遊戯王ではない!デュエルモンスターズだ!!   作:なにかの波動に目覚めたトマト

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実名出すか出さないか検討中


開幕 舞網チャンピオンシップ

 黒咲の撒き餌は成功し、赤馬零児とのコンタクトに成功するものの赤馬零児は人質の価値は無く、それどころか赤馬零王と戦おうという意思を持っていた。敵対する理由は何処にもないと黒咲を仲間に引き込み暫くするとユートと再会をし、情報交換をし合う。

 柚子と一回出会っているユートは人違いではと考える。しかし、黒咲は違うと断定する。実際に出会ったのは瑠璃であった。

 

「彼女は間違いなく黒咲瑠璃だ。君の言う似た少女は柊柚子の事だろう」

 

 三本勝負の場には瑠璃も柚子も居たのを零児は知っている。似ているが同一人物ではない。

 その事を聞いてユートはここに来ていたのかと考える。

 

「瑠璃は無事なんだろうか」

 

「我々が身辺調査をしたところ、彼女は遊勝塾で世話になっている。彼処には榊遊矢という君とそっくりな腕利きのデュエリストがいる。彼ならばアカデミアの刺客を容易に退ける事が可能だ」

 

 いいえ、彼はデュエリストでなく遊戯王民です。

 瑠璃が無事だと分かるとユートはホッとするが黒咲がかなりの殺意を剥き出しにしている事に気付く。

 

「瑠璃が心配なのはわかるが、無事ならばそれでいいじゃないか」

 

「違う。俺が気にしているのは瑠璃ではない。瑠璃の邪魔虫であるあの男だ」

 

「あの男?」

 

「榊遊矢の事か」

 

 現在黒咲が向けている殺意の矛先には遊矢がいる。大事な大事な妹を寝取った男がだ。

 

「あの男はこの戦争について全てを知っている不可思議な男だ」

 

「瑠璃から全て聞いたんじゃないのか?」

 

「違う!奴は恐らくはアカデミアが此方の世界を侵攻すべく送り込んできた尖兵だ」

 

「いや、その線は薄いだろう」

 

 遊矢に敵意を剥き出しにする黒咲。

 しかし、その可能性はほぼ0だ。なにせ遊矢はスタンダード生まれのスタンダード育ちの極々普通のデュエリスト(笑)なのだから。

 

「だったら奴は何者だと言うのだ!この次元の住人はアカデミアの事を、この次元戦争についてなにも知らない。だが奴は、あの男は全て知っていた」

 

「彼についてはLDS側も色々と不明なところがある。見よ、これを」

 

 零児は立体映像を映し出す。

 そこには粉々に壊れてしまった機材が多数存在しており、何事かと思えば遊矢の顔と3枚のカードが映し出される。

 

「昨日、彼は舞網チャンピオンシップに出場すべく他のデュエル塾と公式戦を行った。その結果、3本とも先攻1ターンキルで終わった」

 

「全て先攻1ターンキル……それは凄まじいな」

 

「問題はその3本目の勝負だ。彼は何処から入手したか不明の未知のカードを多数所持している。ペンデュラムモンスターもその一例だが、今回は更に大きな召喚のエネルギーを感じた」

 

 それがこれだと密かに手に入れたデュエルの記録を見せる。

 それはもうデュエルと言っていいのか分からない程に1人でやっている高度なソリティアであり、ユートも黒咲も圧巻する。

 

「神属性のカードだと、デュエルモンスターズには6つの属性しか無いはずだ」

 

「赤馬零児、奴は一体何者なのだ!」

 

「それは私にも分からない……だが、彼ならば赤馬零王に対抗する一番槍になってくれよう。その為にも君達には是非とも協力をしてもらいたい」

 

 赤馬零児による計画は着々と進んでいく。

 しかし当然の様に遊矢はその事を知っている。ニコにプロを目指さないかと誘われたのでどうしたものかと頭を抱える。なにせ下手をすれば今回が最後の大会になるのかもしれないのだから。

 

 

 

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「ふぁ~、眠い」

 

 舞網チャンピオンシップが今日から開幕する。プロを目指して日夜特訓していたデュエリスト達が今日から激闘を繰り広げる。

 そんな大事な大事な大会なのだが、色々と大変な事になる……本当に楽しいデュエルはいったい何処に行ったのやら不明だ。

 

