遊戯王ではない!デュエルモンスターズだ!!   作:なにかの波動に目覚めたトマト

15 / 33
前回までのあらすじ。


NTRじゃないんです、遊矢くんがタイミングよくそこに居ただけなんです!!本人はNTRたいと思っていなくて、NTRで燃えないんです!AVでもそっち系は見ないんです!むしろ幼馴染みの柚子が遊矢をNTRされそうなんです!


感想でNTRとユートについて色々と書かれたが、黒咲に関しては誰も心配してくれなかった。


襲来、LDS(前編)

「よかれと思ったら、スゴい修羅場になってる……本当にどうすればいいんだろう」

 

 休みの日に瑠璃達と不審者探しをしてはみるものの、見つからない。

 原作でそれらしい描写が無かったし、金目の物を持っていってないらしいからホテルに泊まるなんて出来ない。

 野宿をしているんだろうなと色々と探してみるけれども、中々に見つからない。

 行き当たりばったりのやけくそな行動しかしておらず、冷静に考えてあの二人と瑠璃が出会ったのなら確実にデュエルをするだろう。そうなったら俺じゃなくて柚子にデュエルをしてもらうとして……その後はどうなるやら。

 

「どうしたの?浮かない顔をしていると幸せが逃げるわよ?」

 

「柚子みたいな可愛い子と仲良くできている時点で幸せ者で、それが逃げるということは……沢渡に寝取られる?」

 

「なっ……そんなことあるわけないじゃない!!

沢渡はあくまでも知人よ、知人!友達ですら無いのだから絶対に無いわ!!」

 

 哀れ、沢渡、マジで哀れ。

 因みにだが沢渡は大事をとって一週間ぐらい入院をしている。

 怪我はそこまでだが、念のためで親父さんの力を使い、良い病室を使っている。

 病院食があんまり美味しくないから、アップルパイを持ってきてくれと連絡は来るが怪我人は怪我人らしく病院食を食っていろ。

 

「私は、その、好きなのは……ゆ……とにかく、そんなことあるわけないじゃない!!大体、私達今は付き合ってないんだから寝取られるっておかしいわよ」

 

「そだねー」

 

「全くもう、適当に相槌を打たないでよ!」

 

 顔を真っ赤にせずにぷんぷんと怒っている柚子も可愛い。守りたい、この笑顔。

 でも守るとか言ったら私は頼りないの?とハイライトの消えた目で首を傾げながら聞いてくるので、言わない。

 

「さ、このまま遊勝塾にいくわよ!」

 

「はいはいっと……最近権現坂来ないよな」

 

「遊矢のデュエルをみて、感化されて修行をしているらしいけれども、権現坂、今年のチャンピオンシップの出場権をまだ得てないのに大丈夫かしら?」

 

「これで終わるなら権現坂はそこまでのデュエリストだ……まぁ、そこで終わるほどアイツは柔なデュエリストじゃない」

 

 最近、顔を出さない権現坂。

 刀堂刃からシンクロを伝授されたが、この時点では会ってはいない。

 生真面目で勤勉な権現坂ならば自力でシンクロ召喚を習得出来そうな気がするが、たかがシンクロを覚えた程度で成長したとは言えない。少なくとも遊勝塾では着実に3つの召喚を教える準備に入っている。そして権現坂はその事を知っている。あいつならばシンクロを覚えるだけでは終わらない。

 

「他人の事を気にするよりも、自分の心配もした方がいいぞ」

 

 融合召喚を覚えたみたいだが、これから先は融合やシンクロが当たり前のエクストラ依存の環境に成り代わる。

 そう言おうとするのだが

 

「遊矢~!」

 

 その前に瑠璃が校門前で手を振っていた。

 

「……そうね」

 

 瑠璃を見ると目が変わる柚子。

 違う、そうじゃない。そういう意味での心配じゃない、今年優勝を目指すんだろう!幼馴染みという負け犬属性から勝ち組になるんだろう!頑張れよ!!

