遊戯王ではない!デュエルモンスターズだ!!   作:なにかの波動に目覚めたトマト

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漢、権現坂。榊遊矢という友でありライバルの強さを改めて思い知る。



「このままでは今までとなにも変わらん。
新たなる不動のデュエルへの道が閉ざされてしまう。身も心も鍛えるのも良いが、デュエリストとして時には知識も鍛えなければ。ふむ、ポルトガルの商人が種子島に火縄銃を二丁のみを売ったのは……」



 本日の修行 新たなる不動のデュエルの為に知識をつける。




 読んでいる本が戦国時代の合戦術に関する指南書とか漢文とかデュエルと余り関係の無い本なのは気にしてはならない。




反逆の襲来

 

 

 

 

 遊矢がまた危険な事をしていた。

 

 

 

 可愛い顔をして、エゲつないモンスター達を並べて戦う融合使いこと素良。

 遊矢を訪ねて遠路遥々やって来てデュエルをして、話がなんやかんやで流れていたけれども私はちゃんと覚えている。

 ペンデュラムカードを狙うチンピラデュエリストとデュエルをしていた……おじさんが居なくなって遊勝塾がバッシングを受けていた時も遊矢は誰にも頼ることなく自分で動いていた。

 なんで私に頼ってくれないの?それとも頼りたくないの?私の事が嫌いなの…………。

 

「この辺りの筈だけれど何処だったかしら?」

 

 舞網市の端にある倉庫街にやって来た。

 この辺りにはあんまり良い思い出が無い。権現坂とはじめてデュエルをしたのはここで、遊矢が遊勝塾に敵意を向けるデュエリストとデュエルをしていてて……あの時は驚いたわ。

 遊矢はエンタメデュエルが好きじゃなくて、どっちかと言えば苦手で、使えないカードを使えないカードだって思ってたりしていて、沢山のデッキを持っていてデュエリストじゃないって。

 今となってはその辺りは特には気にならない。フトシくんにアユちゃん、タツヤくんにデュエルを教えるのは楽しそうで、デュエルをやってるときはもっと楽しそう……。

 

「あ、ここね……あいつ、市長の息子よね?」

 

 52とデカデカと白い数字が扉に書かれている倉庫を発見。

 なんでわざわざこんな場所に行くのかと疑問に思ったけれど、わざわざ家に向かうより此方の方が良いかもしれないわ。

 

「よっと……沢渡、居るなら返事してー」

 

 沢渡に会いにここまでやって来た。

 あいつ、市長の息子でお金持ちなのにわざわざ家からも学校からも遠いこんな所を溜まり場にしている。

 何処かからかソファーとか持ってきて、電気が通ってるからって冷蔵庫とか置いてて……なんか秘密基地感があってロマンを感じるって遊矢や権現坂は言っていたけれど、そんなの感じないわ。

 

「なんだ、誰かと思ったら、柚子か」

 

「なんだじゃないわよ。

貴方、最近またなにかやってるみたいだけど何をしてるの?」

 

 倉庫内で沢渡を呼ぶと梯子から降りてきた沢渡と取り巻きの3人。

 最近、なんか裏で色々とコソコソとしているけど……。

 

「おいおいおい、この前の話を聞いてなかったのか?」

 

「沢渡さんはペンデュラムモンスターのデータを取ってこいって言われたんだぜ?」

 

「ペンデュラムモンスターのデータはこの前のデュエルで取ることが出来た。

だから、約束通り真っ先にLDS製のペンデュラムモンスターを使わせて貰う為に先ずはペンデュラムのルールとかを覚えてるんだよ」

 

「そのとぉぅり!!

このオレ、沢渡はペンデュラムの力によりネオ・沢渡へと生まれ変わった!!」

 

「もうペンデュラムカードを!?」

 

 遊矢しか持っていないペンデュラムカード。

 LDSの親会社であるレオ・コーポレーションの技術力は世界でもトップクラスなのは知っている。

 だから、近い将来ペンデュラムカードが作られるのはこの前の事でなんとなく分かっていたけれど、もう作られているだなんて……これはチャンスよ!

 

「沢渡、デュエルよ!」

 

 遊矢以外にペンデュラム召喚をするデュエリストとデュエルできるなんて滅多な機会じゃない。

 デュエルディスクを取り出して、デュエルを沢渡に挑むけれど沢渡は意外そうな顔をしている。

 

「お前、なんか変なもんでも食ったか?」

 

「な、なによ、急に」

 

「オレもお前もジュニアユース選手権に出れる資格はあって、公式戦も済ませてる。

だったらジュニアユース選手権でオレと戦えば良い。腕を磨きたいんだったら権現坂や遊矢に頼めばなんとでもなるだろ」

 

「っ、それは……」

 

「もっとも権現坂はこれ以上どうすれば良いのか分からなくて停滞してる。

遊矢の奴はそもそもで大会に出ない。権現坂は停滞、柚子はオレを訪ねて来た……つまり、オレ等の世代で1番はオレ!!来たぜ、オレの時代!」

 

「「「沢渡さん世代と呼ばれるビッグウェーブ、来たぜ!!」」」

 

「おいおいおい、煽てんなよ……で、オレ様とデュエルなんてどういう風の吹き回しなんだよ?」

 

 コミカルな事やバカみたいな発言をした後、相談に乗ってくれる沢渡。

 デュエルをしに来た筈なのに何故か人生相談がはじまったけれど、私は沢渡に色々と打ち明ける。

 

「遊矢が私を頼ってくれないの……」

 

「はぁ?なにを言い出すかと思えば惚け話か!?」

 

「ち、違うわよ!!そういうのじゃなくて、ほら、遊矢からペンデュラムモンスターを盗った時に遊矢が言ってたじゃない。ペンデュラムモンスター目当てのチンピラデュエリストとデュエルしたとか」

 

「レアカードを狙うやつはこの街にはごまんといるからな。

お前、その辺のチンピラデュエリストにこのオレの生涯のライバルと決めた男が負けるとでも?」

 

「負けないから良いってわけじゃないのよ!!

