遊戯王ではない!デュエルモンスターズだ!! 作:なにかの波動に目覚めたトマト
お前には禁じ手を使ってやる!(チェーンバーン)
第2試合
○榊遊矢VS光津真澄●
勝者、遊勝塾 榊遊矢
「2本、先取したったどぉおおおお!!」
ハマグチェマサルの如く高らかに叫びをあげて、柚子達の元に舞い戻る。
「遊矢兄ちゃん、痺れるぐらいに汚いぜ」
チェーンバーンを使った為に引いているフトシ。
仕方があるまい。遊勝塾の存亡を賭けたデュエルなんだから、優しさとか愛とか捨てておかないと。アニメで絶対使ってはいけないであろうバーン系のカード盛りだくさんのバーンデッキこそ、最強……でも、危なかった。
最後の1枚が命削りの宝札で、最初に3000ポイントのダメージしか与えることが出来なかった。仮にこれが素足マフラー社長ならば負けていた……チェーンバーンデッキは使わないけど。
「ま、まぁ、何はともあれ2連勝したわ。これで遊勝塾は乗っ取られずに済むわ」
頬をヒクヒクさせたひきつった笑みを浮かべながらも、勝ったことに喜ぶ瑠璃。
これで余計な問題は解決し、クロワッサン探しを再開することなんかが出来るのである。
「そうだよね。勝ったんだから結果オーライだよ!」
瑠璃に賛同するアユ。
「って、ちょっと待て!!オレのデュエルは!?」
「んなもんねえよ」
シンクロコースの首席こと刀堂刃はなんか言ってくるが、んなもんはねえよ。
3試合中、先に2勝した方が勝ちの団体戦でストレートで試合が終われば3番手には出番はない。団体戦のお約束だ。
「ふざけんなよ、オレだってデュエルをしたい!
いや、ちげえ。お前や柊柚子が相手でも絶対に負けない自信があるんだよ、オレは!!」
「文句があるならば、負けた2人に言いな!!」
団体戦のルールはちゃんと守ってるんだ。
俺は負けたLDS側を見た。
「こんな、こんな事があってたまるものですか!!
なにをしているの、貴方達は!!それでもLDSが誇るエース達なのですか!!」
「あんなのどうずればいいのよ!がでるわげないじゃない!!」
「いや、責められねえだろ……」
負けた事を怒る赤馬理事長。
どうすることも出来なかった対戦相手こと光津真澄は余りの敗北にアクア様の如く涙を流しており、その姿を見て、刃は責めるに責められない。
「いっでみなざいよ!
あのじょうぎょうで、どんながーどをづかえばいいの!だいだい、わだじだぢにデュエルをざぜるんじゃなぐてあんだがデュエルじなざいよ!!」
「落ち着くんだ!」
「うるざい、ワンキルの負け犬!」
「ぐふぅ!」
あ、北斗がオーバーキルされた。
八つ当たりする赤馬理事長に対し逆ギレする真澄。
「そういう時は、このカードよ」
そんな真澄に柚子は手を──ハネワタのカードを差し伸べる。
「このカードがあれば効果ダメージを防げるわ」
「柊、柚子……」
「柚子で良いわ、それよりも泣かないの」
優しくハンカチを差し出す柚子。
真澄は涙を拭い、呼吸を整えて少しずつ冷静に戻る。
「遊矢のデュエルは大体あんな感じなの。
一瞬でも油断したら命取りで、後攻だったら手札を確認したらアクションカードを即座に取りに行くぐらいの事をしないとダメよ。ほら、涙を拭いて。これは非公式戦で、敗けを次に生かすことが出来る試合なのよ」
「……ありがとう、柚子」
「お礼なんて良いわよ。それよりも、今度デュエルをしてくれないかしら?」
「べ、別に、それぐらいは構わないわ……隕石落とさないわよね?」
「しないわよ。それよりも立てる?」
「うん、じゃなかった、それぐらいは出来るわよ!!」
とか言いながらもしっかりと柚子の手に引っ張られて起き上がる真澄ん、マジ真澄ん。
柚子から若干バブみを感じながらも俺はLDS側に足を運び、赤馬理事長の前に立つ。
「LDSのデュエルは素晴らしい!戦略もカードパワーも!だが、しかし、まるで全然!遊勝塾を倒すには程遠いんだよねぇ!!」
「やめなさい!!」
エンタメ要素が無かったので、エンタメ要素を入れると柚子にハリセンでしばかれた。
赤馬理事長は今にでも人を殺しそうな顔で俺を睨んでくるが知ったことじゃない。
「約束通り、遊勝塾の買収は止めてLDS襲撃犯は俺じゃないと言い、あんたの持つレオコーポレーションの株を寄越しな!」
「こんな、こんな事があって良いわけが──」
「ボイスレコーダーで録音してるから、最初から無かった事にはさせん!!後、今の社長に持ち株を移動させて、所有してる株は0戦法は認めん、認めんぞ!!」
あの手この手で逃れる事ぐらいはお見通しだ。
万が一にLDSが襲撃した時を俺がなにも想定していないと思ったら大間違い、はじめからくだらない事をせずにペンデュラムカードを売ってくれと言えば売ってやったんだよ。数十万円でな!!
