遊戯王ではない!デュエルモンスターズだ!! 作:なにかの波動に目覚めたトマト
他の遊戯王小説みたいに上手くかきたい……。
「お父さん、朝ごはん出来たよ!」
「おぉ、今日も旨そうだな!くぅ~娘の手料理を毎日食べれるなんて、俺は幸せ者だぁあああ!!」
「はぁ、お父さんったら……」
おじさんがストロング石島との試合に来なかった事件から約一週間がたった。
【新チャンピオン誕生!!その名はストロング石島!】
【前チャンピオンは何処に?】
【臆病者の息子が挑戦!】
「これって」
「あ、いや、なんでもない!なんでもないぞ!!」
お父さんが読んでいた新聞の記事を見て、思わず意識が飛びそうになる。
ストロング石島との対決に来ず、消えてしまったおじさん。一週間ほどたった今でも警察の人達やお父さんの知り合いが探しているけど、何処を探しても見つからなかった。
新聞の記事に書いてあるのは、そんなおじさんの事や勝ち上がったストロング石島のこと……そして遊矢の事が書かれていた。
一面に無表情の真剣な目をした遊矢が、言った一言【デュエルしろよ】と書かれており、それを笑いの種としている。
「先ずは飯だ、飯!朝ごはんを疎かにするものは、デュエルの基本を疎かにする!今日から遊勝塾の授業が再開なんだ!食って力にするぞぉ!!いただきまーーす!!」
「お父さん……うん、そうよね!」
無理をして私に心配をかけまいとするお父さん。
おじさんがどうして居なくなったのかは分からない。けど、きっと生きている。だから、私達も頑張らないといけない。
お父さんの頑張ろうとする姿を見て、私も朝ごはんを食べようとすると家の固定電話が鳴った。
「はい、もしもし……ああ、何時もお世話になっております!」
電話に出たお父さん。
知っている人からの電話で、相手が前に居ないのに頭を下げている……いったい、誰からの電話かしら?
「……え!?ど、どうして急に……確かに、先輩はあの日、来ませんでした。
ですが、先輩は理由もなく試合を放棄する人ではありません。きっと、なにか理由があって……それは、そうですが」
「お父、さん?」
どうして急にとか、おじさんのこととか、なにを、言っているの?
「はい、詳しい事は後で……はい」
元気なフリをしていたお父さんは一瞬にして、元気がなくなった。
何時もは暑苦しいと思えるお父さんのこんな姿を私は見たことは無い。
「なんの電話だったの?」
「あ、ああ……塾生の保護者からの電話で、ちょっとな」
「?」
「ゆ、柚子。早くしないと学校に遅刻するぞ」
お父さんがなにかをはぐらかした。
それがいったいなんなのかは分からなかったが、私は朝ごはんを食べて学校へ登校した。すると遊矢が先に登校しており、自主的に勉強をしていた。
「遊矢、おはよう!」
「おはよう、柚子……」
「前から思っていたけど、それなんの勉強?」
遊矢はデュエルも学校の勉強の成績も優秀で、予習復習も欠かさない……だけど、なにかおかしい勉強をしてる。
授業でやってるところとか教科書に載ってるところと全く違うところを勉強している。一度、どんな勉強をしているかが気になって聞いてみたけど、分からなかった……。
「中学の勉強だ。
今はまだ良いけど、中学に入ると勉強の難易度が一気に跳ね上がるからな。成績を下げたりすると母さんが……忘れろ」
「え、どうし……ごめんなさい」
学校の成績を下げれば親に迷惑をかける。
遠回しにそう言おうとした遊矢だけど、途中で言うのを止め、止めた理由を直ぐに気付かなかった私は聞いている途中に気付き、謝る。すると、遊矢は持っていた鉛筆をへし折った……って、へし折った!?
「ゆ、遊矢?」
「あんのクソ親父……絶対に母さんの前に連れてきてやる」
鋼の意思を感じさせる、何処か怖いけど言葉は優しくおばさんを思いやる気持ちが伝わる。
本当は自分が一番泣きたい筈なのに、辛い筈なのに……。
「ところで柚子、今日お前が日直だぞ」
「え、あ、そうだった!!」
おじさんや今朝の事で色々とモヤモヤしているけれど、やるべき事をしないと!
何時も通りに学校で授業を受けて過ごす私達……そう、何時も通り。おじさんが居なくなった翌日、他のデュエル塾に通う人達が遊矢や他の学年の遊勝塾に通う人達に文句を言いに来た。中には卑怯者、臆病者の息子だって数人で遊矢をいじめようとする上級生も……でも、それも今日は居なかった。
いじめは良くない事で、おじさんを馬鹿にする人が居なくなったのは良かったけれど、どうしても違和感を感じる。
「遊矢、今日から遊勝塾の授業が再開だけど」
「暫くは遊勝塾には立ち寄らない」
「え!?」
放課後、今日から授業再開の事を伝えると意外な言葉が帰って来た。
「ストロング石島が正式にチャンピオンになったとはいえ、父さんが居なくなった話題の熱は全然冷めていない。
あの時、悪目立ちしてしまった俺が遊勝塾に行けば嫌でも写真を撮られて他の人達が巻き込まれる……ストロング石島が本当の意味でチャンピオンにならないとほとぼりは冷めないな」
「ストロング石島が本当の意味でチャンピオン?」
「ニュースとか雑誌を見てないのか?」
「お父さんが新聞を読んでたのをチラッと見たぐらいで……」
「そうか。とにかく、俺は遊勝塾には暫くは足を運ばない。
もし困った事とかあったりデュエルに行き詰まったりしたら連絡をくれ……なんか、ごめん」
遊矢が謝る必要は無い。
悪いのは…………居なくなってしまった、おじさんだ。エンタメデュエルの第一人者なのに、なんでファンの人達を、遊矢を悲しませる事をしたの?