遊矢は、3年前におじさんが居なくなって遊勝塾が衰退した時も1人で戦ってて、私はなにもすることができなくて」

 

 確かに遊矢は強い。

 変などうだって良い時に負けるけど、絶対に負けちゃいけないデュエルでの負けは今まで一度もない。

 だからって1人で戦わせて背負わせて良いの?遊矢が危険な事をしているのを目の前で指を咥えて見ているのも嫌……

 

「なによりも、遊矢にそんなデュエルばかりをさせたくないの」

 

 デュエルは楽しいもの。

 遊矢はそう言っていて、私達とデュエルをしている時は本当に楽しそうで笑顔になっていた。

 だけど、私達以外とのデュエルは違う。笑顔になっていない。デュエルを心から楽しんでいない……思い出すだけで涙が出てきそうになる。

 

「私、遊矢の背中に追い付きたい、遊矢の側を歩きたい、遊矢の隣を歩きたいの……永遠に」

 

「おっふ!」

 

「榊遊矢はなんて罪作りな男なんだ」

 

「上目使いの柊さん、マジ、エモすぎっす……」

 

 ずっとずっと、遊矢と一緒に歩いていたい。

 遊矢と一緒に笑っていたい……でも、余りにも遊矢の背中が遠すぎる。遊矢は自ら先に進むことをせずに、後退して遊勝塾の皆に色々と教えて遊勝塾の皆と歩幅を合わせている。

 遊矢と一緒にいたい気持ちはあるけれど、私は遊矢の邪魔になりたくはない。御荷物にはなりたくない。その為には1日でも早く追い付かないといけない。

 

「遊矢に追い付くためにも沢渡、貴方の屍を越えてみせるわ!!」

 

「……え~と……要するに新しいデッキの実験台になれってか!?」

 

「遠回しに言ったり、変な解釈をすればそうなるわ。でも、公式戦で負けた時の借りも返す為にもやって来たのよ!!」

 

「ちっとは否定しろや!!

つーか、新しいデッキだったら権現坂とデュエルでもしろよ!」

 

「権現坂は修行のために山から学校に通う生活を続けていて、デッキは調整中なの。

権現坂のデッキは特殊だから、新しくパワーアップをしたデッキで挑んでも仕方ないし……なによりも、遊矢や権現坂を除いてジュニアユースクラスの知り合いで一番強いデュエリストは貴方よ?」

 

「ったく、しゃーねーな」

 

 煽てるとあっさりと私の言葉に乗せられる沢渡。

 けど、言っている事は割と本当なのよ。舞網チャンピオンシップのジュニアユースクラスの参加権を手に入れる為の公式戦で戦ったデュエリストの中でも沢渡は3本の指に入るほどの実力者。

 タツヤくん程じゃないけど、学習能力もある。家がお金持ちだから、レアカードとか新しいカードを即座に入手して、デュエルする度にデッキが変わってる。

 

「沢渡さぁん、気付いてください!遠回しに権現坂の方が強いって言われてますよ!」

 

「なにぃ!?」

 

 そ、そこまでは言ってないわよ!?

 確かに公式戦で権現坂と沢渡がデュエルをしたら、権現坂が勝ったし、私個人としても権現坂を応援したいけど……。

 

「オレ様を踏み台にしようとは良い度胸だな、柚子……そうだ、折角だから色々と賭けをしようぜ!」

 

「賭け?」

 

「ああ、そうだ。

遊矢に危険なデュエルをさせたくない、してほしくない、隣に立ちたい。遊矢と同じぐらいに強くなりたいんだろ?だったら、こういう感じの賭けをした方がより実戦的だ!」

 

「……まぁ、確かにそうね」

 

 遊勝塾には何時も色々な危険が付きまとっている。

 おじさんの事とかペンデュラムとか塾生少なすぎて赤字続きとか、カードを取り扱ってないとか。

 きっとこれから先、更なる危険な事が起きる。だったら、そういう負けた方がなんらかの危険性が伴う危ないデュエルをしないといけない。

 負けたら終わりじゃなく負けたら何かあるという何時もとは異なるプレッシャーがのしかかるから実戦的で良いかもしれない。

 

「罰ゲームの内容……マドルチェスイーツ2000円分を奢るのはどう?」

 

「んなの罰ゲームにならないだろ?第一、0が1つ足りねえだろうが」

 

「っぐ……」

 

 トリシューラプリンとかマドルチェのスイーツは結構なお値段。

 2000円は結構なお金なのに、沢渡は罰ゲームでもなんでもないって、普段から柿本達にスイーツを奢ってたりするし、気前の良い沢渡にとって2000円分のスイーツを奢るぐらい日常茶飯事。

 罰ゲームだと認識してないのがイラッと来るわ。

 

「そこまで言うんだったら、30000円分奢ってもらうわ!!」

 

「どさくさに紛れて若干値上げしたな。

いいだろう、オレが負けたら遊勝塾に30000円分の差し入れをしてやる!!だが、お前が負けた時はどうなるか分かってるだろうな?」

 

「私が奢るんじゃないの!?」

 

 話の流れ的に私が奢る感じだったけど違うの?

 

「オレは他人に奢られるほど金に困っちゃねえんだよ」

 

 私の知り合いで一番財力を沢渡は持っている。お金で買える欲しい物は大体持ってる。

 そんな沢渡が私に対して与える罰ゲーム……

 

「沢渡さん、(遊矢と)ポッキーゲームっすよね!」

 

「沢渡さん、(遊矢と)愛してるゲームっすよね!」

 

「沢渡さん、(遊矢と)どんなエロいことをさせるんすか!」

 

 柿本、大伴、山部の3人が言っているのはお金では買えなさそうなことをいう。

 てか、山部がストレートにエロいって言ってたわよ!!

 

「そいつはデュエルに勝ってからのお楽しみだ!」

 

 デュエルディスクにデッキをセットし、ニヤリと悪どい笑みを浮かべる沢渡。

 勝った時になにをするか言わなかったせいで、どんな事を私にさせるつもりなのか分からない。このままだと大事なものを失いかねないと一旦デュエルを中止を提案をしようとするけれど、立ち止まる。

 遊矢は常に自分の大事なものを賭けている。おじさんの時だってそう。一度でも負ければ全てが終わっていた。

 

「沢渡、貴方にだけは絶対に負けない!」

 

「捻りのないセリフだな!」

 

 絶対に勝ってみせる!

 私もデュエルディスクにデッキをセットし、沢渡と向かい合いデュエルスタンバイ。私達が開幕を告げる合図をしようとした瞬間だった。

 

「待て!!」

 

 横槍が入った……んだけど

 

「だ、誰?」

 

 ちょうど遊矢と同じぐらいの体格の紅いストールを巻きマントで体を覆い黒いマスクとゴーグルで顔を隠した知らない誰かが出てきた。声からして男性みたいだけれど、誰?

 沢渡達の方を見てみるけれど誰だあいつといった顔をしている。私もあんな格好をした知り合いは居ないし、一瞬遊矢かと思ったけれど、遊矢に気付かれない様に沢渡のところに来たし、大体遊矢がこんな格好をして沢渡の元には来ない。

 

「……下がっていろ」

 

「下がっていろって、これ私と沢渡のデュエルで貴方は」

 

「あいつは危険だ」

 

 全くの無関係の彼はデッキをセットされたデュエルディスクを取り出す。

 と言うことはデュエルをしろってことで、彼もデュエリストだけれど……なんで彼と沢渡がデュエルをするわけ?