 

「瑠璃、わざわざ学校に来なくても良いのよ?」

 

「でも、やることが無いわ。

兄さん達を探すのは3人で一緒にって柚子が言ったし、それに今日から私がエクシーズ召喚を皆に教えないといけないでしょ?だったら迎えに行かないと」

 

 話が噛み合ってない、噛み合ってない。

 柚子が敵意を向けているが、瑠璃には通じない。というか、瑠璃とはそういうんじゃない。

 

「やっぱり、柚子姉ちゃんより瑠璃姉ちゃんの方に分が」

 

「でも、柚子お姉ちゃんは遊矢お兄ちゃんの幼馴染みで……」

 

「幼馴染みは踏み台だよ」

 

 フトシ、アユ、タツヤ、冷静にこの状況を分析するんじゃない。

 そんなんだから遊勝塾の極悪三連星とか言われるんだぞ。

 

「いきましょう、遊勝塾に」

 

 瑠璃はクロワッサンの事を忘れているんじゃないかと思えるぐらいにふつくしい笑顔で遊勝塾に向かって歩き出した。

 

 

 はいそこ、瑠璃が通い妻とか恐ろしいことは言うなよ?

 

 

 

 

 

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

 

 

 遊矢達が遊勝塾に向かう一方、LDSの理事長こと赤馬日美香。

 外国のデュエル塾の買収につい最近まで海外におり、ついさっき帰国したところだ。

 

「今回の買収の成功は社長もお喜びです」

 

「ええ、これで計画をまた一歩進められるわ……なにかあったのかしら?」

 

 柚子達とは一生縁が無い縦長の白いリムジンでレオ・コーポレーションへと向かう。

 その最中、中島からなにかがあったのだろうと察する。

 

「理事長の仕事の妨げにならない様にと連絡を控えておりましたが、少々ありまして」

 

「なにがあったのですか?」

 

「はい、実はここ最近、LDSに辻デュエルを挑む者が居まして」

 

「……別にそれぐらいの事、控えなくて結構です。

それで立て続けにLDSの生徒達が負けたというのならば、それはLDSの生徒達が悪いことですわ」

 

 デュエル産業でNo.1と言っているレオ・コーポレーション。

 事業拡大企業拡大の為とはいえ、良い噂だけでなく悪い噂もあるので敵も多い。ましてや舞網市はLDSだけでなくレオ・コーポレーションの本社がある。勝つデュエルを教えているのだからLDSにも責任の一端がありそうなものだが、LDSの塾生以外のデュエリストに辻デュエルを挑まれて負けたのならばその塾生が悪いとする。結構、非情なBBAである。

 

「とはいえ、負けたままだと言うのは天下のLDSの名折れ。LDSのトップレベルのデュエリストで敵討ちをしましょう。その辻デュエルをした者は誰ですか?」

 

「実は問題はそのデュエリストなのです」

 

「なんですって?」

 

 デュエルで負けたのならばデュエルでやり返す。

 一見平和的に見えるが結構バイオレンスな事を言っている理事長。中島はデュエルの結果でなく、デュエルの対戦相手が問題だと言うと表情を変える。

 

「LDSの生徒が襲われた場所の襲われた時間帯に強力なエクシーズ召喚の反応がありました。

昨年、ジュニアユースクラスで優勝した桜樹ユウのエクシーズ召喚を遥かに上回るもので、デュエルをした生徒達からの証言によれば見た事が無いカードでアクションデュエルでもないのにモンスターが実体化していたと」

 

「なんですって、もうあの人からの攻撃が!?」

 

「いえ、それは無いと社長は仰っておりました。

召喚反応からしてこちらの者では無いことだけは確信できると」

 

「分かりました。この事については迅速に対処を……他は?」

 

 中島は少々と言った。

 それはつまりLDS狩りのデュエリストとは別のなにかがある。

 

「そのことについては社長から直々にお話があるとのことです」

 

 その件に関しては中島からは語られない。

 とはいえ、LDS狩りをしている事を中島の口から語らせて、もう1つの事を零児直々に話すとはただ事ではない。

 なにがあったのかと最悪の事態も想定していると車はレオ・コーポレーションの本社に辿り着き、理事長は社長室へと向かった。

 