「泣きそうな顔をするな」
「え?」
謝る遊矢の姿を見て、泣きそうになる私。
そんな私の涙を遊矢はハンカチを取り出して拭いてくれて、満足そうな顔をする。
「柚子は涙よりも笑顔が似合っているんだ。
泣きそうになる柚子を見るとエモい、じゃなかった。俺まで悲しくなるんだ」
「遊矢……」
笑うところは余り見ないけれど、無愛想なところがあって締める時に締めれない三枚目な所がある遊矢だけど、その心は優しい。うん。
「私、おじさんが帰って来た時に、あっと驚くデュエリストになってみせるわ!!」
「その意気だ!頑張れ、ストロング柚子!!」
は?
「誰がストロング柚子よ!!」
遊矢から出た言葉を聞いてハリセンを取り出し、ツッコミをいれる。
さっきまでのどんよりした気持ちは嘘の様に晴れており、私に勇気を与えてくれた……でも、現実はそんなに甘くは無かった。
「お父さん、この、書類……」
「ゆ、柚子!こいつは、その」
何時も通り家に帰り、デュエル塾のセットを詰めた鞄を手に遊勝塾に向かった。
何時もなら大勢の塾生が切磋琢磨しているのに誰もおらず、お父さんが沢山の書類を持っており、ヒラリと一枚の書類が落ちた。
「退塾届……これって!!」
遊勝塾の生徒の名前や判子が押された退塾届を見て、目を見開いた。
お父さんは退塾届を回収しようとするので、私は抵抗するとお父さんの足が滑り持っていた書類が……約半分以上の遊勝塾の生徒の退塾届が飛び散った。
「お父さん、この退塾届、どういうことなの!!」
「それは」
「正直に答えて!」
なにも聞かされていない。
何時もなら沢山の塾生達がそれぞれのエンタメデュエルを作り上げようと頑張っていたのに、どうしてなの?
「……今日、大勢の塾生の保護者達からの電話があったんだ。塾を止めて、LDSや梁山泊塾なんかの大手のデュエル塾に移籍するって」
「そんな……もしかして、おじさんが試合に行かなかった事が原因なの?」
書類がばれて観念したお父さんは退塾があったことを教えてくれ、思わずおじさんの事が頭に過る。
言いたくはないけれど、どう考えても原因はそれしか無い。でも、違う!と何時もの様な大きな声で叫んで否定して欲しいと思う私に辛い現実が突き付けられる。
お父さんは返事をしなかった。
「っ、貸して!!」
お父さんから書類を奪い、退塾した人達の名前を確認する。
クラスや学年は違うけれど、一緒になってデュエルを学んだ塾生達でエンタメデュエルをあんなにも楽しんでいた。
これはなにかの間違いや世間の人達に惑わされたりしたに違いないわ!!
「もう、電話をしないでくれ!」
「っ!!」
退塾した人達に電話をいれるも、マトモに相手をしてもらえなかった。
例え相手をして貰ったとしても遊勝塾に居るだけでと散々な言われよう。本当は居たかったけどと、言ってくれる人も居たけれど、それでも遊勝塾に居れば危険な目に遭うと言われてしまった。
「柚子……諦めるな!!
確かに塾生達は一気に居なくなった。だが、居なくなったのならば、また集めれば良い!