 

「いきなり現れたと思ったら、オレ様が危険だと?

確かにイケメン過ぎて逆に危険なのは分かるが、野郎には好かれたかねえぞ!」

 

「……貴様、LDSだな」

 

 か、会話が成り立ってない。

 

「LDS……ああ、てめえもしかして!!」

 

「知ってるの、沢渡?」

 

「最近、LDSで噂になってるLDS狩りのデュエリストだな!!」

 

 え、なにそのデュエリスト?

 大手のデュエルスクールにLDSのデュエリストを倒して名を上げようとするデュエリストって、ごまんと居るわよね?

 

「LDS狩りのデュエリストって言うと!」

 

「道端でスタンディングデュエルを挑んではエクシーズモンスターで勝利する!」

 

「LDSのエリート中のエリートである制服組も倒したっていうあの!!」

 

 LDSの制服組って、プロデュエリストの内定が決まってるも同然のエリート集団じゃない。

 ていうか、3人が言っていることを聞く限りは彼は辻デュエリストよね?もうすぐ舞網チャンピオンシップがあるから腕試し?いや、それならルール通りアクションデュエルをしないといけない。

 大手のLDSなんだからうちと違って塾生は沢山いるから公式戦を申し込めば直ぐにしてくれるのに、どうしてわざわざ公式戦をしないの?

 

「そのバッジ、お前はLDSだな?」

 

「ノンノンノン、ちょっと違うな。オレは今までお前が相手にしてきたエリートデュエリストとは異なるスゥパァエリートデュエリスト、ネオ・沢渡様だ!!」

 

 あ、まだ続いてるのね、それ。

 顔がよく見れないけど、向いている方向から見る感じ沢渡を睨んでそうな彼。

 

「「デュエル!!」」

 

 そして私を放置してデュエルがはじまった……

 

「私とのデュエルは!?」

 

「こいつを倒してからしてやるよ!!」

 

 完全に忘れられてる。

 沢渡は私とのデュエルよりもLDS狩りのデュエリストのデュエルに意識を向ける……取りあえずはデュエルを見よう。柿本達も完全に沢渡の応援モードだし、この後にやるデュエルの参考になるわ。

 

「オレのターン。オレは手札を5枚セットする!」

 

「!?」

 

 LDS狩りの先攻からはじまったけれど、まさかの5枚セットでの終わり。

 最初の手札が魔法・罠カードだって言ってるみたいなものでハネワタや冥府の使者ゴーズみたいな手札から発動できるタイプのモンスターが手札に無いって言ってるも同然じゃない。

 

「おいおい、ガン伏せかよ。

オレのターン、ドロー……オレは強欲で金満な壺を発動!

エクストラデッキのカードを3枚もしくは6枚をランダムに裏側表示で除外することにより除外したカード3枚につき1枚をドロー!オレはエクストラデッキのカードを6枚裏側表示で除外し、カードを2枚ドロー!」

 

 いきなりのドローカードの発動かと思えばエクストラデッキからカードを裏側表示で除外した沢渡。

 今までの沢渡はエクストラデッキにカードを1枚も入れていなかったのに入れている。ネオ沢渡だと言うほどパワーアップをしている。

 

「なにもしてこねえのか?……どうやら無駄みたいだったな。オレはハーピィの羽根帚を発動!!」

 

 強欲で金満な壺の効果でドローをしたハーピィの羽根帚。

 問答無用で相手の魔法・罠、ペンデュラムスケールにセットしたペンデュラムモンスターを破壊するカード。あれじゃあセットしたカードが召喚や効果発動時に使うカードでもブラフでも意味を為さない。フィールドががら空きになる。

 

「そうはさせない、罠カード発動!」

 

「効果の発動を無効化系のトラップか?っへ、使わせただけでも儲けものだぜ!!」

 

 ハーピィの羽根帚にチェーンをして伏せカードを発動するLDS狩り。

 だけど、発動する事の出来ないカードもあったのかハーピィの羽根帚の効果により破壊される……気のせいかしら?ハーピィの羽根帚で破壊された時に起きる演出の風が何時もより強い気がするわ。

 

「これでお前のフィールドはがら空きだぜ!」

 

「それはどうかな?」

 

「なに……まさか、和陸の使者でも発動したのか!?」

 

 沢渡の羽根帚でピンチになった筈なのに慌てない彼。

 あの状況でこんな事になってしまっても余裕でいられるカードって和陸の使者とかダメージを0にする系のカードぐらい。

 沢渡も同じ事を考えていると、彼のフィールドにモンスターが召喚される。

 

「手札無くて墓地にもカードが無いのにモンスターを特殊召喚だと!?」

 

「お前がハーピィの羽根帚を発動した際に発動した。

幻影騎士団(ファントムナイツ) トゥーム・シールド。このカードは発動後、通常モンスターとして扱う」

 

 幻影騎士団トゥーム・シールド×3

 

 レベル3 闇属性 戦士族 通常モンスター(罠カードとしては扱わない) 攻撃力300

 

 見たことの無いカードを召喚するLDS狩り。

 これって、確か罠モンスター……よね?

 

「セットしたカードが罠モンスターとは意外だな。

だが、罠モンスターは宮廷のしきたりがねえと上手くいかせねえ!」

 

 自身以外の永続罠カードを破壊から守る宮廷のしきたり。

 罠モンスターと組み合わせることにより戦闘でも効果でも破壊されなくなり、相手は宮廷のしきたりを破壊せざるをえなくなって、遊矢が権現坂に対してやった時は権現坂は凄く除去するのに苦労していたわ。

 

「幻影騎士団達は通常罠だ。宮廷のしきたりを使っても意味はない」

 

「なにぃ!?」

 

 通常罠の罠モンスター?

 幻影騎士団といい全く聞いたことの無いカードを使っているわね。

 

「更に罠カード、幻影騎士団ダーク・ガントレットの効果。

デッキから1枚ファントム魔法・罠カードを墓地に送る。オレが墓地に送るのは幻影死槍!」

 

「余計な壁を増やすどころか墓地まで増やしちまったか。

だが、効果もなけりゃパワーもねえカードにやられるオレ様じゃねえ!!」

 

「「「沢渡さん、気を付けてください!それ死亡フラグですよ!!」」」

 

「死亡フラグを打ち破る、それこそが天才デュエリスト沢渡様だ!

オレは魔法カード、フォトン・サンクチュアリを発動!フィールドに2体のフォトントークンを守備表示で特殊召喚する!」

 

 フォトントークン×2

 

 レベル4 光属性 雷族 守備力0

 

「フォトントークンは攻撃することは出来ず、シンクロ召喚に使うことはできない」

 

「トークンはエクシーズ素材にはできない……融合召喚か!」

 

「違うな。オレは2体のフォトントークンをリリースし轟雷帝ザボルグをアドバンス召喚!!」

 

「「「そ、そのカードは!?」」」

 

 ……あれ?