「母様、この度はご苦労様です。これで」

 

「その話は後にしてください。なにがあったのですか?」

 

 社長室で待っていた零児は仕事を労うのだが、今その言葉を貰っても嬉しくもなんともない。

 なにがあったのかを聞かれるので零児はメガネをキランと光らせてスチャッと人差し指でメガネを動かした後、指パッチンをした。

 すると、プロジェクトスクリーンが天井から降りてきて、部屋は暗くなり遊矢の顔写真が映し出される……社長室の仕掛けはすごい。

 

「彼は?」

 

「彼の名は榊遊矢。

融合、シンクロ、エクシーズに次ぐ新たなる召喚、ペンデュラム召喚を作り出したデュエリストです」

 

「ペンデュラム、召喚?」

 

 なんじゃそりゃとなる日美香。

 百聞は一見にしかずと先ずはこれを見てくださいとストロング石島とのスペシャルマッチを見せると、目を見開く。

 

「新たなる召喚法に加えて融合、シンクロ、エクシーズ召喚!?いったい、彼は何者なのですか!!」

 

「彼はあの榊遊勝の息子です」

 

「榊遊勝っ、まさか彼が敵と手を組んで息子にカードを」

 

 来るべき敵ことアカデミアからの使者なのかと目を見開き驚く理事長。

 もしそうであればこの4つの召喚を操るデュエリストと槍が揃う前にも関わらず戦わなければならないのかと冷や汗を流す。

 

「それは……今のところは分かっていません」

 

「今のところ?」

 

「彼の所属する遊勝塾から数日前より強力なエクシーズ召喚の反応が、それよりも前から強力な融合召喚の反応がありました」

 

「黒じゃありませんか!!」

 

 こちらの者では出せそうにないレベルの強力な召喚反応に加えて未知なる召喚をした。

 遊勝塾はこの世界の敵となる者がいる。もしくは者で構成されていると決めつける日美香。実際のところは、遊矢に挑んでくる素良と瑠璃の召喚反応で遊矢は無関係である。

 

「先程申し上げた通り、今のところはです」

 

「何故、そう言いきれるのですか?」

 

「LDSを襲撃しているデュエリストが榊遊矢に似たデュエリストだったとの目撃証言があります。その際に、榊遊矢と同じく遊勝塾に所属している柊柚子もその現場に居合わせていました」

 

 ピッと今度は柚子の画像を見せる社長。本当にプライバシーもなにもあったもんじゃない。

 

「榊遊矢は昔から舞網市に住んでおり、柊柚子とは幼馴染み。

彼が黒ならば彼女も黒の線が濃厚な筈です。しかし、LDSを襲撃した榊遊矢似のデュエリストが別次元から来たと言うのならば、敵同士もしくは味方同士のはず。なのに、彼女も驚いていたそうです。彼だけが黒という線もあり、他にも不明な点が多々あるためになんとも言えない状況です」

 

 遊矢の情報が思ったよりも少ない。

 公式戦は言うまでもなく、交友関係もそんなに広くはない童貞野郎な為に調べあげても目ぼしい情報は無い。

 黒に近いが、黒ならばどうしてなにもしてこないとなり、白ならば白でおかしな点が幾つもある。謂わばグレーの存在。

 

「ペンデュラムについても3つの召喚法と同等の力を持っていると彼を見張ってはいますが、滅多な事では使用していません。もし白であるならば、彼が我々の槍となる存在であることは間違いありません」

 

「……成る程、そういうことですか」

 

 クスリと笑う理事長。

 零児がなにを言っているか分かり、なにをすれば良いのか理解した。

 

「分かりました。ペンデュラムモンスターを、彼と彼が所属する遊勝塾ごと買収してみせます」

 

 遊矢が白でも黒でもどっちでもレオ・コーポレーションの力を使い買収すれば良いだけだ。

 白ならばLDSの傘下になった遊矢を手駒の如く動かせる。槍兵どころかチェスの女王の駒を手に入れられる。

 黒ならばペンデュラムモンスターを手に入れる事ができ、スタンダードの戦力アップに加えて撃退することが出来る。

 どっちであろうとLDSは得して更なるパワーアップをする。そして幸いか、榊遊矢にそっくりなデュエリストがLDSを襲撃しているという買収するのに使えそうな口実が存在している。断れば実力行使をすれば良い……。

 

 

 

 

違う、そうじゃない。デュエルじゃなくて財力で解決した方が早い!!