「遊矢、株とか貰うとか言ってるけど通帳とか大丈夫なの?」
あ、そうだった。
そういう感じの名義の通帳とか色々と後で作らないといけないな。後で家に帰って色々と準備をしないと。
「赤馬理事長、LDSを襲撃した者のせいで気が動転しています。今日のところはお帰りください。
そしてLDSを襲撃した犯人は榊遊矢ではないと公表をお願いします。遊矢はあんなデュエルはしますが、辻デュエルは絶対にしません!例え何度挑もうとも、遊勝塾は守り抜きます。二度とこの様な事をしないでください」
どういう感じの口座を作れば良いのか調べていると、モニター室から出てきた塾長。
赤馬理事長に遊勝塾は渡さないとカッコよく言ってくれる。普段はアレだが締める時は締める、流石は塾長だ。
「なぁ、塾長さん」
「君は、シンクロコースの……ええっと」
「刀堂刃だ。折角、デュエルしに来たのにオレだけデュエルしないってのはちょっとよ。誰でも良いからデュエルしてくんねえか?」
レオコーポレーション関係はどうでもいいなんてなんともデュエリストらしいことを言ってくれる刃。
まぁ、そういう重たいものを背負っていないデュエルならば幾らでもやってやろうとするのだがその前に権現坂が前に出た。
「そのデュエル、この男権現坂が相手でも良いか?」
「お前がか?でも、お前は確か遊勝塾の塾生じゃ」
「ああ、権現坂道場の跡取りだ。
しかし、刃。今はもうそういった塾同士の争いは関係無く、一デュエリストとしてデュエルを求めているのであろう?」
「ま、そうだな。よっしゃ、じゃあデュエルをしようぜ!!」
「塾長、申し訳ないがアクションフィールドをお借りしたい」
「あ、ああ、構わない。折角ならLDSのシンクロ召喚も見てみたいし、思う存分デュエルをしてくれ!!」
「っ、刀堂刃、貴方だけでも勝ちなさい!
遊勝塾どころか他の塾の塾生に負ければ、LDSは最強ではなくなります!!」
既に最強じゃないだろうが。
そんなこんなでLDSとか遊勝塾とかの命運が関係無い番外デュエルの準備がはじまる。
「ねぇ、遊矢、権現坂はどんなデュエリストなの?」
余計なものを背負っていないので気楽にできるデュエル。
権現坂のデュエルを見たことの無い瑠璃はどういうデュエルをするか聞いてくる。
「ん~まぁ、凄くざっくり言えばアクションデュエルに喧嘩を売ってる感じだな」
アイツの実家こと権現坂道場はアクションカードに頼らない不動のデュエルを教えている。
アクションデュエルをある意味否定するようなスタイルを取っており、困ったらアクションカードに頼るのでなく困らない様に心身共に鍛え上げてデッキも鍛え上げようぜと教えており、よくよく考えれば普通のデュエルをしているだけである。
「アクションデュエルに喧嘩をって、権ちゃん強いの?」
「刀堂刃が勝つ可能性が遥かに高く、権現坂と2、3回デュエルをすれば権現坂は完璧に攻略される」
フルモンスターなんてロマンに走ったデッキだと分かれば、プレイが変化したりする。
だから、1、2回は権現坂が勝つ可能性を持っているが、それ以降は刃に分がある。
「遊矢兄ちゃんがさっき使ったみたいなデッキってこと?」
「まぁ、ある意味そうだが……タツヤ、見ておけよ。
お前が遊勝塾の見学に来た時にやったデュエルを糧にパワーアップしている」
ここ最近、顔を全く出さなかったのはパワーアップのため。
今日、ここにやって来たのは新しい自分を見せるためで、結果的には俺に見せられなかったが、相手はシンクロコースの首席……いったい、どんなパワーアップをしているのやら。
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『お前達に相応しいアクションフィールドを用意した、思う存分デュエルをしてくれ!!』
柊塾長の声と共に起動するアクションフィールド。
「っへ、剣の墓場か!」
枯れ果てた荒野に突き刺さる無限の剣。
成る程。刃と刃を架けてこのフィールドを、俺という刃が負けるのか、刀堂刃という刃が折れるのか。塾長も中々に粋な計らいをしてくれる。
「言っとくがよ、オレはさっきの二人と違って本当に強い。
油断も慢心も一切しねえ!お前がどんなデュエリストであれ、最初から全力で行かせてもらう!」
「この男権現坂、油断と慢心をしている間にやられるほど貧弱ではない!」
「そっちの方が困るぜ。即座にやられたら榊遊矢や柊柚子とデュエルした方がましだってもんだ」
俺の目指すべきは、倒すべき相手は、ライバルは、榊遊矢!
