遊戯王ではない!デュエルモンスターズだ!!   作:なにかの波動に目覚めたトマト

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前回までのあらすじ


ゲーティアよ1年ぶりに私は帰ってきた。

海王星の暴君「禁止化されるまでとことん暴れてやる、えっ、中止ですか……次は殺す」





目指さないジュニアユース選手権

「……!」

 

 目を覚ますと見知らぬ天井、いや、見知った天井。

 俺の部屋の天井で頬に違和感を覚えたので触れると傷跡にガーゼが貼られている事に気付く。

 

「あのクロワッサン、一回何処かで潰す」

 

 RRにとって相性の最悪のデッキを使ってやる。

 とりあえずは布団から出ようとするのだが、違和感を覚える。誰かに服を掴まれてる感覚……まさか!

 

「ん……むにゃむにゃ……」

 

 布団を捲るとそこには柚子が眠っていた。

 なんでここにと思わず叫びそうになったが、声を飲み込んで柚子を見る。

 

「遊矢……死なないで」

 

「……死ぬレベルの傷じゃねえよ」

 

 夢の中でも俺の事を心配してくれる柚子。死なないでって言うが頬をカードで切られただけで即死レベルの大怪我じゃない。

 とはいえ心配をさせたことについては反省しないと……悪いのあのクロワッサンだし。

 

「柚子、遊矢は──遊矢!」

 

「瑠璃」

 

 柚子を起こすのか起こさないのか悩んでいると瑠璃が部屋に入ってきた。

 瑠璃は柚子になにかを言いに来た様だが、俺を見た途端に涙目になって走り出して抱き付いてきた。

 

「よかった……よかった、目覚めて」

 

「おいおい、そんなに酷い怪我じゃないだろ」

 

「なにを言ってるの!丸一日、眠り続けてたのよ!」

 

 嘘だろ、オイ。

 こんな傷で一日中眠り惚けるって、俺ってそんなに貧弱だっけ?確かに権現坂みたいにデュエルマッスルは鍛えていないし、腹筋は割れていない。

 デュエリストならばこの程度どうにかなったのだろうが、俺はデュエリストじゃないのでこんなんなっちまったんだろうな。

 

「おばさん、遊矢が目を覚ましたわ!」

 

「う、う〜ん……遊矢……遊矢!」

 

 同一人物な為に全く同じリアクションをする柚子。

 瑠璃と同じく涙目になっており、安心をさせる為に大丈夫だよと言うと安心してくれたのかホッとする。

 

「全く、2人を心配させるんじゃないよ!」 

 

 ホッとするのもつかの間、母さんが部屋にやってきた。

 俺の身の上の心配よりも瑠璃達を心配させたことについて怒っている……俺の事を知っているから怒らないんだよな。

 

「ごめん……」

 

「全く、心配させるんじゃないわよ……無茶をしないで」

 

 色々な人に心配をかけてしまったなと思うが、よくよく考えれば俺ってなにもしていない。

 こうなったのも全てクロワッサンのせいである。おのれ、クロワッサン。その内、潰してやる。

 

「……おばさんは行ったわね」

 

 俺に軽く説教をした後、部屋を去っていった母さん。柚子は完全に去っていったかどうかの確認をする。

 それは母さんに聞かれてはいけない話をするから……あ〜また怒られる。

 

「遊矢、正座」

 

「はい」

 

 俺にも色々と言い分がないわけじゃないが、言ったところで柚子に心配をかけていた事実は変わりはない。

 病み上がりの体に鞭を打ちつつベッドから出て仁王立ちする柚子の目の前で正座をする。

 

「歯を食いしばりなさい!」

 

「せめて、ハリセ─げゔこべ!?」

 

 柚子からどんなお叱りが待ち受けているかと思ったら平手打ちが飛んできた。

 何時もならばハリセンだったりするのに今回は一切の慈悲も思いやりも無い素手によるビンタで事前の言葉が無ければ耐えれなかったかもしれない。

 