 

「ペンデュラムじゃないじゃない」

 

 ペンデュラムカードがどうのこうのとデュエルをする前に色々と言っていた沢渡。

 今使っているカードは帝と呼ばれるカードで、アドバンス召喚をメインとしているモンスター達。ペンデュラム召喚をすればアドバンス召喚の為に通常召喚出来るけど、合わない気がするわ。

 

「ふっ、甘いな。

オレは常に時代の最先端を行く男だぞ?そんな沢渡が生まれ変わりネオ・沢渡になった。ならば時代の最先端の更に先を行く!」

 

「まぁ、本当はペンデュラムカードがまだ未完成でLDS内部でしか使えないから違うカードを使ってるってだけですけど」

 

 それでアドバンス召喚ってむしろ退化してない?

 

「轟雷帝ザボルグの効果を発動!

アドバンス召喚に成功した時、フィールドのモンスター1体を破壊する。そしてその破壊したモンスターが光属性だった場合、そのモンスターのレベルもしくはランクの数だけお互いにエクストラデッキからカードを墓地に送る!!」

 

「なに!?」

 

「エクストラデッキのデッキ破壊!?」

 

「その通り!

LDSは融合、シンクロ、エクシーズの3つの召喚全てを教えはじめた。

そしてそれを真似るかの如く他のデュエル塾も融合、シンクロ、エクシーズの何れかを教えている。

今の時代はそれらを出来る奴がスゴいが、このネオ・沢渡は更にその先を行く!今の時代じゃそれですごいと持て囃されるが、数年後にはそれが当たり前!だったら、それが当たり前の環境でも最強なこの轟雷帝ザボルグのエクストラデッキ破壊が最先端の更に未来を行くデュエルだ!!」

 

 言っていることがなんだかスゴく恐ろしく効果もとてつもなく恐ろしい轟雷帝ザボルグ。

 効果で墓地送りにされれば蘇生することは出来ないし、墓地に送られた時に発動する系の効果を持っているカードはほぼ無いに等しい。

 

「オレはこの効果で轟雷帝ザボルグを破壊するぜ!!

そして轟雷帝ザボルグを光属性モンスターをリリースしてアドバンス召喚した場合、この効果で墓地に送る相手のエクストラデッキのカードもオレが決める!」

 

 な、なによその色々ととんでもないふざけた効果は!?

 轟雷帝ザボルグを召喚して妨害がなければ相手のエクストラデッキを8枚も自分で選んで墓地に送ることが出来る。しかも、エクストラデッキから8枚を選ぶ効果だから相手のエクストラデッキの全てを見ることが出来る。

 知識の豊富なデュエリストは相手の使うカード2、3枚で相手のデッキがどんな感じなのかを見抜ける。問答無用で15枚のエクストラデッキを見ることが出来るから、相手のデッキがどんな感じなのかが分かる。

 8枚もデッキから墓地に送られたら、エクストラデッキのモンスターを主体としたデッキは上手く回らない。

 

「って、エクストラデッキ7枚しかねえじゃねえか。全部墓地送りだ!」

 

 7枚しか無かったので、迷うことなく墓地送りにする沢渡。

 半透明な轟雷帝ザボルグが彼に向かって雷を落とす……え?

 

「停電?」

 

 轟雷帝の雷が落ちると急に倉庫内が停電した。

 まだ明るい時間帯だから中は見れるけど、急に停電するなんておかしい。

 

「そしてオレのエクストラデッキから8枚のカードを墓地に送る!カードを2枚セットしてターンエンドだ!」

 

 沢渡のフィールドは2枚の伏せカード、手札は2枚。

 モンスターゾーンはがら空きだけど、幻影騎士団罠モンスターの攻撃力は低いからダイレクトアタックを受けてもライフは0にならず、エクストラデッキからモンスターを出すことも出来ない。

 

「オレは魔法カード、貪欲な壺を発動!!

墓地に眠る幻影騎士団ブレイクソード2枚と幻影騎士団カースド・ジャベリンを2枚とダークリベリオン・エクシーズ・ドラゴンをデッキに戻して2枚ドローする!」

 

 轟雷帝の効果により墓地に送られたエクストラデッキのカードを戻し、デッキから2枚ドローするLDS狩り。

 これでエクストラデッキの補充が出来て、足りなかった分の手札の補充も出来た。手札によっては1ショットキルも出来そうな感じだけれど、問題は沢渡がセットしたカード。

 

「2体の幻影騎士団トゥーム・シールドでオーバーレイ!!

戦場に倒れし騎士たちの形見よ今こそ蘇り、闇を切り裂く光となれ!エクシーズ召喚!現れろ!ランク3、幻影騎士団ブレイクソード!」

 

 幻影騎士団ブレイクソード

 

 ランク3 闇属性 戦士族 レベル3モンスター×3 攻撃力2000

 

「……おかしい、おかしいわ!!」

 

「なにがだよ?」

 

「これはアクションデュエルじゃなくてスタンディングデュエル。

リアルソリッドビジョンを使わないデュエルで、衝撃もなにもない……なのに、そのモンスターからは寒気を感じるのよ!!」

 

 フォトントークンは光を放っているだけのトークンだから余り感じなかった。

 轟雷帝ザボルグや幻影騎士団トゥーム・シールドを出したときに僅かな違和感を覚えた。そしてブレイクソードでハッキリとした。

 

「貴方達のモンスターが実体化してる。沢渡、今すぐにデュエルを中止にしないと怪我を」

 

 モンスターが実体化している。

 リアルソリッドビジョンを使ったデュエルなら別に普通のこと。でも、リアルソリッドビジョンを使ってない今はおかしなこと。

 安全装置もなにもない床がコンクリートのこの場所で吹き飛ばされたら、アクションデュエルでの事故よりも酷い大ケガをおうかもしれない。

 

「っは、怪我の1つや2つが怖くてデュエリストなんてやってられるかよ!」

 

 そういう問題じゃないでしょうが!!

 

「それにな、その原因は判明している。そう、犯人はあいつだ!」

 

 ビシッとLDS狩りを指差す沢渡。

 いや、確かにおかしな原因は彼にあるけれどもそんな分かりきった事をかっこよく言わなくても……。

 

「アイツのデュエルディスクは見たことの無いタイプだ。

恐らくは違法改造されたリアルソリッドビジョンを入れたデュエルディスク……リアルソリッドビジョンはな、レオコーポレーションの専売特許なんだよ。こんなバカな使い方をしてるやつ、見逃せるか!とっちめて、社長の前につれてってやる」

 

「「「っよ!沢渡さん、正義の味方!!」」」

 

 私の制止を振り切り、デュエルを続ける沢渡。

 こうなった沢渡はどうすることも出来ず、取り巻き三人組が盛り上げるのでデュエルを見守る。

 

「エクシーズモンスターはモンスターの魂であるオーバーレイユニットを使い真の力を発揮する!