人々を熱狂の渦に巻き込んだアクションデュエル、そのデュエルで遊勝さんはエンタメデュエルを生み出して魅了した!ならば、もう一度エンタメデュエルのスゴさを魅せて、魅了すれば良いんだ!!うぉおおおおおお!熱血だあああああ!!」
「おじさんが居ないのに?」
「確かに居なくなってしまった。だが、エンタメデュエルは無くなってはいない!!」
そうよ。
おじさんは居なくなってしまったけど、おじさんが作ったエンタメデュエルは無くなっちゃいない。
「柚子、そして遊矢よ!お前達は榊遊勝の後を継いでエンタメデュエルを極めて榊遊勝のその遥か先にって……柚子、遊矢はどうした?」
「最初から居ないわよ……お父さん、もしかして?」
「い、いや、ほら、遊矢はどちらかと言えば無口じゃないか。だから、てっきり」
「てっきりじゃないわよ!!」
もう、ちゃんとしてよね……でも、お父さんの言う通りね。
「遊矢には悪いけれども、遊勝塾に来てもらわないと……」
『ただいま、デュエル中で電話に出ることは出来ません。ピーっという発信音の後、メッセージを残すか時間を置いてから再度、掛け直してください』
「……デュエル?」
「おぉ、姿が見えないと思ったら……そうか。遊矢の奴、見えないところで努力をしているのか!」
「……っ!」
違う、違う、そうじゃない。
ストロング石島がチャンピオンになって、少しは静かになったけどそれでもまだおじさんの事で遊矢に因縁をつける相手は居る。
「何処、何処なの遊矢!!」
そんな遊矢が今、デュエルをするなんて有り得ない。
遊勝塾を飛び出した私は遊矢を探そうと必死になり舞網市を走るけど見つからない……。
落ち着いて、私。遊矢が教えてくれた事を思い出すのよ。こういう時は、大事な事を3つぐらいに分ければ良い。
1つ、遊勝塾が体を鍛える為に走り込みをする場所なんかには遊矢が居なかった。
2つ、遊矢は今、何処かでデュエルをしている。
3つ……どうしよう、3つ目が浮かばないわ。
「3つ目、3つ目……そうだ」
街中でのスタンディングデュエルをしているなら人目につくはず。
遊矢はある意味、世間から注目をされていて、帰る時に遊矢は周りの目を気にしていた……だから、そう。
「人目のつかない廃倉庫に……遊矢、何処なの!居るなら、返事をして!!」
「そこのお前、榊遊矢になんの用だ?」
遊矢がここに居る。
そう感じた私が向かった廃倉庫付近に、リーゼントが特徴的な男がいた。
「貴方は遊矢の居場所を知っているの?」
「知ってはいるが、お前はいったい」
「私は柊柚子!遊矢と同じ遊勝塾の」
「遊勝塾だと!?」
塾生で遊矢のともだちだと言おうとする前に驚く男。
「なにを驚いているの?それよりも遊矢は」
「むぅ……悪いが、遊矢の居場所を教える訳にはいかん!」
「どうして!?」
「それは……すまぬが理由は言えない。
しかし、この男、権現坂、理由は語れまいが1つだけ断言できる。榊遊矢は真の男だという事を!!」
「どういう意味……ううん、違うわ。
貴方が遊矢の居場所を知っているんだったら、デュエルよ!!デュエルで私が勝ったのならば、遊矢の居場所を教えて!」
「良いだろう。ただし、デュエルでお前が負けた場合は分かっているだろうな」
「っ……絶対に負けないわ」
この男が、権現坂が何者かは分からない。だけど、遊矢はなにか大変な目に遭っているはず。
リアルソリッドビジョンシステムが無いから、アクションカードは無いけれど、絶対に勝ってみせる!!
「「デュエル!!」」
先ずは最初の手札を確認……これって!!
「先攻は私からよ!
私は永続魔法!神の居城━ヴァルハラを発動し、効果を発動!
自分のフィールドにモンスターが居ない時、手札から天使族モンスターを特殊召喚することが出来る!私は大天使クリスティアを特殊召喚!!」
大天使クリスティア レベル8 光属性 天使族 攻撃力2800
赤い翼が特徴的な大天使クリスティア。
よし。召喚時になにもしてこないわ。これなら、私の勝ち。このモンスターを先攻1ターン目で召喚出来た時は遊矢に1ヶ月に1回は勝つんだから!……このモンスターをくれたのは遊矢で神の居城━ヴァルハラの重要性を教えてくれたのも遊矢だ。ちなみに私が勝った時の遊矢はいつも手札が事故になっていた。
「カードを一枚伏せて、ターンエンド!」
これで大丈夫、のはず。
遊矢はこれをディスカバー・ヒッポからのオッドアイズ・ランサー・ドラゴンを召喚して倒したことがあるから油断はできないわ。
手札には幻奏の歌姫ソロがあるけれど、並べた結果、オッドアイズ・セイバー・ドラゴンみたいに戦闘破壊に成功したら効果破壊が可能なカードが来るかもしれないし。
「1ターン目から攻撃力2800の最上級モンスターを、負けてはおられん!!俺のターン、ドロー!」
お父さんの様に暑くドローをする権現坂。
「超重武者ビッグワラーGの効果!自分の墓地に魔法・罠カードが無い場合、このカードを特殊召喚することができるって、なにぃ!?」
レベル5のモンスターをいきなりの特殊召喚。
フィールドにモンスターが居ない時系と違ってかなり変わった条件下での特殊召喚は驚きだけれど、その特殊召喚は不可能よ!
「大天使クリスティアがフィールドに居る限りは、お互いにモンスターを特殊召喚できないわ!!」
デュエルディスクのエラー音に驚く権現坂に理由を教える。
「特殊召喚が出来ないだと!?」
「ええ」
通常召喚したモンスターや魔法カードの効果を巧みに扱いモンスターを並べて、上級モンスターを召喚する。
大半のデュエル塾はその教えが当たり前で、その過程でどうしても特殊召喚が必要になる。大天使クリスティアはデュエルに必要不可欠な特殊召喚を封じるカード。
「ならば、俺はモンスターをセットしてターンエンドだ!!」
「私のターン、ドロー……」
私のフィールドには神の居城━ヴァルハラと大天使クリスティアと伏せカードが一枚。
手札はドローしたカードを合わせて3枚で、対する権現坂のフィールドはセットしているモンスターのみで手札は5枚……ここは一気に!