「あの後、瑠璃から全部聞いたわ。エクシーズ次元のハートランドの事、融合次元のアカデミアの事、遊矢が何処で瑠璃と知り合ったのか、LDS狩りの不審者達の目的がなんなのかを」

 

 痛みが引かぬまま柚子は瑠璃から全てを聞いたことを教えてくれる。

 寝ている間に瑠璃が教えてくれたので手間が省けたが……俺がなんで知っているとかの疑問を持たないか心配だ。

 

「遊矢、全部聞いたわ……冗談みたいな話よね」

 

「ああ……でもこれが現実なんだ。俺はこの目でハートランドを見た、酷いものだ」

 

 ハートランドが酷い状況になっているのは頭で理解していた。しかしこの目で見るのとは違う。

 あそこまで荒廃したハートランドを元に戻す方法はあるのか?他の次元から救援物資を送ったりしたとしても元に戻るとは思えない……本当にどうなるんだろうな。

 

「これからどうするの?瑠璃のお兄さんとユートを探すの?」

 

「そうしたいのは山々なんだがLDSがなんらかの動きをするし、瑠璃が自分達の時間を使わないでほしいって」

 

「そうなの?」

 

「ええ……これは私達の問題、出来れば貴方達がこの問題に時間を割かないでほしいわ。私達が来なかった場合にしていたことをそのまま」

 

「そんな事は出来ないわ。私達はもう当事者なのよ!」

 

 俺達の協力はほしいものの、出来れば巻き込みたくないと思っている瑠璃。

 既に巻き込まれている側なので傍観者になるつもりはない柚子だが……。

 

「どうやって彼奴等を探すんだ?」

 

「そ、それは」

 

 ユートと黒咲を止めるには、大前提として彼等二人を見つけないといけない。

 舞網市は広大で、その中で1人の人を見つけるのは難しい。LDSのデュエリストが目当てだからLDSの融合使いのデュエリストを餌に……なんてやったら瑠璃も柚子も物凄い怒るだろう。

 

「それが出来たら瑠璃は今頃は飛び出してる。それが出来ないからこうやっている」

 

 赤馬零児のところに向かえば確実に会える気もするが、それをすれば色々とややこしくなる。

 

「……なにも出来ないの……」

 

「兄さん達の目的は恐らく赤馬零児、彼を人質に取って戦争を終わらせるつもり……けど、あの様子じゃ赤馬零児はなにも知らない」

 

「もしくは知ってるだけか……はぁ」

 

 今すぐアカデミアに乗り込んで、禁止カード満載のデッキで赤馬零王をぶっ倒してやろうか?でも、この戦争ただ単にデュエルで勝利をすれば良いだけの話じゃないし、シンクロ次元の事を無視するのもな。

 これ以上はなにを話しても埒が明かないのでこの話はやめて、今日一日は安静に過ごす事にして翌日普通に学校に登校した。

 

「瑠璃、大丈夫かしら……」

 

 色々と追い詰められている瑠璃の事を心配する柚子。

 今頃は遊勝塾で塾生達に教えるカリキュラムを覚えているのだろうが、きっと心地は悪いだろう。アカデミアの侵攻でなにかと苦しんでいるハートランドの人達がいるのに、呑気にエクシーズ召喚を教えてるとなると最悪な気分だろう。

 

「榊遊矢、久しぶりだな!」

 

 考えれば考えるほど憂鬱になっているとアホもとい沢渡が現れた。

 

「沢渡、お前退院できたのか!?」

 

「当たり前だ!ユートとかいう奴に受けた傷、その内倍にして返してやる為にネオ・ニュー沢渡へと生まれ変わった!」

 

「相変わらずね」

 

 もう完璧だぜとバク転をしてみせる沢渡。

 相変わらず元気と威勢だけは1人前で、その道化っぷりを見れば憂鬱な気持ちはスッキリとしていく。

 

「なんの用事だ?今は昼休みだし、飯食っとけよ」

 