オレは幻影騎士団ブレイクソードの効果を発動。オーバーレイユニットを1つ墓地に送り、互いのフィールドのカードを1枚ずつ破壊する!オレは右側のセットカードと三枚目の幻影騎士団トゥーム・シールドを破壊!」

 

「LDS狩り、オレ様というデュエリストと対峙したのはどうやら運命の様だったな」

 

「どういうことだ?」

 

「お前が選択したカードと、選択しなかったカードの両方を使わせて貰うぜ!

先ずは選択したカード!速攻魔法、帝王の烈旋を発動!!このカードを発動したターン、相手モンスターをアドバンス召喚の素材にできる」

 

 

「だが、今はオレのターン。お前はアドバンス召喚はできない」

 

「不可能を可能にする。それこそがこの天才デュエリストの沢渡様だ!!」

 

 沢渡がそういうと2人の間に巻き起こる竜巻。

 チラリと一瞬だけ風帝ライザーが見えるけれども直ぐに居なくなる。そしてこの竜巻もアクションデュエルで起きる竜巻よりも風が強く、私はスカートが捲れない様に裾を押さえた。

 

「永続罠、連撃の帝王を発動だ!!」

 

 沢渡の声が響くと消える竜巻。

 

「なぜお前のフィールドにモンスターが……」

 

 竜巻が晴れるとLDS狩りのフィールドには幻影騎士団ブレイクソードは居なくなり、代わりに沢渡のフィールドには新しい帝モンスター、邪帝ガイウスがたっていた。

 

 邪帝ガイウス

 

 レベル6 闇属性 悪魔族 攻撃力2400

 

「永続罠、連撃の帝王は、相手ターンのメインフェイズかバトルフェイズでアドバンス召喚をすることが出来るカードだ!オレはお前の幻影騎士団ブレイクソードをリリースし、邪帝ガイウスをアドバンス召喚した!」

 

 沢渡は文字通り不可能を可能とした。

 

「更に邪帝ガイウスの効果を発動!フィールドのカードを1枚除外する。

除外したカードが闇属性のモンスターだった場合、相手に1000ポイントのダメージを与える。オレが除外するのは、そう。最後の幻影騎士団トゥーム・シールドだ!1000ポイントのダメージを受けな!!」

 

「沢渡、そのダメージ効果は除外したカードが闇属性モンスターかどうかで判定があるからフィールドから離れたら罠カードに戻る罠モンスターだとダメージを受けないわよ?」

 

「え、まじで?」

 

 邪帝ガイウスの効果をよく理解していなかった沢渡。

 既にトゥーム・シールドを選んでしまったから、別のカードを選ぶことは出来ない。

 邪帝ガイウスはダークマターを思わせるかの様な深く黒に近い紫色の円を出すと円から引力が発生し、トゥーム・シールドが吸い込まれていく。

 

「私も引っ張られるんだけど!?」

 

 カードが実体化してるせいか、巻き込まれる形で引っ張られる私。

 トゥーム・シールドよりも私の方が邪帝ガイウスよりも遠い場所にいるから吸い込まれる事は無かったけど、心臓に悪い。

 対戦しているデュエリストが吸い込まれそうになるならまだ分かるけど、見ている私がさっきから巻き込まれてばかり。もうちょっとどうにかならないのかとLDS狩りのデュエリストに文句を言おうとした。

 

「……遊、矢?」

 

 文句の一言の代わりに、幼馴染みの名前が出た。

 邪帝ガイウスの効果で引っぱられたのは私だけじゃなく、彼も引っ張られて少しだけ立っている位置が変わり、つけていたマスクとゴーグルが外れて素顔を見せた。

 物心つく前からずっと一緒にいる幼馴染みで私の大事な人で、何時か本当の笑顔にしたいと思っている遊矢と同じ顔を見せた。

 

「はぁ!?LDS狩りの正体は遊矢だったのか!?」

 

「そんなことあるわけないじゃない!遊矢だったら不意打ち紛いの事はせずに、堂々と襲撃しにいくわ!!」

 

 素顔を見て驚く沢渡。

 事件の犯人は遊矢がとなるけど、わざわざ私達の前で素顔を隠して出る必要なんて何処にもないし、おばさんがこっそりとデュエルディスクに仕込んだGPSで何処に居るかぐらいすぐにわかるわ!!

 

「遊矢?オレはユートだ」

 

「ユート……遊矢に似ているが、親戚じゃあなさそうだな。自分と同じ顔は世界に3人はいるとか言うが、まさかマジだったとはな」

 

 気が動転する沢渡だけれど、本人が普通に否定したのでそっくりさんで終わる。

 けど、そっくりさんで終わるレベルじゃない。体格とか色々と同じで、違いは服装と髪の長さぐらい。

 双子とかクローンと言われてもおかしくないレベルで瓜二つで……なんだか、嫌な感じがするわ。これはあれね。似すぎるのもあまり良くないということね。

 

「……ターンエンドだ」

 

「オレのターン、ドロー……1つ聞いて良いか?」

 

「なんだ?」

 

「お前、なんでこんな事をやってんだ?

今回はこのスゥパァエリートであるオレ様が相手で運が無かったが、制服組を倒したんだろ?

何処で教わったかは知らねえがエクシーズ召喚を使いこなす腕があんのに、なんでそんな事をしてんだよ」

 

 LDSの制服組を襲った事について聞く沢渡。

 デュエル中にこんな事を聞くって事は沢渡は彼の事を強いデュエリストだと認めているということ。

 彼が何処の誰かは知らないけれど、少なくともLDSの制服組を倒すほどの実力を持っている。見た感じだけど、権現坂道場を破門された暗黒寺ゲンの様な凶暴な性格でもない。

 公式戦を申し込めば山のように出てくるのがLDSの生徒で、わざわざ制服組を襲う理由が分からないわ。

 

「……戦いを終わらせるためだ」

 

「戦いを終わらせるだと?」

 

 むしろ戦いの火蓋を切ってるわよ?

 

「オレは……オレ達は戦いを終わらせる。

その為に此処にやって来た。散っていった仲間や拐われた仲間達を救うためにも、悲しみを断ち切るためにも」

 

「お前、なに言ってんだ?」

 

 なにかあったっぽいけど、話が読めない。

 仲間って言ってるから仲間がLDSと勝負をして仲間が負けた?……いや、それだったら倒した相手とデュエルを挑んで敵討ちをすればいいだけ。

 

「……」

 

 よく分からないから詳しい事を聞きたい沢渡に対して、彼は口を閉ざす。

 こんな感じだから時折忘れるけど沢渡と柿本達はLDSに所属している。LDSで起こった事とか噂されている事とかあるんだったら色々と知れる。

 彼と彼の仲間達がLDSといざこざがあったとしても、言っていることがなんか色々と変。

 

「どうやらお前にはお前の事情があるみたいだな。だが、だからと言って負けてやるほどお人好しじゃねえんだ!