「私は幻奏の歌姫ソロを攻撃表示で召喚!」
幻奏の歌姫ソロ レベル4 光属性 天使族 攻撃力1600
「バトルよ!私は幻奏の歌姫ソロでセットしているモンスターを攻撃!!」
セットしているモンスターに攻撃を仕掛ける幻奏の歌姫ソロ。
リバースモンスターや高い守備力のモンスターではなく、あっさりと破壊された。けれど、権現坂が僅かに笑った。
「俺はこの瞬間、超重武者グロウーVの効果を発動!
自分の墓地に魔法・罠が存在せずこのカードが墓地に送られた時、デッキ上から5枚のカードを並べかえる事が出来る!」
「破壊効果じゃないなら大丈夫!私は大天使クリスティアでダイレクトアタック!」
「この瞬間、超重武者グロウーVのもう一つの効果を発動!」
「デッキトップ操作以外にもまだあるの!?」
「無論だ。
相手のダイレクトアタック時、墓地のこのカードを除外し発動できる。
自分のデッキの一番上のカードをドローし、そのカードが超重武者カードならば攻撃してきたモンスターの攻撃力を0にする!俺の引いたカードは超重武者ダイー8!!」
ギャンブル性の高いカード……いえ、それよりも
「まさか、遊矢以外にもどうにか出来る人が居るなんて……」
「俺の引いたカードは超重武者ダイー8!超重武者モンスター!よって、大天使クリスティアの攻撃力は0に!」
攻撃力0は永続……次のターンで大天使クリスティアは破壊される。
けど、私も特殊召喚が出来るようになるし、ミラーフォースがあるからまだまだ逆転のチャンスはあるわ!!
「私はターンエンドよ!」
伏せカードは聖なるバリア ミラーフォース。
大天使クリスティアは墓地に天使族が4枚あれば特殊召喚することが出来るモンスターで、私の使う幻奏モンスターは天使族。
墓地に送る系の効果は少ないけれど、特殊召喚する効果は多くてフィールド中に歌姫達を召喚できる。歌姫達での総攻撃が失敗したら、再びクリスティアを、そのクリスティアを破壊しようと強いモンスターを使えばミラーフォースで撃墜出来るわ!
「俺のターン!俺は超重武者ダイー8を通常召喚!
召喚に成功した瞬間、効果発動!超重武者ダイー8の表示形式を変更する!」
超重武者ダイー8 レベル4 地属性 機械族 守備力1800
「表示形式の変更……」
あれだとミラーフォースの効果が無い。
「バトルだ!超重武者ダイー8で大天使クリスティアに攻撃!」
「守備表示のままバトル!?」
「そう。超重武者ダイー8は守備表示のままバトルが出来る。その際に守備力を攻撃力として扱う!」
「つまり攻守1800のモンスター……貫通効果が無いとダメージ計算もない」
「その通りだ!ゆけい!超重武者ダイー8!」
大天使クリスティアに向かい突撃するダイー8。
まずいわ。権現坂の召喚した超重武者ダイー8。レベル4のモンスター……グロウーVやビッグワラーGの効果に加えて、ダイー8の守備攻撃。
「超重武者はフルモンスターじゃないと動かないデッキで、守備攻撃をする攻守一体のデッキ」
柚子 LP4000→2200
「その通り、よくぞ我がデッキの本質を見抜いた!
権現坂流不動のデュエルは、文字通り動かざること山の如し!なにが出るか分からないアクションカードには頼らず、己の魂を込めたデッキを信じ、揺れる事なく戦うもの!」
「アクションカードを取らない……遊勝塾の教えとは真逆に近いものじゃない!!」
「安心しろ。あくまでも不動のデュエルは不動のデュエル、エンタメデュエルはエンタメデュエル。
それぞれの流派が持つ考えは、それぞれが独創的で素晴らしいものだ。この男、権現坂。奴等の様にエンタメデュエルや遊勝塾を否定する様な真似はせん」
「奴等……奴等って、どういう意味?」
「それを知りたければ、俺に勝ってみせろ!
ダイー8の効果を発動!表側守備表示のこのカードを攻撃表示にし、デッキから超重武者装留チュウサイを手札に。
更に超重武者装留チュウサイの効果を発動!手札のこのカードを、超重武者ダイー8に装備!」
「装備効果を持つモンスター……攻撃力にも守備力にも変化が無い?」
装備カードを装備したのに、なんの変化も無い。
「チュウサイは力を上げる超重武者装留にあらず!新たなる超重武者を呼び寄せるカードだ!
俺はチュウサイの効果を発動!このカードを装備したモンスターをリリースし、デッキから超重武者モンスターを特殊召喚する!俺が特殊召喚するのは、超重武者ビッグベンーK!!」
権現坂が新しく召喚したのは巨大な機械の鎧武者。攻撃力は……
「攻撃力1000!?もしかして」
「その通り!