 エビフライに齧りつき、美味しい母さんの手作り弁当をいただく。わざわざ退院したと報告に来るほど沢渡はお人好しな人間じゃない。

 

「今日はお前に宣戦布告に来た!」

 

「宣戦布告って毎回してるじゃない」

 

 今日こそはお前に勝ってみせるとか新たなるオレの力を見せつけてやるとか毎回言っている沢渡。

 宣戦布告なんて今更感がある。こいつ何度も出てきて恥ずかしくないんですかと思えるぐらいにしぶといし、不死鳥よりもゴキブリを連想させる男だ。

 

「遊矢、いい加減にジュニアユース選手権に出やがれ!お前ほどの男が表舞台に立たねえのは勿体ねえ」

 

「え〜デュエルしたいなら遊勝塾に来てくれよ。フトシ達の前で公開処刑するから」

 

「ふざけんな!」

 

 沢渡が俺を正当に評価をくだしてくれていることはよく分かる。

 その上で表舞台に立ってちゃんとした場所でのデュエルをしたいと沢渡は言うのだが、デュエルをしたいのならば遊勝塾に来ればいい。俺は暇だったら何時でも受ける。

 

「とにかく今度のジュニアユース選手権に絶対に出て来やがれ!いいな」

 

「はいはい、気が向いたらな」

 

 沢渡は言いたいことを言うだけ言ったので去っていく。

 

「遊矢、今年も出場しないの?」

 

「正直なぁ……興味ないんだ」

 

 プロデュエリストには魅力を感じないというわけではない。けど、俺は根本的にプロに向いていない。

 魅せるデュエルをするのは下手くそだし、立つのがめんどくさいからって座るし、アクションカードは取りに行かない。何よりも勝ち負けにそこまで拘りを持たない。負けて悔しいと思うし勝ちたいとも思うけども、デュエリストと呼ばれる人種程じゃない、その辺りの感情も希薄だ。楽しかったらそれでいい。

 

「そもそもで遊矢、出場資格を満たしていたっけ?」

 

「いや、公式戦柚子と沢渡ぐらいしかデュエルしてない気がする」

 

 非公式の試合なら今まで幾らでもやってきたが、公式試合となるとアクションデュエルだ。

 根本的にアクションデュエルが嫌いなのでやりたくないし、ストロング石島の一件があるからそもそもで挑んでくる同世代が少ない。俺の事を卑怯だなんだ言って挑んでくる奴等は既にコテンパンにしてしまったし……まぁ、原作的な話ならば問題無いだろうけど。

 

「あ、遊矢、お客さんが来てるわ」

 

 午後の授業も終え、遊勝塾に向かうと瑠璃が出迎えてくれた。

 来客者がやって来て若干だがあたふたしており、落ち着けと言って落ち着かせると来客室へと入る。

 

「待っていましたよ、榊遊矢くん」

 

 そこには黄色と黒の阪神タイガースを思わせるスーツを着た胡散臭い成金の見た目をした男、ニコ・スマイリーが居た。

 

「遊矢、お前ジュニアユース選手権に出場できるぞ!」

 

「え、でも遊矢は全然デュエルしてないんじゃ」

 

「その件については私が。榊遊矢くん、貴方の功績を称えて此度の舞網ジュニアユース選手権の出場をデュエル協会が認めました」

 

「あ〜……で、実際のところは?」

 

「私がデュエル協会に掛け合って無条件の出場を認めさせました。ストロング石島無き後に新たに輝くのは貴方しかいません──ってなにを言わせるんですか?」

 

 いやほら、その辺りについてはちゃんとしておかないといけないじゃん。俺の誘導にポロッとジュニアクラスの3人は軽蔑するかの視線を向ける。

 

「なんだよ遊矢兄ちゃんは金蔓かよ」

 

「ストロング石島が居なくなったからって次は遊矢兄ちゃんに鞍替えなんて最低」

 

「話が上手すぎると思ったら……」

 

 フトシ、アユ、タツヤの順に呆れる。

 思わず本音をポロッと溢してニコは焦りだしてハンカチで汗を拭き始める。

 