 

 

 

 

 

遊勝塾は塾生が絶望的に少ない貧乏塾だが、遊矢のせいで殺意だけは満々なんだ!

 

 

 

 

未来あるLDSのデュエリストを傷付けるんじゃない!

 

 

 

 

 

遊矢とユートが別人なのにそれを口実に使ったら好感度が一瞬で落ちるぞ!!

 

 

 

 

万が一に襲撃者がやって来た場合を、品種改良トマトは想定しているんだ!

 

 

 

 

気付け、自らの足で地雷を踏みにいっていることを!撃って良いのは撃たれる覚悟がある奴なんだぞ!

 

 

 

 

 

デュエルをすればレオ・コーポレーションがそこそこ大変な事になる!

 

 

 

 

 

 

今ならまだ止められる。平和的にいける!!やめるんだ!!

 

 

 

 

「では、遊勝塾に……中島!」

 

 

「はっ!御意に!」

 

レオ・コーポレーションの大暴落まで待った無し。

 

 

 

 

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

 

「頼もう!!」

 

「ええっと、どちら様ですか?」

 

「柚子、確かに此処最近は全くといって遊勝塾に足を運んでいなかったがそれはないのでは?」

 

 苦難に苦難を重ね、修行をし続けて俺は一筋の希望を見つけた。

 新たなる不動のデュエルの道を見つけたものの、境地には辿り着いていない。だが、強い力を持つと人は使いたくなると言う。それは正にその通りであり、どうしても遊矢とのデュエルで試したい。

 久しぶりに遊勝塾に訪ねると何時もとは違う格好の柚子が俺を他人扱いした。確かに、最近は出向かなかったがそれはないだろう。

 

「私は柚子じゃないわよ?」

 

「なにを言っているんだ?」

 

「はぁ……塾長といい、アユちゃん達といい、どうして私と柚子を間違えるのかしら?」

 

「む、どうやら本当に人違いのようだな。すまぬ」

 

 柊塾長を柚子はいかなるときでも父と呼ぶ。塾長と他人行儀な呼び方をするのを今の今まで見たことも無い。

 本当に人違いだと分かると頭を下げて謝罪すると許してもらった。

 

「私は瑠璃、黒咲瑠璃。

ちょっと色々とあって今、ここでお世話になっていて……貴方は?」

 

「俺は権現坂昇。

権現坂道場の者で、遊勝塾の者では無いが、時折遊勝塾に来ては遊矢達とデュエルを……して、遊矢は?」

 

「遊矢ならお手洗いに……だけど、今から講義の時間よ?」

 

「それは参ったな……」

 

「ふ~スッキリした。瑠璃、そろそろ時間っと、権現坂、久しぶりに来たか」

 

 噂をすればなんとやら。

 用を足した遊矢が瑠璃を呼びに来て俺と顔を合わせる。

 

「新たなる不動のデュエルの可能性を見つけ、遊矢に挑戦をと来たがタイミングが悪かったようだな。日を改めて来よう」

 

「いや、別に今日で問題ないぞ」

 

「しかし、今から講義の時間ではないのか?」

 

「ついでだから権現坂も受けてけよ。エクシーズ召喚について学べるぞ」

 

 日を改めて来ようと立ち去ろうとする俺を止めるどころか誘ってくる遊矢。

 エクシーズ召喚といえばLDSがここ最近教え出したもので、それを学ばせるとは相変わらずの知識だが、それはおいそれと教えて良いものなのだろうか?

