遊戯王ではない!デュエルモンスターズだ!!   作:なにかの波動に目覚めたトマト

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揺れない魂のペンデュラム

ここは、舞網市。

何処かって聞かれたら答えづらいがスタンダード次元と呼ばれるところにある1つの街であり、中心街には遊戯王もといデュエルモンスターズを教える塾、デュエル塾が多く立ち並んでいる……うん。

 

「ここまで来れば、追手は来ないな」

 

 振り子メンタルこと榊遊矢に気付けばなっていた男です。

 

 本当になにをモノローグで言っているんだろうなと思うが、本当に気付けばそうなっていたんだ。

 

 あったことを説明をすると長いから、大事なことを3つに分けよう。

 

 1つ。何故か遊矢に転生した。

 

 2つ。色々と思うことはあるが後戻りも出来ないし持ってなかったカードを手に入れたりしたし、この世界でそれなりに楽しく生きようと決意した。

 

 3つ。クソ親父もとい父さんがストロング石島戦をすっぽかしたので俺が代わりにデュエルだと遊星のあの台詞を言ったら、ストロング石島をマジギレさせてしまいスタジアムを追い出されてストロング石島ファンと榊遊勝ファンを敵に回してしまった。

 

 4つ、どうせだったらポケモン(アニメ)の世界に、小野繋がりでアランにしてほしかった。

 

 5つ、デュエルは楽しいには楽しいがなんか違うと思う自分がいる。

 

 6つ、柚子は滅茶苦茶かわいい絶世の美少女で将来が楽しみである。

 

「父さん云々は置いておいて、デュエルさえしてくれれば良かったのにな」

 

 ストロング石島戦用にと作ったデッキをデュエルディスクから取り出す。

 なんか家の押入れにあったバカみたいにカードが出てくる転生特典と思わしきアタッシュケースから作り出したエンタメ要素皆無のデッキだ。

 エンタメデュエルを継ごうとは思わないのかだと……思わないな。リアルソリッドビジョンでやっているのは心踊るカードゲームだ。ジャンプフェスのデュエルオペラは凄く楽しかったが、それとエンタメデュエルは別である。

 ソリッドビジョンでショーをやりたければ他所でやれ。遊戯王は数あるカードゲームの中でも魔境なんだよ。

 

「はぁ……」

 

 デッキをデッキケースに入れて、夕焼けを見る。

 これから数週間は卑怯者の息子だとか言われる、絶対に苛めにあう。後、母さんがマジ泣きしている。塾長も泣いてるし、柚子も泣いている……ホント、疫病神だな、あのおっさん。

 エンタメデュエル好きの塾生も要である父さんが居なくなれば、減ってって最終的には10人にも満たないデュエル塾になる……ていうか、今更ながらだがデュエル塾なんてよく作れたな。

 デュエル塾=eスポーツプレイヤー養成校だって認識はあるが、教える側よ。

 

 アドバンス召喚したクリフォート・エイリアスはランク4の励輝士 ヴェルズビュートの効果を受けないを世界大会でミスるんだぞ。

 爆炎集合体 ガイヤ・ソウルの効果にターン1制限書いてないのにターン1制限掛かってたり、伝説のフィッシャーマンはいけて地縛神はダメとか公式すら理解してないコンマイ語とか多すぎて無理だろう。

 現に塾長は運命の火時計の効果でタイムカプセルのターンを経過できると思っていた。

 

「よぉ」

 

「……」

 

 リンクが無いマスタールール3。

 エクストラゾーン以外にもシンクロを置けるようになる環境に戻ったが、やっぱリンク召喚したいな。Amazonで注文してたガッチリ@イグニスターが付属されている本の代金、無駄になったって考えるとなんか腹立つな。

 

「お前、親父の代わりにデュエルするって言ったな?」

 

