もしもお嬢様を1mmも理解してないゲーマーがセシリアに憑依したら   作:まみま

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 馬鹿みたいな更新速度してますわね。
 誤字報告ありがとうございますわ!


学年別トーナメント編
お嬢様100先る


「ハァ……ハァ……今のところ92:12……腕を上げましたわね、鈴さん……」

「あんたこそ……BTの精度も格闘戦のキレも数段と良くなってるじゃない……さすが私のライバル……うっ……」

「鈴さん! 鈴さん!? 鈴さ───ん!!」

 

 IS学園の休日は土日、特別なアリーナ使用許可を取ったわたくしと鈴さんは約束通りに100先に興じておりました。しかしお互いに技量が上がって勝負は拮抗し、2日目の昼頃になってもまだ勝負はつかず、しまいに鈴さんは倒れてしまいましたわ。

 しかし! 神聖なる100先を中断することは許されざること! ここは一つ一夏さんに電話をかけて鈴さんに応援の一言をお願いしましょう! 

 

『……もしもし、どうしたんだ? セシリア?』

「ああ一夏さん、実はいま鈴さんと100先をやっているんですが、途中で鈴さんが倒れてしまいまして……彼女に応援の言葉をいただけたら嬉しいんですが……今大丈夫ですか?」

『ああ、大丈夫だ。外出して友達の家で格ゲーやってたところ』

「まあ、格ゲー!? 何をなさっていますの?」

『えっと……ス○Ⅴ!』

「それはそれは素晴らしい! ……あ、鈴さんにかわりますわね!」

『あっ、おう!』

 

 倒れている鈴さんの耳元に携帯電話を当てがいしばらく立つと……

 

「やるわよ! こっからぶっ倒してやるわセシリア!」

「あら、流石にここから負けたらわたくしもお嬢様になってしまいますわよ」

 

 鈴さんはガバッと起き上がり、ISを装備し直しましたわ。何を言ったのかは知りませんが、助かりましたわね。

 

『おまっ! やめろっ! 身内の恥を友達に晒したくない!』

「あら? どうしましたの?」

『いやなんでもないよ! じゃあな!』

 

 と、急いだ様子で電話を切ってしまう一夏さん。向こうで何かアクシデントでもあったのでしょうか……? 

 

 

《side 一夏》

 

 

「お前! 電話代われっての!」

「もう切ったから! 身内の恥は俺のとこでとどめとくんだよ!」

「誰が恥だ誰が! 今の子めっちゃ可愛い声で上品な喋り方だったぞ! お前こんな子に電話かけられるような立場にいておいて!」

 

 俺は外出許可を取り、休日を幼なじみである五反田 弾のところで過ごしていた。2人で格ゲーをしていた時にセシリアから電話がかかってきて、女の子の声を聞いた弾が騒ぎ出して……って寸法だ。

 

「どんな子なんだ今の子!?」

「えっと……イギリス貴族の出身だって言ってたな。それでいてイギリス代表候補生で……あとはうちの学園でもトップに入るくらい強いんだ。あとゲームが大好き」

「属性モリモリでめっちゃいい子じゃねえか! えー! 今度連れてこいよ! 一緒に格ゲーやろうぜ!?」

「いや、やめた方がいい……」

「なんで!」

「なんでって言われても……」

 

 そう、俺は前に彼女が格ゲーをやる姿を後ろから見たことがあるが、あれは半端なかった。アホみたいに上手いんだが……マシンガンみたいに暴言吐き出しながらやってたなぁ……

 

『おまっ、おまっ、お前この! お前がIQ高めてくるならわたくしはチンパンになって対抗しますわよ! ウッキィィィィ! 今年は申年! ウッキィィィィィぃ! はい! 尋常じゃんけんじゃんけんポン! ハァァァァ!? てめぇ未来予知でもしてるんですの!? クソッ! やっぱ○蛇はクソですわね! 修正要望出しておかないとですわ! 攻撃速度が今の10%くらいにならないかしら!』

 

 あれはなんていうか……鬼気迫るものがあった。尋常じゃない怒りを感じた。その後勝ったけど切れ散らかして別ゲーやってたっけなぁ……その時も……

 

『うおぉぉぉぉい!! 何一人で突っ込んでんだこのハ○ト!! チャージは多用するものではなくってよ!? グハァッ! これはハッキングですの!? お前かソ○ブラぁぁぁ!! 煮卵みたいな顔しやがって調子に乗ってますの!? ちょっ! カバーカバー! カバーお願いしますわ! うわぁぁぁぁ!! ……やっぱ野良はダメですわね……』