 

「ちょ、ちょっと遊矢。私、今日がはじめてなのよ!?」

 

「うちの塾は引くほど人少ないんだから、一人二人増えても問題ないよ」

 

「遊矢が教えるのではないのか?」

 

「カリキュラム的なのを俺が用意して、瑠璃が教えることになっている。

ちょっと色々とあって、瑠璃が遊勝塾というか塾長と柚子の世話になってばかりだからとエクシーズ召喚を」

 

「なんと、つまりは瑠璃は独学でエクシーズ召喚を」

 

「えっと……まぁ、そうなると言えばそうなるわね」

 

 やはり世界というものは広いな。

 柚子も遊矢の用意した教科書の様なもので必死に努力しており、瑠璃は独学でエクシーズを……そういえば、遊矢に勝負を挑み続けている素良というデュエリストは融合を使っているそうだな。

 エクシーズ召喚、話に聞くレベルで事細かな事は知らないものの、昨年のジュニアユースクラスの優勝者はエクシーズ召喚を用いていた。そして遊矢は既に5つの召喚法だけでなくあらゆるデュエルを可能とする、知識をつけておいて損はない。

 

「迷惑でなければ、この男権現坂もその授業を受講させてくれ」

 

「……その、最初だから失敗するかもしれないから間違った知識を教えたらごめんなさい」

 

「なーに、その時は遊矢に任せればいい」

 

「権現坂、そういうの良くないぞ。お前は今は鍛えたり教えを乞う側だけど何時かは教える側になるんだから、なんならこの授業の良いところを盗むぐらいの気持ちでいないと」

 

「他の流派を盗むなどと俺にはできん」

 

「ものの例えだ例え。講義が終わったら実技だって俺がエクシーズメインのデッキを使うから、そん時にデュエルしよう」

 

 どうやら楽しみが2つに増えたな。

 当初の予定とは違ったものの、思わぬ機会がやって来た。

 念の為だと遊矢が塾長に許可を取ると急遽俺も加わりエクシーズ召喚の授業がはじまる。

 

「遊矢が触りだけは教えているみたいだけれど、一応の復習ね。

エクシーズモンスターは基本的に同じレベルのモンスターを重ねてその上に置く、エクシーズ召喚と言う特殊召喚の1つよ。

エクシーズモンスターはレベルの概念を持たない代わりにランクを持っていて、レベル制限B地区の様なレベルに関する効果は一切効かない。一見、便利に見えるけれども下剋上の首飾りの様な自身に利のある効果も使えない……流石にこの辺りは分かってるみたいね。じゃあ、次はエクシーズ使いのデュエルはどんな感じかを説明するわ、遊矢」

 

「はいはいっと」

 

 瑠璃に指示され部屋を暗くし、プロジェクターを起動する遊矢。

 瑠璃のすぐ真横に12枚のエクシーズモンスター達が投影される。

 

「エクシーズモンスターはフィールドのモンスターで召喚をし、同じレベルのモンスターを最低でも2体並べないといけない。

ランク1からランク4までに関しては物凄く簡単だから、ランク1から4までの素材3体のエクシーズモンスターと素材2体のエクシーズモンスターをどうやって召喚するかを各自宿題として出すから、皆、考えてきてね」

 

 む、いきなりの課題か。

 しかし、これに関しては俺を含めて遊勝塾の面々にとっても……いや、デュエル塾に通うものならば容易だな。

 召喚に2体必要なランク4のエクシーズモンスターならばジシャーQを並べるだけで可能。俺のデッキでは出来ないものの、ワン・フォー・ワンでブロック・スパイダーを呼び出して更にブロック・スパイダーを出し、レベル1のモンスターを通常召喚すればランク1のモンスターを簡単に召喚できる。

 

「問題はここから、ランク5以上のモンスター。

召喚する為には当然そのランクに応じたレベルのモンスターをフィールドに並べないといけないけれど、どうやって並べる?試しにこのモンスターで考えてみて」

 

 指示棒でランク5のモンスターをさす瑠璃。

 

 セイクリッド・プレアデス

 