特殊召喚をした超重武者ビッグベンーKの効果を発動!表示形式を変更し、守備表示に!そしてこの超重武者ビッグベンーKはダイー8と同じく守備表示で攻撃できる……ターンエンドだ!」
硬い、なんて硬いの……まるで、山の様だわ。
「私のターン、ドロー!!」
権現坂のデッキのなんとなくの内容は理解できてきた。
権現坂のデッキはフルモンスターでビッグベンーKをエースに、超重武者装留や超重武者モンスターがサポートをする、そんな感じ。
「……」
ドローしたカードは効果によりデッキトップに来ていたクリスティア。私はどうするかを考える。
フルモンスターだからモンスターが来ない事は絶対に無い。ターンを増やせば増やすほど、権現坂の不動のデュエルの真価が発揮をする。だから、素早く倒すしか道は無い。
でも、私にそれが出来るの?今のこの手札だと……アクションカードがあれば……。
「アクションカードがあれば、か?」
「え?」
「お前は今、アクションカードを欲している。
これがアクションデュエルならばデュエリストはアクションカードを求めるだろう。この程度の状況でアクションカードを求めているようでは遊矢に会ったところで、邪魔にしかならない!!」
「っ……邪魔、私が……」
今、遊矢はこの辺でデュエルをしている。
リアルソリッドビジョンシステムが無いから、スタンディングデュエル……。
「遊矢は貴方に勝ったの?」
「無論……まさか向こうも動かぬデュエルをするとは思いもしなかった。
我が不動のデュエルの全てを用いても100000をも超えるライフポイントを削り切ることは出来なかった」
「10万!?」
いったいどんなデュエルだったの……いえ、どんなデュエルだったとしても構わない。
遊矢は権現坂に勝った……なら、私が立ち止まる訳にはいかないわ!!
「私は魔法カード、トレードインを発動!
手札のレベル8のモンスターを墓地に送り、デッキから2枚ドローする!私は大天使クリスティアを墓地に送るわ!!」
これでドロー出来なかった分を補えた!
「……私はモンスターをセットして、バトルよ!幻奏の歌姫ソロで超重武者ビッグベンーKに攻撃!」
「超重武者ビッグベンーKの守備力は3500、血迷ったか!」
「いいえ、血迷ってなんかないわ。
私はダメージ計算時に手札の幻奏の音女スコアを墓地に送り効果を発動。幻奏モンスターとバトルするモンスターの攻守を0にするわ」
「攻守0!?」
そう。これで貴方の超重武者が守備に優れていても破壊することが出来るわ!
「ターンエンドよ!」
「俺のターン、ドロー。
ゆくぞ!俺は超重武者ビッグワラーGを特殊召喚!超重武者ビッグワラーGは超重武者モンスターをアドバンス召喚する際に2体分のリリースとして扱う!動かざること山の如し。不動の姿、今見せん!超重武者ビッグベン━K!!」
うそ、2体目!?
「ビッグベン━Kの効果発動!このカードの表示形式を変更する!」
超重武者ビッグベン━K 地属性 機械族 レベル8 守備力3500
まさかの2体目の登場に思わず引いてしまいアクションカードがあればと頼りたくなり周りを見る。
直ぐに今はアクションデュエルじゃないことを思い出す。私は困ったらアクションカード、とアクションカードに依存している。苦手なアクションフィールドが来たとき、なにも出来ない。ここでアクションカードに頼ったら遊矢の邪魔になっちゃうと遊矢の事を思い出して、引いた分よりも更に一歩前に出る。
「更に俺は超重武者装留ダブルホーンの効果を発動!このモンスターを超重武者ビッグベン━Kに装備!」
鬼の角の様なものを肩に装備するビッグベン━K。
デュエルディスクに出てる数値に変動は無い……と言うことはなにか追加効果を付与したのね。
「超重武者装留ダブルホーンの効果!
このカードを装備した超重武者モンスターは2回攻撃することが出来る!!」
「2回攻撃!?」
「バトルだ!
俺はダブルホーンを装備した超重武者ビッグベン━Kで幻奏の歌姫ソロに攻撃!」
ビッグベン━Kは地面を強く叩き地割れを起こし、幻奏の歌姫ソロを撃破した。
柚子LP2200→300
「破壊された幻奏の歌姫ソロの効果発動!
このモンスターが戦闘で破壊され墓地に送られた時、デッキから幻奏の歌姫ソロ以外の幻奏モンスターを特殊召喚する事が出来る!私は幻奏の音女アリアを守備表示で特殊召喚!!」
幻奏の音女アリア 守備力1200
「特殊召喚された幻奏の音女アリアが居るかぎり、幻奏モンスターはカードの効果の対象とならず戦闘では破壊されないわ!!」
「先にソロを破壊したのは間違いだったか……ならば、セットしているモンスターに攻撃!!」
「セットしているモンスターは幻奏の音女セレナ!幻奏モンスターだから戦闘破壊されないわ!」
「っく、ターンエンドだ!!」
よし、これで戦闘破壊は防げる。
でも、相手はフルモンスターデッキでこういう時も想定しているはず。貫通効果を持ったカードを入れている筈だから早く倒すかスピリットバリアを引かないと。
「私のターン、ドロー!」
……ドローカードはスピリットバリアじゃない。けど、良いカード。
権現坂のフィールドには実質攻撃力3500のモンスターが1体。
フルモンスターのデッキでビッグベンーKをエースに、色々とするデッキ。ドローするカードは絶対にモンスター。毎ターン、何かしらできる……私のデッキとの相性も余り良くない。早目に終わらせないと。
「幻奏の音女セレナの効果!このカードは天使族モンスターをアドバンス召喚する時、2体分のリリースとする!