「か、勘違いをしないでください。確かにストロング石島の後釜にと思ったのは事実ですが、遊矢くんのデュエルに惚れたからこの話を持ち込んだのです!」

 

「嬉しい事を言ってくれるが……俺のデュエルに惚れたね」

 

 イグナイトとかいうガチでもなんでもないデッキをさんざんぶん回すだけ回してエクシーズだなんだとやった。俺からすればあの程度で惚れられるのは困る。

 

「無論、遊矢くんの情報は知っています……1つのデッキに固執しないのを」

 

「!」

 

「驚きましたか?プロデュースしようとしているデュエリストの事を知らなければプロモーターの沽券に関わります」

 

「だったら俺がプロ向きじゃないの分かるだろう」

 

 プロはただ単にデュエルをしておけばいいってもんじゃない。

 絶対的なエースの存在とか必要で、うちの親ならばスカイ・マジシャンのグッズとか出ている。

 

「いえいえ、デュエルする度に異なるカードを使う。デュエルには無限の可能性が秘められている事を知らしめる、ある種のエンタメデュエルを貴方は行っているのです」

 

「そういう言い方はあるかもしれないけど……」

 

 この世界のデュエルじゃなくてOCG次元のデュエルだからあっさりとしているだけだ。

 殆どワンキルみたいな勝ち方をするし最初は盛り上がるかもしれないが一時のブームだけで終わってしまう。

 

「人とデュエルするのも悪くないけど人にデュエルを教えてた方が性に合う」

 

「それならば尚の事、プロの資格がいります!プロになれば様々な大会に出場することが可能であり、更にはプロが教えていると箔が付きます」

 

「うちの塾長、元プロだけど格も箔も薄い」

 

「うぐぅ……ゆ、遊矢、お前なぁ」

 

 ニコ・スマイリーの言いたいことも分からないわけじゃない。

 プロになっていた方がなにかとお得なのも事実……けど、プロのロードを歩むとなるとどうしても父さんをイメージしてしまう。プロデュエリスト、キャラが強すぎるんだよな。

 

「プロであればお金に困った時、大会に出てガッポガッポ稼ぐことが出来ますよ」

 

 遊勝塾は貧乏塾、お金が手に入るのならば手に入れていて損はない……損はないんだけど、けどなぁ。

 なんかこう手の平の上で踊らされているのがなんか嫌だ。転生して自分じゃない自分になっているとはいえ、神様的なのが嘲笑ってるの分かったとしても絶対に嫌だ……よし、断るか。プロのライセンスについては、最悪プロデュエリストを表舞台で狩りまくっておけばデュエル協会も嫌でも黙っておかないだろう。

 

「すみませんが」

 

「遊矢、果たし状が届いたわ!」

 

 この話はなかったことにしてほしい。そう断ろうとすると、慌てた様子で瑠璃が果たし状と書かれた紙を持ってきた。

 沢渡が持ってきたのか?と思ったがついさっき宣戦布告したばかりの男が持ってくるのはおかしい。一先ずは何処から持ってきたのかニコ達には悪いのだが、この場で読ませてもらう。

 

「【拝啓、薫風の候。木々を吹き抜ける風もさわやかな5月を迎え、ますますご活躍のことと存じます。いきなりの果たし状に驚いた事かもしれません。貴方と私の関係でこの様な物を送るのは意外やもしれませんが、今回はこういった形式を取らせていただきました】」

 

「随分と丁寧な内容ね」

 

「私と貴方の関係……もしかしてそれって」

 

「【間もなくジュニアユース選手権が行われます。大会に出場する為の資格を満たす為の最後のデュエルの相手は貴方とはじめから決めており、貴方に新たに進化した不動のデュエルをお見せしたい。つきましては以下の日時に権現坂道場に遊勝塾の皆様と共にお越しください。貴方との真剣勝負、心の底から楽しみにしております 権現坂道場 権現坂昇】」

 