「遊矢、今日は大事な日だって言うのに随分と呑気なのね」

 

「瑠璃、いい事を教えておく。これが俺の通常運転だ」

 

 大きなあくびを出している俺に瑠璃は少しだけ呆れる。

 こんなのんびりとしていて大丈夫かと心配もするが、俺からすれば気張りすぎるのもどうかと思う。権現坂の様に熱くなりすぎるのもいいが、氷の様な冷静さと動じない平常心が大事だ。

 

「でも、良かったの?塾長達と一緒に向かわなくて」

 

 現在、俺と瑠璃は歩いて舞網チャンピオンシップの会場へと向かっている。

 遊勝塾が出してくれるバスには乗らない。

 

「俺、乗り物が苦手なんだよ」

 

 榊遊矢になるよりも前から乗り物に弱い。少しだけならばいいが、長距離のバス移動とか何かをしながらでの移動とか特にキツイ。

 この前のデュエル三本勝負の時は事前に酔い止めを飲んでいたから良かったけど、酔い止めを飲みすぎたら酔い止め慣れして薬が効かなくなる恐れがある。

 

「それにな、俺はこの時間を大事にしたいんだ……多分、もうすぐ大変な戦いが待ってる」

 

 パッと会場に足を運んでもいいのだが、忘れちゃいけない事はある。

 今回の舞網チャンピオンシップ、あのクソメガネもとい社長が槍サーを選出すべくシッチャカメッチャカしてくれる。融合次元の事を放置しておけばそれはもう大変な事になってしまう。流石にそれは見過ごす事は出来ない。

 

「ごめんなさい」

 

「お前が謝る事じゃない」

 

 こんな事に巻き込んでしまったと瑠璃は謝るが、瑠璃のせいではない。

 全ては娘を復活させようと企んでいるハゲが悪いことだ……互いの次元同士不干渉で良かったのに、無理に干渉しているんだ。

 

「瑠璃、先に言っておくが俺はデュエリストなんてものとは程遠い存在だ。舞網チャンピオンシップは何時も通りのデュエルをするが、そうでないのならば容赦の無いデッキを使う……それはきっとお前が俺を軽蔑するほどだ」

 

 自分で作っておいてなんだが、これはまずいと思えるデッキが出来た。

 きっと俺以外にも遊戯王の世界に転生をした人達がいたとしてもやらないような途轍もないデッキだ。デュエリストの風上にも置けないデュエルを俺はする。

 

「遊矢のデュエルは遊矢のデュエルよ。私は否定はしないわ」

 

「そうか……瑠璃、俺のデュエルは刺激的だぞ」

 

「ええ。フトシくんの言葉を借りるなら痺れるデュエルを見せてね」

 

 痺れるデュエルか。生憎な事に俺はOCG次元では極々普通のデュエルをしているだけに過ぎない。

 瑠璃と仲良く談笑をしつつも舞網チャンピオンシップの会場に辿り着くとそこにはハリセンを持った柚子と水晶玉を持ったミエルが対峙していた。いや、どゆこと。

 

「あ、遊矢お兄ちゃん」

 

「アユ、いったいなにがあっ──」

 

「待っていたわよ、ダーリン!!」

 

「このっ、遊矢から離れなさい!!」

 

 アユに状況説明を求めると颯爽と俺に飛びついてくるミエル。

 柚子は俺からミエルを引き剥がそうとするが、ミエルの力の方が上なのか中々に剥がれない。周りにいる別の塾からはこのハーレム野郎がと睨まれはするのだが、俺は純愛派なのである。3人に攻められてどう応えればいいのか物凄くチキっているけど。

 

「ミエル、俺はお前の運命の人じゃない」

 

「そんな事は無いわ。貴方はミエルの運命の人、いいえ、運命を打ち破る人なのよ!」

 

「運命を打ち破るか」

 

「私のダーリンにふさわしい人よ!!」

 

「さっきから聞いてれば遊矢をものみたいに扱って……遊矢はわたっ……瑠璃、言ってやりなさい!」

 

「えっ、そこは柚子が言うんじゃ」

 

「無理無理、柚子姉ちゃんはそこから先を言えないヘタレだから」

 

「誰がヘタレよ!!」

 

 ツンデレとはまた違う柚子が見れてエモいです。

 とはいえ、瑠璃に火の粉が飛んできてこのままでは何時俺にハリセンが飛んでくるのか分からなくて怖い。

 

