、私はご飯食べてる時にまで煽られるの嫌なんですけど……まあいいわ、座りなさいよ」

「さすがにこんなタイミングで煽らないですわ。失礼します」

 

 トレーを置き、上に乗っている丼の蓋を開ける。やはりここの食堂のは素晴らしいカツ丼ですわね、閉じ卵が輝いているようですわ。

 

「相変わらずイギリスもクソもない料理ね」

「わたくしの祖国らしい料理なんてだいたい不味いんですのよ。鈴さんはらしいやつ食べてますわね」

「ええ、まあ別に中国発祥ってわけでもないんだけど……大事なのはイメージよイメージ! そもそも私のルーツは日本にもあるしね!」

 

 そう言えば合同訓練で話した時も日本から中国に帰国してすぐだったかしら? 多分その時に一夏さんにも知り合ったんでしょうね。……うん、やっぱりカツ丼はいいですわね。肉を喰らうことで戦いのために英気を養うことができますわ。今のわたくしならガーキャンに反応して超ガソでカウンターできそうですわ。やっぱ無理。

 

「しかし、2人とも仲がいいんだな。どこで知り合ったんだ?」

「何国かの間で行われた国家合同代表者訓練でですわ。どうやら鈴さんがよっぽど負けるのが好きなようでしてね」

「あっ! あんた今煽ったわね! 私はアンタを負かしたくて勝負挑んでるのよ!」

「叶うといいですわね? 今のところ10:0でわたくしの勝ちですわよ。ダイヤグラムバグってるんじゃなくて?」

「ムキーッ! でも私も強くなってるんだからね! 今度こそアンタをボッコボコにしてやるわ! 跪いて謝るまで許さないんだから!」

「あら、なら今日の放課後にアリーナの使用許可を取ってますの。どうせならすぐにやりあいたくないかしら?」

「上等よ! 首洗って待ってなさい! 100先で勝負よ!」

「軽々しく100先なんて言葉を使わないでくださる? 人が死にますわ」

 

 しかしやはり煽りが噛み合うので面白い人ですわね。懲りずに向かってくるのもまた良い。なんだかんだ彼女とは長い付き合いになりそうな気がしますわ。

 

「ああ、そう。一夏さんと鈴さんは幼なじみだと聞いたんですが、そうなると箒さんともお友達ですの?」

「箒? 誰よそいつ。掃除道具と友達になるほど寂しい人間だった覚えはないわよ?」

「ああ、箒は小五まで同じ学校だったんだけど引っ越して行っちゃってな。そのすぐ後に鈴が来たから丁度すれ違ってるんだよ」

「へぇ……で、どんな子なの?」

「隣のテーブルからこっちをチラチラ窺ってる黒髪ロングの巨乳ですわ……おーい箒さん! どうせなら一緒に食べませんか?」

 

 指差された時にはびっくりしていましたが、まさかあんなに露骨に視線送っといてバレてないとでも思ってたんでしょうか? 箒さんも観念したようで、こちらのテーブルに移ってきましたわ。てか隣めっちゃいますわね、揃いも揃って盗み聞きとは。

 

「おお箒! こっちが鈴だ! 箒がファースト幼なじみで鈴がセカンド幼なじみって感じだな!」

「ふぁ、ファースト……!」

「ふーん、初めまして! これからよろしくね?」

「ああ、こちらこそ」

 

 見える見える見えますわ。2人の視線の間に電流が走るのが……一夏さんも罪な男ですわね。

 

「あっ、そういえば一夏って一組の代表になったんでしょう? 私とセシリアの100先が終わったら一緒に練習しましょうよ!」

「なっ! 敵の施しを受けるなど!」

「俺は別に構わないぜ? ……ってか100先ってなんだ?」

「100勝先取で勝敗を決める一般的な儀式ですわ。ISでやったらわたくしのストレート勝ちでも普通に丸一日はかかるので、やるなら休日にして今日はとりあえず3先くらいに抑えましょう。合同訓練でやった時は確か100:8で終わっても30時間はぶっ通しでしたわ……」

「あの時はキツかったわね……」

 

 遠い目をする鈴さん。半年程度前だけれどあの時のわたくしたちはお互いに若かった……若さ任せにIS100先なんていうバカみたいな儀式に手を出してしまったのですわ……なにがキツいってISに乗って加速した情報処理能力で常に高速戦闘をするおかげで、脳味噌が限界を超えて顔中の穴から血が流れ出すんですわ……まさか血涙を流しながら戦う羽目になるとは思いませんでしたわね……

 辛く苦しい思い出に想いを馳せていると、チャイムが鳴ってしまいましたわ。

 

「まあとりあえず今日の放課後はよろしくね! 私はもういくわ!」

「おう! 待ってるぜ!」

 

 わたくしも急いでカツ丼をカキ込んで教室へ戻りましょう。

 

 

 

 

 

 

 

「さて、こうして対峙するのは久しぶりですわね?」

「ええ! この復讐の日をどれだけ待ったことか……全力でぶっ潰すから覚悟なさい!」

 