オレは魔法カード、汎神の帝王を発動!手札の帝王カードを墓地に送り2枚ドローする。オレは2枚目の連撃の帝王を墓地に送り2枚ドロー!

更に汎神の帝王を除外し、更なる効果を発動!デッキから帝王魔法・罠カードを3枚を相手に見せ、その内1枚を相手に選ばせ、残った2つをデッキに戻す!オレは帝王の烈旋を2枚と帝王の深淵を見せるぜ!」

 

「オレは帝王の深淵を選ぶ!」

 

「手札に加えた帝王の深淵を発動する。

攻撃力2400もしくは2800で守備力1000のモンスターを相手に1体見せて、デッキから帝王カードを手札に加える!オレは天帝アイテールを見せて帝王の烈旋を加える!!」

 

 結局なにを選んでも帝王の裂旋は手札に加えることが出来るのね……。

 これで次のターンになにを召喚してもアドバンス召喚の素材にされる可能性が出てくる。

 

「そして邪帝ガイウスをリリースし、天帝アイテールをアドバンス召喚!!」

 

 天帝アイテール

 

 レベル8 光属性 天使族 攻撃力2800

 

「天帝アイテールはアドバンス召喚をしたモンスターをリリースすれば1体でアドバンス召喚できる!

更に天帝アイテールの効果を発動!手札・デッキから帝王の魔法・罠カード2種類を墓地に送ることにより攻撃力2400以上、守備力1000のモンスターを特殊召喚する事が出来る!帝王の凍気と帝王の轟毅を墓地に送り、現れろ、冥帝エレボス!」

 

 冥帝エレボス

 

 レベル8 闇属性 アンデット族 攻撃力2800

 

 

 攻撃力が2800のモンスターが2体、ユートのライフを削りきることが出来る。

 

「バトルだ、天帝アイテールでダイレクトアタック!!」

 

「っく……」

 

 ユート LP4000→1200

 

「こいつで終わりだ!

オレは冥帝エレボスでダイレクトアタック!」

 

「幻影騎士団は倒れない、何度だって立ち上がる!

この瞬間、幻影騎士団シャドーベイルとダークガントレットの効果を発動!相手のダイレクトアタック宣言時、自分のフィールド上にカードが無い時、墓地からこのカードを守備表示で特殊召喚する!甦れ、幻影騎士団達よ!!」

 

 幻影騎士団シャドーブレイク

 

 レベル4 闇属性 戦士族 罠(通常モンスターとして扱う) 守備力300

 

 幻影騎士団ダークガントレット

 

 レベル4 闇属性 戦士族 罠(通常モンスターとして扱う) 守備力600

 

「破壊したと思ったらフィールドに甦りやがって」

 

「幻影騎士団は何度でも甦る!

仲間達のために、例え何度倒されても不撓不屈の精神でお前の前に立ちふさがる!そして仲間の思いを背負う!

幻影騎士団ダーク・ガントレットは墓地にあるファントム魔法・罠カードの枚数×守備力を300ポイントアップする。

オレの墓地には幻影騎士団トゥーム・シールド3枚と幻影死槍の合計4枚。1200ポイントアップする!」

 

 幻影騎士団ダーク・ガントレット 守備力600→1800

 

「だが、それでも冥帝エレボスの攻撃力には届かねえ!

オレは冥帝エレボスでその邪魔なダーク・ガントレットを破壊させてもらう!冥帝エレボスの攻撃!!」

 

 不撓不屈の精神で立ち上がる幻影騎士団。

 冥帝エレボスは指を鳴らし、幻影騎士団ダークガントレットの前に地獄の門の様な物を出現させた。

 地獄の門の様な物はゆっくりとゆっくりと扉が開いていきダークガントレットは引き寄せられ、半透明なトゥーム・シールド達が必死になって吸い込まれない様にするのだけれど、引き寄せられる力の方が強くダークガントレットは扉の向こう側に飲み込まれる、その瞬間だった。黒い槍が扉に刺さった。

 

「この瞬間、幻影死槍の効果を発動。

闇属性モンスターが戦闘で破壊される時、墓地のカードを除外することで破壊を免れる!」

 

「っち、レベル4のモンスターが残っちまったか。オレはカードを1枚セットし、ターンエンド。

そしてエンドフェイズ時に天帝アイテールの効果を発動。自身の効果で特殊召喚したモンスターを手札に戻す、戻りな冥帝エレボス」

 

「これって……」

 

 沢渡のセットしたカードは多分だけど手札に加えた帝王の裂旋。

 手札には冥帝エレボスがいる。帝王の裂旋はアドバンス召喚する時に相手のモンスターを1体素材に出来る。沢渡のフィールドには永続罠、連撃の帝王がある。

 次のターンにエクシーズ召喚に成功したとしても帝王の裂旋と連撃の帝王のコンボで天帝アイテールとそのモンスター1体をリリースされて、冥帝エレボスがアドバンス召喚される。

 次のターンに沢渡がライフを0に出来ないなんて事は無いし、このターンでデュエルに勝利しないといけない。

 

「……」

 

 彼もそれを感じているのかデッキを見つめる。

 そのドローを含めた3枚の手札と墓地にあるカードだけで、ワンショットキルを決めないといけない。

 

「つまんねえな」

 

「なに?」

 

「同じ顔をしているのに、お前とデュエルをしてて全然面白くねえんだよ」

 

 ドローをする手が震えているのを見て、沢渡は不満そうな顔をする。

 

「アイツは……全く別のゲームをしてるんじゃないかって思うぐらいに1人プレイで速攻魔法で3体のブルーアイズ特殊召喚とかいう頭のおかしなデッキを使ってくる殺意の塊みたいなデュエルをしてくる。

コンマイ語を感じるんじゃない考えるんだとか変な事を時折言ってくるよくわからねえ時もあるが、1つだけ確かな事がある……アイツとの、榊遊矢とのデュエルは楽しくて面白いんだよ!」

 

「楽しくて、面白い……」

 

「ああ、そうだ!!

油断すると一瞬でやられるスリルを楽しめ、デュエルの度にデッキをコロコロと変えやがるから自分の本当の実力を知れて面白い。なによりも、アイツ自身がデュエルを楽しんでいる。なのに、お前のデュエルはつまんねえどころかお前自身が楽しんでねえ!!」

 

 彼とのデュエルに対し、不満を言い放つ沢渡。

 確かにデュエルを楽しもうとしていない。沢渡とのデュエルを面白いと思っていない。

 でも、それはLDSの間になにかしらの事情があったからで、今は3年前の遊矢みたいに……。

 

「デュエルってのはな、カードゲームなんだよ!