私は幻奏の音女セレナをリリースして幻奏の音姫ローリイット・フランソワをアドバンス召喚!!更に幻奏の音姫ローリイット・フランソワの効果を発動!1ターンに1度、墓地にある光属性・天使族モンスターを1体手札に加えるわ!私が加えるのは幻奏の音女スコアを手札に!」
「召喚時ではなく、ターンに1度の効果!?ということは」
「ええ、そうよ。これでなにが出てきても攻撃が出来るわ。
私は幻奏の音姫ローリイット・フランソワでビッグベンーKに攻撃!勿論、ダメージ計算時に手札からスコアを捨てて、ビッグベンーKの攻守を0にするわ!!」
これで2体目も撃破よ!
「俺のターン、ドロー!……超重武者ワカーO2を召喚。
ワカーO2の効果を発動し、表示形式を変更……ターンエンドだ」
よし、3連続のビッグベンーKは流石に来なかったわね。
それと権現坂のデッキが大体読めたわ。フルモンスターデッキで効果ダメージとかは特に狙わず、ビッグベンーKに超重武者装留を装備させて、2回攻撃効果とか貫通効果とかを与えて戦闘する感じのデッキ。
超重武者ビッグベンーKを召喚してそこから色々とするデッキだけど、先ず最初に超重武者ビッグベンーKを召喚する為の特殊召喚が出来ずに出鼻が挫かれて、そこから2連続でビッグベンーKが倒された。
「私のターン、ドロー……」
この状況、どうしようかしら?
スコアを手札に戻して守備力を0にしてアリアで攻撃……をしてもライフを0にすることは出来ない。
権現坂のデッキはフルモンスターで、絶対にモンスターが来ることは分かっているのだから毎ターン、モンスターを呼び出す事が出来る。
フルモンスターでビッグベンーKが要なら、三体目も普通にありそうだし、ビッグベンーKを簡単に呼び出せるカードもありそう。私、一撃でもくらったらおしまいなのよね……そう言えばワカーO2の守備力とドローカードを見ていなかったわ……あ!
「私はローリイット・フランソワの効果で幻奏の音女スコアを手札に加えるわ。
そして貴方のフィールドにある超重武者ワカーO2をリリースし海亀壊獣ガメシエルを貴方のフィールドに攻撃表示で特殊召喚!!」
「あ、相手のフィールドのモンスターをリリースして特殊召喚をするだと!?」
海亀壊獣ガメシエル
レベル8 水属性 水族 攻撃力2200
「普通に見ればデメリットしか無い効果に思えるけど、倒すことの出来ないモンスターとかを除去する事が出来るの」
私のデッキは戦闘破壊出来ないモンスターに滅法弱い。それに加えて私のデッキも効果破壊とか戦闘破壊を防いだり出来て、スピリットバリアでダメージを0に出来るから、戦闘破壊出来ない系のモンスターを多く含んだデッキとデュエルをしたらデッキ切れで負けたり勝ったりすることもある。だから、こういうカードが必要だって遊矢に進められた。
ラヴァ・ゴーレムを遊矢は一番押していたけれど、私のデッキじゃ攻撃力3000を野放しにすると大変だから攻撃力の低い海亀壊獣ガメシエルを代わりに入れた。
「戦闘破壊が出来ないワカーO2には退場してもらったわ。バトルよ!ローリイット・フランソワで海亀壊獣ガメシエルを攻撃!」
「ま、まだまだぁ!!」
権現坂LP4000→3900
「私はこれでターンエンドよ!」
「俺のターン……自分フィールド上にモンスターがおらず相手フィールド上にモンスターが2体以上居る時、超重武者テンBーNを特殊召喚できる!来い、超重武者テンBーN!」
天秤に荷物を乗せた緑色の甲冑を着たモンスターを呼び出す権現坂。
相手フィールド上にモンスターがいて、自分フィールド上にモンスターが居ない場合に特殊召喚できるとか、自分フィールド上にモンスターが居ない場合に特殊召喚できるとか色々とあるけれども、2体以上は珍しいカードね。天秤だからかしら?
「テンBーNの効果を発動!
テンBーNが召喚、特殊召喚された時、墓地からレベル4以下の超重武者モンスターを特殊召喚できる!
俺は超重武者装留チュウサイを特殊召喚し、フィールドからテンBーNに装備してチュウサイの効果を発動!!テンBーNをリリースしてデッキより超重武者ビッグベンーKを攻撃表示で特殊召喚!!」
「またなの!?」
倒したばっかなのに、直ぐに現れるビッグベンーK。
でも、大丈夫よ。私の手札には幻奏の音女スコアがいるから攻撃してきても0にすることができる。
「ああ、例え倒れても起き上がり動じる事なくデュエルをする。それこそが不動のデュエル!
俺は更に超重武者ソードー999を通常召喚!そして効果を発動し、守備表示にする!そして超重武者ソードー999で幻奏の音姫ローリイット・フランソワに攻撃!