 授業も終わり、見慣れたアリーナにやってきましたわ。なぜ大量の生徒がいるこの学園でここまで簡単にアリーナの使用許可を取れるのかというと、4つあるIS学園のアリーナのうち、4つ目のアリーナは基本的に専用機持ちが優先的に使えることになっているからですわ。専用機持ちなら訓練機の貸し出しも必要ありませんしね。IS学園としても専用機持ちが学園内にいると色々なメリットがありますから、待遇も良いものになるわけですわね。

 

「じゃあ行くぞー。3……2……1……スタート!」

 

「オラァ! くたばれェ!」

「どこを狙っていますの? もしかしてラグでも起きてらっしゃる? これだから脳味噌無線勢はダメなんですわ」

「キ──!! ここぞとばかりに煽りやがるわねほんっと!」

 

 開始と同時に速攻をかけてきた鈴さんをひらりとかわし、蹴りでカウンターを入れながら後退しますわ。一度戦ってわたくしの煽りを受けたものは、怒りかトラウマを植え付けられますの。怒りで積極的に攻めてくる相手には引き撃ちを致しますし、トラウマで消極的になった相手には接近してブレードをお見舞いしますわ。人の嫌がることを進んでやるのが模範的ゲーマーというものでしてよ。

 鈴さんは言うまでもなく前者、攻撃を後ろへとかわしながらレーザーライフルとBT(ファンネル)で嫌がらせを続けますわよ。

 

「ああもう鬱陶しいわね!」

「近づけませんわねぇ、わたくしが磁石のN極ならあなたもN極……いやM極でしょうか? こうやってわざわざいじめられに来てるんですものね?」

「絶対ぶっ殺す!」

 

 彼女の専用機甲龍(シェンロン)は基本的には近接型。不可視の衝撃の球を撃ち出す武装もありますが、やはりブレードを振らないと火力は出せない機体。ならば延々と下がり続けてブレードの射程に入らなければ良いだけですわ。

 

「クッソォ!」

「あら? ブレードを手放して良いんですの?」

 

 彼女が手に持つ《双天牙月》という両端に刃のついた円月刀を蹬脚してくると同時に距離を詰める。ブーメランのように帰っては来ますけれども、その間近接武器をなくした彼女をカタにハメるのは容易なことですわね。

 

 先程も言った衝撃砲《龍砲》を両肩から撃ってくる彼女ですが、不可視のそれの弾道を予測し、BTから発射されたビームで打ち消しますわ。

 

「プディングよりよっぽど甘いですわねぇ?」

「クソおおおおおお!!」

 

 およそ淑女らしくない断末魔をあげる彼女のエネルギーを銃剣とBTで削り取っておしまいですわ。これだからチョロい相手はやりやすくて助かりますわね。

 

「詰められた時に暴れずに、素直にガードか回避の択を取っていればよかったのですよ。まあ暴れ以外の可能性を消すために煽ってるんですけれども」

「うう……また負けたぁ……どうやったら勝てるのよ……」

 

 ISを解除して地面に座り込む彼女。良い感じにトラウマも植え付けられましたわね。学友であるとは言いましたが将来は国家を背負って戦う相手、今のうちからイップスを植えつけておいて損はありませんわ。

 

「わたくしのIQが高い戦いに対抗するには、それを超えるIQを手に入れるかチンパン極めるしかありませんわ。ひとまず人語が理解できないくらいチンパンになってみては?」

「くそぉ……煽られても負けたからなんもいえない……」

「あら、煽りではなく助言のつもりでしたのに」

「正論が人を救ったためしなんて古今東西探してもないのよ。あなたは私を慰めるだけで良いの」

「クソみたいな理論だけど一理ありますわね」

 

 わたくしもISを解除して地上に降りると、一夏さんがすっごい微妙な顔でいました。あら、完璧な試合を見せたと言いますのになにが不服なんでしょうか? 

 

「あの……煽りは必要なのか?」

「わたくしにとってはとても重要ですわ。BT(ブルー・ティアーズ)は脳から直接信号を送って操作していますから、わたくしのメンタルの状態によって大分性能が変わりますの。なので常に煽りで精神的に上位に立っている必要があるわけですわ」

「なるほど……」

「一夏! あんたはこいつみたいな煽りカスになっちゃダメよ! 絶対だからね!」

「あら、煽りを身につけたら大分楽に戦闘を進められるというのに」

「いや……俺は良いかな……」

 

 残念、詰めるのが不可欠な近接型こそ相手を逆上させることが大切になりますのに。

 

「さあ、3先ですから後2回はやらせていただきますわよ」

「はぁ? 3回の間違いじゃなくて?」

「おや、まだ勝てる気でいらっしゃるとは。相変わらず脳味噌ハッピーセットですわね? もしかして体のどこかを押せばそのツインテールが回ったりしますの?」

「あああぁぁぁ!!! 殺す!!!」

 

 

 その後は3:0で終わりましたわ。




 今更ですが、ここのセシリアはめっちゃ強いことになってますわ。ISの技量はもちろん、格ゲーで鍛えられた読み合いや精神戦が光る一級品の操縦者ですわね。まだ出てきてないけど大体生徒会長とのダイヤが5:5くらいの実力だと思ってくださいませ。
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。