今でこそプロだなんだとできたけど、元々は楽しんで遊んでもらう為に作られたんだ!真剣勝負?大いに結構!だが、楽しむ心を忘れてるんじゃ一生オレには届かねえ!」

 

「「「沢渡さん、それ遊矢が言ってたことっすよ!!」」」

 

「オマージュといえ、オマージュと!」

 

 どこがよ。

 遊矢の言っていることを丸パクリしているだけ……でも、言っていることや伝えたい事は分かるわ。

 

「デュエルは楽しむもの……」

 

 沢渡の言葉に感化され、なにかを思い出す。

 チラッとだけど私の方を見たけれど、知り合いと私が似ているのかしら?

 

「なら、このドロー、楽しませてもらう」

 

「ああ、楽しめ。

オレは遊矢と違って優しいから、強烈なはたき落としは使わねえ!」

 

 そういえば、似たような状況で遊矢に強烈なはたき落としでドローカードを墓地に送られていたわね……沢渡が。

 

「……オレは墓地の幻影騎士団トゥーム・シールドの効果を発動。

自身を除外することにより、相手フィールド場の表側表示の罠カードの効果をエンドフェイズ時まで無効にする。オレは連撃の帝王の効果を無効にする!これでこのターン、お前はアドバンス召喚を出来なくなった」

 

「確かにそうだが、まだオレのフィールドには天帝アイテールがいる!!こいつを倒した上で4000のライフを削りきる事が出来るかな?」

 

「幻影騎士団ダーク・ガントレットと、シャドーベイルでオーバーレイ!!

漆黒の闇より、愚鈍なる力に歯向かいしもの、反逆の時!!エクシーズ召喚、ダーク・リベリオン・エクシーズ・ドラゴン!!」

 

 レベル4の罠モンスターからエクシーズ召喚された黒いドラゴン。

 今まで出てきた幻影騎士団とは違うモンスターで、威圧感が段違いで……遊矢のオッドアイズ・ペンデュラム・ドラゴンと同じ、召喚法を名に持つモンスター。

 

 ダーク・リベリオン・エクシーズ・ドラゴン

 

 ランク4 闇属性 ドラゴン族 ORU×2 攻撃力2500

 

「ダーク・リベリオン・エクシーズ・ドラゴンの効果を発動。

オーバーレイユニットを2つ使い、相手モンスター1体の攻撃力を半分にし、その数値分だけ攻撃力をアップする!」

 

「フォースと同じ効果だと!?」

 

「オレは天帝アイテールの攻撃力を半分にする!トリーズン・ディスチャージ!!」

 

 紐状の雷を背中の翼から出すダーク・リベリオン。

 天帝アイテールを縛り上げると、電気を流し込み攻撃力を半分にし、もう半分を自分の物にしていく。

 

 天帝アイテール

 

 攻撃力2800→1400

 

 ダーク・リベリオン・エクシーズ・ドラゴン

 

 攻撃力2500→3900

 

「これで天帝アイテールを上回った」

 

「確かにそうだが、ダーク・リベリオン・エクシーズ・ドラゴンの元々の攻撃力分のダメージしか与えられない!次のターンにオレがモンスターを引いて、ダーク・リベリオン・エクシーズ・ドラゴンを素材にアドバンス召喚すれば」

 

「お前に次のターンは無い!

オレは闇の誘惑を発動!デッキから2枚ドローし、手札から闇属性モンスターを除外する!オレは幻影騎士団ラギットグローブを除外し、速攻魔法、異次元からの埋葬を発動。

除外されているラギットグローブとトゥーム・シールドを墓地に戻す。ラギットグローブの効果を発動!自身を除外することにより、デッキから幻影騎士団かファントム魔法・罠カードを墓地に送る!オレが送るのは幻影剣!

墓地に送られた幻影剣の効果を発動。自身を除外することにより、墓地の幻影騎士団モンスターを特殊召喚することが出来る。オレは幻影騎士団ブレイクソードを特殊召喚!!」

 

 再び甦った幻影騎士団ブレイクソード。

 エクシーズ召喚でなく特殊召喚で墓地から甦らせた為にオーバーレイユニットの球は回ってはいない。

 オーバーレイユニットが無いと効果を使えないエクシーズモンスターは通常モンスターと遊矢は言っていたけれど、今はその通常モンスターが必要だった。

 

 ダーク・リベリオン・エクシーズ・ドラゴン

 

 攻撃力3900 ORU×0

 

 幻影騎士団ブレイクソード

 

 攻撃力2000 ORU×0

 

「ブレイクソードでアイテールを倒して、ダーク・リベリオンでダイレクトアタックってか!舐めんじゃねえぞ、アクションカードで……あ、アクションデュエルじゃなかった」

 

 なにを今更な事を言ってるのよ。

 沢渡はアクションカードに頼ろうとしたけれどもアクションデュエルじゃないことに顔を真っ青にする。

 

「バトルだ、幻影騎士団ブレイクソードで天帝アイテールを攻撃!」

 

「ぐっほぉ!?」

 

 沢渡 LP4000→3600

 

「沢渡!?」

 

 ブレイクソードのボロボロの刃に切り裂かれる天帝アイテール。

 モンスターが破壊された時に起きる突風が何時もより強く、沢渡は尻餅をつく。

 

「あ~くそっ!やるなら、とっととやりやがれ!!」

 

 これ以上はどうすることも出来ない沢渡。

 潔く負けを認めた。

 

「……ダーク・リベリオン・エクシーズ・ドラゴンでダイレクトアタック!反逆のライトニング・ディスオベイ!!」

 

 顎の牙に雷を纏わせ飛ぶダーク・リベリオン。

 沢渡に向かって突撃し、顎の牙で沢渡を突き飛ばした。

 

「おぉおおおお!のぉおおおおおん!!」

 

「「「沢渡さん、大丈夫っすかぁ!?」」」

 

 沢渡 LP3600→0

 

 そして見事なまでの敗北フラグを回収した沢渡と見事なまでの逆転勝利をしたユート。

 

「こ、今回はオレの負けだ!だが、覚えておけよ。

次に会ったとき、ネオ・沢渡からニュー・ネオ・沢渡に進化した時にはお前も、そして遊矢もぶっ倒す……ガクリ」

 

「すまない……」

 

 負けた筈の沢渡はゆっくりと意識を失うもののその顔は清々しく、気持ちいい笑顔。

 勝った彼は浮かない顔で、勝ったことを喜ばず謝っていた。

 負けた方が心の底から笑顔になっていて、勝った方は笑顔になるどころか悲しんでいる。

 