悔しいが今はまだその背にすら届かず教えられることが多々あるが、一歩ずつ背中に追い付いている。
本来であれば遊矢に新たなる不動のデュエルを見せようと思っており、結果的には全く別の相手とデュエルをすることになったが、相手はLDS。相手にとって不足なし!
刃も俺もデュエリスト。
であれば、必要なのは言葉による対話にあらず。デュエルによる闘いのみ。
「先攻はオレからだ!」
「見せてもらおうか、シンクロというものを!」
柚子の後攻、遊矢の先攻ではじまったので俺が後攻となりはじまるデュエル。
手札を確認すると、よくもなく悪くもない平凡と言った手札であり、ドローするカード次第でデュエルが良くも悪くなる。
「……っへ、どうやら運の尽きみたいだな!」
「なに?」
「最初から全力で行かせてもらう!
XX-セイバー フォルトロールを墓地に送り、魔法カード、ワン・フォー・ワンを発動!デッキからレベル1モンスターを、XX-セイバー レイジグラを特殊召喚!」
遊矢もよく使う墓地肥やしと特殊召喚を両立するカードを早速使ってきた刃。
XX-セイバーレイジグラ
レベル1 地属性 獣戦士族 攻撃力200
蜥蜴の様な見た目の獣戦士。
攻撃力もレベルも低いが、その分強力な効果を有している。いや、仮に無くとも相手はシンクロ使い。
シンクロ召喚とはチューナーとそれ以外のモンスターのレベルを足すことにより召喚する特殊召喚の一種であり、レベルが低いのはむしろ有利の証。
「レイジグラの効果を発動!墓地のXセイバーモンスターを手札に加える。さっき墓地に送ったフォルトロールを手札に!」
手札コストを最初からなかったことにしたか。
刃はまだ通常召喚権を使っていない……来るか……そして2体目。
「XX-セイバーフラムナイトを通常召喚!
フィールドに2体以上X-セイバーモンスターがいる時、XX-セイバーフォルトロールを特殊召喚出来る!来な、XX-セイバーフォルトロール!
レベル6 XX-セイバーフォルトロールにレベル3 XX-セイバーフラムナイトをチューニング! 白銀の鎧輝かせ刃向かう者の希望を砕け!シンクロ召喚!出でよ!レベル9!XX-セイバーガトムズ!」
XX-セイバーガトムズ
レベル9 地属性 戦士族 攻撃力3100 チューナー+地属性モンスター1体以上
「最初のターンから、最上級モンスターを……」
「この程度で驚いている様じゃ、まだまだだぜ!」
まだまだ余裕を見せる刃。
レベル9のモンスターをシンクロ召喚するだけでは終わらないとなると、まだ使うべきでないか?
「2体目のフォルトロールを特殊召喚!
さぁ、これで準備は整った!フォルトロールにはレベル4以下のX-セイバーモンスターを特殊召喚する効果があり、ガトムズはモンスター1体をリリースすることで、相手の手札一枚をランダムに破壊する効果がある!