 前世の事を思い出していると、やたら体格の良い鉄下駄をはいた男が俺に敵意を剥き出してきた。

 こいつは……そう、使い捨てキャラだった筈だ。思い出せない、使い捨てキャラはヤムチャの印象が強すぎて、殆ど忘れている。勝鬨のあれはダメだ。

 

「だったらよ、オレがストロング石島の代わりにデュエルしてやるぜ!」

 

 デュエルディスクを構えるゴツい男。

 挑まれた以上は戦わなければならないのがデュエリストの宿命だとデッキケースからデッキを取り出す。

 

「待て!!」

 

 デュエルディスクにデッキをセットしようとしたところで待ったが入った。

 目の前に居る男同様にゴツいが漢気溢れた真っ直ぐな目をしたリーゼントヘアーが特徴的な応援団長みたいな雰囲気を醸し出す漢。

 

「暗黒寺、例え貴様が兄弟子であろうとも、弱い者いじめは、この漢、権現坂が許さん!!」

 

 権現坂、マジイケメンだ。

 

「いじめ?

ちげえよ。そこのチビは親父さんの代わりに戦うって言ってるんだ。だったら、オレはストロング石島の代わりに戦うだけだぜ」

 

 言っている事は間違ってない気もする事を言う暗黒寺。

 ゲス顔でなければ納得できたが、そうでないので権現坂は顔を真っ赤にしぷんすかと煙を出す。

 

「その顔が代理で戦おうと言う者の顔か!けしからん!ここは」

 

「おい」

 

「俺が……む?」

 

「デュエルしろよ」

 

 ストロング石島に対して言ったことを、暗黒寺に対して言う。

 自分の代わりにとデュエルディスクを取り出すのだが、相手が指名してきているのはお前じゃない。俺だ。

 

「ハッハッハァーッ!!どうやら向こうは勝負してくれるみたいだぜ!!」

 

「む、むぅ……」

 

「権現坂、だったな。

試合をすっぽかして何処かに行った父さんはともかく、遊勝塾に対しての罵倒や弱い者いじめは許さないと言う気持ちはありがたい。だが、1つだけ言わせてもらう……俺は勝てるからストロング石島に挑んだ。まぁ、勝負をしてはくれなかったがな」

 

 俺がデュエルをするとは思っていなかったのかなんとも締まりの悪い空気を流した。

 取り敢えずは権現坂に礼を言い、ストロング石島戦に作ったデッキを取り出してデュエルディスクにセットする。

 

「お得意のアクションフィールドもアクションカードも無いんだぜ?」

 

「デュエルをするのに必要なものはデッキとデュエルをしたいと言う気持ちだけだ。アクションフィールドもアクションカードも不要だ」

 

 困ったらアクションカードというのは嫌いだ。

 破壊無効系のカードやバーン系のカードとかデッキに入れてない汎用性の高いカードを手札に加えれるのは本当にダメだ。アクションマジックしか無いアクションフィールドで図書館エクゾやったら凄かったぞ。

 

「遊勝塾のエンタメデュエルではなく、我が権現坂道場と同じ不動のデュエル!?」

 

「違うな……俺は基本的には何処ぞの流派なんぞ無い。

勝っても負けても最後は握手をして次は負けない、次も勝つ。シンプルだが最も難しい考え方をしているだけだ」

 

 遊戯王はカードゲームなんだ。最も忘れちゃいけないことはカードゲームとして楽しむことだ。

 それを忘れるデュエルは嫌だな。エンタメデュエルとか、ただのソリッドビジョンのショーに見える。

 

「基本を忘れるべからず……見事、見事だ!!榊遊勝の息子、いや、お前の名を聞かせてくれ」

 

「榊遊矢だ」

 

「遊矢、この漢、権現坂!お前のデュエルを見届けさせてくれ!」

 

「好きにしろ……ただ、俺はどうもデュエリストとは程遠い異質な存在だ」

 

 漢泣きしている権現坂を余所にデュエルをはじめるべくデュエルディスクのオートシャッフル機能が作動。デッキがシャッフルされる。

 