先程の説明は少々足りなかったので改めて説明しよう!超重武者ビッグベンーKは守備表示で攻撃できる効果を持っていると言ったが、正確にはフィールドの超重武者モンスター全てに「守備表示で攻撃することができ、その際に守備力を攻撃力として扱いダメージ計算をする」効果を付与する!ダイー8は自らしか攻撃できないが、ビッグベンーKはフィールドに居る限り全ての超重武者モンスターを守備表示で攻撃可能にする!」
「じゃあ、ソードー999の攻撃力は実質1800……でも、ローリイット・フランソワの方が高いから……自爆特攻?」
攻撃した後になにかを発動する系の効果を発動する為にわざとバトルに負ける戦術だったわよね?
「すまん、ソードー999よ。あの場に近付けぬ為にも、ここは犠牲になってくれ。
ソードー999の効果を発動!ダメージ計算後にバトルをした相手モンスターの攻守を0にする……永続にだ!!」
永続効果はまずいわ!?
権現坂 3900→3400
「更に超重武者ビッグベンーKで幻奏の音姫ローリイット・フランソワに攻撃!」
「幻奏の音女スコアの効果を発動!このカードを墓地に送り、ビッグベンーKの攻守を0に!そして攻撃力0同士のバトルではルール上、どちらのモンスターも戦闘では破壊されないわ!!」
「構わん。俺はこれでターンエンド。そしてビッグベンーKの攻撃力は元に戻る」
スコアの効果を使わせる為に、わざわざ攻撃してきたのね。
私のライフはたったの300。一撃でも攻撃をくらえば終わり……権現坂のデッキには守備表示モンスターと戦闘をした時にダメージを与える貫通効果を与えるカードが入っているし、ダイー8はビッグベンーKの効果が無くてもバトルすることが出来る。
「私のターン……!……権現坂、私の勝ちよ」
ドローをしたカードを見て、私は勝利を確信した。
「幻奏の音女アリアを攻撃表示に、幻奏の音姫ローリイット・フランソワを守備表示に変更。
そしてローリイット・フランソワの効果でスコアを手札に加えて……魔法カード死者蘇生を発動よ!!」
「死者蘇生……俺の墓地にはアドバンス召喚をしたビッグベンーKが1体。
俺の残りのライフポイントは3400、超重武者ビッグベンーKが守備表示で攻撃すれば0に……見事だ」
「ええ……私は貴方の墓地にあるビッグベンーKを守備表示で特殊召喚!
これで終わりよ。幻奏の音女アリアで貴方の超重武者ビッグベンーKに攻撃!ダメージ計算時に幻奏の音女スコアを墓地に送り、超重武者ビッグベンーKの攻撃力守備力を0に!」
攻撃力守備力0となり、段々と錆びて汚くなっていくビッグベンーK。
鈍い音を出しながらそれでも動いており、スコアとアリアの歌声によってゆっくりとゆっくりと停止した。
「これで終わりよ。超重武者ビッグベンーKでダイレクトアタック!!」
権現坂LP3400→0
「私の勝ちよ!約束通り、遊矢の居場所を教えて!」
「約束は守ろう……しかし、覚悟は出来ているだろうな?」
「覚悟?」
「……来い」
いったいどういう意味なの?
権現坂の案内を受けた私は廃倉庫の内の1つに入った。
「……え?」
私は中の光景を見て、固まった。
「俺は魔法カード、トレードインを発動。手札の青眼の白龍を墓地に送りカードを2枚ドロー!」
そこでは遊矢が見知らぬ誰かとデュエルをしていた……けど
「なに、あのモンスター?」
「やはりお前も知らないのだな」
遊矢のデッキはEMとオッドアイズと魔術師を複合したデッキ。
だけど、今使っているデッキは違っている。見たことの無いドラゴンを使っている。
「……顔が中々に来ないな。やっぱ無理に混ぜるもんじゃないな。俺は青眼の亜白龍でダイレクトアタックだ!!」
「ひぃ!?ま、待った。オレの敗けだ!サレンダーする」
「サレンダーが出来るのは自分のターンのみだ」
「なに、サレンダーだと言えばデュエルを終わらせる事が出来るのでは無いのか!?」
「文句があるならコンマイにでも言え」
見たことの無いドラゴンの一撃が対戦相手を倒す。
「さぁ、次はどいつだ!!」
「どいつ?」
「……ここに居るのは、ストロング石島の熱狂的なファンや榊遊勝のファンだった者達だ」
「!」
倉庫の中にはそれなりの人が居る。
これがおじさんやストロング石島のファン……。
「遊矢は、ここ数日この倉庫で奴等とデュエルをしている」
「デュエルを、もしかして……」
「ストロング石島の前でデュエルを挑んだのもあるが、怒りの矛先を遊勝塾に向けようとした者達も中には居る。遊矢はその者達と戦い今日まで無敗を貫き、遊勝塾に向く怒りの矛先を食い止めている」
「そんな……どうして誰も止めないの!?」
「無論、止めようとした。
どの様な理由かは知らぬが居なくなったのは榊遊勝で、遊勝塾は無関係だと。
それでも止まることがなかったので俺は助太刀をしようとしたのだが、俺は部外者だからと手を貸すことは許されず、遊矢にデュエルを挑んだものの、負けてしまい、どうすることも出来なかった。せめて、この姿を遊勝塾の者達には見せまいとしていたが……」
「どうした、誰も来ないのか?……なら、それで良い。
悪いのはあのくそ親父で、遊勝塾は関係無い……俺はストロング石島に勝てるから挑んだ。その二つを覚えておけ」
次のデュエルをしようにも、挑んでくる相手は誰も居ない。
遊矢はそれ以上のデュエルをすることはなくデュエルディスクを鞄に入れて、倉庫を出ようとする。
「遊矢……」
「げ、柚子!?おい、権現坂!どういうことだ、お前せめてもの助力つったよな!!」
「すまぬ、遊矢。デュエルで負けてしまった」
「いや、なんでそこでデュエルを挟む……いや、そうだよな。それが当然だよな」
私が居ることに気付くと、激しく落ち込む遊矢。
小さく見られたくなかったと呟いている。
「遊矢、どうしてこんな危険な事を」
「危険……なのか?デュエルをしているだけだが」
「っ、遊矢のバカ!!」
「ちょ、ハリセンを何処から出した!?」
遊矢が強いのは知っている。
だけど、もしアンチデッキを使ってきて負けたら……遊矢は一生━━あれ?