フォルトロールでレイジグラを、レイジグラで1体目のフォルトロールを手札に、ガトムズでレイジグラをリリース、1体目のフォルトロールを特殊召喚、2体目のフォルトロールをリリース、1体目でレイジグラを復活、そしてレイジグラでフォルトロールを回収する、無限ループの完成だ!」
高らかと自慢のコンボを語る刃、高い攻撃力だけでなく、ハンデス効果までも有してるのか!
先攻でハンデス、しかも遊矢の作るデッキの様に狙ってのハンデスではなく、偶然にそれが揃っていたら出来るお手軽なコンボ……だが、欠点もある!発動するならば、ここでしかない!!
「俺はフォルトロールの特殊召喚後にこの効果を発動する!」
俺はカードの効果を発動すると剣の墓場に隕石が降り注ぎ、フォルトロール、ガトムズ、レイジグラが滅ぼされる。
「っ、な、なにをしやがった!?」
「相手がモンスターを5体以上特殊召喚をしたメインフェイズに発動できる。
フィールドの表側表示のモンスター全てをリリースし、原始生命態ニビルを特殊召喚することが出来る!!」
原始生命態ニビル
レベル11 光属性 岩石族 攻撃力3000
「な、なんだそのふざけた効果は!?」
「否、その分のデメリットは当然ある。
相手フィールド上に原始生命態トークンを特殊召喚し、原始生命態トークンの攻撃力・守備力はリリースしたモンスターの攻撃力・守備力を合計した分となる!!」
原始生命態トークン
レベル11 光属性 岩石族 攻撃力5600 守備力5400
攻撃表示で目の前に出現する巨大な隕石。
効果を持っていないとはいえ圧倒的な攻撃力は圧巻。隕石からは宇宙の波動を感じる。
「相手が5体以上モンスターを召喚しねえと特殊召喚出来ねえカードって、お前これ、シンクロ使うオレへのアンチカードか!?」
「否、これは俺の新たなる不動の境地を表すカードの1つだ!!」
「新たなる不動の境地、だと?」
「そうだ!遊矢がペンデュラム召喚を披露した前日、俺は遊矢とデュエルをしていた!
決着は付かなかったものの、終始遊矢に翻弄されており、その翌日には4つの召喚を見せつけられた!近付けたと思った友の背中は、一瞬にして遠退いてしまった!!」
あの時のデュエル、遊矢はシンクロやエクシーズ召喚が出来たのにしなかった。
俺はそれほどまで手加減されていたことに悔しくて仕方なかった。
「新たなる不動のデュエルを見出だす為に、俺は修行に明け暮れた。
不動のデュエルとはアクションカードに頼らず己のデッキを信じ抜くデュエル!困ったらアクションカードなどと言う事はせず、魔法・罠に頼らない方法を模索した!」
滝に打たれ、魔法・罠カードに対する欲求を、煩悩を振り払った。
滝から流れるカードの中から本当に必要なカードのみをドローした。
熊と闘い、これから来るであろうシンクロやエクシーズモンスターの攻撃を耐えうる肉体を作り上げた。
デュエルに生かせるものは無いかと戦国時代の合戦での戦術を学んだ。しかし、それでもまだ足りなかった。
「そして、ある日、俺は自分に出来ることと出来ない事を区別するべく魚をドローしていると気付いた。俺のデッキに足りないもの、それはほんの少しの雑味、汚れだと!」
「どういうことだ!?」
「刀堂刃、エクストラデッキを含めてお前のデッキにはX-セイバーモンスター以外のモンスターが何種類入っている!」
「そ、そいつは……って、言えるか!!」
「言わなくてもいい。今の反応を見るからに、X-セイバーモンスターしかいないか1枚だけX-セイバーモンスターでないと言ったところか!」
「そ、それの何処が問題なんだよ!」
「それではいかんことに俺は気付いたのだ!!」
俺のデッキは、今の今まで超重武者と超重武者装留しか入れていなかった。
過去に遊矢がこういうカードもあるぞと言うアドバイスを聞かず、これこそが己のデュエルだと頑固になってしまった。
「遊矢はデュエルには無限の可能性があると柚子達に教えている。
本人はそれを現すかの如く様々なデュエルを、様々なデッキを使いこなし、同じカードを使っても異なる型のデッキを作り上げる程の腕を持つ!遊矢の言うデュエルの無限の可能性の中には、我が権現坂道場の教えである不動のデュエルの可能性も秘められている!そしてその可能性は権現坂道場の外にあった!!権現坂道場の教え以外の様々な場所に新たなる不動のデュエルの可能性が秘められていた。