「ストロング石島はチャンピオンだった榊遊勝にチャレンジしに来たチャレンジャーだ。先攻は俺が貰う!」

 

「好きにしろ……あ」

 

「俺のターン!俺はバーバリアン3号を召喚!」

 

 

 バーバリアン3号 星3 地属性 戦士族 攻撃力1000

 

 

 中々に良い感じの手札が来てしまったぞ。

 どうすっかな。エクストラ主体のデッキとかの権現坂みたいに守りの上手いデッキじゃないならワンキル出来るな。

 

「召喚に成功した瞬間、俺はバーバリアン3号の効果を発動!

このカードの召喚に成功した時、手札からバーバリアン4号を特殊召喚する!現れろ、バーバリアン4号!!」

 

 バーバリアン4号 星3 地属性 戦士族 攻撃力1200

 

 

『『ゴォオオオ!!』』

 

 青色の古代の野獣戦士(バーバリアン3号)ちょっと太マッチョな野獣戦士(バーバリアン4号)が叫ぶ。

 ソリッドビジョンのデュエルは楽しいが、こういう時の音声が喧しいな。

 

「オレはカードを1枚伏せて、ターンエンド!」

 

「ストロング石島と同じバーバリアンモンスターを……むぅ」

 

「権現坂、お前は不動のデュエルとやらをしているんだろ。だったら、心を揺らすな」

 

 相手のフィールドには地属性の戦士族2体で伏せは1枚。エクストラデッキは0で手札は2枚。

 ストロング石島ファンでバーバリアンデッキを使っているのは良いが、先攻でモンスターを並べるだけじゃ加速する9期以降の環境を生きたOCG次元の住人には届かない。

 

「俺のターン、ドロー……はぁ」

 

「どうやら最悪なカードを引いたようだな!親だけじゃなく、デッキにまで見放されてるのか!!」

 

「暗黒寺、貴様!」

 

「どうやら、俺の勝ちの様だな」

 

「なに!?」

 

「言っただろう。俺は勝てるからストロング石島に挑んだと。

俺は混沌の召喚神を攻撃表示で召喚、混沌の召喚神の効果を発動。自身をリリースすることにより、手札にある幻魔皇ラビエル、降雷皇ハモン、神炎皇ウリアの何れかを召喚条件を無視して特殊召喚する。俺は幻魔皇ラビエルをこの効果で召喚条件を無視して特殊召喚する。現れろ、幻魔の皇!幻魔皇ラビエル!」

 

 幻魔皇ラビエル 星10 闇属性 悪魔族 攻撃力4000

 

「な、な……攻撃力4000だと!?」

 

 何処かオベリスクと似た雰囲気を醸し出す青い悪魔に足を震わせる暗黒寺。

 安心しろ。これは本家と違ってただのカードでありオカルト染みた力とか負けたら命を失う闇のデュエルになるとか、そういうのは一切無い。

 

「ストロング石島はバーバリアン・キングがエースだ。

攻撃力3000のモンスターで、自身のフィールドの戦士族をリリースした数だけ攻撃回数を増やせる効果を持つ。

効果破壊には弱い様だが、それをストロング石島はアクションカードで補っている。なら、俺は真っ向からその力を超えて見せよう!俺は手札から幻魔皇ラビエル━天界蹂躙拳を墓地に送り、効果を発動!幻魔皇ラビエルの攻撃力を倍にする!!」

 

 

幻魔皇ラビエル 攻撃力4000→攻撃力8000

 

 

「ああ、そうそう。効果破壊とかバウンスとかの耐性は無いからな」

 

 なんやかんやで失楽園とかサーチ出来る、暗黒の招来神握ってたが使わない!!