「なに、この沢山のデッキケース」
「あ、やべ!!」
ハリセンで遊矢を叩いた際にバランスを崩す遊矢。
鞄の中から大量のデッキケースが出て来て、遊矢は慌ててデッキケースを拾い集めるけど、私が先に1つのデッキケースを手に取る。
「スキドレバルバ?……」
デュエリストにとってデッキは自分の命も同然のもの。
やっちゃいけない事だけど、どうしても気になった私は思わずデッキの中身を見てしまった。
モンスターの効果を無効化するスキルドレインを軸に高レベルのデメリットを持つモンスター達を並べるデッキで、物凄く強いデッキ。大半の、それこそ権現坂のデッキには相性が悪いデッキ。
「なんで遊矢が、こんなデッキを」
遊矢はこんなに沢山のカードを持っているけれど、遊勝塾ではEMオッドアイズ魔術師のデッキしか使っていない……なんで?
「悪いな、柚子……どうも俺はデュエリストってのに、向いてなくてなれないみたいなんだ」
この時、私ははじめて知った。
遊矢はデュエルは好きだけれど、エンタメデュエルは好きじゃないこと。
遊矢は複数のデッキを持っていることを。
遊矢はデュエル中、座りたいなと何度も何度も思っていたことを。
遊矢はアクションデュエルが嫌いな事を。
「俺はこんな感じのデュエリストになりきれない遊戯王プレイヤーだ。
だが、柚子は違うだろう。柚子が思うデュエルの道を突き進めば良い……うん」
遊矢はデュエリストじゃなかった。本人曰く遊戯王プレイヤーらしい……遊戯王ってなに?
デュエリストの定義
己の信念を魂を1つのデッキに込めること。
己の信念と魂を込めたデッキで己のデュエルロードを突き進むこと。
カードを創造しようがデッキに入れていないカードをドローしようが一切気にしないこと。
デュエルディスクを持ち、立ちながらデュエルをすることになんの疑問も抱かないこと。
遊戯王ではなくデュエルモンスターズをやっているという自覚をしていること。
物事をデュエルで解決出来ると思っていること。
相手が世界に数枚しかないカードでオレ最強だZeと言っているのを見ても疑問に思わないこと。
カードを発動していた事を効果処理が終わるまで一切言わないこと。
ルールを守って楽しくデュエルというコンマイの言っていることを大体守れない人のこと。しかし、コンマイも守れてなかったりする時があるので、ここは然程気にすることではない。
次回予告
エクストラデッキ、それはデュエルを高速化させた最強のモンスター達が潜むデッキ。
コンマイにより15枚と制限されているが、15枚だけでも恐ろしく強い。
スタンダード次元でもエクストラデッキによる召喚方法が少しずつ、少しずつ広まっていく。
時を同じく、榊遊矢になっていたOCG次元の住人もエクストラデッキの構築に悩む。
この世界にはリンク召喚は無い。彼にとってエクストラデッキにはリンクモンスターが入って当然だった為にと感覚を思いだそうとしたその時、ペンデュラムが光る。
次回、遊戯王ARC-V 【白菜vsトマト】にガッチャビングデュエルアクセラレーション!!
漫才次元
遊矢「ところで、なんでここに来たんだ?」
柚子「あ、そうだった。遊矢とエンタメデュエルをしようと思ったけど、もう良いわ」
遊矢「すまない……」
柚子「ううん、私こそ気付かなくてごめん……エンタメデュエルで苦しんでいたなんて、それとありがとう」
遊矢「ん?」
柚子「私達の遊勝塾を守ろうとしてくれて、ありがとう」
遊矢「守れてなんかないさ。
肝心のエンタメデュエルを俺は出来ないんだ……」
柚子「そんな事は無いわ!
私、遊矢とデュエルをするのが楽しいって面白いって思っているもの!!」
遊矢「柚子……」
柚子「遊矢に出来ないエンタメデュエルを私がしてみせるわ!!」
遊矢「いや、しなくて良いぞ?」
柚子「え!?」
遊矢「柚子には柚子の良さがあるんだ。
それを無理に壊して笑われるデュエルとかにするよりも、柚子の良さを生かして欲しい……柚子が楽しくデュエルをしているだけで、俺は嬉しいよ」
柚子「遊矢……」
権現坂「むぅ、完全に俺の事を忘れてはいないか?」