水が清らか過ぎる場所には魚は住まず、ある程度は汚れておかなければならない様に俺のデッキは1つの不動のデュエルを極めんとするばかり、他の者との調和を忘れていた!!」
人と人が支えあい生きていく様にカードもまたカードと支えあう。
それが全く違うカテゴリー同士でも出来ると言う事を遊矢は遥か昔より理解していた。
「見せてやろう、新たなる調和せし不動のデュエルを!!」
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「隕石、あれ10期だったような……」
3戦目というか番外試合の権現坂VS刀堂刃。
開幕ハンデスを仕掛けてきたと思えば、隕石が降り注ぎハンデスを強制的に終わらせるのだが、アレって10期のカードじゃ……まぁ、良いか。
とにもかくにも恐ろしくてエグい物が見れて、権現坂が殻を破ることが出来た。
「権ちゃん、エグい……」
「5体以上のモンスターを召喚ってかなり……いえ、エクストラデッキのカードをメインに戦うのならば、簡単に条件を満たせるわ」
権現坂の使ったカードに引いている素良と瑠璃。
OCG次元じゃ5回以上の召喚は当たり前で、Gで手札を増やして満足したら用済みだってあのカードが出てくるから驚くことじゃない。舌打ちはするけども。
「遂にその境地に至ったか、権現坂」
この世界の住人は1つのカテゴリーしか使わない悪い癖とも言えることをしている。
例えば茄子の幻影騎士団。アレは彼岸とかと組み合わせることが出来る。例えばバナナのSR、アレは音響戦士と組み合わせることが出来る。だが、しない。カードを持ってるとか持ってないとかじゃなくて何故かしない。
純なデッキを組もうとする傾向にあり、エクストラ余ってるならこれぶちこめば?的なカードもぶちこもうとしない。そんなんじゃOCG次元の住人に逆立ちしても勝てない。
複数のカテゴリーを混ぜ合わせたデッキを使ったり、全く違うカテゴリーのモンスターをエクストラデッキから出せる様にならないと。
「俺のターン、ドロー!!」
全てのX-セイバーを除去られたのでなにも出来ない刃はターンエンド。
権現坂のターンとなり、権現坂は力一杯ドローをすると強風が吹き荒れて、アクションカードが飛んでいく……どんなデュエルマッスル?
「俺はコアキメイル・デビルを召喚!」
「おいっ!」
権現坂が思ったよりもどころか、パワーアップし過ぎている。
召喚をしたモンスターを見て、思わずツッコミを入れてしまった。
「遊矢、権現坂はなにをしようとしてるのか分かったの?」
権現坂のデッキを知らない瑠璃。
「見てればわかる」
恐ろしい事をしやがって。
「俺は手札の星見獣ガリスの効果を発動!
デッキトップのカードを1枚墓地に送り、墓地に送ったカードがモンスターであればそのモンスターのレベル×200ポイントのダメージを与え、星見獣ガリスを特殊召喚する!もし、モンスターでなければこのカードを破壊する!」
「権ちゃんのデッキってギャンブルデッキなの?」
バーンと特殊召喚と墓地肥やしの3つを兼ね備えたギャンブル効果から、権現坂のデッキを予測する素良。
「違う。権現坂は運に頼るようなデュエルはしない……絶対にモンスターを墓地に送れるからあのカードを使っている」
「それってもしかして……」
俺の言っている意味を理解した素良。
権現坂はデッキトップのカードを1枚ドローした。
「デッキトップのカードは無限起動スクレイパー!レベル5のモンスター!
よって、お前に1000ポイントのダメージを与えて星見獣ガリスを特殊召喚!」
「っく」
刀堂刃 LP4000→3000
「手札のA・ジェネクス・バードマンの効果を発動!
自分フィールド上のモンスターを手札に戻し、自身を特殊召喚する!!」
「上手い、これならもう一度星見獣ガリスが……え!?」
星見獣ガリスの効果をもう一度使えると感心する瑠璃。
そんな生易しいものではない。フィールドのガリスだけが消えて、A・ジェネクス・バードマンは特殊召喚されなかった。
「おい、さっさと特殊召喚しろよ!」
「特殊召喚しないのではない、できないのだ!