 ランク5 光属性レベル5モンスター×2

 

「げげっ!属性も制限されてるのかよ!?」

 

「フトシくん、属性の制限をされている分、セイクリッド・プレアデスの効果は強力よ。

オーバーレイユニットを1つ使うことで1ターンに1度、フィールド上のカードを手札に戻す事が出来る、しかも、相手ターンでも」

 

「痺れるぐらいに強力だぜ……」

 

 バウンス効果、しかも相手ターンでも使えると言うのは恐ろしい。

 オーバーレイユニットの数だけと言う制限もあるが、レベル5以上のモンスターで召喚するだけあり効果は強力なものだ。

 

「さぁ、考えてみて。どうやって召喚するかを」

 

「答えは簡単だ!」

 

「お父さん、もう分かったの!?」

 

「ああ、勿論だ!蛮族の狂宴Lv5を使うんだ!

あれは戦士族のレベル5のモンスターを呼び出す効果で、属性に関してはなにもない。だからサイレント・ソードマンLv5やジャックス・ナイトなんかの光属性の戦士族を特殊召喚。そこからプレアデスをエクシーズ召喚する。

プレアデスが戦闘や効果で破壊されそうになれば、効果でプレアデス自身をエクストラデッキに戻す。そうすればエクシーズ素材にしていたモンスターは墓地に行き、二枚目の蛮族の狂宴Lv5を使い再びプレアデスを呼び出せる」

 

 おお、流石は塾長。あっさりとコンボが出来た!

 

「塾長、どやってるところ悪いけれども、それストロング石島が使ってたコンボの応用だよな」

 

「うぐっ……ま、まぁ、確かにそうとも言うが……プレアデスを戻すコンボは俺が考えたからであって、だな……」

 

「塾長、いじけなくて良いのよ。

それもプレアデスを召喚する為のコンボの1つよ。他にはなにがあるかしら?塾長が使った手段以外で考えてね」

 

「う~んと……あ、分かった!

サイバードラゴン・コアを召喚して機械複製術でサイバードラゴンを呼び出してサイバードラゴンで召喚するの!」

 

「アユちゃん、正解……で、良いわよ、ね?」

 

「ん~まぁ、良いんじゃないのか?

プレアデスを絶対に召喚とかじゃなくてレベル5以上のモンスターをどうやって並べるか考えさせることが重要だから」

 

 なにやらアユのコンボに問題があるのか、遊矢に少し助けを求める瑠璃。

 と言うことは、そのコンボを用いてプレアデスよりも優先した方が良いモンスターが居るという訳か。う~む、エクストラデッキでの召喚は奥が深いな。

 

「因みに瑠璃ならどういった風に召喚するの?」

 

「先ずはセイクリッド・クレディを通常召喚する。

セイクリッド・クレディは通常召喚に成功した時、セイクリッドモンスターを手札から特殊召喚出来るわ。

その効果を使ってセイクリッド・カウストを特殊召喚する。セイクリッド・カウストの効果は1ターンに2回、セイクリッドモンスターのレベルを1上げるか下げることが出来るから、自身とクレディをレベル5にしてプレアデスを召喚するわ」

 

「……セイクリッド・プレアデスと同じセイクリッドモンスターを使っての召喚が正しい答えじゃないの!?」

 

「瑠璃姉ちゃん、そういうカードがあるなら先に教えてくれよ!!」

 

「ダメよ……っと、こんな感じかしら?」

 

「まぁ、そんな感じだな」

 

 遊矢と相槌を打ち合う瑠璃。

 なにがそういう感じなのだろうか?