「やっぱり権現坂なのね」

 

「権現坂、こんな回りくどいことしなくても遊矢兄ちゃんなら何時でもデュエルしてくれるのに」

 

「【PS 権現坂でなく権現坂さんと呼ばんか】」

 

「よ、読まれてた……権現坂、痺れるくらいにすげえ」

 

 あ、その事についても書かれている。無駄に用心深いな権現坂は……って、おい。

 

「これ試合開始まで2時間後じゃん!」

 

 こういうのって、1日以上間を置いたりするものだろう。

 あまりにも突然過ぎることに焦るのだが、一応の猶予は残されている。今からデッキの調整をして権現坂道場に向かっても充分な時間がある

 

「ど、どうするの遊矢?」

 

「どうするもこうするもアイツは文字通りの真剣勝負を望んでいる。断る理由は何処にもないんだから勝負するに決まってる」

 

 こういった形で来るとは思っていなかったが、その内権現坂とは真剣勝負をする時が来るのはわかっていた。

 コレを送ってきたという事はあの時作っていた中途半端なデッキが遂に1つの形に纏まったということ。

 

「ニコ、悪いが今から権現坂道場で権現坂とデュエルがある」

 

「いえいえ、デュエリストたるものデュエルを挑まれたのならば応えなければなりません。私個人のワガママですが、そのデュエル、観戦させてくれませんか?」

 

「見ていてあんま面白くなくても後悔するんじゃねえぞ」

 

 今回使うデッキは決まってはいないが、綺麗な華やかなデュエルとは程遠いかもしれない。

 塾長達も俺の真剣勝負を見ておきたいと興奮し、結局今日は全員で権現坂道場に向かうことに。

 

「待っていたぞ、遊矢!遊勝塾の皆よ!」

 

「権現坂、2時間ぐらい前に果たし状を送るな。一応こっちにも予定ってものがある」

 

「む、それはすまん。しかし誰よりも早く新たなる俺の不動のデュエルをお前に見せたかった」

 

「ったく……」

 

「ハッハッハ、すまんな遊矢殿。昇はこの試合をジュニアユースの出場を賭けた戦いにするのになにかと勝率等の調整に忙しくてな」

 

 権現坂の事を許してやってくれと道場主こと権現坂の親父さんは笑う。

 予定とか言っているが暇なところもあるのでこれ以上はああだこうだ言わずにいる。

 

「ささ、遊勝塾の皆様こちらに……おや?見知らぬ顔がいらっしゃるが」

 

「その人はプロモーターで……なんか俺をスカウトに来た。このデュエルを見たいと言っているんですけど、ダメですか?」

 

「ほう、流石は榊遊勝の息子、プロモーターが付くとは……昇、負けるのではないぞ!」

 

「無論だ親父殿!此度は新たなる不動の境地をお前に見せてやろう!」

 

「興奮するのはいいが、デュエル開始まで時間がある……燃えるのは構わないが冷静になれ」

 

「むっ、まだだったか」

 

「あの二人、真逆ね」

 

 俺と権現坂の関係性を見て、瑠璃はそう呟く。

 熱く燃える熱血漢なところがある権現坂と、ちょっとドライなところがある俺。人種が全く違う様に見えてなんだかんだと上手くやっている。

 時折暑苦しく感じてしまうが、悪い奴じゃないし話も通じる。向上心もあり男前の主人公属性的なのもある……多分。遊勝塾の面々とニコと分かれて別の部屋に待機をする。

 

「さてと、なにを使うか」

 

 権現坂とは過去に何度も何度もデュエルをしている。

 何回か遊びと称して権現坂の使っているビックベンーKに魔法・罠カードを搭載したデッキを使ったりして、それで色々と学んでいて今じゃOCG次元の住人みたいなデュエルをする……どうするか。

 

「遊矢、いいかしら?」

 

 複数のデッキを並べて、どれにするべきか悩んでいると瑠璃がやってきた。

 

「どうした?」

 

「えっと……が、頑張って!」

 