「公共の場で痴話騒ぎはやめんかお前等!」

 

 やだ、権ちゃんイケメン。

 公共の場でキャットファイトを繰り広げる3名を一喝して落ち着かせる。流石だぜ、権現坂。

 

「遊矢よ、お前もお前で原因があるのだぞ」

 

「まぁまぁ落ち着いて……これ以上は睨まれたくはない」

 

 こんな馬鹿騒ぎ起こしているから周りは四方八方敵だらけ。リア充滅びろなんて声も聞こえなくはない。

 流石の俺もそこまでメンタルは強くはないので縮こまっているとニヤニヤした悪役ヅラの男……暗黒寺が俺の前にやってくる。

 

「何処かで見たことがあると思えば逃げ出したチャンピオンの息子じゃねえか」

 

「そういうお前は俺がボコボコに倒したチャンピオンを崇拝する1信者……悪いがお前レベルの雑魚には今のところは興味がない」

 

「だ、誰が雑魚だと!!」

 

 俺と渡り合いたいというのならばせめて沢渡レベルのデュエリストになってからこい。

 と言ってもあいつなんだかんだで強いからな……はてさて、どうしたものなのか。安い挑発に乗ってくるので底が見えたため俺は相手をしない。暗黒寺は何時でも俺を倒せると言いたげだったが、俺はそう安々と負けはしない。

 

「さて……俺は此処で優勝を果たしてプロの道を歩んでいく。今回は何時も楽しくデュエルをする遊矢お兄さんじゃなく本気で潰すつもりでデュエルをする遊矢としてデュエルをさせてもらうか」

 

「遊矢……頑張ってね、塾長達と応援してるわ」

 

「ま、見ててくれよ」

 

 俺はデュエリストじゃないけどもデュエルする事は出来るんだ。間もなく開会式が始まるとの事で選手ではない瑠璃はこの場を後にした。

 

「レディースアンドジェントルメン!!今年もこの季節がやってまいりました!!舞網チャンピオンシップの時間です!!司会は私、ニコ・スマイリー!さぁ、選手達いえ、デュエリスト達の入場です!!」

 

 特にコレといったトラブルが起きることはなく舞網チャンピオンシップの開会式ははじまる。

 プラカードを持ったお姉さんに誘導されて歩いていくと舞網チャンピオンシップの会場に姿を見せる……満員御礼、相撲用語だがその言葉が最も似合う程に会場は熱気に包まれていく。

 

「さぁさぁ、先頭はこの御方!新たなる召喚、ペンデュラム召喚を生み出した開祖!プロすらも手球に取る次元を超えし稀代のデュエリスト!その名も榊遊矢」

 

「ハードル上げるなぁ……ま、コレもプロになる上での試練ってところか」

 

 やたらと俺を盛り上げてくるニコ。

 俺としてはそんな事をせずともデュエルの腕一つで黙らせるのだが、こういう口上を受けて綺麗に対応するのもまたプロデュエリストに必要な能力なので俺は腕を大きく掲げて周囲にアピールする。

 周りは待ってましたと言わんばかりに歓声を上げる……勝ち続ければ天国なプロの世界がいかにシビアなのかが思い知らされる。俺は遊勝塾で楽しくデュエルを教えられればそれでいいんだがな。

 

「……!」

 

 ニコが次の目ぼしいデュエリストの紹介をしていくと俺のアピールタイムは終わった。

 後は気長に開会式が終わるのを待っていると殺気を感じたので振り向くけばクロワッサンもとい黒咲が居た。俺を強く睨んできており、殺意を向けている……瑠璃の件に関してはほぼほぼお前の自業自得であり、俺は悪くねえ。

 

「どうしたの遊矢?」

 

 難しい顔になっていたのか柚子は心配してくる。

 俺の僅かな表情の変化を読み取るとはと思っていると黒咲は驚いた顔をしており此方に近付いてくる

 

「瑠璃!どうして瑠璃がここに居るんだ!?」

 

「え、どうして瑠璃の事を……貴方、まさか!」

 

「彼女は瑠璃ではない……柚子は柚子だ」

 

「ごふっ……」

 

 人違いと言うには少々難しいのだが瑠璃と柚子は違う。

 お淑やかさとかあどけなさが特に違う。茄子がこの場に居ないので茄子に代わって腹パンを叩き込む。

 