「待って、貴方はどうしてこんな事をしているの?」

 

 この場を去ろうとする彼。

 悲しい顔でデュエルをしている人を見過ごすことは出来ず、私は腕をつかむ。

 

「君は……いや、違うか」

 

「違うって、なにが違うの?」

 

「違うとはいえ、オレは君を巻き込みたくない」

 

「巻き込みたくないって、私はもう当事者、きゃっ!?」

 

 彼にはなにかしらの事情がある。

 その事について聞こうとすると桜色の光がブレスレットから放たれ

 

「……いない」

 

 光が消えると彼が居なくなっていた。

 

「あ、やっぱ此処に居たのか」

 

「遊矢?」

 

 ユートが居なくなるとまるで入れ替わるかの様にやって来た遊矢。

 流石に無いと思うけれど、さっきまで居たのは実は遊矢でしたは……無いわよね。

 

「遊矢、よね?」

 

 改めて遊矢の顔を見るとさっきまで居たユートと瓜二つ、ううん、そういうレベルじゃないぐらいに顔が似ている。

 さっきまで居たユートじゃないのか確認を取ると目を細める……え、どうしたの?

 

「なに言ってるんだっと、沢渡っ──」

 

「またなの!?」

 

 沢渡の事を心配する遊矢。

 何時も通りの遊矢で、さっき居たユートは瓜二つの別人だったと納得がいったのだけれど、さっきまでユートが居た場所が光った。

 

「ここがスタンダード……」

 

「今度は……私!?」

 

 光が消えると、そこに居たのは服装と髪の長さ以外は私と瓜二つな女性が立っていた。

 いったいなにがどうなっているのか分からない。

 

「っ、見られ──ユート?」

 

 私の声に反応し、慌ててしまう私のそっくりさん。

 遊矢の顔を見ると驚き、ユートの名前を出すけれども遊矢は目もくれず沢渡に向かう。

 

「ユートじゃないって前も言っただろう。取りあえず、沢渡は、あ~ダメだ、これ……山部、救急車って呼んでるか」

 

「今、電話しようとしてるところっす。あ、もしもし救急車をですね───」

 

 意識を失った沢渡の為に救急車を呼ぼうとする山部。

 電話が繋がり、救急車1台を頼もうとしたその時だった。

 

「遊矢、遊矢なのね……会いたかった!!」

 

 私のそっくりさんが遊矢に抱きついた……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

は?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「沢渡さん、起きてください!」

 

「沢渡さん、物凄く面白い事になってますよ!」

 

「沢渡さん、榊遊矢の分の救急車も追加しときますよ!!」

 

 

 

 

「「「これで入院生活で寂しい思いはしませんよ、沢渡さん!」」」




OMKフェイズ


柚子が負けた場合の罰ゲーム的なの。

柿本

柚子と遊矢のポッキーゲーム

説明

ポッキー(極細)タイプのポッキーゲーム。
1本ずつゆっくりと丁寧に遊矢と共にポッキーゲームをしている姿を見せて欲しかった、絶対に面白い事になる。
そしてその瞬間をカメラに納めたかった。

もしやった場合

ポッキーを口に加えた動かず至近距離の遊矢を見て、顔を真っ赤にする柚子。
遊矢はある程度食ったら、ポキッと折ってやろうと考えて食べ進んでいると柚子が先に限界を迎えて遊矢にアッパーカットをくらわせて終わる。

大伴

柚子と遊矢で愛してるゲーム

説明

柚子と遊矢で互いに愛してると言い合うゲーム。
ただ単に愛してると言ってもつまらないから、何処が好きなのかと言ってそういうところも大好きだよ、愛してると言わせたかった。そしてその瞬間をカメラに納めたかった。

もしやった場合

柚子は褒めることとか好きなところはすらすらと言えるのだが肝心の愛してるが言えない。
そしてそれを遊矢は無理せずに言わなくても良いんだとフォローするのだが、柚子的にははっきりと言わないとダメな気がするからとはっきりと言おうと頑張るのだが、それを見ていると遊矢も段々と恥ずかしくなり、沢渡が柚子が言えねえんじゃお前から言ってやらねえとな!と遊矢が愛してると言うことになり、愛してると言おうとした瞬間に余りの恥ずかしさに柚子は遊矢にアッパーカットをくらわせて終わる。

山部

ラブレター

説明

遊矢に対する思いを文字にし、それを沢渡達の前で音読する。
ラブレターの原文は沢渡の手により大事に保管される。唯一の救いは遊矢本人が不参加だということ。勿論、これもカメラに納められる。

もしやった場合

遊矢への思いを改めて文字に綴り沢渡達の前で音読する。
遊矢本人に言うならともかくなんで沢渡達にと言う恥ずかしさと遊矢にこれを渡さないといけないのと考えてしまい、遊矢と顔をあわすのが恥ずかしくなり異変を感じた遊矢が沢渡を締め上げ、沢渡が自白しようと録画していたビデオを再生するので、遊矢をアッパーカットで気絶させて見せない様にする。沢渡はバックドロップボムをくらう。


沢渡がやりたかった罰ゲーム

付き合ってますよドッキリ

説明

読んで字のごとく、私達実は付き合ってますよと言う嘘をつく例のやつ。
お相手は沢渡なので周りからは、ああ、そういう感じの遊びなんだなと見られるだけなので一切引っ掛からない。


もしやった場合

物凄く嫌そうな顔で柚子は付き合ってるのよ遊矢もドッキリかなんかだなと察して乗ってしまう。
そうかボケとツッコミでお似合いだなとちょっと残念そうな顔をし、柚子の精神に大ダメージを与えてしまう。
沢渡はあんなんだけど良い奴なんだから逃すなよと祝福っぽい一言で柚子は限界を迎え、ストレスで吐いてしまい、泣きながら私が本当に好きなのは遊矢なのよと言い、それを証明する為にも遊矢と徹底的にイチャつきそこから段々と病んでいく(満足)。デュエルディスクに人をカード化する機能があれば遊矢に近付く女的な意味で敵だと思うデュエリストをカード化するぐらいのことは平然とする様になる。

次回予告

遊矢、誰なのよその女!!

……

え、私?

黙ってないで答えなさい!その私に!そっくりな女とどういう関係なの!!

か、彼女は瑠璃

瑠璃って朝帰りをした時の女の……貴女、いったい何者なの?

わ、私は……(スタンダードの人にアカデミア、エクシーズ次元の話をしても信じて貰えそうに無いわよね。どうしましょう……)

遊矢とはどういう関係なの?答えて!!

私はその……そう!遊矢のガールフレンドよ!

火に油を注ぐんじゃねえ!!

次回、遊戯王ARC-V【襲撃していた反逆者達への反逆者】にガッチャビングデュエルアクセラレーション!!
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