 

「ランク5以上のエクシーズ主体のデッキの場合、塾長やアユが言ったみたいにレベル5以上のモンスターを特殊召喚してエクシーズ召喚する方法以外にも効果を使い本来のレベルとは異なるレベルにしてエクシーズ召喚をする方法もある。ここが結構重要なポイントだ」

 

「重要なポイント?」

 

「本来のレベルから異なるレベルにして高いランクのエクシーズモンスターとか高レベルで簡単に特殊召喚出来る効果を持ってるが攻撃力がやたらと低いモンスターはエクシーズ召喚できないと弱い」

 

「エクシーズ使いがエクシーズ召喚が出来なければ弱いのは当然の事ではないのか?」

 

「これが若干考えるところなんだよ。

柚子のデッキが分かりやすいな。ヴァルハラでモーツァルトを特殊召喚して、モーツァルトの効果でモーツァルトを召喚、2体目のモーツァルトで3体目のモーツァルトを召喚、3体目のモーツァルトでレベル8の光属性・天使族を特殊召喚する。召喚出来るモンスターは光属性限定だがこの時点でエクシーズ召喚が可能だ……ここで、エクシーズ召喚をしなくても良いという選択肢がある」

 

 確かにその状況で自分のフィールドには攻撃力の高いモンスターが4体。

 相手のフィールドによってはエクシーズ召喚をするよりもそのまま攻撃した方がいい。もしくは攻撃を終えてからエクシーズ召喚をするというのもありだ。

 レベルを変動させる効果を持つモンスターやレベルが高く特殊召喚がしやすいが攻撃力が低いモンスターはエクシーズ召喚をする為にフィールドに並べるのには最適かもしれぬが、その代わりにエクシーズ召喚を絶対にしなければならない。

 どちらが優れているか?と言った話になれば答えづらいが、少なくとも2つのパターンがある事は確かだ。

 

「この辺りに関しては色々と相手のデュエルを見て考えないといけない。

エクシーズ召喚はシンクロみたいに足し算しなくていいし、融合ほど素材の縛りが厳しくない。

だから、油断してると同じシンクロモンスターでエクシーズ!とか同じ融合モンスターでオーバーレイ!とか普通にありえる……ガトムズからVFD出てくんなよ、ダイソンスフィアでいいだろ……」

 

「あ、そっか!同じレベルのモンスターを並べれば良いだけだから、融合でもシンクロでもエクストラデッキの枠が余っていたら召喚出来るんだ!前に遊矢兄ちゃんがエクストラデッキに3枚も同じカードを入れなくても良いって言ってたのはこういうことだったんだね!」

 

 融合とシンクロをエクシーズと組み合わせるのは実は案外簡単なのかもしれんな……。

 

「遊矢、一応、私が教えているのだけれど……ここまで仕事を取られるのはちょっと」

 

「悪い悪い、じゃ、次を」

 

「じゃあ、いざ対峙した時にどうやって対処するかどうかだけど、これも宿題にするわ。

相手フィールド上にオーバーレイユニットを2つ持ったセイクリッド・プレアデスが1体だけ居るから、どう立ち回るか考えてみてね」

 

 セイクリッド・プレアデスの効果はフリーチェーンでしかもカードの種類を問わない。

 カードの効果で破壊すればいい等と言う答えを出せば赤点は確か。セイクリッド・プレアデスの効果を使われるのを前提にするか、もしくは使われても問題なくするか……。

 

「今年に入ってから、一気に遊勝塾の授業の質が上がったな」

 

 元々遊矢が色々と教えていたところはあったが、まさかこれほどまでに伸びるとは。

 

「おじさんが居なくなってから、遊矢が必死になって教科書を作ったの……瑠璃は関係無いわ」

 

 なにやら言葉に棘があるぞ、柚子。

 しかしこれをみていると遊矢の遠さがよく分かる。

 つい最近まで新たなる不動のデュエルを見つけようと必死になっていた。今の俺は探求者だが、何れは権現坂道場の後を継ぐ。そうなれば我が道場の門を叩く者に、不動のデュエルがなんたるかを教えなければならない。

 何れは教えなければで、まだ教えてはいない。対して遊矢は教科書を作り塾生達に教えている……その背中は余りにも遠い。だからこそ、越えなければならんな。

 

「じゃあ、エクシーズ召喚のメリットを生かしたコンボとデメリットでやれる時を───」

 

 気を引き締め直し、改めてエクシーズ召喚について学んでいると

 