 

 キレ散らかしてたなぁ……ゲーム中とIS試合中の煽り暴言さえなければいい子なんだけど、そこだけで余裕でマイナス振り切れてるもんなぁ……

 

「なんていうか……残念な子だ。あとお前ザ○ギ使いだから多分嫌われる」

「どういうことだ……?」

 

 

 

《side セシリア》

 

 

 

「よっしゃ92:13! こっから追い上げてくわよ!」

「あの人何吹き込んだんですの!?」

 

 ドーピングによって力を増した鈴さんに一勝を譲ってしまいましたわ。しかし次からは負けやしないですわ。あと8戦で終わらせて見せます! 流石にこれ以上やったら死人が出ますわ! 

 

 

「あら、やっぱり面白そうなことやってるわねぇ」

 

 

 次の一戦を始めようというタイミングで、このアリーナに新たな声が響きましたわ。声の下方にいたのは水色の髪に赤い目をした女性……間違いありませんわね、彼女はこの学園の生徒で最強と呼ばれる……

 

「生徒会長、更識 盾無さん……でしたわね?」

「その通り! 知っててくれてお姉さん嬉しいわ!」

「で、何しに来たのよ」

 

 手に持った扇子を顎に当てながら考えるような仕草をする生徒会長。しばらくしてからその扇子をバッと広げると、そこには『敵情視察』の文字が。

 

「そっちのセシリアちゃん、めちゃくちゃに強いって聞いたから様子を見に来たのよ。あわよくば模擬戦って思ってたんだけど……その様子じゃ今はやらない方が良さそうね?」

「もちろんよ! 悪いけど今から87戦は待ってもらうわ」

「いえいえ、8戦で十分ですわよ。そもそも今から87戦したら休日もわたくし達の命も終わりますわ」

「あはは! 100本先取やってるんだってね? 噂で聞いたわよ」

 

 あら、まさか噂として広まっていたとは……まあ100先なんていう狂気の儀式をやっていたら広まるのも当たり前ですわね。なんにせよ、早く8勝してこの狂気を断ち切らなばなりませんわ。

 

「はじめっ!」

 

 不意をついたような生徒会長の一言に、わたくしと鈴さんが即座に反応してぶつかり合いますわ。

 

「あんたっ! やっぱり不意打ちの機会窺ってたわね!? そんな早く反応できるわけないものねぇ!」

「戦いとはすなわち人間性を勝利へと変換する作業に他なりませんわ! そもそもそういう鈴さんこそ反応できてるではありませんか?」

 

 

 

 この後、わたくしの8本ストレート勝ちで悪魔の100先は幕を閉じましたわ。

 

 

 

「いやあ! 見事だったねセシリアちゃんも鈴ちゃんも!」

「当たり前ですわ……ダイアグラムは9:1になってしまいましたが……」

「次は8:2になるわよ……その次は7:3、次は6:4、最後は0:10よ!」

「大口を叩きますわね……二度とやりたくないけど……そうなる日を心待ちにしていますわ……」

 

 地獄の儀式を終えたわたくし達はアリーナの地面に横たわり、空を見ていましたわ。ああ、空がもうオレンジに……結局休日2日とも潰れちゃいましたわね……でも不思議と後悔はなく、心地よさだけが胸に残っていますわ……

 鈴さんも心は同じようで、健やかな顔で横たわって寝ていますわ。

 

「ああ! そうそう! それでセシリアちゃんにお願いしたいことがあるんだけどさ!」

「……なんですの? 今から模擬戦って言われても絶対無理ですわよ」

「近々あなた達のクラスに転校生がやってくるの。彼女達の観察を頼みたいのよ」

「達? 複数人くるんですの? しかもわざわざ観察とは……?」

「うん、ドイツとフランスからね……どうにも二人とも危うい情報が入ってきててね。あなたは口は悪いけど面倒見がいいし頭もキレると聞くわ、それに私が卒業したあとはあなたが生徒会長をやることになるはず、今から仕事を体験しといて損はないわよ。詳しい話は後日するわ」

「……わかりましたわ」

 

 観察だのでゲームの時間が減るのは嫌でしたが……今は断るような体力は残っていなかったので、話を受けることにいたしましたわ。

 

 

 

 

 

 そして後日。

 

 

「今日は皆さんに転校生を二人紹介しまーす! どうぞ! 入ってきてください!」

 

 教室の戸を開け入ってくる少年と少女……少年!? 

 

 ……はぁ、またゲーム時間が削られそうですわね……

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