「……頑張るつもりだけど」

 

「そ、そうじゃなくて、えっと……遊矢の今後の事を左右する大事な一戦だけどアカデミアとの戦いじゃないから気楽に行って、あ、でも権現坂は強いデュエリストで気楽にいける相手じゃないから」

 

「おいおい、なに言ってるか分かんねえよ」

 

 俺にエールを送りに来てくれた事だけは分かった。今回の戦う場所は何時もの遊勝塾でのデュエルでなくアウェーな戦いになる。

 プロになる上では周りが敵だらけでファンの1人も存在しないなんて事はよくある事で、それを跳ね除けてこそのプロデュエリスト……プロにはそこまで興味は無いが、その辺りの心構えとかは持っておきたい。

 

「……まっ、応援しておいてくれよ。相手は権現坂だから油断は出来ないけど、やっぱやるなら気持ちよく勝たないと」

 

「……うん、応援してるわ!」

 

 はっはっは〜こうなったら勝つしかねえな。

 多分ここで負けてしまったらニコも期待外れとか言ってきそうだし……ああ、くそ、人の期待に応えるデュエルとか本当に嫌だ。デュエルってもっと気楽な物なのに。

 

「遊矢、ちょ──なんで瑠璃と二人っきりなの?

 

 あ、やべ。

 瑠璃に頑張ってと応援されているところで同じことを考えてやってきた柚子に見つかり、ハリセンを構えられる。

 この後は言うまでもないのだが柚子に「遊矢のバカぁあああ」と軽くハリセンで叩かれる。俺、大して悪いことをした自覚は無いんだがなぁ……ホント、柚子と瑠璃のこと、どうしよう。

 

「遊矢兄ちゃん、これからデュエルなのに元気ないね」

 

「タツヤ、幼馴染とある日突然現れた系の女子のどっちかを選べって言われたらどうする?」

 

「それって柚子姉ちゃんと瑠璃姉ちゃんの事?……遊矢兄ちゃん、ハッキリとさせないと何時かハリセンが刃物に変わっちゃうよ」

 

「いやいや、幾ら柚子でもそこまでは……しないよな?」

 

「瑠璃姉ちゃんと仲良くしてるだけでハリセンを取り出す物凄い嫉妬深い人なんだよ……頑張ってね」

 

 デュエルなのか恋愛なのかどっちなのか聞きたいが聞くに聞けない、聞くのが怖い。

 デュエルに関して色々と集中しておかないといけないのに、柚子と瑠璃の事で頭がいっぱい……二人の事なんだかんだで好きなんだな俺。

 

「さぁ、時は来た!遊矢よ、今にして思えばこういった形の真剣勝負ははじめてかもしれぬな!」

 

「あ〜そう言えばそうかもしれないな」

 

 こういうデッキがあるとかの遊びとかはあるけどもちゃんとした星の取り合いをするデュエルははじめてかもしれない。

 

「緊張してるか?」

 

「なんの、胸の高鳴りが遥かに上回る」

 

「お、いいね……じゃ、戦いの殿堂に集いしデュエリストたちが!」

 

「モンスターとともに地を蹴り、宙を舞い!」

 

「フィールド内を駆け巡る!!

 

「見よ、これぞ、デュエルの最強進化形、アクション…」

 

 

 

 

 

「「デュエル!」」

 

 

 

 さぁ、このデュエルを楽しもう。




幾度にカードの刃を交じ合わせた。しかし真剣の刃をまじ合わせるのはこれが初めてだ。


相手はOCG次元産のトマト、壁はあまりにも高すぎる。だが、だからこそ越える価値がある。


遊矢よ、今日と言う日は本気のお前を越えて見せる!


その言葉、威勢だけで空回りにならなければいいがな


見せてやろう!新たなる不動の境地を!


動かざること山の如し、巨大なる山である超重武者が襲いかかる


あ、速攻のかかしで


次回、遊戯王ARC-V 【動かなければただの山】にガッチャビングデュエルアクセラレーション!!
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