コアキメイル・デビルがフィールド上に居る限りは闇属性・光属性のモンスターは効果は無効になる!」
「それならA・ジェネクス・バードマン……いや、待て。確かそのカードは!」
「そう。A・ジェネクス・バードマンの手札に戻す効果は効果にあらず、特殊召喚をする為のコストである!!」
「モンスター以外を墓地に落とさねえ限りは、無限に使えるのか!?」
「無限とは言うがデッキが無くなれば、それまでだ。いくぞ!星見獣ガリスの効果を発動!」
そしてはじまる無限ループ。
「権ちゃん、なんの迷い無く星見獣ガリスの効果を使ってる。
アレ、絶対にモンスター以外は引かないぞって目をしてるよね……もしかして、権ちゃんのデッキって」
「フルモンだ」
モンスターと魔法カードを組み合わせることで強力なコンボを生むのが醍醐味とも言える遊戯王。
手札に沢山モンスターがあっても通常召喚権は1ターンに1回しかなく、二重召喚の様なカードを使わないと増やせない。融合を使う素良はなんてデッキを使っているんだとありえない物を見る目で権現坂を見ている。
「権現坂のデッキはモンスターしかいない。
今までは超重武者モンスターしか入れていなかったが、パワーアップをしたようだな」
星見獣ガリスやA・ジェネクス・バードマンは俺が教えたが、無限起動スクレイパーは教えていない。
あのカードは地属性限定の貪欲な壺で、地属性モンスター主体の超重武者とは相性がいい。超重武者と合わせて事故率は高いかもしれんが魔法無しでも超重起動とか作れる。
「あ、あの、アレって防ぐ方法があるの?」
「……スタンバイフェイズにハネワタを落とすか、森の聖霊エーコを使うかのどっちかだな」
代表的な防ぎ方と言えばそれぐらいしかない。
後攻だから防ぐ方法は他にもあるけれど、少なくとも先攻でやって来たらそれぐらいしかない。ただまぁ、コアキメイル・デビルとバードマンとガリスの3体が手札に揃ってるのが条件で、バードマン制限で、コアキメイル・デビルがそれ以外に使い道の無い事故要因だ。
とはいえ、ハネワタを使っても効果の発動が出来なくなるわけじゃないので、満足できる量の墓地肥やしを出来るんだよな、権現坂のデッキだと。
「こんな……こんな事が……」
アクションカードを取りに行くも、効果を無効にして破壊する系のカードでなく敗けを認める刃。
そんな刃の姿を見ている赤馬理事長はありえないと震えている。
「LDSは最先端の設備と技術を兼ね備えた世界一のデュエルスクール、それなのにこんな貧乏デュエル塾どころか、デュエル道場1つも倒せないなんて……私の、私の今までの行為はいったい……」
そう言えば、このババアは槍サーを作るためにあの手この手でデュエル塾を買収してたんだっけ?
買収することによりデュエル事業を拡大し、最新の設備と技術を備えた優れた環境で育った確かな実績を持つ優れたデュエリストを育成している筈なのに、蓋を開ければ3連敗。
相手が悪かったとしか言えないのだが、少なくともこの場に居る塾長以外の誰かが相手をしても3連勝していたとだけは言えるぞ。
「遊矢、見たか」
「ああ、見させて貰った。壁を乗り越える事は出来たみたいだな」
「いや、少し違うぞ」
「?」
「壁を乗り越えるのでなく、壁を撃ち破り繋げたのだ。
デュエルに無限の可能性があると言うのならば、不動のデュエルにも無限の可能性がある。壁を撃ち破ることにより無限の可能性へと繋げる事が出来た」
成る程。
Lvモンスター塾とかデッキ破壊塾とかローレベル塾とか、基本的には1つの事しか教えないデュエル塾。
単一じゃなく複数のカテゴリーを組み合わせれば大幅に強くなるのにこの世界の住人は何故かそれをしない。権現坂は目の前の壁を乗り越えるのでなく撃ち破り、不動のデュエルと他のデュエルを繋げる事により新たなる不動のデュエルの境地に辿り着いたわけか。
「今日はデュエルは出来そうには無いが、何れはお前を」
「シンクロは会得したのか?」
「……流石に知っておったか」
A・ジェネクス・バードマンはチューナーモンスター、ガリスの効果で落ちたカードには超重武者チューナーがいた。