「貴方が遊矢を……よくも遊矢を……」

 

「敵討ちなんて馬鹿な真似は止せ……あいつ、無駄に強いぞ」

 

 俺の頬を傷つけた事に対して柚子は怒りを顕にするのだが黒咲はその辺のデュエリストじゃない。並大抵のデュエリストならば簡単にボコボコにする事が出来るこの大会でも頭一つ抜き出ている次元の違うデュエリストだ。柚子が決して弱いわけではないが相手が悪過ぎる。

 

「それでは選手宣誓を遊勝塾の榊遊矢選手、お願いします!」

 

「宣誓……めんどくさいから省略、優勝するのは俺だ。何処からでもかかってこいや!!」

 

 マイクパフォーマンスもプロの仕事である。

 ニコは俺にマイクを渡してきたので選手宣誓をしようと思ったが、ここはハードルを上げておかなければ面白味に欠ける。この大会に優勝する為に参加している。どんな敵が相手だろうともオレはやりきってみせる。デュエリストじゃなくてもデュエルに勝てると証明してみせる。

 

「遊矢、それは大胆すぎるぞ!」

 

 俺のマイクパフォーマンスに権現坂はあたふたする。

 

「馬鹿を言っちゃいけねえ。綺麗な言葉を見繕っても全員腹の中じゃ俺が1番だと思ってるんだからやるっきゃない」

 

「それでも限度ってものがあるでしょう、もう……でも、私負けないわよ!遊矢に勝って優勝してみせるわ!!」

 

 やる気満々の柚子。そうだ、それでいい。そうでないとカードゲームの面白味に欠ける。山はある程度は大きくなければ意味が無い。

 柚子が打倒俺宣言をすると他のデュエル塾の面々もあんな事を言う奴には負けていられるかと闘志を燃やしている。発破をかけて正解だったな。

 

「ハッハッハッハ……かかってこいや」

 

「あの遊矢選手、もういいですよ」

 

 派手なマイクパフォーマンスはもういいとニコにマイクを取り上げられる。

 意外と爆弾発言が多い俺にヒヤヒヤしているんだろうが俺には清廉潔白は似合わないんだよ。そういうのは権現坂や柚子が似合うんだ。

 

「では、選手の皆様デュエルディスクをお手に装着」

 

 マイクパフォーマンスが終わったのでニコは進行を続けていく。

 デュエルディスクを腕に装備するとプラカードを持っていたお姉さんからIDカードの様な物を渡されたのでデュエルディスクに読み込ませると一回戦の対戦相手がデュエルディスクの液晶に映し出される。

 

「ハーハッハッハ!流石はオレ様だ!一回戦から場を盛り上げる為の踏み台を用意してくれるとはな!!」

 

「五月蝿いな……一回戦の相手はお前か、沢渡」

 

 デュエルディスクに映し出されたのは沢渡だった。

 原作ブレイクをしていて黒咲と因縁があるので一回戦の相手が黒咲の可能性があったが……運営が俺が何処までのデュエリストなのか試す為にある程度の実力者である沢渡を噛ませ犬にした……のだろうか。この大会、裏でレオコーポレーションが好き勝手にやっているせいで先がそこまで読めない。

 

「一回戦にお前とデュエルをするのはちょっとばっかし残念だが、お前を倒して沢渡世代を作り上げる礎にしてやる!」

 

「なんだよ沢渡世代って……今回も俺の1ターンキルによる殺意を見せつけてやるよ」

 

 ただまぁ、沢渡と一回戦で戦うのは少しだけだが惜しい。準決勝辺りで戦ってカッコよく勝利を決めて圧倒的な強者の風格を漂わせるデュエリストになりたかった。

 

「柚子、権現坂、お前達の対戦相手は誰だった?」

 

「俺の対戦相手は暗黒寺だ……まさか一回戦に当たる事になろうとは」

 

「私の相手は真澄よ……あの時は遊矢が戦ったけれど、今度は私が勝ってみせるわ!!」

 

 柚子と権現坂の対戦相手は特に変わってはいなかった。

 これで気になるところは黒咲のみ。素良は居ない。デュエルを応援はしてくれるらしいが……どうなるのか、ホントに先が読めないな。

モコミチ達とデュエル

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