 

「幻魔皇ラビエルで、バーバリアン4号を攻撃!!」

 

「そうはいくか!!バーバリアン4号の効果!!バトルフェイズ中に1度、【バーバリアン】モンスターへの攻撃を無効に出来る!!」

 

「無駄だ!天界蹂躙拳の効果はまだある!幻魔皇ラビエルは攻撃力を倍にするだけでなく、全てのモンスターに攻撃が出来る!!」

 

「んだと!?」

 

「幻魔皇ラビエル、バーバリアン3号に攻撃!!天界蹂躙拳!!」

 

 オベリスクとは異なり、拳を開いたまま左腕にパワーを溜めるラビエル。

 バーバリアン3号を上から押し潰すかの様に叩きつけて粉々に粉砕した。

 

 

 暗黒寺 LP4000→LP0

 

 

「攻撃力8000に加え、全てのモンスターを攻撃できる……ストロング石島をも超えるなんというストロングなパワーデュエル」

 

「いや、なんだよストロングなパワーデュエルって」

 

 即落ち二コマ漫画真っ青な1ターンキルを噛ましたお陰で、すたこらと逃げていった暗黒寺。

 これでもう絡んで来なければ良いのだが、ああいうのが街には何人も居る。主に父さんが原因でだ。

 

「改めて、兄弟子の無礼を詫びよう。すまなかった」

 

「気にするな。お陰で作ったばかりのデッキを使わずじまいにならなくなった」

 

 何処までも義理堅い漢、権現坂。

 俺に怯えるわけでもなく頭を下げてきたが、全ての大元は騒ぎを起こした父さんでありアイツは……まぁ、今は悪いかどうかは言いがたいな。

 

「そ、そうか……」

 

「なんだ?言いたいことがあるなら言って構わないぞ」

 

「遊矢、お前のデュエルは見事だった。

ストロング石島をも上回るストロングなパワーデュエルをした……だが、何故そんなつまらなそうな顔をする?」

 

 権現坂は俺の顔を見て、心配をする。

 そんなに酷い顔なのだろうかと海辺に映る自分の顔を見るのだが、映っているのは何処ぞのメ蟹ックと同じ無愛想な顔。

 つまらなそうか……まぁ、確かにそうかもしれない。カードプールとかインフレデフレ激しいし、そもそもの話初期LP4000とかいい加減に8000にしてくれないかと思う程だ。

 元の世界では第9期というかARC-Vからデュエルは更に加速した。新たなシンクロが出たことにより死にかけていた融合を、エクシーズが出たことにより新規が減ったシンクロを救済してくれたんだ。 だったら、LP8000にしても問題ない。昔と違って社長の嫁と同等のステータスがボンボン並ぶんだから。

 

「どうも俺はデュエリストになれない質でな」

 

「どういうことだ?」

 

「いずれ分かるさ、いずれな」

 

 これから先、権現坂とは長い付き合いになる。

 きっと俺のやっていることは権現坂とは相容れない、いや、デュエリストと大きく相容れないものだ。

 

「遊矢!何処だ!居るなら返事をしてくれ!!」

 

「そろそろ行かないとな……そういえば、ちゃんと名前を聞いていなかったな」

 

 柊塾長が俺の名前を呼んでいる叫びが聞こえたので、俺はこの場から去ろうとするのだが最後に名前を聞く。

 

「俺は権現坂昇だ。お前とはまた会いそうな気がする」

 

「デュエルをしていれば、会えるさ」

 

 コレが権現坂と俺とのはじめての出会いだった……え、なんかおかしくないかって?おかしくないぞ。




一人、また一人とエンタメデュエルから去っていく辛い現実を見てしまう一人の少女。

だが、父が失踪し臆病者の息子だと揶揄される幼馴染みの痛みに比べればどうということはない。

前を向き、歩こうとする少女に世界は幼馴染みは残酷な現実を見せてしまう。

それは玩具販売促進アニメとOCGとの境目にある見えるようで見えない亀裂であった。

次回、遊戯王ARC-V 【デュエリストの定義】にガッチャビングデュエルアクセラレーション!!
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