シンクロ召喚を会得しているのか聞いてみると苦い顔をする権現坂。どうやらまだそこまではいけていない様だな。
「残念ながらシンクロはまだだ。しかし、今年の舞網チャンピオンシップまでには会得してみせる!」
「そうか…ま、楽しみにしてるよ」
その内、ミラーマッチをしよう。絶対に面白いことになる。
「いや~遊矢とはデュエルが出来なかったけど、面白いデュエルが見れて良かったよ」
「面白いと言うよりは殺意の塊だけどな。
取りあえず、デュエルをしていないタツヤ達は今回の事をレポートにして提出してくれよ」
ランク1~4召喚までの手順、先攻プレアデスの攻略、三本勝負の纏め。
気付けば結構な量の宿題になった。少しぐらいは提出を待ってやろうじゃないか……暫くは忙しくなりそうだし。
「赤馬理事長。
今日のところはこれぐらいで勘弁してやるから、さっさとその3人を連れて帰れ……後日、株を寄越せよ」
「っく……」
殺してやると言うような目で俺を睨む赤馬理事長。
話を持ってきたのはあんたで、負けてしまったのはLDSなんだから自業自得だ。
「今、思ったんだけど遊矢兄ちゃん、レオコーポレーションの株主になったら遊勝塾じゃなくてLDSの人間に」
「そんなわけないだろ、俺は遊勝塾の榊遊矢だ。
ある程度は売って現金に変えて、遊勝塾の運営費とか将来の為の貯金に回す」
LDSで働くなんてごめんだ。
企業とか事業を大きくすると現場の声を聞けなくなる。遊勝塾ぐらいのちょうど良い大きさのデュエル塾で子供達にデュエルを教えるのが俺の性に合ってる。
その事を伝えるとホッとするタツヤ達。俺のことをそんなに思ってくれていたのかと軽く感動をしながらも、赤馬理事長達を見送ろうと外に出る。
「帰るのは少し待ってくれないか?」
そこには素足マフラーのメガネが立っていた……こいつ、ずっと外でスタンバってたのか!?
OMKフェイズ
瑠璃「柚子、1つ言って良いかしら?」
柚子「なにかしら?」
瑠璃「アクションデュエルをするときは別の服に着替えてくれないかしら?」
柚子「なんで?」
瑠璃「なんでって、貴女、デュエルの時は中学の制服じゃない。ミニスカで、高いところから跳んだら、その、下着が」
柚子「大丈夫よ、下にスパッツ履いてるから」
瑠璃「そういう問題じゃないわ!大体、遊矢といい貴女といいどうして制服なの?」
柚子「遊矢はなんかコスチュームで迷走し過ぎて、一時期おかしな格好をしてたから制服にすれば良いぞってお父さんからアドバイスを貰ったから。私は……服を買うお金がそこまで無いから」
瑠璃「柚子……」
柚子「やめて、その目は!そこまでで無いってことは無いから!
別に良いの、デュエルは服でやるものじゃない。カードでやるものよ!
それに遊矢がなにを着ても柚子は柚子だって、そもそもで柚子は可愛いんだからなにもしなくて良いって言ってくれたの!」
瑠璃「そうなの?」
柚子「ええ、そうよ。ありのままの私で良いって……それに学生の間じゃないと制服を着てデュエルは出来ないから」
瑠璃「た、確かに……でも、やっぱりスカートは」
柚子「大丈夫よ、私のスカートの中は遊勝塾七不思議の1つだから」
瑠璃「七不思議の1つなの!?」
次回予告
私ともデュエルをしてはもらえないだろうか?
え、嫌だけど
デュエリストならば挑まれたデュエルに応じるものだ。
いや、俺、デュエリストじゃないんだけど?
……母様が自社の株を賭けたと聞いている。流石にそればかりは渡せん。
俺達が死(を相手に与える)闘(いと言うなのワンキル)の末に手に入れた物を奪おうって言うのか!!
無論、タダとは言わない。デュエルで私が負ければこの件に関しては引く。その上で──
ふざけるな、お前が一切損しないだろう。お前のところの親父みたいにお前がハゲになるぐらいのなんかが無いと……いや、待て。確かハゲって遺伝す──
黙れ!!
カリカリするな、父親と同じ
次回、遊戯王ARCーV【DDDブラック社長vsOCG産トマト】にガッチャビングデュエルアクセラレーション!!