「榊遊矢を引き渡しなさい!!」

 

 外から聞いたことの無い声が響いた。

 

「だーかーら、僕は遊矢にデュエルを挑みに来たんだから渡せないんだよ、おばさん!!」

 

「誰が、おばさんですか!!」

 

「この声……よし、逃げるか」

 

「え、様子を見に行くんじゃないの!?」

 

 明らかに遊矢関係で外で揉めている人達がいる。

 それなのに遊矢は制服の上着をほっかむりにして逃げようとする。

 

「逃げるな、遊矢。明らかにお前が原因で揉めているぞ」

 

「ッチ……ナンデヨリニヨッテドウジナンダ……はいはい、中止。授業中止、揉めてるっぽいから確認するぞ」

 

 いったいなにがどうなっているのか、誰にも分からない。

 遊矢はなんとなく察しているが、不安そうな顔をしており外に出ると小さな男の子とおばさんが言い争っていた。

 

「素良、なにを喧嘩してるのよ?」

 

「あ、柚子。

聞いてよ、このおばさんいきなり現れたと思ったら遊矢を出せとか引き渡せとか色々と言ってきたんだよ。

遊矢は今から僕とデュエルをするから、そんな暇はないから帰りなよって遊矢の代わりに断ってあげてたんだ」

 

 小さな男の子は最近遊矢にデュエルを挑み続けている融合使いの素良。

 

「残念だが先に俺と遊矢がデュエルをする事になっている」

 

 既に遊矢とのデュエルの約束をしている!

 

「君、誰?」

 

「権現坂昇、遊矢の友にしてライバルだ!」

 

「ふ~ん、僕は紫雲院素良。遊矢の1番のライバルだよ、権ちゃん!」

 

「ご、権ちゃん!?いや、それよりも、なにを言っておるか、1番は俺だ!!」

 

「いいや、僕だよ!」

 

「おい、お前達ちょっと黙れ。

ゴツいのとショタに取り合いされても嬉しくない。柚子と瑠璃ならまだ嬉し……そ、そこのおばさん!俺になんのようだ!!」

 

 どちらが1番なのか言い争ってしまい、本題から話が逸れてしまった。

 遊矢が間に入ることによりライバル問題については幕を引き、もう一人の来訪者について訪ねると塾長が驚いた顔をする。

 

「あ、貴女は赤馬理事長!!」

 

「お父さん、知ってるの?」

 

「知ってるもなにも、LDSの理事長だ!!」

 

 なにやら大きな戦いがはじまる予感がする。

 そうなったら、この男、権現坂、男として友のためにも力を貸さねば!




OMKフェイズ

遊矢「お~い、大丈夫か?」

沢渡「見舞いに来るのおせーよ!つーか、なんでお前は入院してねえんだよ!」

遊矢「柚子にボコられて入院して終わればどれほどよかったか……」

沢渡「どうやらまだうまい飯が食えそうだな……」

遊矢「てめえ、糖尿病にしてやろうか」

沢渡「そう易々となってたまるかよ。それよか、持ってきたか?オレのマイフェイバリット」

遊矢「ああ……借りてたボッキンパラダイスV、返すわ」

沢渡「ちっげえよ!見舞いなんだから、なに言ってるか分かれよバカ!」

遊矢「でも、これはお前を元気付けるものでイチオシのマイフェイバリットだって言ってただろう」

沢渡「意味がちげえ、意味が……てか、アップルパイ買ってきてねえのか!?」

遊矢「一応は買ってきたけど、怪我での入院患者だからってNGくらったから柚子達のお腹の中に納まった」

沢渡「くっそ、退院したら真っ先に食いに行くぞ!」

遊矢「お前の奢りならな。まぁ、何はともあれ元気そうで良かったよ」

沢渡「この程度でくたばるほど柔な鍛え方はしてねえよ。何度倒されても蘇る、七転び八起きなオレ様はそう」

遊矢「ゴキブリ並みの生命力を持つ男」

沢渡「フェニックス沢渡さんと呼べ!!」



後半へ続く。
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。